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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

役員会 第1回

「まただわ……もう、いい加減に諦めてくれないかしら……」

3月のある土曜の昼下がり、遅めの昼食を終えたダイニングテーブ
ルの上に置かれた妻の携帯が軽やかなメロディを奏でました。妻は
受信されたメールを読むなり小さく眉をしかめました。私は読みか
けの新聞を置くと、妻に声をかけました。

「どうしたの」
「今年一緒に厚生部の役員をやった藤村さんから……どうしても来
年、一緒に役員をやってくれって」
「また厚生部の?」
「違うの。今度はPTA本部の役員をやってくれって言っているの」
「どう違うんだ?」
「あなた、何も知らないのね。PTAには本部と専門部があって、
私が今年副部長をやった厚生部は文化祭でのバザーや、奉仕活動が
担当なの。今度やってくれって言われているのは本部の書記だから、
ずっと大変なのよ」
「どうして絵梨子が頼まれているんだ?」
「藤村さんがもう会長になる犬山さんから頼まれて、会計を引き受
けちゃったらしいのよ。それで一人では心細いから、私にぜひ一緒
にって」
「それは言ったら悪いけど、藤村さんが勝手に引き受けたことだろ
う。絵梨子は断っちゃってもいいんじゃないか?」
「藤村さんだけじゃなく、副会長になる橋本さんからも頼まれてい
るのよ」
「橋本さんって誰だ?」
「A銀行の融資業務部にいた、一応私の上司だった人。今はどこか
の店の支店長になっているけれど」

妻はほとほと困ったという表情をしています。

妻、絵梨子は今年42歳になったばかり。このあたりでは名の通っ
た地方銀行であるA銀行でパートをしている傍ら、昨年は息子が通
っている私立B高校のPTAの役員をしていました。役員の改選期
にあたり、昨年よりも重い役職につかされそうになっているような
のです。

ちなみにB高校は超一流というほどではありませんが、歴史も古く
毎年それなりに進学実績もあり、県内の大企業や県庁、市庁にはた
くさんのOBが勤めています。また、元々地元の商人が共同出資し
て設立したという経緯もあり、OBには中小企業の経営者、および
その二世が多いのも特徴です。

PTA役員の構成も、文化部や厚生部といった専門部は母親中心で
すが、会長、副会長などで構成される本部役員はB高OBである父
親が例年多くを占めており、来年の役員候補も妻が推されている書
記以外の、会長と3人の副会長はすべて男性の予定だということで
す。

そういうこともあって妻と親しい藤村さんが女性一人だけでは心細
いというので、気心の知れた妻を強く誘っているのでしょう。

ちなみに後で分かるのですが、妻以外の新しい役員(候補)のプロ
フィールは以下のとおりです。

PTA会長 犬山豊(52歳)ホテル・飲食店経営
副会長 毛塚新一(48歳)下着ブティック経営
副会長 橋本幸助(45歳)A銀行勤務
副会長 道岡竜太(44歳)整形外科クリニック開業
会計 藤村尚子(43歳)専業主婦

「あなた、ちょっと出かけてきます」
「どこへ行くんだ?」
「藤村さんに会って、直接断ってきます。今年は浩樹も受験だから、
役員は無理だって」
「今からかい? 藤村さんが会って話したいといっているのか?」
「ええ、横浜駅の改札で待ち合わせを……」
「そうか……」

会えば却って断れなくなるんじゃないのか。私は妻の性格からそう
懸念しましたが、口にはしませんでした。会長や副会長ならともか
く、書記であればそれほど大変な仕事でもないだろうと思ったので
す。家とパート先である銀行との往復ばかりの妻にとっては世間が
広くなる良い機会ではないかと思ったのです。また、PTAの役員
となる父親たちはそれぞれきちんとした仕事を持っており、そうい
った人たちと付き合うのも、男が外で仕事をする大変さを知る良い
きっかけになるのではと思いました。

「あなた、これでどうかしら?」

手早く着替え、化粧をした妻はハンドバッグを持って私の前に現れ
ます。パールホワイトのシャツブラウスと薄いグリーンのスーツ、
そして同系色のスカーフを身につけた妻は、夫の私が言うのもなん
ですが、42歳という年齢が信じられないほど初々しく見えます。

165センチほどもある長身の妻は、容貌も一昔前にバレーボール
選手として活躍し、現在はタレントである益子直美に良く似た、目
元のはっきりした容貌です。

明るめの栗色に染めた、軽くウェーブのかかった短めの髪が新緑を
思わせる服の色に良く映えています。私は思わず妻の姿をぼおっと
眺めました。

「どうしたの? あなた」
「あ、ああ……いいんじゃない」
「そう? 良かった。あまり遅くならないようにします。夕食の支
度には間に合うように帰りますから」
「わかった」
「それじゃ、行ってきます」

妻はにっこり微笑むと、家を出ました。私は妻を外出させたことを
後々まで後悔することになりますが、この時はそのようなことは想
像もしていませんでした。
  1. 2014/06/14(土) 00:18:57|
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役員会 第2回

息子は受験勉強のために図書館に行っています。私は録画したまま
溜まっているビデオを見ながら、休日を過ごしていました。ふと気
がつくと時計は6時近くを指していました。

(もうこんな時間か……)

夕食の支度に間に合うように帰るといっていましたから、そろそろ
妻は帰ってきても良さそうです。役員就任を断るというだけだから、
それほど時間がかかるとは思っていませんでした。横浜まで出たつ
いでに買い物でもしているのだろうか。そんなことを考えていたと
き、私の携帯に着信がありました。妻からです。

「もしもし」
(……あなた……すみません、急に食事をしていくことになりまし
て、申し訳ないんですが、夕食は外で済ませていただけますか?)
「それは構わないが……役員の話はどうなった? まだ揉めている
のか?」
(そういうわけじゃないんですが……すみません、帰ったらゆっく
りお話します)

そう言うと妻は電話を切ってしまいました。私は不審に思いながら
も、藤村さんと話し込んで、そのまま食事をするということにでも
なったのだろうと思いました。妻にしては珍しいことですが、PT
A以外ではあまり外づきあいをしない方でしたから、たまにはそう
いうこともあっても良いだろうと思いました。

私は暫くしてから図書館から帰ってきた息子といっしょに、近所の
焼肉屋に行きました。高校生の男の子というのは食欲が旺盛で、見
ていると気持ちよくなるほど食べます。私もつい釣られて食べ過ぎ
てしまい、また久しぶりに息子とゆっくり話し込んだため、家に帰
ったら9時近くになっていました。さすがに妻は先に帰っているだ
ろうと思っていたのですが、家は真っ暗でした。

(遅いな……)

私は少し引っかかるものを感じましたが、子供ではないのですから、
42歳にもなった妻が帰りが9時になったからといって騒ぐほどの
ことでもありません。私は風呂に入り、焼酎をロックで飲んでテレ
ビを見ながら妻の帰りを待っていました。

いつの間にか時計は11時近くを指していました。駅から家までは
歩くとかなり時間がかかりますので、通常はバスを利用しますが、
休日ダイヤですとそろそろバスもなくなる頃です。私はすでにアル
コールが入っていますので、妻を迎えに行くことも出来ません。私
は心配になり、妻の携帯に電話をしました。

しかしながら応答はなく「電波の入っていない場所にいるか、電源
が入っていません」という聞き慣れたメッセージが流れるだけでし
た。その時、家の前に車が止まる音がしました。

玄関を開けて外に出ると、門の前にタクシーが止まっていました。
私と同じくらいの年の髪をオールバックにして縁なしの眼鏡をかけ
た長身の男がタクシーから降り、妻を抱きかかえるようにして下ろ
しています。

「絵梨子」

私が呼びかけると、妻はぼんやりした表情を向けました。かなり酒
を飲んでいるのか顔は真っ赤に染まっています。

「ご主人ですか?」

オールバックの男が私を見て話し掛けてきました。

「はい」
「はじめまして、私、B高校PTA副会長の道岡と申します」
「副会長さん?」
「はい、正確にはまだ候補ですが。今年は文化部の部長をやってお
りました。奥様とは部が違いましたが、いろいろお世話になりまし
て」
「そうですか、こちらこそ家内がお世話になりました」

道岡と名乗った男は私に向かって丁寧にお辞儀をします。私も釣ら
れてお辞儀を返しました。

「今日は奥様に無理なお願いをしまして……わが校のPTAの現状
などを詳しくご説明しているうちにすっかり遅くなりまして申し訳
ございません。おかげさまで奥様もわれわれの活動の趣旨にご賛同
いただきまして、快く役員を引き受けていただきました。ご主人に
はこれから色々とご不自由をおかけすることになるかもしれません
が、何卒よろしくお願いいたします」

そこまで一口でいうと道岡は再び深々とお辞儀をします。

「そうなんですか? いや、こちらこそよろしくお願いいたします」

道岡に抱きかかえられるように立っている妻は、苦しげに息をして
います。

今日は藤村さんに会って役員就任を断りに行ったはずなのに、どう
してこうなったのだろう。私の頭の中に疑問符が渦巻きましたが、
今はかなり酒によっているらしい妻を介抱するのが専決です。私は
道岡から妻を受け取ると、背中をさすります。

「大丈夫か、絵梨子、しっかりしろ」
「あなた……」

妻は薄く目を開けて私を見ると、急に力が抜けたように私によりか
かります。私は思わずよろけそうになりました。
  1. 2014/06/14(土) 00:20:09|
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役員会 第3回

「大丈夫ですか」

道岡は倒れそうなる妻を抱きとめます。

「運転手さん、ちょっと待って下さい。ご主人、一緒に家の中に運
びましょう」
「は……はい」
「足の方を持って下さい、いいですね」

そういうなり道岡は妻の脇から手を回し、背中から上半身を抱えま
した。私はしょうがなく妻の足を持ち、2人がかりで玄関まで妻を
運びます。

「ベッドまで運びましょうか?」
「いいえ、ここで結構です。ありがとうございました」
「そうですか、それでは私はこれで失礼します」

道岡はそう言うと、タクシーに乗り込みます。

「あ、道岡さん……タクシー代」
「ああ……私も帰る途中なので気にしないで下さい。それじゃあ、
奥様によろしくお伝え下さい。今日は遅くまでお付き合いさせて申
し訳ございませんでした」

そういうと道岡は運転手を促し、走り去っていきました。

私は道岡を見送ると、玄関の床の上で横向きに倒れて苦しげな息を
吐いている妻に近寄り、抱きかかえるようにして起こしました。

「絵梨子、しっかりしろ。お前がこんなに飲むなんて珍しいな」
「ああ……あなた……」

妻がぼんやり目を開けて私を見ます。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「何を謝っているんだ。ああ……役員を引き受けてしまったことか。
絵梨子の性格上、断れなくて結局そんなことになるんじゃないかと
思っていた。悪いことをするんじゃないんだから、気にしなくてい
い。俺も出来るだけ協力する」
「そうじゃないの……そうじゃないのよ……」
「まあ、絵梨子もたまには羽目を外すこともあるだろう。今日は新
役員同士親睦を深め合ったんだろう? しかし絵梨子は酒が強くな
いんだから、あまり外で飲み過ぎるんじゃないぞ。人様に迷惑をか
けるからな」

私はなぜか「ごめんなさい」と繰り返している妻を寝室に連れて行
くと、皺になった薄いグリーンのスーツとシャツブラウスを脱がし、
布団をかけようとします。

(おや?)

私の目に、見慣れない妻のパンティが目に止まりました。黒い縁取
りのある、豪華なレースをあしらった薄いピンクのものです。

(絵梨子のやつ、こんな下着を持っていたかな?)

妻はいつの間にか寝息を立てていました。私は若干の違和感を感じ
つつそのまま妻に布団をかけると、自分もパジャマに着替えました。

翌朝は日曜日です。7時半頃に起きた私が隣のベッドを見ると、妻
の姿はありませんでした。

(もう起きているのかな)

私は目を擦りながら洗面所に向かいます。隣の浴室からシャワーの
音が響いてきました。

(絵梨子……朝っぱらからシャワーか?)

だいぶ暖かくなってきたとはいえまだ3月の末です。朝からシャワ
ーを浴びたくなる季節ではありません。

(風をひかなければ良いが……)

そう思った私は、扉越しに妻に声をかけます。

「絵梨子」

シャワーの音が大きいためか、返事がありません。私は少し声を大
きくしてもう一度妻の名を呼びました。すると、浴室の中のシャワ
ーの音がやみました。

「……あなた」
「大丈夫か? 昨日は随分飲んでいたようだが」
「ご迷惑をかけて申し訳ありません……」
「それはいいが……まだ肌寒いから、風邪をひかないようにしろよ」
「はい……」

妻の声が随分沈んでいることが気になりましたが、私はとりあえず
手早く顔を洗うと、洗面所を出ました。

私がダイニングのテーブルで朝刊を読んでいると、シャワーを浴び
終えた妻が部屋に入ってきました。妻はすっぴんで、昨日とは違い
ゆったりとしたトレーナーにパンツという普段着の姿です。こころ
なしか目元が赤くなっているような気がします。

(泣いていたのか?)

妻の様子が気になった私は、新聞をテーブルに置いて声をかけまし
た。
  1. 2014/06/14(土) 00:20:59|
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役員会 第4回

「どうしたんだ。目が赤いみたいだが」
「あ……いえ、昨夜は寝不足だったからかしら……」

妻は慌てたような顔をして微笑を作ります。私は若干釈然としない
気分でしたが、話を続けます。

「それで、昨日はどうだったんだ?」

妻の表情が心持ち硬くなったような気がしました。

「どうって……」
「どうって、じゃないだろ。PTAの役員就任を断る、って言って
出かけたんじゃないのか? 藤村さんにはちゃんと話せたのか」
「ああ……」

妻はようやく気が付いたというような顔をして答えます。

「あなた、すみませんが、書記を受けざるを得なくなって……」
「そうか、絵梨子の性格からそうなるとは思っていたが」
「……そうですか?」
「そりゃそうだろう。絵梨子は頼まれたら断れない性格だからな」

妻は何か考え込むような表情をしています。私は妻を元気づけよう
と、わざと明るい声を出しました。

「そうなのかしら……」

妻はやはり思い詰めたような顔付きをしているので、私は少し心配
になって声をかけました。

「どうしたんだ? 絵梨子。何か気になることでもあるのか?」
「いえ……何でもありません」

妻は顔を上げて私に微笑を向けました。

「そういうわけで、役員会で時々家を留守にすることもあるかと思
います。あなたや浩樹には迷惑をかけて申し訳ないのですが……」
「それはかまわないが……何だか様子がおかしいな。昨夜何かあっ
たのか?」
「いえ……何でもありません。何もなかったです」
「そうか……その……道岡さんとかいう人が送って来てくれたが、
藤村さんだけに会ったんじゃないのか?」
「え? ああ……」

妻は私の視線を避けるように目を伏せます。

「それが、待ち合わせ場所に行ったら藤村さんだけじゃなくて、次
期役員の候補が全員揃っていて……」
「そうなのか?」
「はい……会長候補の犬山さん、副会長候補の毛塚さん、橋本さん、
道岡さん、それと藤村さんです」
「橋本さんというのは絵梨子の銀行の上司だった人だと言っていた
な。道岡さんというのは昨夜送って来てくれた人か?」
「道岡さんが送って来てくれたんですか?」
「なんだ、絵梨子はそれも覚えていないのか」

私は少なからず呆れました。昨夜の妻は確かにかなり酔っているよ
うでしたが、一応受け答えはしていたし、まさか誰に送られてきて
のかも分からないほどだとは思わなかったのです。

「道岡さんと2人でタクシーで、家の前につけたじゃないか。彼と
俺が2人で絵梨子を抱えて玄関まで運んだんだぞ」
「そうですか……」

妻は暗い表情で何か考え込んでいるようです。私はPTAの本部の
役員を引き受けてしまったことがそんなに心の負担になっているの
かと思いました。

「ところで、橋本さん以外の役員候補はどういう人だ」
「ああ……はい」

妻は私の問いにはっと目が醒めたような表情になりました。

「会長候補の犬山さんは横浜でビジネスホテルや飲食店を経営して
いるそうです。実は、昨日も犬山さんの中華料理店で会合を開きま
した。副会長候補の毛塚さんは元町でブティックを経営しています。
同じく道岡さんは整形外科のクリニックのお医者さんだそうです」
「そうか、みんななかなか羽振りがいいんだな。ところで、男性で
PTAの役員をやるからには、全員B高の出身者なんだろう?」
「はい……4人ともB高ラグビー部のOBだそうです」
「絵梨子は4人のラガーマンによってたかって押し倒された、って
わけだな」

私が冗談めかしてそう言うと、妻は顔色を変えました。

「そんなことはありません」

私は妻の真剣な表情に驚きながらも、宥めるように言いました。

「どうした、絵梨子。今のはただのものの例えだ。つまり、4人が
かりで説得されて断りきれなくなったんだろう?」
「あ……はい」

妻はどきまぎした表情を私から逸らすようにしました。

「まあいいさ。俺も出来るだけ協力するよ。絵梨子も世間が広くな
る良いチャンスじゃないか。ただ、酒はあまり飲みすぎるなよ。良
い年をした女が酔っ払うのはみっともないぞ」
「わかりました。気をつけます」

私は妻がなぜか終始元気がないのが気になっていました。

  1. 2014/06/14(土) 00:22:05|
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役員会 第5回

それから週末になると妻は、役員の引き継ぎがあると言って出掛け
るようになりました。それも2回に1回は食事と酒が入るようで、
終バスがなくなった時間に妻はタクシーで送られてきます。

1回目は道岡という副会長が送ってきましたが、2回目は毛塚、3
回目は橋本という風に毎回違う人間が送ってきます。

PTA役員といういわばボランティアの仕事に就いた妻を応援する
とは言いましたし、自分と同じ主婦以外の人間と付き合うことで見
聞が広くなることは妻にとって良いことと思っていましたが、こう
度々だとさすがに私も不審を抱き始めました。

帰りが遅くならない週末にも妻の表情が暗いことも気になります。
しかしその時点では私は、男たちが役員会にかこつけて酒を飲むの
を楽しんでおり、妻はそれに付き合わされることが憂鬱なんだろう、
といった程度の考えでいました。

妻と私は週末、たいていは土曜の夜にセックスをするのが習慣にな
っていましたが、それはいつの間にか隔週になっていました。帰り
が遅くなる日曜の前日は、妻があれこれと理由をつけてセックスを
拒むようになったのです。

もしこれが、毎回同じ男が送ってくるなどということがあれば、私
は妻の不倫を疑うところですが、毎回違う男が送ってくるからそう
いった想像は頭に浮かびませんでした。そんなことが2カ月ほど続
き、5月も終わり近い日曜日にまた妻の帰宅が遅くなりました。

いつもなら遅くても11時前後に帰ってくるところですが、その日
は夜中の12時近くになっても妻からの連絡はありませんでした。
日曜日ですから終電もなくなる時間です。私はさすがに心配になり
ました。

12時を少し過ぎた時、門の前にタクシーが停まる音がしました。
私は急いで玄関に出ると扉を開けます。

「どうもすみません、ご主人」

タクシーのドアが開き、恰幅の良い男が姿を現しました。顔はテカ
テカと光っており、額が禿げ上がっているところがいかにも精力的
といった感じを受けます。

「こんなに遅くなるはずじゃなかったんですが、奥様が気分を悪く
されて……少し良くなるのを待っていたらこんな時間になってしま
いました。誠に申し訳ございません」

そういうと男は隣の座席からぐったりとした妻をズルズルと引きず
るように引き出してきます。男の丁寧な口調とは裏腹に、妻への扱
いが随分ぞんざいに思えます。妻は眠ってはいないようですが、瞳
はとろんとしており、小さく荒い息をついていました。

「絵梨子、どうした、大丈夫か」
「あなた……」

妻は一瞬私の方を見て何かいいたげに口を動かしましたが、すぐに
がくりと首を折ります。男に抱えられるようにして眠りこけてしま
った妻を、私は呆然と眺めていました。

「申し遅れました、私、犬山と申します」
「ああ、会長さんですか。絵梨子がいつもお世話になっています」

なんと男はA高校PTA会長の犬山でした。私は条件反射のように
丁寧なお辞儀をしていました。

犬山は太い眉の下のぎょろりとした目を向け、まるで私を値踏みす
るように眺め回すとニヤリと笑います。

「いや、こちらこそいつも奥様には大変お世話になっています。ご
主人にはご迷惑をかけて恐縮ですが、幸いPTA活動に大変理解が
深い方と伺っておりますので、安心です」
「そうですか……」

私は犬山がニヤニヤ笑いを湛えながらもたれかかってくる妻を抱き、
片手で妻の尻の辺りを撫でさするような動作をしているのが気になります。

「あの……絵梨子を」
「ああ、そうでした。ついうっかりと。私もだいぶ酔っているよう
です」

そんなことでうっかりするなどということがあるでしょうか。私は
犬山の態度にさすがに苦々しいものを感じました。

そういった気持ちが少し表情に表れたのか、犬山は急に神妙な顔付
きになります。

「それでは、奥様を運びましょう。すみませんがご主人、足の方を
持ってくれませんか」
「はい……」

道岡の時もそうでしたが、どうして妻の介抱の仕方まで指示されな
ければならないのかと不快な気持ちになります。しかし、酒に酔っ
た妻をわざわざ送ってきてくれた犬山に強いことも言えず、言われ
た通り妻の足を持ちます。

「うう……」

身体が持ち上げられたとたん妻は苦しそうなうめき声を上げ、身を
捩らせようとします。私はバランスを崩しそうになるのを足を踏ん
張ってこらえました。

  1. 2014/06/14(土) 00:25:31|
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役員会 第6回

ふと上半身の方を見ると、犬山は妻の乳房に手を回し、揉み上げる
ような動作をしていました。私がさすがに驚いた表情を見せると、
犬山は大きな目を見開いて言い訳を始めます。

「いや……奥様が苦しそうにされたので胸元のボタンを外して上げ
ようかと……」
「結構です。あとで私がやりますから」

これでは介抱に来ているのか痴漢をしに来ているのかわかりません。
犬山はホテルや飲食店を経営していると聞いていますが、PTA会
長を務めるような品格は感じられませんでした。

しかしその時は、基本的には親切心でやってくれていることだろう
と思って、あえて注意することはありませんでした。慣れない役員
業務に就いている妻のことをおもんばかったからでもあります。

ようやく妻を玄関まで運び込むます。犬山はスカートの裾から伸び
た妻の肢にちらちらと視線を向けていましたが、やがて私に挨拶し
て待たせていたタクシーに乗り込みました。

門の前で犬山を見送ると、私は家の中に入ります。玄関ホールで横
たわっている妻が苦しげに何かつぶやいています。

「どうした、絵梨子」
「……やめて……もう許して……」
「何だって?」
「お願い……もう帰らせて……」
「……」

私は妻の様子に異様なものを感じ、抱き上げて起こそうとしました。
しかし妻はよほど疲労しているのか、軽く揺すっても目を覚ましま
せん。酒に酔って気持ちが悪くなっているのをこれ以上揺すぶって
も良いことはないと考え、私はあきらめて妻を寝室へ運びます。

意識のない人間をベッドに乗せるのは一苦労です。私はなんとか妻
を寝かせるとブラウスのボタンを外します。

(……)

妻の胸元には赤い染みのようなものがいくつかありました。

(キスマーク?)

私は思わず妻のスカートをまくり上げました。足を開かせて内腿を
チェックします。そこにはやはり同じような染みがいくつか見つか
りました。

私は焦燥感にとらわれ、妻のブラウスとスカートを完全に脱がせま
す。他にも染みを発見しようとしましたが、酔いのため全身が赤く
なっているせいか、見つかりませんでした。

今夜一体何があったのか妻に確認したかったのですが、すっかり眠
りこけている妻を起こすのは可哀想に思えましたし、これだけ酔っ
ている状況では何か聞き出すのも至難の業のように思えました。

私は諦めて眠ることにしました。しかし目をつむると色々と悪い想
像がはたらき、かえって目が冴えて来ます。結局朝までほとんど眠
ることができませんでした。

翌日は月曜日です。明け方にようやく少し眠った私が
目を開けると、隣の妻のベッドは空でした。

ダイニングに行くと妻が食事の支度をしており、私を見て「おはよ
うございます」とにっこり笑います。

「おはよう」

私は妻の様子を観察しますが、特に変わったところはありません。
いえ、むしろいつもの朝よりも陽気に見えるところが変わっている
とは言えます。

「昨日はすみません。またみっともないところをお見せしてしまっ
て、あなたがベッドまで運んで寝かせてくれたですね。ありがとう
ございました」

そう言うと妻はペコリとお辞儀をします。

「ああ……それは別に構わないが」

私は一瞬キスマークのことを聞こうと思いましたが、なぜかためら
いました。

「ところで……誰が送って来てくれたんですか」
「会長の犬山さんだ」
「まあ……」

妻の表情が心持ちこわばったような気がします。

「あとでお礼を言っておかないといけないわ」
「絵梨子、それよりも……」
「わかっています。お酒は控えるようにします」

妻は再び頭を下げます。

「役員の人は男の人ばかりで、どうしてもペースに乗せられて……
それにみんなすすめ上手なので……」
「男の人ばかり?」

私は妻の言葉を聞きとがめます。

  1. 2014/06/14(土) 00:27:03|
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役員会 第7回

「藤村さんと一緒じゃないのか?」

妻の表情が一瞬ぎこちなくこわばりましたが、すぐに元の笑顔に戻
ります。

「役員会の2次会の参加は、私と藤村さんは女性だからということ
で2回に1回にしてもらっているの。あなたにも悪いし……」

それで遅くなるのは一週置きなのかと、私は納得しました。

「しかしそれではいつも、男4人に女1人で飲んでいるということ
か」
「そういうことになりますね。あまり気にしたことはありませんで
したが……」

妻はそう言うと私から目を逸らせます。

妻は短大を卒業して銀行に就職し、3年勤めた後に私と見合いで結
婚するまでは処女でした。結婚まで男性との付き合いの経験はほと
んどなく、合コンなどにもめったにいったことがないと聞いていま
す。男4人に囲まれて飲まなければいけない状況を気にしないはず
がありません。

昨夜妻が朦朧とした意識の中でつぶやいた「許して」とか「帰らせ
て」といった言葉は、そういった抵抗感の中から生まれたものでは
ないかとも思いました。

胸元や内腿のキスマークらしきものから、妻が男の役員たちからセ
クハラめいた行為を受けているのではないかという懸念も頭に浮か
びました。しかしながらこの時点では、地元では名の通った私立高
校のPTA役員、いずれもそれなりの社会的地位が有る男たちが、
まさかそんなことをするはずがないという思いの方が
強かったのです。

「まあ、前もいったが酒はほどほどにしておけ。それに女が一人に
なるのでは2次会には無理に付き合わなくてもいいんじゃないか?」
「わかしました……でも、これからは必ずお酒は控えますから、2
次会には出させてください」
「どうしてだ?」
「会長の犬山さんが、こういった会合は酒が入ってからの方が本音
が出て腹を割った話し合いができる。ぜひ私や藤村さんも母親の代
表として、交互で良いから参加してくれと。それでなければどうし
ても男の側に片寄った結論になってしまうとおっしゃって……」
「そうか……」

確かに男社会ではそういう理屈でいわゆる「ノミニケーション」を
重んじる傾向がありました。私も妻に対して同じような理屈で夜の
付き合いを正当化したことがあります。

「まあ、ほどほどにしておけ。いずれにしてもタクシーで送って来
られるような状態まで付き合う必要はない」
「わかりました。そうお願いしてみます」

妻はそう言うと私の方を見ながら、言いにくそうにもじもじしてい
ます。

「なんだ、何か言いたいことがあるのか?」
「はい……」

私に促されて妻は口を開きます。

「あなた……昨日あんなことがあったのにちょっと言い出し憎いん
ですが、再来週の土日にかけて、役員全員で旅行に行こうという話
がありまして……」
「再来週? 随分急だな」
「引き継ぎも一段落したので、これからはこんなに頻繁に集まるこ
とはないし、ひとまずお疲れさまということで打ち上げをしようと
いう話が盛り上がって……」
「そうか……」

何かうまく表現できない不安にとらわれていた私は、やめておけ、
と言いたかったのですが、反対する理由もなく、やがて頷きました。

「藤村さんもくるのか?」
「藤村さんは私が参加しないのなら参加しないと……犬山さんもど
うしても無理にとはおっしゃっていません」

そう言われるとますます断りにくくなります。

「わかった。行って来い。折角だからせいぜい楽しんで来い。ただ
し、今後は酒の入る付き合いは控えるんだぞ」
「ありがとうございます」

妻はほっとしたような表情で私に礼を言いましたが、どことなくそ
の顔色が冴えないのが私には気になりました。

次の朝、出社した私は会議室であるシステム会社からの提案を受け
ていました。ちなみに私は電子出版事業会社の役員をしています。
会社といっても社員全員で15名ほどの中小企業です。

提案されているのは安価な電子会議システムで、通常のインターネ
ットブラウザに、プラグインとして音声と映像のビューアーを仕込
んでいるものです。それ自体は別に珍しいものではありません。

ただ、ストリーミング用のファイルに独自のフォーマットが使われ
ているようで、一般的に普及しているビューアーでは視聴出来ませ
ん。ストリーミング映像の処理には定評のあるソフトを使っており、
思ったよりも鮮明な画像とクリアな音声が再現されました。
  1. 2014/06/14(土) 00:27:49|
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役員会 第8回

「このシステムの特徴は、独自のコピーガード機能があるところで
す」

デモをしているシステム会社の、私とは顔なじみになっている下田
という開発担当役員が、スクリーンショットを取ります。

画面に映っているはずの下田の画像は真っ黒になっていたので、私
は少々驚きました。

「これはすごいね。どんな仕組みになっているの?」

下田の説明では、CCDカメラでとらえた画像は瞬時に分割され、
ビューアー上で統合されるということらしいです。したがって映っ
ている物はいくつかのファイルの合成ですから、スクリーンショッ
トを取っても意味のある画像にならないとのことでした。

「……面白いとは思うけど、社内会議でここまで必要かな。ふつう
のストリーミングでいいんじゃないの?」
「いえ、最近は個人情報保護もうるさくなってきましたし……セキ
ュリティを考えると……」
「売り込む先を間違っているよ。うちはベンチャーと言ったら格好
いいけど、実態はただの中小企業だよ」
「そうですか……」

下田はあっさりと売り込みを諦めたようです。私は彼を昼食に誘い
ました。焼き肉屋でビビンバ定食を食べながら、先程のシステムの
話をします。

「いやにあっさりと諦めたけど、下田さんらしくないね」
「個人情報って言っても社員のものですしね。会議のストリーミン
グ画像なんて保存する会社は滅多にないでしょうし」
「なんだ、売れるはずがないものを売りに来たってわけ?」
「そういうことでもないんですが、いわゆるマーケットリサーチで
すよ。昼飯代は僕がおごります」
「そんなのじゃ割りが合わないな。カルビ定食を頼めば良かった」
「それじゃあ、いいことを教えて上げますよ。あのシステム、結構
売れるんです」
「へえ、どこに」

私はビビンバの具とご飯をスプーンでかきまぜながら聞きます。

「ライブチャットですよ」
「ライブチャットって、女の子がPCの前で話したり脱いだりする
やつ?」
「○○さんも良く知っていますね。やったことあるんですか?」
「ないよ。見てるだけで手を出せないんじゃつまんないじゃない」
「やったらはまりますよ。実はうちの会社も始めたんです」
「え?」

私は少々驚きます。

「下田さんの会社も一応株式公開を目指しているんだよね? そん
なことやっていいの?」
「一応ってのはひどいな」

下田は苦笑します。

「チャットレディっていうのは、学生や主婦が家族に内緒でやった
りしていますからね。画面のコピーなんかを撮られるとまずいんで
すよ。その点、うちのシステムを入れたらハードディスクへの保存
も出来ないし、スクリーンショットも取れませんからね。女の子は
安心って訳です」
「しかし、アダルトだろう?」
「軌道に乗ったら事業はすぐに売っぱらいますよ。それより○○さ
んにうちのライブチャットサイトのIDとパスをお渡ししますよ。
1カ月の期間限定ですけど、プライベートエリアまで入れます」
「そんなものもらってもな……」

私は首をひねります。

「気に入ったらうちの会議システム、お願いしますよ」
「それとこれとは別だよ」
「セキュリティ機能の分はサービスします。法人の導入実績が欲し
いんです。お願いしますよ」
「うーん……」

別にライブチャットのIDに引かれたわけでもないのですが、会議
システムはいずれにしても導入する必要があります。セキュリティ
の部分がサービスなら、下田の会社のものは決して高くありません。

「わかった、稟議を回しておくよ」
「ありがとうございます」
「だけど、相見積もりは取るよ」
「わかってますよ」

下田は安心したように笑います。

「これで企業、学校で1件ずつ導入が出来そうで、提案書も格好が
つきます」
「学校にも売れたの?」
「ええ、B高校に」
「え?」

思わぬ偶然に私は驚きました。

「B高校にも売り込みに行ったの?」
「ええ、私、あそこのOBなんですよ。今度ラグビー部の先輩たち
がPTAの役員になったんで、学校のPTA担当を紹介してもらっ
たんです」
  1. 2014/06/14(土) 00:28:38|
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役員会 第9回

「うちの息子もB高校だよ。家内は今年から役員をやっている」
「え、そうでしたっけ? これは偶然ですね」
「PTAでこんな会議システムを使うの?」
「ええ、端末をそれぞれの役員の家庭において、一々集まらないで
も役員会を出来るようにするんだそうです。そうすると端末の画面
にそれぞれの役員の家の中が映ってしまいますからね。そこでプラ
イバシー保護のためのセキュリティ機能が役に立つってわけです」

初めて聞く話でした。そうなるとわが家にも会議用端末が置かれる
んでしょうか。

「なかなかうまいやり方ですね。そう考えるとこのシステム、全国
の学校のPTAに売れそうな気がしていた」
「……しかし、導入費用は馬鹿にならないだろう。よく予算が取れ
たね」
「会長の犬山ってのがだいぶ出したみたいですよ。名目は学校への
寄付ですが。僕が直接知っている先輩は道岡さんって人ですが、彼
や他の先輩もも少し出したようです」
「うちにはそんな話は来ないがなあ……」

私は食後の珈琲を飲みながらつぶやきました。

「○○さんはOBじゃないですからね、遠慮したんじゃないですか」

「金をもってないと思われただけかも知れんな」
「いじけないでくださいよ、約束どおりここは僕がおごります。I
Dとパスはあとでメールで送ります」

食事を終えた私は下田と別れました。

その週の私は各営業先への提案などで忙しく過ごし、家に帰るのも
毎晩遅くなる日々が続きました。必然的に毎日、妻と顔を合わせる
時間も少なくなりました。

金曜日の午後になり、仕事がやっと一段落した私は、下田から送ら
れて来たメールを開けました。

「○○さん いつもお世話になっているお礼に、お約束のものを送
ります。下田
ID:ABXXXX
パス:12XXXX
追伸:里美ちゃんが会話が面白く、適度にエッチでお薦めです。○
○さんのことは軽く話しています」

少し興味が出た私は、気分転換とマーケットリサーチのため、と自
分に理由付けをして、PCのブラウザを立ち上げました。

私は企画書を集中して作ることが多いので、広くはありませんが個
室をもらっています。まだまだ売上の少ない会社としては贅沢なこ
とです。

指定されたURLにたどり着くと、まず、専用ビューアーをインス
トールするか? というメッセージが現れます。「はい」のボタン
をクリックすると、ビューアーのダウンロードが開始され、作業を
進めるとあっという間にインストールされます。ライブチャットは
通常フラッシュを使いますが、これは多くのPCにはインストール
されていることが多いです。このサービスのために専用ビューアー
を追加しなければいけないというのはユーザーにとってストレスで
すが、そのプロセスは極力簡単に作られているようで、私は少し感
心しました。

通常はIDとパスを取得するために、クレジットカードの認証が必
要なのでしょうが、今回は下田にもらったIDを使うため、その過
程はすっ飛ばせます。私は早速女の子の選択画面に進みました。

画面の中にたくさんの箱のようなものが現れ、それぞれに簡単なプ
ロフィールが付されています。女の子が不在の場合は箱が暗く、待
機中の場合は箱の中に女の子の姿が見えます。

下田が言っていた里美という女の子は最下段の右端でした。プロフ
ィールは「学生、23歳」とだけあり、他の子がスリーサイズや趣
味、好きな食べ物やサービスのレベル(会話だけか、脱ぐのか、そ
の際は下着までかそれ以上か、などなど)を詳しく書いているのに
対して随分あっさりしています。

オカッパに近いボブヘアは一昔前の女優のようですが、何か本を読
んでいるのか顔を伏せており、画面が小さいこともあって容貌はよ
く分かりません。

チャットレディといわれるこの仕事は基本的には歩合であり、客が
払う1時間6000円の料金の40%~60%が取り分となります。
逆にいえば客がつかなければ無収入となるわけです。それにもかか
わらず里美のやる気がなさそうな態度に私はかえって興味を引かれ
ました。

私はチケットを買い、ヘッドセットをつけて里美の部屋にログイン
をします。ログインに気づいた里美が顔を上げ、ヘッドセットをつ
けました。目許がはっきりしたその顔立ちの意外な美しさに、私は
少し驚きました。

「こんにちは」
「下田さんから聞いていた人ね」
「どうしてわかるの?」

私は少々驚きました。

「下田さん、昨日も来たのよ。今週末あたりに来るからよろしくっ
て、私に言ってたわ」
「ふーん」
  1. 2014/06/14(土) 00:29:28|
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役員会 第10回

なんとなく下田に行動を読まれているような気がして私は引っ掛か
りましたが、里美という女への興味がそれに勝ります。

「何の本を読んでいたの?」
「これ? 藤沢周平よ『隠し剣秋風抄』」
「へえ……」

藤沢周平は私が大好きな作家の一人ですが、ジャンルは時代小説で、
里美のような若い女が読むのは珍しく感じました。

「確か今度映画化するんだよね」
「映画には興味がないわ。真田広之が出た最初のを見たけど、全然
面白くなかった」
「そう?」

実は私もその映画を観たのですが、同じ感想をもちました。映画と
しては悪くなかったのでしょうが、原作の時代設定を無理やり幕末
に持って行く理由が分かりませんでした。

「あれだけ原作を滅茶滅茶にすることを作者の遺族がよく許可した
と思うわ」

私はしばらくの間里美と、小説談義を続けました。話題が映画、音
楽と広がっていくうちに非常に趣味が似ていることに気づき、驚き
を新たにしました。

30分ほど話しているうちに机の上の電話がなりました。

(専務、お約束のC社の方がお見えです。応接にお通しています)
「ああ、わかった。すぐに行く」

私は電話を置くと、ログオフすることを里美に告げます。

「全然エッチなことをしなかったけど、よかったの?」
「ああ、話していて面白かった。また付き合ってよ」
「いいけど……変わっているのね。下田さんなんか最近はいきなり
脱がせに来るわよ」
「俺もそうするかも知れないよ」
「いいわよ。裸で好きな本を朗読して上げましょうか」
「考えておくよ」

私はそう言うとログオフし、里美の箱は待機中に戻りました。

C社との商談が思ったより長引き、やはり会社を出るのは遅くなり
ました。10時頃に家に着いた私を妻が迎えます。

「お帰りなさい」
「ただいま……」

妻は外出用の薄いピンクのブラウスを着て、化粧までしていました。
私は少し意外に思って妻に尋ねます。

「どこかへ出掛けていたのか?」
「いえ、今日はずっと家にいました」
「しかし、その格好は……」
「ああ、これですか」

妻は自分の姿に初めて気づいたように微笑します。

「ちょっとパソコンに向かっていたので」
「インターネットか? どうしてよそ行きの格好でやらなきゃなら
ない?」
「それは……こっちへ来てください」

私は妻に導かれてリビングに行きます。テレビの横に新しいPCと
プリンタ、CCDカメラにそしてヘッドセットが置かれていました。

私は昼間の里美のことを思い出し、一瞬妻がライブチャットのバイ
トでも始めたのではないかと思いました。

「なんだ、これは? チャットレディのバイトでも始めたのか?」
「チャットレディ? それはなんですか」

妻は首を傾げます。チャットレディについて私が説明すると思わず
妻は吹き出します。

「そんなことをするはずがないじゃないですか。これはB高校の備
品です」
「B高校の備品だって? なんでそんなものが」

そこまで言いかけた私はやっと下田の話を思い出しました。彼の会
社が開発したセキュリティ機能付のTV会議システムが、B高校に
導入されたというものです。

確かにPCや大型液晶ディスプレイの脇には、リース会社とB高校
の備品管理番号が書かれたシールが貼付されています。ようするに
B高校PTA役員会用の端末が、家に置かれたというわけです。

よく見るとPCは家庭用というよりは、ワークステーションに近い
高性能なものです。WEBカメラも量販店で1万円以下で売ってい
るようなものではなく、業務用の製品のようです。PCから伸びて
いるケーブルが見慣れないルータにつながれています。

「これは何だ?」
「ああ、光ファイバーの工事をしてもらったの」
「光ファイバーだと? 今のADSLじゃ駄目なのか?」
「全然スピードが違うって……それにこの工事費や通信費も学校が
払ってくれるのよ」
「そうなのか……」
  1. 2014/06/14(土) 00:30:22|
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役員会 第11回

PTAの役員会だけのためにこれだけの投資とは、私立高校とはい
え豪勢なものです。かなりの部分を会長が出しているとは言え、高
い学費がこういうものに回っているというのは複雑な気分です。

しかし、妻が役員をやっていることから投資の恩恵を直接的に受け
るのはわが家ですし、役員会で決めたことなのでしょうから、文句
も言えません。

「それで早速PTAの役員会をオンラインでやっていた訳か?」
「こんな時間にまさか。ちゃんと開通したかどうかのテストをした
だけです。会長の犬山さんのPCとつながっているかどうか確認し
ました。詳しいことは来週末の旅行の時に決めようと話しています」

妻はおかしそうに笑います。私がふと妻の胸元に目をやりました。
妙に開放的な感じがすると思ったら、妻は下着を着けていないよう
です。

「絵梨子、お前、ブラをしていないのか?」
「えっ」

妻はあわてて胸元を押さえます。

「お風呂に入ってパジャマに着替えていた時に犬山さんから電話が
あって、今からテストをしたいと言われたので、慌ててもう一度着
替えました」
「どうしてブラを着けなかったんだ」
「だって……画面はすごく粗いし、ちょっと見ただけじゃわからな
いでしょ。」
「そんなものじゃないだろう」

確かに昼間見た里美の姿も、それほど鮮明な画面とはいえませんで
した。しかし、いかにライブチャットのような粗い画面越しとはい
え、妻がノーブラのままの姿を他の男にさらすというのはよい気分
がしませんでした。

妻はどちらかというと羞恥心が強く、胸元の開いた服やミニスカー
トなどは滅多に着ません。それにもかかわらずこの開放的な態度は
腑に落ちません。家の中にいるということがガードを低くしている
のでしょうか。

「とにかく、テレビ会議は基本的には人と合っているのと同じだか
ら、だらしない格好は駄目だ」
「わかりました。気をつけます」

妻は神妙に頷きました。

週末は役員会もなかったため、私と妻は2人で映画に出かけ、食事
をしました。私は会社、妻は役員会とこのところ忙しかったため、
とゆっくり話をするのは久しぶりのような気がします。

食事の後でお茶を飲みながら、私は何気なく役員会について尋ねま
した。

「そういえば、いつも2次会ではどんな話をしているんだ」
「どんな……って。色々です」
「毎週のように食事をし、酒を飲んでいるんだ。よく話題が尽きな
いな」
「男の役員の方はそれぞれ仕事をもっておられるし、そう言った話
も多いです。それと、全員がラグビー部のOBなので、ラグビーの
話とか」
「絵梨子や藤村さんは退屈じゃないのか?」
「いえ……私たちの話も聞いてくれますので」
「たとえば?」

妻の表情が少し硬くなったような気がしました。妻は少し考えてい
るような顔つきをしていましたが、やがて口を開きます。

「うちのこととか……主婦同士の会話のこととか……」
「そうか」

そんなことを聞いて面白いものでしょうか。男性役員はそういった
話題なら、それぞれの奥さんから毎日いやというほど聞かされてい
るでしょう。

2次会には妻と藤村さんが交互に出ているわけですから、常に男4
人、女1人という組み合わせになります。事務的な話以外で男が女
と話すときに何の下心もないというのは考えにくいのは、ライブチ
ャットの例を見れば分かることです。しかし、私はその時はまだ事
態を深刻には捉えていませんでした。

翌週は比較的平穏な日々が続きました。唯一私の日常に起こった変
化は、毎日30分から1時間、里美とライブチャットをするように
なったことです。しかし、私は里美にアダルトな行為、服を脱いだ
り、オナニーをさせたりなどということはしませんでした。会社の
個室、それも昼休みに話をしていたということもありますが、最初
に受けた印象のとおり里美は頭のいい娘で、普通の会話が十分楽し
かったからです。

里美は私の仕事でもあるウェブビジネスに元々興味を持っていたよ
うで、何日かたつと自分から進んでそういう話題を出してきました。
主に雑誌やネットで調べた事柄ですが、その中には時間のない私に
はカバーしていない情報もあり、またそれに対する里美なりの分析
の着眼点も面白く、まるでバーチャルな秘書が1人現れたようです。

一方、妻は私が帰宅した時にも、B高校から支給されたPCの前に
座っていることが多くなったようです。私を出迎えるときには画面
は閉じられているのですが、いかにも今まで使っていたという風に、
PCの電源は入ったままでした。

妻はさすがにノーブラということはなくなりましたが、だいぶ暖か
くなったこともありTシャツや、半袖のブラウスといった格好でP
Cに向かっているようです。画面映りを気にしているのか化粧が濃
くなっているのも少し気になりました。
  1. 2014/06/14(土) 00:31:21|
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役員会 第12回

そうこうしているうちに次の週末がやってきました。妻は予定通り
昼過ぎからPTAの役員会で旅行に出かけました。息子も予備校の
講習で遅くなるということで、私は家の中に1人きりになりました。

夕食後、リビングでテレビを見ながらウィスキーを飲んでいた私は、
ふと部屋の隅に置かれているPCに目をやりました。

私の会社には翌週導入予定になっている、下田の会社の会議システ
ムがどんなものか興味が湧き、私はB高校から妻に支給されたPC
を立ち上げました。

さすがはワークステーション並みの高性能機です。メモリも十分過
ぎるほど積んでおり、しかも余計なソフトはまったく入れていない
ためか、動作は極めて快適です。私はインターネットエクスプロー
ラーを立ち上げました。

ホームページが会議システムのログイン画面に設定されており、I
Dとパスワードを聞いてきます。ひょっとしてPCに記憶されてお
り、自動でログインできるのかと思ったら、やはりそんな甘いセキ
ュリティではなく、1回ごとに入力が必要なようでした。

私は試しに妻の名前や誕生日を組み合わせてログインを試みますが、
もちろんそのような安易な設定にはなっていないようです。

もし私が役員会の会議システムにログイン出来てしまえば、それは
それで事態がややこしくなるのでほっとした気持ちもあります。私
はすぐにログイン画面から離れ、ふと思い立ってこのPCで里美と
チャットでもしてみようかと、下田に教えられたサイトのURLを
打ち込みました。

里美は例によって待機中で、下を向いて本を読んでいます。私がヘ
ッドセットをつけてログインすると里美は顔を上げました。

「こんにちは」
「こんにちは……どうしたの? ○○さん」

里美が目を丸くして私の方を見ています。

「今日は家族がみんないないから、里美に会いに来たんだ」
「それはいいけど……そうじゃなくて、すごく画面や音声がクリア
だよ。いつもと全然違う」
「えっ? そんなに違うかい?」
「うん、まるでビデオを観ているみたい。大画面にしてもほとんど
ボケないよ」

私は今使っているPCやWEBカメラ、ヘッドセットが子供が通っ
ている高校の備品で、PTAのオンライン役員会の端末だというこ
とを説明します。

「ふーん。そのために光ファイバーにまで加入したの。随分過剰投
資だね」
「男の役員連中が随分寄付をしたみたいだよ」
「なんでそんなことをするの?」
「なんでって……」

里美に聞かれて私は答えに詰まりました。

「PTAのオンライン役員会なんて、このライブチャット程度の品
質で十分だと思うんだけど。どうしてこんなきれいな画面や音声が
必要なんだろう。何かそれを使って観てみたいものでもあるの?」

私はふと、ノーブラでPCに向かっていた妻の姿を思い出しました。

「○○さんも役員になっているの?」
「いや……うちは家内がなってる」
「ふーん」

里美は何ごとか考え込んでいます。

「○○さん、WEBカメラとPCの型番を教えてくれる?」
「えーと……」

私はメーカーの型番を読み上げます。

「それは相当ハイスペックね。無駄に良い物を使っているといって
もいいわ」
「そうなのか?」
「私も実は光ファイバーを入れているし、PCのスペックも相当い
いのよ。こちらのPCの性能が悪ければ画質も落ちちゃうから。そ
れにしてもまるで業務用のストリーミングビデオを観ているようだ
わ」

里美の言葉に私は黙り込みます。

「カメラとPCだけがいいんじゃないわ。そのシステム、導入が決
まったのはまだ○○さんの息子さんの高校と、○○さんの会社だけ
って言ったよね? それならたぶんストリーミングサーバや回線の
容量も十分余裕があるわね。道理で絵と音のクオリティがいいはず
だわ。どうしてPTAのオンライン役員会なんかに、そんなハイク
オリティが必要なのかしら」
「さあ……」
「○○さん、大丈夫?」
「大丈夫って、どういう意味だ?」
「奥さん、やっかいなことに巻き込まれているんじゃない?」
「やっかいなことって?」
「奥さん、出かけてるって言ったよね。どこへ行っているの」
「それは……」

私は段々不安になってきました。里美の話から妻の身に何かとんで
もないことが起きているような気がしてきたのです。



妻と私たちの関係2
鏡太郎 5/14(日) 20:17:34 No.20060514201734 削除
妻と私たちの関係が一変した出来事から語りたいと思います。
私たちが大学4年の七月のことでした。
美術サークルといっても、私たちの活動はそれほど多くはありませんでした。
工学系の大学ゆえ、普段から講義や研究・実習など学業が忙しく、
実際の活動は年に一回の卒業制作がメインの活動となっていました。
卒業制作とはその年の4年生が中心に企画・立案して、
九月に学内個展を開くものでした。
製作は八月の短い夏休みにいっきに作品を作り上げます。
それぞれ卒業生の個人製作のものと団体での作品一品を出展していました。
団体作品は一年生から卒業生全員で製作に携わります。
その年の夏休みの始まりにサークルで今年の卒業制作の団体作品ついて話合いました。
本来なら団体作品は時間がかかるため、夏休み前から製作が始まっているのが普通でしたが、
その年は取り掛かるのがかなり遅くなってしまっていました。
毎年抽象的な造形物が団体作品の常でしたが、ちょうど私たちの学年は不作の年にあたるらしく、
抽象的な造形物のイメージを作り出せる人間が一人もいませんでした。
どうも、あまり熱心に美術活動をしてこなかったつけが回ってきたようでした。
話し合いの結果私たちは単純に人物像を製作することで意見が一致しました。
さて、一口に人物像といってもいろいろものが考えられます。
当時部長は私が努めていたのですが、作品の方向性を決めるまでのリーダシップはなく、
私たちは再び沈黙のまま思案がまとまらない状態に陥ってしまいました。

「裸婦像にしようよ!」

突然妻が提案しました。妻の言葉がきっかけで私たちは活発に意見交換をはじめました。

『できれば少女の裸婦像にしたい』

みんなの意見がだんだんまとまってきました。
まだ男性を知らないうぶで恥じらいのある少女の裸婦像。
私たちの製作するおおまかなイメージができあがってきました。
人前に肌を晒した瞬間の恥じらいの表情をテーマとしました。
私たちはプロのヌードモデルを呼んで何度かデッサンをしたことがありました。
しかし、プロのモデルには割り切った感情しか想像できず。
とても恥じらいのある少女のヌードをイメージしにくいという意見が多数を占めました。
恥じらいの表情をどうイメージしたらいいのか・・・
しばらくの間、サークル内で沈黙が続きました。

「あやちゃん、モデルできないかな?」

しばらく沈黙が続いた後、思いきって私が提案してみました。
正直、この一言を発するのにとても勇気がいりました。
あとから聞きましたが、沈黙の間みんな同じことを考えていたようでした。
サークル内でずっとアイドル的な存在だった妻が、最後の卒業制作でヌードモデルになってくれたら・・・
「わ、わたしが・・・・」
「そうだよ、プロのモデルじゃ恥じらいの表情なんかイメージできないよ、あやちゃんもそう思うでしょ」
私たちは必死で妻を説得しました。芸術のためという正当な理由を盾にして、
本心はみんな妻の裸が見たいだけでした。
卒業したら、もう妻とは会えなくなってしまうだろう。
最後に記念に妻のヌードを目に焼き付けておければ・・・
私たちはありもしない妄想を現実にしようと思っていました。
  1. 2014/06/14(土) 00:42:12|
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役員会 第13回

「役員会の旅行だって? どこの宿に行ってるか聞いた?」
「ああ、メモが残っている」
「教えて」
「えーと、西伊豆のD旅館となっているな」
「西伊豆のD旅館? なんだか聞いたことあるな……待ってね」

里美が画面の向こうで、素早くネットで検索するのが見えました。

「あー、○○さん、そこ、やばいよ!」
「どうして?」
「そこ、ピンクコンパニオンで有名な旅館だよ」
「ピンクコンパニオン?」
「知らないの? ○○さんって真面目だね。男同士で旅館で宴会す
るときは、みんな呼ぶんだと思ってた」

里美は私にピンクコンパニオンの説明をはじめます。男たちの宴会
の席で要するに、野球拳や王様ゲームなどのお色気のゲームも出来、
基本的に下着やコスプレで宴会を盛り上げるコンパニオンのことの
ことです。

問題なのはピンクコンパニオンには延長の際の裏メニューというの
がつきもので、その際は混浴、フェラチオ、本番などまるでソープ
嬢のようなサービスが行われるらしいのです。

「随分詳しいね。里美はピンクコンパニオンをやっていたの?」
「馬鹿ね。そんなことやるわけないじゃない。でも、友達が何度か
やったことあるって。みんなお酒が入っているから、ひどいときは
もう乱交パーティみたいらしいよ」
「そうなのか?」

私は会長の犬山の脂ぎった顔を思い出し、背筋が寒くなってきまし
た。あの役員の男たちは宿でそんな破廉恥な宴会を企画していたの
でしょうか。そして、それには妻も参加させられているのでしょう
か。

無理やり野球拳や王様ゲームをさせられている妻の姿を想像した私
は、怒りのあまり頭に血が上ってきました。

「宴会は6時頃から始まって、だいたいお酒が入った30分から1
時間でコンパニオンを呼ぶらしいの。それから普通は90分から1
20分が既定のコースで、ここで王様ゲームやら野球拳があって、
女の子はたいてい裸になっちゃうわね。その後延長があれば本番に
突入しているはずだわ」

時計を見ると既に午後10時を過ぎています。

「この時間だと、ピンクコンパニオンを呼んでいたとしたら、確実
に延長に入っているわね……」
「しかし、、PTAの役員会の旅行だぞ。ピンクコンパニオンなん
か呼ぶかな……」
「呼ばないんだったらそんな旅館に泊まる必要ないじゃない。他の
宴会ではみんな呼んでいるのよ」

私はやはりまさかという思いがあり、里美の言うことをにわかに信
じることが出来ません。

「○○さん、PTAの役員っていったって、中小企業のオヤジや開
業医でしょ? そんな連中の行動パターンはわかりきっているわよ。
下手すると○○さんの奥さん、ピンクコンパニオン代わりにされて、
男たちと一緒に混浴させられたり、それだけじゃなく本番の相手を
させられているかも知れないわよ」

こうしてはいられないと私は思いました。

「里美、ちょっと落ちる」

私はそう言ってログオフすると、妻の携帯に電話をかけます。しか
し流れてきたのは「おかけになった電話は電源が入っていないか電
波が届かないところに……」という聞き慣れたメッセージでした。

「くそっ」

私はネットで西伊豆のD旅館を検索します。たちまち何十件もヒッ
トし、上位の記事のほとんどはピンクコンパニオンがらみのもので
した。

(こんなところに絵梨子を連れて行きやがって……あいつら、どう
いうつもりだ)

私は旅館の電話番号を探し当て、電話します。何度かコールすると
仲居さんらしい女性の声がしました。

(はい、D旅館です)
「○○と申しますが、妻が今日そちらにお世話になっていると思う
のですが、至急呼んでいただけますか?」
(○○様ですか? 奥様のお名前はなんとおっしゃいますか?)
「絵梨子です。絵画の絵に果物の梨です」
(お待ち下さい)

仲居さんは宿帳から名前を探しているようです。苛々して待ってい
るとやがて返事がありました。

(そのような方はお泊まりになっていませんが……)
「本当ですか? ちゃんと探してくれましたか?」
(もちろんです)

確かに妻はD旅館と書き残していきました。何かの間違いでしょう
か。
  1. 2014/06/14(土) 00:43:26|
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役員会 第14回

「それでは、個人名で犬山、毛塚、橋本、あるいは道岡という男性
は泊まっていませんか?」
(お客さまの宿泊の有無に関する照会は、宿泊者ご本人様の同意が
ないと受けられないのですが。当旅館のプライバシーポリシーとい
うのがございまして……)
「さっきは探してくれたじゃない」
(ご家族の場合は例外です)
「どうしても駄目なの?」
(申し訳ありません)

何度か押し問答をしましたが、結局他の役員が泊まっているかどう
かは教えてくれませんでした。私は再びログインし、里美を呼び出
します。

「どうだった?」
「駄目だ、連絡がつかない」
「それは困ったわね……何か方法がないかな」

2人でしばらく頭をひねったのですが、すぐには良い知恵が浮かび
ません。

「とにかく……本当にD旅館に泊まっていて、ピンクコンパニオン
を呼んでいるのなら、もうやることはやっちゃっているわよ」
「そんな……」

私は激しい焦燥に駆られます。

「○○さんの奥さんにまで無茶なことはしていないと信じるしかな
いよね……それより、その豪勢なテレビ会議システムが気になるん
だけど。どうにかしてログインできないの?」
「IDとパスワードがわからなきゃ、無理だよ」
「奥さん、教えてくれない……よね……」
「教えてもらったとしても、使うのは昼間だろうからな。現場を押
さえない限りはムリだ」
「でも、来週には同じシステムが○○さんの会社に入るんでしょ?
 そこからログインできるんじゃない?」
「そうか……」

重要なことを忘れていました。テレビ会議システムは基本的にウェ
ブベースで作られているため、私の会社のシステムからでも、ID
とパスワードさえ分かれば入れるはずです。

「あとはIDとパスワードが分かればな……」
「下田さんは、業務用のシステムとこのライブチャットのシステム
は共通のモジュール(部品)を使っていると言ってたよ」
「あいつめ……ライブチャットの使いまわしを売り込んできたか」
「下田さんがこのライブチャットのIDとパスをくれるとき、何か
言っていなかった?」
「うーん、確か……」

私は下田との会話を思い出します。

「そういえば、1ヶ月の期間限定だけど、プライベートエリアまで
入れるって言ってたな」
「○○さん、それ下田さんの会社の管理者権限のあるIDだよ」
「本当か? そんなものを他社の人間に預けるか?」

私は驚いて聞き返します。

「だって、普通のIDじゃプライベートエリアには入れないよ。と
いうか、プライベートエリアでは女の子ごとにそれぞれ別のIDが
発行されるんだから。○○さんのIDなら、ツーショットのチャッ
トは覗き放題のはずだよ。ちょっとやってみて」

私はいったん里美の部屋からログオフし、他の女の子でツーショッ
ト中のところへログインを試みます。何人か試してみていずれもあ
っさり入ることが出来たので驚きました。

「入れたよ。下田め、なんていい加減なやつだ」
「やっぱりね。1ヶ月の期間限定ということは、1ヶ月ごとに管理
者権限のIDを変更するっていうことじゃない。○○さん、そのI
Dをもらってどれくらい経つ?」
「先週の月曜だから、12日だな……」
「なら来週と再来週は使えるね。その間にオヤジたちの尻尾を掴ま
ないと」

しかし、それはそれとして私は今この時に妻の身に迫っている危機
を何とか出来ないかと考えていました。

「里美、今あいつらがやっていることを止めさせる方法はないか?」
「うーん……」

里美は何ごとか考えていましたが、やがて顔を上げました。

「これをやったから絶対大丈夫とはいえないけれど……何もやらな
いよりはましかな。さっきの旅館の電話番号を教えて」
「わかった」

私はメモしていた番号を里美に伝えます。里美はそれを携帯に打ち
込み、通話ボタンを押しました。

「もしもし……静岡県警生活安全刑事課です。さきほどそちらの旅
館で売春行為が行われているとの匿名の通報がありました……そう
ですか……でも念のために伺います……それではよろしく」

里美はそう言うと電話を切ります。

「今ので信じるかな?」
「信じないでしょうね……でも、コンパニオンたちはこれで引き上
げると思うわ」
  1. 2014/06/14(土) 00:44:27|
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役員会 第15回

「どうして?」
「今のが県警からの電話だとは思わないだろうけど、同業者からの
嫌がらせで、無視をすると次は本当に県警に通報するかもしれない
という程度には信じるとは思うわ」
「なるほど……」

里美の頭の回転のよさと実行力に感心しました。

「だけど、コンパニオンが引き上げたから男たちの頭は冷えるだろ
うけど、欲求不満が○○さんの奥さんにぶつけられるという危険も
あるわ」
「そうなのか?」
「興奮は冷めるから、なかにはいくぶん冷静な判断をする人が出て
くることを期待するしかないわね。とにかくこれ以上思い悩んでも
しょうがないわ」

里美が私を宥めるようにそう言いました。

いずれにしても今から西伊豆に行って妻を助けるというのは不可能
です。連絡が取れない以上、今は打つ手がありません。私は里美に
礼を言うといったんログオフし、念のためにブラウザの履歴を消し、
ホームページに戻ります。

私は下田からもらったIDとパスワードで、会議システムにログイ
ンできるかどうか試そうとしましたが、ひょっとして入室記録が残
るかもしれないのでやめました。来週私の会社にシステムが導入さ
れてから試すしかありません。

その夜は妻のことが心配で、また犬山達に対する怒りでなかなか眠
ることが出来ませんでした。彼らが妻を弄んでいるのならなんとか
して救い出し、復讐をしなければ気が治まりません。まず、なんと
しても証拠を掴まなければと私は思いました。

翌日、結局ほとんど眠れなかった私は朝が来るのを待ちきれないよ
うに私は妻の携帯に電話をしました。何度かコールの音の後、妻が
出ました。

(はい……)
「絵梨子、俺だ」
(どうしたの……こんなに早く)
「いいからすぐに宿をチェックアウトして帰って来い」
(どうして……まだ6時よ。みんなまだ寝ているわ)
「どこの部屋に寝ている? みんなで雑魚寝か?」
(馬鹿なことを言わないで。部屋にいるのは私と藤村さんだけよ。
朝食の予定は8時で、10時にはチェックアウトして、お昼過ぎに
は帰ります)
「昨日は電話が繋がらなかったぞ。いったいどこにいた? それと
も電源を切っていたのか?」
(何を言っているの? あなた。この宿は場所によって電波が入り
にくいようなの。ごめんなさい……もう少し寝かせて。昨日は遅か
ったの)

そういうと妻は電話を切りました。

「おい、絵梨子、おい……」

再び電話を鳴らしたのですが、どうも妻は携帯の電源を切ってしま
ったようです。私は考え込みました。

電話の妻の声は眠そうにはしていましたが、特にいつもと変わった
ところはないような気がしました。

(俺の思い違いで、妻には何もなかったのだろうか……)

あれこれ思い悩んでいるうちに、私は疲れのせいかいつの間にか眠
り込んでしまい、目が醒めたらお昼近くになっていました。私は妻
のPCを立上げ、里美に会いに行きます。

「おはよう。○○さん。あまり眠れなかったみたいね」

里美はいつものように本を読んでいたようです。

「里美、実は明け方に絵梨子に電話したんだが……」

私はそのときの妻の様子を里美に話します。

「絵梨子はいつもと変わらない風だった。実は何もなかったんじゃ
ないだろうか……」
「そんなはずないじゃない。○○さんって、本当に善意の人ね」

里美は呆れたような声を出します。

「奥さんも昨夜何があったのか、○○さんにいえない理由があるん
でしょう」
「どうして俺に知られたくないんだ。本当に困っているのなら俺に
助けを求めに来るはずじゃないのか?」
「助けにって……西伊豆までどうやって助けに行くの?」
「どういう意味だ?」
「夕べからの状況から考えて、奥さんの携帯は男たちが管理してい
るわよ。今朝の○○さんとの会話も隣で聞かれていたに違いないわ」
「あ……」

私は自分の迂闊さが腹立たしくなりました。

「○○さんが何か感づいていると覚られたら、相手は尻尾を出して
こなくなるかもしれないわよ」
「すまん……」
「私に謝らなくてもいいわよ。でも、この様子じゃ、ちゃんと作戦
を立てて臨んだ方が良い見たいね」

里美はそう言うと溜息をつきました。
  1. 2014/06/14(土) 00:45:18|
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役員会 第16回

「私の勘だと、連中は常習犯よ。一筋縄じゃ行かないわ」
「そうなのか?」
「4人が……それともある時はもっと多くの人間がグルになって、
女性に毒牙を向けているに違いないわ。たぶん学生のころから同じ
ようなことをしていたんじゃないのかしら」
「……」
「PTAの会合といいながら、女の役員は交互に呼び出す。たぶん
お互いが相手の人質のような状態になっているのね。それでご主人
にも何も言えなくなってしまっている」
「ひょっとして……」

 下田もグルなんだろうか、と尋ねました。

「それはないと思うわ」

 里美が首を振ります。

「下田さんはいい加減なところはあるけれど、基本的には有能なビ
ジネスマンだわ。こんな危ないことにかかわるとは思えない。それ
に彼らにとってお誂え向きと言って良いシステムを会社のお金で開
発するなんて話が出来過ぎているわ」
「システムと言えば……連中はこの会議システムで何をする気だ」
「そんなこと分かっているわよ。彼ら専用のライブチャットよ」
「何だって?」
「ライブチャットというよりは、双方向性のあるポルノ番組と言っ
た方がいいわね。高画質と高音質のシステムを使ってビデオ並みの
映像を送らせる。出演者は視聴者の要求にしたがってさまざまな恥
ずかしい行為をさせられる。最初の出演者は○○さんの奥さんと、
藤村さんというもうひとりの女性役員、ってわけ」

私は怒りに頭に血が上るのを感じました。

「システムにはセキュリティがかかっているから、送られた映像や
音声も記録出来ない。IDとパスワードは厳重に管理されているた
め外部からログインすることは出来ない。会員が安心して使える最
適の仕組みだわ」

私は妻が落とされた罠の巧妙さに言葉を失います。

「奥さんの写真を撮ってネットに掲載する、なんて脅すのは効果は
あるだろうけど、実際に脅迫行為に及んだらIPアドレスから追跡
されて、個人の特定が出来ちゃうわ。けれどこのシステムだとウェ
ブを使っているとは言ってもクローズされているからその心配はな
い。信頼出来る人間だけを増やしていけばいいわけよ。このままだ
とPTAの役員会の次はラグビー部のOB会に、同じシステムが導
入されるかもしれないわよ」

私はB高校のラグビー部出身者の男達がPCの画面で妻の痴態を見
入っている姿を想像して慄然としました。

「下田め、くだらない物を作りやがって」
「まあ、下田さんもまさかこんなことに利用されるとは思ってなか
ったんでしょうけど」
「現にやつの会社でライブチャットをやっているじゃないか。絵梨
子をAV女優扱いするなんて、そんなこと許せるかっ。下田にねじ
込んでやる」
「駄目よ」

里美が慌てて私を止めます。

「そんなことをしたらIDを停止されちゃうわよ。○○さんの相手
は下田さんじゃなくて、PTAのオヤジどもでしょう? ちゃんと
証拠がとれるまで我慢するのよ。とにかく来週、○○さんの会社に
会議システムが入ったらすぐに連絡して」
「わかった」

私は里美に説得されてようやく頷きます。

「だけど、里美はどうしてこんなに親切にしてくれるんだ?」
「女の敵が許せないからよ」

里美はそう言うとにっこり笑います。

「……なんてね、本当はこの騒ぎ、興味があるのよ。まるで探偵を
やっているみたい。ゾクゾクするわ」
「そうか……」

里美のあっけらかんとした言葉に、私はやや言葉を失います。

「だけど、女の敵が許せない、っていうのも嘘じゃないのよ。エロ
オヤジどもをガツンと言わせてやるわ。色々私なりに用意して置く
から、くれぐれも短気を起こさないでね」

忙しくなったわ、といいながら里美はログオフしました。


妻が帰ってきたのは結局その日の夕方でした。疲れきった感じの妻
を、副会長の1人の橋本が送ってきました。橋本は妻のパート先で
あるA銀行に勤めており、以前は妻の直属の上司でしたが、現在は
どこかの店の支店長になっているということです。

「いつも奥様には大変お世話になっております。ご主人にはいつも
PTA活動にご理解を頂きましてありがとうございます」

いかにも銀行員らしい謹厳実直そうな橋本はもっともらしく挨拶し
ます。しかし以前妻から、この橋本という男は実は相当のむっつり
助平で、特に酒を飲むとガラリと人が変わり、女子行員に対してセ
クハラめいた行為に及ぶことがあると聞いたことがあります。

「奥様が気分を悪くされたようなのでお送りしました」

  1. 2014/06/14(土) 00:46:14|
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役員会 第17回

「そうですか、どうもお世話をかけまして申し訳ございません」

私は怒りを表情に出さないよう必死でこらえながらそう言いました。
ぐったりとした妻は橋本に寄りかかるようにしながらようやく立っ
ているという状態です。

「絵梨子、大丈夫か」

私は妻を橋本から受け取ります。一瞬目を見開いた妻に恐怖の表情
が浮かびましたが、私だと分かって安心したのか目を閉じます。

力が抜けて私に抱かれるようにしている妻を、橋本はじっと見つめ
ています。私はその目に欲情の名残があるような気がして、腹立た
しさが増します。しかし、証拠が取れるまで我慢して、という里美
の言葉を思い出し、必死でこらえました。

「寝室まで運ぶのを手伝いましょうか?」
「いえ、結構です。ありがとうございます」

私はこれ以上妻の体に触れさせるのが嫌で、そう断ります。橋本は
しばらく名残惜しそうに妻を眺めていましたが、やがて「それでは、
失礼します」と言って停めてあったタクシーに乗って帰って行きま
した。

私は妻を抱き上げて家の中に入り、寝室のベッドに横たえました。
その時私はふと、新婚旅行から帰って来てはじめて妻と新居のマン
ションに着いた時のことを思い出しました。

私はいきなり妻を抱き上げて新居に入りました。古い洋画では良く
みられるシーンですが、そんな知識のなかった妻は一体何をされる
んだろうと驚いたと、後で笑いながら話していました。

今はその時とは全く違い、私達夫婦の幸福な生活は犬山たちによっ
て脅かされています。連中の狡猾な手口に対抗するためには、それ
を上回る知恵と行動力で対抗しなければなりません。里美という強
い味方が出来たものの、彼らとの戦いは相当厳しい物が予想されま
す。時には怒りや復讐心といった感情を抑えなければならない場面
もあるでしょう。

「ああ……それは嫌……」

ベッドの上でぐったり眠っている妻が、呻くような声を上げて身体
を捩らせました。

「もう……もう……十分でしょう」

さらに妻は小声で叫ぶようにそう言うと身体をぐっとそらせます。

やがて力が抜けた妻は静かな寝息をたて始めました。私は妻に布団
をかけると、寝室を出ました。

翌日、いよいよ私の会社に会議システムが導入されました。午前中
に下田の会社の営業マンと技術者が来て、私や社長、その他経営幹
部のPCにソフトをインストールし、ハードの設定を行いました。
導入そのものは簡単に終わり、テストを開始します。

予想以上の画質・音質に私と一緒に興味深げにテストをみていた社
長は「おおっ」と声を上げました。

多くの人間が一世にアクセスしてくるライブチャットとは違い、映
像データをほぼ無圧縮で送ることが出来るためか、液晶画面に写し
出された画像はDVD並みとまでは行きませんが、標準モードのビ
デオ程度の高品質のものです。TV会議特有のカクカクした動きも
ほとんどないため、ストレスなく見ることが出来ます。

私は下田の会社が開発したシステムに素直に感心するとともに、妻
の痴態がこんな鮮明な映像で犬山たちに晒されているのかも知れな
いと思い、怒りを新たにしました。

昼休みになり、私は里美を呼び出します。今日の里美は本は読んで
いません。PCに向かってしきりに何やら作業をしているようです。

「里美」
「ああ、○○さん、会議システムは入った?」
「入ったよ。思った以上に画像も音声もきれいだ」
「そう、それじゃあどうしようか……私もそのシステムが使えない
と困るわ。○○さんの会社に行ければいいんだけれど、そうも行か
ないでしょう? 導入用のアプリケーションとマニュアルが入った
CDをイメージファイルにして、私が言う場所にアップしてくれる
かしら? それと下田さんからもらったIDとパスを教えて」
「うーん、それは」

そうなると社員でない里美が、うちの会社の会議システムにも入れ
てしまうことになります。

「○○さんが心配していることは分かるけど、他にうまい方法はな
いよ。どうせあと2週間少しで切れてしまうIDなんでしょう? 
信用出来ないのならそれまではあまり重要な会議はTV会議ではし
ないでというしかないわ」
「わかった。里美の言う通りだ。そうするよ」

私は決断しました。会社の人間としては失格かも知れませんが、こ
のままでは仕事に身が入らないのも事実です。ライブチャットで知
り合った娘を信用するというのもおかしな話ですが、今の私は里美
の助けなしではこの問題を解決出来そうにありません。

私は里美に言われた通り、アプリケーションとマニュアルの入った
CDロムをイメージファイルにして送ります。同時に下田からもら
ったIDとパスもメールで送ります。1時間もたたないうちに里美
から「設定完了」というメールがありました。

  1. 2014/06/14(土) 00:47:02|
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役員会 第18回

「ちょっとテストしてみたいわ。今日はシステムは使わないの?」
「16時から社内テストをかねて、業務報告会をやることになって
いる」
「そこに侵入してみるわ」

報告会は社長、私、開発部長、管理部長の4名で予定どおり開催さ
れました。といっても2人の部長はTV会議システムが初体験です
から、素朴に驚いたり喜んだりしています。

参加者が4名のため、画面は4分割されています。特に指示をしな
ければ発言をしている人間の枠が全体の二分の一以上まで大きくな
り、他の参加者の枠は周辺によります。特定の参加者を画面一杯に
表示し続けることも出来ます。

「これだけ奇麗だとちょっとした放送局が出来ますね。もう一つネ
ットを組んで会員向けの番組を流したらおもしろいんじゃないです
か」

開発部長が感心してそういいます。

「どんな番組だ?」

社長が尋ねます。

「それはもちろんAVでしょう」
「普通のAVならストリーミングで十分だろう。会員向けというこ
とで過激なものをやると犯罪になるぞ」
「そう言われればそうですな……」

開発部長が画面の中で腕組みをします。

「このシステムで出来るビジネスがあるとすれば、会員向けの情報
サービスだ」
「情報サービスですか?」
「そうだ。物販はすでにネットでかなり普及している。しかし情報
ビジネスはネットでは金にならない。なぜかというと誰にでも見ら
れてしまうからだ。会員制のウェブサイトというものももちろんあ
るが、双方向性が薄く、今一つ勢いがない。このシステムならその
欠陥が補える」
「例えばどういうものですか?」
「占い」

社長の言葉に開発部長が感心したように頷きます。

「なるほど、これだけ奇麗な映像なら十分占いの演出が出来ますね」
「それに1対1で利用出来るというのが重要だ。今流行のライブチ
ャットにも向いているが、コスト面で折り合わないだろう」

私は社長の発想に感心しながらも、里美のことが気になっていまし
た。本当に今、この会議を覗くことが出来ているんでしょうか。も
しそうなら私を含め会議参加者は誰も気づいていませんから、私や
里美が役員会のTV会議を覗くことも可能ということになります。

そう考えた途端、画面の下部にメッセージが現れます。

(○○さんの会社の社長さん、面白いね)
「里美……」

私は思わず小さな声を上げます。私の顔がいきなり画面で大きくな
り、社長が不審げに尋ねます。

「どうした? 専務」
「い、いえ。何でもありません」
「サトミって誰だ? 飲み屋の女のことでも考えていたんじゃないか」

社長はそう言って笑うと、急に顔を引き締めます。

「専務は最近表情が冴えないが、何か心配事でもあるのか?」
「い、いえ。大丈夫です」
「それならいいが……当社の営業は専務の肩にかかっている。心配
事があるんなら何でも言ってくれ」
「わかりました……ありがとうございます」

私は社長にまで心配をかけていることを知り、申し訳なく思いまし
た。

「それにしてもこのシステムは便利だ、専務の顔色がいいか悪いか
まで分かる。会議以外にも十分使えるな」

社長がそう言って笑い、会議はお開きになりました。私はライブチ
ャットの里美の部屋にログインします。

「あまり驚かすなよ」
「ごめん、ごめん」

里美はおかしそうにくすくす笑っています。

「例の下田さんからのIDで、会議は全部見ることができたよ。こ
ちらから画面を切り替えたり、ズームしたりしてみたけれどまるで
問題なし」
「それじゃあPTAのオンライン役員会にも気づかれないで入れる
ということか」
「アクセスログまでは消せないから、そこまで調べられちゃうとば
れるかもしれないね」
「そうか……」

私は腕組みして考え込みます。

「心配ばかりしてもしょうがないわよ。いざとなったら下田さんを
脅して、ログを改竄させるしかないわ。彼にも責任があるんだから」
  1. 2014/06/14(土) 00:47:58|
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役員会 第19回

「次の役員会はいつになりそう?」
「絵梨子の今週のパートの出勤日は月、水、金だから明日の火曜日
と木曜日か……」
「何時に始まるか分からないのね?」
「ああ、息子も俺も帰りが遅いしな。ただ、連中も昼間は仕事があ
る訳だから、5時から7時あたり、それとももう少し遅めじゃない
かと思うんだが」
「犬山と毛塚は経営者だから時間の融通はいくらでもききそうだけ
れど、問題は道岡と橋本か。道岡の診療時間が分かれば大体推測が
つくかも」

里美がまたネットで検索します。

「9時から12時と、15時から20時になっているわ。整形外科
クリニックなら会社帰りのOLも重要なお客だからね」
「すると12時から15時の間、銀行支店長の橋本のスケジュール
も考えると、昼休みの時間帯が有力だな」

私は明日の12時に里美とネット上で待ち合わせることにしました。
念のため里美はその前からシステムにログインし、会議が始まれば
私にすかさずメッセンジャーを使って連絡することになっています。

帰宅すると妻はいつものように笑顔で私を出迎えます。しかし私に
はそれがどことなく疲れているようにも思えます。42歳になった
妻ですが私にとってはまだまだ女として魅力的です。いや、むしろ
最近になってベッドの中でも奔放さを見せるようになった妻を私は
以前よりもなお愛しく感じるようになっています。

その妻を私から奪おうとしている輩がいるのです。すべてが私の妄
想であってくれればよいとさえ思うのですが、状況は限りない黒で
あるように思います。いつもと変わらぬ夕食の風景、食後の団欒、
私は急にそれらがなんとも頼りないもののように思えてきました。

「家庭の平和は妻の笑顔」という言葉があります。妻が幸福でなけ
れば家庭の平和はありえないというものです。私はその言葉の持つ
意味をしみじみと実感していました。男として、一家の主としてわ
が家の平和を守るためには、妻を不幸にするものには敢然と立ち向
かわなければなりません。

次の日、私は早めに会社に行くと、落ち着かない気持ちを無理やり
宥めながら仕事を片付けました。私生活の都合で仕事を停滞させ、
会社に迷惑をかける訳には行きません。

仕事に没頭していた私は里美からのメッセージに我に返りました。
時計は11時半を指しています。

「奥さんがログインしたよ」
「なんだって?」

私はパワーポイントの企画書を閉じ、役員会の会議システムにログ
インします。いきなり妻の姿がディスプレイ一面に映し出され、私
は驚きました。

妻はパールホワイトのシャツブラウス姿で、奇麗に化粧を施してい
ます。髪は今朝私が見た状態よりも強めにカールがかかっています。
美容院に行くほどの時間はなかったと思いますので、一生懸命自分
で整えたのでしょうか。

PCの前の椅子に座り、ディスプレイに顔を向けている妻の頬は上
気し、瞳は妖しい潤みを見せています。視線は落ち着きがなくふら
ふらしている様子がいつもの妻らしくありません。

「どうしたんだろう……絵梨子の様子がおかしい」

私はメッセンジャーにそう打ち込みます。

現在私と里美が役員会の会議システムに入っている訳ですが、侵入
が覚られないようにこちらからの音声は切っています。したがって
私と里美の意志の疎通は、音声ではなくてメッセンジャーの文字入
力で行っています。

「奥さん、オナニーしてるんじゃない?」
「なんだって?」

私は文字情報で意思の交換をしているのにもかかわらず、思わず聞
き返します。

妻の両手はPCのテーブルに置かれており、そんなことが出来るは
ずがありません。

「○○さん、じっと耳をすましてみてよ」

私は里美に言われた通り、ヘッドセット越しの音に耳を傾けます。
すると低く小さなモーター音のようなものが聞こえて来ました。

「これ、ローターの音だよ」
「ローター?」
「もう、しゃべってんじゃないんだから、一々聞き返さないでよ。
奥さん、ローターをあててオナニーしているんじゃない?」
「馬鹿な……」

そんなものは家の中にはありません。いや、私は妻にいわゆる大人
の玩具と呼ばれるものを使ったことがありません。

それでも私は興味はありますから、妻に冗談交じりにローターやバ
イブの使用をほのめかしたことはあります。しかしそんな時はいつ
も妻は顔色を変えて、そんな変態的なことは嫌と拒絶していたので
した。

しかしそう言われてみると、妻の落ち着かない様子はなぜなのかが
頷けます。私は混乱し頭の中がかっと熱くなるような気がしました。
  1. 2014/06/14(土) 00:49:00|
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役員会 第20回

「○○さん、落ち着いて。今日は連中がやっていることをしっかり
と確認してこれからの作戦を立てるのが目的だから、くれぐれも早
まったことをしないでね」

里美は私を宥めるようにメッセージを送って来ます。

ディスプレイの中の妻はますます頬が赤くなり、口は半開きになっ
て「あ、あ……」と小さなうめき声まで上げているようです。

「そろそろイキそうになっているみたい……」

里美のメッセージが画面上に現れます。私は妻とのセックスの際は
常に電気を消しており、このような明るい場所で妻が快楽にあえぐ
顔をじっくりと見たことはありません。PTAの役員会の会議シス
テムでこのような行為を演じるにあたっては、犬山たちからなんら
かの理由で強制されているに違いなく、もちろん怒りは覚えるので
すが、なぜか股間のものが熱くなってくるのも感じていました。

いきなり会議室に犬山がログインしてきました。

「おやおや、奥さん、またオナニーですか。お盛んですね」

犬山はいかにも精力のありそうな脂ぎった顔をニヤニヤさせていま
す。続いて副会長の一人、毛塚がログインしてきます。

「まったく、助平な奥さんですね。いちいちマンズリに付き合わさ
れるこちらもたまったもんじゃありませんな」

橋本、道岡もほぼ同時にログインしてきます。

「おお、何とか間に合った」
「○○さんの奥さん、まだイッてないでしょうね」

4人の男たちのにけた顔がディスプレイに並びます。私はあまりの
怒りに気分が悪くなりそうなほどです。すると4人の顔が左一列に
寄り、妻の姿が残りの画面に大写しになりました。

「ううっ……もう……お願い……」

妻はもう限界まで来ているのか、眉を苦しげにしかめて呻き声をあ
げますが、犬山は妻の切羽詰った状況を楽しむように、開会を宣言
します。

「それじゃあ皆さん揃ったところですので、役員会をはじめましょ
う。それじゃあ、奥さん、今日の議題を発表して下さい」
「ああ……その前に……」
「どうしたんですか、一度イキたいんですか?」
「違います……ローターを、ローターを止めさせて下さい」

妻はもう息も絶え絶えといった様子です。

「ほら、やっぱりローターでしょ」
「黙ってろ」
「だから黙っているじゃない」

里美が膨れたような調子でメッセージを送ります。

妻は頬を赤く上気させて、瞳を潤ませながら必死で訴えています。
私ははじめて目にする妻のそのような艶っぽい表情に、思わず怒り
を忘れて見とれていました。

「おや、奥さん、様子がおかしいと思ったら、ローターなんかを使
っていたんですか?」
「さすがに西伊豆の旅館で自分から変態人妻と宣言しただけある。
驚いたもんですなあ」
「まったく、こんな淫乱女が伝統あるB高校のPTA役員を務める
なんて、外に分かったら大変なことになります。学校の恥ですよ」

男たちは好き勝手なことを言って妻を言葉で辱めますが、私は「西
伊豆の旅館」という言葉に反応しました。やはり旅館で妻は4人か
ら何か屈辱的な仕打ちを受けたようです。

「そ、そんな……皆さんがそうしろとお、おっしゃんたんじゃ……
ううっ……」

妻は恨めしそうな表情をカメラに向けます。ディスプレイに映し出
される妻の姿は極めて鮮明で、まるで目の前に妻がいるようです。
私は下田の会社の開発力はたいしたものだと、妙なところに感心し
ました。

「他人に責任転嫁してはいけませんな、○○さん。そういうところ
があなただけでなく、婦人役員のよくないところですよ」
「そうそう、自分ではろくな稼ぎもないのに、思うように贅沢な生
活ができないのを旦那のせいにする。そういう主婦たちの社会性の
なさを我々が徹底的に鍛え直してあげようというのです」
「何のとりえもない主婦がわれわれと肩を並べて役員面が出来るの
を感謝しなければなりません、わかりましたか?」
「は、はい……わかりました」

妻は口惜しげに声を震わせていますが、男たちの理不尽なまでの侮
辱的な言葉にはっきりと服従の意思を見せたことに私は驚きました。

妻は穏やかで優しい性格ですが、その反面芯の強いところもあり、
特に男女差別的な発言や行動に対しては明らかな嫌悪感を見せるの
が常でした。その妻がこのように主婦を侮蔑するような言葉に対し
て反発しないのは、逆にいえば4人の男たちから余程酷い目に合っ
たのではないかと想像されます。

「こいつら、女を馬鹿にしている。聞いているこっちの方が腹が立
ってきたわ」

里美までが怒りを露わにしたメッセージを打ち込んできます。
  1. 2014/06/14(土) 00:49:52|
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役員会 第21回

「里美、お前が早まったことをするなと忠告したので、俺も耐えが
たいところを耐えている。だからあまり俺を煽るようなことを言っ
てくれるな」
「わかっているけど……口惜しいわ」

里美にはそうたしなめましたが、私はなぜか怒りとともにこれから
の展開をどこか楽しみにしているような気持ちになっているのが不
思議でした。

今見ているストリーミングの映像はほぼ完全といってよいコピーガ
ードがかけられているため、画像も音声も保存することが出来ませ
ん。ディスプレイを写真で撮ることも考えましたが鮮明なものは期
待できず、証拠としてどれだけ役に立つかは分かりません。そこで
私は4人の会話の中から手がかりを突き止めて、別にしっかりと証
拠を固めるつもりでいました。

「そ、それでは今日の議題をご報告いたします……」

妻ははあ、はあと荒い息を吐いています。

「ま、まず……私、変態で露出症の人妻、○○絵梨子のオナニーシ
ョーをご鑑賞いただきます。続きまして同じく絵梨子のストリップ、
最後に前回に引き続き絵梨子のセックス体験告白でございます……」
「どれも全く変わり映えのしない議題ですなあ」

犬山が気乗り薄げな声を出します。

「どう思います、皆さん。こうやって多忙な役員が集まっているの
に書記の○○さんはあいも変わらず黴の生えたような議題を提出す
る。これではせっかく我々が貴重な時間を割いて役員会に集まって
いる意味がないと思いませんか?」

まったくだ、議長のおっしゃる通りですというような声が聞こえま
す。

「何を言っているの、こいつら」
「だから黙っていろと言っているだろ、里美」

里美はますます激高しますが、どこかこれからの展開を期待してい
る自分がいるのに私は正直、驚いていました。

「それじゃあ、どうすれば……ああっ……」

妻は必死で快感をこらえていますが、時折上半身はピクッ、ピクッ
と痙攣のような動きを見せており、もはや絶頂は近いものと思われ
ます。

「そうですな……よくあちらのポルノ写真で胡瓜やトウモロコシを
あそこに突っ込んでいるのがあるじゃないですか。ぜひあれをやっ
てもらいたいですな」

整形外科クリニックを経営する道岡がニヤニヤ笑いながらそう言う
と、橋本がわざとらしく驚いたような声を上げます。

「道岡副会長、そんなことが出来るんですか」
「PTAの婦人役員ということは出産経験があるということでしょ
う。それくらいは当然出来ますよ」
「それは面白いですな」

男たちは口々に勝手なことを言い合います。

「なんてこと!」

里美が再び怒りを示します。

「黙っていろ」

私はたしなめますが、正直、男たちの理不尽なまでの要求に妻がど
う答えるか、固唾を呑んで見守っていました。

「そういうことです、○○さんの奥さん。今、お宅には野菜は何が
ありますか?」
「や、野菜ですか……」

妻はローターの刺激に気もそぞろになっており、男たちの話し声が
耳に入っていなかったようです。

「一々聞き返さなくても一度でわかるでしょう。本当に愚図な奥さ
んですね」
「す、すみません」
「あまり我々に手間をかけさせないでくださいよ」
「も、申し訳ございません」

妻はぐっと歯を食いしばりながら男たちに詫びを入れます。普段は
毅然とした妻のそんな惨めな姿に私は引き込まれていました。

もちろん妻を弄んでいる犬山たちを許すことは出来ません。必ず彼
らが心の底から後悔するような報いを受けさせてやると堅く心に誓
うのですが、今は妻の行き場を失った官能の行方の方が気にかかり
ます。

「や、野菜は……冷蔵庫に茄子とプチトマトがあります」
「茄子とプチトマトか……どうしますか、皆さん」
「十分楽しめそうだ。それでいいでしょう」
「私も異議ありません」

男たちは衆議一決したようです。妻は犬山に強制され、新たな議題
を口にします。
  1. 2014/06/14(土) 00:50:50|
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役員会 第22回

「そ、それでは改めまして本日の議題をご報告致します。ま、まず
変態人妻、○○絵梨子のオナニーショー、そ、そして野菜を使った
異物挿入ショー、さ、最後に絵梨子のセックス体験告白でございま
す……ああっ、も、もうイカせてっ」
「行儀の悪い奥さんですね。何度言ったら分かるのですか。イカせ
て欲しい時はどうやって頼んだらいいんですか」

犬山がニヤニヤ笑いながら聞きます。妻はやけになったように叫び
ます。

「変態人妻○○絵梨子、い、イカせていただきますっ。ああっ……」

妻はそう言うなりさっと立ち上がり、白いスカートをまくり上げて
股間をCCDカメラに押し付けるようにしました。パンティに挟ま
れたローターが妻のクリトリスにしっかりと当たっているのがわか
ります。妻はガクガクと全身を震わせながら、近所に聞こえるので
はないかと心配になるほどの大声で「イキますっ」と叫び、がっく
りと椅子の上に崩れ落ちました。

男たちの哄笑がどっと響きます。

「さすがは変態人妻だ」
「相変わらず凄まじいイキっぷりですな」
「まったく、B高PTA役員の恥ですな」

妻は顔を伏せてはあ、はあと荒い息をはいています。

「○○さん、思い切りイキましたか?」
「はい……思い切りイカせていただきました」
「それではいつものように、皆さんに挨拶をしなさい」
「わかりました……」

妻は顔を上げてCCDカメラにはっきりと表情を見せます。

「役員の皆様、変態人妻、絵梨子のマンズリをご覧いただき、あり
がとうございました」
「顔だけじゃなくて別のところも見せなさい」
「それは……」

妻は嫌々と小さく首を振り、顔を伏せます。

「何度も言っているようにこのシステムは、映像が後に残ることは
決してありません。心配しないで思い切り見せなさい」
「……はい」

犬山の言葉に妻は頷くといきなりパンティを降ろし、両手を陰部に
当ててまるでゴム輪のように陰唇を広げます。キラキラと愛液に濡
れて光る妻の蜜壷が完全に露わになったのに私は驚愕しました。

「何なのっ、これっ」

再び里美のメッセージが画面に現れます。

「○○さん、こんなことを許していていいの」
「許すもなにも、許せるはずはないが、だからといってどうしよう
もないじゃないか」
「私は許せないわっ。○○さんの奥さんにこんな屈辱的なことをさ
せるなんて」
「俺に落ち着けと言ったのは里美、お前だろ」
「そうだけど……」

里美のメッセージが一瞬途切れます。

「……○○さん、まさか奥様のこんな姿を見て、楽しんでいるんじ
ゃないでしょうね」
「馬鹿を言うな」

私はあわててメッセージを返します。

「今すぐ犬山たちを殺してやりたいくらいだ。しかし今、仮にそれ
が出来たとしても俺はただの犯罪者になるだけで、かえって妻や子
を不幸にしてしまう。俺がじっとこらえているのが分からないのか」
「そうだったわね……ごめんなさい」

里美はようやく落ち着いたようにメッセージを入れます。

「相変わらずいやらしい、いかにも男好きといった感じのオマンコ
ですね」
「まったくだ。まだヒクヒクと生き物のように蠢いているじゃない
ですか」
「ああ……言わないで」

妻はシクシクとすすり泣きながら、恥ずかしげに身を捩じらせます。
私はその妻の仕草を見て、ある疑念が頭に浮かびました。

「泣くなっ、馬鹿ものっ」

犬山の怒声が飛び、妻はびくっと身体を震わせます。

「女は泣けばことがすむと思っている。とんでもない心得違いだ。
その性根を徹底的に叩き直してやるからそう思え」
「はい……申し訳ございません」
「わかったら、冷蔵庫から茄子とプチトマトを取ってくるんだ。そ
の前にスカートとパンティは脱いで、下半身素っ裸になるんだ。い
やらしいマン汁で汚れた下着をつけたまま神聖な役員会に臨むなん
て、許されないことだ」
「はいっ、わかりました」

妻は素早くスカートとパンティを脱ぎ、下半身裸になると一瞬画面
から消えます。やがて戻ってきた妻は両手にナスの入った籠と、プ
チトマトの入った透明なケースを抱えていました。
  1. 2014/06/14(土) 00:51:36|
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役員会 第23回

「それでは次の議題に入る。何をやれば良いかわかっていますな、
奥さん」
「い、いえ……」

妻がおろおろした表情を見せます。

「わからないんですか? これはあきれた」
「まだまだ我々の教育が足らないようですな」

男たちが口々に呆れたような声を出します。

「昨日の役員会では会計の藤村の奥さんは、趣味のフラワーアレン
ジメントの素材をたっぷり用意していたぞ」
「あれは傑作でしたな。あの奥さん、自分のマンコや尻の穴を使っ
てバラやらスズランやらを生けて見せおった」
「来月の旅行では、ぜひあれを宴会芸としてやらせましょう」
「ピンクコンパニオンたちがまた目を白黒させますぞ」

男たちはそう言って笑いあいます。

「やっぱりピンクコンパニオンの前で奥さんたちにおかしなことを
やらせたのね……だけど来月の旅行って……また奥さんたちを連れ
て行くつもりかしら」

私も男たちの会話に驚いていました。来月もまた旅行に行くなど、
妻から聞いた覚えはありません。

「ああ……もう、旅行は許してください」
「そんなことを言って、役員の仕事をおろそかにされちゃあ困りま
すな」

犬山が冷たく言い放ちます。

「今度の旅行は、ラグビー部OB会との合同の旅行です。我々をい
れて男が20人以上の大宴会になりますから、○○さんの奥さんと
藤村さんの奥さんには気合を入れて接待をしてもらわなけらばなり
ません」
「そうそう、この前みたいに途中で弱音を吐かれては困りますよ」
「奥さんと尚子さんで10人ずつのチンポを処理してもらいますか
らね。どうです、楽しみでしょう」

男たちはとんでもないことを話し出します。

「馬鹿な!」

さすがに私も頭に血が上ります。

「そんなことをさせてたまるか」
「落ち着きなさいよ、○○さん」

里美が私をたしなめます。

「馬鹿野郎、これが落ち着いてなんかいられるか」
「馬鹿とは何よ。八つ当たりしないで」

興奮のあまりキーボードを打つ指も震えてきます。

「そうそう、言い忘れていましたが、今度の旅行には長尾先生も参
加するそうですよ」

妻がびくっと体を震わせたのが分かりました。

「長尾先生って誰なの?」
「さあ……聞いたことはあるんだが」

確か息子の浩樹の2年の担任の教師だったような気がします。私は
仕事の忙しさにかまけて、息子の担任教師との保護者面談などには
顔を出したことがなく、B高校の教師の名前もうろ覚えです。

「奥さんも久しぶりに長尾先生に会えるので嬉しいでしょう。長尾
先生も楽しみにしているようですよ」
「あの人のことは……言わないでください」
「どうしてですか? 半年以上も男と女の関係を持った仲でしょう。
長尾先生には結局何回抱かれたんですか? ええ、淫乱人妻の絵梨
子さん」
「やめてくださいっ!」

妻がヒステリックな悲鳴を上げます。私はいきなり頭を鈍器で殴ら
れたようなショックを受けました。

「どういうこと? ○○さんの奥さん、不倫していたの?」
「……」
「○○さん、知らなかったの? 奥さんに不倫されていたこと」
「やめろ!」

私はキーボードを叩き壊さんばかりの勢いでメッセージを打ち込み
ます。

「……ごめんなさい」

どういうことでしょうか。今の男たちの台詞は。

男たちの言葉が本当ならば、妻が子供の担任教師と関係を持ってい
たということです。それも半年以上も。私はそれにずっと気づかず
にいたのです。

「藤村さんの奥さんも、恋人の西岡先生が参加するというので涙を
流して喜んでいましたよ。そういうことならぜひ参加したいという
ことでした。奥さんももちろん参加しますよね」
「……」
  1. 2014/06/14(土) 00:52:28|
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役員会 第24回

「どうなんですか? 黙っていては分かりませんよ」
「……参加します」
「声が小さいですね。もう一度」
「参加します!」

妻は怒ったような声を出します。

「そんな機嫌の悪い声は聞いていて気分が悪いですな。まるで女房
の声を聞かされているようだ」

犬山の軽口に男たちがどっと笑います。

「奥さん、どうせならこう言ってくださいよ。淫乱人妻の○○絵梨
子は、喜んで慰安旅行に参加させていただきます。どうか皆さんで
絵梨子の穴という穴を思う存分犯し抜いてください、とね」
「ああ……」

妻はあまりの屈辱に天を仰ぎますが、何度も男たちにせっつかれ、
ついにその破廉恥な言葉を口にします。

「い、淫乱人妻の○○絵梨子は、よ、よろこんで慰安旅行に参加さ
せていただきますわ……どうか皆さんでr、絵梨子の穴という穴を
思う存分お……犯し抜いてください」
「よく言えました」

男たちは嘲笑を浮かべながらいっせいに拍手します。

「よくもそんな破廉恥なことを口に出して言えるもんだ。一度亭主
に聞かせてやりたいよ」
「亭主の目を盗んで子供の担任教師と乳繰り合っていた淫乱人妻で
すからな。これくらいはどうということもないんでしょう」

男たちはいっせいに妻に侮蔑の言葉を浴びせます。

「それではいよいよ異物挿入ですよ。いいですか、ナスは前の穴に、
プチトマトは後ろの穴に入れるのです。奥さんは藤村さんの奥さん
のような優雅な趣味はないのだから、卑猥さで勝負するしかありま
せんよ」
「しっかり練習して今度の旅行で、久しぶりに会う恋人の長尾先生
に見てもらいましょう」
「練習しながら長尾先生との不倫セックス体験をたっぷり聞かせて
もらいますよ、いいですね」
「……わかりました」

妻はがっくりと首を落として頷きます。その時私の部屋をノックす
る音がしました。

「専務、よろしいですか」
「しまった、来客の予定を忘れていた」

時計はとっくに午後1時を過ぎています。

「里美、後は頼む」
「ちょ、ちょっと、どうするのよ……こんなの一人で見させようっ
て言うの?」
「何とか手掛かりを掴んでくれ、お願いだ」
「手掛かりったって……あっ、待って、○○さん、待ってよ」

私は会議室からログオフしました。

重要な商談の客を待たせてはいけないということももちろんありま
したが、私の心を大きく占めていたのは、早くこの場を逃げ出した
いということでした。

妻が役員の男たちから弄ばれていたのももちろんショックでしたが、
それよりも大きな衝撃だったのは妻が息子の担任教師と不倫関係に
あったということです。とても信じられないことですが、妻はその
ことを否定していませんでした。

私は混乱した頭のまま商談に臨みました。私の会社の事業は、主と
して絶版になった本を電子出版の形で復刻し、コンテンツをさまざ
まなポータルサイトに提供するものです。過去に一世を風靡した作
家の作品も、現在の書店の限られた棚では手に入れることは困難で
す。これを作者と直接取引することにより印税率を上げるとともに
販売価格を下げるというのがポイントです。

その日のミーティングはある大手プロバイダーとの価格交渉でした
が、私は妻のことが気になって、商談中は上の空でした。そのため
その日のうちにクロージングさせるはずだったのが、いくつか課題
が残ってしまいました。

(こんなことではいけない……)

1時間ほどして商談が終わり、部屋に戻った私はそう反省するので
すが、やはり役員会の続きが気になります。再びPTAの会議シス
テムにログインしましたが、そこにはもう妻の姿も、4人の男たち
の姿もありませんでした。

「○○さん」

いきなり画面下にメッセージが現れました。

「里美か。あれからどうなった」
「どうなったもこうなったも……何が聞きたいの?」
「何がって、絵梨子の様子だよ」
「……」
「どうした? 教えてくれよ」
「ちょっと私には言いにくいわ」
「なぜだ?」
「なぜって……わかるでしょう。とにかくここから出て、ライブチ
ャットに切り替えましょう。いちいちキーボードを叩くのは疲れる
わ」
「わかった」

  1. 2014/06/14(土) 00:53:20|
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役員会 第25回

私は里美に言われるままシステムからログオフすると、ライブチャ
ットに切り替えます。やがて画面に里美の顔が現れました。

「さあ、教えてくれ、里美」
「奥さんが男たちの前でやったこと? それとも話したこと? ど
ちらを知りたいの」

私は少し考えて答えました。

「両方だ」
「そういうだろうと思ったわ」

里美はため息を吐くように言うと、立ち上がってカットソーとジー
パンを脱ぎ捨てました。里美の白いコットンの清純そうな下着が露
わになります。

「何をするんだ」
「奥さんがやったことを再現して上げるのよ」

里美はブラとパンティも脱ぎ捨て、素っ裸になります。

「そこまでしなくて良い。服を着てくれ」
「そうはいかないわ」

里美はそう言うと一瞬PCの前を離れ、すぐに戻ります。両手に胡
瓜とプチトマトの箱を抱えていました。

「あんなのを一人で見せられて、凄く後味が悪かったのよ。鬱な気
分を○○さんにも分けて持ってもらうわ」

里美は一体何を考えているのでしょう。

これまで私は里美とずっとライブチャットで話をしていたとはいっ
ても、彼女に対してセクシャルな要求をしたことはありませんでし
た。それが急に頼みもしないのに素っ裸になり、異物挿入の真似事
までするというのです。私はすっかり混乱しました。

「奥さんが何をして何を言ったか、全部覚えている訳じゃないけど、
出来るだけ忠実に再現して上げるわ」
「勘弁してくれ」
「勘弁して欲しいのはこっちよ。あんなのを見せつけられて、聞か
されて。私、人間不信と結婚恐怖症になってしまうわ。○○さん、
責任を取ってもらうわよ」

里美はそう言うと椅子に座り、いきなり肢をM字型に広げると、片
手に持った胡瓜を股間に当てました。

「茄子がなかったから、胡瓜で代用するわ。もっとも茄子はちょっ
と自信がないけれど……」

さすがに里美にそんな格好をされると、私の股間の一物も興奮のし
るしを現し始めます。

「男たちは奥さんにこんなポーズを取らせると……」

里美は胡瓜で股間を撫で上げるようにします。

「茄子でクリトリスを刺激するように強要したの。奥さんは最初の
うちはためらっていたけれど、やがて男たちに言われるがまま、野
菜の先端で敏感な花蕾をこすり上げ始めたわ。ほら、ちょうどこん
な風に……」

里美は胡瓜で自分のクリトリスを微妙に愛撫し始めます。次第に里
美の口からあっ、ああっという悩ましい喘ぎ声が漏れ始めます。

「お、奥さんのスイッチがすっかり入ったのをは見計らって……男
たちは奥さんと、な、長尾という教師の関係についてたずね始めた
のよ……あっ……」

里美は次第に情感が迫ってきたのか、細いうなじを見せて色っぽく
喘ぎます。

「奴らは何を聞いたんだ、いや、絵梨子は何を答えたんだ?」
「良く覚えていないわ……いえ、○○さんに尋ねられたら思い出す
かも……私のことを奥さんだと思って聞いてみて……」

何でそんなことを、と言いそうになりましたが、一番衝撃的な場面
から逃げ出し、里美に押し付けたことが私には負い目になっていま
した。

それに、確かに妻と男たちとの会話を一から再現しろというのは無
理があります。里美は言うように問答形式にした方が、記憶が鮮明
によみがえるかも知れません。私は覚悟を決めて里美に尋ねます。

「いつから長尾と関係したんだ?」
「ひ、浩樹が2年だった去年のことです。長尾先生がPTAの厚生
部の学校側の担当で、役員会で親しく話しているうちに、男と女の
関係になってしまいました」
「なんだと?」

私は激しい衝撃に頭を殴られたような気がしました。

「私はいつもあなたに対して申し訳ないという思いがあり、関係を
断ち切ろうと思っていましたが、長尾先生から誘われると断り切れ
ず、ずるずると今年の3月まで続きました」
「もう一年近くも前のことじゃないか。それまで絵梨子はずっと俺
を裏切り続けていたというのか」
「……申し訳ありません。裏切るつもりはありませんでした」
「これが裏切りでなくて一体なんだ!」

私は思わず大声を上げます。

  1. 2014/06/14(土) 00:54:15|
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役員会 第26回

「ちょ、ちょっと○○さん、落ち着いて。私は奥さんじゃないのよ。
記憶を掘り起こし易いようにこうして演技をしているの」

カメラの前で自慰行為にふけるという倒錯的な快感に浸っていた里
美は私の声で我に返りました。

そうでした。つい興奮して訳が分からなくなってしまいました。

それにしても里美の演技は真に迫っています。里美は妻よりもはる
かに若く、髪形も妻とは全然違っていますす。しかし切なげに顔を
どことなくのけ反らせた雰囲気はベッドの中で喘ぐ妻を思わせ、私
をひどく落ち着かない気持ちにさせるのです。

「じゃあ、続けるわよ。いい?」
「ああ……」

再び里美は胡瓜を股間に当て、バイブレーターのように小刻みに震
わせます。そうやって自慰行為にふけることが、里美が妻を演じる
一種の儀式のようです。

「長尾とはいつ、どこで逢っていたんだ」
「主に厚生部の部会があった日です。部会の後はたいてい懇親会に
なるのですが、長尾先生と私は一次会で抜けて、ラブホテルに行っ
ていました」
「2人で一緒に抜けて、周りから怪しまれなかったのか」
「時間差を置きましたから……まず長尾先生が先に出て、私が後か
ら出ました」
「それにしても、2人がいつも懇親会を抜け出ていてはおかしいと
思う人もいるだろう」

里美は私のその質問には答えず、ああ……と小さな溜息を吐いて軽
く身悶えします。それは今日の役員会で実際に妻に対してそのよう
な問いが投げかけられなかったという意味だと思い、私は質問を変
えることにしました。

「長尾に何回抱かれたんだ」

あの下劣な男たちのことですから、質問は妻と長尾のセックスのこ
とに集中したに違いありません。皮肉なことに私が最も知りたいの
もその点でした。

「……半年あまりの間にほぼ月2回のペースでしたから……12、
3回だと思います」
「嘘をつけ。逢う度に一度では済まないだろう。何回そいつとヤっ
たんだ、正直に言ってみろ」

里美は一瞬口ごもる様子を見せます。それは実際に妻がこの質問を
受けた時に見せたものなのか、それとも里美が私に、妻が言ったこ
とを告げるのをためらっているのかはわかりません。それが私の心
をますます不安にしていきます。

「……長尾先生は一晩のデートで必ず3回は私の中に出しました」
「なんだと」

私は里美の答えに驚きます。

「そんなにやったのか」
「まだ29歳と若いですし、彼は特に精力が強いようですから、そ
れくらいは平気でした」
「ちょっと待て」

私は気持ちを鎮めるために深呼吸をしました。

「絵梨子は長尾のことを『彼』と呼んだのか」

里美は無言で頷きます。私はそれが妻が長尾とセックスをしたこと
を知ったのと同じくらいショックでした。

里美は手に持った胡瓜をとめてまた「演技」に移行するのを待って
います。私はようやく気持ちを落ち着かせると質問を再開しました。

「一体どんなセックスをしたんだ」
「それは……」

里美が少し首を傾げます。これもまた妻が何を言ったのか思い出そ
うとしているのか、実際こういったためらいの仕草を見せたのかわ
からず、私の心の中の不安はますます大きくなっていきます。

「……言えません」
「どうして言えないんだ」

私は苛々して再び大きな声をあげます。

「だって……」
「それなら俺から聞いてやる。口でもしてやったのか」

里美はかすかに頷きました。私はまたしても大きな衝撃を受けます。

「やつが出したものを全部飲んだのか」

里美はまた無言で頷きました。私は怒りと嫉妬、そして興奮で口の
中がカラカラになって来ました。私は妻にフェラチオはされたこと
がありますが、ほんの真似事のようなもので、自分のものを飲ませ
たことなどありませんでした。

「……まさか、尻の穴も奴に捧げたんじゃないだろうな」

私は妻のボリュームのあるお尻が大好きで、いつかは肛門性交をと思
っていたのですが、妻が痛いのは絶対に嫌と拒絶するため、果たすこ
とが出来ませんでした。私は胸をドキドキさせながら、里美の返事を
待ちます。
  1. 2014/06/14(土) 00:55:06|
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役員会 第27回

「……いいえ」

里美はやっと首を左右に振りました。私はほっと胸をなでおろすと
ともに、どこか物足りなく思っている自分がいることに愕然としま
した。

いつのまにか私のペニスは固く勃起し、ズボンの前は無様なまでに
膨らんでいます。

もし今、カメラの前で淫らな行為にふけりながら、悦びを訴える喘
ぎ声とともに長尾との行為を語る女が妻自身であったなら、私はと
ても快感を覚えるどころではなかったでしょう。

しかしながら里美が妻を演じることで、私の妻に裏切られたという
悲しさや衝撃がオブラートに包まれたようになり、妻を寝取られて
しまったというマゾヒスティックな快感が増幅されたのかもしれま
せん。

「ああ……」

里美はついに胡瓜を蜜壷の奥深くに挿入し、ゆっくりと抽送し始め
ます。空いた手の指先を唾液で示した里美は、開かれた双臀の狭間
に露わになったアヌスをマッサージし始めました。

(絵梨子もああやって男たちの目の前で肛門を……)

私はたまらなくなってそこがオフィスの中であることも忘れズボン
を下ろします。里美がちらりと私を見ると、「いいのよ」という風
に頷きました。

「○○さんの奥さんは男たちにせきたてられて、茄子で前を虐めな
がら自分の手でお尻の穴を揉みほぐしていったの……」

里美はああ……と溜息をつくようにそう言います。

「それで……じゅうぶん柔らかくなったところでプチトマトを手に
とって……」

里美は透明のパックの中から真っ赤なプチトマトをひとつつまみ、
下手のところを指先で持って、口の中に含みます。

「こうやって濡らしたものを一つずつお尻の中に……」

里美はプチトマトを肛門に押し当てると、力を入れました。ああっ、
と小さな悲鳴とともに、真っ赤なプチトマトが里美の中に吸い込ま
れていきます。菫色の里美の肛門がトマトを飲み込んでいく妖しい
様子は、あたかも食虫植物を思わせます。

「……一つ飲み込むたびに男たちは笑いながら拍手をしたわ。今度
の旅行の余興としてぜひやらせようって。すると男たちの中で、背
が高くて縁なしのめがねをかけた気障なやつが……」
「道岡のことか」
「そう、その道岡が……プチトマトじゃ物足りない……ピンポン玉
を呑ませるようにさせよう……って」
「何だと」

私は男たちの言葉に怒りを覚えますが、2個、3個とプチトマトを
飲み込んでいく里美の尻の穴に目が釘付けになり、いつしかその怒
りもあやふやなものになって行きます。

「……さすがにそれは無理だって他の男たちが言っただけれど、道
岡ってのが意地になって……それで奥さんが参加する次の役員会は
……オンラインじゃないリアルのものだけど……道岡のクリニック
で開催されることになったの」

私は硬直したペニスを取り出し、片手でゆっくり扱きあげます。今、
他の社員がいきなり入ってくると大変なことになりますが、もはや
止めることが出来ないのです。

「そこで奥さんは道岡から、ピンポン玉を呑みこむことが出来るよ
うになるよう肛門拡張、肛門美容整形……おまけにクリトリスの包
皮切除手術を受けるように命令されたの」

私はもはや心が麻痺してしまったようで、そんなショッキングな言
葉を聞いてもほとんど衝撃を受けなくなっています。ディスプレイ
の中の里美が話しているせいか、本当のこととは思えないのです。

「奥さんはさすがに泣きながら拒んだのですが……長尾とのことを
○○さんだけでなくPTA全体にばらすと脅されて……最後は大声
で道岡から肉体改造手術を受けることを誓わせられながら茄子をあ
そこで思い切り食いしめて絶頂に達したの……ああっ、わ、私もも
うっ……」
「里美っ」

私も絶頂が近くなり、思わず里美の名を呼びます。

「違う……私は絵梨子よ……あなたの妻、絵梨子」

ディスプレイの中の里美の裸身が、見慣れた妻のものに変わってい
きます。

「お、奥様はこういいながらイったの……い、淫乱人妻でB高校P
TAの恥さらし、○○絵梨子は、み、道岡様から肉体改造手術を受
け、つ、次の慰安旅行までにお尻の穴でピンポン玉を最低3個は呑
みみ込めるようになることを誓いますっ。ああっ……イクっ」

里美の声がヘッドセットの中で響きました。私は里美の下半身がデ
ィスプレイの中で、深々と呑み込んだ胡瓜を食いしめながら激しく
痙攣するのを眺めながらティッシュの中に白濁をぶちまけていまし
た。

  1. 2014/06/14(土) 00:56:03|
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役員会 第28回

自慰を覚えたのはいつ頃だったでしょうか。私はなぜかその点につ
いては奥手だったので、高校生になっていたような記憶があります。
とにかく始めのうちは行為の後には必ず罪悪感に苛まれたものです。

つかの間の快楽の後、こんなことをしていていいのだろうか、自分
は卑しい人間なのではないだろうか、欲望をコントロール出来ない
弱い人間なのではないだろうか、などという思いに駆られました。

妻を演じた里美を見ながら欲望を解放させた私は、久しぶりにその
時の罪悪感に似たものを感じていました。

里美の言ったことが本当なら、妻は大変困った状況に陥っている、
いや、精神的に追い詰められているだけではなく、肉体的にも想像
を越えた加虐行為を受けているということになります。

しかし私は、妻のその苦境をネタにして自慰行為にふけったのです。

里美というフィルターがかかったいたから、という言い訳は出来る
かも知れませんが、私はディスプレイの中の里美の姿態、里美の表
情に妻のそれを重ね合わせていたことは否定出来ません。正直言っ
て妻に対して同情するよりも妻が半年以上も私を裏切っていた、そ
のことについて妻は当然罰を受けるべきであるという思いのほうが
強かったといえます。

4人の男たちの妻に対する淫虐な行為は、私に代わって妻に対して
お仕置きをしているように思えたのは事実なのです。

もちろん犬山たちに対する激しい怒りはあります。しかし、長年信
頼しあって来たはずの妻が不倫を行っていたということが私をひど
く打ちのめし、犬山たちに対する復讐心もいつしかあやふやになっ
ているのです。

(こんなことではいけない……)

私は激しい絶頂を極めた余韻にぐったりとしている里美の部屋から
ログオフすると、混乱した頭を整理することにしました。

妻に対して、あるいは男たちに対してなんらかの行動をとる前に自
分の中で明確にしなければいけない点は大きく2つあります。

一、はたして里美は本当のことを話しているのか?

二、(里美が本当のことを話している場合)妻は本当のことを話し
ているのか?

まず一ですが里美が私に嘘をつく、つまり妻のことを実態以上に貶
めて表現したと仮定します。そうすると私と妻の関係は壊れる方に
向かいますが、里美にそれをする動機があるでしょうか?

・私と妻の関係が壊れたら、金銭的な利益を得ることが出来る

・私と妻の関係が壊れたら、後釜に座ろうと思っている

いずれのケースも単なる可能性としてなら存在しますが、どうも里
美というキャラクターからは想像しにくいところがあります。

里美が私に対してなんらかの好意を抱いてくれていることは確かな
ようですが、それはあくまで私の仕事が彼女の興味の範疇にあるこ
とと、夫婦関係が危機に瀕していることに対する同情から来ている
ように思えるのです。

そもそも里美は現在、私が犬山たちと対決するにあたっての唯一の
味方と言えます。その里美を疑ってしまえば私は正直手詰まりにな
ってしまいます。多少の誇張はあるにせよ、里美が私に話した内容
は真実だと考えることにしました。

次に二です。妻が長尾と関係していたということは本当でしょうか。

私はこれまでのことを時系列に沿って思い出しながらメモを作って
いきました。

発端は3月のある土曜の午後です。

妻が藤村さんにPTA役員就任の件で呼び出され、直接断るために
出かけました。その後6時近くに妻から「食事をしていく」電話が
ありました。

その日、妻が帰ってきたのは夜の11時近くで、泥酔状態に近い妻
は道岡にタクシーで送られてきました。妻はしきりに「ごめんなさ
い」と繰り返し、また見たことのない派手な下着を身に着けていま
した。

この日に妻の身に何かが起きたのは間違いありません。

私は今までこの日、妻が男性役員4人によって力ずくで犯され、そ
れをネタに脅迫されているのではないかと考えていました。しかし
いくら何でもPTAの役員になろうという男たちがそのような危な
い橋を渡るでしょうか。

この時点で男たちは妻の、そして藤村さんの弱みを握り、それをネ
タにして脅迫して無理やり身体の関係を結んだのではないかと考え
るのが自然です。

妻が男たちに混じって泥酔するまで酒を飲むというのも考えられま
せん。その際に酒だけではなく何らかの薬も使われたのでしょう。
クリニックを経営している道岡なら、睡眠薬のようなものを使うの
は難しいことではありません。

妻の弱み、それが妻と長尾の関係であったことは想像に難くありま
せん。やはり妻と長尾が不倫の関係にあったというのは事実でしょ
う。そこまで考えた私は一気に気持ちが沈んでいくのを感じました。
  1. 2014/06/14(土) 00:57:06|
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役員会 第29回

妻と長尾が不倫の関係にあったということが間違いないとすると、
どうしてそんなことになったのでしょうか。

妻から誘ったのか、それとも長尾から誘ったのか。

結果として妻が裏切ったことは事実なのですから、どちらから誘っ
たかというのはどうでもよいことかも知れません。妻に問いただせ
ば分かるかも知れませんが、本当のことを話すとは限りません。そ
れは仮に長尾に問いただしたとしても同じことです。結局のところ
は私を裏切った妻を許すことができるかどうかに尽きるのです。

しかし、私は妻が不倫を犯した理由や経過を知りたくて仕方があり
ませんでした。

私と妻は見合い結婚ですが、同世代のほかの夫婦と比べ会話も多く、
週末は2人でデートすることもあり、夫婦生活は円満だと思ってい
ました。

結婚して以来経済面で妻に不安を与えたことも、浮気をしたことも、
まして妻に手を上げたこともありません。18年もの間夫婦として
何の問題もなく過ごして来たと思っていたのに、どうしてこんなこ
とになったのでしょうか。

妻はこの3月の土曜日以来ずっと、犬山たち4人から脅され、関係
を持たされて来たものと思われます。4月に入ってから毎週日曜に
なると役員会と言って出掛け、2回に1回は食事と酒が入って帰宅
が遅くなり、男たちに代わる代わるタクシーで送られて来たのは、
藤村さんと妻が交替で男たちに弄ばれていたのに違いありません。

毎週土曜のセックスが2週に1回になったのは、男たちに抱かれる
前日は私とセックスすることを禁じられていたからだと想像出来ます。

6月初めにわが家にオンライン役員会のシステムが導入されてから
は、妻は週末だけでなく平日も男たちの玩弄物にされるようになっ
たのでしょう。

システムが開通した夜に私が帰宅した時、妻がノーブラにピンクの
ブラウスを身にまとい、化粧までいたことを思い出します。おそら
くアダルト向けライブチャットのチャットレディ嬢さながら、ウェ
ブカメラの前で露出調教を施されていたのではないでしょうか。

そして極め付けはついに先週末の西伊豆D旅館への旅行です。今日
の役員会で妻が「西伊豆の旅館で自分から変態人妻と宣言した」と
いう男たちの発言があったことから判断して、その際に妻は相当屈
辱的な目にあったということは想像に難くありません。

愛する妻を酷い目にあわされた訳ですから、私は当然4人の男に腹
を立てるべきですし、もちろんそういった怒りも確かにあります。
しかし今の私には妻の裏切りの方がショックで、男たちに弱みを握
られた妻がどのような目にあおうが、それは自業自得ではないかと
いった気持ちに駆られてしまうのです。

私に代わって男たちが妻に罰を与えている。夫を裏切るような淫ら
な妻は、もっともっとお仕置きを受けて当然だという悪魔的な囁き
が私の頭の中に響いてくるような気がするのです。

ディスプレイの中で男たちに命じられるままローターを使って淫ら
なオナニーに耽る妻、両手で陰唇を開き
臓物まで開陳する妻、「絵梨子の穴という穴を思う存分犯し抜いて
ください」と、恥ずかしい宣言をする妻――。

どれも私がこれまで見たことがない、妖しいまでに艶っぽい妻の姿
でした。そして私が、里美の演技を通してしか見ることが出来なっ
た極限の羞恥の姿。私はそんな妻に対してどうしようもない腹立た
しさを覚えると同時に、たまらない魅力を感じることも否定出来な
いのでした。

そんなふうに妻が変わってしまったきっかけは長尾との不倫だと思
われます。妻がどうして長尾と不倫の関係に落ちたか知りたいのは
山々ですが、今の私には妻を問いただすことは非常に難しいと思い
ました。なぜなら何一つ証拠がないのです。

会社からアクセスしていたオンライン役員会は、下田の会社の技術
によってほぼ完璧なコピーガードが施されていたため、記録するこ
とは出来ません。私と里美が実際にシステムにアクセスして、妻自
身から不倫の事実を聞いたので、里美が証人と言えば言えますが、
それを妻に話す訳には行かないのです。

私たちがオンライン役員会を犬山たちに気づかれない形でモニター
したと話せば、妻は観念して告白するかも知れません。しかし妻を
嬲り抜いていた犬山たちに復讐したくても、証拠がないと開き直ら
れたらおしまいです。まして長尾を追求することはもっと厄介です。
妻との不倫の関係は終わっているようですからこれから証拠をつか
むのは極めて困難でしょう。

妻と長尾の間で起こったことを知り、かつ犬山たちや長尾に対して
効果的な復讐をするためには、今のところオンライン役員会を引き
続きモニターするしかありません。

しかし問題は、現在妻の身に直接的な危機が迫っていることです。
次の日曜日に開かれる「役員会」で妻は美容整形外科医の道岡から
肛門拡張、肛門美容整形、そしてクリトリスの包皮切除というおぞ
ましい手術を受けることになっているのです。

私は美容整形でそのような淫靡な施術が本当に行われているのかと
疑問に思い、インターネットで調べてみました。するとさすがに肛
門拡張というものはありませんでしたが、肛門美容整形とクリトリ
スの包皮切除というといったメニューは多くの美容クリニックにあ
ったのです。
  1. 2014/06/14(土) 00:58:04|
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役員会 第30回

妻がまるで産婦人科にあるような手術台に乗せあげられ、女の羞恥
の箇所から尻の穴に至るまでを犬山たちに晒しながら、肛門をプラ
グで拡張されたり、クリトリスの薄皮を剥がれたりする姿が目に浮
かびます。先程射精したばかりだというのに私の股間は再び熱くな
り始めます。

結局その日はその後、ほとんど仕事が手につきませんでした。妻を
危機から救うべきではないかという天使の声、そんな悪妻にはそれ
ぐらいの罰は当然だという悪魔の声、そしてもっと妻を淫らにして
みたいという淫魔の声を代わる代わる頭の中で聞きながら、私は家
に帰り着きました。

「お帰りなさい」

妻がいつものように玄関まで私を出迎えます。クリーム色のサマー
セーターに白いパンツ姿の妻はいつもと雰囲気が違うように思え、
しげしげと眺めましたが、髪の色がそれまでよりもだいぶ明るい栗
色になっており、強めにカールしていることに気づきました。

「美容院にいったのか?」
「あ……ええ……」

妻は少し口ごもります。

「ずいぶん雰囲気が変わったな」
「そうかしら……」

妻は心なしか私から顔を背けるようにします。

「いつもは私が美容院に行っても気づかないあなたがそう言うのな
ら、そうなのかも知れないわ。少し派手すぎるかしら」
「いや……よく似合うよ」

週末の役員会に備えて髪をセットしに行ったのでしょうか。犬山た
ちに命令されてそうしているのかも知れませんが、たとえ淫らな責
めを受けるためとは言え、男たちの視線を集める機会であればお洒
落していたいというのが女心なのかも知れません。妻は意外に男た
ちに責められることを楽しんでいるのではないかという皮肉な思い
まで込み上げてきました。

「先にお風呂にします?」
「ああ……」

私はスーツとワイシャツを脱ぎ、脱衣所へ行きます。妻はすでに下
着とタオルを用意していました。

軽く身体を洗い、湯槽に浸かっていると妻が「いいですか」と声を
かけます。「ああ」と答えると、裸の妻が前を隠しながら入ってき
たので、私は驚きました。

恥ずかしがり屋の妻は私と一緒に風呂に入ることなど滅多にありま
せん。私が何度誘っても「また今度ね」と断ってきます。その「今
度」があった試しはないのですが。

「どうした、珍しいな」
「たまには良いでしょう……」

妻はそういって微笑むと、身体を流しスポンジで軽く洗います。湯
を浴びて輝く妻の裸身に私は思わず見とれてしまいました。

「背中を流しましょうか」
「そうか、すまないな」

私は湯槽から上がり、妻に背中を向けて座ります。妻はスポンジで
ゆっくりと私の背中を洗い始めました。

長尾の背中もこうして洗ってやったのだろうか、そして、西伊豆で
はコンパニオンたちと一緒に役員の男たちと混浴して、ソープ嬢ま
がいのことをさせられたのかもしれない。私の頭に残酷な思いつき
が浮かびました。

「オッパイを使って洗ってくれ」
「え……?」

妻の手が止まります。

「聞こえなかったか? スポンジじゃなくて、絵梨子のオッパイを
使って背中を洗ってくれ」
「あなた……冗談を言っているの?」
「冗談じゃない。絵梨子のオッパイを背中に感じたいと思っただけ
だ」

妻はしばらく無言でいましたが、やがて「いいわ……」と答えまし
た。

妻は私の背中に身体を寄せ、大きくはありませんが年の割りには形
の整った乳房を押し付けてきます。妻の乳房の柔らかい感触を背中
に感じながら、私はなぜか腹立たしい思いに駆られていました。

それは私の突飛な要求を呑んだ妻に対する理不尽な怒りでした。私
の望みを断っていたらそれはそれで腹を立てていたでしょうが。こ
の程度のことは妻にとってなんでもないことなのかも知れません。

「前に回ってくれ」
「あなた、どうしたの? 今日はちょっと変よ」
「変なのは絵梨子もだろう」

妻は渋々前に回りました。全裸像が私の前に露わになります。妻は
私の視線を避けるように顔を逸らせていましたが、いきなり抱きつ
いてきました。
  1. 2014/06/15(日) 01:29:42|
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役員会 第31回

「どうした?」
「だって……恥ずかしい」
「恥ずかしい?」

犬山達の前ではとんでもない破廉恥な姿を晒しておいて、ナニをカ
マトトぶっているんだと私はますます腹立たしい気持ちになりまし
た。夫である自分に対してはもったいぶった態度をとりながら、他
の男たちに娼婦のようなサービスをする妻に私は馬鹿にされたよう
な気持ちになり、妻の裸身をぐいと押しのけます。

「ここを洗うんだ」

私は妻の手を取って、自分でも驚くほど隆々と屹立しているペニス
に添えさせます。妻は恥ずかしげにもじもじしていましたが、やが
てこくりと頷きました。

妻は掌で石鹸をあわ立て、私の肉棒をゆっくりと擦りあげます。妻
はちらとそれに目をやると「大きい……」と溜息をつくように言い
ました。

「手で洗うのはもういい。今度は絵梨子のここで洗ってくれ」

私は妻の股間に手をやり、秘苑に指を差し入れました。

「駄目……」

その部分からは既に熱い愛液が溢れんばかりになっていたので私は
驚きました。

(こんな淫らな身体にされやがって……)

これも長尾や、犬山達の調教のせいか。私は湧き上がる凶暴な気持
ちに駆り立てられながら、妻の身体を抱き上げると膝の上にのせあ
げます。

「こんな格好で……」

石鹸で滑りやすくなっているせいか、私のペニスは妻の蜜壷に中に
するりと入っていきました。いわゆるソープの「壷洗い」というプ
レイです。

「あ、ああっ……」

妻は私の膝の上で腰を上下し始めます。その動きは次第に速くなり、
はあっ、はあっという喘ぎ声も大きさを増していきます。40歳を
過ぎた妻ですが、むしろ最近の方があそこの締まりは良くなってき
たような気がしますが、そんなことすら他の男たちからの調教の成
果なのかと思うと腹立たしくなり、私も激しくしたから突き上げて
応戦します。

「どうだ、イキそうか」
「ああっ……」
「イクときはイクというんだ」
「……は、はいっ……あ、あっ……イクっ」

妻は引きつったような声をあげると私にしっかり抱きつき、豊かな
双臀を小刻みに震わせました。私はもう少しで中に出しそうになる
のをなんとかこらえました。

妻は快楽の余韻に浸るように、うっとりとした顔を私の肩先に押し
付けてきます。私は妻に、

「絵梨子、俺はまだ出していない。口でやってくれないか」

といいました。

妻は一瞬戸惑ったような表情を浮かべましたが、すぐにこっくり頷
くと自分の愛液で濡れた私のものを咥えます。犬のように舌を出し、
ペロペロと鈴口を舐めたり、大きく口を開いて玉を含んで舌の上で
転がすような技巧を見せる妻に、私は内心驚きを禁じえません。

「随分うまくなったじゃないか、絵梨子」

そうからかうと、妻はちらりと上目遣いで私を見ました。

「どこかでこっそり練習しているんじゃないのか」

思い切ってそんな風にカマをかけてみましたが、妻はゆっくりと首
を左右に振るだけです。

(とぼけやがって……今に見ていろ)

こんな風に長尾のものを何度も愛撫し、その迸りを口の中で受け止
めていたのか。他の男に汚された妻の口を自分のもので犯すという
倒錯的な快感に、じっと堪えていた私の欲望は遂に爆発しました。

「うっ……ううっ……」

私の精液を舌に感じた妻は、眉をしかめて顔を引こうとしますが、
私は頭を押さえつけるようにして最後まで妻の口の中に射精しまし
た。いつもとは違う私の乱暴な行為に妻は恨めしそうに私を見ます
が、口の中のものを吐き出そうともせず、ごくりと喉を鳴らして飲
み込んでいきました。

妻はしばらく恥ずかしげに横を向いていましたがやがて立ち上がり
ます。

「先に上がって、食事の用意をしてきます」
「ああ……」

妻はくるりと私に背を向けて、浴室を出て行きました。私は妻の逞
しいばかりに張り出した尻をぼんやりと眺めていました。
  1. 2014/06/15(日) 01:30:56|
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役員会 第32回

私が興奮を静めようとしばらく風呂場でゆっくりしてから上がると、
食卓には既に何品かのおかずが並んでいました。

その中に茄子の田楽と、プチトマトを使ったグリーンサラダがあっ
たので、私はぎょっとしました。

妻は私の表情が変わったのにも気が付かない風で、私のジョッキに
ビールを注ぐと自分の席につき、「いただきます」と手を合わせま
す。

私は妻の様子を上目使いでうかがいます。妻は平然とした表情でグ
リーンサラダに箸をつけ、赤いプチトマトがやはり赤い妻の唇の間
に吸い込まれていきます。それがまるで、おちょぼ口のような妻の
アヌスが果実を飲み込んで行く様子を思わせ、私の股間はまたも熱
を持って来ます。

次に妻の箸が茄子の田楽に移行します。茄子は食べやすいように縦
にいくつかに切られていますが、元の大きさはかなり立派なもので
あったことが予想出来ます。妻の女陰が立派な茄子を食い絞めてい
る様子を想像した私の股間はますます熱っぽさを増していきます。

妻が私の視線を感じたのか顔を上げ、怪訝そうな表情を見せて小首
を傾げます。内心の動揺を悟られまいとした私は慌てて顔を伏せま
す。すると視線の先にグリーンサラダの中の真っ赤なプチトマトが
目に入りました。私は箸でそれをつまみ上げると口の中に入れまし
た。

新鮮な食感と甘酸っぱい果汁が口の中に広がります。私はふと、こ
のプチトマトは役員会で妻が肛門の中に飲み込んだものだろうかと
想像しました。

田楽として料理されている茄子もそうです。妻が秘部で食い絞めな
がら絶頂を極めたそのものでしょうか。

そんなことを考えると普通は食欲がなくなるところでしょうが、不
思議と私は思ったような抵抗もなく、食事を続けました。

普通はそのような行為に使った食材は捨てるでしょう。私もまさか
妻が自分の尻の中に入れたものを私に食べさせているとまでは思い
ませんでした。しかし男たちの前で異物挿入を演じたその日に同じ
種類の食材で料理を作り、食卓に並べる妻の心境はいったいどうな
っているのだろうと私は訝しく思いました。

私は再び妻の方を見ました。私と視線が合うと妻はなぜか視線を泳
がせ、一瞬右上方に逸らせた後に顔を伏せました。

ふと嫌な予感がした私は妻が一瞬逸らせた視線の方、食器棚の上に
目を向けました。瞬間あまりのことに私の表情は凍りつきます。私
は動揺を悟られまいと顔を伏せました。

なんと食器棚の上にはワイヤレスのCCDカメラが設置されていた
のです。カメラに映し出されたわが家の食事風景は光ファイバーを
通じて犬山たちのPCの画面に送られているに違いありません。

妻はオンラインの役員会で野菜を使った異物挿入を演じた後、それ
を今晩の食卓に出して夫に食べさせろと命じられたのでしょう。妻
の陰部や尻の中に収められた野菜を何も知らずに食べている私の姿
を、今現在連中は笑いものにしていることでしょう。

私は男たちに対してこれまでにないほどの怒りを感じました。しか
し、ここで私がその怒りを妻にぶつけたところで、証拠は何もあり
ません。私の妄想だと片付けられればおしまいなのです。

いや、昼間のオンライン役員会に侵入したということを話せば、妻
は観念するかも知れませんが男たちを追求する手段がなくなります。

とにかく今は男たちに怪しまれないよう耐え難きを耐え、平然と食
事を続けるしかありません。

しかし、いくら男たちに命令されたとは言え、自分だけでなく夫を
辱めるようなことを行うとは、妻の神経は一体どうなっているので
しょう。

長尾との不倫を公表されるということを妻はそんなに恐れているの
でしょうか。それとも、妻の心の中に私を辱めることについての抵
抗感がもともとなかったのでしょうか。

食器棚に置かれたワイヤレスCCDカメラについてはその後、私は
絶対に目を向けないようにしましたが、私はふと頭の中にある想像
が浮かび、慄然としました。

食器棚の上のカメラは慌てて設置したせいか、比較的無造作に置か
れていましたが、カメラはこれ一台という保証はないのです。

例えば先程私と妻が痴態を演じた浴室。そこにはカメラはなかった
でしょうか。私は気が付きませんでしたが、ひょっとして私と妻の
行為の一部始終は役員たちのPCに実況中継されていたかもしれな
いのです。

寝室にもカメラが置かれていても不思議はありません。私達の夫婦
生活を監視するばかりでなく、妻は週末の役員会の前は私とのセッ
クスは禁じられているようですから、妻がその言い付けを守ってい
るか確認する目的もあるでしょう。

「窃視症」ということばがあるように、覗きという行為はそれ自体
が麻薬的な魅力を持ち、一度はまるとなかなかやめられないと言い
ます。オンライン役員会で自宅にいる妻を遠隔操作でいたぶること
による愉悦を知った男たちの要求がエスカレートしていったのでし
ょうか。
  1. 2014/06/15(日) 01:31:40|
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役員会 第33回

そこまで考えた私は、妻が不安そうにこちらを見ているのに気づき
ました。

「どうしたのですか? あなた」
「いや、何でもない」
「お食事が進みませんか? あなたの好みじゃなかったかしら」

好みじゃない訳じゃないが、おまえの尻の中に入っていたかもしれ
ないと思うと食欲が出ない、という言葉を私は飲み込み、「そんな
ことはない」と答えます。

「会社で何かあったんですか?」
「仕事は順調だ」
「それなら……」
「たいしたことじゃない」

私はわざと微笑を浮かべました。

「風呂場での絵梨子の様子を思い出していたんだ」
「嫌だ……」

妻は頬を薄赤く染めて顔を伏せます。

(何が「嫌だ」だ。このカマトトめ)

「絵梨子にあんなテクニックがあるとは思わなかったぞ。『壷洗い』
まで知っているとはな。すぐにでも堀ノ内で稼げるんじゃないか」
「堀ノ内、って何ですか?」
「知らないのか? 川崎の有名なソープ街だ」
「知りません……あなた、どうしてそんなことに詳しいの」

妻は怒ったような表情を見せます。

「詳しい訳じゃない。常識として知っているだけだ。絵梨子こそソ
ープ嬢が使うような技をどこで身につけた? 少なくとも俺は教え
た覚えはないぞ」

私は極力怪しまれないように、冗談を言うように言います。妻は一
瞬慌てたような顔になりましたが、すぐに落ち着きを取り戻します。

「さ、さあ……知りませんわ。たぶん、映画かドラマで見たのを覚
えていたのかも」

TVドラマでそこまでの描写をする訳がありません。映画としたら
ポルノですが、私の知っている範囲では妻がそのような映画を見た
ことはありません。

「そうか。俺の知らないところで絵梨子はエッチな映画やビデオ
を見て研究していたという訳か。絵梨子もなかなか隅に置けないな」
「エッチなビデオなんて見ていませんわ。あなたと一緒にしないで」

妻はそう言って頬を膨らませます。

「悪い悪い、さっきの絵梨子があまりに素晴らしかったので、つい
からかいたくなったんだ」

私はそれ以上追求すると墓穴を掘ると感じ、その話題は切り上げま
した。

私がそれほど鈍感な人間ではないということを示して犬山たちを牽
制しつつ、かつ彼らに警戒させないというのはなかなか困難です。
いずれにしてもこのままでは家の中での私の行動は大きく制限され
てしまいます。どうやって事態を打開すればいいのか。私は頭を悩
ませました。

「あなた……」

私は妻が呼びかけているのにも気づきませんでした。

「あなた」

妻の声が大きくなり、私はようやく気がつきます。

「どうしたんですか、ぼんやりして」
「いや、何でもない。それより何か用か」
「用ということはないんですがお願いが……」

妻は言いにくそうに話し始めます。

「実は来月また、PTAの役員会の旅行があるんですが……」
「来月? 旅行は先週の週末に行ったばかりじゃないか」

私はオンライン役員会を覗いていたため、ラグビー部OB会の慰安
旅行に藤村さんと妻が無理やり参加を承諾させられたことは知って
いますが、もちろん始めて聞いたような顔をしたのは言うまでもあ
りません。

「前回のは本部の役員だけの親睦旅行で、今度のは厚生部や文化部
の役員も含めた旅行なんです。本部役員として不参加というわけに
もいかず、あなたや浩樹にはまた不自由をかけて申し訳ないんです
が、参加させていただけないでしょうか?」
「……」

こうやって妻が夫である私に嘘をつく様子、私がまんまと騙される
様子もCCDカメラを通じて他の男性役員たちに実況中継されてい
るのでしょう。私は犬山たちのとんでもない悪趣味にあきれる思い
でした。

しかし今はそんな感情を表に出すわけにはいきません。私は苦汁を
飲むような思いで「わかった、行ってこい」と妻に告げました。こ
れを見ている犬山たちは私の愚かさを笑っていることでしょう。私
の心の中に彼らに対する復讐心がめらめらと燃え上がってきました。

  1. 2014/06/15(日) 01:32:37|
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役員会 第34回

ベッドに入ってからも私はなかなか眠ることが出来ませんでした。

妻は隣のベッドで小さな寝息を立てています。犬山たちのいたぶり
に精神的にも肉体的にも疲れきったのでしょうか。それとも、少々
のいたぶりは堪えないほどの図太さを身に着けたのでしょうか。

私はふと、食器棚の上におかれたワイヤレスCCDカメラは、私に
対する妻のメッセージではないかと考えました。

あれだけ分かりやすい位置に備え付けてあるということは、私に気
づいてくれといわんばかりです。もっとカモフラージュするなりし
て私に分からないように設置することも出来たはずです。私が家の
中での行動について慎重になるよう、わざと妻がそうしたのではな
いかと考えが浮かんだのです。

しかしカメラに気づいた私が、あれは一体なんだと妻を問い詰める
こともあり得ます。その場合妻はどうやって言い訳するつもりだっ
たのでしょうか。

それにCCDカメラが置かれていたからといって、犬山たちの悪行
の決定的な証拠にはならないのです。

(絵梨子は私に問い詰めてもらいたかったのかもしれない)

たとえ証拠はつかめなくても、妻がすべてを私に話せば無理やり役
員をやめさせることは出来るでしょう。肉体改造というおぞましい
運命を目の前にした妻は切羽詰まって、長尾との不倫も明るみに出
ることも覚悟の上で、私に何もかも告白出来るきっかけを待ってい
たのかもしれないのです。

今のところはどれも私の推測にとどまります。妻の本心を聞かない
限りは決定的なことは言えないのです。

(里美の意見を聞いてみるか……)

私はそう考え、無理やりに眠りにつきました。

翌日の水曜日は妻がパートの日で、オンライン役員会はないはずで
す。私がオフィスで落ち着かない気分で仕事をしていると、里美か
らメッセージが入りました。

「○○さん……」
「里美か、待っていた」
「そうなの? もう話してもらえないかと思っていた」
「どうしてだ?」
「だって昨日、奥様のことを……」
「ああ……」

里美は昨日、妻の告白を生々しく私に伝えたことを気にしていたの
でしょう。

「○○さんの奥様に対する気持ちを傷つけるつもりはなかったの」
「わかっている」
「昨日は、あれからどうだった?」
「色々あった……メッセンジャーで話すのは大変だな」
「わかった、私の部屋に来て」

里美はそう言うとメッセンジャーを終了します。私は画面を切り替
え、ライブチャットの里美の部屋に入りました。

「俺以外にライブチャットの客はとっているのか?」
「いいえ、最近は○○さんだけよ」
「それじゃあ、全然儲からないだろう」
「いいのよ。今のところそれほどお金に不自由していないわ」
「そりゃあ良いご身分だ、といいたいが、俺のために無理をしてく
れているんじゃないのか」
「お金なら取れるところから取るわよ。犬山たち4人からたんまり
慰謝料がもらえたら、分け前をいただくわ」
「そりゃあもちろんかまわないが……」

私は昨夜から気になっていることを里美にすべて話しました。

「里美はどう思う?」
「奥様の気持ちよね……難しいわね」

里美は首をひねります。

「○○さんは奥様を愛しているの?」

里美から意表を突く質問を浴びせられ、私は戸惑いました。

「なんだい、急に」
「大事なことよ、ちゃんと答えて」

私はしばらくの間じっと考え込み、やがて口を開きました。

「愛している」
「そうだと思ったわ」
「しかし、同時に憎んでいる」
「……」

私の言葉に里美の表情が引き締まりました。

「相反しているように思えるが、根っこのところは同じだ。逆を言
えば愛しているから裏切りを憎む。愛していない相手なら裏切られ
ても、寝取られて恥ずかしいとか男として体面が悪いということは
あっても憎むという感情はない。愛しているから憎いんだ」
「なんとなく分かるような気がするわ……」
「そうか?」
「○○さんは奥様をどうしたいの? 罰を与えたいの?」

里美の質問に私は再び考え込みました。

  1. 2014/06/15(日) 01:33:36|
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役員会 第35回

「そうかも知れない……」
「このままだと週末には奥様は道岡のクリニックでとんでもない目
に会わされることになるのよ。それでも良いの? それは○○さん
が考えている罰の範囲なの?」
「妻を罰するのなら、俺自身の手で罰したい。しかし、証拠がない
んだ」
「週末までに証拠が確保できなければどうするの?」
「わからない……」

里美は画面の中でため息をつきます。

「○○さん、たとえ奥様が○○さんを裏切っていたとしても、今は
緊急避難が必要よ。まず奥様を当面の危機から救うことを優先させ
るべきじゃないのかしら」
「どうやって? 絵梨子に役員を辞めさせるのか? 理由がないぞ」
「それは……なんとでもなるんじゃないの。身体を壊したとかなん
とか言えば……」
「里美、これは絵梨子だけの問題じゃない。奴らはこれまで同じよ
うなことをして多くの女性を毒牙にかけている。たとえ絵梨子が救
われたとしても藤村さんにその分犠牲が大きくなるに決まっている。
それに奴らはこれからもこういった悪行をやめないぞ」
「それはそうかも知れないけど……」
「そうかも知れないじゃなくて、そうに決まっている」
「それなら○○さんは奥様の身体が……その……改造されても良い
というの?」
「良いとは言っていない。だから悩んでいるんだ」
「わかったわ。今これ以上議論しても結論は出そうにないから、別
のことを考えましょう……あれ?」
「どうした?」
「藤村さんがアクセスしてきたわ」
「なんだって」
「今日は○○さんの奥様はパートの日だからアクセスはしないだろ
うけど、藤村さんは専業主婦だからひょっとしてと思って、オンラ
イン役員会のシステムにずっとつなぎっぱなしにしていたの」

私は急いで会議システムを立ち上げ、B高校PTAのオンライン役
員会にアクセスします。里美の言う通り、画面には見覚えのある藤
村さんの姿がありました。

いや、正確には藤村さんが今画面で晒しているような姿をしている
のには見覚えはありません。藤村さんは素っ裸で椅子の肘に両足を
乗せたM字開脚の姿を晒していたのです。

藤村さんの股間はまるで童女のように翳りを失っています。両手は
乳房を下から掬い上げるようにマッサージしています。

藤村さんはちょっと釣り目の日本風な顔立ちですが、着やせするの
か身体は意外と豊満です。自らの手で揉みしだかれている大きな乳
房が揺れる音が聞こえてくるような錯覚に陥ります。

「何これ……」

里美の呆れたような声が聞こえます。会議システムにログインして
いるにもかかわらずうっかり声を出してしまったようです。藤村さ
んはいきなり女の声が聞こえたのに驚いて乳房を揉む手を止め、き
ょろきょろ周りを見回しています。

「馬鹿、声を出すな」

私は慌ててメッセージを打ち込みます。

「……ごめんなさい」

里美は思わず興奮してしまったのでしょう。私も相当驚いたのは事
実です。念のために私と里美はマイクを切断しました。

その時、犬山がログインしてきました。

「奥さん、駄目ですな。今日はちゃんと最初からオッパイマッサー
ジをしておくようにいったでしょう」

続いて毛塚がログインします。

「そうですよ。今週末はいよいよお楽しみの豊胸手術ですからね」

最後に橋本と道岡がログインします。

「よーくデカパイの皮膚を伸ばしておかないと困るのは奥さんです
よ」
「そうですよ。大事なオッパイが弾けてしまっても我々は知りませ
んからね」

4人の男たちは一斉に笑い出します。

「あ、あの……今、女の人の声が……」

藤村さんがおろおろした声を出します。

「……まずい」

私は顔をしかめます。

「女の人の声? そんなものは聞こえるわけないじゃないですか」
「そうですよ、今日は○○さんの奥さんは役員会は欠席ですから
ね。オッパイを揉んでいるうちに気持ちよくなって、自分で声を
あげたんでしょう」

男たちはそう言って笑います。私はほっと胸をなでおろしました
が、次の男たちの言葉に凍りつきました。

「そろそろ○○さんは長尾先生とお楽しみですかね」
  1. 2014/06/15(日) 01:34:33|
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役員会 第36回

「2人にとっては久しぶりのデートですからね。思う存分腰を振
り合っていることでしょう」

4人は声をそろえて笑います。

「○○さんも包皮切除手術を受けたら3週間はセックスできません
からな。長尾先生は絵梨子のマンコが真っ赤に腫れるまで突きまく
ってやると張り切っていましたよ」

私はあまりのことに言葉も出ません。マイクを切っているはずの里
美までが息を呑んでいるような錯覚を感じました。

「そうそう、今日の○○さんと長尾先生のデートには、藤村さんの
愛する西岡先生も飛び入り参加しているようですよ」

犬山の声に藤村さんははっとした顔を上げます。

「おや、やはり西岡先生のことを言われる時になるようですね」
「心配しなくても明日は奥さんの番です。西岡先生も長尾先生と2
人がかりで奥さんのデカパイをたっぷり絞り上げてやると言ってい
ましたよ」
「ああ……」

藤村さんは苦しげに目を閉じて、男たちの言葉が耳に入るのを拒む
ように首を振りながら、自虐的なまでに荒々しい乳房マッサージを
続けます。藤村さんの大きな乳房が手の中で捩れ、変形していきま
す。

「そうそう、そんな風にデカパイが醜く形が変わるまでしっかり揉
むのですよ」
「奥さんのとりえは乳がでかいくらいなんだから。今でもGカップ
はありそうですが、目標はKカップですからね、思い切りオッパイ
の皮膚を伸ばしてもらわないと」
「しかし、デカパイ女は頭が足らないといいますが、奥さんの場合
はまさにそれが言えていますな。イケメンの西岡先生に誘われると、
節操もなく股を開いてしまうんですから

男たちは口々に藤村さんにからかいの言葉を浴びせます。藤村さん
の目尻から一筋、二筋、悔し涙が流れます。

「○○さん……大丈夫?」

呆然と画面を見つめている私に里美からのメッセージが入りました。

「あ、ああ……」

私はようやく我に返り、返事を打ちます。

「大丈夫だ……というよりはもう少々のことでは驚かなくなった。
気持ちが麻痺しているのかもしれない」
「奴らの言っていることが本当かどうか、確かめる方法はあるの?」
「絵梨子は今日、パートに出ているはずだ。勤務時間はたしか午前
9時15分から午後5時まで。いつも6時には家に着いている」
「長尾と会おうとすれば、帰りが遅れるはずね?」
「それはない……今日は息子の浩樹の塾がある日だ。絵梨子はいつ
も夕食の用意をしたら車で迎えに行っている。6時には必ず帰って
くる」
「すると……今日がパートだということが嘘なのか、それともパー
トを早退して長尾と会っているのか……」

私はPCの画面の右下に表示されている時計を見ました。デジタル
の時計はすでに14時半を示しています。

「里美、頼みがある」
「何?」

画面の中では藤村さんが片手で激しく乳房マッサージを続けながら、
もう一方の手を股間に持っていき、オナニーを開始していました。
2本の指を蜜壷に沈め、藤村さんは「ああっ、ああっ」と切ない喘
ぎ声を上げ始めます。

「絵梨子のパート先の電話番号を教えるから、電話をかけてくれな
いか? 絵梨子が職場にいるかどうかを確かめてくれ」
「どうして○○さんがかけないの?」
「俺が疑っている……少なくとも何かを怪しんでいることをまだ絵
梨子に知られたくないんだ」
「わかったわ……でも、なんて」

妻の友人のふりをしてもらおうかと思いましたが、もし妻が不在だ
った場合、電話をとった人間が後で妻に伝えると話がややこしくな
ります。

「俺の証券会社の担当が山下さんという女性だ。絵梨子の口座も管
理してもらっている。その人が休みだから、代わりに電話をかけた
といってくれ。そうすれば怪しまれないし、後にもひかないだろう」
「もし奥さんがいたらどうしたらいいの?」
「適当に投資信託のセールスでもやってくれ」
「無茶を言うわね」

里美は呆れながらも、仕方ないわねといって電話をかけます。藤村
さんはいつのまにか黒光りするバイブレーターを握り、激しく蜜壷
に抽送させています。

「ああ……いい……いっちゃいそう……」
「さすがに先輩だけあって、○○さんに比べると度胸たっぷりのマ
ンズリですな」
「でも、なんとなく新鮮さが薄れてきましたよ。私は○○さんの恥
じらいっぷりの方が好きですな」
「それもこの週末までですよ。クリの皮を剥かれたらどんな女だっ
て色情狂同然になりますよ」

4人の男たちはそう言うとさも愉快そうに笑いあいます。

  1. 2014/06/15(日) 01:35:24|
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役員会 第37回

男たちのとんでもない会話を聞きながら、私は腹が立つよりは妻の
ことについての不安で胸が押し潰されそうになっています。じりじ
りしながら里美が電話をかけるのを待っていると、ようやく里美か
らメッセージが入りました。

「お待たせ」
「どうだった」
「○○さんの奥さん、急用が出来たって言って1時前に早退したそ
うよ」
「なんだと」

私は全身の力が抜けていくのを感じました。

長尾との不倫関係については、オンライン会議の場で男たちから聞
いているだけでしたので、半信半疑といったところもありました。
仮に妻が長尾と関係を持っていたとしても、無理やり持たされてい
たのを不倫といわれているのかもしれない。仮に不倫関係であって
も、もう完全に終わっていることだ。そんなことで私は自分を誤魔
化してきたのです。

しかし今日、妻が長尾と会っているとしたら不倫関係は終わってい
ないということになります。画面の中では藤村さんの嬌声が響いて
きました。

「ああっ、尚子、いっちゃう、いっちゃいますっ」
「実にはしたない奥さんだ」
「どうせいくのなら西岡先生の名前を呼びながらいきなさい。わか
りましたね」
「は、はいっ」

藤村さんは切羽詰ったような声をあげるとブルッ、ブルッと裸身を
震わせます。豊満な乳房が波打つように揺れました。

「ああっ、け、啓太郎さんっ、尚子、いっちゃいますっ」

藤村さんはほざくようにそう言うと、蜜壷に含ませた黒いバイブを
しっかりと喰い占めながら昇天しました。

妻も今あんな風に、長尾の肉棒を食い占めながら何度も何度も気を
やっているのだろうか、と思うと居たたまれない気持ちになります。

「……里美、後を頼む」
「え、えっ? またなの」
「すまない……」
「いいけど……どうするの? 仕事?」
「いや、今日は会社には悪いがとても仕事をする気になれない」
「わかったわ……それじゃあ」

私はオンライン役員会からログオフしました。藤村さんの痴態をこ
れ以上見ていると妻のことが生々しく連想されて、耐えられそうに
ないのです。

私は部屋を出るとアシスタントの女性に、今日はこれから客先を回
ってから直帰するといって会社を出ました。もちろん客先回りの予
定などは在りません。

私の足は自然と家に向かいます。しかし、帰ったからといって妻の
不倫の証拠をつかめるわけでもありません。妻は通常のパートがあ
る日の予定通りに帰宅することでしょう。そして時間に妻に電話を
かけたのはあくまで私ではないのです。妻と長尾がホテルから出て
くるところでも押さえない限りは無理です。

(ホテル……)

ふと、私の頭の中にひらめきました。たしか里美の話によると、妻
と長尾は厚生部の懇親会がある日、一次会が終わったら抜けてラブ
ホテルで落ち合ったといっていました。今日も同じホテルを使うの
ではないでしょうか。

(里美が何か手がかりを持っていないだろうか)

私は里美の携帯の番号すら知りません。ライブチャットとメッセン
ジャーだけが里美との接点なのです。私は会社に引き返し、不思議
そうな顔をして私の顔を見るアシスタントの女性に「忘れ物だ」と
告げると、部屋に入ってPCを立ち上げました。

「どうしたの? ○○さん?」
「里美、絵梨子と長尾が行ったラブホテルについて何か覚えている
ことはないか?」
「いきなりそう言われても……」
「場所とか、名前とか」
「そんなことは言っていなかったわ……待って」

里美は何か思い出したようです。

「確か……コスプレをさせられたとか言っていたわ。それに変な椅
子に固定されて虐められたって……」
「何っ」

私は妻が破廉恥な格好をさせられてSMで使うような椅子に縛り付
けれている姿を想像し、頭がかっとなります。

「ちょっと検索してみるわ……○○さんの息子さんの学校の位置か
ら考えると、
C駅周辺が有力ね……あった、これかも」
「どこだ」
「ホテル十番館、コスプレ衣装のレンタルとアダルトグッズ、拘束
椅子まであるわ」

里美のメッセンジャーに表示されたホテルのURLを開きます。地
図と住所が載っているページをプリントすると、私は里美へあわた
だしく礼を言い、再び会社を飛び出しました。
  1. 2014/06/15(日) 01:36:13|
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役員会 第38回

「ホテル十番館」はターミナル駅の前を走る大きな環状道路の、コ
ンビニの角を二筋入ったところにありました。

幸い斜め向かいには小さな公園があり、樹木を目隠しに利用して張
り込むことは出来そうでした。

私が「ホテル十番館」の近くについた時にはすでに午後3時半にな
っていました。

(1時に会社を出たということは、1時半過ぎにはホテルに入れる。
家に6時までに帰ろうかとするとホテルは5時前には出ないと苦し
い。絵梨子が使える時間は3時間強か……)

妻と長尾(今日はさらに西岡が加わっているようですが)がどのよ
うな時間配分をするのか私は考えていました。

(ホテルでたっぷり3時間使うか……それとも……)

私は煙草を吸わないので、コンビニで買った缶コーヒーをすすり、
雑誌に時折目を落としながらホテルの入口を見張っていました。

私は役員とはいっても、小さな所帯の会社ですから営業担当を兼ね
ています。私は取材用のデジカメを取り出し、ラブホテルの出口に
レンズを向けてズームをかけてみました。

距離的には問題ありません。車で来ているのでない限りは、妻と長
尾がラブホテルから出てくるところを確実に撮影することが出来そ
うです。

2人がお酒が入る厚生部の懇親会終了後にいつも使用していたホテ
ルですから、車で来る習慣はないのではないか、と私は予想してい
ました。

(今頃絵梨子は……)

長尾と西岡に後ろから前から凌辱の限りを尽くされているのではな
いかと思うと、胸が焼けるような苦しみを覚えます。ホテルにはコ
スプレ衣装やアダルトグッズ、さらに拘束椅子まで備え付けられて
いるということが私の想像力をかきたてました。

いっそラブホテルに飛び込み、妻を救い出したいという気持ちに駆
られます。しかし、そんなことをしてももちろん、妻たちの部屋が
わかるわけはありません。

妻と長尾がホテルから出てくるところを押さえたところで、不倫の
証拠にはなるかもしれませんが、その背後にいると思われる犬山達
に鉄槌を食わせることは出来ません。それよりも長尾との関係が私
に発覚してしまうことでかえって妻を追い詰めてしまうことになる
かもしれないのです。

しかも、私の行動が犬山達を警戒させることになるかも知れません。
私は今この場で妻と長尾の不倫の証拠を押さえるのが正しい行動な
のか、分からなくなってきました。

(どうする……今、妻と長尾がホテルから出てきたら、俺はどうし
たらいいんだ……)

私は頭を抱えます。

まさに袋小路です。妻が蟻地獄に落ちようとしているのに何一つ打
つ手がない。

いや、蟻地獄に落ちようとしている蟻を残酷な笑みを浮かべながら
見守ろうとしている私がいるのです。私を裏切った妻はそれくらい
の報いを受けても当然だ、という悪魔の囁きが私の頭の中に響きま
す。

そんなことを考えていると、「ホテル十番館」の出口から一組のカ
ップルが現れました。

(……!)

私は反射的にデジカメを向けますが、出てきたのは見知らぬ中年男
女だということに気づき、胸を撫で下ろします。

一安心した私ですが、カップルの後に30歳前後の男が現れたので、
再び身構えます。男はきょろきょろ当りを見回しています。私は男
に気づかれないよう、必死で樹の陰に身体を隠しました。

回りを確認した男は、ホテルの出口の方を振り向くと何事か合図を
します。男の後に一組の男女が現れました。

(……絵梨子)

男はやはり30歳くらいのがっちりした体型で、ラフなカジュアル
のシャツにパンツという姿です。女は6月も後半になるにもかかわ
らず、膝の下まで丈のあるコートを身につけています。女は大きめ
のサングラスをかけていましたが妻の顔をよく知っている私にとっ
てはそれくらい変装にもはいりません。

私はデジカメを構え、2人がホテルから出る瞬間を撮影します。小
さなシャッターの電子音が響きますが、妻たちの位置までは聞こえ
なかったようです。

長尾と思われる男は妻の耳元に口を寄せ、何ごとか囁きます。妻は
しばらく逡巡しているようですが、諦めたようにうな垂れるといき
なりコートの前をはだけました。

私は目を疑いました。コートの下の妻は一糸まとわぬ全裸だったの
です。
  1. 2014/06/15(日) 01:37:04|
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役員会 第39回

妻は両手でコートの前を開いたままホテルの前の道を歩き始めまし
た。私はしばらくの間呆然と妻の姿を眺めていましたが、やがて再
びデジカメを構えました。

シャッターボタンを押す指が思わず震えます。驚き、怒り、悲しみ、
戸惑い、嫉妬……様々な感情が私を次々に襲ってくるようです。妻
は私が隠れている樹の陰のすぐ近くを通りましたが、夢遊病にかか
っているような表情の妻は私がいることには気づきません。

妻は道の端まで行くと、そのままUターンして戻ります。私は憑か
れたようにシャッターボタンを押し続けました。

ホテルの前で待っている長尾の前に戻った妻は、長尾の腕の中にふ
らふらと倒れ込みました。長尾は妻をしっかりと抱き締めると唇を
奪います。妻の両腕が長尾の首の周りに回されるのを信じられない
思いで見ながら、私はシャッターを切ります。

もう独りの、西岡と思われる男は見張りに徹しているようで、ホテ
ルの前の道を通る人間がいないか確認していますが、私が潜んでい
る公園にまでは神経が回っていないようです。

ラブホテルの前だけあって、人どおりは多くないようです。長尾は
しきりに妻に何事か囁いていますが、妻は必死で首を左右に振り、
長尾の言うことを拒んでいるようです。長尾は苛立ちの表情を見せ
るといきなり妻の頬を平手打ちしました。

「パシッ」という音が響き、私は反射的にシャッターを切りました。
妻がひるんだところを長尾が押さえ込み、コートを脱がそうとしま
す。妻は両手でコートの布地をつかんで抵抗しますが、西岡までが
暴虐行為に加わり、とうとう妻は青天井の下でハイヒールとサング
ラス以外は何も身につけない全裸にされました。

長尾が「行けっ」と声を上げ、妻のヒップをパシリと叩きます。妻
は先程とは逆方向にふらふらと歩きました。全裸の妻が豊満な尻を
揺らしながら、誰が通るか分からない道路を歩かされている。私は
夢を見ているような気持ちがしました。

気が付くと妻が道の逆の端でUターンし、こちらへ戻って来ます。
長尾が携帯を取り出すと、妻の写真を撮り始めました。それに気づ
いた私も三度カメラを構えます。

夜、私とセックスする時でも決して電気をつけさせないほどの恥ず
かしがり屋の妻が、まるで露出狂のように全裸で公道を歩かされて
いる。妻の頬は興奮のためか明らかな紅潮を示しています。私はい
つしか股間の肉塊がズボンを突きあげんばかりに硬直していること
に気づきました。

再び長尾のところに戻って来た妻は、興奮を訴えるように長尾にし
がみつきます。

「……濡れて……絵梨子は」
「……あなたが……こんな……」

というような声が切れ切れに聞こえてきます。

長尾は妻のサングラスに手をかけると、さっと外します。妻の素顔
が遂に露わになりました。

「……!」

妻は何ごとか叫ぶと長尾の肩先に顔を埋めます。素顔を晒された羞
恥からそのようなポーズをとったのかもしれないのですが、私には
妻がこみ上げてくる情欲を長尾に訴えているように見えました。

長尾は妻に熱い接吻を注ぎ込むと、再びせきたてるように妻の尻を
叩きます。妻は全裸のままふらふらと歩き始めました。私は頭の中
が真っ白になり、ひたすらシャッターボタンを押しつづけます。

私の前を通って道の端まで行った妻は、くるりと方向を変えると引
き返してきます。妻が長尾のところにたどり着くと同時に、道の反
対側に車の影が見えました。西岡の合図に長尾は慌てて妻にコート
を着せ掛けます。2人の男は妻を両脇から抱えるようにして、ホテ
ルの中へ戻っていきました。

時計を見ると午後4時少し前を指していました。随分長いように思
えましたが、実際に妻が露出行為を演じていたのは10分ほどでし
ょう。

私はデジカメをカバンにしまうとその場を離れ、駅に向かいました。
その場から逃げ出してしまいたいという気持ちで一杯でした。

長尾達はホテルの部屋は押さえたままなのでしょう。2時間近くに
わたって長男と西岡に抱かれた妻は、男たちが回復するまでの刺激
剤として外へ連れ出されたのでしょうか。露出プレイで興奮した男
たちは再び妻を責め立てているのでしょうか。ホテルの中で演じら
れている3人の痴態を想像すると、私は気が狂いそうになります。

しかし、私にとってショックだったのは、露出行為を強いられなが
らも陶然とした表情で長尾にしなだれかかる妻の姿でした。私には
見せたことのない妖艶な姿を、他の男に見せている──私は夢の中
を歩いているような心地でいつの間にか家に着いていました。

家に帰ってもしばらくの間、私は今しがた見た光景が現実のもので
はなかったのだろうかという思いで一杯でした。それを確認するた
めにパソコンを立上げ、デジカメのSDカードを取り出してカード
ドライブに装填します。写真加工ソフトが自然に立ち上がり、カー
ドのフォルダの中のファイルのサムネイル画像が画面一杯に表示さ
れます。

私はその中の一枚をクリックし、絶望にうめきました。最新型のデ
ジカメはシャッターボタンを押すときの私の指先の震えを見事に補
正しており、道の真中で全裸で長尾と抱き合う妻の姿を見事なまで
に映し出していました。

  1. 2014/06/15(日) 01:37:51|
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役員会 第40回

私はプリンターに写真用の印刷用紙をセットし、デジカメで撮った
画像をプリントして行きます。排紙トレイにから妻の痴態が次々に
吐き出されて行くのを見ながら、私は先程見た光景が夢ではなく現
実のものだったのだとぼんやり感じていました。

玄関の鍵をガチャガチャ捻る音がした後、チャイムが続けざまにな
りました。その音で我に返った私は玄関に向かいます。

無意識のうちに内鍵をかけていたようです。扉を開けると驚いたよ
うな顔をした妻が立っていました。妻はベージュのサマーセーター
にグレーのパンツ、足にはハイヒールではなく、踵の低いウォーキ
ングシューズをはいています。もちろんコートは着ていません。

「あなた……帰っていたのですか」

私は無言で頷きます。妻は不安そうな表情を顔に張り付けたまま家
に入ります。

「身体の具合でも悪いのですが?」
「いや……」
「顔色がすぐれないようですが……7時には浩樹を迎えに行かなけ
ればいけませんのでそれまでに夕食の支度をします。少し待ってい
てください」
「ああ……」

私は生返事をするとソファに座り込みます、妻は手早く上だけ普段
着のTシャツに着替え、エプロンを身につけると夕食の支度を始め
ます。私はグレーのパンツに覆われた妻のヒップをぼんやり眺めて
いました。

妻は胸は小さめですが、尻は逞しさまで感じさせるほどの大きさで、
むっとするような女っぽさをたたえています。大きめの尻が好きな
私にとって妻のそれは理想と言って良く、それだけに長尾がまるで
妻の尻を自分の所有物であるかのように気軽に平手打ちしていたこ
とが許せません。それは私にとっては妻と長尾が関係をもったこと
以上に腹立たしいことなのです。

それにしても先程まで若い愛人と変態的なプレイに浸りながら、一
時間も経たないうちに家庭の主婦の顔に戻り、子供の食事の支度を
する妻の心理は一体どういうものなのでしょう。私は妻の厚顔さに
怒りがどんどん増していきます。

食事の用意を終えた妻がふと時計を見上げます。妻はこちらを振り
向くとエプロンを外しながら私に話しかけます。

「浩樹を迎えに行きます」
「ああ……」

妻は何か言いたそうに口を開きかけましたが、すぐに口を閉じると
玄関に向かいました。やがて車の発進音が聞こえます。

自分の部屋に戻ると、プリンターの排紙トレイには30枚ほどの印
刷済み用紙が溜まってたまっていました。

デジカメも性能が良くなり、サービス版サイズの写真用印刷用紙で
プリントすると、銀塩写真とほとんど変わりはありません。私は気
分が悪くなるのをこらえながら次々に写真をチェックし、決定的だ
と思われるものを数枚選び出すと、その画像について大きなA5サ
イズの用紙で印刷しました。

さらにその写真を茶色い、無地の封筒の中にしまうとSDカードの
中の画像ファイルをPCのハードディスクにバックアップし、カー
ドからは削除します。

そうこうしているうちに妻が帰って来たようです。居間から妻と浩
樹が話す声が聞こえて来ます。しばらくの後、妻が私を食事に呼び
に来ました。

「あなた、折角早く帰って来たのですから、浩樹と一緒に食事をし
ませんか」
「いや……いい」
「食欲がないのですか」
「今は食べたくないんだ」
「でも……浩樹も話があるようで……」
「放っておいてくれ」

妻はショックを受けたような表情になり、次に悲しげに歪みます。

「わかりました……」

妻は小さな声でそう言うと扉を閉めました。少し経って居間から再
び浩樹と妻の声が切れ切れに聞こえます。

「お父さんは……」
「疲れて……2人で……」

私は不意に涙が込み上げるのを感じました。

妻のあのような悲しそうな顔を見るのはいつ以来でしょうか。結婚
することで初めて親元を離れた妻は新婚当初、何かと心細いようで
しきりに私を頼る態度を見せました。若かった私は当時任されてい
た大きな仕事で頭が一杯で妻を構う余裕がなく、つい邪険にしてし
まいました。

ある日強い言葉を妻に投げかけた時、妻がちょうど先程のような表
情をしました。私はその後ずっと頭の中から妻のその悲しげな顔付
きが離れませんでした。その時の後味の悪さから、これからは決し
て妻にあのような顔をさせまいと心に誓ったのです。

しかしその時私は、妻のその表情の意味が本当にはわかっていなか
ったのだと思います。私の悲しみの大半は、妻から裏切られたと感
じたことが占めていました。
  1. 2014/06/15(日) 01:38:40|
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役員会 第41回

浩樹は食事を終えて部屋に戻ったようです。私は風呂に入るとダイ
ニングに向かいました。妻は食事を取らずに私をずっと待っていま
した。

「待っていたのか? 先に食べれば良かったのに」
「あなたと一緒に食べたかったから」

そんな妻の言葉も私は素直に聞けません。すべてが自分の裏切りを
ごまかすためのように思えるのです。

妻は私の好物を何品か作り足したようです。しかし、これが妻と一
緒に取る最後の食事になるかもしれないと思うと、味も良く分かり
ません。

「ごちそうさま」

妻とほとんど言葉を交わさないまま食事を終えた私は、箸を置いた
妻の目を見て話し出しました。

「絵梨子、話がある」

妻の顔に緊張が走ります。私は席を立つと部屋から茶色い封筒を持
って来て、妻に渡します。妻は脅えたような表情で私を見ます。

「中を見ろ」

妻は封筒を開けて中の写真を取り出します。妻の指先が小刻みに震
えているのが分かります。写真を確認した妻の顔が愕然となりまし
た。

「どうして……」

妻の唇が震えています。私は何も言わずに妻の瞳をじっと眺めてい
ました。妻が耐えられなくなったように目を伏せます。

「ごめんなさい……」

妻の目から涙が零れ落ち、プリントされたばかりの写真を濡らして
いきます。涙はテーブルの上にまで滴り落ちました。

「何か他にいうことはないのか?」

妻はしきりに首を左右に振っています。しばらく私たちは無言のま
ま向かい合っていましたが、今度は私の方が沈黙に耐えられなくな
り、立ち上がりました。

「あ……」

妻が顔を上げて、何か言いたげに口を動かしました。妻の瞳は涙で
濡れています。扉を閉じると、背後に妻のすすり泣く声が聞こえて
きました。私はその声を振り切るように寝室へ向かいました。

ベッドに横たわった私は妻が口走った「どうして」という言葉につ
いて考えていました。

「どうして……気づいたのか」
「どうして……責めないのか」

妻は何を言いたかったのでしょう。

私はどうして妻の不倫に気づいたのか、また手渡した写真は私が撮
影したものかどうかすら話しませんでした。妻は今頃不安に苛まれ
ているでしょうか。

現在犬山達にどんな目にあっているにせよ、長尾との不倫は妻の私
に対する裏切りです。「ホテル十番館」の前で妻と長尾の痴態を目
撃したショックを思えば、妻が不安に苛まれようが自業自得といえ
ます。

しかし、私は妻の涙が頭から離れませんでした。

結婚当時、私しか頼るものがいなかった妻。妻を決して泣かせない
というのが私の信念でした。今日、妻が滂沱の涙を流すのを見た私
はなんともいえぬ後味の悪さを感じたのです。

犬山達に凌辱されるのも確かに腹立たしいことですが、それはいず
れ彼らにまとめて復讐すればよいことです。長尾に対する報復も同
時に行えばよいでしょう。私はこれ以上妻から、妻自身の意志で裏
切られる辛さに耐えることは出来ませんでした。

(しかし、これで妻はもう二度と長尾に会うことはないだろう……)

犬山達との問題は何一つ解決していません。しかし、私は今日、妻
と長尾の不倫を潰したことで妙に安心してしまい、いつの間にか眠
りに落ちていきました。

翌朝目覚めると、隣のベッドに妻の姿はありませんでした。朝食の
支度をしているのかとキッチンを覗きましたが、そこにもいません。
私はダイニングテーブルの上に一枚のメモが置かれているのを見つ
けました。

(ごめんなさい 絵梨子)

家の中、マンションの外、私は必死で探しましたが、妻の姿はどこ
にも見つかりませんでした。

私は昨日妻が「どうして……」と言った後の妻の唇の震えを思い出
していました。私はその唇の形が、ある言葉を示しているのだとい
うことに思い至りました。

(どうして……助けてくれなかったの)
  1. 2014/06/15(日) 01:39:36|
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役員会 第42回

私はとにかく会社に向かいました。昨日、仕事を途中でほうり出し
て来たのが気になっていたこともありますが、妻がいなくなったこ
とについてそれほど深刻に受け止めていなかったせいもあります。

妻は私に不倫を知られたことにより混乱し、発作的に家を飛び出し
たのではないかと思っていました。また、その行き先も長尾の部屋
ではないだろうとも思っていました。なぜなら、長尾が妻に対して
本気だとは思えなかったからです。

昨日の長尾の妻に対する態度はあくまで露出プレイの相手としての
それであり、愛情は感じられませんでした。したがって、妻が長尾
の部屋に転がり込んでも迷惑以外のなにものでもないでしょう。そ
れがわからない妻ではないと私は思っていたのです。

行き先は友人のところか、実家か、それとも一人でホテルに泊まっ
ているかのどれかだろうと思いました。そうで有る限りいずれは帰
ってくるはずです。

私は仕事の合間に何度か妻の携帯に電話をしましたが、電源が切ら
れているようでつながりません。昼過ぎに念のためにオンライン役
員会に接続して見ましたが、今日はだれもアクセスしていないよう
です。

次第に不安になってきた時、里美からメッセージが入りました。

「○○さん、あれからどうなったの?」
「絵梨子のことか?」
「当たり前よ。それ以外に何があるの?」
「そちらこそ、役員会の方はどうだったんだ?」
「ああ……最低よ……」

里美は私が飛び出した以降の役員会の模様を話します。藤村さんは
バイブを使って激しいオナニーショーを演じさせられてから、前回
の続きということで彼女の趣味であるフラワーアレンジメントの素
材を使って、陰部や肛門での生け花を演じさせられたそうです。

「まったく、とんでもない変態たちだわ」
「週末の話は何かしていなかったか?」
「豊胸手術を受けることを誓わされていたわよ。手術は○○さんの
奥さんの……その……肉体改造の後で行うって」

里美は思い出すだけでも腹立たしいのか、あまり詳しくは語りませ
ん。

「それで、奥さんはどうなったの?」
「それが……」

私は昨日「ホテル十番館」で目にした光景、その時の行動、そして
帰宅してからの妻とのやり取りについて話します。里美はじっと聞
いていましたが、私の話が終わるや否や怒声を上げます。

「馬鹿っ」

私は驚きのあまり言葉を失います。

「馬鹿っ、○○さんの馬鹿っ」
「……里美」
「どうして奥さんを助けて上げなかったの」
「助けるって……間男との情事の場に踏み込むのが絵梨子を助ける
ことになるのか」
「そんなことを言っているんじゃないわ。長尾と犬山たちはぐるだ
ということを○○さんも分かっているでしょ」
「しかし……証拠がない」
「証拠、証拠って、○○さんは警察か何かなの? ○○さんの子供
が目の前で溺れていたとして、子供が誤って水に落ちたのか、誰か
に突き落とされたのか証明できないと助けられないの?」
「そんな……それとこれとは違う」
「違わないわよっ」

里美の叫び声がヘッドホンの中に響く。

「奥さんは人前で裸にされるのを悦ぶような人なの? ハイヒール
だけの真っ裸で歩かされるのを進んでやるような人なの?」

里美の声は泣き声になっています。私の声も自然大きくなります。

「そんなことはない……」

私は言葉を詰まらせました。

「……と……思う」
「何よ、と、思うって」
「わからないんだ……」

私は頭を抱えます。

「絵梨子と結婚して20年近くにもなるが、昨日のような絵梨子を
見たのは初めてだった。俺が知っている絵梨子とは違う女に見えた」
「○○さん……」

里美はさすがに興奮を鎮めます。

「ごめんなさい……」
「いや、いいんだ。里美の言うとおりだ」

私は里美に叱責されて、大事なことを思い出したような気がしまし
た。

「とにかく、絵梨子を探さなければ……」
  1. 2014/06/15(日) 01:40:23|
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役員会 第43回

その日も、次の日も妻を捜しましたが見つかりません。携帯にかけ
ても電源がきられているようで繋がりません。妻が行きそうなとこ
ろ、友人の家や実家に連絡してみたのですが、すべて空振りでした。

長尾のマンションに転がり込んでいるのではないかと、妻のPCか
らPTA役員の名簿を引っ張り出し、長尾の住所を調べ、金曜の午
後には会社を早く抜けて周囲を張り込んでみたりしたのですが、妻
がいる気配はありませんでした。

里美も「出来る限りのことはしてみる」と言ってくれ、なにやら自
分のネットワークを使って調査をしているようですが、これといっ
て成果はありませんでした。私は里美に携帯のメールアドレスを教
え、何かわかったら連絡してくれるように頼みました。

金曜の夜遅く、焦燥しきった私が家に着くと、浩樹がまだ起きてい
ました。

「お父さん、お母さんは一体どこへ行ったの?」
「少しお父さんと喧嘩したから、実家に帰ったんじゃないかな……」

私は浩樹に、自分の母親がどんな状況に陥ったのかを知られまいと、
誤魔化します。

「おばあちゃんの家に電話したんだけど、お母さんはいなかったよ」
「そうか……」
「おばあちゃんも心配していた。どこにいるんだろう、って」
「実家の近くの友達のところに行っているんじゃないのかな。まあ、
いずれ帰ってくるさ」
「警察に届けたりしないでいいの?」

浩樹の顔は不安に翳っています。

「夫婦喧嘩くらいでいちいち警察に届けていたら、警察も忙しくて
しょうがない。週末には帰ってくるだろう。心配しなくていい」

私はそう言いましたが、浩樹は納得しなかったようです。不安な表
情のまま自分の部屋へ戻っていきます。

(絵梨子……どこだ)

私は妻を追い詰めてしまったことが後悔してなりません。まさか自
殺でもしているのではと思うと、胸が締め付けられそうな気持ちに
なります。

次の日は土曜日、その次の日はいよいよ妻が「肉体改造」をされる
役員会の日です。水曜日以来オンライン役員会は開かれていません。
姿をくらました妻も明日には犬山達の命令通り、道丘のクリニック
に現れるのでしょうか。

浩樹を学校に送り出してから、私は手詰まりから、いっそ長尾と対
決しようかとまで考えていました。その時、携帯に着信音がありま
した。里美からのメールです。

「すぐにオンライン役員会にアクセスして」

私は急いで妻のPCを立ち上げると、言われたとおり役員会にアク
セスします。そこには毛塚、橋本、道岡といった3人の副会長がす
でにアクセスしていました。

「夕べ犬山さんに急に連絡がありましたが、何ごとですかね」
「どうせ明日には集まるんですがね」
「私はわざわざこのために休日出勤ですよ」

3人は犬山に呼ばれたようですが、本人がまだアクセスしていませ
ん。画面に里美のメッセージが現れました。

「○○さん」
「里美」
「何か手がかりがつかめるかと思って、ログインしっぱなしにして
いたの。そうしたら連中が急にアクセスしてきて」
「何が始まるんだ?」
「彼らもまだよく知らないみたい……あっ」

その時、犬山がログインしてきました。犬山はいつものようにオフ
ィスからとは違い、ホテルの一室からアクセスしているようです。

「皆さん、おはようございます。急にお呼び立てして申し訳ない」
「どうしたんですか、会長」
「明日の役員会に何か不都合でも生じたんですか」
「いや、不都合というほどでもないんですが、ちょっとしたアクシ
デントがありましてな。○○さんの奥さんの不倫が旦那にばれてし
まったのです」
「なんですって」

男たちは驚きの声を上げます。

「いや、ご心配なく。明日の役員会も、来月の旅行も予定通り行い
ます。奥さんは事前に約束したとおり、私のホテルに駆け込んでき
ました。ほら……」

犬山はCCDカメラを下向きにします。ソファに深々と腰掛けた犬
山は下半身裸でした。犬山の前にお尻を突き出してひざまづき、剥
き出しにされた肉棒をしゃぶらされている素っ裸の女……それは紛
れもなく妻の絵梨子でした。

「万が一旦那に不倫がばれたら『ごめんなさい』と一言書置きをし
て私のホテルに駆け込む──この奥さんは一応我々と事前に交わし
た約束を守ったようですが、家を出てからホテルにくるまでうろう
ろと道草を食ったようです。結局水曜の夜に旦那にばれ、木曜の朝
に家を出たのは良かったのですが、私のホテルに来たのは昨日の夜
更けになってからでした」
  1. 2014/06/15(日) 01:41:16|
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役員会 第44回

「丸2日近くも愚図愚図しておったわけを問いただそうとしたんで
すが、ホテルに着いたときは奥さんはフラフラだったもんで、尋問
するのはオンライン役員会を開いて皆さんの前でやれば良いと思い、
とにかくひとまず寝かせたわけです。奥さんは余程疲れていたのか
泥のように眠っていましたが、先ほど叩き起こして食事をさせ、シ
ャワーを浴びさせたところですわ」

犬山はそこまで説明すると「いつまでチンポにしゃぶりついている
んだ。この淫乱女め」と妻を怒鳴りつけ、足蹴にします。素っ裸の
妻はその場で尻餅をつきました。

「会長、乱暴はいけませんよ」
「奥さんはとりあえず、我々との約束は守ったわけでしょう」

男たちはこれから開始される妻に対する「尋問」をさも楽しみにす
るようにニヤニヤと笑みを浮かべています。

「さて、果たしてそういえますかな? どうですか、奥さん」

犬山は部屋にもう一台用意していたPCからログインし、妻を最初
のPCの前に正座させます。いつものように画面が5つ開き、最も
大きな画面には罪人のように正座した妻の姿が大写しになります。

「長尾先生との不倫が旦那にばれたら奥さんはどうしなければなら
なかったか、言ってみて下さい」

犬山は手に青竹を持って妻の背中を軽く叩きます。妻はじっと目を
伏せて押し黙っています。裸の肩先が恐怖のあまり小刻みに震えて
いるようです。

「忘れたのか、この馬鹿女めっ!」

犬山の怒声が響き、青竹の鞭が妻の背に飛びます。「ああっ」とい
う妻の悲鳴がヘッドフォンの中に響きます。私は我を忘れて「絵梨
子っ」と叫んでいました。

「駄目っ、○○さんっ」

里美からのメッセージが画面に現れます。うっかり声を出してしま
いましたが、私の声は妻の悲鳴に重なって男たちには聞こえなかっ
たようです。一人妻だけが不思議そうにあたりを見回しています。

「……あなた」
「ぼんやりしてないで、質問に答えないかっ」

再び青竹の鞭。妻は「ううっ」と苦痛に呻くと顔を上げます。

「ひ、ひとつ、夫に対しては不倫について一切の言い訳をせず、か
つ何を聞かれても黙秘します。ふたつ……不倫が露見した次の日の
夜明け前に『ごめんなさい』とだけ書置きをして家を出、まっすぐ
に犬山様のところに向かいます。みっつ、家を出てからは夫はもち
ろん家族、友人とも連絡を絶ち、今後の身の振り方はすべて犬山様
にお任せいたします」
「良く覚えていましたね。会議ではいつも他の役員に迷惑をかけて
いる、出来の悪い奥さんにしては上出来ですよ」

犬山は青竹の先で妻の頭をポン、ポンと叩きます。

「奥さんの今後のことはちゃんと考えていますよ。この前の週末に
行った西伊豆のD旅館、あそこで呼んだコンパニオンの会社の社長
にもう話をつけているんですよ。明日道岡さんに肉体改造をしても
らったら、その足で西伊豆まで送っていってあげますよ」

犬山のとんでもない言葉に私は驚きます。

「奥さんにはこれからそこでずっと住み込みで働いてもらいます。
なに、仕事は簡単ですよ。コンパニオンとして温泉客の接待をして
もらうこと、時々は奥さんの身体も使ってね。いずれはストリップ
小屋にも出演してもらうそうですが、踊りなんて出来なくても大丈
夫です。奥さんのその部分は見世物としても十分売り物になるよう
に改造してあげますから」
「ああ……そんな……」

妻の目からボロボロと涙が零れ落ちます。私はたまりかねて立ち上
がります。

「ど、どうするの。○○さん」
「どうするもこうするもない、絵梨子を助けに行く」
「だめよ」
「どうして駄目だ。この前ということが違うじゃないか」
「この前は奥さんがすぐ目の前にいたでしょう。今はそうじゃない
のよ。目の前にいるように見えるけど、それは画面の中にいるだけ」
「しかし……犬山のホテルにいるんだろう」
「どの部屋にいるのか分からないわ」
「片っ端から探せば……」
「捜査令状を持った警察でもあるまいし、そんなこと出来るわけな
いじゃないの。落ち着いて。○○さん」

里美は必死で私をたしなめます。

「仮に探すことが出来たとしても、奥さんの部屋にたどり着く前に
どこか別の場所に移されてしまうわ。そうなると奥さんには本当に
二度と会えなくなるかもしれないのよ」
「絵梨子……」

私は頭を抱えます。

「やつらは奥さんと長尾の不倫がばれたことは知っていても、○○
さんが自分たちの所へたどり着いていることを知らない。これを何
とか利用するのよ」
  1. 2014/06/15(日) 01:42:05|
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役員会 第45回

「それじゃあ、いよいよ尋問です。奥さん、それだけわかっていな
がら、どうしてこのホテルにまっすぐ来なかったのですか?」
「ああ……」

妻の顔が恐怖に歪みます。

「良からぬことを考えていたんじゃないですか? 旦那さんに本当
のことを話そうとか、それとも警察に駆け込んで助けを求めようと
か……」
「ち、違います……」

蒼白になった妻の顔がディスプレイにアップで映ります。妻は必死
で首を振ります。

「き、気持ちを整理するために……ひとりでホテルに泊まっていま
した」
「ほう、ホテルに?」

犬山の目がキラリと光ります。

「ホテルに泊まるならうちのホテルに来ればよかったじゃないです
か。無駄なお金を使わないですむ。そもそも奥さんにはこれから自
分で自由に使えるお金など、一円もないのですよ」

犬山はそこで手に持った青竹でポン、ポンと妻の太腿を叩きます。

「立ちなさい」
「な、何を……」
「いいから立つんです」

妻は犬山から言われたとおり直立不動の姿勢をとります。いきなり
犬山は妻の太腿の裏側の、柔らかい肉をぴしゃりと青竹で打ちまし
た。

「い、痛いっ!」
「嘘を言うと、お仕置きはこんなもんじゃすみませんよ」
「う、嘘は言っていません……」

妻は涙で潤んだ瞳を犬山に向けます。

「こりゃあ下手なSMショーより興奮しますね」
「何しろ本物ですからね、迫力が違います」
「録画できればいいんですが」
「そういうシステムだからしょうがないです。ライブでしか見れな
いのがいいところですよ。我々4人のためのショーなんですから、
これほど贅沢なことはない」
「そういわれれば確かにそうですな」

役員の男たちはすっかり興奮してそんなことを言い合っています。

「いずれにしても、このホテルに来るのが遅れたお仕置きをしなく
てはなりませんね。どんなお仕置きがいいですか、ええ? 奥さん」
「ゆ……許して」
「何ですか? そんな小さな声では聞こえませんよ」
「許してください」
「ほほう、どんなお仕置きでも受けますから、皆さんでお決め下さ
いと言っているんですね。たいした度胸だ」

犬山の言葉に、他の男たちはゲラゲラ笑い出します。

「さあ、○○さんの奥さんをこれからこってりと責めあげますが、
どんな責めがいいですかな」

犬山の呼びかけに、男たちが口々に声をあげます。

「浣腸してからケツの穴を広げるってのはどうですか」
「それはどうせ明日やることになっているでしょう」
「マンコとケツの穴に山芋の汁を塗るってのはどうだ」
「それより、クリトリスの糸吊りってのを一度やってみたいんだが」

男たちはとんでもないことを言い出します。妻が残酷な拷問を受け
ようとしている、私はこれが現実のことだとは思えません。

「奥さん、みんなが奥さんのために色々とアイデアを出してくれま
したよ。どのお仕置きがいいですか」

妻はもはや言葉を失い、力なく首を振るだけです。

「ちょっとこの場で浣腸をするというのはどうかと思うので、明日
の予行演習をかねてクリトリス吊りといきましょうか。奥さんのは
大きめだから吊れると思いますよ」
「ああ……」
「いいですね、それじゃあカメラに向かってこういうのですよ。い
いですか」
犬山は妻の耳元に口を寄せると、何ごとか囁きかけます。妻の頬は
羞恥のあまり紅潮しています。

「い、嫌……そんなこと……言えません」
「おや、逆らうんですか? ○○さん。素直になれないようだと例
の責めをしなければならなくなってしまいますね」

妻の表情がさっと青ざめます。

「何の責めか分かったようですね。そう、奥さんが一番嫌がったあ
れですよ。先月の最後の日曜日、西伊豆への旅行に行くのを奥さん
が嫌がったときに受けたお仕置き、覚えているでしょう……」
「い、嫌……あれだけはもう……」
「どこをどんな風に責められたんですか。自分の口から言ってみて
下さい」

妻はそれがよほどおぞましい記憶なのか、うわ言のように「嫌、嫌……」
とくり返しながら首を振っています。
  1. 2014/06/15(日) 01:43:01|
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役員会 第46回

「ちゃんといえないと、今日も同じ責めをしますよ」
「嫌っ、い、いいますわっ」

妻は恐ろしさのあまり涙声になっています。

「オシッコの穴への……電気責め……」
「そうです、よく言えましたね」

犬山が手を叩くと、他の3人もつられて笑いながら手を叩きます。

「奥さん、胸や腿も責めてあげましたが、奥さんはオシッコの穴が
余程気に入ったみたいで、とうとう失神してしまったじゃないです
か。目を覚ましてもまっすぐ歩けないで、送っていくのが大変でし
たよ。まあ、旦那は飲みすぎだと思ったようですが」

先月の終わりの日曜日というと、夜の12時過ぎに妻が犬山に家ま
で送られた日です。妻の胸元や内腿に赤いしみが出来ていたのは犬
山から受けた拷問の痕だったのです。

私はその日の夜、妻がうなされて「やめて……もう許して……」と
か「お願い……もう帰らせて……」と口走っていたのを思い出しま
した。翌朝妻は、犬山に送られたことすら覚えていなかったのです。

「電気責めに比べればどうってことはないでしょう、さあ、奥さん、
言うんですよ」

妻はこっくりと頷き、口を開きます。

「……い、犬山会長様……約束を守らなかった罰として、○○絵梨
子に……ク、クリトリス責めのお仕置きをして下さい」
「おや、○○さんはクリトリスを責められたいんですか?」

犬山はわざとらしく妻に尋ねます。

「……は、はい」
「肛門や尿道は責められたくないんですか?」
「ああ……」

妻はさも辛そうに目を閉じます。

「お、お尻の穴や……オシッコの穴は許して……クリトリスにして
下さい」
「そうはいっても、明日はお尻の穴を責めるんですよ。それはいい
んですか?」
「そんな……」
「約束しましたよね、お尻の穴でピンポン玉を呑みこむことが出来
るようになるよう肛門拡張を施され、見苦しくないように肛門美容
整形を受けると、明日は道岡先生のクリニックでその2つだけでな
く、クリトリスの包皮切除手術も受けてもらうんですよ」
「そ、それは……わかっておりますわ……でも……今日は許してく
ださい」

妻は身悶えするようにしながら拒絶の言葉を吐きますが、どことな
く妻のそういった姿態に、男たちに対する媚びめいたものが含まれ
ているような気がしました。

「まあ、いいでしょう。その代わり今日は奥さんのクリトリスを徹
底的に責めますからね」

犬山は部屋の隅に置いてあった拘束椅子をPCの前に設置すると、
全裸の妻をその上に固定します。妻はほぼ犬山の言うなりになって
おり、それほど嫌がる風情は見せません。

(絵梨子……なぜ抵抗しない……)

「しかし凄い格好ですな。奥さん、恥ずかしくないんですか?」

妻はまるで産婦人科の診察台に乗せられたようなポーズを晒してい
ます。秘裂は心もち口をあけており、人妻らしい色素の沈着した陰
唇が覗いています。その下には指で押したような肛門まではっきり
と姿を覗かせているのです。

「女も40を過ぎると、恥じらいも何もなくなるんですかね」
「いや、むしろ人に見せたいという欲望の方が強くなるんでしょう。
特に○○さんの奥さんは」
「すると我々は人助けをしているようなものですな」

男たちはそんな風に妻に嘲笑を浴びせませす。

「水曜日に長尾先生と楽しんだホテルにもこれと同じような椅子が
あったんでしょう? 十分楽しめましたか?」

犬山はそう言うと机からピンク色の半透明の小さな風船に似た器具
と、薬の小瓶のようなものを出してきます。

「こんなもので楽しんだことはありますか? 奥さん」
「い……いいえ。ありません」

妻は首を振ります。バイブレーターやローターといった、見るから
に用途が分かるようなものではなく、何か実験器具のようなあっさ
りした外観ですが、それだけに何に使うものか分からず、妻の不安
は増しているようです。

「そうですか、それでは今日が初体験というわけですな」

犬山は小瓶の蓋を開け、掌の上に液体を垂らします。指先でその液
体を取るといきなり妻の秘部に塗り付けました。

「あっ……」

妻の下半身が電流に触れたように痙攣します。

  1. 2014/06/15(日) 01:43:49|
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役員会 第47回

「相変わらず感じやすいですね」

犬山は妻をからかいながら液体を塗りつづけます。特に妻のクリト
リスの周辺に集中的に塗りつけていきます。

「あっ……ああっ……」
「普通のローションよりは粘りがありますし、乾きにくく出来てい
ます。本当は奥さんの愛液で十分なんですが、この方が手っ取り早
いんでね……あれ、しかしローション以外のものも出てきたようで
すな」

敏感なところを責められて妻の腰部はヒクヒクと痙攣しつづけます。

「これはクリキャップといって、ここを責めるときにはなかなか重
宝するものなんですよ」

十分塗りつけたのを確認した犬山は、ピンク色の風船のようなもの
を手にとると、人差し指と親指で挟み、妻のクリトリスに押し付け
ます。

「あ、ああっ……」
「どれ、うまく吸引できましたかな」

犬山はCCDカメラを妻の股間にズームインさせると、「クリキャ
ップ」と呼ばれるピンク色の器具を指で持ち上げます。

「ひいっ」

妻はそれだけでつんざくような悲鳴をあげます。見ると、半透明の
クリキャップの中に妻のクリトリスが絞り出されるように吸い上げ
られています。妻のその部分がこれほどまでに露出するのを私は始
めて見ました。

「奥さんのここはなかなか大きいので思ったよりもうまくいきまし
た」

犬山はそう言うと指でクリキャップを弾きます。

「ひっ、ひいっ」

妻もその部分をそこまで引き伸ばされ、刺激されるのは初めての経
験なのでしょう。少し弾かれるだけで電流を流されたように腰部を
痙攣させます。

「どれ、少し楽しませてあげましょう」

犬山は机の中からローターを取り出すと、クリキャップに直接当て
ます。

「ああっ、ああああっ……だ、駄目っ……そ、そんな……ああっ……
い、いひいっ……あああっ……」

限界まで引き出されたクリトリスをローターで刺激され、妻は狂っ
たように悶え始めます。

「ああ、いっ、いっちゃうっ……いっちゃうよおっ……い、いひいっ
……い、いくっ、いぐっ、いひいっ……いくっ」

妻は驚くような速さで頂上を極め、全身をブルッ、ブルッと激しく
痙攣させました。

私は妻の狂態を呆気に取られたように眺めていました。他の男たち
も同じだったようで、クリキャップと呼ばれる性具の威力に声を失
っています。

「もういったんですか、○○さん」

犬山は目を閉じてはあ、はあと荒い息を吐いている妻の頬をぴしゃ
ぴしゃ叩きながら尋ねます。

「……い、いきました」
「随分今日は早かったですね。余程クリキャップが気に入ったんで
すか」

犬山はそう妻をからかいながら、ローターをクリキャップに当てた
り離したりします。そのたびに妻は再び快感が湧きあがってくるの
か、あっ、あっと切ない声をあげます。

「き……気に入りました……」
「そうですか、それは何よりです」

犬山がそう言うと他の3人は淫靡な笑い声を上げました。

「そんなに気に入ったのなら、もう少しこれでイカせて上げましょ
う。ただし、これはお仕置きではないですよ。気持ちのいいお仕置
きなんてないですからね」
「ああ……」

妻は今にも泣き出しそうな顔を犬山に向けますが、犬山はまったく
頓着せずにローターのスイッチを入れ、再びクリキャップに押し当
てます。

「あっ、ひ、ひいっ……い、いいっ、ああっ、も、もうっ……」
「どうしたんですか。もうイキそうなんですか」
「は、はいっ、い、いっちゃうっ、いっちゃいますっ……」
「どこがそんなに気持ちいいんですか」
「く、クリがっ、クリが、た、たまんないっ。あ、ああっ……いく
っ、いくっ、いっちゃうっ、またいっちゃうっ」

妻はあっけなく二度目の絶頂に達しました。
  1. 2014/06/15(日) 01:44:45|
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役員会 第48回

「これは凄い威力ですな」
「こんななんでもないキャップでこれほど乱れるとは」
「○○さんが人一倍淫乱ということもあるでしょうが、余程効くん
でしょう」

男たちは再び展開された妻の狂態に、満足げに頷き合っています。

「今度はこれと一緒に責めてあげましょう」

犬山が黒光りしたバイブを持ち出します。ちょうど、藤村さんがオ
ンライン役員会で使ったものと同じくらいの大きさです。犬山は妻
にその責め具を見せつけるようにするとスイッチを入れます。バイ
ブがまるで生き物のようにくねくねと動き出します。

「い、嫌……もう許して」
「遠慮しなくていいですよ」

犬山は笑いながらそう言うと、バイブをいきなり妻の秘部に押し込
みます。妻のその部分はすっかり潤っていたのか、あっけなくバイ
ブを飲み込みます。同時に犬山は、もう一方の手に持ったローター
をクリキャップに押し当てます。妻はつんざくような悲鳴をあげな
がら激しく腰部を痙攣させます。

「い、いやあーーっ!! ううっ! くうっ!! ああーっ!! 
いっ、いっ、いひいっ。ひいーーっ!!」

妻の顔は恐ろしいほどこわばり、今にも失神しそうになるのをはを
喰いしばって堪えているようです。

「も、もうっ、もうダメっ、いっ、イクっ、いっちゃうっ、イク、
イッちゃうよーっ!! あっ、ああっ、あぁぁ~っ!!」

妻は獣が吼えるような声をあげると、腰部をガクガクと震わせ、今
日三度目の絶頂に達しました。男たちは妻のあまりにも激しいイキ
っぷりに、からかうことも忘れて引き込まれています。

妻の陰唇はしばらくの間快楽の余韻を伝えるようにヒクヒクと収縮
していましたが、やがて収まってきたと見た犬山がバイブを引き上
げようとします。

すると妻は「あーーん」と甘えるような声をあげてバイブを締め付
けると、「うっ、ううっ」と呻きながら双臀を震わせます。

「おやおや、バイブを抜こうとしただけで気をやってしまうとは、
なんと淫らな奥さんだ」
「ああ……」

妻はさも恥ずかしそうに腰部をくねくねと捩じらせます。そうです。
犬山の指摘通り妻は責め具を身体から引き抜かれようとしたときに、
本能的にそれを離すまいと身体が反応し、絶頂に達してしまったの
です。

剥き出しのクリトリスを徹底的に責められていたことで身体が鋭敏
になっていたためもあるでしょうが、今までの妻では考えられない
反応に、私は驚愕の思いを禁じえませんでした。

「奥さん、今日はこれで気をやるのは何度目ですか?」

犬山は淫靡な笑みを浮かべて妻に問い掛けますが、妻は顔を羞恥で
赤らめたまま、嫌、嫌と首を振ります。私は妻のそんな態度になぜ
か、犬山に対する馴れ馴れしさのようなものを感じ、嫉妬で身体が
熱くなりました。

「ちゃんと言わないと駄目ですよ」
「ああ……恥ずかしいわ」
「さあ、大きな声で言いなさい。こんな風に」

犬山は妻の耳元に口を寄せ、何ごとか囁きます。妻の頬はますます
赤く染まり、ああ、という熱い溜息までが聞こえてくるような気が
します。

「○○さん……」

里美のメッセージが画面に現れます。

「どうした」
「私……なんだか身体がおかしくなってきちゃった」
「こんなときに何を言っている」
「だって……」

そうは言いましたが、里美の言うことも分かるような気がします。
私もさきほどから股間がすっかり熱くなっているのです。妻がとん
でもない目にあっている。それに対する怒り、嫉妬という感情はも
ちろんあるのですが、犬山の責めに対して妻の官能が鮮やかなまで
に開花していくのを見ると、なぜか見ているこちらまでがたまらな
い気分になっていくのです。

(馬鹿な……俺は愛する妻が凌辱されるのを見て興奮するような変
態ではない)

もしこれらの行為が自分の目の前で行われるのであれば、私は興奮
するどころか、とっくに犬山に掴みかかっているでしょう。しかし、
ディスプレイ越しに見る情景はどこか非現実的で、また当面は手も
足も出せないという事実がどこか諦めを伴った安心感のようなもの
を連れてきます。

犬山に催促された妻はようやく口を開きました。

「……い、淫乱な不倫妻、○○絵梨子は、く、クリを責められて4
回連続で気をやりました……み、皆様、絵梨子のイキっぷりはいか
がでしたでしょうか……」

  1. 2014/06/15(日) 01:45:35|
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役員会 第49回

妻の大きく開いた股の間に犬山がかがみこみ、なにやら作業をして
います。妻は4回連続で頂上を極めさせられたことで、抵抗の意志
を根こそぎ奪い取られたといった感じで、犬山にすっかり身を任せ
ています。

「もうすぐ仕上がりますからね……」

犬山がそう言うと間もなく妻が「あっ」と小さな悲鳴をあげて、双
臀を震わせました。

「さあ、出来ましたよ」

クリキャップがかぶさった妻の花蕾の根元から糸が一本垂れていま
す。犬山はそれを手でしっかりと持つと、くいっ、くいっと引っ張
ります。

「うっ……うっ……」

そのたびに妻がくぐもったような呻き声をあげます。

「うまくいったようですな」

犬山はそう言うとクリキャップを一気に抜き取ります。スポッとい
う小さな音がして、妻のクリトリスが露わになりました。

「ひっ……」

妻の喉から小さな悲鳴が迸り出ます。クリキャップで吸引されつづ
けてきた妻のクリトリスは鞘からはっきりと露出し、ルビー色にキ
ラキラと光っています。何とその根元は犬山が持った糸でしっかり
と縛り上げられているのです。

「なかなか器用ですなあ」
「さすがは会長だ」
「そんなところが糸でつながれるのを見るのは初めてですよ」

男たちは口々に犬山を誉めそやします。

「この奥さんのは普段は鞘の中に隠れていますが、なかなか大きめ
ですからな。それにクリキャップで吸い出しましたし、糸で繋ぐの
はそれほど難しくはありません」

犬山はニヤニヤ笑いながら説明します。

哀れなのは女の羞恥の源泉とも言うべきクリトリスを絞りだされ、
糸でつながれた妻です。痛みよりは恥ずかしさが先に立つのか、妻
はシクシクとすすり泣きながら腰部をゆらゆらと揺らせています。

「そんなにケツを振るんじゃないっ」

犬山は妻のヒップをパシッと平手打ちします。

「今さら色仕掛けで誤魔化そうとしても駄目ですよ。今までのはお
楽しみで、これからが本格的なお仕置きです。ホテルに来るのがど
うして遅くなったのか、白状してもらいますからね」

犬山はそう言うと、カーテンレールにつないでいる紐を外し何かを
手繰り寄せるようにします。

「どうなっているんですか、会長」
「この部屋の天井には滑車を付けたレールが取り付けてあるんです
よ」

妻の大きく開いた腿の間に下りてきた2本の紐のうち一方に、犬山
はクリトリスを繋いだ糸を結び付けます。もう一方には鍵型の金具
が取り付けてあり、犬山はそれに金属製のバケツを取り付けます。
バケツは拘束椅子に固定された妻の頭上、立ち上がった犬山の肩の
あたりで停止します。

これで妻は、滑車を介してクリトリスでバケツを吊り上げた状態に
なります。

一瞬画面から犬山が消え、大きなダンボール箱を重そうに抱えて戻
ってきました。箱を開封すると、1リットル入りのミネラルウォー
ターのペットボトルが12本入っています。

妻は一体今から何をされるのだろうかという不安と恐怖で、裸身を
小刻みに震わせています。

「さて、奥さん。奥さんが家を出たのは木曜の何時ですかな?」
「あ……朝の6です」

妻は震える声で答えます。

「6時ですか……始発の電車に乗れば私のホテルには遅くとも7時
には着いたついたはずですな。しかし、奥さんが実際に私のホテル
に来たのはいつですか?」
「昨日……金曜の午後11時です……」
「要するに一日と16時間、40時間の大幅な遅刻というわけです
な」
「は……はい……申し訳ございません」
「謝ったら済むものではないですよ」

犬山は手に持った青竹で妻の尻をピシャ、ピシャと叩きます。

「奥さんは人と待ち合わせをして、40時間も遅刻しても平気なの
ですか? それだけ遅れるのに相手に対して何の連絡もないという
のはどういうことなのですか」

妻は黙って首をうな垂れさせています。

「返事をせんかっ! この馬鹿女っ」
「ひっ!」

青竹の鞭が妻のヒップに炸裂します。ピシッという大きな音が響き、
妻の白い尻に一条の赤い線が刻まれます。

  1. 2014/06/15(日) 01:46:21|
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役員会 第50回

「も、申し訳ございませんでしたっ。私が悪うございましたっ」
「謝ったら済むものではないといっただろうっ」

再び青竹の鞭、妻の尻の赤い線が二条になりました。

「40時間の間、何をしていたのか話してもらいましょうか」
「ですから……最初申し上げたとおり……気持ちを整理するために
……一人でホテルに泊まっていました」
「ほう? どこのホテルですか」
「そ、それは……」

妻は口ごもります。

「ぱ、パークサイドホテルです」

(妻は嘘を言っている)

私は妻の口調とホテルの名前から、それがわかりました。長い付き
合いですので、はっきり嘘を言っているときの妻の様子は分かりま
す。妻はこのあたりにどんなホテルがあるかほとんど知らないでし
ょう。パークサイドホテルの名前を咄嗟に出したのは、私と妻が何
度かそのホテルのティールームでランチを取ったことがあるからに
過ぎません。

「ほう? パークサイドホテルですか。何階のどんな部屋でした?
 ルームチャージはいくらでしたか」
「お、覚えていませんわ……」
「奥さんが眠っている間に、手荷物検査をさせてもらいましたが、
ホテルのレシートはありませんでしたね」
「きっと、捨ててしまったんですわ……」
「本当のことを言う気になりませんか」

犬山はダンボール箱からミネラルウォーターのペットボトルを一本
取り出すとキャップを空け、バケツの中に半分ほど注ぎ込みます。

「あっ……ああっ……ああっ……」

妻のクリトリスにバケツと、500ミリリットル分の水の荷重がか
かることになります。妻の腰部は小刻みに震え始めました。

「代わりに、財布の中からファミレスのレシートを見つけましたよ。
時間は金曜の午前5時、奥さん、ホテルに部屋を取っておきながら
こんな時間にファミレスに行ったんですか?」
「お腹が……空いてしまって」

再び犬山がペットボトルの残りの水をバケツの中に注ぎ込みます。

「おおおおっ」

妻の腰部の震えが大きくなります。

「や、やめて……クリが……クリがちぎれる」
「これくらいのことではちぎれませんよ。本当のことを話したらバ
ケツは外してあげます」
「だから……本当です……おおおっ!!!」

犬山が2本目のペットボトルを空け、半分ほどをバケツに注ぎ込み
ました。妻のクリトリスは無残なまでに伸び、青黒く充血したまま
フルフルと震えています。

「ファミレスの店名から考えても、パークサイドホテルの近くのも
のじゃないですね。奥さん、可哀想にファミレスで夜明かししたん
でしょう?」
「は、はいっ! おっしゃるとおりですっ。嘘をついて申し訳あり
ませんっ」
「どうしてこのファミレスに入ったんですか」
「それは……」

犬山がペットボトルの水をドボドボとバケツの中に注ぎました。

「やめてっ、やめてっ」
「このファミレスの住所は、藤村さんの自宅のすぐ近くじゃないで
すか。藤村さんの家に行ったんじゃないですか」
「そ、その通りですっ。藤村さんの家に行きましたっ」
「何をしに行ったんですか」
「二人で……本当のことを全部……お互いの主人に話そうと……」
「要するに、自分の不倫が旦那にばれたものだから、藤村さんも旦
那に告白しろと言いにいったんですね」
「は……はい……そのとおりです」
「もし○○さんが私たちの言いつけに逆らうと藤村さんと西岡先生
の不倫の証拠を、旦那だけではなく藤村さんの息子、友人にまで送
りつける。逆の場合も同じ、藤村さんが私たちの言いつけに逆らう
と○○さんと長尾先生の不倫の証拠を○○さんの旦那や○○さんの
息子、友人にまで送りつける」
「しかし、もし一方の不倫が旦那にばれてしまった場合は、すぐに
家を出て私のホテルに来る、残った方は我々の言いつけに逆らわな
い限りは不倫のことはばらさず、1年間の役員の任期を終えれば解
放する。それがルールでしたよね」
「は……はい……」

私は犬山の説明でようやく妻を縛り付けていたからくりが分かりま
した。妻が犠牲になっている限りは藤村さんの家庭は守られる、ま
た藤村さんも私たちの家庭を守るために犠牲になりつづけてくれる。
犬山達の要求に1年だけ応じれば、すべてはうまくいく。妻と藤村
さんの2人の女性役員同士を、互いを互いの人質にする巧妙なやり
方でした。

長尾と西岡は、ラグビー部のOBのつながりから、犬山達から指示
されてされて妻たちと関係を持つようになったのでしょう。犬山達
の生贄を「おとす」役、それが若くてイケメンの2人の教師だった
のだと思われます。2人の教師と犬山達役員は完全なグルでしょう。
  1. 2014/06/15(日) 01:47:09|
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