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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

花 濫 第5章三人の男の前で

 低空飛行の軽飛行機が轟音を頭上を雷鳴のよに轟かせて通り過ぎて、冴子は目覚めた。ダージリンの紅茶を嗅ぎながら、
庭の椿に視線を預けて、今日帰って来る浩二を想っているうちに、少しまどろんだらしい。

うらうらとした初春の陽光が、いつしか西に傾いてて、畳色の枯れ芝に、ひょろりとした葉のない雑木の陰が、縞模様を描
いていた。冴子が想いを断ち切るように、勢いよく立ち上がろうとした時、玄関でチャイムが鳴った。二、三度続けて鳴らす
訪問者が田宮であることは、冴子には手にとるようにわかる。                 
 
夫が今朝早く、千葉の私立大学に集中講義に行ったので、もしかしたら、田宮が来るのではないかという想いはあったけ
れど、田宮も仙台の大学に三週間ばかりの予定で出張していたので、冴子は浩二の帰国のことですっかり忘れていたのだっ
た。浩二のことがなければ、心をときめかして迎えに行くのだが、今日は複雑な心境だった。

 田宮とは、ここ一月以上会っていない。この前田宮が来た時には、丁度冴子が生理の最中で、夫と三人でマージャンをして
帰って行ったし、仙台に行く前日に来た時には、学生の親が来ていた。そんなことで、ここしばらく冴子は孤閨に疼く躯を押え
るのに悶々としていた矢先に浩二の帰国が知らされて、そんな衝動は朝靄のようにいつの間にか消え去っていた。          

 しかし、今日買い物から帰って、あられもなく自分の身体を開いて見たりした行為も、無意識のうちに欲求不満がそうさせた
のも事実である。

 割烹着のまま玄関に向かいながら、今日は駄目と思う一方で、田宮の来たことだけで、躯が甘く溶けていくような情緒にひ
とりでに浸りはじめる自分の肉に驚いていた。期待と拒否の綯混ぜの感情のまま、冴子は精悍なそうな背中を見せて玄関の
敷居に腰を降ろして靴を脱いでいる田宮の後ろに立っていた。               
 
「いらっしゃいませ」                        
 つつましやかだが歯切れのいい張りのある冴子の声を背後で聴くと、田宮は薄絹でふわりと包まれたようなやさしい気分に
なる。振り向くと、昏い玄関の古色然とした欅の床ににっこりと微笑えんでいる白い顔が、灯をともしたように浮き出ていた。

  床に片手をつき、上体をすっくと伸ばした冴子の挙措は、名匠に活けられた花のように稟として隙がないが、反面、今にも
熟れ落ちそうな盛りの花の脆さを含んだ艶がただよっている。
 
 田宮がこれまでに識った女達は、最初彼を魅了した手中の小鳥のような可憐さといとしさが時間と共に失せて、やがて狎れ
と退廃をただよわせながら、飼主に怠惰な表情で抱かれるふてぶてしい老猫のように変貌してくるのが常だが、冴子のよさは
狎れに染まぬ清楚な可憐さだと田宮は思っている。                              

 伊香保温泉の夜から八ヵ月が流れ、普通の貞淑な人妻では想像もつかない淫靡な性宴に翻弄されながらも、彼女が退廃や
卑猥、淫蕩の片鱗さえ見えないのは、彼女が男二人を相手に性交することや、職業女性さえ顔をそむけたくなるような性戯を、
不純な行為とは思わず、これが大人の世界に通常おこなわれている性戯だと一途に信じて疑わなかったからである。
 実際惣太郎も田宮も、冴子を従順にさせるため、そのように教え込んで来た。これが都会育ちの女性ならこうはいかなかった
だろう。

 無垢で一途であるということは、傍眼には大胆ともとれる。自分が快楽を享受する度合いが大きければ大きいほど男性は歓び
奮起し、相手の女性をいとしく思うものだと、教え込まれたし、また実際にそれを体得してみると、そうしろと命じられなくても、から
だがひとりでに官能の深淵を需めて昂ぶり反応していく。 

 そして自分が貪欲に需めれば需める程、男達も歓喜に狂うということも事実であることを知ってからは、冴子は平凡な人生にも、
こんな快楽に満ちた世界があったのだと、春の花園に踊り出たような気分になっていた。だから次第に露骨に卑猥になっていく二
人の男が需める性戯も、それが当然のことと受けとるから、冴子の態度も羞恥に妨げられながらも大胆になる。
 その羞恥の表情でうち顫えながらも大胆に、需められるまま惜し気もなく躯を広げ動き、やがて自ら官能の業火に煽られて、亡我
の喜悦にのたうち まわる姿に、男たちは耐えられない興奮の渦に引き込まれるのだった。                       

 玄関の鴨居にとどきそうな躯体を折るようにして立ち上がった田宮が、冴子を自然な動作で抱いた。                          
 「いやよ。こんなところで……」                    
 背高い田宮の背広に顔を埋め、煙草と体臭が混じった懐かしい匂いを吸い込みながら、くぐもった声で冴子が言ったが、田宮は
それにはとりあわず冴子の顎を掬って仰向かせた。冴子は勢い顔をのけぞらせながら、田宮の視線を眼にとらえ、
 「誰かが入って来たら…………」                    

 最後まで言わないうちに田宮の顔が落ちてきて、口をふさがれた。     
 いつもの田宮の接吻は、日本の男には少ない技巧を備えていて、いつも冴子を悩殺するのだが、今日のは思いがけず荒々しい
ものだった。冴子が予想していた甘美さとはおよそ違う田宮のやり方に、飢えた男の焦りを感じて、冴子はにわかに田宮に対するい
としさが込みあげてきて、思わず両腕を硬い男の頸に回していた。                                  

  「もうすぐ、いつか話したロンドンに行っている浩二さんが帰って来るの」 
  田宮が口を離した一瞬をつかんで、冴子はやっと言った。         
  「ああ、先生の学友の息子さんで、この家に下宿していて、家族同然にしていた坊やだろう……覚えているよ。何時にくるんだ
い?」           

  「今夜ロンドンから着くとしかわからないんですけど…………たしかブリティシュ航空で帰って来ると言ってましたから、今空港に聞
いて見ようと思ってましたの」                                 
  「ああ、その便なら知ってるよ。夜八時半着だよ。この間友人がそれで帰って来たから…… 。だから十分時間はある……………
だから………………」   
  田宮の掌が懇願するように、そっと割烹着の上から冴子の乳房をつかんだ。接吻とは違って、割れ物にでも触るような優しさだっ
た。           

  「仕方の無ない人ね」                         
 冴子は目許をぼうっと染め上げて、あどけない表情で軽く田宮を睨んだ。触れられたことで、反応をはじめた冴子の躯の奥から
染め上げられた自然な紅が映えて、どきっとするほどなまめかしさをそそる。そのくせ、触れられた後の冴子の表情は、何もかも田
宮に任せ切ったという自己放棄のやすらかさをたたえて体重を男に預け切って、それを受止めている田宮は、泪がこぼれそうなほど、
いとしさが込みあげて来る。                          

 立ち眩みかと一瞬錯覚したほどのすばやさで冴子は田宮に抱きあげられていた。
 昏い廊下を運ばれながら、冴子はもう躯の芯からめらめらと紅蓮の炎が立ち昇りはじめているのを振り払う気力も失せて、しだい
に官能の靄にかすんでいく意識の底で、浩二の来る時間にはまだ間があると最後に考えた。

 浩二のことは夫もこの田宮も知らない。生涯心に仕舞い込んでおくつもれいでいる。これだけは年下の浩二のためにも、また自分
の浩二に対するいとしさのためにも大事に心の奥深く仕舞って置くことに決めている。だから今日は奇麗な躯で浩二を迎えるつもりだ
ったが、こうして田宮に抱かれると、生理的に躯が潤んでしまう。やはりこの八ヶ月の間に冴子の躯が覚え込んだ田宮の肉の感触がそう
させるのだろう。
 浩二のために奇麗な躯でおりたいという感情と、しだいに潤んでくる躯の欲求の綯混ぜった感情のまま、冴子は自分の部屋に布団
を敷いていた。 

 ブラウスの釦をはずして乳房を露わにしたのは田宮だったが、スカートと下穿は自分でとった。裸になった田宮の前は、怒張し切っ
ていた。いつも田宮の希望で、どこからも見えないからと、庭の硝子障子のカーテンを開けたまま冴子は田宮を受け入れる習慣だった。
 
 その硝子に全裸で絡んだ自分たちの姿が、薄く映っている。浩二の時もたしか、こんな風に映っていたような気がしていた。
 庭の椿が赤く飾り電球のように見えていたのも、あの時と同じだった。そう夫との新婚時代にもこの椿を見ながらした。                  

 力強く入って来た田宮に、冴子の躯が思わず弓なりにしない、冴子の視野が、官能の火に揺れて霞みはじめていた。                  
  「ああ、いいわ…………」                        
 思わず漏らした冴子の言葉にあおられるように田宮が律動を強めた。冴子はしだいに朦朧として来る意識の中で、今、自分の中に入
っている男が、浩二のような錯覚を感じたが、それは田宮だと、自分に言い聞かせた。
 しかし、何時の間にかまた浩二とのように錯覚してりうのはなぜだろう。冴子の閉じた目に火花が散りはじめ、官能のたかまりに、思わず
声を発する頃には、冴子は薄れる意識の中で、今夜浩二に抱かれようと決心していた。
 そして夫にも身を許そうと思もった。一日に三人の男に抱かれよう。自分も含めて、四人の内の誰一人として、そのために傷つく者はい
ないのだから。

 そう決心すると、冴子は激しく律動をはじめた田宮の腰にしっかりと脚を巻き付け、両腕は田宮の頸をしっかりと抱いて、自ら腰を振り
ながら、官能の業火の中へ踊り込んで行った。               

 気がついた時は、部屋の中にいつの間にか黄昏が忍び込んで、硝子戸を透かして見える椿林の白い花だけが、仄白く浮で見えた。
 横で煙草のくゆる臭いがして、田宮が俯伏になって汗ばんだ脚を絡ませていた。田宮に煽られて、噴出して無数の火玉となって飛び
散る業火に身を灼かれながら絶叫したような気がする。終焉を迎えようとする田宮に牽制の声でねだりながら自分も昇り詰めて、同時に果
てたまではおぼろげながら憶えている。

 その時に絶叫したと思ったが、実は田宮が果てたと思ったのは冴子の錯覚で、技巧に富んだ彼は、
冴子一人を昇り切らせて、自分は力を温存し、小休止の後再び最後の力をふり絞って挑んできた。
 ふいを突かれた冴子は、高まりまりのおさまる間もなく、頂上からさらに中空に投げ揚げられたような感じに煽られて、最後には気を失っ
ていた。          
 残り火がまだ燻りつづけている胎内で、時々痙攣のような収縮がおこり、その度にどっと溢れたものが流れ出して濡らしている股間を、

 田宮の指が軽く冴子の背中を叩いた。 
  「なにか塗り薬あるかなあ…」                     
 指を動かせ続けながら田宮がぼそりと言た。                
  「肩の血が止まらないんだ…」                     
 冴子の顔の上に寄せた堅いか肩の肉に、鮮やかな歯型がくっきりとついていて、その一部の皮膚が切れて血が細い雫になって流れて
いる。         

  「誰がこんなお悪戯したんでしょうね?」                
 口元に肩を引き寄せ、ちろりと出した舌で、傷口を嘗めながら甘い声で冴子が言った。遠くで豆腐売りのラッパが聞こえていた。硝子戸
の外がもうすっかり暮れ果てて、昏く沈み込んだ室内に、二人の裸身だけが、仄白く浮かび出ていた。

  リビングで鳴る電話のベルが暗い廊下を伝って聞こえてきたのはその時である。 
  「あら、どうしましょう…」                      
 あわてふためいて身を起こした冴子は、弛緩して萎えた脚でよろめきながら、手探りで見付けた割烹着を素肌に纏って、電話に走った。           

  「ああ、ママ?… 僕です…」                     
  いきなり浩二の変わらぬ声が、そこに居るような近さで受話器に飛び込んできた。                                  
  「お帰りなさい。で…今どこに居るの?」                
 懐かしさに込み上げてくる感情を抑えながら冴子は訊いた。        
  「今、箱崎の東京エアーシティーターミナルです。これからタクシーでそちらに向かいますから、あと一時間もあれば着きます。お腹す
かせてますからよろしく」                                   
  「相変わらずね。それで貴方一人なの?」                
  「青い眼の嫁さんでも連れて帰ったとでも思っているんですか? 生憎ひとりです。今日パパはいるの?」                       
  「千葉の学校に行ってるけど、夜は帰って来るわ。お客さんが一人いるけど、心配ない人だから、早くいらしゃい…」                  
  電話を切って振り返るとそこに田宮が、服装を整えて立っていた。     

  「貴方の時間と違うじゃないの。嘘ばっかり言って……。もう箱崎まで帰ってきてるのよ」
  「おかしいなあ……。いつ時間が変更になったのだとう」         
  「あとどのくらいしたら来るかしら」  
  「箱崎からなら全部高速道路だから、四十分もすると着いちゃうね。早く支度しないと拙いな」                            
  「どうしましょう。一体何から手をつけたらいいのかわからないわ…」   
 うろたえる冴子に近寄って、田宮が優しく抱いた。            

  「まず米を出すこと。僕が炊飯器はセットしてあげるから、そのうちにきみの部屋を片付けて……ああ…それも僕がしてあげるから、
君はともかっくシャワーを浴びること…」                            
 「あたしの顔変じゃない?」                      
 田宮の顔を見上げて、羞恥を浮かべながら訊いた。            
  「とてもきれいだよ。眼が潤んでいるところがいい。まだ余韻が残っていて、君が一番美しく見えている時だよ」                    

 田宮は割烹着一枚で、背中から臀にかけては露なままの冴子の身体を愛撫しながら言った。それが困るのよ…浩二さんも、この表
情を知ってるんですもの…とも言えず、冴子は田宮の腕からすりぬけて、米櫃を田宮に教えて、風呂場へ走った。

 
  「そんなに厚化粧したら、せっかくの女らしい美しさが隠れてしまうじゃないか」                                  
 冴子が買い忘れて来たワインを買いに出掛ける時、そう言い残した田宮の言葉を思い出しながら冴子が料理の準備をしている時、
玄関が勢いよく開いて、  
  「ただいま!」                            
 と元気のいい浩二の声がキチンまで響いた。               

 冴子は料理に濡れた手を割烹着で拭いながら玄関に走り出ると、三和土に突っ立て、大きな旅行用のスーツケースを両脇に抱えた
浩二が、白い大きな歯を見せて笑顔で立っていた。二人の目があった瞬間、白い割烹着の冴子の肩が波うつように大きく息づいていた。
 冴子は感動に声をつまらせた。          
  「お帰りなさい…」                          
 やっと言った冴子に、にこりとしてから、                 

  「お客さんは?」                          
 と訊いた。                              
  「お客さんと言っても、パパの後輩で、同じ先生なのよ。今お買物に行ってもらってるの」                              
 スーツケースの一つを取ろうとして三和土に腕をのばした冴子を、浩二が横から抱き取った。はっと、浩二を見上げた冴子の顔に、
いきなり浩二の顔がかぶさてきて、唇を奪われた。短い接吻だった。                 

  「会いたかった!」                          
 そういう浩二の言葉に感激しながらも、会った時にはどんなに感動するだろうと予測していたほど、もう一つ感動がないのは、先ほ
どの田宮の名残がまだ股間に流れているせいだろうかと冴え子は思った。               
  「お風呂湧いてるわ。旅の汗を早く流しなさい。それともお茶にする?」  
  「風呂が先だな………」                        
 浩二は二階に荷物を置くと、勝手知った家の廊下を、大股で歩いて風呂場に消えた。                           

  「浩二さん着替え持ってって…………」
あわてて浴衣を抱えて風呂場に浩二を追い、勢いよくドアを開けると、目の前に浩二が裸身を輝かせて立っていた。
田宮の毛深い大人の躯を見慣れた冴子の目に、艶やかな革のような茶褐色の肌を鈍色に輝かせ、若鹿のように精悍な幼さがまだ残
っている健康で清潔そうな浩二の裸体は、男の精にでも出会ったようにまぶしく映った。

その男の精は、冴子を認めると、一瞬信じられないような顔をしたが、すぐ顔面いっぱいに朱を滲ませて、いきなり冴子を掬いとるよ
うにして抱き締めた。
言葉はなかった。冴子の唇を奪いながら、片手で冴え子の乳房の盛り上がりを割烹着の上から揉んだ。先ほど慌てて着衣した時に、割
烹着を脱ぐときに、ちゃんと服装を整えればいいと考えて、下穿だけつけてスリップもブラジャーも省略し、その上に綿の普段着の紺の
タイトスカートと、薄いカシミヤのブラウスセーターを着ただけだったから、浩二の大きな掌の温たたか味が、直接触れられたように伝わ
ってくる。

 浩二の掌の中で乳首がしだいに硬くなってくるのが、よくわかる。浩二がその掌で、うっ、と思わず声が出そうになる痛さで乳房を強く
握りしめた。その粗野な愛撫が、清冽な清水を浴びせられたたように、冴子の躯に思いがけない刺激を与えて、冴子は朦朧となった。
足が萎えたように力を失い、ずるずると崩れ落ちようとして、冴子は慌てて浩二の裸体にしがみついた。細く硬い浩二の腰に両手をまわ
して体を支えようとしたとき、偶然のように浩二の硬直した男根が頬を突いた。羞恥が全身をはしり、思わず浩二の股の付け根に顔を埋
めた。

 ざらざらとした浩二の陰毛が頬に当たり若い男性の強い体臭が臭い立っていた。
片膝を突いた冴子の不自然な格好を、いきなり崩すように、浩二が冴子の上にのしかかって、ふたりは互いに、足の付け根当りに顔を
付けるようにして折り重なった。浩二の掌がすばやく冴子のスカートをまくり、薄いスキャンティーの上から、口を付けてきた。田宮の溜
ったものが溢れ出ている上に、今の刺激ですっかり濡れそぼり、スキャンティーだけでなく、股間から太腿を伝って流れはじめている体
液が浩二に見られてしまうと、慌てて起き上がろうとしたが、浩二の屈強な力で押さえつけられているため、びくとも動かない。
  「浩二さん、やめて! お願い 」
冴子は思わず、大きな声を上げた。

田宮は、玄関から上がり、キッチンに入りかけたところで、思いがけない冴子の悲鳴を聴いた。
 買ってきたワインの包を置くと、足音を忍ばせて声のした風呂場に向かった。
若々しい青年の裸の背中がまず目に飛び込んで来た。体は大きいが、まだ肩と腰と臀に幼さの弱々しい線を残したような青年の裸体
だった。

 やや浅黒い肌が、若者特有の光沢を滲ませて、脱衣場のほのくらい電灯に照らされて鈍色に輝いている。その青年の乱れた黒い髪から
はえたように、女の白い足が白鳥が羽を広げているようにくの字に開かれているのが見えた。青年の貌が羽の中心に埋まっていた。青年は、
冴子を逆さに組敷いているようである。注意してみると、青年の長い足の膝が、冴子の両肩を押さえつけ、その股間から冴子の白い貌が覗
き見えた。                                  

 互いにクリニングスをしているのかと思ったが、そうではなく冴子は、青年の太い腿を下から手で突き上げて、起き上がろうとしてもが
いているらしい。屹立した男根が、冴子の貌に当たっている。割烹着が腹の辺りまでたくし上げられている。青年の手が、股間で細い紐のよ
うになったスキャンティーを横に引っぱって陰部を丸出しに、そこに青年の貌がかぶさっている。暴力沙汰ではないことが、冴子の抵抗の弱さ
で解る。

  「浩二さん、今はいや! お客さんがもう帰って来るから………」
  「こうしたかった! イギリスにいる間、こうすることばかり考えていたんだ」 「あたしだって、あなたのこと忘れたことないわ」
青年の股間で、くぐもった冴子の酔ったような甘い声がして、冴子の白い掌が青年の太股の下から現れ、隠れていた怒張した陰茎を取り出す
ように持ち上げた。太く大きな陰茎だったが、亀頭はまだ粘膜の薄い紅で、茎も味経験者らしく清潔な肌色をしている。冴子がそれを口付けをし
た。短い口ずけだった。

  青年もふただび冴子の陰部に貌を埋めた。
  「ああ、浩二さん………」
冴子の声が震えた。馴れた男女のしぐさだった。
  「さあ、浩二さん、本当にお客様が帰ってくるわ」
冴子が浩二の太股を押し上げた。
田宮は、するりと廊下を出ると、もう一度玄関から入りなおした。
  1. 2014/12/02(火) 15:36:07|
  2. 花濫・夢想原人
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イトコと親友に、そして・・・ ・正光 (16)
巨乳妻・ゆうき (18)
家族遊戯・六郎汰 (14)
疑わしい行動・圭太 (9)
妻の絶頂・こうくん (5)
■隣人または友人 (491)
はちきれそう・ゆう (7)
仕掛けられた糸・赤いかげろう (6)
本当のこと。・一良 (14)
リフォーム・とかげ (22)
友達・悦 (13)
悪夢・覆面 (10)
ビデオ・はじめ (4)
言えない真実、言わない真実・JOE (17)
私しか知らなかった妻・一樹 (3)
妻の秘密・光一 (54)
清楚人妻 一夜の陵辱劇 ~親友に騙された~・仁 (6)
俺が負けたので、彼女が手コキした (5)
惨めな自分・子無き爺  (6)
田舎・マス夫 (16)
秘密・POST (14)
新妻の幻想・TAKA (4)
遠方よりの友・ちかこmy-love (11)
管理組合の役員に共有された妻・エス (136)
団地・妄人 (50)
抱かれていた妻・ミリン (18)
パーティー・ミチル (33)
友人・妄僧 (7)
甘い考え・白鳥 (22)
乳フェチの友人・初心者 (6)
1話完結■隣人または友人 (7)
■インターネット (54)
チャットルーム・太郎 (19)
オフ会・仮面夫婦 (10)
ターゲット・アイスマン (5)
奇妙な温泉宿・イワシ (14)
落書きの導き・マルタ (4)
1話完結■インターネット (2)
■旅先のアバンチュール (63)
バカンス・古屋二太郎 (7)
妻との旅行で・けんた (5)
無題・ざじ (10)
A温泉での忘れえぬ一夜・アキオ (18)
露天風呂での出来事・不詳 (2)
たった1度の体験・エロシ (9)
旅行・妄人 (12)
■医者・エステ・マッサージ (62)
孕まされた妻・悩める父親 (7)
とある会で。 ・けんじ (17)
亜希子・E-BOX (14)
子宝施術サービス・かえる (23)
1話完結■医者・エステ・マッサージ (1)
■借金 (56)
私達の出来事・不詳 (9)
私の罪・妻の功・山城 (9)
失業の弱みに付け込んで・栃木のおじさん (3)
変貌・鉄管工・田中 (5)
借金返済・借金夫 (5)
妻で清算・くず男 (5)
妻を売った男・隆弘 (4)
甦れ・赤子 (8)
1話完結■借金 (8)
■脅迫 (107)
夢想・むらさき (8)
見えない支配者・愚者 (19)
不倫していた人妻を奴隷に・単身赴任男 (17)
それでも貞操でありつづける妻・iss (8)
家庭訪問・公務員 (31)
脅迫された妻・正隆 (22)
1話完結■脅迫 (2)
■報復 (51)
復讐する妻・ライト (4)
強気な嫁が部長のイボチンで泡吹いた (4)
ハイト・アシュベリー・対 (10)
罪と罰・F.I (2)
浮気妻への制裁・亮介 (11)
一人病室にて・英明 (10)
復讐された妻・流浪人 (8)
1話完結■報復 (2)
■罠 (87)
ビックバンバン・ざじ (27)
夏の生贄・TELL ME (30)
贖罪・逆瀬川健一 (24)
若妻を罠に (2)
範子・夫 (4)
1話完結■罠 (0)
■レイプ (171)
輪姦される妻・なべしき (4)
月満ちて・hyde (21)
いまごろ、妻は・・・みなみのホタル (8)
嘱託輪姦・Hirosi (5)
私の日常・たかはる (21)
春雷・春幸 (4)
ある少年の一日・私の妻 (23)
告白・小林 守 (10)
牝は強い牡には抗えない。・山崎たかお (11)
堅物の妻が落とされていました・狂師 (9)
野外露出の代償・佐藤 (15)
妻が襲われて・・・ ・ダイヤ (6)
弘美・太郎棒 (11)
強奪された妻・坂井 (2)
痴漢に寝とられた彼女・りょう (16)
1話完結■レイプ (5)
■不倫・不貞・浮気 (788)
尻軽奈緒の話・ダイナ (3)
学生時代のスナック・見守る人 (2)
妻・美由紀・ベクちゃん (6)
押しに弱くて断れない性格の妻と巨根のAV男優・不詳 (8)
妻に貞操帯を着けられた日は・貞操帯夫 (17)
不貞の代償・信定 (77)
妻の浮気を容認?・橘 (18)
背信・流石川 (26)
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鬼畜++・柏原 (65)
黒人に中出しされる妻・クロネコ (13)
最近嫁がエロくなったと思ったら (6)
妻の加奈が、出張中に他の男の恋人になった (5)
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自業自得・勇輔 (6)
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ココロ・黒熊 (15)
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死の淵から・死神 (26)
強がり君・強がり君 (17)
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離婚の間際にわたしは妻が他の男に抱かれているところを目撃しました・匿名 (4)
花濫・夢想原人 (47)
初めて見た浮気現場 (5)
敗北・マスカラス (4)
貞淑な妻・愛妻家 (6)
夫婦の絆・北斗七星 (6)
心の闇・北斗七星 (11)
1話完結■不倫・不貞・浮気 (18)
■寝取らせ (263)
揺れる胸・晦冥 (29)
妻がこうなるとは・妻の尻男 (7)
28歳巨乳妻×45歳他人棒・ ヒロ (11)
妻からのメール・あきら (6)
一夜で変貌した妻・田舎の狸 (39)
元カノ・らいと (21)
愛妻を試したら・星 (3)
嫁を会社の後輩に抱かせた・京子の夫 (5)
妻への夜這い依頼・則子の夫 (22)
寝取らせたのにM男になってしまった・M旦那 (15)
● 宵 待 妻・小野まさお (11)
妻の変貌・ごう (13)
妻をエロ上司のオモチャに・迷う夫 (8)
初めて・・・・体験。・GIG (24)
優しい妻 ・妄僧 (3)
妻の他人棒経験まで・きたむら (26)
淫乱妻サチ子・博 (12)
1話完結■寝取らせ (8)
■道明ワールド(権力と女そして人間模様) (423)
保健師先生(舟木と雅子) (22)
父への憧れ(舟木と真希) (15)
地獄の底から (32)
夫婦模様 (64)
こころ清き人・道明 (34)
知られたくない遊び (39)
春が来た・道明 (99)
胎動の夏・道明 (25)
それぞれの秋・道明 (25)
冬のお天道様・道明 (26)
灼熱の太陽・道明 (4)
落とし穴・道明 (38)
■未分類 (571)
タガが外れました・ひろし (13)
妻と鉢合わせ・まさる (8)
妻のヌードモデル体験・裕一 (46)
妻 結美子・まさひろ (5)
妻の黄金週間・夢魔 (23)
通勤快速・サラリーマン (11)
臭市・ミミズ (17)
野球妻・最後のバッター (14)
売られたビデオ・どる (7)
ああ、妻よ、愛しき妻よ・愛しき妻よ (7)
無防備な妻はみんなのオモチャ・のぶ (87)
契約会・麗 (38)
もうひとつの人生・kyo (17)
風・フェレット (35)
窓明かり ・BJ (14)
「妻の秘密」・街で偶然に・・・ (33)
鎖縛~さばく~・BJ (12)
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輪・妄僧 (3)
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