主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。
乗り慣れた快速電車に揺られながら 帰路を辿る。
陽は西の地平線上に残ったままで 青い空と入道が夏の日の根強い残光を降らせ続けている。
車内は冷房が心地よく凉を与えているものの外気の残熱は、その視界の色合いからも厳しさを隠せない。
幾ら陽の長い夏日とは言っても まだ陽の明るい内に帰宅の途に付くのはいったい何年振りの事だろうか・・・想像にさえなかった。
若い連中は手当ての付かない残業などはする義務は無いとばかりに ほぼ毎日定刻で帰社していく・・・どちらが上司なのか最近本当に分からなくなって来た。
毎日こんな光景を見ながら帰宅できればどれほど楽だろうかと思うのだが・・・旧態全としたサラリーマン体質を植付けられて来た悲哀は変えようが無かった。
今日、定刻の五時に席をたった私に対して連中は珍しい物でも見ているような目線を寄越した・・・無理も無い・・・「先に帰るよ。」この言葉を吐いたのは初めての体験だったのだから。
そして私が今日このような行動を取った理由も、また今一つの初めての体験のせいだった。
そう今朝のこの同じ路線の同じ快速電車の中で繰り広げられた、余りにもショッキングで余りにも情け無くそして余りにも刺激的な・・・初体験の光景・・・。
玄関の鍵を空けて屋内へ入るとムッとするような密封された熱気が篭っていた。
いつもなら妻が先に冷房を行き渡らせ その涼気が一日の疲れをさっと癒してくれるのだったが、今日はそれを倍化させるような不快な澱んだ空気が満ちていた。
窓を開け外気を取り込みながら。毎日、私より先に帰宅してこの不快感に身を晒している妻に対しての有難味を少し感じたような気がした。
開け放った窓から心地よい風が流れ込む・・・ホッとした気分になりながら窓辺に椅子を持ち出して正面の通りを見詰めながら煙草に火をつけて 今日の出来事を反芻してみた。
- 2014/09/02(火) 06:39:09|
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妻 美早と私が結婚したのは昨年の九月、ようやく一年を迎えようとしている。
まだ新婚さんと言っても良いのだろうがそう言うのには妻は別にして、私は少々草臥れ過ぎてしまったかもしれない。
私は一度結婚に失敗してしまった×一男で齢三十七と既に中年時代真っ只中、それに対して妻、美早は一回りも離れた二十五歳だ。
この歳になっても高々、中規模にも届かないような貿易会社の庶務課の係長にしかなれずに既に先の知れたような中年×一男と一緒に成ってくれるような奇特な女性・・・それも先の希望に満ちたヤングギャルと来れば誰もが下手をすれば婚期を逸しかねないような・・・お世辞にもいい女とは呼び難い相手を連想されるだろうと思うのだが・・・事実はこの私ですら信じられない事なのだが、全くの逆で美早はミスキャンパスにも選ばれた事の有るとびきりの美女である。
私も若い頃は美男子で通っていたし今でもその自負は失ってはいないが・・・相手が同世代位ならば兎に角も、十以上も離れた相手とでは比較にも成らない。
三年前、彼女は私が前妻と別れた後に移り住んだワンルームマンションの隣人でそこから大学に通っていた。
夜遅く帰宅して共同使用の乾燥機で溜め込んだワイシャツなどを纏めて始末している姿を哀れと思ったのだろうか、「夜遅くまで大変ですね。」と声を掛けてくれた。
「手伝える事が有ったら遠慮なく言ってくださいね。私、学校終わったら暇だし。」
稀に見る優しい心根の持ち主だったが、勿論そんな申し出に甘える訳には行かなかったが、それから急速に年齢差を越えた奇妙な交際が始まった。
彼女は何でも私に話してくれた・・・両親の事、異性の事、将来の事・・・。私と話していると落ち着くとも言ってくれた。
彼女曰く、自分はファザコンなのだそうだ。そして私は父親とは違う・・・同年代の異性とも違う不思議な世代の男性なのだと言った。
内心こんな彼女と人生をやり直せたならどんなに素晴らしいだろう・・・。と思う下心が日増しに募って来ていた。
勿論、これほどの美形だしボーイフレンドの一人や二人は当然有ったのだが・・・彼女の最大の悩みはその事だった。
ある日・・・深夜にチャイムが鳴った・・・部屋の呼び鈴はインターフォンではなかった事もあって、どうせ酔っ払いか何かのの悪戯だろうと思い暫く放っておいたのだが、余りに執拗に鳴り続けるのでソッとドアの覗き穴から覗うと・・・何と彼女が立っているではないか。
慌てて鍵を外すと私の腕の中に倒れ込んで来た。
かなり酔っ払っていた・・・「抱きたいなら抱けばいいじゃん・・・どうせ私に近づく男はみんなそれが目当てなんでしょ・・・。パパは違うって言うの!」
彼女は私の事をパパと呼ぶ・・・かなり照れ臭かったがそれが一番しっくり来るのだそうだ・・・。
泣き叫びながら自暴自棄に成る彼女の肩をジッと抱き締めながら髪を撫でた・・・少しでも彼女が落ち着いてくれればと・・・一心に念じた。
彼女は私の膝の上に崩れ落ちて涙にくれる・・・一体何が有ったのだろうか・・・ただこの荒れ方は男の事に間違い無いと思った。
「泣きたいだけ泣けばいい、辛い時は思いを吐き出せば案外スッキリするものだよ。」
「男なんて・・・みんな最低!」私の腰に手を回して膝の上に頭を乗せて泣きじゃくる。
切れ切れに吐き出す繰り言の羅列を整理してみると・・・。どうやら学校のサークルの打ち上げで飲みに行き、信頼していた上級生に酒に酔わされた挙げ句、車の助手席で抵抗できないのを良い事に散々に犯されたらしかった・・・。それも三人の男達に代わる代わるに。
彼女は告訴を主張していたが結局は泣き寝入りする事になった。
やはり自らの痴態を公表するような行動は心情とは裏腹で中々出切る物ではないようだ。
私はこんな彼女の話しを聞かされる内、不謹慎にも勃起してしまった。
いけないと思えば思う程に暴漢に犯される彼女の姿がオーバーラップしてしまい・・・勃起は益々熱を帯びて高まった。
思えば彼女を想いよこしまな精を幾度も噴いていた・・・壁一つ隔てた隣に彼女が居るのかと想うと、もどかしいようで堪らない想いに常に悩まされていた。
だが元来の気の弱さと年齢差から来る自信の無さから積極的には振舞えず、いつも隣からただ眺めているだけだった。
彼女はそんな私の想いを全て見抜いていた。
「パパだって結局はそれが目的なんでしょ・・・ずっと知ってた・・・私の胸やお尻を伏目がちにちらちら見てるの・・・。」そして驚いた事に私の股間に手を伸ばしてきた。
「ほら・・・いくら上手い事言ったって、ここは正直よ。」
カチカチに突っ張った証拠物件をパジャマの上から乱暴に鷲掴んで。
「あら・・・パパって・・・可愛らしいのね。」と目を見上げながら笑った。
「違うさ・・・そんなんじゃない。でも美早ちゃんのような魅力的な女性がこうして身を摺り寄せて来たら、男なら誰だってそうなっちゃうさ・・・でも抱こうなんて思っちゃいない。こんな形でそうなるなんてできっこないさ。」
咄嗟に苦しい言い訳をしていた。
「じゃ私となんかじゃ出来ないって事?」
「い・・・いや、馬鹿な美早ちゃんと出来るなんて夢のようさ・・・ただ今そうなりたいと願ってる訳じゃないって事さ。」
言い訳している積もりがいつの間にやら白状してしまっていた。
「じゃ・・・してみてよ・・・。」
薄っすら笑みを浮かべながら見上げる彼女を組み敷いていた。
溜まりに溜まった想いがあっという間に弾けた・・・。
スカートを捲り上げ性急にストッキングとパンティを押し下げて、腰を割り込ませたが両腿に絡まったままの下着が邪魔に成って入り口まで到達できない。
落ち着いて下着を脚から抜き取れば何も問題はないにもかかわらず、無理やり切っ先で股間を探るが・・・恥骨の上で陰毛に埋まりながら堪え切れない精を噴き零した。
彼女は股間を白濁で汚したまま床に仰向けに寝そべって目を閉じている。
「すまん。」
一言詫びたが彼女からは何の返事も戻って来なかった。
良く見ると、極度の疲労と酔いのため既に寝息を立て始めていた。
- 2014/09/02(火) 11:33:38|
- 通勤快速・サラリーマン
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正面の通りの彼方に現れた人影が美早である事はすぐに分かった。
彼女は歩き方に大変分かりやすい癖を持っているからだ。
まず踏み出した前足の先で地面を注意深く探り安全を確かめた上でなければ次を踏み出さない。
一瞬の作業ではあるがさすがに歩みは少々遅れる。これは極度の近視に悩まされる美早の自衛手段でも有る訳だが、一緒に歩くと少し苦痛を伴う。
美早の近視はかなり深刻で二三メートル離れただけですぐ隣の人の顔でさえ輪郭以外はぼやけて判別が付かなく成ってしまう程らしい。
コンタクトレンズにアレルギーが出てしまって目の充血を引き起こしてしまうため使用できないので、眼鏡は必需品なのだがスタイルを気にして明るい内は決して着けようとしない。
私が彼女と一緒に成れたのも、性急な肉体関係を求める同世代の男性への減滅と元々のファザコン趣味が大きく影響したのだろうが、それ以上にこの近視のお陰も多聞に有ったに違いない。
「パパ、行くよ・・・もう時間が無いから。」
「時間って眼鏡かけろよ・・・駅まで十分は短縮できるから・・・それに危ないよ。」
私と美早には子供はまだ無い。お互いに仕事を持ち、時間にしておよそ十五分の通勤を毎朝一緒に通っている。
私は先に述べたように中小の貿易商社の総務課、美早は大手旅行代理店のプランニング部に勤務する。勤務地までの道程も同じで、お互いの会社も五分と離れていない。
私は毎朝、美早のペースに合わせて家を出てはいるが本来なら、まだちょっと早すぎる時間だ。
朝の十分は大変貴重だ。そのため結婚以来決まって繰り返される朝のフレーズが今朝も例のごとく交わされる。
「じゃ、良いわよパパはもう少しゆっくりしててよ。私先に行くから。」
美早の答えもまた判で押したように同じものだ。
「わかったよ、ちょっと待てよ・・・すぐ行くから・・・。」
先に玄関から表へ出た妻の後を慌てて追った。
一丁ほど先を行く美早だったが慌てなくとも易々と追い着ける。
しばらくは急に並びかけずにじっくりと我が妻の見事な後ろ姿に見とれていた。
今日の美早の出で立ちは黒のタイトスカートに純白のノースリーブのブラウスという至ってシンプルなOLの出勤着だったが、溜息が出るほどに研ぎ澄まされた美術品のような美しさを浮き出させていた。
タイトスカートから縊り出されるヒップラインは生唾ものの悩ましい盛り上がりを見せており、左右に震えるのではなくて上下に弾むような動きに合わせ尻たぼがキュッキュッと引き締まる。そしてベルトで絞られたウエストとは至高の凹凸を強調する。
やや筋肉質の四肢がメリハリの利いた今流の女性の理想的な体型を形作っており、引き締まった足首に浮き出た腱が歩を刻む度に一級品の味覚を明示しているかのごとく伸縮する。
恐らくは、ほとんどの女性が憧れるであろう要素を完璧に満たしていた。
長髪をアップに留めた項や剥き出しの肩から二の腕にかけて、既に薄っすらと汗が滲み出ており日の光で時折煌きを放つ。
我が妻である事を忘れてしまいそうなほどに美早は魅力的だった。
見惚れながらも歩を早める・・・何だか追い付いてしまうのが勿体無いとさえ感じる。
「待てよ!」
「ゆっくりして来れば良いじゃない・・・どうせ駅で会えるんだし。」
美早は少しむくれて見せた。
「そう言うなよ・・・そればかりじゃ無いだろ。その目じゃ危なくて仕方が無いよ。」
「全然、見えないって訳じゃないじゃないのよ・・・細かい物が見え難いだけで道を歩くくらいは何でも無いわよ。」
「そりゃ、そうかも知れないけど・・・。変な輩も多いらしいし・・・少しはそっちも気にしたらどうだい。美早はそうでなくても刺激的なんだし。」
「な~に?それ。誉めてるの・・・?」
「両方さ・・・美早は俺の自慢の女房なんだから・・・。それじゃ周りに変質者が居たって分からないじゃないか。」
「ふふ・・・だから、パパと一緒なんじゃない・・・変な人が居たら、ちゃんと守ってよ。」
「わかってるさ・・・でも自分でも用心しなよ・・・。それはそうとそのスカート・・・後ろのスリット深過ぎないか?」
「あは・・・。分かった・・・ちょっと派手かなとも思ったんだけど・・・何か色とフォルムが気に入っちゃって・・・。」
「色って・・・ただの黒だろ・・・?」
「やだなあ・・・これ偏光色なのよ・・・あ・い・い・ろ・・・ちゃんと見てよね。あい色なんだから。」
「そんな・・・黒にしか見えないけど・・・。」
「そ・・・自然光の下では黒に見えるけど、蛍光灯の下に行けば変わるんだから。」
「・・・ま、そんな事より・・・今日はストッキングも履いてないじゃないか。」
「へへ・・・ばれたか・・・だってこう暑くちゃさあ・・・ストッキングが貼りついて気持ち悪いんだから・・・。会社行ってから更衣室ででも履くわよ。」
露出された生脚がとても艶めかしい・・・フォーマルタイプのボトムスの下だけに尚更だ・・・それにしても染み一つ無い美しい脚だ・・・それが踏み出す度に極端に深いスリットから太腿の裏側まで露になる。
男なら誰だって視線を奪われちゃうよなあ・・・。そっと振り返って見ると出勤スタイルの男性が三人も後から続いていた・・・。
歩きの遅さからしても当に追い抜いていて当たり前なのに・・・である。
私に気付かれたのをカモフラージュするためか男達は急に歩みを早め、あっと言う間に我々を追い抜いて行き過ぎた。
「会社より電車だよ・・・危ないのはさ・・・。スシ詰めなんだし、逃げ場が無いだろ。」
「え~~~!それって痴漢に気を付けろって事よね・・・。マジでそんな人が乗ってるのかしら。」
「う~ん・・・痴漢が乗ってるって言うよりも刺激されて痴漢に成っちゃうって言った方が正確なんじゃないかな・・・。特に薄着の季節だし・・・最近の女の子は露出がきついしね。」
「パパもそんな気に成った事って有るの?」
「痴漢がしたくなった事ってのは、まだ無いけど・・・つい見惚れて後を追ったりした事ってのは何度か有るかな・・・。」
「やだ~、男の人ってみんなそんな目で見てるんだ・・・。」
「そう思っといた方が良いって言ってるんだよ。特に美早は只でさえ人目を引くんだから。」
「そっか~・・・そうね・・・出来心って言うもんね・・・でもこの暑さじゃホント参っちゃうのよね・・・上着だってとても着れやしないしさ。」
左腕に下げた手提げバックの上に掛けられた上着を差して呟いた。
「ところでさあ・・・私達の乗ってるニ両目の車両に変な人って乗ってると思う・・・?」
我々が毎朝利用する通勤快速はラッシュアワーのピークで夥しい数のサラリーマンでごった返しているのだが、経験を持っている人なら分かると思うが、いつもの車両には大体同じ顔触れが毎朝判で付いたように乗り込んで来る。
そう言う私達もその中の一員なのだから。
毎朝顔を合わせているにもかかわらず挨拶の一つも交わす事は無く只、黙々と同じように電車に揺られながらの通勤を繰り返す・・・。
お互い何も知らない間柄で有るにも関わらず、お馴染みの顔ばかりだ。
「俺達の車両ねえ・・・。」
どいつもこいつもが美早の姿態を欲望の混じった目で観察しているように思えた。
その中でも特に気に成る男が居るとすれば・・・。
「あの・・・デブ!」
私が答えるのとほぼ同時に美早もまるで示し合わせでもしたかのように同じ言葉を吐き出して、思わず顔を見合わせた。
- 2014/09/02(火) 11:39:31|
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ほぼいつも通り五分前に駅のホームへ到着した。
あれからずっと道中の会話を例の男の噂話しが独占していた。
その男は私よりも幾分、歳は若いと思うのだが、ひょっとすると美早とあまり変わらないのかもしれない・・・それほど歳を食っているようには見えないのだが、若々しさは微塵も無かった。
快速列車の到着を待つ列にはお馴染みの顔が揃っていたが、いつも私達より早くホームに来ている筈のその男は、今日は珍しくまだ現れていなかった。
「今朝は遅れているみたいだな・・・。」
列を注意深く観察しながら小声で美早に耳打ちした。
「ふふ・・・噂話でくしゃみでもして鼻でもかんでるのかもしれないね・・・。」
美早はさも愉快そうに答えを返すと人列の最後尾に回ってハンカチで額の汗を拭った。
私も美早の真横に付いて並んだが、どうも気に成って二階の改札口から乗客が降りてくる階段の方向に顔を向ける。
それは美早とて同じと見えて、やはり階段方向を気にしている様子だった。
その男は百九十センチに届こうかと思われる巨体の持ち主の上、かなりの肥満体型と言う事も有り、ここでは美早とはまた違った意味で大変な存在感の持ち主である。
相撲取りのような巨体だから、さすがに近視の美早でも階段を降りてくれば確実に見つけられるであろう。
私達がこの男を不審人物と指定した理由は、まずそのだらしのない服装である・・・外したネクタイをワイシャツの胸ポケットに押し込み、襟元は上部から大きく開かれていて、いつでも下着のランニングシャツを覗かせている。
襟カラーには染み付いたような汚れの首輪が貼り付いており、それが襟ボタンを掛けないために厚い肩と首を消失させてしまっている脂肪の層に押し開かれて白日の元に曝け出されている。
極端な汗かきなのだろうシャツの至る所に汗染みを作り、時には出勤前だと言うのにズボンの臀部が塩を吹いている事さえあった。
額は冬でも玉の汗を浮かべており、この暑い時期では水を流したようにだらだらと襟元まで筋になって流れる程だ。
また、くりくりに大きなカールを描く毛髪は寝癖がついたままの事が多い上に、その髪や肩の上には油っこいフケが散らばっているし、グローブのような肉厚の手の爪は手入れがされておらず、黒い垢をびっしり詰まらせている。
もちろん体臭も気になる・・・ことにこの時期は汗臭い酸っぱいような匂いを立ち上らせる。
ようするに限りなく不潔なのだ・・・。
列車の到着を知らせるアナウンスが流れるが階段に男の巨体は現れなかった。
どうやら今日は来ないらしいな・・・。内心ホッとしながら明日からは乗車する車両を変えようかな・・・と考え始めていた。
このニ両目は目的駅の出口への通路に一番近いため、ずっと利用していたがそのために車内の混雑も一番激しい。
その上あの男が不快な気分に更なる拍車を掛ける。
あの男に対する不快感とはそればかりではなかった。
美早は同乗の男性連中から日常的に視姦を受けている・・・ある者はわざわざ彼女の後ろに回り込んでみたり、新聞や雑誌などで遮る振りをしながらチラチラと視線を寄越す。
時には地面にボールペンを落下させ拾う振りをしながらスカートの下から見上げたり、階段から降りてくる私達を階下で待ち伏せしているような男もいる。
だがこれらは美早ほどの美人なら当然と言えなくもないため、もう慣れっこになってしまったのだが、あの男はちょっと違った。
他の連中はあくまでもこっそりと覗き見をしているに過ぎず、これくらいの行為は私とていい女を見ればしてしまう、言わば当然の生理だとも思えるのだが。
あの男は一切の遠慮会釈なしに、本当に厚かましくジロジロと正に凝視するのである。
足先から順に舐めるように眺め続ける・・・夫である私の存在など丸でお構い無しなのでである。
「昨日なんてさあ・・・。」
美早はさすがに声のトーンを幾分下げてはいるものの、尚も話しを続ける。
「でっかい図体で上から襟首を覗き込むのよ・・・。視線が気持ち悪いから身体を反転させたら、頭を動かして追って来るんだもん・・・ビックリしちゃった。」
いくら小声で喋っているとは言っても、直ぐ側で美早に注意を向けている数人には当然この会話は筒抜けで聞えてしまっているだろう。
近視のせいで回りの状況観測が甘いということも有るのかも知れないが、私には美早が他の無礼者に対して釘を刺しているようにも聞えた。
「あいつ、ホント図々しいのよね・・・、わざと寄って来るしさあ。それでジロジロ見るんだから・・・アタマきちゃうわよ。」
さすがに目の悪い美早でも、あの男の遠慮のない行動には気が付いていたようだ。
快速電車がホームに速度を落としながら進入して来るのに合わせて、待ち列は降車客を迎えるために左右に割れ出した。
来なかったな・・・珍しいことも有るものだ、と思いながら階段から到着列車の方に向き直りながらギョッとさせられた。
来ていないと、ばかり思っていた巨体の持ち主は、何と私達二人の真後ろに堂々と突っ立っていた。
確かに居なかった筈なのだが、と考えながら自分達のミスに気が付いていた。
このホームには確かに改札からの階段は一つしかなく、ほぼ全ての乗客は私達が監視していた階段から降りて来るのだが、今一つ改札から通じる通路が有った。
それは身体障害者用に設けられたエレベーターだ。ただこのエレベーターは改札口から一番奥の不便な場所に設置されているため本当の障害者以外で乗客が使用しているのを見たことがなかったため、迂闊にもその存在さえ忘れてしまっていた。
理由は判然とはしないながらも、このエレベーターを使ってホームまで来たであろうことは、まず間違い無さそうだった。この男はいつもなら私達よりも早くにホームに到着している。ひょっとすると毎日、あのエレベーターを利用しているのかもしれなかった。
様子を覗う意味もあって、それとなく時計を見る振りをしてそっと見上げてみると、もろに視線がぶつかった・・・。
男の、まるで猛禽類を思わせるような、奥目がちで細い裂け目のような目に見据えられ、思わず視線を足元に落としてしまった。
いったいどこまで聞かれていたのだろう・・・。美早を守らなければならない筈の自分の失敗に気は大きく動揺を見せ、胸は早鐘を打ち鳴らし、冷や汗が激しく噴き出した。
美早にも事実を知らせようと肘で合図を送り目で示したが、生憎、美早の視力では私の目線を確認する事は不可能だった。
肘鉄の合図を催促とでも勘違いしたのだろうか。決定的な一言が美早の口をついて出た。
「あのデブ、きっと女に相手にされたことないんだよ、あんな不潔な男と一緒にいたら臭くて鼻が曲がっちゃうし。風俗に行っても、きっと門前払いね・・・だから駅で見た女の子を肴にして・・・自分で・・・やだ~、サイテ~。」
- 2014/09/02(火) 11:40:33|
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到着した快速電車の扉から人波が吐き出される。
降車が完了するまで、殆どの乗車待ちの列客は順序を厳守し整然としているが、一部の・・・まあ、これもいつもの顔ぶれが、我先にと降車客の波と逆流して扉の端から無理やり乗り込みを開始する。
ベッドタウンのこの駅での降車客は、それほど多くはなく、我々の向かうオフィス街まで大半の乗客は乗ったままである。したがって降車が済んでも車内乗車率は七割を下回ってはおらず、そこへ路線最大の乗降客を誇るベッドタウンの通勤客が乗り込む訳だから、どれほどの混雑になるのかは、想像してもらえば容易に分かろう。
私達は待ち列の中間くらいに並んでいたのだが、既に乗り込み時には扉の中は人で溢れており、中の人の背を押さえねば入ることも叶わないような状態になっている。
いつものように私と美早は、“とうせんぼう”をしているかのような人垣の背に向かって自らの背を付けて外に膨れようとする力を押し戻す。
向かっていた体を列車から反転させてホーム側に向きかえたため、美早の目にもハッキリと話題の主の姿が確認できた筈で、言葉は無くともその強張った表情を見れば一目瞭然だった。
その男は私達の眼前から正面を向いたまま背を屈めて、まるでアメリカンフットボールのフォワードのような姿勢をとったかと思うと、勢いをつけてぶち当たってきた。
相撲取りのような巨体が力任せに突進した訳だから、車内の混乱は凄まじく、奥からは「バカヤロー!」という怒号までが飛んでいた。
私はまともに顔面に肩でぶち当たられたために、顎が痺れたようになっていた。
体は吹き飛ばされ・・・人込みの中に倒れ込んでしまい・・・揉みくちゃになりながらも、何とか態勢を立て直し吊革にしがみ付いて息も絶え絶えになりながらも辺りを見回すと、扉から大きく離れた座席部分の中間にまで押し込まれてしまっていた。
美早のことが気がかりだったが、近くには見当たらなかった。
あの男は・・・。その巨体はこんな人込みの中でも頭ひとつ飛び出しているため、容易に見つけることが出来た。そこは私の居る位置からは十五人分くらい離れた、乗り込んだのとは逆側の扉脇の手摺の前辺りだった。
まさか、美早もあそこに・・・。妙な胸騒ぎに襲われ、他の乗客の迷惑そうな様子を省みずに、人込みから飛び出している頭を目指した。
何とか五人分ほどの間隔まで詰め寄った所で、発車を知らせるベルが鳴り響いた。
駆け込み乗車の客が勢いをつけて乗り込み、再び奥へ向かう圧力が強まってそれ以上の移動は、最早や不可能だった。
美早は、やはり座席と壁面の接するL字型の角、飛び出した頭の麓に居た。だがここからでは他の乗客から隔絶しようとでもしているかのように前面に立ち塞がっている巨体の影と、座席上の空間にまで吊革を頼りに身を乗り出すようにしている中間の多数の頭部によって視界を遮られ、その姿はチラチラとしか覗うことが出来ない。
「アッ!す・・・済みません・・・。」
突然、私の眼前の座席にかけて、肩で船を漕いでいた男性が、慌てた様子で立ち上がった・・・。
「ちょ・・・降りるんです・・・通してください。」
寝過ごした様子だったが今更、降車するのは乗車するよりも更に困難を伴うだろう、しかし有無を言わさず出口を求めて立ち上がった。
既にスシ詰の乗客を駅員が力任せに中へ押し込みながら、少しずつ開いた扉を閉ざす作業が始まっていたのだが、大声で下車を訴えながら人波を泳いで行った。
目の前に思わぬ空席が出来た・・・。幸い近くにお年寄り、女や子供もなく、ラッキーだなとでも言っているかのような視線を受けながら腰を降ろした。
ほんの数分、いや数秒間の格闘だったが、体はクタクタに草臥れていた。車内は勿論、冷房されてはいるが、この乗車率では人の熱気で汗だくになってしまう。
腰を降ろすと少しホッとはしたが、無論そのために座ったわけではなかった。
自らの視線を落とすことで、見え隠れしている美早の様子を覗おうとしたのだった。
幸い私と美早の間の三人の座客は、みな居眠りの真最中でだらしなく口を開いたりしながら、後部の窓に後頭部をもたせかけており、少し前屈姿勢をとれば、美早の膝から上の全体像を見上げることができた。
小声で名前を呼んでみたが喧騒に掻き消され、とても届く様子はない。
思いきって呼び声のトーンを上げて再度試みたが、美早は壁に向かってこちらを背にしているためか一向に気付いてはくれない。
それどころか例の飛び抜けた頭部の細い目が、射竦めるような視線を向けてきた。
“うるせえ”とでも言っているかのような視線にあい、私は情けないことに目線をそらしてしまっていた。
一瞬の事だったが再び顔を上げると、その頭部は勝ち誇ったような笑みを浮かべながら美早を見下ろしていた・・・いや、確かにそんな風に見えた・・・。
美早は、やはりやはり後ろの無頼漢が気になる様子で、しきりと顔を斜め後方に転じて見せているが、決して視線は上げようとはしなかった。そして窮屈な僅かのスペースを使って、手にした黒のジャケットを羽織りだした。
この人いきれの熱気の中で、それも無理な態勢をとりながらも上着を着けるのは、間違い無く後方からのプレッシャーを感じているからに違いなかった。
超満員の乗客を詰め込んだ通勤快速は、ようやく扉を閉め切って、ゆっくりとレールの継ぎ目の振動を伝え始めた。
ここから目指すオフィス街の駅まで大よそ十五分、毎朝の苦行が途中停車無しで始まる。
この時、まさか我々夫婦にまでも途中停車無しの旅路が待っていようとは思いも寄らずにいた。
- 2014/09/02(火) 11:41:30|
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窮屈なばかりか、列車の振動にも邪魔をされながら、美早がやっとの思いでジャケットを着け終えた時には、前髪をセンターで割った少し広めの額には、びっしりと玉の汗が浮かんでいた。
よほど暑いのだろう袖口で拭っても、直ぐ後から後から滲み出て来ている。
それ程の熱気を感じながらも上着を羽織らねばならない美早の心境が思いやられた。
見事に真っ直ぐに伸びた高い鼻筋、少し大き目ながらプックリ盛り上がりを見せる唇が見事なバランスを演出する口元、そして切れ長で大きな瞳は近視がゆえの潤んだような艶っぽさを見詰める先に与え、ひとつひとつのパーツは少し大きめで下手をすれば派手な印象を与えてしまうのだろうが、その全てがやや顔の中心に寄っている事で非常に愛くるしく理想的な魅力に転化している。しかし今の美早は、どことなくタレントの菊川怜に似ている美しいパーツを苦痛に歪め吹き出る汗や不安感と格闘しているように見えた。
垣間見える横顔の少し尖り気味に張り出す顎先や、ふっくらとした頬からこめかみに掛けての輪郭線からは汗の粒が滴り始めている。
巨体に背を向けて、できる限りの距離を保とうと背をへこませ壁に寄り掛かるのだが、列車が揺れる度に後方からの接触が背筋に訪れるようで、しきりに右へ左へ身体を捻じっている。
今やその身は壁にピッタリ張り付いて、それでも尚も逃げ場を求めるかのように、爪先立ちの姿勢までも取らされてしまっていると見えてスカートの裾からチラチラと覗く膝の裏側の筋が力みで引き攣ったように伸びているのが見える。
ただ、そうする事は、この超満員の車内では完全に逆効果で、少しでも力を緩めれば完璧に、背後の男の胸に倒れ掛かってしまうほどにギチギチに追い詰められてしまっていた。
どっしりと構え余裕の笑みを浮かべる男は、左手で手摺に捕まり右腕の肘から下を壁面の窓枠に突いてその巨体を支えるのと同時に、身を硬くして背を向ける美早を広大な懐内に完全に取り込んでしまっていた。
引き攣り目一杯、筋肉の筋を浮き上がらせる脹脛が、列車の振動の度に悲鳴を上げているのが、その深く刻まれた眉間の縦皺の動きで分かる。
とてもあの態勢のまま十五分もの時間を、頑張り通す事が不可能なのは、既にびっしょりと顔中を濡らす油汗が物語っている。
このままでは男が何も手を下さずとも、美早の方から崩れ落ちてしまうのは明白に思える。
くやしい事に男は、混雑する車中を味方につけて、美早を孤立無縁の状態に追い込んでしまった。
助け出すには、私が勇気を持って美早の元へ参じれば良いのかもしれなかったが・・・体は石のように固まってしまって動けなかった。
何を恐れているのか・・・自分自身に腹が立ったが・・・それ以上に窮状の妻の姿に言葉に出来ない、怪しい昂ぶりを感じていた。
列車は駅を出ると直ぐに、川に掛かる鉄橋に向かって緩やかなカーブを描きながら、車体を幾分、右方向に傾けて進む。
少し車体は軋み、微かな横Gを乗客に与える。だが平素この路線に乗り慣れている者ならば別段混乱もなく遣り過せるはずなのだが、今朝の状況は平素と丸で異なった。
僅かな傾きは、限界まで壁に身を預けた美早をあざ笑うように背方向への重力を与える。
ただでさえ立っているのが困難なほどまで爪先立ちを、余儀なくされているのであるから、この僅かな重力でさえ、留めを刺すには充分過ぎた。
「あうっ!」
美早はくぐもった声でうめくと、バランスを失った。
ドスンッ・・・
支えきれず、後方の無頼漢の胸に崩れ落ちる。
「大丈夫ですか・・・?」
男は相変わらずニタニタしながら、倒れ込んで来た美早の両肩を太い右手で抱き込むように受けとめた。
眼下で喉元を巻くように回された腕を見下ろしながら、美早は「すみません・・・。」と詫びていた。
「支えてあげますよ、安心してください。」と言う言葉に美早は、慌てて。
「もう、大丈夫です・・・。一人で立てますから・・・。ありがとうございました。」と答えるが、大丈夫どころか最早、立っていられる床さえもが無くなってしまっている。
「大丈夫って、すごい汗じゃないですか。困った時は、お互い様ですよ、こうして肩を支えてあげますから、遠慮せず力を抜いて凭れていて下さい・・・。先はまだまだ長いですよ。」
遠慮も何も美早には、それ以外に自分の場所を確保する事さえ出来なくなっていた。
困ったように真っ赤に頬を上気させ俯いていた美早が、突然、大きく目を見開き、後方を振り返りながら、腰を左右に蠢かせ始めた。
男は素知らぬ顔で、車外の風景を眺めている風だったが、美早が困ったように捻じる腰には、男の股間がピッタリと密着していた。
- 2014/09/02(火) 11:42:29|
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不快な体温を伝える巨大なぶよぶよの肉弾と、逃げ場を切り取るが如く垂直に遮る、冷え冷えとした車壁の狭間で、サンドイッチにされた美麗肉は今や遅しと齧り取られる時を待つかのようだった。
サンドイッチの具は、ジューシーな湿り気を全身に行き渡らせ、後方から挟み込んで来る汗臭い開襟シャツに包まれた脂肪汁のような濃厚な油汗と溶け合って、ダークな色味のジャケットの背に大きな染みを浮かび上がらせている。
相変わらず、男の下腹部は形良く盛り上がる尻肉と接触したままで、何とか振り解こうと必死で腰を前に迫り出すのだが、呆れた事にこの無頼漢は、壁が味方と成を承知の上で、逃げ惑う尻丘を腰に力を込めて追い詰める。
男の腰付きはあからさまに股間を擦り付ける動作に変わっているにも関わらず、美早は抗議の声一つ発する事無く、ただ眉間に皺を刻みギュッ下唇を前歯で噛み締め耐えている。
「私が支えて上げますよ。」先程の男の言葉が脳裏に浮かび上がる。
「すみません・・・、大丈夫です。」この会話は計算された巧みな誘導尋問だったのだろう、美早が強く拒めない理由の一つに成っているように思える。何故なら好意なのか悪戯なのかの境目を非常に曖昧にしてしまったのだから。
しかし最早、男の行為は手助けと勘違い出来るような生易しいものでは無くなっている。
明らかにむずがる女性に欲望の印を擦り付けるマスターベーションにほかならず。これを痴漢行為と呼ばずに、何をそう呼べば良いのかわからない。
男はしきりに様子を観察するように、頭越しに美早の汗まみれの表情を覗き込んでいるかと思うと、たまにチラッチラッと私の方にも目を走らせる。何かを更に狙っているのは火を見るよりも明らかだった。
抵抗は無いと判断したのだろう・・・。美早の喉元に回されていた野太い右腕がゆっくりと下に降ろされ始める。
美早は閉じていた目を驚いた様子で見開くと、既に母性の象徴の膨らみにまで降下した男の腕を見詰め、両肩を内側に狭めて身を硬くする。
上からの男の視線は明らかにジャケットの前面を持ち上げる豊かな頂きをジッと見詰めている。そしてその肘鉄が列車の振動に合わせるようにチクチクと膨らみを小突きながら、あからさまに、でっかい尻を捻じるように突き出して、美早のタイトスカート越しの肉に強く突き立てている。
美早が下唇を噛み締める前歯の力を一層強めているのが、ギチギチと動く口許から伺える。
だが抵抗らしい抵抗と言えば、抱え込んだ右腕で胸の上の腕を逸らそうと押さえる程度で、それも弱々しく決して強い拒否と呼べるものではなかった。
ますます増長する無頼漢の右腕は、まともに乳房を押し潰し始めていた。
双乳が擦られ腕の下で右に左にいびつに引き摺っていたかと思うと、乳房を下から持ち上げる動きまで繰り出して、存分にその重量感を堪能しているように見えた。
さすがに美早もこれには辛抱の限界が訪れたと見えて、弱々しかった右腕に力を込めて相手の腕を掴み初めての拒否反応を示して見せたのだが、太い腕の力は強く自制させる事は叶わなかった。
男は、狼狽する美早に向かって、また声をかけた。
「勘違いしないで下さいよ・・・。奥さん、僕は奥さんを手助けしたいだけなんですから・・・。安心して身を任せて下さいよ・・・間違っても悪いようにはしませんから。」と告げると手摺を掴んでいた左手を放し、美早の左の腰骨を鷲掴んで更に激しく股間を突き立てた。
美早のきつく噛み締めていた前歯が、突然力を失い、唇を突き出すように深い吐息が漏れ出た。
薄目を開いて頭上の相手の目を見たかと思うと、涙が一筋、零れ落ちた。
それが合図だったかのように、胸上の男の左腕はジャケットの襟から内へ潜り、もろに掌全体で左乳房を引っ掴んだ、それからは好き放題に左右の乳房が揉まれ揺さ振られた。
さすがに私の辛抱も限界が来ていた。身を立ち上がらせようと中腰になったとたん、美早と男の下半身が縺れ合う様が目に飛び込んで来た。
目の前の光景は全てを萎えさせるのには、充分過ぎる衝撃だった。
美早と男は、どう見ても一人分しかない床上で存在を共有しており、必然的にお互いの足の間に自分の足を重ね合わせるような不自由な姿勢で立たされているため。美早の両足の間には男の右足が割り込むように侵入している。
驚いたのは、深く割り裂かれたスリットの隙間から覗く美早の両の太腿が、スカートの中に侵入した男の大腿部を挟み込んでモジモジと生脚の皮膚をズボン越しに擦り付ける姿だった。
再び美早の表情に目をやってみると、苦痛で歪む口許や鼻腔から、時折甘い息を吐き出し始めている事に気が付いた。
そして、上部の男の面を見上げる目付きには得体の知れない、媚びたような色さえ感じ取れる。
私は呆然と成りながらも、激しく勃起し、狂おしいほどの嫉妬と共に、立っていられないほどの興奮を覚えた。
- 2014/09/02(火) 11:46:45|
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美早の周りの状況が変化を見せ始める。
ギッチリと身を寄せ合いながら列車の震動に耐えていたスシ詰めの乗客の群れが二人の回りを遠慮がちになのか、敬遠し始めたのか、はたまた観賞しやすくするためなのか、若干の空間を作り始めているのだ。
OL達は背を向け、少しでも場所を離れようとでもするかのように混雑を分ける者や顔を背ける者が続出しているようだった。
またサラリーマン達も係わり合いを避けるかのごとく我存ぜぬと無関心を装ったり離脱をはかる者がいるかと思うと、入れ替わりに、これ幸いと場所を移って取り囲む者もいる。
ある者は新聞をずらして凝視し、またある者は伏せた顔をチラチラと上げて盗み見ている。
いつの間にか美早の回りは好色そうな男達の生垣で隔離されてしまっていた。
顔を上げ、眼前で吊革に掴まる、十代にも見える若いサラリーマンに向けてみると、美早たちを凝視するように血走った目を見開き驚きの表情を浮かべていた。しかもそのスラックスに被われた目の前の股間部は、ハッキリそれとわかる盛り上がりを露呈しており、ポケットに突っ込んだ手で前布を持ち上げて覚られないように必死でカモフラージュしている。
早鐘を打ち続ける胸を、深呼吸で鎮め、そっと視線を戻してみる。
まず目に飛びこんできたのは、最愛の妻の突き崩され、ただ嵐が過を待つかのような凄惨な表情だった。
汗だくの顔全体を怪しく上気させ、アップの髪から覗く項や耳朶までが朱を流したかのごとく真っ赤に火照っていた。
眉間の縦皺は深く食い込みを増すかと思えば、眉間部全体が持ち上がり、呼応するかのように鼻腔が大きく開き息を吸い込む。そして噛み締めるようにきつく閉じ合わさった口許から堪え切れずに熱い息を吐き出す。
美早の肉体を巨躯で完全に抱え込んだ無頼漢は、最早遠慮など必要なしとでも言わんばかりに背後から乳房を好き放題に鷲掴んで捏ね回しながら陰部を可憐な尻肉に押し付け腰を回転させるように擦り突付きまくっている。
股間を突き出す度に美早の唇から甘い息使いが漏れ出ている、これは明らかに性的興奮状態に落とされた証のように見えた。
男は余裕の笑みを満面に浮かび上がらせ、充血し切った耳元にしきりに小声で何やら囁き続けている。
その度にイヤイヤでもするかのように頭を横に振りながらも、妖しい吐息を漏らす美早からは、痴漢行為に対する屈服の姿勢さえもが覗える。
“美早が痴漢行為を受けながら、感じ始めている・・・。しかもさっきまであれほど毛嫌いしていた男の手に掛かって・・・”私が受けたショックは尋常ではなかったが、それ以上に被虐的な恍惚感が胸を覆い今にも射精してしまいそうな程の興奮を呼び起こした。
一級の美術品を思わせる美早の完璧な肉体は、無残に陵辱者の触手に絡め取られ、その一挙手一投足に哀れにも反応を示し続けている。
遂に美早の腰骨を掴んでその動きを封じ込めていたグローブを連想させるような大きく分厚い左掌が、尻丘の丸みを撫で始める。
戒めを解かれ自由を得た美早の腰は、驚いた事に逃れようとするのではなく、逆に自らすすんで男の局部との接触を求めているかのように、恐る恐るながら相手の触角を探るような動きを見せ始める。
その尻肉の下では深く切れ込んだスカートの後ろスリットから覗く、ほの白い両腿がさも堪らないと言わんばかりにムズムズと擦り合わされ、襲いかかる崩壊の予感に辛うじて耐えているように見えた。
ゆるゆるとタイトスカートの隆起の感触を楽しんでいた、男のぶっとい左手指が接触の角度を垂直方向に転じ尻の割れ目にそって、そろりそろりと下方にずらされる。
極端に太く節くれだった男の中指の先が、深いスリットの最上部の縫い目に到達し指先をかぎ型に引っ掛けてスカートの布を持ち上げる。指で手繰られたスリットからは脚部のみならず淡い水色のレースショーツの布地までをも微かに覗かせた。
恐らく常人の性器ほどの太さを持つ中指は、更に奥を目指してスリットを割ってスカートの内部へと進入して行く。
美早は背後の危うい感触に身を硬くして両腿をきつく閉じ合わせ抵抗の姿勢を見せる。
それでも男の指先は躊躇せず押し入って、腿の裏側の柔らかい地肌をズリズリと這い回っていたかと思うと、局部に食い込んだ水色の布切れに指を差し入れるとグイッと引っ張って汗だくの食い込みを更に深める。
ギリギリと恥部に食い込む危い感触が美早を襲っているのだろう、こめかみには歯を食い縛る表情皺が浮かび上がっている。ストッキングを履いて来なかった事を心底、後悔しているに違いないと思った。
男は持ち上げた布を薬指と小指に預けると、中指を剥き出しになった双臀下部の中心に押し進め、最も恥ずかしいおちょぼ口の辺りへ埋め込む。
さすがに堪え切れずに振り返り抗議の目を向ける美早だったが、男は相変わらず卑猥にニヤついた顔で見詰め返し乳房を鷲掴んだ右手に力を込めて、根元から引き千切ろうとでもするかのごとく指先を強く食い込ませて、乱暴に絞り立てる。
激痛が走るのだろう、美早は押し殺し絶息するかのような声にも成らない悲鳴を荒く吐き零すと、無体な手の甲に己が右手の指を絡ませ静止させようともがく。
この抵抗に応じたのか男の右の掌からの理不尽な握力は緩められ、その節くれた指先が哀れな生贄の白く繊細な手指を労わるように擦り熱く握り締められて、身体の側線に沿って降ろされる。
美早は、聞き入れられた要求に少しホッとしたのか、歯噛みしていた口許を緩ませる。
しかし下半身では相変わらず、執拗に肉付きの良い、きつく閉じ合わされた太腿を割り裂こうと左手指が隙間を求めて蠢いている。
美早も私も自分の受けた、ささやかな安堵感が大きな間違いだったことに、すぐに気付かされた。
男の右手に握り締められながら胸元から降ろされた、白魚のような右掌は、許されたのではなく更なる屈辱を味わうことになる。
安心したのか、抗いを忘れ成すがままに導かれる右手は、そのまま降下しながら男のダボついたズボンのポケットの中に、意に反して引き込まれる。
驚き、肘を上げ必死で抜こうともがくが、どうやらポケットの内部で強く押さえつけられてしまっているらしく、更に奥へと捻じ込まれる。
眼前で最愛の妻が遭遇している災難は、生易しい痴漢行為の粋を遥かに超越してしまっていたが、我が身は金縛りにあったように身動きすら出来ず、ただブルブルと小刻みな震えが全身を包み込む。
身動きの叶わない身でありながら、股間の勃起だけは別の生き物ででもあるかのように下着の中で荒れ狂う。ポケットに入れた手で握り締めると、それだけで精を吹いてしまいそうだった。
恐らくは美早も無頼漢のポケットの中で、高まり切った逸物に無理やり擦りつけられているに違いなかった。スラックスの前部は捻じ込まれた二つの掌によって歪な盛り上がりを浮かび上がらせている。
男は美早の頬近くに顔を寄せると、唇が耳朶と触れ合うほどの至近距離で何事か言い含めるように低く囁く。
ポケットの内で観念したように美早の掌が欲望の形状に指を絡め、握り締めるのが、肘周囲の筋肉の動きから覗えた。
「あ・・・あ・・・」
くぐもったような呻き声が微かに耳まで届き、とたんに閉じ合わせた目の淵が妖しく朱に染まる。
噛み締められていた口角は、半ば力を失い微かにほころび、濡れた唇の輝きが悩ましく煌く。
太腿の頑なな抵抗に進を遮られていた左の指先は膝の微かな緩みを見逃さなかった。
スッと道をつけた瞬間、右の内腿に払うような力が加えられると、いとも容易く両脚が割れ、屈強な膝頭が中間に楔を撃つ。
「は・・・あう・・・」
再び閉じ合わせようと下肢を捻じるも、撃ち込まれた大きな膝頭はびくともしない。
無防備に開け放たれた股間に下方から指の腹が張りつく。
中心に押し当てられた指がはっきりと目視できる。狼狽と脅えと情念の入り混じった表情で美早はガックリと首を折る。
太い指先が、手の込んだレース刺繍のあしらわれた薄水色の下着の最底部をそろりとひと撫ぜすると、明らかに甘美感を浮き出させた瞳は薄く開き顎先を宙に突き出す。
怒張を握り締め、秘芽を押し揉まれ、声を殺して啜り泣きに咽ぶ姿からは、被害の欠片も見出せなかった。
遂に指先は薄布の淵から、深い食い込みを引き剥がすように内へと進む。
貝殻を避けられた剥き身が暴かれと、内腿の真っ白な肌目に沿って一条の泥濘んだ滴がどろりと流れ落ちた。
- 2014/09/02(火) 11:47:44|
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架線から伝わる規則的な振動が、巻きついた手指を介在して胴体を刺激するのだろう、男の熱い息使いが少し赤みを帯びた頂付近の髪の毛をふわふわと宙に泳がせる。
美早をズボンの内側に置き去りにしたまま、汗ばむ腕の線を伝って姿を現したゴツゴツした掌は肘の関節を長い指で握り締め催促を促すかのように、更に力を込めて奥へ押し込むと、程よい柔らかさと弾むような弾力を備えた右腕はズズッと肘関節から一握り余りを残してポケットの中に消えてしまった。
たとえ握り拳を作ったとしても、優に三十センチ近くの物を納めきれるポケットなど有り得ない、恐らくは予め底を抜かれていたのであろう、生身で握らされているに違いない。男の痴漢行為が綿密な計画のもとに行われていた事を思い知らされると共に自分の甘さを痛感させられた。
潜り込んだ腕が服従を誓うかのようにゆるゆると蠢き始めた。
ズボンの股間部で根元を握り締めていたと思われる美早の掌が作り出す盛り上がりが徐々に移動を開始する。その動きに合わせて姿を隠していた腕が再び少しずつ姿を現す。
暴漢の持ち物は侵入した右ポケットと同じ方向に斜交して納まっているらしく、スライドする掌は上に動くのではなく手前に引くように移動する。
引っ張るような動作で肘を後方へ突き出しながら、付根から先端部を目指して、隠れていた腕が再び姿を現し始める。やがて手の甲までがポケットから覗く。さすがにこのまま抜去されるものと思ったのだが、それはとんでもない誤りだった。
美早はポケットに指の先だけを残した状態で手の腹に何物かを握り締めている。それは握り拳の形から見ても、少なくとも庭球のボール位の大きさがあるようだった。しかも握られている位置は幅広の右腰骨上の脇腹辺りだ。ベルトに遮られる事なく真上に伸びていたなら、恐らく臍を大きく越えてしまうだろう。そんな信じられないほど巨大な逸物を行き来させられる美早の右腕は肘ばかりか肩の間接までも使う必要があるようだった。
懸命に何度も何度も肘を後方に突き出しながら、股間には理不尽な侵入を許したままで、胸でも大きな掌が好き放題に暴れる。
美麗に盛り上がった乳房は押し潰され歪に変形したかと思うと、手首を返して振動を与えられてブルブル震わせられながら乳頭部を指先で強く探られる。
探り当てた乳首を指の腹で強く押し込まれ、乳房肉が大きく歪み周囲に零れると、感極まったような喘ぎを発して壁面に突っ伏してしまう。
頬を壁で押し潰して肩で大きく息をする表情からはアクメの色が滲み出している。
美早が上体から崩れ落ちると同時に、男の右手が腹部を抱え込んで下半身のバランスを保つと、背後に向かって尻を突き出すようなはしたない態勢を露呈する。
左手の指先での愛撫を芽に加えられ続けていた牝果肉は、限界まで熟し切ってしまっているらしく、内から溢れ出す果汁が容積を越えて出口の門に満ち重力の膨張で辛うじて押し留まってはいたのだが、太い中指の腹が攻撃の矛先を変更して襞が綴れ折る剥き身に微かに触れると、堰を切ったように、まるで満ちた温泉の湯が溢れ出すが如く、一気に弾けて内腿の素肌の斜面を道を成して滑り落ちる。
そのまま剥き身に中指をズブッと沈められると、筋を成す樹液の川に土石流のように太い筋が流れ込み、内腿を水浸しの惨状に変える。
堪えていた苑の漲りを解き放つと、剥き身の陰唇が刺し込まれた異物に絡み付きながら、始めの樹液よりも明らかに濃度をいや増した白濁液が薄められる事もなく粘く張りつく。
「う・・・うおお・・・」
壁に押し付けられた美早の口から快楽を報せる合図が発せられた。
押し殺した吐息とは明らかにトーンの変わった善がりに周囲の乗客の目線が一斉に集まる。
気配で察したのだろう、手提げを肘にかけた左掌で口許を覆い隠すが、下半身で無情の指先が蠢く度に、引き攣ったうめき声が暴発する。
たまらず人差し指の甲に歯先を立て強く噛みしめて堪えるが、逝ってしまったような瞳が宙をさまよい、噛み締めた口角から唾液が零れる。
中指は完全に泥濘に埋没し、姿を消してしまった。
それだけでファックを受けているのと変わらないくらいの太さと長さだ。今や美早は置かれた状況を認識する意思さえ失って、頭をのた打ち回らせながら、腰を前後に打ち振って貪欲に悦楽を希求する。
男根を擦るポケットの掌は先端の瘤を握り締めてグルグルと振り回している。その動きはまるで自動車のクラッチをメチャメチャに操作しているように見える。
押そうが突こうが崩れを見せない隆起が頑強な硬度を感じさせた。
- 2014/09/02(火) 11:48:46|
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通勤快速は目的地のターミナル駅に向けての架線橋に差し掛かる。
減速を始める列車にいつもならば、ほっとする瞬間でもある。だが今日は絶頂を求める獣達の姿がそんな安穏とした空気を否定し尽くす。
多くの乗客の好奇心が集中しているにも拘わらず、今のふたりからは一切の躊躇いは消滅し、ただただ完結の瞬間を追い求めるかのように見えた。
架線橋の中程に位置する最後の通過駅を過ぎると、終着駅までは2、3分で到着する。
毎朝の判で押したような車内アナウンスが到着の予告を告げると、列車は架線橋のカーブを緩やかに曲がって急激に速度を落しながら小刻みなレールの振動を拾い集め、車体を軋ませて乗客の体を上下に揺さ振る。
縦揺れの振動が深く挿入された指先を激しく最奥に突き立てる。
「あ・・・ぐむむ・・・」
列車と同じように美早の官能も終着駅へと到達しつつあるようで、両膝を内へ“く”の字を描くように折り曲げるようにしながら、内腿の肉で入り込む掌を強く挟みつけて接続の深度を貪欲に高める。
肩を起点とする右肘は狂ったように打ち振られ、暴漢の官能にさえ追い込みをかける・・・と言うよりも、自らが置かれた興奮状態が無意識のうちに行動に転化されたと見えて、極めて自然に相互のクライマックスを追い求めているようだ。
男は訪れつつある制限時間を見越したように、入り込む中指に薬指を加えて、二の腕の腹の力を強めると爛れ切った内壁をメチャクチヤに掻き毟る。
「ヒック・・・ヒッ・・・ク」
最早、美早からは喘ぐ声さえ漏れでなくなって、引き攣ってしゃくるような息使いが間断的に溢れる。
媚響を搾り取れるだけ搾り取りながらも、男の官能も既に限界が近い事は、その額に滲む脂ぎった汗の量と険しく歪む目元が物語っていた。
・・・!声は出さなかったが、宙に吠えるような口の動きと瞬間的に膨らみきって腔を大きく開いた鷲鼻の蠢きが、男のクライマックスを伝えた。
同時に美早の眼孔は大きく見開かれ、噛み締めた人差し指に血が滲むほどの勢いで歯を立てると。握り締めていた右掌を逃れさせようと引き抜く動作を見せたが、上からガッチリと巨掌に押さえ込まれて、脈動の全てを感受させられる。
ドクドクと吐き出されているであろう男精の痙攣を手の腹で感じながら、美早にも無念の瞬間が訪れる。
快速電車は駅ビル内のホームに吸い込まれるように到着する。
夏の強い日差しで目が眩むような明度に馴れ切った視力が、瞬時に屋根の遮りで暗むと一瞬間、視界が閉ざされ美早の身体がシルエットのように塗り固められる。
「○○、○○で御座います、足元にお気をつけ下さい、終着の○○で御座います。」
アナウンスの音響の影に成りながらも、ハッキリと美早の「う・・・おおおお・・・」と言う絶頂の咆哮が聞き取れた。
減光に耐えながらも必死で目線を凝らして愛する妻の生業を確認しようともがく。
ゆっくりと乗車待ちの人々を車窓に見ながら、減速し切った列車は音も無くホームへ滑り込む。
この人々は、まさか自分が待つ列車内でこのように猥褻極まりない陰事が行われていようとは夢にも思わないだろう。眠そうに欠伸をしながら大きく伸びをする頭の剥げ上がった、定年前位のご主人の姿が見える。
減盲が軽減され視界が戻り始め、美早の股間が薄っすらと覗える。
その膝はさっきまでの強い絞りを消滅させてだらしなく緩み切って外側へ逃げ、下の脹脛がわなわなと震えている。
男の手指は相変わらず股間を蹂躙し続けており、動きに合わせて夥しい飛沫を股間にばら撒いている。
俗に言う“潮”を吹かされてしまったらしい。
先程の雄叫びの後、美早は魂を抜かれてしまったようにグッタリとして、肩で息をしていた。快感を搾り取った右手はダラリと下方に投げ出され、力なく振動で揺れ動く手指が哀れを誘う。
列車が停止すると男は満足げな表情で、ようやく美早の全身を開放した。
股間から抜き出された左手指の腹には、私が今までに見たこともないような、濃厚で濁り切った善がり汁が層をなしてベッタリと大量に付着していた。
扉が開きスシ詰めの通勤客がホームに吐き出されると、放心状態の妻の耳元に何事か二言三言囁くと置き去りにしたまま、ホームの人込みに消えた。
私はふらふらした足取りで美早の元へ急いだ。
ゼイゼイ息を切らしている美早を支えると、傍らから下車しようとした公務員風の男がにやつきながら目線を逸らしたまま、「朝っぱらからご馳走さん、また頼みますね。スケベ奥様・・・ふふ」と独り言のように呟いて擦れ違って行った。
粗方の乗客が下車した後を、肩を貸すようにしながら下車する。
降り際に今まで美早が立っていた足元の床面を見ると、そこだけが雨降りにあってでもいたかのように無数の散らばった飛沫の跡で湿り切っていた。
「パパ、もう帰ってらしたの。」
美早は玄関で靴を脱ぎながら驚いたように声をかけて寄越した。
「帰ってるなんて、夢にも思わないから・・・まだ何も用意できてないわよ。」
「暑くて、嫌になるね・・・買い物はして来たから直ぐ用意しますけど、先にちょっとシャワー使ってくるわね。汗掻いて気持ち悪いから。」と言うと手提げバックを食堂の椅子の上に置いて、スーパーのポリ袋から生鮮品を冷蔵庫に手早く移し、バスルームへ向かった。
私は美早の姿を見送ると、椅子に置かれた手提げバックを手に取り、サイドポケットに指先を刺し入れた。
今朝、あの男は力なく喘ぐ美早を尻目に、ここに何物かを偲ばせてから立ち去った。
連絡か何かが書かれたメモでも入れて行ったのだろうとばかり思っていたのだが、現れたのは全く別次元の物体だった。
ブニョブニョした感触を手指に伝える物を取り出してみると、美早の手によって搾り取られた白濁を満々と湛え、出口を固く縛られた桃色のゴム製品だった。
温みの失せた液体は驚くほど大量で手の平で握り切れないほどだった。
私はそれを元通りにバッグに戻すと、美早が向かった浴室へ歩を歩ませた。
- 2014/09/02(火) 11:49:57|
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浴室の摺ガラスには上体を折り曲げて足首から下着を抜き取る美早のシルエットが浮かんでいた。
まだ着衣は着けたままで黒いタイトスカートに包まれた腰の張り出しが悩ましく、当然の事ながら、今朝と同じ井手達のままの服装には嫌でも狂おしいほどの欲情を禁じ得ない。
我が妻はくどいようだが大変、魅力的な女性である。
容姿も勿論だが性格的にも大変明るく快活で、彼女が居るだけでその場の雰囲気や空気がパッと華やぎ盛り上がる。
美早と結婚して一年、彼女に対して不満らしい不満は殆ど皆無に近かった。
社交的で人付き合いも良く、かと言って必要以上に馴れ馴れしく成ることもなく。また私の両親や親族とも非常に上手く付き合う事が出来たし、「みさちゃん、みさちゃん」と受けも大変良い。
前妻がこれとは全く逆に自閉的で限られた相手としか親しくしようとしなかった事で、身内からも何かと疎まれたのとは実に対照的である。
前妻についても少し触れておくと、私よりひとつ年上の彼女とは九年間を共にしてきた。
だが、私達が夫婦として一緒に過ごしたのは最初の三年余りで、残りの六年間、彼女は殆どの時間を実家で過ごした、つまりは別居夫婦と言うことだった。
我々には子供は無かったのだが本来は、今年小学校に上がる一児に恵まれていた筈だった。しかし彼女は育児に自信が持てないとの理由から堕胎を主張した。勿論、私も私の両親も決して許す筈など無かったのだが、休養の為の里帰りと称して実家に戻るとそのまま産院で我が子を始末してしまった。
彼女の両親さえもそれには反対していたのだったが、独断で処置してしまったらしい。
事後になって自分が精神的にまいってしまっていた事を理由に詫びを入れてきた、私とてわだかまりが無かった訳ではなかったが「もう一度やり直そう。」と言う彼女の言葉を信じて一度だけとの制限付きで不問に帰した。
だがその後も彼女は、なかなか私の元に戻ろうとはせず、大半の時間を実家で過ごした。
始めは身体の静養として大目に見ていた私だったが、余りに長引く上に実家へ電話を入れても不在な事が増えてくるに至っては、疑心暗鬼から猜疑心へと心内が変わり始めていた。
そんな関係の中、当然、夫婦間の営みも全くと言って良いほど無くなっていたのだが、にも拘わらず子供を身篭ったと告げられた時には我が耳を疑った。
性交渉は確かに限りなくゼロに近かったもののゼロではなく、一年に一、二度帰宅した際には、決まって私の方から求めて申し訳程度の性交を行っていた。
申し訳程度と言ったのは、私が相手をしている女はさも早く終わってとでも言わんばかりの白けきった態度で何の反応さえも示さずに、ただ果てるを待つのみだったからである。
こんな関係の中でも確かに精子を膣に注いでいた訳だから、子供が出来ても不思議では無かったが、当事者の直感とでも言うのだろうか、とても妻の腹の子が私の子供だとは信じられなかった。
勿論、今回は妻も出産に積極的だったのだが、今度は私の方が複雑な心境を感じずにはいられなかった。
こんな心の葛藤を繰り返すうちに、とても押さえる事の出来ない疑念が芽生えた。
それは妻に私以外の男が居るのではないかと言う、ごく自然な疑惑だった。
産まれて始めて興信所を利用して妻の素行調査を依頼した・・・結果、私の想像は見事に現実の物と成った。
しかもその男との関係は私達が結婚式を上げる半年ほど前からその時までずっと続けられていたらしい。
更に私がショックを受けたのは、相手の男性が何と我々夫婦の仲人だと言う事実だった。
この仲人は商売を営んでいた妻の父親の希望で特別融資を受けていた取引銀行の支店長にお願いした。妻はそんな弱みに付け込まれ身体まで要求されたらしかった。勿論、双方の不倫の関係だった。
だが私の疑問はその融資は私の方で肩代わりして返済済みで、九年もの長きに渡って付き纏われる理由は無い筈なのだ。
意を決して妻を問い詰めると、一応否定して見せたが、確たる証拠を突付けると弱々しく自白し始めた。
最初は式のスピーチの打ち合わせとの理由で呼び出されて酔わされて強引に犯されたらしかった。しかし借金の事もあって泣き寝入りするしかなかったようだ。
それからと言うもの結婚式の事で出会う機会がある度に肉体を求められたと言う。呆れた事に私と二人で会った後でさえも遠慮は無かったらしかった。
その後も度々呼び出されズルズルと関係を続けていたようだ、最初の子を堕胎した理由も私との子か仲人との子か分からずに主産する事に躊躇いが有ったからだと言う。
だが何故、返済後も今日まで関係をズルズル続けたかを聞くに及ぶと、涙ながらに詫びながらも亭主に男としての最悪の侮辱を与える言葉を吐き出した。
「あなたよりずっと良かったから・・・。」
「あの人から身体が離れられないの・・・。」
「前は降ろした・・・けど、今はあの人の子供が産みたい・・・。」
「あなたは私にとって出来すぎた夫・・・でも・・・男としては最低の男・・・。」
それ以上は聞けなかった・・・妻の口から出る言葉が怖かった。
そして最初の結婚は終焉を迎えた、だが私にとっての苦行はそこから始まったと言ってもよかった。
今朝、美早が受けた屈辱は、そんな私の願望を叶える出来事だったのかもしれない。
前妻を心身共に寝取られた苦痛は、同時に狂おしいばかりの被虐的快感を呼び起こした。それからの私は自らの愛する女が他人に踏み躙られる場面を夢像しなければ興奮する事さえも出来なく成ってしまっていた。
美早も以前に大学のサークルの連中から陵辱を受けていたし、私との始めての夜に「かわいいのね・・・。」と囁いた。
こんな発言はその後一度だって無かったし、酔っ払った上での言葉で本人とて記憶には無いかもしれないが、私の耳からは決して離れる事の無い阻害的快感を生み続けている。
浴室手前の脱衣所で揺らめく美早のシルエットにあの男の巨体のイメージが湧き上がって重なり合うと、もう私の辛抱は限界点に達していた。
- 2014/09/02(火) 11:53:32|
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