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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

父への憧れ 第1回

風薫る5月の連休初日、F市の玄関口であるF駅の中央駅前ひろばで盛大に鉄道高架完成式典が行われた。教育長の舟木も来賓で出席し、自分の考える教育行政の今後のあり方を披露し、万来の拍手を浴びた。この男は既に2年後の市長選の有力候補となっていた。

 駅近くには、都市発展の象徴とも言える高層マンションが聳え立っている。その最上階の南側寝室の窓に、瀬戸内に沈む夕日が赤く輝いた。舟木はベッドに腰を掛け、じっと外の風景を眺めている。

 「ぷちゅ、うむ、ぷちゅ・・・・」

 その足元には、女が膝を着き中腰の姿勢で、男の怒張を頬張り一心に舐め、咥え頬摺りをしている。男は左手で女の髪を優しく撫で、右手で女の乳房を甚振っていた。


 「おまえは、乳房を愛撫されながら、私のものを咥えているときが一番幸せなんだろ。なぁ、雅子、幸せなんだろ、雅子・・」

 
 「ぷちゅ、うむ、ぷちゅ・・・・うっ」


 「そうだ、もっと私を好きになれ、私の精液が欲しいだろ、うん・・」


 男の右手は、乳房に飽き女の白い肌を滑り、陰毛をさわさわと嬲りはじめた。


 「あん・・うん・・・あぁ・・・」


 女の腰が揺れ始めると、その手は豊かな臀部を撫で摩る。
 女のスレンダーな肢体全体がしっとりと汗ばんでくる。


 「うぅーん・・・・」


 女は鼻から息を吐き、上目で男の目を見つめる。
 男は女を四つん這いにし、バックから二本の指で女の中を確かめた。

 「もういいようだな、おまえはすぐにこんなに濡れる。ほらもうヌルヌルだ」


 どうだとばかりに、指が三本に増えた。


 「あぁ、あっ、あぁ、あっあっ・・」


 男は怒張を女の女陰に挿入すると同時に、右手で陰核を擦りあげ、左手で乳房をやわやわと揉み立てる。乳首を摘み、捻る。


 「どうだ、雅子、このスタイルが好きなんだろ。もっと奥を突いて欲しいのか、うん」


 「あぁー、あっ・・・もう、もう・・・」


 男の全身が痺れる。もうすぐだ・・・・・
  1. 2014/10/10(金) 03:01:54|
  2. 父への憧れ(舟木と真希)
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父への憧れ 第2回

 市役所5階の中会議室。新入職員の集合研修が実施されていた。今日はその第3日目の人権研修である。
 教育長秘書の後藤真希が参加している。彼女は新卒の事前研修での成績がずば抜けており、加えて学生時代に弓道で鍛えた体力、愛くるしい瞳を持った才色兼備の女性であった。人事課は市長秘書か教育長秘書か迷った挙句、舟木教育長秘書に抜擢したのである。


研修グループのリーダーが人権ビデオを見た感想をメンバーに聞いている。

「田代さん、感じられたことを率直におっしゃってください」
「僕は、このビデオの制作はよくできていると感心しました。演じている人も・・・」

「つぎに工藤さん」
「私も、今までにないビデオの内容で特ににシナリオが気に入っています・・・・・」

「そうですか、つぎ後藤さん、どう感じましたか」

「私は、このビデオの女性の生き方には賛同を覚えません。女性は男性の道具ではなく自立を目指すべきです。この女性は男性と互いに助け合うパートナーとしての立場を忘れ、従っています。私は、これほど女性を馬鹿にした内容はセクシャルハラスメントどころか男尊女卑そのものを見ている思いです。このビデオは女性の自立を訴えています。このような女性になるなと、全ての女性に・・・」

現場主義を自分の行動の原点としている舟木は、この研修会場での職員の感想に目を細め頷いていた。
舟木は人事課から送られてきた履歴書を思い出していた。
(後藤真希・・父を早く無くし、母子家庭に育った。不幸にもその母も今春病死。身寄りも無く、女ひとりの自立した生活をしている。また、噂ではその知性と美貌から多数の男性職員がアタックしていると聞いたが・・・)

舟木は、「ふっふ」と笑った。そして

「後藤君、すばらしい・・・・。皆さん、ビデオのシナリオや演出、役者の感想を聞いているのではないよ。若い皆さんの感性と人権感覚がこのビデオを視聴してどう感じたかが大事なのです。新入職員の皆さん方は、それぞれ自分の持つ感性・感覚からの叫びを話さなければ意味がありません。後藤君のように感じたことを素直に・・・・続けてください。私はこれで」
  1. 2014/10/10(金) 03:07:03|
  2. 父への憧れ(舟木と真希)
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父への憧れ 第3回

広い教育長室の舟木のデスクには、正面に家族の写真が飾られている。中央に舟木、その隣に夫に寄り添う妻の綾子、その隣に長女、舟木の隣に次女。そう四人の家族、みんな幸せ一杯の笑顔である。その写真を見つめ、舟木は机の書類に目を向けた。

「失礼します。後藤です」

「どうぞ」

舟木は真希を見ることなく、書類を読み続けている。赤いペンを持ち、書類の内容に校正を加える。
真希は、その姿をじっと見つめ
「お茶をお持ちしました。応接テーブルでよろしいでしょうか、それとも・・」

舟木はまだ目を上げない。

「いや、ここに・・」

真希は、舟木のデスクに近づきそっと差し出す。

真希のしなやかな指先が舟木の視界に入る
舟木は目をすっと走らす。手首、二の腕・・・頸、口元、鼻、耳・・肌が白い・・
視線が合った
舟木は微笑む
真希は目で「どうぞ」と言った
そして、真希の目はデスクに飾られている舟木の家族の写真へ

舟木は、部屋から出て行く真希の後ろ姿を眺めている
流行のパテントレザー靴から伸びるしなやかな両脚の膨らみ、白い透き通る肌
それを包む黒色のフレアスカート、ホワイトのフリル付きの袖が、真希の腕を一層細く美しく見せる
そして胸の膨らみをことさら強調している

(いい娘だ・・・・・・)

真希は自席に戻ると、教育長のスケジュールを確認していた。
スケジュール表に舟木の姿が映る。凛々しく、真剣に執務する舟木の姿。自信に満ち溢れ、ゆったりとした物腰、優しい微笑み、家族への愛情・・・・・

(ああ・・お父さん、お母さん・・・私、頑張っています  
でも・・・少し寂しい・・・私も、お父さんやお母さんと一緒に・・・私、私にも・・)
真希は幼い頃に死別した父の面影をダブらせ、優しい父を思いだしていた。
真希の父は正義感が強く真っ直ぐな性格で、常に高い理想を掲げそれを追求していた。母は父を支え、誰にでも優しかった。真希はその父の熱い情熱と母の優しい眼差しを引き継いだ娘だった。
  1. 2014/10/10(金) 03:10:23|
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父への憧れ 第4回

退庁時刻を過ぎ30分経過しても舟木は部屋から出てこない。
真希は教育長室に入り、舟木がまだ残って仕事をするのか確認しようとした。

「まだ、残られますか。珈琲をお入れしましょうか」

「後藤君か・・いや、いい・・・そうだ、君の今夜の予定が無ければ一度食事をご馳走しよう。いつもありがとう・・・どうだい」

「えっ・・食事をですか?」

「予定があるのならまたにしようか」

「いえ、ありがとうございます。でも、ご家族とはよろしんですか」

「今日は金曜日だ。家族は明日でいい。それじゃ・・・そうだな、Pホテルのロビーで7時でどうかな、あそこの料理は美味いぞ。そうしよう」


Pホテルのレストランにピアノ演奏が流れる
落ち着いた雰囲気に包まれ、目の前の料理を二人は十分に堪能していった
真希は舟木からワインを勧められ、徐々に酔いがまわりはじめている
普段の真希ならガードが固く決してこれほど飲んだりはしない
しかし、今夜は舟木が勧める安心感からか限度を超えようとしていた

(それにしても、この安らいだこの気持ちは・・・)
真希はこれまで経験していない雰囲気に酔っていた

「後藤君、これから美味しいお酒を飲みにいこう。1軒だけ付き合ってくれるかい」

「ははい、よろこんで御供します」
(ふふっ、少し回り始めているな。お酒には弱いと聞いていたが・・・)


舟木は馴染みのスナックを出て、タクシーで真希が一人で住んでいるマンションに送っている。
真希はうとうとし始め、目が閉じたり開いたりを繰り返す。10分ほど走るとすっかり目は閉じ頭を舟木の肩に預けていた。舟木は真希の髪に自分の頬をあてた。

(可愛い娘だ。うむ・・乳房はやはり大きいな・・)
舟木は、左手で真希の肩を抱き、右手でそっと乳房を優しく揉み始めた。

「うっうむ・・・」真希の口が開く

舟木の右手は真希の太腿を摩りスカートの中へ伸び
ストッキングの感触に手は喜び奥へ更に奥へと
やがて、真希のしなやかな両脚の付け根の部分を撫で上げ
指先でゆるやかにパンティ越しに女の部分を摩り始めた


真希は夢を見ていた
幼い頃亡くなった父に優しく抱かれている夢を
気持ちがいい、ああなんて安らかで気持ちがいいんだろう

「真希、お家についたよ。さあ、お父さんと久しぶりに一緒に寝よう。
真希はよく頑張っている。グッスリおやすみ。お父さんが側にいるからね」

(うれしいわ、有難うお父さん・・・)
  1. 2014/10/11(土) 00:47:03|
  2. 父への憧れ(舟木と真希)
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父への憧れ 第5回

分譲マンションの5階の真希の寝室の窓から早朝の風が入る
朝の光がベッドの上の娘の顔を照らし徐々に全身に広がる
娘の両脚が少し開くとその下のシーツに鮮血が染みついている
娘の耳に浴室のシャワーの音が聞こえる

「真希ちゃん、お目覚めかい」
浴室から、シャワーで濡れたままの裸の舟木が出てきた

「えっ、あっ・・教育長・・・これは・・」

「硬いなぁ、パパでいいよ、パパで  ・・・真希ちゃん」

「どう、どうなっているんでしょうか」

「昨夜のことは覚えていないようだね。よく自分のからだとベッドの周りを見てごらん。初めてだったんだ・・・・・真希ちゃんは夢心地だったようだが、パパは血を止めるのに大変だったんだぞ」

真希の眼に、ベッド周辺の血のついたティッシュが映った。慌てて自分のからだを確認する。

「イヤーッ・・・・・なんで、なんで・・どうして、こんな・・」

「ふふ・・真希・・私がパパではいやかい・・」

舟木は裸のまま、錯乱している真希を抱きしめる
優しく娘の裸の肩を撫でる
そして、髪を手で梳く
右手で顎を持ち自分に向かせる
いつもの優しい大きな瞳から涙が流れている


「何も心配することはないよ、真希・・・今日からパパと娘だからね」


そっと、娘の唇に自分の唇をあてる
そして、娘の耳元で囁く

「さぁ、この朝の光の中でもう一度、親子の絆を深めようじゃないか。パパの愛情をしっかりと焼き付けるんだ。いいね・・・パパは決して真希を悲しませたりはしない。安心して信じなさい。大好きだよ、真希・・」


舟木は再び真希の裸身を抱きしめ、覆いかぶさっていった。
  1. 2014/10/11(土) 00:48:09|
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父への憧れ 第6回

季節は秋になった。
今日も先ほど真希が朝のお茶を置いていったところだ。
(いい女になっていく。色香がでてきた・・乳房もお尻ももっと大きくしてやろう・・
それにしても、先日のショッピングではハシャギよって、あんな所で娘の沙織と出会うなんて危なかった。たまたま、雅子も同伴だったから何とか誤魔化せたが・・・・危ない、危ない・・・・)

舟木は市の政策会議に出席のため席を立った。
この政策会議の出席メンバーは、市長、副市長、教育長の三名である。市の重要施策の方向付けと方針を決定するのであるが、今回は、来年度で任期満了となる市長の最後の年にふさわしい施策を何にするかが重要テーマであった。

「舟木君、何かいい事業提案はないかなぁ」

「市長、最終年度となりますと単年度で事業を完結しなければなりません。次期市長が継続して複数年度で事業を充実させるなら私には腹案がありますが・・・」

「そうだなぁ・・私は、今のところ私の後継は副市長をと考えている。君の大学の後輩だから、是非協力をお願いするよ。副市長はもちろん私の施策の継続充実を図ってくれると信じているので、それでいいね、副市長」

舟木の顔色が変わった

「ええ、有難うございます・・今のところ民間での立候補の動きもないようですし、市内部からとの見方が大勢です。小党の候補が出てもそれは問題ないかと。それに、大先輩の舟木教育長のご指導を頂いて私の不得意な教育行政にも力を注ぎたいと考えています。先輩宜しくご指導の程を・・」

舟木の立ち直りは速い

「そうですか・・市長は次期後継に副市長をと。分かりました。それでは次回に私の腹案をまとめてみます。私も副市長が市長になられるのでしたら、協力は惜しみません」

(市長の腹はそうだったのか。これはうかうかとしておれんぞ・・・馬鹿が、この時期に腹の内をみせるとはおめでたい奴らだ)

しかし、市長は舟木の心を見透かしたように、とどめを刺した

「実は、私の後継は舟木教育長をと考えていたんだがね・・・・・不愉快な情報が入ってね。君の・・・・。そして事実関係を調べてもらった。このことは誰にも言えない。君を教育長に推薦したのは私だから・・・・・。今の任期満了つまり来年の秋で、君は退任してもらう。これは私のできる君とご家族への温情だ。君の奥さんの実家には私は大変お世話になったんだ。君の奥さんにも知らせない。後は君自身の問題だ。いいね・・・・」

 舟木の目は開いたままであった。
  1. 2014/10/11(土) 02:19:33|
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父への憧れ 第7回

舟木は久しぶりの自分だけの時間を我家の書斎で過ごしていた
妻と娘二人の楽しそうな会話が耳にとどく
のどかで屈託の無い三人の声は絵に描いたような幸せそのものだ

ああ、俺だけ何時からこんな人間に・・・・・
そうだ、あの時からだ
校長に昇格し赴任先の歓迎会でチラッと見えた
ヤングミセスの雅子のスカートの奥
しなやかな両脚を包むストッキング・・その先に見えた白いパンティ
ああ、あれが切欠か。馬鹿か俺は・・・

俺はそれまで
迷うことなく妻を愛し、娘を育て幸せな家庭を築くことに専念した
老後は妻と二人で仲むつまじく・・・・と
それが俺の望みであり人生の最終形であると思っていた
一般の家庭の殆どがそう願っているように

それがどうだ
あの時から、俺がやったことは・・・
今までの俺と違う新しい俺が出てきてしまった
しかし、市長に情報が入っていたとは思わなかった

まあ、いいか
そろそろ終わりにしよう。いい夢を見せてもらった・・・

やはり、俺は元の俺に戻ろう・・その方がよさそうだ
妻、娘を大切にする夫であり、父に・・・・・

雅子、真希とさよならか・・・
雅子のあのすばらしい肢体、実の父のように私を慕う真希

もう一人の俺が言う
「お前は、それで本当にいいのか・・・・」

ああ、さよならか・・・
  1. 2014/10/11(土) 02:20:47|
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父への憧れ 第8回

舟木の妻の綾子は幸せであった。
夫が校長から教育長に出世しても、家族への愛情はなんら変わっていない。

(ああ、何て幸せなの・・ただ・・)

ただ・・そうだ  
夫婦生活の事だ
夫は若い頃から、自分本位の性行為をした
新婚旅行のとき、処女の証である破瓜の出血が無かったことを夫に言われた
自分が、夫に疑われたことにショックを受けたが夫もその後も気にしていた
その後
何度かフェラチオを求められやってみたが、どうも夫には良くなかったらしい
夫はバックが好きなようだが、私は嫌いだった
なぜなら、自分を見失い如何しようも無くなるのが怖かった
だから・・・・・

でも、小学校の校長に昇格してから夫の求めは激しくなった
私のことなど関係なく求めてくる、回数も多くなった

この4月からはまた変化があつた
これまでの一方的に欲情する日と、反対に優しく抱いてくれる日がある
これは、お仕事の事情か・・・私には・・・いや・・・やはり夫は変だ


「お母さん、前の日曜日、お父さん神戸で見かけたよ」


「えっ、その日は確かお仕事で・・・・ああ、そうそう、確か三宮でと」


利発な次女の沙織が続ける

「それがね。婦人物売り場でね。女性二人と一緒に楽しく服を選んでいたの。一人はさぁ私より若くて、お父さんと腕を組んでいたわ。もう一人の女性はお姉ちゃんより少し上で三十過ぎぐらいかな、綺麗な女性よ。若い女性がパパ、パパと私が子どもの頃のように言うもんだから・・・それで、私、声をかけちゃった。お父さん楽しそうね。てね・・・・ふふふふ」


「それで、本当にお父さんだったの?それで、お父さん何て」


「それは、お父さんに直接聴いてよ。私、興味ないもの。」


「沙織ちゃん、このことはお姉ちゃんには内緒よ。お姉ちゃんはお父さんのこととなると煩いから、お願いね。」


「ハーイ、分かりました・・・でも、三人とも慌ててたわ・・・ふふふふふ」


「もう、この娘ったら・・・」


綾子の胸に不安がよぎる。
  1. 2014/10/11(土) 02:22:11|
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父への憧れ 第9回

 その夜、舟木家での家族四人の夕食が始まった。
 食卓テーブルの舟木の前には、好物の秋刀魚とお漬物・・・がおかれている。冷酒を飲みながら箸をつけ始める。
 綾子は、お味噌汁とお茶、娘たちにご飯を運ぶ。
 長女の香織は舟木の横の席で、既にご飯を食べだしている。その向かいに次女の沙織がお味噌汁に箸をつけ、漸く綾子が舟木の前の席に着いた。全員がテーブルを囲んでいる。

 証券会社につとめる沙織が、今日の職場窓口での接客の話を、郵便局に勤める姉に話し出した。

 「今日の窓口のお客様、いきなりカバンをカウンターにおいて、これで投資信託を買っておいてって・・・一千万円をぽんと。あるところにはあるのよね・・」

 「郵便局はまだまだそこまでは・・・でも、地域のお顔がわかった人がお客さまなのでこれはこれで和やかでいいわよ・・」

 「沙織は私より相当年収が上だから、ブランドのバッグや時計なんか買っちゃって、私にも時々は貸してよね」

 「そんな・・・私の趣味よ、お姉ちゃんではちょっと・・・ああ、そうだ、それなら・・・パパ、ねぇ、パパ・・お姉ちゃんにもいい服を買ってあげて・・」
いきなり、次女の沙織が舟木に言った

「沙織!パパ、パパって、ふざけてるの?お父さんでしょ・・・」

「いいえ、パパ、パパってね、お姉ちゃんもお父さんに甘えちゃいなさいよ・・そうしたら、お父さん何でも買ってくれると思うよ」

「沙織ちゃん、やめなさい。それはお母さんが言わないようにと・・・」

「うん・・何か変ね、どういうことなの沙織、何か私に隠してるの?沙織もお母さんも・・・お父さん」
長女の香織が舟木に促す

「まぁ、いいじゃないか。お母さんが作った美味しい料理だ。楽しくいただこう、なぁ綾子・・・」
舟木は妻の綾子に振り、妻の様子をうかがっている

「ええ、そうしましょう・・・・あなた、食事の後で少しお聞きしたいことが・・」

「うん、いいよ。しかし美味なぁ・・なぁ綾子・・」

 「お父さん、ちょっと何か何時もと違うわね・・沙織、沙織、言いなさいハッキリと・・お姉ちゃんの私に内緒なの、沙織!」

 「香織ちゃん、ちょっと・・」

 「香織、いいじゃないか、沙織はふざけているんだよ・・・なぁ、沙織」

 「お父さん、私は嘘は言ってません!お母さんにも神戸で見たことを話したわ。そうよ、お父さんが二人の女性と楽しそうにショッピングをしていたことをね」

 「なんですって!沙織、そうなのお父さん」

 「私見たのよ、お父さん本当に楽しそうで、私より若い女性がパパ、パパってお父さんの腕に・・もう、私たちのお父さんを自分のお父さんのように・・」

 「やめなさい、沙織。お前の話し方だとどうも誤解を生みそうだ」

 「あなた・・・・」

 「ああ、神戸でのことか・・・。驚いたよ、あんなところで沙織と出会うんだから。何か心配しているのか。何でもないよ・・・・」

 「その女性二人って・・・」

 「綾子、心配いらないって・・。今年私の秘書になった職員と親子の真似事をしていたんだ。お父さんを早く亡くして身寄りも無い娘で、日頃のお礼を兼ねてね。ショッピングがしたいというものだから、A小学校で保健師をしていてセンスの良い先生に同伴して選んでもらっていたんだ。そこへ沙織が・・・」

 「あなた・・その日は確かお仕事と・・」

 「もちろんだよ。仕事は済ませてから神戸へ行ったんだ・・綾子、まさか・・・」

 「あなた、私、何か引っかかるの、この頃のあなた少し・・・」

 「馬鹿な、俺は教育長だぞ。おまえ、子どもの前だぞ・・お前の考えているようなことはありえない。どれだけ綾子や娘を愛しているか、お前は分っているはずだ・・」

 「お父さん!お母さんをお前と呼ぶのはやめて!教育者なんでしょ。中身はどうだか分らないけど、上辺はね。インターネットでいろいろやっているでしょ。知ってるんだから・・・本当に私いやなのそんなの。人前ではしゃぁしゃぁと善いことを言ってるし・・」

 「香織!お前が子どもの頃、お父さんがどれほど可愛がったか忘れおって・・」

 「もう、香織ちゃんやめて・・・後は、お母さんがお父さんと・・・」
  1. 2014/10/11(土) 02:28:32|
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父への憧れ 第10回

舟木は夫婦の寝室で優しく綾子を抱きしめている

 「さっきは、声を荒げてしまった。さっきの話はまた別のときにしよう。心配はいらないよ・・しかし、どうも香織とは通じなくなった・・如何してなのか分らない。私は何も昔と変わっていないつもりなんだが。そう、香織は二人の最初の子・・二人で大事に、大事に育ててきたよなぁ・・・それが、どうして私をあのように毛嫌いするのか・・」

 「あなた、香織が高校受験の時、少し不安定になったことがありましたね。あの時、あなた、あの子をしっかり抱きしめてお父さんがいる限りお前を守ってやると言ってましたね。あの子泣いてあなたにしがみついていました」

 「うん、わたしも覚えている。びっくりしたよ。聡明な香織が錯乱していたから・・・」

 「あの子、あなたが大好きなの・・だから、いい父、いい男でいてほしいのかな。私も、あなたが大好きよ・・だから、いい夫、いいお父さんでいてほしいの・・・」

 「分っている・・・綾子、私は昔も今も何も変わってはいないよ、君だけだ・・・・何も心配はいらない」

 好きだよと夫の目が囁く
 妻が着ているナイトウェアーを丁寧に脱がしていく
 唇を近づけると妻は眼を瞑る、優しくうなじにキスをする

 (さあ、どう料理するか・・こいつはまだ世間知らずだ・・・・・)

 「綾子、素晴らしい素敵な身体だ。この乳房、この髪、この匂い・・
そうだ、もらったワインを一緒に飲もう・・・乾杯だ」

 舟木はワイングラスを綾子に差し出す
 その中には、雅子との行為の時に飲む媚薬が入っている

 (そら飲め、今夜、お前は本当のセックスの味を知ることになる。イカせてやるよ何度もな・・・・)


 夫婦の寝室は男と女の匂いで蔓延していた
 綾子は今夜、夫の責めにもう既に3度逝かされていた
 今、夫の怒張を頬張り舌を使い、夫の命ずることに忠実に従っている
 

 「綾子、もうまた欲しくなってきたのだろう・・・うん・・・そうか、そうか」
 舟木は怒張を綾子の口から引き抜くと、綾子を四つん這いにしバックから攻め立てた

 「ああっ、うむ、うん・・・ああっ・・あなた」

 「おい、綾子、この体位は嫌いではなかったのか・・どうしたんだ今夜は・・」

 「あああぁぁ・・・もう、もう、私、もう、私・・・あなた」

 「俺がどんなにお前を愛しているか分かるだろう。俺を信じろ・・」

 「あなた、あなた・・もう、もう・・あああぁぁぁ」

 「まだだ、もう少しだ。我慢しろ。もう少し耐えるんだ・・・・綾子」

 「あなた、あなた・・・あああぁぁ」

 「どうした綾子、逝くのか・・逝くといってみろ。まだ、口にしたことはなかったろ・・・いつも、淫らな姿を私に見せようとはしなかった・・私はお前の女を女を見たかった・・逝けよ、綾子・・女になるんだ・・綾子・・大好きだ・・綾子」

「ううっ・・ああぁぁ・・」

「どうしても、言わないなぁ・・言わないと今夜は終わらないぞ・・今夜こそ、綾子の女を見せてもらう、、、どうしても・・・・・」

綾子が夫に初めて自分をさらけ出した
「あなた・・ああぁ・・あなた・・いい、い、逝くぅ・・」

「とうとう言ったなぁ・・・俺はお前のこの姿が見たかったんだ、ずうっと・・・・
もっと早くに・・・それが、それが残念だ・・・綾子、愛している」

綾子が逝く瞬間、舟木は乳房を思い切り鷲?みにし、怒張を女陰深く突き上げる
綾子は両の手でシーツを握り緊めたまま荒い呼吸から安らかな息に変わる
舟木は妻の手の甲から優しく握ると、再び妻の乳房をやさしく包む
そして、妻の髪を撫で瞼に唇を触れる

貞淑で良妻賢母の綾子のこんな姿を冷静に見るもう一人の舟木がいた。
(お前はこれで良かったのか・・・お前の大切な妻をこのように愛して・・・
いや、これでいいんだ・・・本当のことは絶対に知られてはならないんだ・
絶対に俺のしたことを妻や娘には言えない・・・どんなことがあっても・・)
  1. 2014/10/11(土) 02:29:55|
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父への憧れ 第11回

 早朝の教育長室の舟木のデスクに、真希は一輪の花を飾る
そして、真希は右手をお腹に当てたまま幸せそうな舟木の家族の写真を見て微笑んだ

 しばらくして、舟木が登庁した
 「あっ、後藤君おはよう、いつも早いね・・・・おっ、花を飾ってくれたんだ、有難う・・・・そうだ、少し大事な話しがあるんだ、何時ものところで食事をしよう・・・今夜は大丈夫だね?」

「はい、大丈夫です・・・私からもお話ししたいことが・・・・」

「そう・・じゃあ7時に」


 
 舟木の長女の香織は、最近の母・綾子の様子が変わったのを敏感に感じていた。

 「沙織、最近のお母さん何か感じが変わったと思わない?」

 「そうね・・お姉ちゃん、お母さん何時も疲れているというのか、艶かしいというのか、そんな感じになって・・・」

 「あなたもそう思う?・・・お父さん何かしているのかなぁ。あの神戸での二人の女性のことをお母さんなんにも言わないし・・・・」

「お姉ちゃん、お父さんはショッピングをしていたと・・・」

「沙織は馬鹿ね・・・家族の私たちとショッピングに今までに何度行ったの、最近は全く無いでしょ。きっと何かあるわね。もし、お母さんに何かしていら・・・」

「お姉ちゃん、考えすぎよそれは・・・」

「一度、その女性に直接逢って見ない?ハッキリするわよ、何も無いならそれでいいんだし・・・私、少し情報を集めてみるわね、それから二人に会いましょう」

「そうね・・・ただ、神戸で見た私の印象は本当に楽しそうにショッピングをしていたんだけど・・・・・分ったわ、お姉ちゃん」
  1. 2014/10/11(土) 02:56:26|
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父への憧れ 第12回

季節は冬になった
舟木は大きな決断を迫られていた
真希が妊娠していたのである。
真希は舟木との子の出産を望んでいる。既に妊娠20週を超えた、リミットは後4週である。どうしたものか・・・・決まっている・・・どう説得するか・・・

12月、Pホテルの大広間で市議会議長を務め、地方自治の功績により叙勲を受けた市議会有力者の盛大な祝賀会が開催された。祝い太鼓が鳴り響く、尺八と三味線がはやし立てる・・・主役は高らかに両手を上げ会場から退場していく・・・その主役が舟木をホテルのスナックに誘った。。

「舟木君、市長から聞いたよ・・君に僕は期待していたんだが、市長になる気が無いんだって・・・」

「はぁ・・、いろいろ考えるところがありまして、妻孝行をして晩年をと思っています」

「それも大事なことだが・・・それより、50万市民が君の手腕に期待しているんだがそのことも君は考えたのかな」

「私のような者に、そのような・・・」

「市長は、後継に副市長をと考えているようだが、彼はすかん・・・。人間味がない。行政改革、財政再建と市民の希望する事業に耳を傾けないし、議会を全く無視する姿勢だ。彼が、市長になると本市はつまらない市になってしまうぞ。君はそれでも奥さんの方をとるのか・・・」

「おっしゃることは良く判ります・・・」

「私は、君が校長になった時からその行動力、市民を巻き込んでいく魅力、そしてなによりもこの地域を思う君の熱意に感じ入っていたんだ」

「有難うございます・・でも、市長から・・」

「うん・・君、もしかして何か弱みでもあるのか・・」

「えっ・・いえ・・」

「君の今の表情からして、何か弱みをにぎられているなぁ・・・なんだいそれは、私は今までこの市の裏も表も見てきた男だ、言って見なさい・・・・」

「先生、実は・・・・・・・・・・・・」

「ふーん、地域を巻き込んで児童の安全対策に取り組んできたあの君がね・・・・・人の上半身と下半身は人格が異なるとはよく言ったもんだ・・・・・・・でも君、そんなことぐらいで君が今まで努力し、市民の君に対する期待を反故にするのか。」

「そんなことぐらいと・・しかし、市長は既に・・・・」

「はははは・・市長は既に過去の人だ。これからは、副市長か君かだ。君は太陽の光の中で活躍してこその人物だ、君のご家族もだ・・・・しかし、君の下半身が相手した女性は月の光の中で暮らす人間だ。けっして太陽の前には現れてはならないんだ。月の光の中で生きる定めなんだ・・・そう思わないかい、君、舟木君!私がいいようにしてあげよう、いいね、君は表で頑張るんだ・・・裏のことは私が何とかしよう、これで決まりだ。さあ、飲もう・・私は君のお父さん、お母さんに最初の選挙で大変お世話になった・・・・君には私以上の人間になってほしい。君のご両親に恩返しを私にさせてくれ・・頑張るんだ」

「有難うございます・・・先生・・・」

「舟木君、いいかい・・約束だ。君が市長になるまでその女性達の部屋にはいくな。表の世界で逢っていろ。いいね・・・・」

翌月、伊藤雅子は離島の小学校に後藤真希には山間部にある図書館への人事異動が発令された。この異動を現市長は舟木がかたをつけたと受け留め、教育委員会職員は不始末を起こし左遷されたと噂した。
  1. 2014/10/11(土) 03:01:43|
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父への憧れ 第13回

F市議会の9月定例会の最終日に、1期4年勤めた舟木教育長の退任の挨拶に市議全員が聴き入っていた。

「私は、議員皆様のご支援とご協力を得て、4年間全力で児童の安全確保に取り組んでまいりました。漸く、その成果があらわれ・・・・・」

舟木の退任の挨拶に議員全員が立ち上がり惜しみなく拍手を送った。

そして、舟木は言った
「私は、私が生まれ育ったこのF市の発展のため、来る来春の市長選に立候補致します。なにとぞ議員皆様の暖かいご支援をお願い申しあげます・・・・」

「そうだ、舟木頑張れ。応援するぞ」

「よく決意した。あなたならやれる。頼んだぞ・・・」

保守系、革新系を問わず議員から支援の声が上がった。
副市長は市長の顔をみたが、市長は下を向いた。
現市長の後継は副市長から舟木へ流れが変わった。

翌年4月のF市の市長選挙は舟木に対抗する候補者は小野党の候補者のみとなり、舟木の圧勝となった。
  1. 2014/10/11(土) 03:02:37|
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父への憧れ 第14回

 F市秘書室の市長室のデスクには、舟木新市長の家族の写真が飾られていた。
 中央に舟木、その左腕をしっかりと両手で抱きしめている妻の綾子、その左に利発な次女の沙織、舟木の右には父の右手を両手で握り父の顔をみつめる長女の香織が写っている・・・・みんな笑顔で太陽の光がさんさんと降り注いでいる

舟木はデスクの一番上の引き出しから2枚の写真を取り出して眺めている
一つは、A小学校の銀杏の木の幹に佇む一人の女性・・・カメラに向かって微笑んでいる
もう一つは、一輪の花を手に持ち教育長室のデスクの横で頸を傾げる若い女性・・・

時は流れ、市長就任2年目の夏が来た
舟木市政は、市長の現場主義の徹底すなわち「当たり前のことを、当たり前に、ただし徹底的に事業を遂行する。現場に出向き現状を見て現場の意見を聞き判断する」この姿勢で突っ走ってきた。財政の再建も、地域の活性化もそして市民との協働のまちづくりも軌道に乗っている。まさに、舟木の行政手腕が開花したのだ。

夕方近く、舟木のデスクの電話が鳴った

「市長の知り合いという女性からのお電話ですが、おつなぎしましょうか?」

「はい、つないで・・・・もしもし、市長の舟木ですが・・・・もしもし・・・」

「お元気そうですね・・・」

「・・お名前を・・どなたでしょうか?」

「あなたのお声が聴きたくて・・とうとう・・・・ごめんなさい」

「えっ・・・雅子か?雅子なんだね・・・元気だったかい」

「ええ・・何とか、でも連絡もしてはならないと言われていたから寂しかった」

「すまない・・真希はどうした?真希は子どもをどうした、雅子は何か知っているか?」


月が昇りはじめた

「ええ・・真希ちゃんは母親になりました・・自分の意思で母親に・・あなたの子の・・」

「そうか・・・雅子、雅子、君は今どうしてる・・」

「私は、あなたの部屋を照らしている月を見ながらあなたと話しをしている・・・」

「えっ・・」

舟木は、市庁舎前の庭園の中に月を見上げている女性を見つけた

「そこにいるのか・・・雅子」

雅子は煌々と灯がともる市長執務室の方に顔を向けた

「雅子、逢いたかった・・・君のマンションはあの時のままにしてあるんだ・・」

「あなた、あなた、私の愛しいあなた・・・あなたの愛しい娘さん二人が私に逢いに来ました、真希ちゃんにも逢ったって・・・いい娘さんたちね、あなたを慕っているわ・・・だからもう私は・・・」雅子は、舟木の方をしばらく見つめ立ち去って行った。
  1. 2014/10/11(土) 03:03:37|
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父への憧れ 最終回

その夜

舟木の書斎のドアをノックしていきなり娘の香織と沙織が入ってきた

「お父さん、不潔、汚い・・・・」

香織の目は、舟木を睨みつけている。沙織は俯いていた。
その後ろから妻の綾子が舟木をじっとみている。

「・・・・・・・・」

「お父さん、お母さんが可愛そう・・・なんて事をしたの・・・・・・・
あの保健師の先生のマンションでお父さん何をしていたの!そして、私より若い真希さんをどうしたの・・・・お母さんに自分の口から言ってよ。謝ってよ。沙織と私、二人からちゃんと聞いたんだから・・・・・」

「落ち着いて・・お父さんは香織が何を言っているのか・・」

「じゃ、二人から聞いたことを言うよ。二人ともお父さんの事をいい人だって言ってた。保健師の雅子さんはお父さんは悪くないって、自分から誘ったって、そして子どもも・・・・真希さんも、お父さんのこと大好きだって、それでお父さんが最初の男で赤ちゃんが・・・・・うむ、うううううう」

「やめなさい、香織・・・・・・・あなた・・あなたの口から話して・・・」

「綾子、すまない・・・私は雅子に誘われて君を裏切ってしまった。真希があまりに甘えるものだから、真希が望むものだからつい・・・」

「あなた・・あなた・・教育者よね。それでいいの?・・・あなた、人間としてそれでいいの?・・・私やあなたの娘が愛した人はそんな人じゃない・・・ねえ、あなた、私の愛したあなた・・・それでいいの?・・・・あなたは私を抱いた、でも、私の肉体を抱いていた・・・・ある時は雅子さんの代わりに、またある時は真希さんの代わりにね・・・・」

「綾子、どうするつもりだ・・・・・」

「あなた、あなたは妻の私や娘に何をしたの・・・・・今のあなたを私は絶対に許せません。だから・・」

「だから?」

「雅子さんと真希さんがどれ程あなたに思いを寄せているか・・・・あなたは酷い人ね・・・・・・でもあなたには私や香織や沙織もいる。この娘たちもあなたを慕っているの・・・」

「わかっている、しかし・・・・」

「私は待っています。あなたと私の娘二人と・・・本当に私たちを愛したあなたが戻るまで・・・・いつまでも・・・一人一人にちゃんとしてあげて・・・・・お願い」

「綾子、おまえ・・・俺はみんな大好きなんだ、だからみんな幸せにしたかった・・綾子、綾子、すまない・・・綾子・・綾子、俺はどうしたらいいんだ、どうしたら・・・」

「あなたは頑張ったわ・・・市民全体のために、それはそれでみんな分ってくれる・・・でも、雅子さんや真希さんを泣かしてまでやる価値のあることかしら・・・・・私たち家族のことは後でいいわ・・・・今あなたが人間としてしなければならないことを思い出して・・・・・・・・」

「うむむむ・・ああぁぁぁ・・・・お父さん・・・」

真っ先に、長女の香織が泣きながら舟木に抱きつき、続いて沙織が・・・父を真ん中にして妻と娘二人の家族4人は這い出すことのできない深い地獄の底へ沈んでいった。

                                    完
  1. 2014/10/11(土) 03:04:41|
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