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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

心の隙間 第3回

彼は入って来るなり正座して頭を下げます。
「すみませんでした。人の道に外れた事をしました。でも私達は愛し合っています。出来る限りの償いはしますが、分かれる事だけは出来ません」
この男は妻の手前もあってか、その後も堂々と愛を語り、妻に対して誠実な男を演じ続けます。
そして恋愛経験が乏しい妻は彼に愛されていると信じ切っていて、彼と並んで私に頭を下げていました。
「愛し合っている?愛していれば、何をしても許されるのか?お互いに妻や夫がある身だろ!」
「その通りです。申し訳ない事を致しました。ただ私の方はずっと離婚協議中で・・・・・」
「そうか。それなら明日にでも離婚しろ」
「そう簡単には・・・・・・・ですから・・・・妻と協議中で・・・・・・」
「協議などしなくても、全て奥さんの望む条件を飲んで離婚すればいいだろ。そのぐらいの覚悟も無しに、俺の人生を無茶苦茶にしたのか!」
「そういう・・・・物理的なものでは無くて・・・・・精神的な・・・」
「ごちゃごちゃ言っていないで、奥さんを連れて来い」
「妻は・・・・・・・・・」
「だから、すぐに離婚出来るように俺が頼んでやるから、奥さんを連れて来い」
ここまで来てしまえば、ばれてしまうのは時間の問題だと木下も分かっているはずです。
しかし彼は、妻を引きとめるためには嘘も平気でつくのです。
「あなた、ごめんなさい。どのような償いでも・・私が・・・・・」
何も知らずに、妻は彼を庇い続けます。
「どのような償いでも?そうか。それなら先に、奥さんの所に行って謝って来い!早く離婚してくれと頭を下げて来い。何も知らない奥さんは驚くぞ」
「何も知らない?」
「おい木下!自分の家庭はそのままで、久美を愛人として囲う気か!」
「何の事か・・・・・・・妻が納得さえすれば・・すぐにでも別れて・・・・」
彼は時々妻の顔を横目で見ながら、あくまでも惚ける気のようでした。
私は彼の態度に怒りを覚えて掴み掛かりましたが、妻が私の足に縋り付いて邪魔をします。
「暴力はやめてー!」
「おまえはこの男と一緒になりたいのだろ!このままでは結婚なんて出来ないぞ!こいつは離婚なんてする気は無いし、ずっと夫婦仲も良いそうだ!」
「嘘よ!だって別居していて、何度か家にも行ったもの」
「こいつの家でも抱かれたのか!」
「それは・・・・・」
「こいつの家に行ったのは、いつの事だ!最近も行ったのか!」
「それは・・・・夏ぐらいに何回か・・・・・・・」
「子供達は独立しているし、確かに奥さんも家にはいなかった。病院にいたからな」
「病院?何を言っているの?もう何年も家庭内別居状態で、夏前に奥様は家を出られたのよ」
私は報告書を出して読み上げました。
「一年ぐらい前から股関節が悪くなり、ずっと通院していたが六月に検査入院。
そのまま七月には手術を受け、リハビリを経て先月末に退院。近所の人の話しにとると、絶えず笑い声が聞こえて来る仲の良い夫婦で、休みの日は奥さんの手を引いて、仲良く散歩している姿をよく見掛けるとも書いてあるぞ」
妻が私の足を放すのと同時に、思い切り木下を殴っていました。
「久美、騙していたようで悪かった。でも私は遊びじゃなかった。それだけは信じて欲しい。別れようと思っていた時に妻が身体を壊したので、男として放ってはおけなかった。今すぐは無理でも、いつか妻と別れて・・・・・・・」
この男にとって私以外に恋愛経験の無い妻を騙す事は、赤子の手を捻る事よりも容易い事だったでしょう。
しかし今の妻は、彼の愛を少しずつ疑い始めています。
ただ、一年にも及ぶ甘い言葉と半年以上にも及ぶ身体の関係で、彼の事を全て嘘だとは認められず、心の中で自分と戦っているようでした。
「性欲だけで久美を抱きやがって!欲望だけで俺の家庭を壊しやがって!」
また私は木下の胸倉を掴みましたが、彼は私を無視して迷い始めた妻に訴えかけます。
「違う!久美、信じてくれ。私は真剣に君を愛している。確かに妻とは長年一緒にいたから情はある。でも愛してはいないし、夫婦としては終わっている。
私が愛しているのは久美だけだ」
妻は既に気付いているのでしょう。
しかし支払った代償が余りにも大きく、すぐには認められないだけなのです。
「奥さんを連れて来られないのなら、今からみんなでおまえの家に行こう。奥さんを交えて話せば全てはっきりする。離婚話など無かった事や、家庭内別居状態だったなんて嘘だった事も」
私が木下を放すと、彼は妻の方を向いて正座しました。
「正直に話す。離婚はまだ私の胸の内にあっただけで、身体を壊した妻には話していない。でも久美に対する愛は嘘じゃない。ずるい考えだったが、嘘をついてでも久美が欲しかった。それだけ久美を愛していた。嘘をついている罪悪感でずっと苦しんでいたが、その苦しみよりも、久美を手放したくない気持ちの方が大きかった」
しかし妻は彼とは目を合わさずに俯き、太腿に涙が零れ落ちます。
彼に甘い言葉を囁かれ、散々騙され続けていた妻も、ようやく性欲処理の道具にされていた事を自分に認めたのです。
「このような事をしてしまっては、ご主人とは一緒にいられないだろうから、久美の今後の生活はきちんと看させてもらう。妻の身体が完全に回復したら、すぐにでも離婚を切り出して責任を取る。私を信じて、それまではこのままで我慢して欲しい」
夫である私が目の前にいるにも拘らず、妻に対してこのまま愛人でいろと言っているのです。
木下にとって十八歳も若い妻の身体は、自分の置かれた立場も分からないほど魅力に溢れているのでしょう。
この期に及んでも別れられないほど、妻とのセックスは充実したものだったに違いありません。
しかし架空の離婚話に同情し、進んで身体を差し出して性欲の捌け口になっていた妻も、流石にこの苦しい言い逃れに騙されるほどは、馬鹿ではありませんでした。
「帰って!」
「久美・・・・・・」
「もういやー!」
「近々奥さんとも話す事になる。それと、報告書によれば仕事中に妻と会社を抜け出して、喫茶店でホテルに誘っていたらしいな。就業中に部下の人妻をホテルに誘うなんて、そのような事を許している会社の責任も大きいと思うから、そちらにも一度お邪魔する事になる」
私は出来る限り冷静に話そうとしていましたが、手は怒りで震えていました。
「慰謝料は後日文章でそれ相応の額を請求する。それと俺が殴った事だが、謝る気はないから訴えるならご自由に」
木下が帰ると妻は寝室まで走って行き、後を追うと妻はベッドに顔を伏せて泣いていましたが、私はそのような妻に追い討ちをかけます。
「返事が遅くなったが、離婚は承諾してやる。おなえのような女に大事な子供達は任せられないから俺が育てる。もう少し大きくなったら、母親はセックスに溺れて男を作って出て行ったと、俺から本当の事を教えてやるから、今は何も話さずに出て行ってくれ」
それを聞いた妻は泣き叫んでいました。
私は卑怯な男かも知れません。
妻と木下の関係が終わりそうになった事で、強く出られるようになったのです。
「それと、今まで散々世話になったから、今から久美の実家に行って離婚の報告をしてくる」
これは脅しではありませんでした。
今までは妻を失う失望感の方が大きくて、私から他の男に移っていった、気持ちの裏切りが最大の問題でした。
しかし妻の心の行き場が無くなると、急に妻と木下がしていたセックスの事が気になり出して、身体も私を裏切り続けていた事に怒りが増したのです。


  1. 2014/05/28(水) 12:01:43|
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心の隙間 第2回

私は妻の首から手を放すと、声を殺して泣いている妻の横に胡坐を掻いて座り込んでいました。
「いつからだ?」
妻もゆっくり起き上がり、叩かれた頬をそっと手で擦ります。
「去年の十月ぐらいから度々誘われるようになって、二人で食事に行ったりするようになったのは、十一月の終わりぐらいからです」
私は一番聞きたい事が怖くて聞けずに黙ってしまいましたが、その事を妻の方から話し出しました。
「彼とはもう・・・・・身体の関係も・・・・・・ごめんなさい・・・・・」
これは罪悪感から全て話そうと思ったのか、あるいはこの事を話して私に諦めてもらおうと考えたのかは分かりませんが、相手の素性を話さない事を考えれば、後者のような気がします。
「そのような関係になったのはいつからだ?」
「最初に関係を持ったのは・・・・バレンタインデー・・・・・・・」
それで妻は、春に帰った時に私を拒んだのです。
彼に私と関係をもつなと言われたのか、自分から彼に操をたてたのかは分かりませんが、どちらにしても好きな人のために私に抱かれる事を避けた。
つまりは浮気ではなくて、本気だという証拠です。
「離婚して下さい・・・・お願いします」
浮気なら私が離婚を宣言し、妻が泣いて許しを請うのでしょうが、本気の妻は自ら離婚を望んでいるので、私が妻を引き止められる方法は一つしかありません。
「子供達はどうする!当然子供達にも知れるぞ」
「正直に話します。子供達にも謝らなければならないので、私から話させて下さい。子供達はどうしても引き取らせて欲しいです。でも、こんな母親では軽蔑して、許してはくれないかな」
これで私には、妻を引きとめる方法が無くなってしまいました。
あとは泣いて縋る事しかありませんが、裏切られた上にそのような事はプライドが邪魔をして出来ません。
仮に離婚を拒否したとしても、心が戻ってこなければ同じ事です。
しかし寝耳に水だった私がすぐに返事など出来る訳も無く、離婚については先延ばしにしましたが、妻も私に少しは誠意を見せようと思ったのか、通常の時間に帰って来ていました。
「俺が嫌いになったのか?」
「嫌いになんかなれない・・・今でもあなたが好き・・・・・でも・・・・彼の事を・・・・・・」
妻は私の事を嫌いではないが、私よりも彼を愛してしまったと言いたかったのでしょう。
私は消極的になっていて、このまま妻が彼と会わなければ忘れてくれるかも知れないと、情け無い望みを抱いていましたが、それも三日ともちません。
連絡も無く遅く帰って来た妻は、入ってくるなり私と目を合わさないように俯いて、小走りで寝室に行くと声を殺して泣いています。
「どうした?」
「付き合っている事を、あなたに打ち明けたと彼に話したら、約束も守れないのかと怒ってしまって」
「逆切れか。自分のやった事の責任もとろうとしない男に惚れたのか?」
「責任は取ると言っています」
「それならなぜ、堂々と俺の前に現れない!」
「今は自分達の離婚問題があって・・・・時期が悪いからと・・・・・・・」
「俺の人生を無茶苦茶にしておいて時期が悪い?逃げているだけで誠意も何も無い奴だな」
顔を合わせれば絶えず私に謝り続けていた妻でしたが、彼の事を悪く言われるのは堪えられないのか、明日も彼と会って私に謝罪するように説得すると、初めて強い口調で言いました。
しかし翌日帰って来た妻は、もう少し待って欲しいと頭を下げます。
「不倫なんかする奴は、所詮その程度の男だ。お前も同類だから話さないし。こうなったら徹底的に調べて、そいつの人生も無茶苦茶にしてやる」
「待って。明日も会って、きちんと話をしに来てくれるように言いますから」
これでは娘の彼氏が結婚の許しをもらいに来るのを待っている、花嫁の父のようです。
今にも妻に捨てられようかとしている時に、少しでも妻に嫌われないように手加減を加えている情けない自分に気付き、それが更に最悪の事態に進ませているような気がして、私はようやく彼と対決する事を決めましたが、何処の誰か分からなくては動きようがありません。
「相手は誰だ!」
しかし彼を庇っている妻は言う訳も無く、翌日私は興信所に飛び込み、今日会う事が分かっているので早速相手の男の身辺調査を依頼しましたが、その夜二人がホテルに入ったと連絡があり、すぐにでも妻を問い詰めたい衝動に駆られたのを調査がし辛くなるので我慢してくれと言われて、ようやく五日後に詳しい報告書が出来上がったと連絡が入ったので受け取りに行くと、現実に妻が男に腰を抱かれてホテルに入っていく写真を見せられて、猛烈な怒りが込み上げてきました。
何故なら相手は可也年上の中年の親父で、五日前だけではなくて昨日もホテルに行っているのです。
「おまえの好きな彼は、いつまで逃げているつもりだ?」
「逃げている訳では・・・・・・」
妻を本気で愛していれば、ここまで来れば普通の男なら出て来ているでしょう。
しかし甘い言葉を囁かれて自分を見失っている妻には、彼が明らかに逃げている事が分かりません。
「本当に話をしているのか?昨日は何処で話した?」
「何処って・・・・・・」
「ホテルで何の話が出切る!俺がこんなに苦しんでいるのに、おまえ達は会う度にホテルでお楽しみか!そんなに俺を苦しめて楽しいか!」
「ホテルだなんて・・・・・」
「違うなら、昨日は何処にいたのか言ってみろ!」
「ごめんなさい。今後の事を静かな場所で話そうと言われて。それよりも、どうしてその事を・・・・・・」
「木下部長」
「えっ!・・・・・・・・・」
報告書によると相手は妻の上司で、妻は昨年の春に配置転換があってから彼の片腕として働いていて、二人だけで行動する事も多かった為に、社内で二人の仲を噂する者もいて、意外と簡単に調べがついたと調査員は言っていました。
「木下健吾、五十三歳。相手は十八も上のスケベ親父か?」
「彼は違うの。彼とは仕事上の付き合いだけで関係ないの」
私が証拠を持っている事を知らない妻は否定しましたが、上司を彼と呼ぶ事が全てを物語っています。
「関係無いだと!関係ないなら、明日会社に行って話しても構わないな?」
「私が悪いの。あなたへの責任は私がとります」
しかし私には、どうしても木下に責任を取らさなければならない事があります。
「会社が駄目なら、今すぐここに呼べ」
妻が電話を掛けると、木下は一時間後にやってきました


  1. 2014/05/28(水) 11:59:42|
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心の隙間 第1回

今から十数年も前の出来事なのに、今でも思い出す度に胸が苦しくなってきます。

「やっぱり私も行きたい」
「無理を言うなよ。子供達の学校はどうする?」
「お母さんに・・・・・・」
確かに妻の実家が近いので、共働きの私達は絶えず子供達を預かってもらっていました。
「それに久美も仕事があるだろ」
「分かっているの。無理な事は分かっている。でも・・・・・・」
「工場が軌道に乗ったら現地の人間に任せて帰って来られるから、長くても一年の辛抱だから」
「毎月帰って来てくれる?」
「無理を言うなよ。いくら近いと言っても国内じゃないのだぞ。お盆や正月以外にも、休暇をとって帰って来るようにするから、子供達の事は頼む」
それからの私達は新婚当時に戻ったかのように、毎日激しく交わって愛を確かめ合い、十日後には空港に向かっていました。
「遊びでも絶対に浮気しないでよ。一度でも浮気したら離婚だからね」
空港で別れる時にこのような事を言っていた妻が、まさかこのような事をしようとは思いもしませんでした。

妻とは高校の同級生で、付き合いを含めれば二十年近くも一緒にいる事になり、30代半ばになっていたにも関わらず休日はほとんど行動を共にし、出掛ける時は子供が一緒の時でも腕を組んでいたので、近所でもオシドリ夫婦で通っていました。
それが勤めていた会社が中国進出を決めた事で、高校の時から三日以上逢わずにいた事のない私達が、離れ離れになってしまいます。
その上いざ向こうに行ってみると思ったように休みの取れる状態では無く、ゴールデンウイークにも帰国出来ずに、どうにか帰って来られたのは日本を旅立ってから四ヶ月も経ったお盆でした。
その時の私達は赴任が決まった時のように毎晩交わり、赴任先に戻る前夜の妻は、終わった後も涙を流しながら抱き付いて来て離れません。
「寂しいの」
私もそのような妻が愛しく思えて抱き締めて眠りましたが、次に帰って来た時の妻に変化が起こります。
それは後で分かったことですが、その時の妻は私への愛を確かめようとしていたのです。
確かめると言うよりも、私から離れていく気持ちを、もう一度私にしっかりと繋ぎ止めてもらおうとしていたのかも知れません。
「私の事愛してる?私は好き。私はあなたを愛している」
妻は私に纏わり付き、絶えず愛を口にします。
夜になれば妻から毎晩迫ってきて、私の全身に舌を這わすなど、このような積極的な妻は今まで見た事がありません。
「あなたが好き。あなたが大好き」
それは自分に言い聞かせる言葉だったのですが、この時の私には分かりませんでした。
そして次に帰国出来た翌年の春、妻は違った変化を見せます。
それは三日間だけの帰国で、金曜はその足で会社に行かなければならなかったので土曜は一日中妻と過ごし、日曜の午後には赴任先に戻る予定でしたが、前もって言ってあったにも関わらず、妻は土日が仕事になったと言います。
その時の妻はなぜか暗く沈んでいて、前回のように私に愛を囁く事も無く、事あるごとに謝り続けていました。
「ごめんなさい」
「何をそんなに謝っている?」
「ううん。折角帰って来てくれたのに、休日出勤になってしまったから」
それは夜も変わらず、なぜか妻は謝り続けていました。
「あなた、ごめんなさい」
「昼間から、ずっと謝ってばかりいるな」
「こんな時に生理が来てしまったから」
「仕方ないよ。抱き合って眠ればいいじゃない」
「そうだ。子供達も寂しがっていたから、今日は四人で寝ましょう」
強引に布団を運び込む妻に不自然さを感じながらも、トラブル続出で転勤が半年以上延びる事になった私は、妻に申し訳ないという気持ちが強くて何も言えません。
しかし妻は、その年の夏季休暇も私と二人になると謝るばかりで、夜もまた生理を理由に拒み続け、流石の私もおかしいと思いながらも仕事は待ってはくれず、後ろ髪を引かれる思いで赴任先に戻りました。
そして十月にようやく単身赴任も終わり、帰って来ると一番に妻を抱き締めましたが、妻は身体を硬くして涙まで流しています。
私はその涙を嬉し涙だと思ってしまい、疲れも忘れて早速妻を誘ってみると生理が来たと言って断わられ、一週間経つと今度は身体の不調を訴えて、妻と交わる事も無く十日が経ちました。
「今夜はいいだろ?」
私は我慢の限界を迎えていて、強引に押し倒すと妻は私との間に腕を差し込み、私を遠ざけようと胸を押して、涙を流しながらキスを拒みます。
「ごめんなさい・・・出来ないの・・・ごめんなさい」
「出来ない?どう言う意味だ!」
「彼が・・・・・・・」
私には妻の言っている意味が理解出来ませんでした。
「彼?」
「ごめんなさい・・・・・好きな人がいるの」
全ての物が崩れ去る音が聞こえ、怒りよりも悲しみが襲ってきます。
「こんな時に冗談はやめてくれ」
「本当なの・・ごめんなさい・・・・ごめんなさい」
私は妻から離れると部屋を飛び出し、一人になると猛烈な悲しみに襲われましたが、事が大き過ぎるからか不思議と涙は出て来ません。
するといつの間にか、後ろに妻が立っていました。
「あなた・・・・・・・」
「相手は誰だ」
「それは・・・・・・・・・」
「相手は誰だ!」
「彼は今・・・・離婚調停をしていて・・・・・・・大事な時期だから」
悲しみは徐々に怒りへと変わって行きます。
「だから相手は誰だ!」
私は妻の頬を張っていました。
「言えません・・・ごめんなさい」
私はまた頬を張りましたが、あれだけ愛していた妻を力一杯張り倒す事は出来ずに、手加減を加えてしまいます。
「叩いて!あなたに叩かれても仕方ない事をしました。殺されても、文句も言えないような事を」
「それなら殺してやる!」
妻に馬乗りになると首を締めていましたが、力を入れたのは最初だけで、やはり妻を殺す事など出来ず、閉じた目から涙を流している妻を見ていると、妻の恋が真剣なのが分かって怒りは例えようの無い寂しさに変わっていきました。


  1. 2014/05/28(水) 11:58:39|
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夢の中 最終回

義母は、このままでは妻が精神的に病んでしまうのではないかと心配しています。
「少しは楽になれるかも知れないから、一度心療内科の先生に看てもらおうと言ったら、このまま壊れてしまいたいと言って、絶対に行こうとしないの」
義母と義父は、離婚されるのは仕方なくても、妻が壊れてしまわないように助けて欲しいと言いますが、久し振りに会った私には、妻は既に壊れてしまっているように見えました。
「美雪」
後ろに行って優しく話し掛けましたが、妻はアルバムを見詰めたまま振り向きもしません。
「美雪!」
ようやく振り向いた妻の目には、見る見る涙が溜まっていき、それが毀れるのと同時に私に抱き付いて来ました。
「あなた!」
ドアの所では、妻が泣いて感情を表してくれたと言って、義母がまた泣いています。
「俺にもその写真を見せてくれ」
それは一冊のアルバムで、どのページでも妻と私は寄り添い、笑っていました。
「これは、初めてドライブした時の。これは、2人で海に行った時の」
妻は涙を流しながら、嬉しそうに説明します。
おそらく毎日このアルバムを見ながら、この頃に戻りたいと思っていたのでしょう。
「説明してくれなくても、全部覚えているさ」
「ほんと?」
妻の笑顔を見たのは久し振りです。
私もこの頃に戻りたいと思いましたが、妻の嫌なメスの部分を見てしまった事が、すぐには頭から離れません。
この時私は、強くなりたいと思いました。
妻の寄り道など、笑い飛ばせる男になりたいと思いました。
「これも覚えている?」
「当たり前だ。それは遊園地での写真で、この時初めて美雪にキスを」
「覚えていてくれてありがとう。この時観覧車に乗って一番上に着いた時、あなたが突然キスしてきて」
妻から笑顔が消えて、また涙が毀れます。
「ねえねえ、これは?」
「これは同じ遊園地だが、美雪にプロポーズした時のだ」
「この時も観覧車に乗って一番上で。この時私のお腹の中には」
妻は啜り泣きを始めましたが、後ろで義母が大きな声で泣き出したので、妻の泣き声は掻き消されてしまって聞こえません。
私も涙が毀れてしまいそうになったので、トイレに行くと言って廊下に出ると、いつからいたのか義父が真っ赤な目をして立っています。
私はトイレで考えていましたが、やはり妻は普通ではないと感じました。
妻がこのようになったのは、自業自得だけだとは言い切れません。
妻は罰を受けただけだとは言い切れないのです。
あの時私は壊れかけていました。
妻に暴力を振るう事が平気になり、犯罪行為までしてしまった私は、既に壊れていたのかも知れません。
確かに妻に出て行かれた後は、食欲も無くて辛く寂しい思いをしましたが、妻といた時は常に興奮状態で、あのままの状態ではエスカレートする一方だったでしょう。
妻がそれを分かっていたとすれば。
妻は私にどの様に責められても、塞ぎ込む事はあってもこの様な状態にまではならなかったでしょう。
妻にとって私と別れる事が一番辛く、そうなれば自分が壊れてしまうのを知っていたとすれば、妻は自分を犠牲にして、私が壊れてしまわない道を選んだ事になります。
そして妻は壊れてしまった。
いいえ、壊れてしまって自分で無くなってしまった方が、楽だと思ったのかも知れません。
もしもそうなら、妻を治さなければ。
いまなら、まだ間に合う。
私なら治せる。
これは近藤では決して治せない。
いいえ、どんな名医でも治せないかも知れない。
妻を治せるのは、この世で私だけだと思いました。
「美雪、遊園地に行こう」
「遊園地?」
土曜の午後、子供連れや若いカップルしか乗っていない観覧車に、場違いな親父とおばさんが乗っていました。
「懐かしい」
「ここから、やり直すか?」
「えっ?」
「美雪を許した訳では無い。一生許せないかも知れない。でも、許す努力はしてみたいと思った。美雪はどうだ?」
「あなた!」
妻は私に抱き付こうとましたが、ゴンドラが揺れてバランスを崩したので、妻を受け止めた私が抱き締めていました。
「美雪。どうして慰謝料を1万円だけ振り込んだ?毎月1万円だと、40年以上掛かるぞ」
「分からない。ただ、ずっとあなたに関わっていたかったのかも知れない。酷い妻だったけれど、ずっとあなたに覚えていて欲しかったのかも知れない」

私の決断が正しかったかどうかは、まだ先にならないと分かりません。
この事で、私も妻も更に苦しむ時が来るのかも知れません。
ただ、理屈ではなくて、妻とは離れられない運命を感じます。
この様な妻も私の好きだった妻の一部だと、受け止めようと思った時、私は長い悪夢から醒めました。
これらは全て、私が妻と同時に見た、夢の中の話です。


  1. 2014/05/28(水) 11:57:25|
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夢の中 第28回

妻は出て行ってから一度も連絡がなく、その事からも、私など忘れて近藤と楽しくやっているのだと思っていた私も、一切連絡をとらずに極力考えない様にしていました。
しかし妻と別れて初めての月末に通帳を記入すると、約束通り妻から慰謝料が振り込まれていたので、本当に妻と他人になってしまった事を実感して寂しくなり、寝取った近藤に対する怒りがまた湧いてきて、慰謝料の話しも終わっていなかったので電話を掛けましたが、マンションの電話も携帯も、この番号は現在使われていませんとアナウンスが流れるだけで繋がりません。
翌日は土曜日なので役所で妻を捕まえる事も出来ず、朝早くにマンションへ行ってみよう決めて眠りましたが、夢の中ではマンションに行くとドアが開いていて、中に入ると近藤と妻がベッドの中で、裸で抱き合って私を指差して笑っています。
その後眠れなかった私は、これが正夢だと余計辛くなると思いながらマンションに行くと、この様な早朝から入り口に人相の悪い2人の男が立っていて、私が近藤の部屋のチャイムを押すとすぐに駆け寄って来ました。
「親父さんは、近藤の知り合いか?」
「いいえ、知り合いとは少し違いますが」
借金絡みだと思った私は、妻の事が心配で鎌をかけてみました。
「実は少しお金を貸していたのですが、一向に返してくれる気配が無いので、この時間ならいるだろうと思って来てみました。留守なのですか?」
2人は顔を見合わせて笑っています。
「親父さんも、朝早くからご苦労だったな。残念ながら、どうも逃げたらしい」
その時もう一人の男が走って来ました。
「大家を叩き起こして、鍵を借りて来ました」
部屋の中は、泥棒でも入ったかのように荒れています。
「余程慌てていたな。家財道具一式置いて逃げたか。3日前から、また年増女を連れ込んでいたから油断してしまったが、舐めた真似をしやがって。どこへ逃げてもすぐ探し出して、死んだ方がましだと思うほど、きっちり追い込みを掛けてやる。俺達の商売は、舐められたら終わりだからな」
その女は妻だと思った私は詳しく聞きたかったのですが、この時の男の横顔に恐怖を感じたので、これ以上関わるのをやめました。
「親父さんも、奴の居所が分かったら連絡してやろうか?もっとも、俺達の回収が先だがな」
「ありがとうございます。貸したのは5万なので、私は諦めます。」
連絡先を教えるのが嫌で、嘘を吐いて断わりました。
「5万?そりゃあ諦めた方がいい。この辺りの主な所からはほとんど借りているから、素人の親父さんのところまでは、とてもじゃないが回って来ない」
近藤は公務員という安定した職業だったので、みんなが競って貸したと言います。
ところが役所を辞めてしまった事で、一気に回収に回りました。
それで近藤は堪え切れなくなって、多少なりとも手に入った退職金を持って逃げたのでしょう。
「それに、おそらく遠くに逃げただろうから、回収に行くだけでも泊まりになると、5万ぐらいの金は掛かるかも知れない」
近藤はこの男達に追い詰められて地獄を見ろと思いましたが、行動を共にしているかも知れない妻の事は心配です。
すっかり妻は近藤と一緒にいると思い込んだ私は、妻についての情報を聞こうと、車に戻って妻の実家に電話しましたが、電話に出た義母は私の声を聞くと泣き出しました。
「電話してくれてありがとう」
どうにかその部分だけは聞き取れましたが、後は泣き声が混じってしまって、何と言っているのか聞き取れません。
「美雪は何処にいます?」
私は妻の実家に急ぎました。
「美雪は?」
母の話しによると、妻はどうにか仕事には行っているそうですが、帰って来ると部屋に閉じこもってしまって出て来ないそうです。
「美雪はずっとここに?」
「他にどこに?仕事以外は外にも出ないわ」
近藤は妻を諦めると、さっさと次の女を作っていたのです。
私は妻のいる部屋に行きましたが、妻は正座してじっと何かを見ていて、ドアを開けて覗いている私に全く気付かず、こちらを見ようともしません。
私は声を掛けようとしましたが、妻の横顔にはどこか鬼気迫るものがあり、結局声も掛けずに義母達の所に逃げ返ってしまいました。
「ずっとあの調子なの。あのような事をしたのだから、笑えないのは仕方が無いけれど、悲しみもしないし泣きもしない。まるで感情が無くなったみたいで」
義母はまた涙ぐんでいます。
「いつもああやって、ずっと写真を見ているか、離婚届を見ていて」
妻はまだ、離婚届を出していませんでした。
「写真?」
「ええ。ここに置いてあった、あなた達が付き合っていた頃の写真」
私も何故か涙が出て来ましたが、それでもまだ妻を許せないのです。


  1. 2014/05/28(水) 11:56:12|
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夢の中 第27回

私は美人局をした後ろめたさもあって、悪を気取って強がらずにはいられませんでした。
「今回の決着がついた頃、また近藤を誘え。性欲だけの馬鹿男は何度でも引っ掛かる。ただ、今回と同じでは流石に奴も疑うだろうから、次は少し触らせてやれ。それが上手く行ったら、その次は抱かれてもいいぞ。美雪もご褒美が欲しいだろうから」
「あなた、もうやめて」
「やめて?近藤が可哀想になったか?そりゃそうだな。美雪と近藤は、全て見せ合った仲間で、俺が2人の仲を切り裂く敵だった。」
「違います。もうこの様な事は」
「誰のせいでこうなった?お前は売春婦と同じだ。この間の80万も、美雪が身体を売って稼いだのと同じだ。一度身体を売ったら何度売っても同じだから、何なら近藤以外の男も引っ掛けて抱かれろ。その度に俺が慰謝料をとってやる。どうせ汚れきった身体だ。これからも、もっと身体を売って金を稼げ。俺はその金で若い女と遊ぶ」
「こんな事は、もう許して下さい」
「こんな事?俺のした事と、美雪がした事とではどちらが酷い事だ?美雪は自分の性欲の為に、俺の30年を無駄にしたのだぞ。やめてやるから俺の30年を返せ。美雪の様な淫乱な女と関わった、俺の30年を返せ」
これを言われては、妻は何も言えません。
「そうだ。いっそうの事、本当の売春で稼いでくれないか?熟女の派遣をしているところもあると聞いたぞ。それがいい。美雪は大好きなセックスが出来て、俺はその金で遊べる」
妻は涙を流しながら、私の目をじっと見詰めました。
「離婚、離婚して下さい」
私は耳を疑いました。
妻の口から、離婚の二文字が出るとは思っていませんでした。
「財産分与も何もいりません。慰謝料も分割で払っていきます。お願いですから離婚して下さい」
私は慌てました。
私は2人に騙されて、近藤に負けたまま終わるのが嫌だったのです。
近藤に負けた男と妻に思われるのが嫌で、近藤を騙す事で私の方が上なのだと、少しでも思わせたかっただけなのです。
「子供達にも離婚理由を話すぞ」
「自業自得ですから仕方ありません。蔑まれても仕方のない、私は情け無い母親です」
子供で脅しても駄目な事から、妻の決心は固そうです。
「俺に責められて暮らすのが嫌になったか。結局、最初から償いなどする気は無かったか」
「責められるのは仕方ないです。私は殺されても何も言えない様な裏切りをしたから」
妻は胸の内を話しました。
実家で今までの事を書いていて、どれだけ自分が酷い人間か、どれだけ近藤が裏表のある人間か、はっきり分かったと言います。
しかし近藤と電話で話し、甘い言葉を並べられて復縁を迫られると、口では厳しく非難していても、悪い気はしなかったのです。
電話を切ってからその様な自分の気持ちに気付き、激しい自己嫌悪に陥って、会ってはっきりと断わる決心をしました。
「酷い男と分かっても、嫌いにはなれないという事か?」
「嫌いです。自業自得だけれど、今では彼を怨んでいます」
妻は近藤と会って、二度と付き纏うなときつく抗議しました。
しかし知らぬ内に、一番新しい、一番色っぽい下着を着けていた事を、私に指摘されて気付きます。
「抱かれる事も想定して、あの下着を着けて行ったのか?」
「二度とあなたを裏切るつもりは無かった。彼と関係を持つなんて考えてもいなかった。でもあなたに言われて思い出したの。あの日、無意識の内に一度着けた下着をわざわざ脱いで、あの下着に穿き替えた事を」
「遠回しに言っているが、結局会って抱かれたかったのだろ。お前はセックスで気持ち良くさえしてくれる男なら、どの様な男でもいいんだ。離婚してやる」
離婚すると言ってしまい、しまったと思いましたが今更撤回も出来ず、そのままの勢いで妻の名前の書かれた離婚届を持ってくると、書き掛けてあった私の欄に署名捺印して、妻の目の前に叩きつけてしまいました。
「これはお前が役所に行った時に出しておけ。これで俺も楽になった」
「あなた、ごめんなさい。こんな妻でごめんなさい。長い間ありがとう」
「何がありがとうだ。そんな気持ちも無いくせに。これで近藤に抱いてもらえると、腹の中では舌を出しているのだろ?慰謝料は500万。分割でいいから必ず払え」
私は苦し紛れに、お金で思い止まらせようとしましたが、妻は何も言わずに頷きます。
「ごめんなさい。あなたの人生を無茶苦茶にして、ごめんなさい。ごめんなさい」
妻は何度も何度も謝りながら、玄関まで歩いて行ってしまいます。
「始発のバスまでいればいい。最後の情けだ」
私は引き止める良い方法が浮かばずに、時間稼ぎをしようとしていましたが、妻は靴を履いてしまいました。
「ありがとう。歩ける所まで歩いて行きます。本当にごめんなさい。謝っても許してもらえないだろうけど、ごめんなさい」
妻が出て行くと、情け無い事に涙が出てきました。
これが30年間いつも隣に寄り添っていた妻との別れだと思うと、声を出して泣きました。
今なら間に合うかも知れないと思いましたが、引き止めたところで妻を許す自信もありません。
許すのも辛く、別れるのも辛い。
結局私は動く事が出来ませんでした。


  1. 2014/05/28(水) 11:55:13|
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夢の中 第26回

妻は恐る恐る電話しましたが、夜中の2時では流石に眠っているのか出ません。
妻はほっとした表情で受話器を置こうとしましたが私はそれを許さずに、出るまで掛け続けているように指示します。
私も受話器に耳を付けて待っていると、ようやく近藤が出ました。
「美雪です」
「美雪?こんな夜中にどうした?」
「やはり主人とは無理みたい。今まで言い争っていて、また叩かれました。もうどうしたら良いのか分からなくなって」
「旦那は?」
「怒って車で何処かに出て行ってしまいました」
「俺の所に来るか?」
「帰って来た主人が、探し回ってマンションに来ると嫌だから、何処か他の静かな所で相談に乗って欲しい」
「じゃあ、すぐに迎えに行くから、この間迎えに行った公園で待っていてくれ。俺が行くまで旦那に見付からない様に、何処かに隠れていろよ」
妻を手に入れるチャンスだと思った近藤は、眠気も忘れて張り切っていました。
「私はどうすれば良いですか?お願いですから、怖い事はやめて」
「俺の指示に黙って従っていればいい。近藤に会ったら国道に出た所の、本屋の横を入って行った所にあるホテルに誘え。他のホテルと間違うな。あの古いホテルだぞ」
「私は何をすれば」
「簡単だ。ホテルに入ったら一時間で出て来い。きっかり一時間で出て来いよ。
それと絶対に抱かれるな。抱かれそうになったら、舌を噛んででも抱かれるな。
キスもさせるな」
「どのように誘って、どの様に断わって出てくれば」
「抱いて欲しくて我慢出来ないから、そこのホテルに入ってと言えばいい。しばらくそれらしい話をして、奴が何かしようとしたら、やっぱりこんな汚いホテルで抱かれるのは嫌。もっときれいなホテルで抱いてと言って出て来い」
私は先回りをしてホテルの近くで車を止めて待っていると、妻を乗せた近藤の車が入って行きます。
このままここにいては怪しまれるので一時その場を離れ、約束の20分前に戻ると時間を持て余したのか近藤の車が出て来たので、私は慌てて車から出るとカメラのシャッターを切り続けました。
近藤はフラッシュの光に気付き、車から降りて近付いて来ましたが、写真を撮っているのが私だと分かると、足を止めて立ち尽くしてしまいます。
「何のつもりだ!また不貞行為か?今度は裁判所で会おう」
「不貞行為などしていない。それに慰謝料なら前に払った」
「何も知らないようだな。あれは以前の損害に対する慰謝料だ。また新たに損害を受ければその都度請求出来る。おかしいと思って美雪を泳がせて後をつけたら、案の定こんな事か」
近藤も手際の良さに疑問を感じ出し、私達を疑っているような事を言い出したので、真実味を出すために近付いてきた妻を怒鳴りつけました。
「お前は何度裏切ったら気が済む!今回は絶対に許さないぞ」
妻はようやく私の計画が分かり、悲しそうな目で私を見ながら泣き出しました。
妻を連れて家に戻ると、私の顔に久し振りに笑みが浮かびます。
「上手くいったな。また近藤から金をとってやる」
その時車の止まった音がして、納得の行かない近藤が入って来ました。
「お前達、仕組んだな?これは美人局だ。立派な犯罪だ。それに、美雪を抱こうとしたのは事実だが、まだ不貞行為はしていない」
「美人局だと思うなら訴えろ。俺は絶対にお前を許さない。不貞行為かどうかも、この写真で裁判官が判断してくれる」
私の自信あり気な言葉で怯んだ近藤は、今度は自己破産するので払わなくても済むと言ってきました。
しかし私が慰謝料は相殺されない事を言うと、今度は無い所からは取れないと開き直ります。
「お前は十年も働かずにいるつもりか?役所を辞めてもいつかは働くだろ?その時はいくら金が掛かっても勤め先を調べ上げて、強制執行してでも必ず払わせてやる。俺達は離婚するから、今度は数十万では済まないぞ」
私はお金などどうでも良いのですが、今の近藤にはお金が一番堪えるのです。
近藤が帰ると、今度は妻に悪振っていました。
それがどの様な結果になるかも知らずに。


  1. 2014/05/28(水) 11:54:16|
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夢の中 第25回

別れるために行った旅行で、逆に妻達の関係は深くなってしまい、その後は会う度にホテルで抱かれていました。
その頃私を拒否していたのも、毎回身体の隅々までキスされていたので痕跡を見つけられて、近藤との関係が私にばれるのを恐れたからです。
私には妻が本当に嫌だったとは思えません。
近藤とのセックスに、溺れてしまったような気がします。
自分では否定していても、身体は求めてしまっていたのかも知れません。
中に出されていた事で妻のメスの部分が、逞しいオスの遺伝子を欲しがっていたのかも知れません。
その証拠に私に家を追い出された時、近藤との別れを真剣に望んでいれば、近藤に助けは求めなかったと思うからです。

○月○日
あなたに初めて叩かれて、家を出されて離婚を現実のものと認識した時、頭が混乱してしまって、誰でも良いから助けて欲しかった。
自業自得だと分かっていても、辛くて寂しくて、誰かに縋り付きたかった。
原因が、昔から私が一番軽蔑していた不倫だけに友達にも知られたくなく、ましてや両親や子供達には、絶対に知られたくなかったので助けを求められない。
お金も持っていなかったので、ホテルに泊まる事も出来ません。
そうかと言ってあのままでは、近所の人に知られてしまう。
私は卑怯な人間です。
誰かに助けてもらいたいけれど、私がこの様な酷い人間だと誰にも知られたくないと思った時、私は彼に電話をしていて、彼に頼ってしまうと完全に終わってしまうと気が付いた時は、既に彼のマンションにいました。
この日の彼は紳士的で、少し冷静になった私が帰ろうとすると「ご主人も興奮しているだろうから、今帰っては逆効果だ。私に考えがあるから安心して、今夜はそのベッドでゆっくり眠るといい。私はソファーで寝るから」と言って引き止められました。
翌朝彼は、自分達の離婚のために用意してあったという離婚届を持って来て「無理に戻ろうとするから、離れたくなる。逆にこれに署名して離れる素振りを見せれば、引き戻したくなるものだ。必ずご主人と元に戻れるように上手くやってやるから」と言ってくれたので嬉しくて、私は藁をも縋る思いで言われるままに署名しました。
彼があなたに会いに行き、私は祈るような気持ちで待っていましたが、帰って来た彼に「ご主人の意思は固く、離婚は避けられそうにない。裁判をしても離婚になる可能性が高いから、こうなったら諦めて今後の人生を考えた方が賢明だと思う。私にも責任があるから、美雪は私が幸せにしてやる」と言われて目の前が真っ暗になり、私は絶望感から抵抗する気力も無く、裸にされて彼の舌が身体を這っていくのを、他人事のように見ていました。
しかし、悲しい事にそんな時でも私の身体は反応し始め、感じてしまうと今度は嫌な現実かから逃げたくて、何もかも忘れたくて、私は積極的に快感を求めるようになっていきます。
私はまた彼に抱かれてしまった事で、更に現実に戻るのが怖くなってしまい、その夜は彼の上になり下になり、時には犬のような格好までして彼を求め続け、あなたの所に行った帰りに彼が買ってきた、厭らしいオモチャまで使われて、一晩中狂ったように声を上げ続けていました。
あの時穿いていたエッチな下着も、その時彼が買って来ていて、着の身着のままだった私は服や下着の替えが無く、彼のワイシャツを借りて着ていたので、下に何も着けていないよりはましだと思って、仕方なく着けていた物です。

妻は軽い気持ちで、若い男との交友を楽しんでいた。
それが相手の男の方が一枚も二枚も上でずる賢く、年上だったと言っても男性経験が私しか無い妻は、簡単に手玉にとられてしまった。
そう考えると、私は近藤に対して新たな怒りが湧きました。
私を裏切ったのは近藤ではなくて妻です。
しかし近藤に対しても、このままでは怒りが治まらず、妻を叩き起こすと化粧をして、出掛ける用意をするように言いました。
私が妻の告白文を読みながら、考えたのは犯罪行為です。
それも妻さえ上手くやれば、警察には捕まらないような卑怯な犯罪。
おまけに妻を試す事が出切る、一石二鳥の行為です。
「美雪。今から近藤をホテルに誘え」
「えっ!」
「俺が仕組んだ事は絶対に言うな」
「あなた、何を?」
「黙って指示通り動けばいい。何でもすると言っただろ」
妻は不安そうな顔で私を見ていましたが、何でもすると言いながら、近藤を殺す事を断わった手前、私の2度目の指示には逆らえません。
私は台詞をメモ書きして渡すと妻に何度も読ませ、近藤に電話するように言いました。


  1. 2014/05/28(水) 11:53:26|
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夢の中 第24回

○月○日
このままの関係を続けていては大切な家庭を壊してしまい、あなたを失ってしまうと思った私は、もう2人では会わないと、彼に別れを切り出しました。
しかし彼は「美雪さんが放れて行けば、もう私には何も無くなる。そんな人生なら死んだ方がましだ」と言って聞いてくれません。
私が自殺するのは良くない事だと説得すると、今度は「美雪さんの言う通りだ。死ぬ気なら何でも出切る。ご主人に今までの関係を話して謝り、美雪さんと別れてくれと頼んでみる。死ぬ気で美雪さんを奪い取ってやる」と言われました。
それは私が一番避けたい事で、そのような事になれば離婚されてしまうと思って彼を必死に説得すると、別れてくれる条件に彼が出してきたのは、最後に私と一つになることでした。
しかし私がそれだけは出来ないと断わると、彼が次に出した条件は、2人が付き合っていた思い出に旅行に行くことです。
彼は「部屋は2部屋とって別々に寝て、最後まではしない代わりに、いつものように触らせて欲しい。手や口で出して欲しい。この条件を飲んでくれれば別れる」
と言ったので、私はあなたや友達まで裏切って旅行に行く事を承諾しました。

○月○日
私達は友達と行くはずだった温泉地から、一番近いシティーホテルを予約していました。
ホテルにしたのは、2部屋とるのに素泊まりにすれば旅館よりも安かったのと、彼が「最後を誰にも邪魔されずに、2人だけで過ごしたい」と言ったからです。
色々な所を観光し、外で食事を済ませてからホテルにチェックインすると、彼はすぐに抱き付いてきました。
私はシャワーを浴びたかったのですが彼は許してくれず、そのまま下着だけの姿にされてキスをされ、彼に抱き付きながら立ったまま指で一度達してしまい、その後シャワーを浴びていると彼が入って来て、彼の下腹部を洗うように言われましたが、明るい所で裸を見られているのが恥ずかしくて、彼を振り切って逃げました。
それからお互いに浴衣を着てワインを飲んでいましたが、彼に「さあ、ベッドに横になって。約束だろ?」と言われてグラスを取り上げられ、これで彼と別れて普通の生活に戻れると思った私は、素直にベッドに横になりました。
この事もあなたに嘘を吐いていました。
彼が私の部屋に話しに来て、急に浴衣の紐で手を縛られて仕方なくしたと言っていましたが、本当は抵抗もしないでベッドの上で裸にされて、彼に身体の隅々まで舌を這わされていたのです。
今までのような狭い車の中とは違い、彼に裏も表も気が遠くなるほど舐められて、私は何度も何度も感じてしまいました。
次に私が彼を満足させる番になり、必死で手や口を使って終わらせようとしましたが、その間も彼に触られていて、私の方が先に達してしまって最後まで出来ません。
すると彼が「出してくれる約束だったから、このままだと別れない」と言い出し、「触られていては出来ない」と言っても「触らせてくれるのも約束だ。毎回感じていないで、少しは我慢すればいい」と言ってやめてくれず、何とか感じないように我慢しようと思うと、余計に神経が集中してしまって感じてしまいます。
私が困っていると彼は私を押し倒して足を開き、脚の間に座って私に彼を擦り付けて「こうすれば出るかも知れない。入れないからいいだろ?」と言いました。
しかし先が入り口に当たる度に、私はいつ入れられてしまうか不安で、仕方なく「私にさせて欲しい」と言って上に跨り、腰を振って擦り付けていたのですが、結局私が先に達してしまい、彼の胸に顔を埋めると下から強く抱き締められて、動けない状態で彼に入れられてしまいました。
彼のは太くて中がいっぱいになり、このまま動かされたら私はどうなってしまうのか想像もつかず「入れないで。早く抜いて」と言うのが精一杯で強く拒否する余裕も無く、怖くて彼にしがみ付いてしまい、それに気を良くした彼は更に奥まで入れて来たので、彼ので子宮を押された私は悲鳴を上げてしまいました。
彼のが動き出すと、中の物を全て掻き出されるような感覚で、私は我を忘れて大きな声を上げ続けていたと思います。
最後は中に出されてしましたが、私は彼に抗議する気力も無く、彼に連れられてシャワーを浴びにバスルームに行き、すぐに回復した彼にそこでも入れられて狂ったように大きな声を上げ続け、ベッドに戻るとまた身体中に舌を這わすという最初の行為に戻って一から始まり、結局開放された時には夜が明けていました。
これで全て終わったと思っていましたが、帰りに家の近くまで送ってもらって別れを告げると「抱いてみて気が変わった。こんなに身体の相性が良いとは思わなかった。ここで諦めたら、美雪さんのような女性には二度と巡り会えない。今からご主人に美雪さんをもらいに行く」と言われ、約束が違うと言っても相手にしてくれません。
結局はあなたに話さない条件として、これからも付き合う事を承諾させられてしまいました。

近藤と関係を持った箇所は、より詳しく書けと言ってありましたが、これだけ詳細に書かれると、とても平常心では読めません。


  1. 2014/05/28(水) 11:52:27|
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夢の中 第23回

○月○日
車で送ってもらう途中で、突然キスをされました。
私のような歳の離れた女にそのような感情をもつ事が信じられず、驚きで身体が動かずにキスを許してしまいましたが、家に帰ってあなたの顔を見た時に、罪悪感で泣けそうになり、もう2人では会わないと決めました。

○月○日
彼からの誘いを断っていましが、子供の事で重大な局面迎えたので、どうしても相談に乗って欲しいとメールが入り、突然キスをされた事も、何度もメールで謝って来ていたので、子供の事では仕方ないと思って会いました。
しかしそれは、いつの間にか頼られる事に心地良さを覚えていて、彼の相談に乗れない事が寂しくなっていたので、断われなかったのかも知れません。
私が助手席に乗ると車はどんどん街から外れて行き、不安になった私が何処に行くのか尋ねると「誰にも聞かれたくない内容なので、今日は車の中で聞いて欲しい」と言って、ほとんど車の通らない堤防に止まりました。
彼の話は養育費の事で、これならいつものファミレスでも良かったのではないかと思っていると、急に覆い被さってきてシートを倒され、必死に抵抗したのです
が唇を重ねられ、服の上から乳房を揉まれました。
私が何とか唇から逃れて罵ると、彼は耳元で「妻も子供も失うと決まった時、もう死んでしまおうと決めた。でも美雪さんを愛してしまった事に気付いて、生きていようと思った。美雪さんに嫌われたら死んでしまう。助けて欲しい。私を助けられるのは、美雪さんしかいない」と囁かれ、なぜか身体の力が抜けてしまって、今度は彼の舌まで受け入れてしまいました。

その後近藤の行為は徐々に大胆になって行きますが、妻は近藤の自殺を仄めかすような言葉もあって、その都度口で注意をするだけで何をされても会い続け、ボタンを全て外されてブラジャーを押し上げられ、オッパイを吸われるような行為をされるようになっても、その間近藤の頭を撫でながら励ますようになって行きました。
読んだ限りでは近藤は完全に女と意識して、何とかものにしようとしている様でしたが、この頃の妻はまだ男女の関係というよりも、母性本能に近かったように感じます。
しかしそれが男女の関係に変わるのに、さほど時間は掛かりませんでした。

○月○日
夜の公園の駐車場に止めた車の中で、彼に乳房を吸われていた時、生理前だったからかいつもよりも感じてしまって、不覚にも声を出してしまいました。
すると彼は私のパンツの釦を外したので、これには激しく抵抗しましたが、その時近くで男女の話し声が聞こえ、この様な姿を見られるのは恥ずかしくて絶えられなかった私は、気付かれないように抵抗を止めてじっとしていました。
すると彼は私が動けないのを良い事に、手を一気にパンティーの中へ滑り込ませてきたので必死に彼の手を押えて耐えていましたが、話し声が遠退いて行った頃には、彼の指は私の一番感じる所を捜し当てていて、そこを集中的に責められたために頭が朦朧としてきて、いつしかパンツやパンティーも脱がされてしまい、私は唇を噛みながら声を殺して達してしまいました。
私は彼で達してしまった事がショックで、大変な事をしてしまったと呆然としていると、その間に下半身だけ裸になった彼が覆い被さって来たので「これ以上、主人を裏切れない」と言って私が泣くと彼は謝り「その代わりに手で出して欲しい」と言って聞きません。
余りの事に私が躊躇していると「最後の一線を越えなければ、裏切った事にはならない。私も美雪さんにご主人を裏切らせたくない。でも生理的に出さないと済まない状態なので、このままだと美雪さんを無理にでも襲ってしまいそうだ。お願いだからそのような事をさせないで欲しい。手でしてくれるだけなら、裏切った事にはならない。美雪さんだって、私の指で」と言われ、達したばかりで正常な判断が出来なかった私は、襲われるよりは良いと思って、手でする事を承諾してしまいました。
それまでは恥ずかしくて目を逸らしていたのですが、触ろうとしてよく見ると彼のは太くて大きく、何より色が真っ黒で怖くて触れません。
すると彼は私の左手にティッシュを持たせ、右手を掴んで自分の下腹部に持って行くと握らせて、添えた手を上下に動かし始めます。
暫らくその様な状態が続きましたが、彼が空いた方の手を伸ばして、また私の敏感な部分を触り始めたので、私はもう彼の手が添えられていないのも気付かずに必死で手を動かし、彼をティッシュで包むと同時に私も達してしまいました。

この時近藤は、妻に初めてされる事で興奮していてすぐに出してしまいましたが、次に会った時には手だけでは出ないと言って口を使う事も要求し、帰りが遅くなる事が気になっていた妻は、早く終らせたくてその要求に従ってしまいます。
この時の感想に、近藤のオチンチンは黒くて太く、前回で触るのには多少慣れていても、口に入れるのは凄く怖かったと書いてある事から、逆に妻はこの様な物をオマンコの入れられたら、どの様な感じなのだろうと想像していたのかも知れません。
妻は仕方なくこの様な関係になったような書き方をしていますが、それは嘘を書いているのではなくて、そう自分に言い聞かせて信じ込み、自分の中でこの様な行為を少しでも正当化させていたのでしょう。
そうしなければ、罪悪感に押し潰されていたのかも知れません。
私としか付き合った事のない妻は、若い誠実な男と付き合っていて楽しかった。
私以外の男に初めて性的な興奮を与えられ、その快感から逃げられなかった。
しかもその男は、私とでは経験出来ないような快感を与えてくれるかも知れない、強い男を物を持っていた。
しかしそれらを認めてしまうと、自分が嫌な人間に思えてしまう。
結局、この様な快感を失うのが嫌で必死に自分を弁護しながら、関係を深めていったのでしょう。


  1. 2014/05/28(水) 11:51:14|
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夢の中 第22回

私が手の力を緩めると妻は大きな息をしていて、それは妻が感じている時の息遣いに似ていました。
妻の顔をよく見ると、涙が流れた部分だけ化粧が落ち、乱れた髪が口元に纏わりついて艶っぽく見えます。
気付くと、浮気されてからは全く勃起しなかったオチンチンが、スラックスとパンツを突き破りそうなほど硬くなっていて、私は荒々しく妻の服を脱がせると下着だけの姿にしました。
すると妻は、黒く色っぽいパンティーとブラジャーを着けているではありませんか。
今日は濃い色のパンツを穿いていたので、黒いパンティーでも普通なのかも知れませんが、私には近藤と会ってその様な事になった時の為に、この様な色っぽい下着を着けていたとも思え、また怒りが込み上げて、急いで下半身だけ裸になるとパンティーを横にずらして、濡れてもいない妻の中に捻じ込みました。
「痛い。あなた、痛い」
「嘘を吐け!近藤の太いのを何度も突っ込まれて広げられているから、俺のなんか入っているかどうかも分からないだろ」
「痛い。痛いです」
「近藤のは怖いほど太くて大きかったそうだな。そんなに大きかったのか?言ってみろ!」
妻は仕切に首を振ります。
「嘘を吐け!俺のよりも大きかったのだろ?もう嘘は吐かないと言っただろ。言え!正直に言え!」
私が腰を動かすと、妻は苦痛に顔を歪めます。
「痛い。言います。言いますから。大きかったです。怖かったです」
近藤からこの話を聞いた時、男は大きさだけではないと自分に言い聞かせていましたが、こんなくだらない事を一番気にしていた事を知りました。
そんな事はたいした事では無いと強がりながら、本当は一匹のオスとして、近藤に劣等感を持った事を実感しました。
太くて硬く、大きな武器を持ったオスに、妻を盗られるのではないかと気にしている自分を知りました。
「太いのは気持ちよかったか?大きいので、俺では経験した事が無かったほどの快感を得たのか?」
「感じるのは、大きさだけじゃない。あなたが好き。あなたとの方が良かった」
「もう嘘は沢山だ。正直に言えばいい。大きいのは気持ちよかっただろ?太くて気持ちよかっただろ?言え!正直に言え!」
妻と繋がりながら右手を振り上げると、妻は何度も頷きました。
「はい。気持ち良かったです。叩かないで」
私は激しく腰を振って妻の中に吐き出しましたが、妻にとってこの行為は、暴力以外の何物でも無かったと思います。
「なぜ泣く?近藤の太いのを思い出して、寂しくなったか?それとも、俺にされたのがそんなに嫌だったのか?」
「違います。私は誘惑に負けて、一番大事な物を失ってしまった。一時の快楽のために、絶対に壊してはいけない物を壊してしまった。私は」
「俺が壊れていると言うのか?壊れているのはお前だろ!どうして平気で俺を裏切れた。どうしてあんな男に股を開いた。そんな事の出来るお前は、壊れていないのか?そんな事、普通の人間には出来ない。普通の感情を持った人間なら、こんな酷い事が出切るはずない。お前は鬼だ!人間の振りをした鬼だ!」
「ごめんなさい。ごめんなさい」
妻の言う様に、私は壊れてしまったのかも知れません。
妻の苦痛の表情を見ていると心が休まるのです。
しかし原因は妻にあると思うと、妻にそれらしい事を指摘されるのは耐えられないのです。
妻が泣き疲れて眠ってしまうと、綴じられた数枚のレポート用紙を、妻のバッグから出して読んでいました。
そこには妻が近藤と2人で会う事になった切欠から、近藤のマンションでの情事までが克明に綴られています。
最初近藤に相談を持ち掛けられた時、妻は嬉しかったそうです。
それは頼られる嬉しさと、世話を妬ける嬉しさです。
私は子供が手を離れた時、妻と新婚をやり直す喜びからデートするようになり、セックスも増えて行きました。
しかし妻はそうではなく、子供の世話を焼けなくなった寂しさを、私で埋め合わそうとしていました。
そこに近藤が現れて、妻は近藤の相談に乗る事にのめり込んでいきます。


  1. 2014/05/28(水) 11:49:55|
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夢の中 第21回

妻は書くのに手間取っているのか、2日後の金曜になっても連絡がありません。
近藤に別居している事を告げた事も気になっていた私は仕事にも身が入らず、定時に退社して家に戻り、明日実家に行ってみようと決めてコンビニで買ってきた弁当に箸をつけた時、電話が鳴りました。
「いつまで掛かっている!正直に書けばいいだけだ!」
声が似ていたので、てっきり妻だと思ってそう言いましたが、それは義母でした。
「美雪はそちらに帰っていますか?」
「いいえ。どうしたのです?」
「美雪がまだ帰って来ないの。役所に電話したら定時に帰ったと言うし」
妻は今まで、まっすぐに帰って来ていたと言います。
まだ8時で、子供では無いので普通なら心配しないのですが、昨夜からの妻の様子がおかしく、何か胸騒ぎがすると義母は言うのです。
「何か変わった事は無かったですか?」
「あの男から電話が」
近藤から毎晩何度も電話が掛かり、その度に義父か義母が出て妻には取り次がなかったのですが、昨夜は見かねた妻が電話に出て強く断わっていたそうです。
私は妻の携帯を壊してしまって、その後持たせていなかった事を後悔しながら近藤のマンションに向かっていると、途中で妻が帰って来たと義母から連絡があったので、妻の実家に方向を変えました。
「近藤と会っていたな」
「はい」
私は妻と近藤に隙を与えて、試した事を悔やみました。
私は怒る気力もなく、ただ脱力感だけを感じていましたが、それを聞いていた義父は妻に掴み掛かり、義母は大きな声を出して泣き出しました。
「違うの」
妻は仕事帰りに毎日待ち伏せされ、言い寄られても無視していたのですが、実家に帰っていると知ってからは、それに加えて毎晩電話を掛けて来るようになったので、もう関わらないで欲しいと話して来ただけだと言います。
「こんなに長く何を話し合っていた!おおかたホテルで話し合っていたのだろ?車で近くまで送ってもらったとすれば、2時間以上は楽しめたはずだ」
「駅前の喫茶店で話していました」
「散々騙されたのに、それを信じろと?」
「喫茶店の人に聞いてもらえば分かります。すぐには聞き入れてくれなかったので長くなってしまって、店員さんに嫌な顔をされたので覚えていてくれると思います。あなたにこれ以上嫌な思いはさせたくなかったので、何とか自分で解決しようと」
「嫌な思い?近藤と2人だけで会うのが、一番嫌なのが分からないのか」
近藤の本性が分かった今、どの様な理由があろうとも普通なら避けるはずです。
近藤の言う事は嘘ばかりで、まともに話して分かる相手で無い事も知ったはずです。
やはり裸で抱き合った仲だからなのか、妻は私が思っているほど、近藤を酷い男だとは思っていないのかも知れません。
私は2人だけで話したくて妻を連れて家に帰りましたが、床に正座した妻は私が近付く度に身体を硬くします。
おそらく私が、暴力を振るうと思っているのでしょう。
平気で男に股を開いていた妻と、平気で暴力を振るうようになった夫。
こんな夫婦に未来はあるのかと、絶望感に押し潰されそうになります。
「もう俺が嫌になっただろ?」
「そんな事は無い。元の夫婦に戻りたい。どの様な事でもしますから、許して下さい」
「本当か?」
妻は何度も頷きます。
「それなら前にも言ったように、近藤を殺して来い。俺以外に、美雪の全てを見た男が生きている事が許せない。俺意外に、美雪の中に入った男が生きている事が許せない。頼むから殺して来てくれ。近藤を殺して、抱かれたのは間違いだったと証明してくれ。奴を殺して、愛しているのは俺だけだと証明してくれ」
「それは」
「何でもすると言うのは、またお得意の嘘か!」
「く、る、し、い」
私は妻を押し倒すと馬乗りになって首を締めていて、妻が声を出さなければ、そのまま締め殺してしまっていたかも知れません。


  1. 2014/05/28(水) 11:46:29|
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夢の中 第20回

激しい口調で妻を問い詰めている時、泣き過ぎて吐きそうになりながら謝る妻を見ていると、私は不思議な感覚に囚われました。
私が妻の不倫を責め、妻が私に必死に謝っているという目の前で起こっている状況が、現実に起きている事とは思えなかったのです。
私たち夫婦に起こっている事でありながら、まるで他の夫婦の間で起こっている事のような感覚がしていたのです。
いままで妻は、子育て、家事、私の世話、仕事と、自分を捨てて献身的に頑張ってきてくれました。
私も頑張ってきたつもりですが、やはり妻とは比べものになりません。
私はそのような妻を愛し、妻のために生きてきました。
勿論子供達も可愛く、子供達のためでもあったのですが、何より妻の喜ぶ顔が見たくて頑張り、妻の嬉しそうに微笑む顔を見るのが一番の幸せでした。
最近は離婚する夫婦が増えたと聞いても、私達とは別世界の出来事だと思っていて、この世に私達ほど愛し合っている夫婦はいないと思っていました。
おそらく妻も、数ヶ月前までは同じ事を感じてくれていたと思います。
それが今は。
付き合い始めてから30年近くの想いが、ここ数ヶ月で壊されても頭がついて行きません。
30年という月日をほんの数ヶ月で無駄にされても、すぐに信じる事など出来ないのです。
「痛い!」
その言葉で我に返ると、私は妻の髪を掴んで部屋中を引き摺り回していました。
そのような事をしている自分が信じられず、慌てて妻から遠く離れると、妻はその場に座り込んだまま声を押し殺して涙を流していて、私の手には髪の毛が何本も絡み付いています。
「実家に帰れ。帰って、近藤と2人で逢うようになってからの事を、全て詳しく書け。いつ何処で近藤と何があったのか。その時美雪はどのような気持ちだったのか。どんなに恥ずかしい事で俺には知られたくない事でも、全て詳しく書いて見せろ」
私は妻と2人でいるのが怖くなっていました。
「近藤に触られて、その時感じたのか感じなかったのかも書け。近藤に感じたのなら、どの様に感じて身体はどの様に反応したのかも詳しく書け。それを読んで今後どうするか結論を出すが、もう嘘は書くなよ。その結果離婚になっても、嘘だけは絶対に吐かないでくれ。何日でも待つから、書き終わったら電話して来い」
私は何故このような事をさせようとしているのか、自分でもよく分かりません。
知れば知るほど辛くなるのは分かっていても知りたいのです。
翌日会社から帰ると電話が鳴り、妻だと思って慌てて出ると、期待に反して聞こえて来たのは近藤の声でした。
「美雪に代わってくれ」
「もう付き纏うな!これ以上付き纏うようなら、ストーカーで訴える」
「ストーカー?冗談はやめてくれ。俺と美雪は、身体の隅々まで全て見せ合った仲だ。美雪も世間体や子供達の手前離婚が怖いだけで、それさえなければ、俺に抱かれたいと思っている。一匹のメスとして、俺というオスに惹かれている」
私が離婚を躊躇しているのは、その事も有りました。
どんなに酷い男だと分かっていても、その様な男に惚れてしまう女もいるのです。
それは近藤が言うように、頭では分かっていてもメスの部分が拒否出来ないのかも知れません。
妻のメスの部分が、より若くて強いオスを欲しがっているとすれば、近藤の嘘がばれた今でも離婚して自由になれば、また引き寄せられてしまうかも知れないのです。
私は、それだけは許せません。
その様な人間はどうなろうと放っておいて、離婚して自分の幸せだけを考えれば良いのかも知れませんが、それは悔しくて出来ないのです。
このような事をした妻でも、まだ愛情が残っているのでしょう。
私の幸せの中に妻も入っていて、それを外す事が出来ないでいるのです。
私は迷いましたが妻を試す意味からも、実家に帰っていて別居している事を告げ、近藤に付け入る隙を与えました。


  1. 2014/05/28(水) 11:44:51|
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夢の中 第19回

近藤の話が全て本当だとは思いません。
例え自分が妻と元の鞘に戻れなくても、逆恨みから何とか私と妻の仲を引き裂い
てやろうと思って言っているとすれば、嘘も可也混じっているでしょう。
しかし妻が近藤とセックスをした事と、更にその事について嘘を吐いていたのは明らかでした。
「近藤に入れられていたのだな?」
妻は返事もしないで震えて泣いていたので、私は髪を掴んで頭を揺すっていました。
「近藤に入れられて喜んでいたな?」
「ごめんなさい。許して下さい」
「いや、許せない。最後まで関係をもった事もだが、まだ嘘を吐いていた事は絶対に許せない」
「これを知られたら、完全に終わってしまうと」
私は近藤に言われた事を、一つ一つ妻に問い質します。
「近藤に触って欲しくて、スカートを穿くようになったのだな?」
「違う。彼に穿いて来いと言われて」
「嘘を吐くな。奴もそう言ったかも知れないが、美雪も奴に触ってして欲しかったのだろ!第一、どうして近藤の言う事を聞かなければならない」
私は妻の頬を張り倒していました。
「ごめんなさい」
「触ったり触られたりするだけでは物足りなくなって、近藤のオチンチンが欲しくなって旅行に誘ったのか?」
「違います」
泣きながら必死に言い訳をする妻の話によると、徐々に行為がエスカレートしていく事に怖くなった妻が別れを切り出すと、近藤は別れる条件として最後の思い出作りに旅行に付き合えと言いました。
「別れたくない。もうどうなっても良いからご主人に全て話して謝り、美雪さんを奪い取りたい」
私に知られるのを恐れた妻はこの言葉で旅行を承諾してしまい、私に知られないように友達との旅行を利用してしまいます。
ただし部屋は別で、身体の関係をもたない事を条件にしましたが、少し話しをしたいという近藤を部屋に入れると浴衣の紐で両手を縛られてしまいます。
「やめて!何をするの!」
「お願いだ。最後に、最後に」
しかし妻は激しく抵抗したため、近藤が出した条件は素股でした。
「本当に嫌だったのなら、どうして大きな声を出して助けを呼ばなかった。もう嘘は吐くなと言っただろ!本当は抱かれたかった。そうだな?」
「誰かが来て、あんな姿を見られるのが嫌でした」
「俺を裏切ることよりも嫌だったのか?それなら聞くが、嫌だったのだから感じなかったのだな?素股をしている時、濡れていなかったのだな?どうだったのか近藤に聞いてやる」
私が電話の方に歩き出すと、下着だけを着けた妻が阻止しようと駆け寄って来たので、私は妻を蹴り倒しました。
義母が言っていた事は本当で、一度暴力を振るうとそれはエスカレートして行き、妻が倒れてテーブルに腕を強くぶつけた時は一瞬しまったと思いましたが、すぐにまた蹴り付けてしまいます。
「感じなかったのかどうか、はっきりしろ!濡れなかったのかどうか、はっきりと言ってみろ!」
「感じました。濡れてしまいました。ごめんなさい」
「そらみろ。何が嫌だっただ。その分だと、美雪が我慢出来なくなって入れて欲しいと頼んだというのも本当のようだな」
「違います。絶対に入れないと言っていたのに、後に押し倒されて無理矢理」
「裸で性器と性器を擦り合わせていて、無理矢理も何もあるか!」
妻も近藤も信じられません。
正直、多少でも妻を信じたいのですが、これだけ裏切られていると何もかも信じられなくなっています。
それなら妻に尋ねる意味が無いのは分かっていますが、おかしな事に信じられなくても、少しでも否定して私を楽にして欲しくて聞いてしまうのです。


  1. 2014/05/28(水) 11:43:50|
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夢の中 第18回

近藤は何とか私と妻の仲を裂こうと、自慢するかのように詳しく話し出しました。
「あんたは幸せな男だな。会う度にキスをしていて、本当にそれだけで済んだと思っていたのか?俺達は小学生じゃないんだぞ」
確かにその通りで、私は信じた訳ではなくて信じようとしていたのだと思います。
近藤の話しによると、最初の頃は他にも人のいる喫茶店などでしか会ってもらえなかったそうですが、ある日話が終わって家まで送る途中で車を止めて強引にキスをしてからは、人気の無い堤防や公園の駐車場に車を止めても何も言わなくなり、その内夜の公園にも黙ってついて行くようになりました。
「最初はキスをしても舌を入れられないようにしていたが、すぐに自分からも舌を絡めて来るようになったよ。それに慣れて来ると美雪も大胆になってきて、キスをしながらお尻を触ったりオッパイを揉んだりしても、何も言わずに逆に身体を預けて来るようになったので、次に逢った時にはパンツを脱がしてやろうとしたら、やめてーと言いながらも俺が脱がせ易いように腰を浮かせていたので、パンティーに手を滑り込ませてオマンコに指を入れてやった。口では嫌がっていても身体は正直だな。終わった時には車のシートまでぐっしょり濡らしていた。美雪も俺の指が余程気持ちが良かったとみえて、次の日からは俺が触りやすいようにスカートを穿いてくるようになったぞ」
そう言われてみれば、それまで妻は殆どパンツルックだったのが、その頃からスカートで出掛ける事が増えたような気がします。
私は妻を睨みましたが、妻は震えていて私を見ません。
「まだいくらも経っていないが、ウブだった美雪の恥ずかしそうにイク表情と、歳の割には可愛いあの時の声が懐かしい」
妻は最後の一線には拘っていて、流石にホテルに行く事は拒んでいたようですが、その代わりに近藤に言われるまま、手や口を使って近藤を満足させるようになって行きます。
「すぐに美雪も慣れてくれて、公園のベンチでも飲んでくれるようになったよ。そうそう、美雪は外だと余計に興奮するようで、オマンコに指を入れて親指でクリを触りながら、隣のベンチのカップルが見ているぞと言ってやったら、凄い力で俺に抱きつきながら、たて続けに3回もいってしまった事があった」
近藤の話はどこまでが本当なのか分かりませんが、私は悔しさを押し殺しながら、その先が聞きたくて仕方がありません。
「美雪も俺の硬いチンポを喉まで入れながら、本当はオマンコに欲しくて仕方がなかったのだと思う。最後の一線は超えられないと自分が言って拒んでいた手前、オマンコして欲しいとは言えないから、旅行に連れて行ってと言って来たのだと思う。もうチンポが欲しくて限界だったのだろう。その証拠に、もしもばれた時の言い訳の為に俺が2部屋予約したら、別々に寝るのかと勘違いした美雪はがっかりした表情を浮かべていた。大人の男と女が旅行に行って、何もしないはずなど無いのに」
旅行に行くという事は、そういう事なのです。
キスだけで済んだと信じようとしていた私が馬鹿なのです。
いくら男性経験は私だけだと言っても、大人の妻にはそのぐらいの事は分かっていたはずです。
「ホテルで2人だけになると流石に罪悪感が湧いてきたのか、急に迷いだして拒んだので、入れなければ浮気にはならないと苦しい言い訳をしたら、チンポを入れて欲しかった美雪はすぐに納得して跨ってきた。美雪が自ら俺に跨って、オマンコにチンポを当てて震える姿は可愛かったぞ。まるで少女のようだった。しかしそれも最初の内だけで、しばらく擦り付けていたら欲しくなってしまったようで、美雪の方から、我慢出来ないから入れて下さいと言い出した。それで俺が、欲しければ自分で入れてみろと言ったら、美雪は何と言ったと思う?主人のよりも太くて大きいから怖いの。あなたが入れて下さい。優しくしてねだと」
流石に聞いていられなくなった私が受話器を置こうと耳から離した時、その様子を見ているかのように近藤の話はマンションでの行為に移っていき、やめておけば良いのにまた耳を傾けてしまいます。
「マンションに来た日の美雪は凄かった。多少自棄になっていて全てを忘れたかったのか、女には経験豊富な俺でも、あんなに激しいセックスは初めてだった。俺が終わっても休憩もさせてもらえずに、もっと欲しいと言ってすぐに挑んできた。結局朝までに5回も搾り取られてしまった。流石の俺も、こんな事が続いては身がもたないと思って、翌日にはバイブを買いに行った。あんたは美雪にバイブを使った事が無いらしいな。お蔭で最初は怖いと言って、可也激しく抵抗されたよ。最も押さえ込んで強引に使ってやった凄く感じたようで、俺がいない時には独りで使っていたぐらい気に入ってくれた。美雪はバイブの事を、何と呼んでいたと思う?オモチャのチンポだと。俺が激しく使ってやると、オモチャのチンポいいー。オモチャのチンポでイクーと言って、ベッドから落ちそうなほどのた打ち回っていたぞ。そうそう、大事な事を言い忘れたが、美雪とのセックスでは一度もゴムを使わずに、必ず奥深くに出させてもらっていた。でも俺を怨むなよ。生の方が気持ちいいと言って、美雪が使わせてくれなかったのだから」
「なにー!」
「生がいいー。中にいっぱい出してーと女に言われては、男としては仕方ないだろ」
私は受話器を置きましたが、怒りよりも寂しさを感じていました。


  1. 2014/05/28(水) 11:42:41|
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夢の中 第17回

結局妻も多少湿っていた程度で濡れているという程ではなく、私にとっては擦れて痛いだけに終わり、私の上から離れない妻を強引に横に降ろして寝室を出て行こうとすると、テーブルに置かれた妻のバッグの中にある携帯が鳴り出しました。
「携帯が鳴っているぞ」
しかし妻は誰からの電話か分かっているようで、俯いてしまって取りに行こうとはしないので、私がバッグから出して渡すと、妻は表示も見ないで大きな声を出しました。
「もう連絡して来ないで。私は何も話す事はありません」
妻はそう言って一方的に切りましたが、すぐにまた掛かって来たので今度は私が無言で耳に当てると、電話の主は一方的に話しています。
「もう一度考えて欲しい。このままだと一生旦那に責められながら暮らすのだぞ。そんな人生でいいのか?それよりも離婚して俺と楽しく暮らそう。自己破産して、きれいになって一から出直す。必ず美雪を幸せにすると約束する。何より俺となら身体の相性もぴったりだろ?美雪だって、旦那のチンポよりも気持ちいいと何度も言ってくれたじゃないか。どうした?聞いているのか?」
明らかに近藤の話は、妻と最後までいったと取れます。
私は真実を知りたくて、妻が実家にいると思って話し続ける近藤の話を、怒りを抑えて黙って聞いていました。
「電話を切らないという事は、本当は美雪もそうしたいのだろ?俺と初めて一つに成ったあの旅行の、ホテルでの楽しかった夜を思い出してくれ。美雪もあんなに喜んでくれて、朝まで何度も何度も求めてきたじゃないか。思い出してくれたか?それでもまだ迷っているのか?それなら俺が背中を押してやる。俺が旦那に全て話せば否が応にも離婚になる。それなら美雪も諦めが付くだろ」
「ふざけるな!」
「えっ?美雪じゃない?」
近藤が慌てて電話を切った後、私は怒りから妻の携帯を繋ぎ目の所から折ってしまいました。
妻は私の怒りようから全てを悟ったのか、泣きながら必死に何か言い訳をしていましたが私には聞こえません。
「美雪!」
私が頬を張ると妻はベッドに仰向けに倒れたので馬乗りになり、また右手を振り上げた時に家の電話が鳴りました。
「美雪は帰っていたんだな。てっきり実家にいると思っていたから驚いて切ってしまったが、よく考えれば、どの道話すつもりの内容だから慌てる事は無かった」
「何が言いたい!」
旅行の時に初めて妻を抱き、妻が家を出て泊まっていた時は夜に限らず、時間さえあればセックスをしていたと言います。
しかし近藤は、男をオマンコに向かい入れたかどうかでは私の怒りの度合いは可也違い、隠し通す事が出来れば最後には必ず許してくれるから、絶対に認めるなと妻に言ったそうです。
近藤も、最後の一線は超えなかったと私に思わせておけば、同じ怒りでも役所までは乗り込んで来ないと予想していたようです。
結局2人の理由は違っても、隠し通した方が得策だという事では一致していたのです。
「よくも余計な事をしてくれたな。お蔭で俺は役所に居辛くなった」
「自業自得だ!」
「それを言うならあんたも同じだ。あんな好き者の女と結婚したのだから、浮気されても自業自得だ。それにしても、あんたも情け無い男だな。他の男のチンポでヒーヒー言っていた女と、よく一緒に居られるものだ」
「大きなお世話だ」
「そうか?それは全てを知らないからだろ。何なら美雪が何をしていたのか詳しく教えてやろうか?慰謝料は払い終わって、これ以上は請求しないと一筆書いてもらったし、役所は辞めるから俺には知られて困る事は何も無くなった」
私は挑発に乗らずに、受話器を置こうと思いましたが出来ません。
それどころか、全神経を耳に集中させてしまっているのです。


  1. 2014/05/28(水) 11:41:19|
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夢の中 第16回

私は今まで、職場に訴え出て社会的制裁を課すことを躊躇していました。
それは近藤が職を失い、養育費まで払えなくなっては子供達が可哀想だからだと自分を誤魔化していましたが、実際は妻に不倫された情けない夫というレッテルを貼られるのが怖かったのです。
たいして大きくもない町に住んでいるので、いつしか友人や知人の耳に入るかも知れないと思うと怖かったのです。
この様な場合、後ろ指をさされるのは近藤ではなくて妻であり、この様な事をされても妻に縋り付いている私なのです。
おそらく以前の不倫相手のご主人も、同じ様な気持ちで職場には訴え出なかったのでしょう。
それで近藤はそのような事など考えもせずに、慰謝料を支払った事で全て終わったと高を括り、私を挑発して来たのだと思います。
翌日私の足は会社に向かわずに、知り合いの議員の家に向かっていました。
私はより厳しい処分をお願いするために、名前を出す許可をもらいに行っただけなのですが、結局役所まで一緒に来てくれ、朝から何事かという視線を送る職員に混じって、立ち尽くす妻と近藤の蒼ざめた顔がありました。
私は午後から会社に行き、夜家に戻ると明かりが点いています。
「仕事には行っていたのだな」
「あなたに、仕事には行けと言われたから」
「お義父さんとお義母さんはどうしている?」
「父はあの日車の中で、お前は私達も裏切ったんだぞと言った後、一切口を利いてくれません。母は私の顔を見る度に泣いています」
妻はただ私から言われたので仕事に行っていたのではなくて、年老いた両親の悲しむ顔を、一日中見ている事が耐えられなかったのでしょう。
「実家に戻らずに、どうしてここに帰って来た?」
「このままだと、あなたに捨てられる気がして怖かったの」
「俺に捨てられる?俺から離れて行ったのは美雪だろ」
妻は俯いてしまいます。
「それよりも処分はどうなった?」
議員の力を借りたからか処分はすぐに決まったようですが、それは私がは望んでいたものよりも軽く、妻は3ヶ月の減給で済み、近藤も3ヶ月の停職と支所への配置転換で済んだようです。
確かに3ヶ月も給料が出ない事は厳しい処分なのかも知れませんが、最低でも諭旨免職、出来れば懲戒免職まで望んでいた私からすれば、軽い処分に思えました。
その夜私は妻を抱こうとしましたが、どうしても近藤の言っていた事が思い出されて勃起しません。
「やはり夫婦としては無理なようだ。離婚した方がいい」
妻は何とか勃起させようと必死に手や口を使って来ますが、近藤にも同じ事をしていたかと思うと、妻が一生懸命すればするほど逆に普段よりも小さくなってしまいます。
「もう諦めろ。俺を裏切った汚れた身体では無理だ」
「このまま離婚はいや」
顔を上げてそう言った妻は、また唇を近付けていきます。
「素股って知っているか?」
妻の動きが止まりました。
「美雪は素股が上手らしいな」
「それは」
「やってみろ」
「出来ません。許して」
「近藤にはしてやっても、俺には出来ないか。分かった。出て行け!」
妻は不恰好に股を開き、軟らかくてすぐに下を向いてしまう頼りない物に手を添えて、オマンコを擦り付けるように必死に腰を振り続けていましたが、近藤にもこの様な恥ずかしい姿を見せたかと思うと、悔しくて勃起などするはずもありません。
私には嫌悪感を覚える事はあっても興奮などなく、冷静な目で妻の動きを見ていましたが、その時大きな疑問を持ちました。
それは健康な男と女がここまでしておいて、本当に挿入まで至らなかったかという事です。
「止めろ。それよりも聞きたい事が有る。本当にここまでで、近藤は我慢したのか?」
「本当です!本当にこれ以上は何もしていない!本当です!」
妻は一旦動きを止めて叫ぶようにそういうと、今までよりも激しく腰を振り続けていました。


  1. 2014/05/28(水) 11:33:50|
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夢の中 第15回

これ以上拗れて仕事にも関わってくるのを恐れたのか、近藤は渋々この条件を飲みましたが、やはり一度には払えないと言います。
「分割は認めない。お前を信用など出来ないから3日以内に払ってくれ。それも拒むのなら、法廷で話をしよう」
素人では途中で支払わなくなった時の対処が難しく、他にも私の狙いは高利の所で借金をさせる事なのでこれだけは譲れません。
「3日でなんて無理だ」
しかし近藤はまたどこかで借りたらしく、2日後には現金で120万持って来ました。
「領収書を頂けますか?但し書きに慰謝料と書いて、これ以上金品を要求しない事も書き添えて下さい。お願いします」
私が言われた通りに書いて渡すと、それを二つ折りにしてポケットに入れた近藤の目付きが変わりました。
「これで話は付いたのだから対等だ。それにしても、オマンコもしていないのに100万は高かった。こんな事なら美雪が欲しがった時に、俺の太いチンポを捻じ込んでやればよかった」
「何が言いたい!」
「離婚届を持って来た日の夜、俺が指でオマンコの中を擦ってやっていた時に、美雪が『もっとー』と言って腰を振るので、指を2本に増やしてやろうと思ったら『これが欲しいの』と言ってチンポを握ってきたのを思い出したので。その時俺は、もしもの時の慰謝料の金額も変わってくると思って我慢したが、こんな事なら入れてやれば良かった」
当然全て真実では無いのでしょうから、近藤に帰れと言って、このような話は聞かずに奥に引っ込めば良かったのですが、全てが嘘だとは思えずに、妻がどの様な行為をされていたのか気になってしまい、その場を立ち去る事が出来ません。
「それにしても、指を2本に増やしてやって早く擦ってやったら、急に潮を噴いたので驚いた。あんなに勢いよく飛ばすから、俺はオシッコをしてしまったのかと思った。そうそう、潮を噴かせるコツを教えましょうか?美雪の場合、指をこうやって少し曲げて」
「もういい!」
しかし近藤は、私を無視して話し続けます。
「4晩もベッドを共にして、お互いに口で慰め合いながらも、どうして俺が最後までしないでも我慢出来たか分かります?もちろん手や口で何度も出してもらいましたが、それだけでは無くて素股をさせていたからです。素股って分かりますよね?上に跨った美雪が俺のチンポに手を添えて、濡れたオマンコを擦り付けるのです。日曜は昼間でも催してくるとさせたので夜には可也上手くなって、俺が
教えなくても濡れたオマンコを自分で開いて、ビラビラでチンポを包むようにして激しく腰を振っていました。少し腰の位置を変えれば、いつスルリと入ってしまっても不思議ではない状態だったので、美雪は入れて欲しいのを我慢するのが辛かったと思います。どうにかクリに擦り付ける事で我慢して喘いでいましたが」
私は近藤の胸倉を掴んでしまいましたが、その時近藤はミスをしました。
今から殴られるかも知れないというのに、一瞬ニヤリと微笑んだのです。
近藤はこの事で、少しでもお金を取り戻そうとしている。
このまま殴ってしまえば、近藤は民事で私は刑事。
この事で立場の逆転を狙っている。
私が近藤の意図を察して掴んでいた手を放すと、近藤は悔しそうな顔をした後、話を続けて更に私を挑発してきます。
「あの時の美雪は、凄く可愛い声を出すのですね。『美雪のオマンコが、指でいっちゃうよー』と言って」
「もう帰れ。嘘は聞き飽きた。美雪がそのような事を言うはずが無い」
「ご主人には分からないのでしょうね。不倫というのは旦那とする時よりも数倍感じるらしい。離婚の原因になった人妻もそうだったが、普段旦那とでは出来ないような恥ずかしい行為も平気で出切るし、旦那には恥ずかしくて言えないような事場も平気で口にした。美雪はもっと凄かった。最初こそ『明かりを消してー』なんて言って恥ずかしそうにしていたが、達してしまった姿を一度見られてからは大胆になって『オマンコ感じるー』『クリ吸ってー』『オチンチン舐めたいのー』なんて言葉を、平気で口にして喘いでいたぞ」
「もう帰れ!」
流石に聞いていられずに、私が奥の部屋に逃げ込むと、ようやく近藤は帰って行きました。


  1. 2014/05/28(水) 11:10:17|
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夢の中 第14回

普通このような会話を聞けば近藤に飛び掛かるのでしょうが、この時の私は自分を落ち着かせる為に、妻の性器と近藤の性器が繋がらなかった事だけでも、最悪は免れたと思うようにしていました。
「痴話喧嘩は後にしてくれ。それよりも、その様な行為も立派な不貞行為だ。それに、そこまでで止められた証拠も無い。こちらにはマンションに2人で出入りしている写真もあるから、後は裁判官が判断してくれるさ」
「俺はお前達の夫婦喧嘩に利用されただけの被害者だ!絶対に慰謝料なんか払わないぞ」
近藤はそう叫びながら帰って行きましたが、払わないのではなくて払えないのでしょう。
近藤が帰って2人だけになると、性器の結合までには至らなかった事への安心した気持ちなどは消え去ってしまい、それに近い行為までしていた事が許せません。
「裸を見せたのか?裸どころか、身体の中まで見せたのか?あいつで感じたのか?あいつにいかされたのか?」
「ごめんなさい。ごめんなさい」
泣いて謝る妻を見ていると、30年も操を守り続けてきた妻の、ここ数ヶ月での変わりようが信じられませんでした。
30年も掛かって築いてきた信頼関係を、ほんの数ヶ月で壊した妻が許せません。
気が付くと正座して謝る妻にまた手を上げてしまいましたが、そんな自分に戸惑いながらも軽く叩いた事を言い訳に、続けてまた手を振り上げている私がいます。
「殴って。もっと殴って」
「ああ、言われなくても殴ってやる」
私は軽く叩いたつもりでしたが、翌朝妻の左の頬は、少し黒くなって腫れていました。
「仕事は!」
「この顔では」
「こんな顔では、近藤には会えないか?」
私はまだ妻の心を疑っていました。
近藤の本性を見ても、裸で抱き合った身体は離れられないと疑っていました。
近藤で感じてしまった妻は、近藤の肌の温もりを忘れられないのではないかと疑っていました。
妻が近藤と顔を合わせる事は辛い事です。
しかし、妻を試したくて仕方がないのです。
その夜仕事から帰ると家に明かりが灯っていて、妻は戻って来ないかも知れない
と心配していた私は少し安心して玄関のドアを開けると、そこには見慣れない靴が置いてあります。
耳を澄ますと奥から2人の泣き声が聞こえ、一人は妻でもう一人は妻の母でした。
義母は私に気付くとすぐに土下座して、額を床につけて何度も何度も謝ります。
「娘を連れて帰ります。離婚されても仕方の無いことですが、出来れば落ち着いたら迎に来てやって下さい。親馬鹿で勝手なお願いだと分かっていても、どうか娘を許してやって欲しいです。お願いします」
妻は泣きながら寝室に行ってしまったので、義母に頭を上げてもらって話を聞くと、たまたま用があって妻の昼休みに電話したそうです。
その時妻は浮気の事は一切話しませんでしたが、義母は短い会話の中で妻の異変に気付きます。
それで心配になって、妻の帰って来る時間に合わせて来てみると頬が腫れていて、泣いて謝るだけの妻を見ていて全てを悟りました。
「暴力は自分でも気付かない内にエスカレートしていきます。娘は叩かれても仕方ないけど、それではあなたまで壊れていってしまう。こんな事をした娘のために、あなたがそのような男になっていくのは見ていられない」
確かに義母が来ていなければ、今日もまた手を上げていたでしょう。
当然親なので、殴られると分かっている娘を放ってはおけないのでしょうが、私の事を心配してくれているのも事実です。
暫らくして義父が車で到着し、赤い目をして玄関で土下座する義父に連れられて、妻は実家に帰って行きました。
妻がいなくなると、私の怒りは全て近藤に向かってしまいます。
「今から来い」
「今日は遅いので、明日にして頂けませんか?」
近藤の口調は、真面目で誠実な男を演じていた時に戻っていました。
おそらくあの後冷静になって考え、ここは私と争わない方が得策だと思ったのでしょう。
「駄目だ。それなら来なくてもいい。明日役所で話そう」
やって来た近藤は暫らく玄関の外で立っていましたが、妻を実家に帰らせた事を告げると、中に入ってきて土下座をして、涙まで見せて演技を始めました。
「謝っても許す気は無いから、いくら頭を下げても何も変わらないぞ。早速慰謝料の話をしよう」
「慰謝料はお支払いします。ただご存知のように、今の私にはお金がありません。
払えても30万が限界です。それも分割でないと」
「聞き間違いか?一桁違うが」
今の近藤には30万も、300万ほどの価値が有るのかも知れません。
しかし違法な復讐までは出来ず、近藤が一番困るお金で復習するしかないのです。
「それなら裁判だ。例え弁護士費用などでマイナスになろうとも、徹底的にやってやる」
私達が離婚しない場合、裁判をすれば100万もとれないでしょう。
しかし近藤の方も裁判となれば、それ以外のお金も掛かります。
結局慰謝料は100万で、妻の貸した20万を足して120万となりましたが、私はそれで満足でした。
何故なら私も育ちが裕福ではなかったので、お金が無い時は例え千円のお金でも苦しいのを知っていたからです。
借金まみれの近藤にすれば、金持ちの一千万にも、いいえ一億にも匹敵するかも知れません。
現実に支払えない額に決めて開き直られるよりも、払って苦しむ方が復讐になると思ったのです。


  1. 2014/05/28(水) 11:08:27|
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夢の中 第13回

マンションに戻った近藤は、妻がいないことに気付くとすぐに電話を掛けてきました。
「美雪さんを連れ去っただろ。今から迎えに行くから返してくれ」
夫である私に妻を返せという言葉に怒りを覚えましたが、何も言わずに電話を切ると、暫らくして血相を変えた近藤がやってきました。
「美雪さん、帰ろう」
しかし妻は、俯いたまま動きません。
「どうした?また暴力で脅されたのか?」
私は俯いて立ち尽くす妻の背中を押しました。
「行けよ。こんな男に抱かれた女と、一緒に暮らす気など無い」
「こんな男とは、どう言う意味ですか」
「嘘で固めて、何とか女をものにしようとしている男だ」
「私が嘘を吐いていると?」
「ああ、誰が妻と離婚すると言った?」
近藤は私を無視して、妻の方を見て叫びました。
「美雪さん本当だ。ご主人は嘘を吐いている。美雪さんにはもう愛情は無いから離婚してやると、私にはっきりと言ったんだ」
「美雪から騙し取った金はどうした?別れた奥さんは実家にいたし、子供も病気などしていない」
「何処で調べたかは知らないが、それが本当だとしても私は知らなかった。お金は別れた妻に送った。本当だ」
「残念だが調べさせてもらった結果、お前の浮気で離婚した事も分かったし、他にも可也の借金がある事も分かった」
妻は驚いた顔をして私を見ましたが、近藤はこの期に及んでも言い訳を繰り返していました。
「美雪さん、それは違う。母親がそんな女だと知ったら、一緒に暮らす子供達が可哀想だと思って、私が悪者になってやっているだけだ。確かに借金もあるが、それも別れた妻が作った借金を私が返済しているんだ。浮気も妻がした事で、借金も妻が」
「美雪、そういう事だそうだ。抱かれた男が、誠実な男で良かったな。早く行ってやれ。ここにいても、お前の居場所は無いぞ」
妻は激しく首を横に振って、私から離れようとはしません。
その様子を見ていた近藤は、明らかに苛立っていました。
「美雪さん、私を信じて欲しい。女性に手を上げる様な男には見切りをつけて、私と来て欲しい。必ず私が幸せにしてみせる」
「もう茶番はやめろ。お前の浮気相手だった奥さんの、住所や氏名まで分かっている。何なら、今から別れた奥さんの所に行って、みんなで話を聞くか?」
「別れた妻が、今更本当の事を話すはずがない」
「それなら、何故お前が慰謝料を払うことに決まった?話が本当なら、本来慰謝料をもらえる立場だろ」
「慰謝料など請求されていない。あれは全て養育費だ」
未だに嘘を吐く近藤を殴りたい衝動に駆られましたが、それでは私が不利になってしまうので何とか我慢して、今の彼には殴られるよりも痛い話をする事にしました。
「美雪が身体の関係を認めた。弁護士を通して、慰謝料は請求させてもらう」
「そんなのは夫婦が破綻した後だ」
「夫婦が破綻していたかどうかなんて、他人のお前が決めるな。美雪、俺達は破綻していたと思うか?」
近藤は縋る様な目で妻を見ていましたが、妻は何度も首を横に振りました。
「破綻なんてしていません。全て私が悪いの。私がこんな事をしたから責められて当然です。私が馬鹿な事をしたから叩かれて当然です」
それを聞いた近藤は妻を睨み付け、言葉使いまで変わって行きます。
「お前達夫婦は美人局か!」
「そう思うなら訴えてみろ」
「慰謝料、慰謝料と五月蝿いが、そんな物を払わなければならない様な事はしていない。俺はキスをしただけだ。ただキスをする場所が、唇ではなかったと言うだけの事だ。そうだろ?美雪」
「言わないでー」
「美雪のオマンコに、チンポなんて突っ込んでいないよな?だから俺達の行為は不貞じゃない」
「美雪、本当か?」
妻は大きく頷きました。
「でも、さっきは」
「美雪は口でした事を言っているんだ。毎晩毎晩、美味しそうに俺のチンポを、口いっぱいに頬張っていたからな」
「やめてー」
「旦那の前だからと言って、良い子振るなよ。身体が疼いて寂しいから抱いて欲しいと言うのを、正式に離婚するまで駄目だと俺が断わったら、強引に俺のパンツを脱がせて咥えて来たじゃないか」
「嘘です。私を押え付けて、もう我慢出来ないと言うから。私がそれは出来ないと断わったら、それなら他の方法でもいいから出してくれないと、このまま最後まですると言って放してくれなかったから」
「美雪は仕方なくしていたと言うのか?それなら聞くが、俺の指で何度も何度も感じていたのは誰だ?オッパイを舐めていたら、オマンコも舐めてと言って腰を持ち上げていたのは誰だ?」
「そんな事は言っていません」
「俺の指や舌で感じていたのも嘘だと言うのか?」
その事には反論出来ずに俯く妻を見て、怒りよりも寂しさで押し潰されそうでした


  1. 2014/05/28(水) 11:07:05|
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夢の中 第12回

妻の話が本当だとすると、私が妻を家から放り出すまでは、セックスはしていなかった事になります。
抱き合ってキスをしただけでも許せませんが、セックスをしたのかどうかでは天と地ほどの差があり、ここ数日でその様な関係になってしまったとすれば、意地を張って妻を放り出した事が悔やまれてなりません。
家に帰れないという妻の言葉からも、その様な行為をしたのは想像出来ますが、間違いであって欲しいと微かな望みを持ちながら、恐る恐る妻に尋ねました。
「近藤は朝まで美雪が甘えてきたと言っていたが、関係をもったのだな?」
「甘えてなんかいません。でも」
私の願いも虚しく、そのあと妻は頷いてしまいます。
「どうしてだ!」
「彼があなたに会って帰って来て、離婚届けにあなたもサインしたと言われて」
最初妻は、子供達が手を離れた事で何かが変わり、私との生活が壊れる事など考えもせずに、ただ恋愛ゴッコを楽しんでいただけかも知れません。
子供が巣立った時、私には妻が全てになりましたが、妻は開いた穴を私だけでは埋められなかったのでしょう。
それでも切欠さえ無ければその様な生活に慣れて行ったのでしょうが、運悪く近藤が近付いてきた。
それも、最初からデートしてくれと言ってきたら断わっていたのを、妻の世話好きを利用して相談を持ちかけるように。
次に妻が変わったのは、キスをするようになった事だと思います。
妻が言う通り最初は嫌だったかも知れませんが、それは近藤が嫌いだから嫌だった訳ではなく、ただ私に対する罪悪感から嫌だと思っただけなのでしょう。
しかし、断わり続けて近藤が離れてしまうのも怖く、私以外の男に初めて抱きしめられて唇が唇に触れる、私とは全く違った新鮮な感覚も覚えてしまう。
いいえ、新鮮な感覚と言うよりも、快感とも呼べるものから離れられなくなってしまった。
それで危険まで冒して、旅行にまで行ってしまったのでしょう。
私か近藤かのどちらかを選ばなければならないとすると、妻は私を選んだと思います。
私との生活が今まで通りあった上で、近藤とも付き合っていたかった。
いつまでもこの様な関係が続くはずがないと思っていた妻は、最後の一線さえ越えなければ、いつでも私に戻れるという安易な考えがあったのでしょう。
しかし私との仲が拗れて、離婚という言葉が浮かんだ時、近藤に頼ってしまった。
更に私との離婚が現実のものとなった時、近藤に縋った。
妻もただの弱い女でした。
妻は神聖な存在で、普通の女とは違うと勝手に決め付けていましたが、それも私の幻想でしか無かったのです。
いいえ、付き合うとまでは思っていなくても、妻も素敵な男性から声を掛けられれば、心ときめく普通の女だと知っていたのかも知れません。
いくら疑ってみても、最後には妻に限ってと思う事で逃げていただけで、自分の弱さを誤魔化していたような気がします。
今回も妻がいなくなった時点で、すぐに近藤の所に行っていれば最悪の事態は免れたものを、ちっぽけなプライドを捨てる事が出来ない自分を、それが強さだと誤魔化していた。
結局は自分の弱さ、妻の弱さに気付いていながら、自分達は特別だと思いたかっただけなのです。
「でも」
「でも何だ!」
「いいえ、言い訳にはなりません」
「何が!」
私は口惜しさで一杯になってしまい、妻の服を無理矢理脱がそうとしました。
「裸になれ。汚れた身体を洗ってやる」
妻は必死で抵抗しましたが、その時スカートが捲れてしまい、妻の穿いているパンティーが露になると、私は余りの事に驚いて手を放してしまいます。
「美雪!」
妻は見た事も無いような、およそ歳には似つかない、赤く小さなパンティーをはいていました。
妻は走って部屋を出て行きましたが、私は後を追う事も出来ずに立ち尽くしてしまいます。
妻と近藤が関係を持った事は勿論ショックでしたが、想像だけで裸で抱き合っている姿を実際に見た訳ではありません。
しかしあの様な下着を目の当たりにしてしまうと、妻と彼との関係が現実のものとして迫ってくるのです。


  1. 2014/05/27(火) 02:02:38|
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夢の中 第11回

おそらく近藤は、妻に気に入られるように誠実な男を演じながら、いつかは自分の女にしてやると心の中で思いながら我慢していたのでしょう。
「そうすると、旅行に行った時が初めてか?」
「いいえ、その時も最後までは」
「2人で旅行にまで行っていて、何も無かった事はないだろ」
妻は近藤と2人で旅行には行ってみたかったのですが、キス以上の事をする気は毛頭無かったと言います。
そのためにホテルの部屋は2部屋とってもらい、同じ部屋で泊まらない事は近藤にも了承してもらっていました。
しかし夕食が終わった後に妻の部屋で話をしていた時、突然ベッドに押し倒されてキスをされてしまいます。
「その時は必死に抵抗しました」
「どうして?キスは既に受け入れていたのだから、抵抗する必要もないだろ?」
「キスだけではなくて、身体を触られたから。浴衣の裾から手を入れてきて下着越しに触られたので、このままだと最後までされてしまうと思って」
妻の激しい抵抗に合った近藤は、その時も誠実な男を演じて、妻に何度も謝りながら引き下がったそうです。
妻が旅行を承諾した時点で、近藤はOKしたと思ったはずです。
2部屋とったのも私に知られた時の予防策で、当然その気で旅行に行ったはずです。
しかし近藤は引き下がった。
この事で私は、逆に近藤のずる賢さを感じました。
私も色々調べましたが、ラブホテル以外のホテルに2人で入っても、同じ部屋に数時間滞在した事を証明出来なければ、不貞の証拠としては弱いのです。
今回も2部屋とっていたので2人で旅行に行っていても、同じ部屋で泊まった事を私が証明しなければ、下手に訴え出ると逆に名誉毀損で訴えられる可能性もあるのです。
離婚問題で揉めていた近藤は、色々調べてこの事を知っていた。
妻が抵抗せずに身体を許したなら、妻と口裏を合わせるつもりだったのでしょう。
しかし抵抗された事で、そこまでの関係になると、ばれた時に妻が私に嘘を吐き通せないと感じたのかも知れません。
妻が証言すれば、不貞行為があった証拠の一つになってしまいます。
そこで近藤は、ベッドに押し倒して抱き付きながらも思い止まったのでしょう。
私はそこに何があるのか考えました。
そこで我慢する事は、妻に誠実な男をアピールする事が出来、妻がより近藤に惹かれる可能性もありますが、逆に一つになる事で、より妻が近藤から離れられなくなる事も考えられます。
それならば何故引き下がったのか。
そこには、慰謝料が発生するかどうかの違いしか無いように感じました。
近藤は、何があってもお金を払う事は避けたいのです。
近藤にとっての最善は、慰謝料など一切払う事無く妻とそれに伴うお金を手に入れる事で、最悪は妻も手に入れられずに、慰謝料などのお金を払わなければならなくなる事なのです。
「近藤と食事に行ったりした時は誰が払った?」
「相談に乗ってもらっているのだからと言われて、ご馳走になっていました」
「付き合いだしてからは?」
「その時も」
「美雪、近藤にお金を貸していないだろうな?言いたくなければ調べるが」
「ごめんなさい」
離婚裁判をしていて別居中だった奥さんが、急に実家を出てアパートで暮らすことになったので、子供達の事を考えて少しでも広い所に住まわせてやりたいからボーナスまでお金を貸して欲しいと言われて、妻は20万も貸していました。
妻はご馳走してもらった気になっていますが、結局は自分が出していたのです。
私は男に騙されて貢いでいた女の話を聞くと、いくら何でもどこかで気付くはずで、それは知っていて騙されているのだと思っていました。
そんな馬鹿な女が実際にいるのかと呆れていました。
しかし今、目の前にいる私の妻はその馬鹿な女なのです。
「旅行に行った時の宿泊費は、誰が払った?」
「旅行前に、急に子供が病気になって入院したから、お金を振り込んでやって持ち合わせがなくなったと言われて私が貸しました」
「奥さんは今でも実家で暮らしているし、子供達も元気だそうだ」
「えっ?」
こう言っただけでは、おそらく妻は別れた奥さんが嘘を言って、近藤からお金を騙し取ったと思っているでしょう。


  1. 2014/05/27(火) 02:01:11|
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夢の中 第10回

このままでは妻だけでなく、この家まで手放す事になり兼ねません。
次の日会社を早く出て近藤の住んでいる賃貸マンションに行くと、少しして妻と彼が帰って来ました。
近藤は何か用があるのか、妻を車から降ろすとそのまま出掛けたので、妻の後を追って部屋まで行ってチャイムを鳴らすと、ドアの向こうに人の気配はしたのですが返事はありません。
「美雪、そこに居るのは分かっている。出て来ないのなら、今度は子供達と来る」
そう叫ぶと妻はようやくドアを開けたのですが、数日会わずにいただけないのに少しやつれて見えます。
「子供達には言わないで」
「ここまでしておいて何を言っている。とにかく、一度家に戻って話そう」
妻は急に大きな声を出して泣き出し、終には立っていられずにその場に座り込んでしまったので、私は妻の腕を掴んで立たせて、家に連れて帰ろうとしましたが動きません。
「ごめんなさい。私は帰れない。もうあなたの所には帰れないの」
妻の泣き叫ぶ声で隣の人がドアを開けて覗いていたので、私は引き摺るようにして車に押し込みましたが、やはり家に着くと降りようとはしませんでした。
「もうこの家には入れない」
「今更何を言っている。奴と2人で旅行にまで行っていたのに、平気で暮らしていたじゃないか」
「ごめんなさい。でもその時はまだ」
「中で話そう。近所の人もおかしく思う」
ようやく妻は家の中に入りましたが、ただ泣いて謝るだけで何も話さず、時間だけが過ぎて行きます。
「美雪はもう俺の妻ではなくて、あいつの女になったのか?」
しかし妻は、そのことについて肯定も否定もしません。
「俺の事が嫌いになったのか?近藤を愛しているのか。そうなら俺も美雪を諦めるように努力する」
妻は一瞬泣き止んで、不思議そうな顔をして私を見ました。
「私を諦めるように努力する?そんな」
妻はまた激しく泣き出したので、落ち着くのを待って訳を聞くと、妻は離婚などする気は無かったと言います。
「嘘を吐いて彼と会ってキスまでしていたのに、勝手だと分かっていても、あなたと別れるなんて考えられなかった。あなたを騙し続けて旅行にまで行っておきながら、あなたのいない人生なんて考えた事もなかった。でも、あなたに離婚を決められたら、私は何も言えないから」
あの離婚届は近藤が用意してあった物で、半ば強引に書かされたそうです。
しかしそれは離婚する為ではなく、これを書いて私に見せれば、驚いた私は必ず許してくれると言われて書いた物でした。
しかし私に会って帰って来た近藤は、思っていたよりも私の怒りは強く、もう妻に対しての愛情は微塵も残っていないので、すぐにサインして出しておくと言って、すんなり受け取ったと妻に報告しました。
更に近藤は、どれだけ説得しても私は頑として受け付けず、あの様子では許す事は絶対に無いだろうから、もう諦めて次の人生を考えた方が良いとまで言われたそうです。
妻は自分のしてしまった事の重大さに改めて気付き、軽い気持ちから始まった今回の事を悔やんだと言います。
「もう一度聞くが、美雪は近藤を愛しているのか?」
「こんな事を言える立場では無いし、もう信じてもらえないでしょうが、私が愛しているのはあなただけです」
「でも、近藤を嫌いでは無いのだろ?」
「愛しているのはあなただけです。でも」
「でも何だ」
「彼の事も、好きでした」
私には愛しているのと好きなのが、どの程度の違いなのかは分かりませんでした。
「身体の関係もあったな?キスだけだと言っていたが、それは嘘だな?」
「いいえ、ずっとキスだけでした。何度かホテルにも誘われましたが、その度に断わると、彼は素直に聞き入れてくれました」
「それを信じるとして、キスぐらいは良いと思っていた訳だ」
「最初、突然キスされた時は怒って帰りました。次の日また誘われたので、もう2人では会わないと断りました。すると、会って謝りたいと言われてずるずると」
妻は怒りながらも、若くて好みの男と会って話す事の楽しさから抜けられず、次にキスをされた時には、これ以上の関係にさえならなければと自分を納得させてハードルを下げてしまい、人妻を抱き締めてキスをしてくるような男なのに、それ以上の事はしてこない近藤を、逆に誠実な男だと勘違いするようになっていきます。


  1. 2014/05/27(火) 02:00:08|
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夢の中 第9回

私は妻を取り戻しに行きたいのですが行けません。
二人の前で、離婚はしないとか戻って来いとか、いかにも未練があるような事を言わなければならないのは、プライドが許さないのです。
何より妻に断られた時の事が怖く、近藤を愛しているから帰らないとでも言われたら、私は立ち直れないような気がします。
そのくせ、妻を諦める事など出来ない。
夜になると、妻と近藤が裸で抱き合っている姿ばかりが浮かんで眠れません。
こんな夜は早く明けて欲しいと願いましたが、朝になればなったで、今頃妻は裸のまま近藤の腕枕で眠っているかと思うと気が狂いそうです。
昼近くになり、ここ数日の睡眠不足も重なって精神的に限界を超えてしまった私は、妻の名前が書かれた離婚届をテーブルの上に広げて、強くペンを握り締めていました。
しかし、いざ書こうとすると、妻と出合った頃からの30年が思い出されて書く事が出来ません。
私は一時間近くも離婚届を見詰めていましたが、ようやく決心をして振るえる手で名前を書こうとした時、けたたましく電話が鳴ったので出ると、聞こえて来たのは近藤の声でした。
「書いて頂けましたか?離婚届は休日でも受け付けてもらえますから、今日にでも出して下さい」
「お前に何の関係が有る。これは俺達夫婦の問題だ」
「ところがそうでは無いのです。正式に離婚が決まり次第、私は美雪さんにプロポーズするつもりですから。まあプロポーズすると言っても形式的な事だけで、昨夜の甘えようを見ると、美雪さんの気持ちも決まっているようですが」
「どういう意味だ」
「そのままの意味ですよ。朝まで甘えられて、私もふらふらです」
私は近藤の裏の顔を見た思いでした。
妻の前では誠実な男を演じていますが、本当はその様な男ではありません。
「何度も言う様に、ご主人の暴力によって既に夫婦として破綻しているので、昨夜の事で慰謝料を請求しても無駄ですよ」
「そんな事を言うために、わざわざ電話してきたのか?」
「いいえ。美雪さんはご主人に可也脅えていて、もう会いたくないし話したくもないと言っているので、美雪さんの代理として財産分与と慰謝料の事で電話させて頂きました。まず財産分与はですが、これは美雪さんの当然の権利ですから、きちんとしてあげて下さい。それと、今までの暴力に対する慰謝料ですが」
「勝手な事を言うな。まだ離婚など決めてはいない」
「そうですか。前にも言った様に、例え夫婦でも気持ちまでは縛れませんよ。私は妻が他の男を好きになった時点で、潔く離婚を決めました」
妻の気持ちが離れたのに、まだ未練たっぷりな女々しい男だと言わんばかりです。
「仕方ないですね。それなら、美雪さんはお金も持たずに家を追い出されたので、すぐに当座の生活費だけでも振り込んでやって下さい。着の身着のままで出て来ましたから多めにお願いします。私達はもうすぐ夫婦になるのですから、お金の事など気にしないで良いと言ったのですが、着替えの服や下着などを買ってあげただけで凄く気にしているので明日にでもお願いします。振込先は」
妻の通帳はこの家にあるのでそうなのかも知れませんが、一方的に話す近藤が指定した振込先は自分の口座でした。
いかにも妻の為を思ってのような言い方ですが、やはり彼は明らかにお金に拘っています。
慰謝料、財産分与、生活費など、私に話す内容には必ずお金の話が出てきます。
近藤に対する不信感が更に募り、戦意を喪失していた私に気力が戻って、一度彼の事を調べてみる事にしました。
知人に紹介してもらった興信所は仕事が早く、翌日相談に行ってから2日後には私の知りたい事を全て調べ上げて報告書を持って来てくれましたが、その内容を見た私は愕然としてしまいます。
近藤は少し前に離婚が成立していましたが、離婚理由は奥さんの浮気ではなくて、彼の浮気が原因でした。
浮気相手は、部署は違えどやはり役所に勤めていた8歳年上の人妻で、彼女は浮気がご主人に知られてすぐに退職しています。
別れた奥さんも5歳年上な事から、近藤は年上の女性が好きなのでしょう。
その他にも、やはり近藤には借金が有り、借金の額までは分かりませんでしたが数社から借りているらしく、結構な金額だと思います。
その上別れた奥さんと浮気相手のご主人に対する慰謝料や、子供達への養育費も月々支払っていくことに決まったらしく、それで異常にお金に執着しているのでしょう。
私には近藤の考えている事が、少し分かるような気がしました。
この家にはローンも残っていますが、それでもお金に換算すればそこそこの金額にはなります。
他にも多少の預金や保険もあり、妻の取り分を使えば借金も返済出来るでしょう。
その他にも、妻と結婚すれば毎月妻の給料も入って来るので、月々の支払いは可也楽になります。
妻の事を好きなのは事実かも知れませんが、妻のお金を当てにしているのも確かだと思うと、例え妻の気持ちが私に無くなっていても、このまま別れる訳には行かなくなりました。


  1. 2014/05/27(火) 01:59:03|
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夢の中 第8回

結局その日は、情け無い事に仕事にも行けずに寝込んでしまいましたが、夜になってチャイムが鳴り、玄関を開けると妻が立っていました。
「何処に行っていた!」
「勝手をしてごめんなさい。独りで考えたくて」
「何処に泊まった!」
「ホテルに」
「近藤と泊まったのか?」
「違います」
気が付くと、初めて妻に手を上げてしまっていました。
妻の頬は見る見る赤くなり、自分でやっておきながら私自身可也のショックを受けてしまい、暴力を振るった情けない自分を誤魔化す為に、声は大きくなってしまいます。
「美雪の言う事は、もう何も信用出来ない。この間の旅行は誰と何処に行ったのか言ってみろ!」
「ごめんなさい。言えませんでした。いつか知られると思っていても、知られれば離婚されると思うと言えませんでした」
妻は友達に口止めをしていませんでした。
おそらく、自分がその様な裏切り行為をしているとは、親友にも言えなかったのでしょう。
しかしそれでは、いくら私が今まで彼女達に直接連絡を取る事はなかったと言っても、ばれる可能性は有ります。
そう考えると、妻はその様な危険を犯してまで、彼と旅行に行きたかった事になります。
もっと悪く考えると、ばれたらばれたで良いと思って行った可能性もあるのです。
「離婚だ!」
私は妻を突き飛ばすと、勢いよくドアを閉めました。
妻はずっとドアの向こうで泣いていましたが、暫らくして泣き声が聞こえなくなったので様子を見てみると、着替えの入った大き目のバッグだけが残されていて、妻の姿は何処にもありません。
私は離れていく妻が心配ですぐにでも探し回りたいのですが、惨めになっていく自分が嫌でそれも出来ずに、強がって自分を誤魔化しながら朝を迎えました。
幸いこの日は土曜だった為に仕事は休みだったのですが、仮に平日だったとしても仕事が出切る状態ではありません。
それどころか何もする気力が無く、息をしている事さえ辛いのです。
「美雪さんに頼まれて来ました」
昼過ぎにやって来た近藤は、勝ち誇ったように笑みまで浮かべています。
「美雪はお前の所に泊まったのか?」
「はい。ただ誤解しないで下さい。私は暴力に脅える美雪さんを匿っているだけで、何もしていません。不貞行為は一切していません」
「その前に2人で旅行にまで行っていて、今更何を言っている」
「確かに旅行に行きましたが、ホテルの部屋は2部屋とりました。一緒に食事もしましたがそれはホテルのレストランで、夜は別々の部屋で寝ました。逆にお聞きしたいのですが、そこまで美雪さんを信用出来ないのですか?」
近藤は自分の行為を棚に上げ、夫婦の信頼関係の無さを責めてきます。
「俺も少しは勉強した。男女が2人だけで密室に数時間いれば、不貞行為とみなされても仕方が無いらしいな」
しかし近藤は、お互いの部屋には一歩も入っていないと言って認めません。
「友達なので一緒に旅行に行った。しかし同姓ではないので部屋は別にとった。
それのどこが不貞行為です?別々に部屋を取った事はホテルに確かめてもらえば分かるし、同じ部屋に居たと言うなら、写真家何か証拠が要ります。第一私達はそのような行為はしていないので、訴えると言うのなら受けて立ちます。今回も私は、ご主人のDVから美雪さんを保護しているだけですから、慰謝料など発生するはずは有りません。それにしても女性に暴力を振るうなんて、最低な男ですね」
更に近藤は、今回妻が泊まった事で仮に不貞行為と見られたとしても、暴力まで振るっていたので既に夫婦は破綻していたと見るのが相当で、請求されても支払う義務は無いと付け加えました。
「今回のはDVなんかじゃない。常習的に暴力を振るっていた訳では無い」
「すぐに暴力を振るう男は、みんなそう言いますよ。これは立派な離婚事由だし、当然慰謝料の対象にもなる」
前回会った時もそうでしたが、私から慰謝料の話など一切していないのに、近藤は異様に気にしているように感じました。
それどころか、今回は私から妻に慰謝料まで払わせようとしています。
何故か近藤は絶えずお金に拘っているように感じましたが、今の私はそれどころでは有りません。
「美雪はどうしている?」
「朝まで眠れなかったので、今頃は疲れて眠っていると思います。ああ、誤解しないで下さい。変な意味では有りませんから」
近藤はわざと意味有り気な言い方をして、更に私を揺さ振ってきます。
「今すぐ美雪に帰って来るように言え」
「それは出来ません。美雪さんは暴力に脅えているので、暫らく私が預かります。それが駄目なら、警察に保護をお願いするしかありません。今回お邪魔したのは、これを頼まれただけですから」
近藤に手渡された物は、すでに妻の欄には署名されている離婚届でした。
「何だ、これは!」
「離婚届です」
「そんな事は分かっている」
「いい加減に美雪さんを解放してあげたら如何ですか?いくら未練があっても、片方の気持ちが離れたら夫婦は終わりです。昨日の夜叩き出されたばかりなのに、もう離婚届を持っている事に疑問を感じませんか?そうです。美雪さんはもっと前から、ご主人と別れたくて準備していたのです。私との事が離婚原因ではなくて、以前から離婚を考えていたのです」
私はこの様な時にも面子を気にしてしまい、妻を返してくれとは言えずにそのまま近藤を帰してしまいました。


  1. 2014/05/27(火) 01:57:40|
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夢の中 第7回

私は更に壊れて行き、毎日帰ると妻を裸にして何処かにキスマークがついていないか、調べる事までするようになっていました。
「あなた、こんな事はもう許して。私は取り返しの付かない事をしました。あなたを凄く傷付けました。でもあれからは会っていません。今はあなただけを見ています」
近藤と会っていないのは本当だと思います。
しかし時が経てば経つほど、抱き合ってキスをしていた事を隠していた事が重く圧し掛かり、まだ他にも隠している事が有るのではないかという思いが強くなっていきます。
「どうだかな?何しろ美雪は、平気で嘘が吐ける女だからな。第一、二言目には会っていないと偉そうに言うが、役所で顔も合わせないのか?」
「同じ課にいるので顔も合わせますし、仕事では話しもします」
「ほらみろ。会っていないなんて嘘じゃないか。本当に平気で嘘を吐く女だ」
「あなたが仕事を辞めさせてくれない限り、それは無理です。職場以外では会っていないし、仕事以外の話はあれから一度もしていません。私が仕事を続けている事で、あなたを苦しめてしまうのなら、もう仕事は辞めさせて下さい」
「俺のせいにするな。美雪の気持ちは分かっている。大好きな彼を毎日見ているだけでは辛いから辞めたいだけだろ?」
「もうやめて。私は彼から電話が掛かっても、一度も出ていません。メールが来ても、開けずに削除しています」
近藤が未だに妻を誘って来ている事を知り、それは妻が悪いのでは無い事は分かっていても面白くありません。
「そんな事は聞いていなかったぞ」
「言えばあなたが、気分を害すると思って」
「嘘を吐け。嬉しいくせに。今度から来たメールは消さずに見せろ」
妻は耐えられずに泣き出しましたが、嫌味を言っている私も苦しいのです。
「泣くな。泣きたいのは裏切られた俺だ。美雪は一生償うとか、何でもするとか口ばかりで、今まで俺に何をしてくれた。どのように償った。結局俺の気持ちが収まるのを、ただ何もしないで待っているだけだろ。泣いていないで、今まで俺にどの様な償いをしたのか言ってみろ」
「ごめんなさい。どの様にすれば良いのか分かりません、どの様に償えば良いのか教えて下さい」
何をしてもらえば楽になれるのか自分でも分かりません。
分からないが故に、無理な事しか思い浮かばないのです。
「明日役所に行ったら、近藤が毎日メールや電話をしてきて困ると上司に訴えろ。
ストーカー行為に困っているから処分してくれと頼め」
「それは」
「出来ないよな。迷惑どころか、誘われて嬉しいのだから」
「違います」
翌日仕事から帰って来ると、妻の姿は何処にもありませんでした。
私はすぐに妻の携帯に電話しましたが、電源が切られていて繋がりません。
私の脳裏に近藤の顔が浮かびましたが、そのような事をすれば私達は完全に終わってしまう事は妻も分かっているはずなので、典子さんか恭子さんの所に行ったのだと自分を納得させて、私が無理難題を言い過ぎた事の反省も込めて待つ事にしました。
しかし妻は、いつまで待っても帰って来ません。
私は眠れぬ夜を過ごし、翌朝2人に電話しましたが妻は来ていないと言います。
気が付くと、私は彼の住所が書かれたメモを握り締めて家を出ようとしていましたが、その時電話が鳴ったので妻かと思って慌てて戻って出てみると、それは典子さんでした。
「さっきは聞き辛くて何も聞かなかったけれど、やっぱり心配だから電話させてもらったの。美雪に何かあったの?」
「いや、たいした事ではないから」
「こんな朝早くに電話して来て、たいした事じゃないなんて嘘でしょ?それに最近の美雪は変だもの。この間お邪魔した時は、旅行をあんなに楽しみにしているような事を言っておきながら、私達に何も言わずに自分だけキャンセルしたのは何故?驚いて電話しても謝るだけで理由は絶対に言わないし。私の知っている美雪は、そんな人間では無かったわ」
私はあまりのショックで、その後彼女と何を話したのかさえ覚えていません。
あの日妻は、確かに宿泊先の温泉地のお土産を買って来ました。
典子さん達と行かなかったにしても、その温泉地の近くの土産物屋かサービスエリアには立ち寄っているはずです。
日帰りで行けない事もないのですが可也厳しく、その周りには他にもいくつかの温泉地が点在しています。
私の脳裏には近藤と2人で家族風呂に浸かっている姿や、旅館の部屋で2人が裸で絡み合っている姿ばかりが浮かび、もう切れている受話器を持ったまま、その場に座り込んでいました。


  1. 2014/05/27(火) 01:56:30|
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夢の中 第6回

私は妻の気持ちが凄く気になっていました。
「ただ相談に乗っていたと言ったが、相談に乗るのにキスをするのか?」
妻は俯いていて何も答えません。
「俺達は終わったな」
「許して下さい」
離婚すると言いたいのですが、まだ妻には未練があって、妻を他の男に盗られるなど考えられず、妻の気持ちが分からなくなった今、これ以上離婚を脅しに使えません。
「あいつに愛しているといわれて嬉しかっただろ?」
妻は暫らく考えてから、顔を上げて私の目を見ました。
「もう本音で話そう。美雪は若い時から一生懸命俺に尽くしてくれた。同年代の子達は遊んでいた時期に、一生懸命子育てをしてくれた。だから俺は、自由な時間が持てるようになった今、多少帰りが遅くなっても、少しぐらいは羽目を外して遊んでも良いと思って何も言わなかった。それどころか、元気の無い美雪を凄く心配していた。ところが俺の心配する心まで踏み躙られて、美雪を想う気持ちまで利用されて裏切られたのだぞ。普通の心を持っている人間なら、到底出来ないような裏切りをされて、これ以上何を言われても驚かないから、もう嘘を吐くのはやめにしてくれ」
泣き止んでいた妻の目から、大粒の涙が毀れます。
「だから正直に話してくれ。彼を愛してもいないのに、俺に隠れてコソコソと会える美雪では無いだろ?愛してもいない男に抱き付いて、キスが出切るような女では無いだろ?」
「ごめんなさい。あなたにこんな酷い事をした私は、もう何も言えません。何を言っても、信用してもらえなくて当然です。でも、私が愛しているのは、あなただけです」
自信を無くしていた私は妻の愛を確かめたくて、怒っている振りをしながら、また聞いてしまうのです。
「本当に俺を愛しているのなら、どうして裏切った?どの様な気持ちで付き合っていた?」
「最初は本当に相談に乗っていただけです。でも、知らぬ内に彼と会って話すのが楽しくなっていました。あなたの顔を見る度に、こんな事はやめなければと思いながらも、誘われると嬉しかったです。あなたを裏切っている罪悪感に苦しみながらも、彼と会っている間は罪悪感など忘れられるほど楽しかったです」
「彼を好きだったから楽しかった。彼を愛していたからキスも出来たのだろ?」
「本当にどうかしていました。ごめんなさい」
妻は声を出して泣き出しましたが、それでも聞かずにはいられません
「まだ隠している事があったら、今の内に話してくれ」
妻は部屋を飛び出して行き、私は追い掛けてでも問い詰めたかったのですが、流石にそれはやめました。
近藤に比べて自分が凄く小さな男に感じ、私に妻と離婚する事が出来ないのなら、このままではどんどん嫌われていくような気がしたのです。
一人残された私は、必死に妻と彼を隔てる方法を考えていました。
携帯を取り上げて持たせない。
役所に乗り込んで抗議し、配置転換を頼む。
または、仕事を辞めさせて、家から出さない。
今度あの男と関わったら、妻の実家や子供達に話すと脅す。
その他にも今後2人で会っているのが分かったら、たとえ名誉毀損で訴えられようが、犯罪者になろうが徹底的に付き纏って必ず彼を潰してやると脅せば、妻が近藤を愛していた場合、妻の性格からすれば可也効果があると思います。
他にも色々思い付きましたが、これらの方法では彼が言っていた様に、体は縛る事が出来ても妻の心までは縛れません。
物理的に肉体だけが戻ってきても、私は満足出来ないのです。
愛し愛されていた数ヶ月前の夫婦に戻れなければ、何の解決にもならないのです。
そう考えていると、私は神など信じていませんでしたが、これは神が与えた試練のような気がしてきて、妻を一切縛りつけず、暫らく距離を置こうと決めました。
それでも妻が、私のところに戻ってくるか試したかったのです。
その日から寝室は別にして、食事もほとんど外で済ませるようにしました。
休日は、以前営業をしていた時に得意先の社長に付き合わされて覚えた、今ではほとんど行かなくなってしまっていた釣りに行きました。
必要最小限の会話しかしなくなり、妻が話し掛けてきても返事をする程度です。
一方妻はと言えば一切の付き合いをやめて、仕事が終ると真っ直ぐに帰って来て、家に着くと必ず電話を掛けてきます。
休日も出掛ける事はしないで家にいて、食料品などを買いに出掛ける時や帰って来てからも必ず電話して来ましたが、私はいつも愛想のない返事しかしません。
その様な生活が暫らく続くと、私は許す切欠が掴めなくなってしまい、拗ねた子供のように意地になってしまっていました。
自分で始めた事なのに、やがてそれは私の精神を不安定にし、妻に嫌味を言う様になったので、これでは会話をしないほうがましだと思いながらも、自分では歯止めが掛かりません。
「若い近藤のは硬くて気持ち良かったか?近藤に抱かれた後、俺のでは物足りなかっただろ?」
「私が悪かったです。でも、その様な事はしていません」
「最近やけに電話を掛けて来るが、近藤と会っていないと思わせて、俺を油断させる気だな。毎日抱き合ってキスしていた男と女が、そう簡単に別れられるはずが無い。そうか、分かったぞ。同じ日に休暇をとって、平日の昼間ホテルに行っているのか。そうなのか?」
「今度タイムカードのコピーを持ってきます」
「ふて腐れて言っているのか?」
「違います。疑われても仕方が無い事をした、私が全て悪いから」
こんな会話が1ヶ月続き、精一杯明るく振る舞おうとしていた妻も、流石に笑顔を見せなくなっていました。


  1. 2014/05/27(火) 01:55:09|
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夢の中 第5回

近藤は身体を起こすと、妻の目をじっと見詰めながら口を開きました。
「美雪さん。あなたに殺されるなら本望です。あなたがそれをしなければ困るのなら、私は喜んで殺されます。愛していますから」
私はショックでした。
彼は妻がそのような事が出来る女では無いと知っていて、格好をつけているだけでしょう。
男らしさを見せて、この期に及んでも妻の気を惹きたいのだと思います。
しかし妻には、どのように映ったでしょう。
包丁を持ち出す理不尽な夫。
そのような理不尽な事にも、毅然としている彼。
その上彼は夫である私の前で、堂々と愛している事を宣言しました。
その時妻は困ったような表情を見せましたが、愛していると言われて、悪い気がする筈はありません。
私は包丁を片付けると、彼を客間に通しました。
「黙って会っていた事は、申し訳なかったと思っています」
「申し訳ない?俺の女房を抱き締めて、キスまでしていたのにそれだけか?」
「例え不貞行為にはならなくても、それも悪かったと思っています。それに偉そうに不貞行為は無かったと言っても美雪さんに断わられただけで、私にはその気があったのも事実です。その事は凄く反省しています」
彼の落ち着いた話し方が、余計に腹立たしく感じます。
「やけに早く反省するのだな。俺に見付からなくても反省していたか?」
「分かりません。ただご主人の気持ちは分かるので、不貞行為は無く、法的には何も問題は無いのですが謝りに来ました。慰謝料が発生するような事もないので、本当ならここに来る必要も無かったのですが、私も妻に浮気されてご主人の口惜しい気持ちも少しは分かるので来たのです」
このような事をしておきながら、善意で会いに来たような事を言う、彼に対してまた殺意を覚えましたが、醜態を晒した先程の事もあって、何とか気持ちを抑えました。
しかし納得がいかないのはそれだけでは無く、このような事をしておきながら、法には触れていないと言う彼の話です。
「私は妻に不倫され、離婚調停も不調に終って来週裁判があります。ですから、ご主人が私を殺したいという気持ちも分からないでは無いです。ただ、ご主人が私を訴えるのは自由ですが、法的には何ら裁かれる事は無く、慰謝料も発生しません」
「裏切られた者の口惜しい気持ちが分かっていながら、どうしてこのような事を」
「妻に言われました。人の気持ちまでは法律でも縛れないと。最初は私も殺した
いほど憎みましたが、冷静に考えてみればその通りだと悟りました。特に美雪さんを愛してしまってからは」
2人の歳が離れている事で、安心してしまっていたところもありました。
しかしこうして2人を見ていると、妻が小柄なせいもありますが10歳も離れているとは見えずに違和感はありません。
その事が無償に口惜しくて、私は二度と妻と会わない事を書かせようとしましたが、彼はそれをはっきりと断りました。
不貞行為をしない事は約束したのですが、妻が会ってくれれば、これからも2人で会うと言い切ったのです。
「これからも美雪さんと会うと言っても、美雪さんに断わられれば会いません。私は会ってくれると信じていますが、美雪さんの意思に任せます」
彼は深々と頭を下げて帰って行き、私はすぐにネットで調べましたが、全て彼の言っていた通りでした。
不貞行為とは最後の一線を越える事で、それが無ければ2人で会う事も、抱き合う事も、キスをする事さえ許されてしまうのです。
2人を会わせない法律など何処を探してもありません。
ただ、私から妻に対して離婚は要求すれば通るかも知れませんが、私が離婚したく無い場合、妻を拘束出来るような法律など無く、今後彼が妻に接触しても妻が嫌がらない限り、彼を裁く法律など何も無いのです。
要するに不貞行為が無ければ夫婦間だけの問題で、妻が自分から彼に会わないようになってくれる以外、何の手立てもありません。
いくら彼が甘い言葉を囁いて妻を誘おうとも、妻が断われば良いという解釈なのです。
冷静に考えれば確かにその通りなのでしょうが、私は理不尽に感じました。
しかし理不尽に感じる自分を逆から見れば、妻を引き止めておく自信が無いと言う事です。
それは彼の若さも怖かったのですが、それ以上に真面目そうでいて男気に溢れ、臆する事無く堂々としているところが怖く、それは妻と30年近く一緒にいると、妻がそのような男が好みなのが分かってしまっているからです。


  1. 2014/05/27(火) 01:53:28|
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夢の中 第4回

体の関係は否定し続けて欲しいのですが、思いとは逆に何とか認めさせようとしている私がいます。
「最近では毎晩のように会っていたのに、体の関係は無いと言うのを信じろと言うのか?」
「あなたを裏切っていた事には変わりないです。そのような関係では無いと言っても、あなたに嘘を吐いて会っていたのだから」
最初オープンに会っていた妻も、それが頻繁になってきた事で、私に言い辛くなってきて、つい嘘を吐いて会ってしまうようになったと言います。
「信じて欲しいと言うのが、無理な話だと言う事は分かっています。これが逆なら私でも信用出来ないかも知れません。でも本当です」
妻の話は本当なのかも知れません。
発覚するまでの妻の様子を思い出しても、可也悩んでいて平気で私を騙していた訳ではない事は確かで、涙を流しながら必死に話す今の妻の態度を見ても、もう嘘は吐いていないと思いたいのですが、やはり最悪ばかりを考えてしまい、ここで引き下がる事が出来ません。
「隠れて会っていた事だけでも許すつもりは無いが、それ以上の関係は一切何も無かったと言うのだな?」
「私はあなたを裏切りました。嘘を吐いて男性と2人で会っていた事だけでも、重大な裏切り行為だと思っています。もう何も信用されなくても仕方ない事かも知れません。でももう一度だけチャンスを下さい。あなたに信用してもらえるよ
うな妻になります。お願いします」
「分かった。但し次は無いぞ」
私は持っていた妻の携帯で電話を掛けました。
「話がある。いますぐに来い」
彼は黙っていましたが、それを聞いていた妻は携帯を奪い返そうとします。
「私が悪いの。彼はそっとしておいてあげて。あなたの気が済むように私は何でもしますから。お願い、彼は大事な時期なの」
今までは体の関係ばかりが気になっていましたが、妻が近藤を庇った事で、やはり彼を好きなのではないかと疑ってしまいます。
私よりも、彼を愛してしまったのではないかと気が気ではありません。
「すぐに、お伺いします」
妻の事が心配だったのか、自分の事が心配だったのかは分かりませんが、家の近くまで来ていたらしく、10分もかからずにやって来た近藤は玄関を入るとすぐに土間に正座して、額が着くほど頭を下げました。
「恩を仇で返すような事をしてしまい、申し訳ございませんでした。でも美雪さんとはキスまでで、それ以上の事はしていません」
一瞬、彼が何を言っているのか分からず、時が止まってしまった様な感覚です。
妻を見ると、妻も何が起こったのか分からないような感じで、彼をじっと見ています。
「美雪さん、すまない。秘密にしておけなかった。もう隠れて会うのは嫌だから、ご主人に私たちの関係を知ってもらいたかった。美雪さんの事を真剣に愛しているから」
その言葉で私も妻も正気に戻り、妻は慌てて土間に下りると彼のすぐ横に並んで、泣きながら同じ様に頭を下げたので、私は頭を下げられて怒りが治まるどころか、仲良く並んでいる姿を見て更なる怒り覚えてしまいます。
私は2人をその場に残してキッチンに行くと、包丁を持って来て妻の前に置きました。
「俺の気が済むことなら、美雪は何でもすると言ったよな?俺は今この男を殺したい。俺の代わりに美雪が殺せ」
「ごめんなさい。出来ません」
「愛する彼を殺すなんて出来ないか?この男を殺すぐらいなら俺を殺したいだろ?」
「違います」
その時近藤は身体を起こすと背筋を伸ばし、一度大きく深呼吸をしました。


  1. 2014/05/27(火) 01:52:09|
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夢の中 第3回

妻は俯いて立っていて、よく見ると足が震えています。
「あなた、あれは」
「あれは、何だ?いつ残業があって、いつ同僚達と食事に行って、いつ典子さん達と会っていたのか全て書き出してみろ。典子さん達のところには今から行って確かめる。職場にも明日行って」
妻は最初言い訳をしようと思ったようですが、隠し通せるものではないと観念したのか、膝から崩れ落ちて床に泣き伏しました。
私は目の前で泣き崩れている、妻の姿が信じられませんでした。
隠れて近藤と会っていた事もですが、何より妻が嘘を吐いていた事が信じられないのです。
妻は嘘の嫌いな女でした。
私達夫婦の約束事はただ一つ、お互い嘘を吐かない事で、それは入籍する時に妻が言い出した事です。
その言葉通り私は何でも話してきたつもりですし、妻も隠し事はしませんでした。
妻が変わってしまったのは近藤の影響だとすれば、妻も自分の信念を曲げるほど、あの男に溺れていた事になります。
仕切りに許しを請う妻を見ていると、初めて人を殺したいと思いましたが、殺したい相手は妻ではなくてあの男でした。
確かに私を裏切ったのは相手の男ではなくて妻なのですが、今までこれだけ愛してきた妻を、今でもこれだけ愛している妻をすぐに嫌いにはなれず、男に強引に誘われて、私しか男を知らない妻は騙されているのだと何処かで妻を庇ってしまい、怒りは相手の男に向けようとしてしまいます。
「今すぐに奴を呼べ。絶対に許さない」
妻は激しく泣き出して、千切れるほど首を横に振っています。
「あなたに嘘を吐いて会った事は、申し訳なかったと思っています。でも彼とはその様な関係ではないの」
「それならどの様な関係だ。今日だけでは無いだろ?ずっと嘘を吐いて、あの男と会っていたな?」
妻はゆっくり大きく頷きます。
「抱かれていたのか?」
これには激しく首を横に振りました。
毎日のように会っていながら、その様な関係が無いなどとは信じられるはずも無かったのですが、ここ数時間の出来事に動揺を隠せず、これ以上自分を見失わない為にも、深くは追求出来ずにいました。
しかし私は最悪の事ばかりを考えてしまい、涙が出そうになっている弱い自分を誤魔化す為に、わざと大きな声を出して叫ばずにはいられません。
「俺の何が不満だ。俺の何処が嫌でこんな裏切りをした」
「あなたに不満なんかありません。あなたは何も悪くない。嘘を吐いていた私が悪いの。でも信じて。彼の相談に乗ってあげたり、彼の愚痴を聞いてあげたりしていただけです」
「ベッドで聞いてあげていたのか?あの男の事が好きになったのか?俺と別れて奴と一緒になりたいのか?」
「そのような事は考えた事もありません。私はあなたが好き。あなたのいない人生なんて考えられない。彼とは本当に何も無いの」
私は半信半疑でした。
私を騙していたのが事実でも、やはりそこまでは妻を疑う事が出来ません。
しかし、初めて嘘をつかれた口惜しい思いから、妻を苦しめる言葉しか出て来ませんでした。
「これからどうする?俺と別れて、奴に拾ってもらうか?違うか。俺が捨てられるのか」
「私が間違っていました。彼とはもう会いません。連絡もとりません」
妻は携帯を出して彼の電話番号を削除しようとしたので取り上げると、通話記録やメールは消されていて何も残っていません。
「証拠は全て消してしまったか」
「証拠だなんて」
私は妻が床に泣き伏したのが気になっていました。
嘘の嫌いな妻が、自分が嘘を吐いて会っていた事に改めて罪悪感を持ったにしても、本当にただ相談に乗っていただけなら、あれだけの泣き崩れかたはしないと思ったのです。
「よい歳の大人が毎日のように隠れて会っていて、ただ話しをしていただけだと言うのか?」
妻は何も言わない代わりに、何度も首を縦にふっていました。
「嘘を吐け。初めて抱かれたのはいつだ?」
最初妻が体の関係を否定した時、私はそれ以上聞くのが怖くて、それで良いと自分に言い聞かせましたが、いくら胸の中に仕舞い込んだつもりでも、やはり気になってしまいます。
「本当に、そのような関係ではありません。信じて」
妻を信じたい気持ちは有るのですが、やはり悪い方に考えてしまい、最悪離婚となってしまった時に、条件が悪くならないように嘘を吐いているとさえ思えてしまうのです。


  1. 2014/05/27(火) 01:50:56|
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夢の中 第2回

結局妻とセックスが出来ず、口では心配してくれているような事を言ってはいても、すぐに眠ってしまった妻が腹立たしくて眠れません。
やはり妻の愛を確認したいのと、自分の妄想が間違っているのを確認する為に、夜中に妻を起こしてまた事に及んだのですが結果は同じで、更にイライラは募ります。
しかし朝になると、不思議と夜考えていたほどの深刻さは無くなり、やはり妻に限って私を裏切る事など有り得ないと思えたのですが、また夜になると同じような苦しみを味わうのではないかと思い、妻に限って有りもしない妄想に脅えて、このまま夫婦が壊れていく恐れがあるのなら、無駄になるのは分かっていても、確かめて自分に納得させた方が良いと思いました。
確かめると言ってもプロに頼むような大げさな事では無く、妻が典子さん達と会うのを一目確認出来れば、私は元の私に戻れるのです。
その日の午後に、入社以来始めて仮病を使って会社を抜け出した私は役所の前で張り込んでいて、沢山の人が出てくる中に妻の姿を見つけ、駅に先回りをしようとした時、有ろう事か妻は駅とは反対の方向に歩き出しました。
当然電車に乗って繁華街で会うと思っていたのですが、妻が歩いていく方向は私の知る限り寂れていくだけで、気の利いた店もありません。
何より典子さんや恭子さんが、車で来ない限り不便で不思議に感じたのですが、それでも妻を信じたくて、この方向に私の知らないお洒落な店でも出来て、そこで待ち合わせているのだと自分に言い聞かせながらついて行くと、妻は五百メートル以上歩いた所にあった、コンビニの駐車場に止まっていた車に乗り込んでしまいます。
私は典子さんか恭子さんの車だと思いたかったのですが、それならこれ程離れた所のコンビニで待ち合わすのは不自然で、何より妻が乗り込む寸前、辺りを見渡す仕草を見せたのが気になり、車のエンジンがかかった瞬間、気が付くと両手を広げて車の前に立ちはだかっていました。
やはり運転席にいたのは近藤で、助手席の妻は顔面蒼白になって固まってしまいましたが、彼は躊躇する事無く降りて来ます。
「奥さんには、いつもお世話になっています」
私には、いつも妻の身体の世話になっているとも聞こえ、思わず胸倉を掴んでしまいました。
私は昔から手が早く、昔を知っている友人達は、まさか私が気の弱い男だとは想像もしていないでしょうが、本当は緊迫した場面にいつまでも対峙しているのが怖く、早く決着を着けたくて先に手が出てしまうのです。
その癖は今でも抜けておらず、私は右手を後ろに引いて殴ろうとしましたが、その瞬間ドアを開けて身を乗り出した妻が叫びました。
「あなた。やめて~」
私が妻の声で我に返って殴る寸前だった手を下ろすと、彼はほっとした表情を見せましたが、何も言葉が出てきません。
しかし私も情けない事に、何か話せば涙が出てしまいそうで話せないのです。仕方なく何も言えずにタクシーを拾ってその場を立ち去りましたが、タクシーの中での私は、殴れなかった自分、何も言えなかった自分、何より泣きそうだった自分が情けなく口惜しくて、身のやり場がありません。
家に戻るとまだ夢の中にいるようで、これが現実に起こっている事とは思えませんでした。
思えないと言うよりも、現実として認めたく無かったのかも知れません。
私は妻を疑いながらも、本当に男と会うなどとは思っていなかったのでしょう。
それで尾行をしている時も、探偵にでも成った気分で少し楽しくさえ感じていました。
私はただ妻が友人達と会っているのを確認して、妻を信用し切っていた元の私に戻りたかっただけなのです。
いつしか涙が毀れてきて、また嫌な妄想に苦しめられていました。
私に彼との秘密を知られた妻は、もう帰って来ないかも知れません。
それは私に対する罪悪感から、顔を合わす事が出来ないという思いからでは無くて、家に戻れば愛する彼との仲を引き裂かれるかも知れないという思いからだとすれば、今頃は彼に抱き付いて激しく唇を貪っているでしょう。
しかしこのまま家庭や職場を放棄して逃げる訳にもいかず、そうなると妻に男気を見せたい彼が一人で来るかも知れません。
その時玄関の開く音が聞こえたので彼が来たと思った私は、弱い男を見られたくなくて、慌てて顔を洗いに行って戻ってくると、妄想は外れていて妻が一人で立っていました。


  1. 2014/05/27(火) 01:49:25|
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夢の中 第1回

高校の2年の時、同じクラスになったのを切欠に付き合い始め、21歳の時に妻が妊娠。
妻は短大を出て働いていましたが、私は学生だったので親に無理を言ってお金を借り、入籍して一緒に暮らし始めて早や25年。
当時妻は妊娠、出産、育児と慌しく、私もまた学生を続けながら休日や夜間はバイトをし、就職活動、就職と忙しい日々で、甘い新婚生活とは程遠い暮らしを送っていました。
その後もすぐに2人目が出来た事で、ずっと子供中心の生活を送ってきたのです
が、子供達が大きくなるに連れて2人の時間も増え、昨年下の息子が私達の手を離れて2人だけの暮らしになった頃には、当時出来なかった事を取り戻すかのように休日には2人で出掛け、平日の夜も時間の合う日は仕事帰りに待ち合わせて、食事をしたりするようになりました。
夜の生活も若い新婚夫婦のようにはいかないまでも、月に1度するかしないかに減りつつあったのが徐々に増えて、週に1度はするようになっていて、他の日でも眠る時にはどちらからとも無く手を繋ぐなど、周りの人には恥ずかしくて言えないような生活を送るようになっていました。
特に妻は完全にその気になっていて、セックスの時以外はしなくなってしまっていたキスを度々せがんで来るようになり、私はその度に妻を強く抱き締めてそれに応え、そんな妻が可愛くて仕方ありません。
ところが2人だけの暮らしになってから3ヶ月ほど経った頃、会社から帰ると玄関に男物の靴が置いてあり、それを境に妻が徐々に変わっていってしまうのです。
「近藤と申します。図々しくお邪魔してしまって、申し訳ございません」
私は彼と初対面でしたが、初めて会ったような気がしません。
それと言うのも、妻は役所に勤めていますが彼とは1年前から同じ課で働いていて、妻の話によく出て来ていた男だったからです。
確か年齢は私達よりも10歳下で、子供が2人いると聞いたことがあります。
2人は深刻そうにしていたので私は席を外しましたが、彼が帰った後の妻の話によると、彼の奥さんが浮気をして子供を連れて実家に帰っているので、その相談に乗っていたそうです。
「離婚は決まっているのだけれど、条件で揉めているらしいの」
その後の妻は頼られたのが嬉しいのか、彼に没頭して行ってしまいます。
「今夜待ち合わせて、映画でも観ないか?」
「ごめんなさい。近藤君が苦しそうだから、今夜愚痴を聞いてあげようと思って」
それは平日だけでなく、世話を焼けなくなった子供達の代わりを彼に求めているかのように、休日までも会うようになって行きましたが、年齢が離れている事や彼と会う時は私に必ず言っていくことから、浮気などは全く疑いませんでした。
しかしそれは、次第に後輩の相談に乗ると言う範囲を超えていきます。
「今日は彼の家に行って、食事を作ってあげたの」
「一人暮らしの、男の家に行ったのか」
「もしかして妬いているの?彼とは10歳も違うのよ。私のようなおばさんを相手にする訳が無いじゃない。外食ばかりだから、たまにはと思っただけ」
あまりに明るく笑う妻を見て、少しでも疑った自分を恥じましたが、そのような事が1ヶ月ほど続いた頃、妻の口から彼の話が出る事はピタリと無くなりました。
「近藤君はどうしている?もう相談に乗らなくても良くなったのか?」
「話が拗れていて、専門家に頼んだみたい。そんな暇も無いらしいから」
しかし妻は、残業になったとか友達や同僚と食事に行くとか色々な理由をつけて、私と待ち合わせて食事をする事もなくなり、帰宅時間もかなり遅くなる日が増えたのです。
勿論今までにも友人と食事をして来るぐらいの事はあり、残業で遅くなる事もあったのですが、このように頻繁に遅く帰る事は初めてで、私は心配で仕方がありません。
出産育児で若い時に遊べなかった妻を可哀想に思っていた私は、妻が楽しければ遅くなる事は構わないのですが、その頃から元気が無くなり、時々何か考え込んでいるようだったので心配になったのです。
「あなた。私のこと好き?私はあなたが大好きよ」
「急にどうした?最近何か変だぞ」
休日も私と話しているときは笑顔なのですが、注意して見ていると、時々家事の手を止めて考え込んでしまうなど、明らかに妻の様子が普通ではありません。
しかし相変わらずセックスもあり、キスをせがんで来るのも変わらなかったのでやはり浮気などは疑いませんでしたが、妻を注意深く見るようにはなりました。
「何か心配な事でもあるのか?」
「どうして?何も無いわよ」
いつも妻は微笑みながら答えますが、無理に笑顔を作っているのが分かります。
「明日、典子と恭子が旅行の相談に来るの」
この2人は妻の高校の時からの親友で、同級生だった私も勿論よく知っていて、私達に影響された訳でも無いのでしょうが2人共結婚が早く、3人の内の一番下の子供が高校を卒業した昨年から、安い旅館や民宿などを探して3ヶ月に一度は旅行していました。
その旅行が来週末に迫っていて、比較的近くに嫁いでいる2人はその打ち合わせに来るとの事なので、私はこの旅行が良い気晴らしになって、元の妻に戻ってくれる事を期待したのですが、この時は楽しそうに話していた妻も、旅行から帰って来ると更に元気が無くなり、私を避けるようになってしまいます。
「今夜いいか?」
「ごめんなさい。旅行の疲れがとれなくて」
妻が離れていってしまうような気がして連日誘うと、妻の答えは同じなのですが、疲れていると言いながらも遅く帰るのは変わりません。
「旅行の清算もまだなので、明日は典子達と食事をして来るので遅くなります」
会って食事をしてくるのは構わないのですが、今までなら全て旅行の帰りに清算していて、帰って来てから清算するなど聞いた事がありません。
「本当に典子さん達と会うのか?」
疑われた妻の気持ちを考え、妻に限って浮気は有り得ないと打ち消していた私も、流石に疑う様な言い方をしてしまいました。
「本当よ。他に誰と」
私は妻に明るく笑い飛ばして欲しかったのですが、妻は小さな声でそう答えた後、辛そうな顔をして俯いてしまいます。
「今夜はどうだ?」
そのような妻を見ていると更に心配になり、疑念を振り払いたくて誘ってみると、意外にも妻は首を縦に振ったのですが、今度は私がその気になれません。
それと言うのも、気の弱い私は嫌な方へ、嫌な方へと考えが向かってしまっていたのです。
妻はあれからも近藤と会っていて、既に体の関係もあるのかも知れません。
初めて私以外の男を知った妻は、彼に溺れてしまっているのかも知れません。
最初は私以外の男に興味があっただけの妻も、何度も抱かれている内に心まで奪われてしまったので、私に疑いを持たれる危険を冒してまで、連日のように会いたいのかも知れません。
そう考えると、私が疑っていると感じて誤魔化す為にOKしただけで、本当は私とセックスなどしたくないのかも知れません。
完全に妄想の世界に入ってしまっていた私は、彼が白くて小柄な妻を組み敷いている姿までもが浮かび、自分の勝手な妄想で勃起する事は無く、吐き気まで催してしまう有様です。


  1. 2014/05/27(火) 01:47:54|
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本当の妻 第11回

妻が戻って来ないので寝室に行くと、妻は息子の隣で眠ってしまっている。
すぐに叩き起こそうと思ったが、その時初めて妻の姿を痛々しく感じた。
いつも綺麗に化粧がされていた顔は泣き過ぎて目が腫れ上がり、自慢の長い髪は私に切られて無残な状態になっている。
その様な寝顔を見ていて、妻は今まで幸せだったのだろうかと考えた。
常務の愛人になるまでは、社長の娘として何不自由無く育ち、おそらく幸せだったに違いない。
しかし、常務の愛人にされてからも幸せだったのか。
常務の手によって女にされ、ずっと辱められてきて幸せだったのか。
女の喜びを嫌と言うほど教え込まれ、身体は喜んでしまったかも知れないが、妻自身それで幸せだったのだろうか。
妻にも将来の夢はあったはずで、その夢は愛人として暮らす事ではなかったはずだ。
常務の辱めによって身体は反応してしまっても、気持ちは拒否し続けていたに違いない。
私には経験のない世界だが、自ら喜んで身体を開く女よりは、気持ちは拒否していても身体が受け入れてしまう女の方が興奮するのだろうと想像出来る。
そうだとすると、妻はいつまでも気持ちが拒否していたからこそ、常務には手放す事の出来ない堪らない存在だったに違いない。
妻の両親がそうだったように妻も私と結婚した時に、これで人並みの幸せを掴めると思ったとすると、結婚してからは私に対する罪悪感も加わって、更に心は常務を拒否していただろう。
しかし、いざ行為に及ぶと身体は感じて受け入れてしまう妻は、常務にとって今までに以上に魅力的だったに違いない。
この時、私の中に2人の私がいる事に気付く。
私を騙し続けた妻を許せない私と、妻を哀れに感じて妻の恨みも晴らしたい私。
翌日出社すると私が常務を殴った噂は広がっていて、誰一人として私には近付いて来ない。
その様な状況の中、常務の部屋には行き難くなって躊躇っていると、逆に常務から部屋まで来るように呼び出しを受けた。
「考えてくれたか?もうこの辺にしておけ」
「いや、慰謝料はあと七百万の合計1千万」
常務は私を睨みつけたが、次の言葉で表情が弛む。
「それと、今度の土曜日から次の日曜日までの一週間奥さんを借りる」
普通はこの条件が一番嫌なはずだが、妻が言っていた様に普通の夫婦関係ではないのか、常務は笑みまで浮かべた。
「分かった。これで和解だ。金は来週中にでも用意するから、女房の機嫌が直るように精々サービスしてやってくれ」
常務はこれで全て終わると思っているようだが、私の恨みはその程度の物ではない。
第一奥さんは常務よりは可也若いと聞いているが、子供の歳からいっても50は過ぎているはずだ。
その上、乳房は大きくても写真を見る限りお腹にも肉が付いていて、お世辞にもプロポーションが良いとは言えない。
そのような奥さんが、妻を玩具にされた代わりになどなるはずも無い。
私のような者が経験豊富な奥さんを、どこまで虐める事が出切るか分からなかったが、先ずは奥さんを辱めたかったのと、それと同時に妻を試してみたかっただけなのだ。
本当は常務夫妻を無茶苦茶にしてやりたかったのだが、息子の為に犯罪行為は避けようと思った時、思い付いたのがこれだった。
「一週間常務の家を借りるので、その間ホテルにでも泊まって絶対に帰って来ないでくれ」
「香織は、いや香織さんはどうする?」
やはり常務は食い付いて来た。
「実家に行ってもらう」
常務が私の目を見たので、私はわざと微笑んでやった。
「身体が疼いてしまって仕方がないようだから、実家で監視していてもらわないと」
「そうか。そうか」
勘違いした常務は何度も頷いていた。
土曜の夕方、妻を実家に送ってから常務の家に行くと、約束通り奥さんだけが待っていた。
「先日は失礼しました」
奥さんは着物を着ていて、今まで何事も無かったかのように優しく微笑み掛けてきた。
「もう済んだ事は言わないの。それよりも冷めてしまうから食事にしましょう」
玄関に鍵を掛けた奥さんに案内されて客間に行くと、そこには既に鰻重が用意されていた。
「一週間も一緒に居るのだから、沢山食べて精力を付けてもらわないと」
食事が終わるとシャワーを浴びるように勧められ、シャワーを浴びて出ると着て来た服は全て片付けられていて、小さなビキニパンツが一枚置いてある。
「本当に香織さんの事は悪かったわ。今から一生懸命償うから許してね。さあ、マッサージをしてあげるから来て」
奥さんに案内された部屋は和室で、部屋の中央に敷布団だけが敷かれていた。


  1. 2014/05/27(火) 01:45:08|
  2. 本当の妻・加藤
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本当の妻 第10回

その夜私は、今後の人生をどうするか必死に考えた。
私の受けた屈辱にはとても見合わない額の慰謝料を貰い、プライドも何もかも捨てて出世をとるのか、または人生を捨てて徹底的に裏切った奴らを叩くのか。
当然後者をとりたいが、その場合息子の事だけが気掛かりだ。
何があっても、息子の幸せだけは守りたい。
私には、もう息子しか残っていない気がするから。
そうやって息子の事を考えていると、不思議な事に気付いてしまう。
私がこんな会社に就職していなければ奴らに関わる事も無く、こんな惨めな気持ちは味わわずに済んだ。
しかしその場合妻とは知り合う事は無く、私の大好きな息子はこの世に生まれて来なかった。
常務が妻に目を付けずに愛人にもしなかったら、高嶺の花の妻とは結婚どころか付き合う事もなかっただろう。
この場合も、息子がこの世に出る事は無かった。
結局私が屈辱感で気が狂いそうになる事全てがあって、息子は私の子供としてこの世に生を受けた。
私が自分の人生を悔やむ事は、息子の存在を悔やむ事。
私が妻の人生を否定すれば、息子の存在を否定する事。
息子の将来を考えれば、私さえ我慢すれば済む事だと思った時、伊藤部長の言葉が頭を過ぎる。
『男としては勝ち組どころか、最低な男に成り下がってしまったな』
やはりこのまま常務の飼い犬になる事は、男のプライドが許さない。
そうかと言って、やはり息子だけは何とか幸せにしたい。
私はどうしたら良いのか分からずに、その苛立ちは妻に向かう。
「裸になれ!返事は!」
「はい」
妻は裸になったが、何をされるのか分からずに震えていた。
こうやってよく見ると、夫の私が言うのもおかしいが、妻は子供を生んだとは思えないような綺麗な身体を保っている。
今までならそれが私の自慢だったが、今はその容姿が恨めしい。
これがなければ、常務もここまで妻には執着しなかっただろう。
「香織は淫乱な女だろ?」
妻は乳房と下腹部を手で隠しながらすすり泣く。
「何度言ったら分かる!返事は!」
「・・・・はい」
「そうか。淫乱か。それならそろそろ男が欲しい頃だな。返事は!」
「はい・・・・はい・・」
「このままだと、また常務の所に行ってしまいそうだろ?」
「何があっても、もうあなたを裏切りません」
私は立ち上がると妻の所まで行って、短くなったボサボサの髪を掴む。
「俺が許可した時以外、香織が言えるのは『はい』だけだと言ったのが分からないのか。もう出て行け!」
妻は髪を引っ張られながらも、部屋から出されないように腰を引いて抵抗した。
「このままでは我慢出来なくなって、淫乱な香織はまた常務に抱かれてしまうな」
「はい・・・・・・・・・・はい・・・」
自分で肯定する返事を強要させておきながら、例え裸で叩きだされようとも、何故否定しないのかと怒りは増す。
「欲求不満で常務の所に行ってしまわないように、そこで立ったまま自分を慰めろ」
妻は一瞬泣き止んで、また椅子に座った私を驚いた顔で見詰めていた。
「オナニーしろと言っているんだ。早くしないか!返事は!」
「・・・・・・・・はい・・・・」
妻は恐る恐る胸を隠していた手で乳房を揉む。
「そんなので香織は満足出来るのか?」
この様な心理状態の時に、自分で触りながら感じるのは普通無理かも知れない。
しかし妻は、常務や奥さんにもっと酷い辱めを受けながら達したはずだ。
「俺に見られていては感じないか?これが常務の前なら感じるだろ。あと10分で達しなければ、仁をおいて出ていけ」
妻は恥も外聞もなく、指を舐めるとクリトリスを擦り出す。
「あと5分だ」
妻は縋る様な目で私を見ながら、必死に指を動かしていたが、喘ぎ声一つ漏れて来ない。
その時ドアの向こうで息子の泣き声が聞こえた。
「仁が」
息子も子供ながらに、何かを感じとっていて熟睡出来ないのかも知れない。
私が頷くと妻は急いで下着を着けて、ドアを開けると抱き付いて来た息子を強く抱き締める。
「寝かせてやれ」
妻に何をさせたいのか自分でも分からない。
このような事をして何になるのか分からないが、とにかく妻を虐めたかった。
常務がした以上に、妻を汚してしまいたかった。


  1. 2014/05/27(火) 01:43:52|
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本当の妻 第9回

常務は暫らく考えてから大きな溜息をつくと、銀行の封筒をテーブルの上に放り投げた。
「100万有る。これで全て忘れろ」
「たったの300万で終わりにしろと?」
「これ以上強請る気なら、あとは弁護士に任せる。そうなるとこちらも、暴行で訴える事になる。これで終わりにするのがお互いの為だ」
常務は立ち上がると、部屋を出て行こうとした。
「どうせ終わった人生だ。訴えるなら訴えろ。必ずお前も道連れにしてやる。ただ訴えるならもう一つ、名誉毀損も付け加えてくれ。女子社員を10年間弄んだ変態重役夫婦。仕事を餌に、納入業者の娘を10年に亘って弄び続けた変態重役夫婦。いかにも週刊誌が喜んで飛びつきそうだ。あんな写真が週刊誌にでも掲載されれば、会社の連中だけで無く、嫁いだ娘や息子も驚くぞ。息子は確か国家公務員だったか?」
「脅迫する気か!」
「ああ、脅迫でも何でも出来るさ。もう人生を捨てたから」
常務は戻って来て座りなおすと、煙草に火をつけて大きく吸い込んだ。
「いくら欲しい?」
最後はお金で決着を付けるしか無いのかも知れない。
しかしそれだけでは、私の気が収まりそうもない。
「逆に常務が俺と同じ様に人生を弄ばれたとしら、慰謝料はいくら欲しい?300万か?」
沈黙が続き、私が100万円をポケットに捻じ込んで帰ろうとすると、玄関で待っていた奥さんが抱き付いてきた。
「酷い事をしてごめんなさいね。主人が社長になれたら、あなたも取締役にしてもらうから機嫌を直して、これからは私達と楽しくやっていきましょう」
それは私が知っている優しい顔の奥さんだった。
「もう一度上がって」
耳元でそう囁くと、私の股間を弄ってくる。
背後に人の気配がしたので振り返ると、常務が笑みを浮かべて立っていた。
「これからは4人で・・・・・・」
やはりこの夫婦は、普通では無い。
「悪いが俺は、牝豚と組む気はない」
「あなた、この男を潰してやって!」
奥さんの目は吊り上がり、私を突き飛ばすと奥の部屋に消えていった。
「女房が言ったように君の出世は約束する。今迄通り俺と組め。女など他にいくらでもいるじゃないか」
戻って来た奥さんは余程悔しかったのか証拠が増える事も気にせずに、数枚の写真を投げ付けてきたが、軽くて私までは届かずに目の前に落ちた。
「私が牝豚なら香織はなんだい。これを見てごらん。これが香織の本当の姿さ」
あの上品で優しかった奥さんとは言葉使いも変わり、顔付きまで違って見える。
私は写真を拾ったが、どの写真も目を覆いたくなるような物ばかりだ。
しかも常務と奥さんは全てカメラ目線で、まるで記念写真でも撮ってもらっているかのように楽しそうだった。
家に帰って、心配そうに待っていた妻の前に写真を並べると、見せられた事が有るのか、すぐに俯いてしまう。
「これは何をしているところだ?」
椅子に座った常務の股間に、顔を埋めている写真を指差して言うと、一瞬顔を上げて見たものの、また俯いてしまって何も言わない。
「何をしている写真なのか聞いているだろ!」
「それは・・・・・・・」
「もういい!出ていけ!」
「それは・・・・おフェラさせられている・・・・・・」
「これは!」
「それは奥様に・・・・お尻を虐められて・・・・・・・・・」
「これは!」
妻はまた俯いてしまって見ようともしないので足を蹴って、目の前に写真を突きつけて聞く。
「それは・・・・・・・・もう許して」
「許さない。これは何だ!この尻尾のような物はなんだ!」
「それは・・・・お尻用の・・・・・・・・おバイブ・・・・・」
常務か奥さんに教え込まれたのだろうが『おフェラ』とか『おバイブ』という言い方が、私の怒りに拍車をかける。
「明日にでも香織の実家に行って、会社と引き換えに娘が何をされていたのか見せてやる」
「許して。誰にも見せないで」
「そうはいかない。お前の親だけでなく、週刊誌にでも売って世間の奴らにも見てもらうつもりだ」
「そんな酷い事・・・・・」
「俺にしてきた事とどちらが酷い事だ!香織が俺に言えるのは『はい』だけだ!」
「お願い、許して下さい」
私は妻の短くなった髪を掴んで、部屋中を引き摺り回していた。
「痛いです。もうやめて。逆らいませんから、もうやめて」
「そう言いながら、逆らっているじゃないか。今後『はい』以外は言うな!」
「・・・はい・・・・・・はい・・・・」
その時常務から電話が入る。
「もういいだろ。あれから家内が荒れて手が付けられない。あと3百万払うから、家内を侮辱した事を誤ってくれ。君の出世も約束する」
受話器の向こうではガラスの割れるような音が聞こえ、常務の家庭での力関係が分かる。


  1. 2014/05/27(火) 01:42:33|
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本当の妻 第8回

本当に哀れな親子だと思ったが、一番哀れなのは私なのだ。
「俺も人の子の親だから、親の気持ちは多少なりとも分かるつもりだ。お金などいくら貰っても気が済まないが、それしか方法が無いのなら1億で泣いてやる。すぐにとは言わない。1ヶ月待ってやるから1億持って来い。それで香織とは離婚してやる」
「1億?そんな無茶苦茶な。1億なんて払える訳が無い」
「ほーう、これが無茶だと言うのか?娘の身体と引き換えに、自分の会社を残す事より無茶な話しか?1億払えば離婚してやるし、仁を時々香織に会わせてやる。ただし仁には、香織がどの様な母親だったか絶えず聞かせて育てるから、大きくなった仁が会いたくないと言い出せば会わせられないが」
「いやー、許して。仁に話すのだけは許して。私はここに残ります。何をされても文句は言いませんから、どうかここにおいて下さい」
「香織もこう言っていますから、もうお引取り下さい」
「このまま娘を残して帰れない!」
泣いていた義母はそう叫んだ。
「そんなに心配ですか?高橋に娘を差し出した奴が、今更親の振りなんかするな!」
義母は義父に、引き摺られるようにして帰って行った。

常務の家に行くと、何処にも出かけずに待っていた。
「加藤君、すまない。私も充分に反省しているから、これで気を静めろ」
いきなり常務はテーブルの上に、輪ゴムでとめた1万円札の束を置く。
「ふざけるな!」
「今日ロビーで起こった事は、警察沙汰にはしない。会社の方も、必ず私が何とかする。来年には、君を部長にと思っている。銀行が閉まっていて100万しか用意出来なかったが、もう100万払うから、何とかそれで気を静めてくれ」
常務にとって200万など、痛くも痒くも無いのだろう。
社長の座を狙っている常務にすれば、私に騒がれるのは得策では無く、早くお金で解決したいに違いない。
私もこのままではクビになるのは確実で、ただでさえ息子の年齢からすると親権をとる事は難しいのに、裁判にでもなれば職を失った私には無理だろう。
下手をすれば、何もかも失ってしまう。
私は100万を掴むと家に帰り、翌日会社の常務の部屋で残りの100万も受け取った。しかし常務に対する復讐心が、こんな事で消えるはずが無い。

結婚式で壇上に座った4人の内、私だけが何も知らずに感激して涙を流していたのだ。
「領収書を書け」
私がお金を受け取った事で、これで全て終わったと思っているのか、昨夜とは明らかに態度が違う。
「常務もこれが慰謝料だと分かるように、詫び状を書いて下さい。後でお金を盗まれたとか、脅し取られたと言われても嫌ですから」
「俺がそのような事をするか!」
「いや、分かりません。何しろ常務は嘘が上手くて、他人の人生など何とも思っていない、人間として最低最悪なスケベ親父ですから」
「何だと!」
領収書と詫び状を交換すると、常務の顔付きが更に険しくなる。
「但し書きの、慰謝料の一部を受け取りましたとは、どう言う意味だ」
「その通りの意味ですよ。まだ私は部長に昇進させてもらってはいないし、何よりこれは常務からの慰謝料で、奥様の分はまだですから」
「どうして女房までが慰謝料を・・・・」
「惚けないで下さい?何なら他の重役連中もここに呼んで、変態夫婦だと教えて差し上げましょうか?」

私は思い切り強くドアを閉めて外に出た。
家に帰ると妻はボサボサな髪のまま、化粧もせずに一日中家にいたようだ
「誰も来なかったか?」
「父と母が・・・・・」
「娘を売るような親を家に入れたのか!金輪際あいつらとは会うな。分かったか!」
「はい」
「必要な物は俺が買ってくるから、許可した時意外、絶対にこの家からから出るな!俺の許可なしに、今後誰一人この家に入れるな」
「はい」

常務の家に行くと、常務は怖い顔でいきなり怒鳴った。
「お前の望みは何だ!」
「私の人生を弄んだ責任をとって貰いたいだけです」
「200万払って責任はとったはずだ!」
「だから、それは常務からの慰謝料で、奥様の分がまだ・・・・・・・・」
その時奥さんが、お茶を持って入って来た。
「この度は主人が申し訳無い事を致しました。私からもお詫び致します」
あくまでも惚けて終わらせる気だ。
「香織さんが何を言ったのか分かりませんが、今は動揺していて正常では無いでしょうから、香織さんを責めないでやって」
「奥さんは赤い革の下着がお似合いで」
奥さんの顔色が変わる。
「香織さんは、そんな妄想を・・・・・」
「すると、あの写真も合成写真かな?一度専門家に調べてもらいます」
「写真?」
2人は声を揃えてそう言うと、顔を見合す。
「ええ、奥さんは乳房も大きいが、乳首も可也大きいのですね」
奥さんは何も言わずに、部屋を飛び出して行った。


  1. 2014/05/27(火) 01:41:15|
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本当の妻 第7回

妻の告白を聞き終えた私は、不思議な興奮に包まれていた。
しかしそれが怒りから来るものなのか、性的興奮なのかは分からない。
その後奥さんは月に一度来るか来ないかだったそうだが、来た時は朝まで寝かせてはもらえず、2人がかりで責め貫かれたと言う。
「常務に後ろもやられたのか!」
「それは無かったです。彼はそこが・・・好きではなかったから」

こんなに裏切られ続けていても、ほっとしている私がいた。
しかし冷静になると、やはりあの優しそうな奥さんからは想像出来ず、このような趣味があるとは到底信じる事が出来ない。
「この話は本当か?奥さんに知られるのが嫌で、常務にそう言えと言われているのではないのか?」
「本当です。もう、あなたに嘘は吐きません」
妻は部屋を出て行くと、暫らくして1枚の少し色褪せた写真を持って来た。
その写真には、見覚えの有る常務の奥さんが、先が丸く開いた赤い革のブラジャーから、大きくて黒い乳首を出し、お揃いの赤い革のパンティーを腹に食い込ませて、笑顔で椅子に座っている。
足元には、片足を背中に乗せられた全裸の妻が蹲っていて、もう一方の足の指を舐めているようだ。
「まだ新婚の時に、この家で撮られた物です。何枚か撮られて、1枚落としていった物を、隠して持っていました」
「何も証拠を残さなかった香織が、どうしてこの写真だけは処分せずにとっておいた?」
「分かりません。何故か持っていようと思ってしまって」

最悪の事態を想定して、自分でも気付かぬ内に何か役に立つかも知れないと思い、大事に隠し持っていたのだろう。
妻の聞いた話では、妻とこの様な関係になる前から高橋にはSの気があり、奥さんと普通のセックスはしていても、奥さんもSだった為に他のプレーは出来ず、その欲望はSMクラブなどに行って発散していたらしい。
その代わり奥さんには、そこで知り合ったMの男を紹介したりして、別れる事無く夫婦のバランスを保っていたのだ。
「結婚してから、奥さんもこの家に来た事があるのか?」
妻は大きく頷いた。

子供が生まれてからは、子供が途中で泣いたりして集中出来ないからと、実家に預けるように言われて主にラブホテルで抱かれたが、奥さんが加わる時は3人でラブホテルに入るのは気が引けるのか、常務の家や我が家までも使っていたようだ。
「本当に脅されていたから、嫌々抱かれていただけなのか?香織もそうされたいと思った事は一度も無いのか?」
妻は返事もせずに涙ぐむ。
「それなら質問を変えるが、香織は抱かれていて気持ちよかったか?もっとして欲しいと思った事は無いか?」
「毎日が辛かった。あなたの出張が近付くと怖かった。あなたを思うと、苦しくなりました。でも・・始まってしまうと・・・・・・・・・・・」

朝になると義父と義母が息子を連れて来たが、私は言葉を交わすことも無く、会社に向かった。
会社に着くと、たまたまロビーにいた部長が声を掛けて来た。
「出張の予定は明後日までだろ?」
その時高橋常務が、運転手に鞄を持たせて入って来たが、私を見つけると避けて通り過ぎようとしたので、駆け寄って前に立ちはだかる。
「加藤君!・・・・・・頑張っているか?何とか君が、早く部長になれるように」
その時私は握り締めていた拳で、思い切り常務を殴ってしまう。
「何をしている!気は確かか!」
慌てて部長と運転手が止めに入ると、常務は余裕がある振りをして起き上がる。
「放してやりなさい。加藤君は何か勘違いをしているようだ」
部長の手が弛んだ隙にもう一発殴ると、呆気に取られて声も出せなかった、受付の女子社員の悲鳴が聞こえた。
「今夜お前の家に行く。俺の人生を弄んだケリをつけてやる」

サラリーマンにとって、上司を殴る事など御法度中の御法度だ。
この会社での私の居場所は、これで無くなってしまった。
家に帰ると義母の知り合いの美容師が、妻の髪を直していた。
私がこれほど苦しんでいるのに、その事がまた私の怒りに火をつける。
「悪いが帰ってくれ」
私は美容師を押し退けると綺麗に纏まった髪を、また無茶苦茶に切り刻む。
訳が分からない美容師は立ち竦み、この異様な光景を見て泣き出した。
義母も泣きながら美容師を玄関まで送ったが、義父は何も言えずに俯いている。
「また髪を綺麗に直して、高橋に会いに行く気か!お前達も会社の為に、また香織を差し出すつもりだろ!」

妻が泣き崩れると、義父が重い口を開く。
「もう、そのような事は絶対にしない。頼むから、香織を解放してやってくれ。君の思うだけの慰謝料は払うから・・・・・頼む」
大柄な義父の体が小さく見えた。


  1. 2014/05/27(火) 01:40:05|
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本当の妻 告白と想像 第6回

指先を少し入れられてしまい、妻は何とか逃げようとするが、縛られていてはどうにもならない。
「そこは嫌。そんな酷い事しないで」
「酷い事?酷い事かどうか、すぐに分かるわ。その前に中を綺麗にしましょう。ウンチが付いてきては、香織も恥ずかしいでしょ?」
指が抜かれ、肛門に冷たい物が当たったと思ったら、徐々にそれは中に入って来た。

「なに?いや、いや」
「騒ぐと、また猿轡をするわよ。もう諦めて力を抜くの」
今度は冷たい液が入って来て、お腹が膨れていくような感覚に襲われる。
「ほら、もう入ってしまったわ。もう一本入れるから、用意が出切るまで漏らさないように、もっとアナルを締めて」
また入れられると奥さんにお腹を擦られ、妻は必死に肛門を閉めて、出してしまいたい気持ちと戦っていた。
「触らないで。お願いロープを解いて。もう駄目、もう駄目」
「何を甘えているの?まだまだ我慢してもらうわよ。でもここでされては大変だから、これを嵌めてあげるわ」
肛門に唾液が垂らされ、何かが入って来て栓をされたようだったが、お腹の苦しさは変わらない。

「苦しい。もう許して」
「まだ2分しか経っていないのよ。あと8分は我慢しなさい。そうだ、気を紛らわせる為に、主人のオチンポでも咥えてみる?あなた咥えさせてあげたら。どうせ、もう大きくしているのでしょ?」
顔の前に座った高橋に、無理矢理オチンチンを咥えさせられたが、お腹が苦しくて、いつものように舌を使う余裕など無い。
妻は出したいのに出せない状態に耐え切れず、ついオチンチンに歯を立ててしまった。
「痛い!恵子、もう限界のようだぞ」
「あなたは優しすぎるわ。そういう事をした時は、こうやって身体に教え込ませなきゃ駄目」
奥さんは妻のお尻が赤くなるほど、平手でピシャピシャと叩き続ける。
「痛い!もうしません。お願いですから、叩かないで。もうお腹が苦しくて我慢出来ません」
「痛いとか苦しいとか言いながら、これは何かしら?」
奥さんが指にすくい取って、妻の背中に塗り込めたのは、妻の太腿を伝う愛液だった。
「こんなに濡らしておきながら、本当に反省しているのかしら」
ようやく妻は脚や身体にかけられていたロープを解かれたが、背中に回した腕のロープだけは解かれずに、その縄尻を奥さんに持たれていた。

「あなたも見に来たら?」
「俺はやめておく。そんな物を見たら減滅して、立つ物も立たなくなる」
「本当にあなたは、このプレーが嫌いなのね」
トイレに連れてこられた妻は、奥さんに肛門の栓を外された。
「まだよ。私が出しなさいと言うまでは、決して出しては駄目よ」
「もう、だめー。見ないでー」
「あらあら、だらしのないアナルだこと」
手のロープを解かれた妻は、風呂場で四つん這いにさせられて、奥さんにシャワーで肛門を洗われてから、ベッドで仰向けに寝て待っていた、高橋のオチンチンを咥えさせられていた。
その後ろでは奥さんが、妻のオマンコに指を入れ、愛液をすくい取っては肛門に塗って揉み解していく。

「もうそろそろ良いわ。香織、アナルの力を抜きなさい」
肛門に何かが押し当てられたと思ったら、それは徐々に中に入って来た。
次の瞬間それは振動を始め、奥さんはオマンコの中に指を入れて、内側からそれを擦る。
「なに?もしかして、いってしまったの?初めてアナルを責められて、いってしまう女なんて初めて見たわ」
妻は2人に笑われながら快感の余韻に浸っていたが、奥さんにピシャリとお尻を叩かれた。
「いつまで休んでいるの。早く主人のオチンポを咥えなさい。主人がいくまでは、何があっても口から離しては駄目。今度今みたいに離したら、また恥ずかしい格好に縛るわよ」
妻が慌てて口に含むと、お尻に入れられていた物が、また振動を始めた。
「今度はオマンコにもバイブを入れてあげるから、もっとお尻を上げなさい。頑張って主人をいかせないと、いつまでも終わらないわよ」
妻は何度崩れ落ちても、また縛られるのが嫌で絶対に口から離さなかったが、その度に奥さんは、わざと大きな声で笑って冷やかした。

「香織はよほどオチンポが好きなのね。あんなに激しくいってしまっても、オチンポを咥えたままなんて」
結局フェラではいかせる事が出来ずに、奥さんに脇を抱えられると高橋の上に乗せられて、自らの手でオマンコにオチンチンを収めさせられ、後ろから奥さんに乳首とクリトリスを虐められながらいかされてしまう。
それでも2人の辱めは終わる事無く、オチンチンを収めたまま下から高橋に抱き付かれ、奥さんには肛門を弄ばれ続けて、何度と無く断末魔の悲鳴にも似た声を上げながら朝を迎えた。


  1. 2014/05/27(火) 01:38:37|
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本当の妻 告白と想像 第5回

関係していた期間は余りにも長く、逃げるチャンスが全く無かったとは思えない。
妻が何と言い訳しようと、高橋との行為に惹かれていた事も事実だろう。
私に見せていた顔は作られた顔で、高橋に見せていた顔が本当の妻ではないかと思うと、妻が少し哀れに思えても、私の怒りが治まる事は無い。

「奥さんにも全てぶちまけて、常務の家庭も無茶苦茶にしてやる」
「それは・・・・・・・奥様も・・知っています」
「知っている?知っていて、このような事を許していたと言うのか?」
「許していたと言うより・・・・・時々奥様も・・・・・・・」
妻の告白は、耳を疑うものだった。
奥さんも高橋と一緒に、妻を辱める事があったと言う。
常務の奥さんの事は、仲人だった事も有って私も良く知っているが、太っていて、いかにも人の良さそうな奥さんまでもが、そのような行為をしていたとは信じ難く、妻に詳しく話させる。

マンションで会うようになって半年ほど過ぎた頃、いつものように先にマンションに行って待っていると、高橋は奥さんと現れた。
妻は訳が分からず、奥さんに泣いて謝り続ける。
「女房に知られてしまった。女房は可也怒っていたが何とか宥めた。ただ許してもらう条件が、香織を一晩好きにさせてやる事だったので連れてきた。今夜は女房に逆らわず、思い通りにさせてやってくれ」

奥さんは妻に駆け寄ると抱き締めて、優しくキスをしてから頭を撫でる。
「泣かなくても良いのよ。今夜は私が慰めてあげるから。さあ、服を脱ぎましょうね」
何が起こったのか分からずに、頭が混乱していた妻をパンティー1枚の姿にして、今度はロープを持って来た。
高橋には度々縛られていた妻も、奥さんにそのような行為をされる事が信じられずに抵抗すると、それを助けるように高橋が後ろから押さえ込む。
結局妻は、2人の手によって仰向けで脚を胸に付けた格好に縛られて、騒がないように猿轡までされた為に、唯一自由に動く目で縋るように奥さんを見た。

しかし奥さんは笑みまで浮かべ、そんな妻に見せ付けるかのように妖しく身体をくねらせながら、ゆっくりと服を脱いでいく。
下着だけになった奥さんは、黒く光沢のある革のパンティーとブラジャーを着けていて、それが太った身体に食い込んでいる。

「先ずは主人が言っていた、香織さんの可愛いオマンコを見せてもらおうかしら」
奥さんは妻のパンティーの紐を解く。
「まあ、本当に可愛らしいオマンコだこと。」
今度は指で開いて覗き込む。
妻は未だに高橋に見られる事が恥ずかしかったが、同性に開かれて中まで見られる事はその非ではない。
「香織さん、中もとっても綺麗よ。でも、主人のオチンポを嵌められる前は、もっと綺麗だったのでしょうね。主人が『今日こそ香織を俺のものにしてやる』と言って出掛けた日に、私も参加させてもらって見てみたかったわ」
この言葉で、奥さんは最初から全て知っていて、怒っていない事も分かったが、縛られていて身動きがとれず、手拭で猿轡までされていては、今更どうする事も出来ない。
それどころか、奥さんに卑猥な言葉で虐められながら、オマンコやクリトリスを嬲られ続けた妻の身体は、この様な常識では考えられない状況下でも、感じ始めてしまっていた。

「香織さん、感じてくれているの?なんて可愛い人なのでしょう。あなた、私は香織さんをもっと感じさせてあげたくなったから、あなたはオッパイを触ってあげて」
奥さんは妻の股間に顔を埋め、高橋は妻の乳房を揉んでいた。
「あなた、猿轡はもういいわ。香織さんが思い切り声を出せるようにしてあげて」
自由に声を出せるようになったが、散々嬲られ続けた妻の口からは、可愛い喘ぎ声が出るだけで、拒否する言葉などは出て来ない。

その様子を見た奥さんは、一度ニヤリと微笑むと、ついに本性を現した。
「可愛い声を出して、主人を誘っているの?香織はなんて厭らしい女なのかしら」
奥さんが口を離す度に、妻の腰は催促するかのように動いてしまう。
「もっとして欲しいの?香織は女に舐められて感じているのよ。恥を知りなさい」
そう言われても、また顔を埋められると、我慢出来ずに恥ずかしい声を上げてしまう。
「こんな事ぐらいで変な声を出して。香織は淫乱だったのね。あら?もういきそうなの?まだいったら許さないわよ。私が良いと言うまでは、絶対にいっては駄目。私が許可する前いってしまったら、恥ずかしいお仕置きをしてあげますからね」
そう言われても同じ女で有るが為に、どの様にされると感じるかの知り尽くした舌使いで責められては、妻は一溜りも無かった。

「あれほど言っておいたのに、いってしまったのね」
奥さんは大きなバックからレジャーシートを取り出すとベッドに広げ、高橋に手伝わせて縛られたままの妻をその上にうつ伏せの状態にして乗せた。
奥さんはお尻を突き上げた格好で縛られている妻の後ろに座ると、わざと厭らしい音を立てながら指を舐め、妻の肛門に押し当てる。
「主人はここの趣味は無いから、どうせまだ責められた事は無いでしょ?いってしまったお仕置きに、今夜は私がじっくりと香織のアナルを開発してあげるからね」
アナルと言う言葉が、妻に更なる恐怖を与える。


  1. 2014/05/27(火) 01:37:23|
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本当の妻 告白と想像 第4回

妻の態度や物腰から、娘から女になったのを感じていた義父は、週末の度に朝帰りをする妻に怒りを爆発させてしまう。
「毎週毎週何をしている!本当に女友達の所か!」

ほとんど妻には怒った事の無い義父の、初めて見せる強い怒りに、嘘を吐き続けている事が耐えられなくなって、終に男と過ごしている事を話してしまった。
「相手は誰だ」
しかし妻は、相手が妻子のある高橋だとは話せない。
妻の泣きそうな困った表情から、普通の付き合いでは無い事を知った義父の、怒りは更に強くなる。

「言えないのか?言えないのなら、興信所を使って調べてでも、その男に会いに行く」
妻は仕方なく不倫している事を話し、そのような事はしないでくれと頼むが、それでも相手の名前は言わない。
いくつになっても娘が男に抱かれた事は、男親にはショックなのに、その上不倫と聞かされては、我慢出来ずに手が出てしまう。

困った妻が翌日高橋に相談すると、高橋は顔色一つ変える事無く、その夜平然と妻の実家に姿を見せた。
最初怒りを露にしていた義父も、仕事の話をされるとトーンが下がる。
最後には「お願いだから、この様な付き合いはやめてもらえないか?」と頼むようになっていた。

高橋は仕事の事をちらつかせながら謝るだけで、どちらとも返事をせずに帰ってしまい、その後も関係は続いたが、義父はその話を避けるようになり、この様な付き合いは早く終って欲しいと、ただ祈る事しかしなくなった。
妻の親に知られた事で、逆に高橋の行動は大胆になっていき、平気で妻を2晩帰さない事もあったが、2年ほど経つとライバルだった伊藤部長が出世で半歩前に出た事で、会社の連中に知られる事を恐れだす。

「俺も大事な時期になってきたから、2人でいるところを誰かに見られては不味い。マンションを借りたから、今度からはそこで会おう」
妻にとっても、他の者に知られる事は耐え難い事で、すんなりそれを受けいれた。
私はそこが愛の巣だと思ったが、妻の話を聞くと愛の巣とはほど遠い。
狭いキッチンには、精力剤のドリンクが入った小さな冷蔵庫が有るだけで、鍋の一つも置いてない。

部屋には、何処から入れたのかと不思議に思えるほどの大きなベッドが置いてあり、他には妻を辱める為の道具があるだけだった。
辛うじてテレビとビデオデッキはあったが、その下には妻に見せる為の卑猥なビデオテープが何本も並べられ、結局これも妻を辱める為の道具に過ぎない。
まさにこの部屋は愛の巣などでは無くてセックス部屋、調教部屋と呼ぶに相応しい。
基礎体温を測るように言われたのもこの頃からで、妻の中に注ぐ事に、異常に喜びを感じていた高橋は、例えそれが平日であろうと、安全日には必ずこの部屋に来る事を義務付けた。

妻の中が高橋の精液で一杯になり、それが漏れ出す姿を想像すると耐えられなくなって、私は話を先に進める。
「俺に声を掛けて来たのも、常務の指示だな?」
妻は頷く。
「散々常務に抱かれて汚れていたくせに、恥ずかしそうに乙女のような演技をしやがって。しきりに身体をもじもじさせて初心な振りをしながら、腹の中では馬鹿な男だと笑っていたのか?」

その時、妻の表情が変わった事を見逃さなかった。
問い詰めると驚いた事に、その時妻は中にローターを入れておくように言われていて、私に告白しながらスイッチを入れるように指示されていたのだ。
それは昼休みの公園での出来事で、車の騒音や周りの人の話し声で、私は全く気付かなかった。
私が舞い上がってしまっていたこともあるが、まさかそんな事が起こっていたなどと想像出来るはずが無い。

その様子を常務は近くに隠れて見ていたそうだが、これは妻を私に渡さなければならなくなった常務の、悔しさの表れだったのだろう。
「俺には身体を許さずに、その後も常務には抱かれ続けていたのか?」
妻はまた、悲しそうな顔で頷いた。
「結婚をしてからも、常務と関係を続ける約束をさせられていたのだな?俺を常務の隠れ蓑にする為に、好きでもないのに結婚したと言う事か」

「違います。付き合い始めた頃はそうでしたが、あなたの優しさに惹かれていきました。あなたが好きになって、結婚したいと思ったから・・・・・・」
「それなら、何故結婚してからも・・・・・・」
「結婚したら、関係を絶ってもらう約束でした。でも、あなたが出張の時に突然現れて」
結婚して最初の出張の時に、早くも高橋はやって来た。
妻は強く拒んだが、また実家の会社の事を言われて脅される。

しかし妻がそれでも拒むと、今度は今までの関係を私に話してでも、絶対に関係を解消しないと脅された。
妻はやっと掴んだ人並みの幸せを失いたくなかったと言うが、それだけではなくて、気持ちではいくら拒んでも、おそらく高橋に慣れ親しんだ身体は、拒む事が出来なかったのだろう。

高橋によって女にされ、高橋によって女の幸せを散々教え込まれた身体は、自然と高橋の身体を求めてしまったのだろう。
それは妻の妊娠中も続き、息子まで高橋の精液で汚されたような気持ちになった。


  1. 2014/05/27(火) 01:36:16|
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本当の妻 告白と想像 第3回

真っ白なキャンバスを手に入れた高橋は、自分の思い通りに絵を描いていく。
熟練した性技で責められ続けた妻は、3度目には早くもいく事を覚え、半年もすると高橋の欲望を、全て受け止める事の出来る女になっていた。

「たった半年だというのに、香織は凄く上達したな。身体を使って男を喜ばす事に関しては、もうそこらの風俗嬢には負けない自信があるだろ?」
高橋に散々弄ばれた妻だったが、羞恥心を忘れた訳では無く、返事も出来ずに俯いていたが、いつまでも羞恥心を持ち続ける事が、逆に高橋を大いに喜ばせていた。
「今日は、今までとは違う趣向で楽しませてやるから、少し遠くに行くぞ」
そう言うと高橋は、いつものホテル街には行かずに延々と車を走らせ、着いた所は普通のラブホテルのようだったが、中に入ると空室があるにも拘らず、ずっと待合室で待っていた。

ようやく高橋の待っていた部屋が空き、部屋に入った妻は声も出せずに立ち竦む。
それもそのはず、そこはいつもの部屋とはまるで違う、異様な雰囲気の部屋だった。
「早く用意をしないか」
高橋に促されて、いつものように風呂に湯を入れ、急いで身体を洗ってから、もう一度下着だけを着けて脱衣場で待つ。
高橋が入ってくると服を脱がせ、掛け湯までしてやって湯に浸からせる。
「やはり下着を着けたのか。感じてくると俺の顔に跨って、平気でオマンコを擦り付けてくるのに、正気の時はまだ恥ずかしいか?まあ、最初から平気でオマンコを曝け出しているよりも、この方が楽しみがあって良いが」
バスルームにいる間、高橋は一切何もせずに、全て妻が世話をする。
いつもの手順で身体を洗ってやり、身体を拭いてやろうとすると、この日に限ってそれを制した。

「自分で拭くから先に出て、今日プレゼントしてやった下着に着替えて待て」
恥ずかしい下着に着替えて、ベッドに正座して待っていたが、これから自分の身に起こる事を想像すると、怖くて逃げ出したくなってしまう。
「今日は、フェラは後で良いから、ベッドから下りここに来い」
高橋は正面の壁に立っていたが、妻は怖くて近づけない。
「いつもの様に・・・・させて下さい」
「そんなに俺のチンチンを咥えたいのか。よし、それなら少し咥えても良いが、ベッドでは無くてここでだ」

妻はいつものようなセックスにしてもらおうと、高橋に駆け寄るとパンツを下げ、口に咥えて必死に舌を使った。
「今日はやけに激しいな。この部屋を見て興奮したのかな?」
妻はこのままベッドに戻りたかったが、高橋はそれを許さない。
「もういい!また後でさせてやるから、早くここに立て!」
普段より強い口調に怖くなり、仕方なく壁を背にして立つと、壁に付いている鎖の先の手枷で手の自由を奪われていく。

「次は足だ。早く開け」
そう言われても素直に妻は開けない。
何故なら着替えさせられたパンティーは、ほとんど紐だけで出来ていて、辛うじて陰毛は隠れていても、足を開くと全てが見えてしまう。
高橋は身を屈めて足を持つと、強引に開かせて足枷をはめた。
「香織。いい眺めだぞ」
そんな妻を暫らく眺めていた高橋は、ローターを持ってくるとスイッチを入れて、薄い生地の上から乳首を虐める。

「どうだ?身体の自由を奪われてされるのも、結構感じるだろ?」
「早くベッドに」
「まだオマンコも触っていないのに、もうオチンチンが欲しくなったのか?」
妻は何としてもこの行為から逃げたくて、羞恥心も捨てて「はい」と返事をしてしまう。しかし高橋は止める事も無く、ローターを徐々に下げていった。
「そう焦るな。いつものローターでも、こうやって鎖に繋がれて立ったままされると、また感じが違って気持ち良いだろ?」
確かに最初は、何をされるのか分から無い事が怖かったが、高橋の言葉でいつもとは違う快感に身を委ねようとしている自分に気付き、このまま自分を見失って、醜態を晒してしまう姿を見られる事が怖いのだと気付く。

妻の身体は妖しくうねり、高橋は下着の紐を解いて、ローターを直にクリトリスに当てた。
「アアァァー」
「当てただけで、いってしまったか。思った通り、香織にはMの素質がある」
妻はローター1つで面白いようにいき続け、立っている力も無くなってしまい、鎖にぶら下がる格好になっていた。
「手首が痛かっただろ?ここに寝なさい。」
しかしそこは普通のベッドではなく、部屋の中央に置かれていた、婦人科の診察台のようなベッドだった。
「脚はこの上に乗せて」
また手足を革のベルトで固定され、肛門まで晒した格好にされてしまったが、妻が奪われたのは身体の自由だけでは無くて、アイマスクによって視野まで奪われていた。

「いや、怖い」
「何も、香織を虐めるつもりは無い。何もかも忘れて、全ての神経をオマンコに集中しろ」
次の瞬間、硬い物が入って来て、オマンコの中が一杯になる。
「なに?なにを入れたの?」
「バイブだ。半年前の初心な香織では無いから、使われた事は無くても、バイブぐらいは知っているだろ」
ラブホテルのメニューにも載っていて、確かにその様な物の存在は知っていたが、それを使われることによって、自分がどうなってしまうのか恐怖が走る。

「俺はこの歳だから、若い香織を責めるのには限界が有る。朝まで香織の相手をしてやろうと思えば、このような物の力を借りないと無理だ。香織が浮気しないように、これからはローターだけで無く、色々な物を使って気持ち良くしてやる」
「浮気はしませんから、そんな物は使わないで。それに、朝までは無理です。帰らないとお父さんが・・・・・・・アァァァー」

話の途中スイッチが入れられ、少し動かされただけで、妻はまた醜態を晒した。
「いくら若いと言っても、感じる度にいっていては身体がもたないぞ。少しは我慢する事も覚えないと。今日はいきたいだけいかせてやるが、今度からは徐々に、快感をコントロールする事も教えてやろう」
結局妻の妖しい声は、朝まで部屋中に響き渡っていた。


  1. 2014/05/27(火) 01:34:46|
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本当の妻 告白と想像 第2回

恥ずかしそうに前を隠して、ベッドに座っている妻が何も知らないのを良い事に、目の前に全裸で立っている高橋の辱めは更に続いた。

「早く頼む」
「・・・・・・何を?」
「何を?挨拶に決まっているだろ。そんな事は常識だろ」
「宜しく・・・お願いします」
「おい、大丈夫か?そんな挨拶をしてどうする。こいつに挨拶するに決まっているだろ。
今から香織を気持ち良くして下さいという気持ちを込めて、口で優しく挨拶するんだ」
手で触るのも怖かった妻が、口に入れる事など出来るはずもない。
「早く。これは誰でもしている事だ。知っていながら、俺を焦らしているのか?」
高橋に後頭部を抑え付けられ、無理やり口の中に捻じ込まれた妻は、オチンチンを咥えている、自分の姿に動揺していた。

「ほら、ただ咥えていないで、もっと舌も使って」
逆らう事も出来ずに舐めてみたが、気持ち悪くて吐き気が襲う。
「じれったい奴だ。もう俺が自分で動くから、絶対に歯を立てるなよ」
結局妻は処女のまま、高橋に口の中を汚されてしまう。
次に高橋は妻を仰向けに寝かせると、何もしないで目で犯していた。
「手を退けて、もっと開いてオマンコをよく見せてみろ。どうした?ベッドでは、何でも男の要求に従うのが、女の務めだと言う事ぐらいは、教えられているのだろ?」

業を煮やした高橋に、強引に足を開かれてオチンチンを入り口に当てられたので、もう入れられると思った妻は、尺取虫のように上に逃げる。
「怖い・・・・・・私は・・」
「私は何だ?」
この後の事を考えると、怖くて演技など続けられなかった。
「私・・・・・・初めてなんです」
「香織は初めてか。24歳にもなって初めてなのか?」

わざと大声で笑われて、全裸を晒している事よりも経験ある振りをしていた自分が恥ずかしく、両手で顔を覆った時に、高橋に両足首を掴まれた。
「俺が初めての男か。それならそうと早く言わないか。処女には処女のやり方がある」
高橋はまるで、プロレスの技でも掛けるかの様に妻の足を持ち上げて、頭の方に回って膝が顔に付くほど折り曲げ、両足を脇に挟んで座った。
「ここの中は人それぞれ違う。香織の中はどうなっているのか良く調べて、痛く無いようにしてあげるから、この格好は苦しいだろうが暫らく辛抱しろよ」

高橋は、ただ処女のオマンコの中を見たかっただけだろうが、妻には窮屈な格好から来る息苦しさよりも、上を向いたオマンコを数センチの所から見られている恥ずかしさと、これから自分の体内に入って来る出であろう、頬に当たる大きく硬い物の存在が怖くて、身体を捻って逃げようとする。
しかし高橋は、しっかりと足を挟んでいる脇を締めてそれを許さず、羞恥心に追い討ちを掛けるかのように両手で開くと、中の様子を解説しながら更に言葉で辱め続ける。

「処女だけあって、中は綺麗なピンクだ。小陰唇や大陰唇も薄く、背が高くて身体は大きいのに、オマンコは全体に小さくて可愛らしいな。おや、クリトリスはオマンコの割に大きいじゃないか。少し剥いてやっただけで、こんなに顔を出したぞ。香織はオナニーする時に、クリトリスばかり擦っていたな。さて、オマンコの中は普通よりも狭そうだから、じっくり時間を掛けて濡らしてやろう。香織も感じるように努力しないと、少し痛いかも知れないぞ」

最後は隠れていたクリトリスまで完全に晒されて、妻はようやくこの屈辱的な格好から開放されたが、安心したのも束の間、今度は全身に舌や指を使っての、気の遠くなるほど長い責めが続く。
「おや?初めてだというのに、こんなに濡らして。香織の可愛いオマンコが、トロトロに蕩けているぞ」

高橋はわざと恥ずかしい事を言いながら、妻の羞恥に染まる表情を楽しんでいた。
妻は羞恥と快感で、自分に何が起こっているのかさえ分からなくなって来ていたが、次の言葉で現実に引き戻される。
「さあ、入れるぞ。赤ちゃんが出来ても良いならこのままだし、嫌ならこれを着けてくれ」

妻はコンドームを渡されたが、どうして良いのか分からない。
「これも女の役目だから、しっかり覚えろ」
妻は言われた通りに、コンドームまで着けさせられ、いよいよ高橋の大きくなったオチンチンが当てられると、自然と身体は硬くなってしまう。
「もっと力を抜かないと痛いぞ」
そう言われても力を抜く事など出来なかったが、長い時間愛撫を受けて、シーツを汚すほど濡らしてしまっていたお蔭で思っていたよりも痛くなく、スムーズに高橋を受け入れていた。

一度出していた高橋は妻が初めてなのにも関わらず、バックは元より色々な体位で責め続け、妻は初めての挿入で喘ぎ声まで漏らしてしまう。
「可愛い声が漏れ出したぞ。もう痛く無いだろ?」
まだ多少痛かった妻は首を横に振るが、痛さよりも気持ち良さが勝ってしまい、恥ずかしい声を出し続けた。

「見かけによらず、香織は好き者かも知れないな。最初からこれほど感じてしまう女も珍しい」
そう言いながら、高橋の動きは早くなる。
「流石に初体験でいくのは無理か。今日は諦めて、そろそろ終わりにしてやるか」
妻は今回限りにするつもりだったが、帰り仕度をしていた時、高橋に先手を取られてしまう。
「今日は少し痛かっただろうが、次はもっと気持ち良くなる。俺が徐々に香織の快感を開発して、ベッドで男を喜ばせる事の出来る、立派な女性に仕込んでやろう」
ただでさえ今日限りにしようと思っていた妻は、仕込むと言う言葉で怖くなり、2人で会う事も最後にして欲しいと頼んだ。

すると高橋は激怒して、妻を脅しにかかる。
「勝手な事を言うな。親に気兼ねして言っているのなら、娘の処女を頂きましたと報告して、付き合わせてもらえるように俺から頼もうか?他の男が寄って来ないように、24歳で俺に処女を捧げた香織は、もう俺の女ですと会社で宣言しようか?初めて香織を見た時から、いつか香織を俺の女にしようと思っていた。だから親父の会社には目を掛けてやっていたが、そんな事を言うのなら、その関係も考え直さないと駄目だな」

若かった妻はただの脅しだと思わずに、どう対処して良いかも分からず、その後もずるずると関係を続けてしまう。


  1. 2014/05/27(火) 01:33:19|
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本当の妻 告白と想像 第1回

妻には大学を出てから、外で働いてみたいという夢があった。
手元に置いておきたかった義父は、少しでも目の届く所が良いと考え、若い頃はずっと義父の会社の担当をしていて、当時課長になっていた高橋に頼み込む。
2年近く経つと高橋は営業部長に昇進し、この頃から妻を食事に誘うようになる。

最初は断り続けていた妻も、会社に入れてもらった恩や義父の会社との繋がりを考えると、断り切れなくなって誘いを受け入れてしまう。
何度かそのような事が続き、次第に人目を忍んで会う事に慣れてしまい、奥さんや子供がいる年配の男と隠れて会っているという罪悪感も薄れた頃、急に抱き締められた妻は驚いて突き飛ばしてしまった。

高橋は起き上がると何も言わず、その場に妻を残して帰ってしまい、その後は誘いも無くなる。
高橋が怒っているのは明らかで、会社でも以前のように優しい言葉を掛けてくる事も無く、逆に怖い目で睨まれた。
怒らせた事が心配になってきた妻は、初めて自分から誘ってしまう。

いつものように会社から離れた駅で待ち合わせ、いつものように助手席に乗ると、車は郊外に向かって走り出す。

「何処へ行くのですか?」
「俺に謝りに来たのだろ!黙って乗っていればいい」
以前の紳士的な高橋とは言葉使いも変わり、車はラブホテルに入って行った。
突然の事に体を硬くして拒否していたが、急に唇を塞がれ、キスも初めてだった妻は動揺し、腕を掴まれて車から降ろされると、腰を抱かれて中に入ってしまう。

「香織はその時、処女だったのだろ?どうしてもっと抵抗しなかった」
これには、ただ高橋の機嫌をとりたかっただけで無く、他にも私には理解出来ない理由があった。
妻は華やかな見掛けと違い、24歳で処女だった為に、友人や同僚、後輩の話にもついていけない。
その事をコンプレックスに思っていた妻は、友人達には経験がある振りをしていた。
そんな事から早く卒業したいと思っていた妻は、友人達から「私は彼も初めてだったから、泣きたいほど痛かった」「私は彼が10歳も年上で、経験豊富な人だったから、少し痛いだけで気持ち良かった」と聞いていた事もあり、初めてのキスで動揺している中、経験豊富な高橋にリードしてもらって、処女を捨てるのも良いかと、軽く考えてしまったのだ。

しかし、いざとなると恥ずかしくて、妻は上着を脱ぐ事すら出来ない。
そんな妻に高橋は、先にシャワーを浴びるように言う。
妻はシャワーを浴びながら徐々に冷静になって行き、やはりこんな事はやめようと考え直した時に、既に大きくなったオチンチンを揺らしながら、高橋が入って来た。
初めて勃起した男性器を見た妻は、形や大きさに驚いて体が震え、足がすくんで動けない。
キスをした時の感じと、震える姿に処女を確信した高橋は、妻が蛇に睨まれた蛙のように動けないのを良い事に、強く抱き締めてキスをしながら、妻の手を掴んで握らせた。
余りの事に手まで固まり、そのまま強く握り締めていた妻も、更に大きさを増した事で我に返り「キャー」と叫んで手を離した。

「どうした?そんな驚いたような声を出して。香織はもう24歳なのだから、女はセックスの前にはキスをしながら、オチンチンがもっと硬くなるように擦る事は、当然知っているだろ?まさか24にもなって、初めてなんて事は無いよな?」
高橋が妻の心を見透かしたようにそう言うと、処女である事にコンプレックスを感じていた妻の頭の中は「24にもなって」という言葉でいっぱいになり、またキスをされると今度は自ら握って、恐る恐る擦り出す。

「次を頼む」
そう言われても、妻には意味が分からない。
「セックスの前には、女がオチンチンを洗う事も、当然知っているよな?」
お嬢様育ちで奥手だった妻は信じ込み、知っていたかのように頷くと、硬く目を閉じて洗いだす。
「香織の相手をした男達は、何も教えなかったのか?これは今から香織を気持ち良くしてくれる物なのだから、しっかり見て綺麗になったか確認しながら、もっと愛情を込めて洗うものだ」
妻は恐る恐る目を開けて、高橋に細かい指示を受けながら洗い続けた。


  1. 2014/05/27(火) 01:31:58|
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本当の妻 第6回

義父は、改めて妻の無残な姿を見て、声を出して泣いた。
以前にも、この様な義父の姿を見た事がある。
それは結婚式の時で、私はあまりの取り乱し様に驚いたが、今になれば義父の涙の意味が分かる。

「頼む。香織を引き取らせてくれ。離婚してやってくれ」
義父は、ジャケットを掛けただけの妻を抱き起こす。
「ああ、離婚してやるから出て行け。俺と仁の前に、二度と顔を見せるな」
一度立ち上がった妻は、また座り込んで泣き出し、私は3人を残して寝室に行き、息子の寝顔を見ていると涙が出たが、その時、背筋が凍るような思いが浮かぶ。
何度自分の中で打ち消しても、体がガタガタ震えて止まらない。
ずっと妻と常務が続いていたとすれば、息子は私の子供なのだろうか?
私が戻ると、義父だけがソファーに座って煙草を吸っていた。

「香織は?」
「女房と・・・風呂に・・・・・」
私の震えに気付いた義父は、落ち着かせようと煙草を差し出す。
私は10年振りの煙草を一本出そうとするが、手が振るえていて上手く出せない。
妻は、ほとんど使っていなかったバスローブを羽織り、義母に抱きかかえられるようにして戻ってきたが、私の存在を知ると、脅えた目をして立ち尽くす。

「仁は誰の子だ!」
両親も今まで考えなかったのか、驚いた顔で妻の顔を覗き込んだ。
「あなたの子供です。本当にあなたの子供です」
「そんな確証は何処にある。俺の子供だと言う証拠は」
「間違いありません。絶対に仁はあなたの子供です」
その時息子が、泣きながら入って来た。
最近は途中で起きる事など無かったが、私の怒鳴り声で起きてしまったのかも知れない。
妻のボサボサの短い髪を見た息子は、一際大きな声で泣き出したので、両親にこれ以上妻に危害を加えない事を約束して、息子を連れて帰ってもらった。

「俺の子供だと何故分かる?」
「ずっと基礎体温を測っていたから・・・・・・・」
確かに妻は結婚以来、欠かさず基礎体温表をつけていた。
これは目覚めてから、トイレにも行かずに測らなくてはならない可也面倒な作業だが、習慣になってしまったと言って、今でも必ず測っている。

「妊娠する可能性がある時は、俺としかしていないと言うのか。いや、出張はその時期ばかりでは無いだろ」
「その時は・・・・必ず・・・・・・・・」
「その時は、必ずコンドームを使っていたと言いたいのか?逆を言うと、安全な時は中に出させていたと言う事だよな?」
何も返事をしない事が、妻の答えだった。
「いつから基礎体温を測っていた?」
やはり何も答えないが、私と付き合う可也前からつけるように言われていて、安全な時期には生で入れられ、中に出されていた事が、俯いた妻の表情から分かる。

「常務とは、いつからの付き合いだ」
やはり妻は、ただ俯いているだけで、何も話そうとはしない。
「分かった、離婚について話そう」
「入社して2年経った頃からです。私はあなたが好き。あなたを愛してる」
「今更俺を慰めてくれなくてもいい。本当に俺を愛していたら、こんな酷い事は出来ない。常務を愛しているのだろ?」
「私が愛しているのは、あなただけ。彼に対して愛はなくても、最初の頃は情の様なものはありました。初めての男性だったから・・・・・・・・でも彼は怖い人です」
「怖い?」

妻と常務が、どの様な付き合いをしていたのか知りたくなった。
妻が常務に、どの様な顔を見せていたのか知りたかった。
2人が私を、どれだけ裏切って来たのか知らずには居られない。
聞けば、より辛くなると知りながら。
「お義母さんの鳴き声で聞き取り辛かったが、確か『殺して』とか言わなかったか?」
妻が頷く。
「俺に殺されても、仕方がないと言う意味か?」
妻はまた頷いた。
「本当にそう思っているなら、全て俺に話せるな?どんなに恥ずかしい事でも、死んだ気になれば話せるよな?」
妻は黙って、大きく頷いた。


  1. 2014/05/27(火) 01:28:53|
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本当の妻 第5回

家に着いて息子を寝かせると、私の脳裏には妻と常務の姿が浮かぶ。
妻が裸で常務の下腹部に顔を埋め、常務は笑いながら、もっと舌を使えと指示を出す。
上に跨った妻に、もっと動けと下から叱る。
終わった後も、口で後始末をさせていた。
自然と涙がこぼれていたが、車の止まる音がしたので涙を拭うと、妻だけでは無くて義父と義母も一緒だった。
時計を見ると、私が帰って来てから2時間以上も経っている。

「あなた、ごめんなさい。あなたが出張に行く度に実家に泊まって、女友達とカラオケなんかに行ったりして、遊び歩いていました」
妻がカラオケをするなどとは聞いた事も無く、逆に以前、カラオケは嫌いだと聞いた覚えがある。
妻は不倫していたと知られるよりは、遊び歩いていたと思われた方が得策だと判断して、嘘を吐いているのは明白だ。

「誰と何処のカラオケに行っていた?今からその友達の所とカラオケに行って訊いてくる。ついでに高橋常務の所にも」
高橋常務の名が出た事で、妻の顔は見る見る蒼ざめ、終には床に伏せて泣き出す。
諦めの悪い義母は、この期に及んでも妻を庇って言い訳していたが、突然義父が土下座した。

「すまない。娘と孫は連れて帰る。慰謝料は出来るだけの事をさせてもらう」
「お義父さん。香織だけを連れて行って下さい。仁は力尽くでも渡さない。仕事を変わってでも、私が立派に育ててみせる」
妻は、一層大きな声で泣き出した。
義父が妻を連れて帰ろうとするが妻は動かず、義父と義母も帰る事が出来ない。

「あなた、ごめんなさい。もうあなたを裏切る事は、何が有っても絶対にしません。だから、あなたと暮らさせて。仁と暮らさせて」
私は妻に、知っている事を全て話した。
「これでも俺に、まだ信用しろと?俺を何年間騙し続けていた?結婚自体、騙されて結婚させられた様なものだ」
何も言えずに、ただ泣くしかない妻に代わり、義父が口を挟んできた。
「私達が間違っていた。知っていながら注意するどころか、協力までしてしまった私達が」
妻は入社して2年ほど経った頃に、急に帰宅時間が遅くなり、半年後には朝帰りまでするようになった事で、義父は妻を問い詰めて、不倫している事を知って激怒した。
妻は相手が誰なのかは話さなかったが、翌日謝りに来たのは当時部長だった高橋常務だ。
その頃の義父の会社は仕事が減り、人員整理も考えていた。

「お詫びに、御社の比率を増やすように努力します」
言葉通りに仕事は増え、その後も続いた妻の不倫を、見て見ぬ振りをしてしまう。
「私は従業員の生活と、香織を引き換えにしてしまった最低な親です。話がこじれて受注が減る事を恐れ、いつか終わってくれるだろうと静観し、会社の為に娘に注意する事すら出来なかった、最低な親です」
両親は私との結婚話が出た時には、これで娘も人並みの人生が送れると歓喜する。
しかしその後も妻の不倫は続き、子供が生まれてからは、それを助けるかのように預かった。

「香織が孫をおいて、高橋常務と会っている事は気付いていました。しかし香織は、ただ遊びに行くとしか言わず、私達も聞くのが怖かった」
その頃には、売上の70パーセントを我社に頼っており、高橋常務の機嫌を損ねるのが怖かったのだろう。

「実の娘を、人身御供に差し出していたという事か」
「何を言われても、弁解の余地も無い。君には嫌な思いをさせてしまった」
私は妻と2人で話がしたくて、両親には帰って欲しいと言ったが、泣きじゃくる娘を残して帰る事は出来ない。

「私はあなた達を殺してしまいたい。今それを必死に我慢している。これ以上怒らせないでくれ。早く帰れ」
土下座している義父を足蹴にすると、ようやく重い腰を上げる。
車が走り去る音を聞いて、妻の頬を張り倒す。
妻の傷1つ無い、真っ白な頬が赤く染まる。

「痛いか?その頬の痛みと、俺の心の痛みと、どちらが痛いか分かるか?」
妻は頷き、私はハサミを持って来ると、服をつかんで引き倒す。
妻の自慢の長い髪が、見る見る短くなっていき、大量の髪の毛が無残にも床に散らばる。
それでも私は飽き足らず、妻の服を切り刻み、赤いマジックを持ってくると、裸でうつ伏せになって泣いている、妻のお尻や背中に『インラン』と書き殴る。
今度は妻を仰向けにすると馬乗りになり、乳房や下腹部にも同じ事を書いて、顔にも書こうとすると流石に顔を振って拒むので、また頬を張ろうと手を上げた時、急にドアが開いて義父が駆け寄り、私を突き飛ばすと妻にジャケットを掛けた。

「許してやってくれ」
義父達は、やはり娘が心配で引き返して来たのだ。
「こんな事ぐらいで、気が済むはずがないだろ。お義父さんなら許せますか?俺は離婚しない事に決めた。一生こいつを虐め貫いてやる」
妻は小さな声で何か言ったが、義母の泣き声で聞こえない。


  1. 2014/05/27(火) 01:27:42|
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本当の妻 第4回

鈴木係長も伊藤部長と同じ様に、私が男としてのプライドと引き換えに、出世を手に入れたと思っていたようだ。
しかし私が何も聞かされていなかったと知り、敵では無いと感じたのか、徐々に口を開くようになる。
確かに妻が常務の愛人だった事は、私にとって大きなショックには違いなかったが、まだ結婚前の出来事だと自分に言い聞かせ、気を取り直して詳しく聞き出す。

当時、病気療養中だった常務の後任話が出て、最初に噂に上がったのは伊藤部長だったが、次第に高橋部長をとの声が大きくなりだした。
仕事は自分の方が数段出来ると思っていた伊藤部長は、人当たりが良くてご機嫌取りが上手なだけで出世してきた、高橋部長が自分の上に立つのを許せずに、スキャンダルを探すようになっていく。
鈴木係長はその命を受け、探偵を雇おうかとも思ったらしいが今一信用できずに、自分の出世にも関わる事なので、自ら車やタクシーで後をつけるなど、探偵宛らな事までしていたようだ。

しかし大事な時期の高橋部長も、慎重になっていて隙を見せない。
高橋部長には、スキャンダルになる事など何もないと諦めかけた時、同じ課にいた妻と廊下を歩いていて高橋部長とすれ違った時に、妻と高橋部長が一瞬アイコンタクトをとったように感じたと言う。
その後は高橋部長の尾行はやめて、一か八か妻の尾行を始め、時々あるワンルームマンションに入って行く事をつきとめた。
案の定、時間をずらして高橋部長も入って行き、結局ここが2人の愛の巣だったのだ。

「高橋常務は、必ず一度家に戻ってから来ていたので、家まで尾行して諦めていた私には分かりませんでした。」
「いつからの付き合いか分かりますか?」
「それは分かりません。私が調べ始めた時は、既に付き合っておられましたから」
たまに逢うのではなくて、2人の愛の巣まで構えていた事に更なるショックを受けたが、その後更にショックな事を聞く。

「今でも・・・・付き合っているという事は・・・・・・・」
「それは・・・・・分かりません。ただ・・・・・・・」
「ただ何です?」
「言い辛いのですが・・・・・私が調べていた間は・・・ずっと・・・・」
「それは・・・・・いつまでですか?」
「高橋部長が常務に決まって、伊藤部長が辞められるまでですから、加藤課長が結婚されて、3、4ヶ月ぐらいは・・・・・」
「結婚してからも?でも妻は必ず家にいました。確かに出張は多かったがまだ新婚だったので、私は家に毎晩電話を入れていた」
「ええ、その頃は出張の度に、加藤課長の家に高橋常務が訪れていました。泊まられる事も度々で・・・・・・・」

私は結婚を機に家を建てたが、そこはまだ造成中の住宅地で、今と違って周りに家はほとんど建っておらず、近所付き合いも無かったので、周りの目を気にする事も必要無かったかも知れない。
あの妻がそこまで酷い女だとは、到底信じられなかったが、鈴木係長も嘘を吐いているようには見えなかった。
第一、今となっては彼に、この様な嘘を吐く利点が無い。
その後の事は覚えておらず、気が付くと自宅に帰っていた。

「あなた。飲んでいらしたの?」
「ああ」
笑顔の妻に、いつものように笑顔で応える事など到底出来ない。
それどころか、手を上げそうになるのを押えるのに必死だった。
このままでは証拠も無く、言い逃れされたら終わりだ。
絶対に許さない。
可愛さ余って憎さ百倍。
今までの私は、まるでピエロじゃないか。
今でも私を騙して逢っているのか突き止めるべく、熱を出してしまって行けないと得意先に嘘の電話を入れ、出張に行かずに夜を待って妻の実家に向かう。

「香織は何処にいます?」
私の顔を見た義父と義母は言葉を失って立ち尽くし、何も知らない息子だけが、嬉しそうな顔で私に駆け寄ってくる。
その時けたたましく電話が鳴り、我に返った義母が出ると、私を横目で気にしながら小声で話した。

「今日は帰ってらっしゃい」
相手が妻だと分かった私は、無理矢理受話器を取り上げて耳に当てる。
「お母さん、どうしたの?仁に何かあったの?」
「いや、仁は元気だ。俺が一人で育てるから、もう永久に帰って来なくてもいい」
そう言って一方的に受話器を置くと、外まで縋りついてきた義母を振り切り、息子を乗せて我が家に向かった。


  1. 2014/05/27(火) 00:36:30|
  2. 本当の妻・加藤
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本当の妻 第3回

家に戻ると、私はそのままソファーで横になってしまい、妻は眠ってしまった子供を抱いて寝室へ。

「あなた。こんな所で寝てしまったら、風邪をひきますよ」
気付くと目の前に笑顔の妻の顔があり、体には薄い夏蒲団が掛けてくれてあった。
「もう、こんな時間か」
「何度起こしても、起きてくれないから」
妻の声を遮るように引き寄せてキスすると、妻もそれに応えてくれたので、私はお尻を撫ぜていた。

「だめー。もうお湯が入った頃だから、お風呂に入って来ます」
妻は嬉しそうに、バスルームへ逃げて行く。
少し遅れて私も行くと、既に妻は湯から上がって、スポンジにボディーソープを付けていた。
私は湯に浸かりながら、妻が身体を洗う様子をじっと見る。

「いやだー。そんなに見ないで」
湯から出ると、妻を見ていて硬くなった物を目の前に突き出す。
「まあー!ウフッ」
妻は掌にボディーソープをたっぷり乗せて、慌しく両手を擦り合わせ、私のオチンチンは泡で見えなくなって行く。
しばし心地良い指の動きに身を任せていると、急にお湯を掛けられて、また姿を現したオチンチンに、今度は膝立ちになった妻の唇が近付いて来る。

私は、新婚当初の妻を思い出していた。
付き合っていた半年間は、いくら私が迫っても上手くかわされ、結局はキス止まり。
初めて妻と結ばれたのは、新婚旅行先のホテルだった。
その夜の妻は終始恥ずかしそうに俯いていたが、いざセックスが始まると乱れに乱れて終始声を上げ続け、何度も何度も達してくれた。

しかしその間、いくら目の前にオチンチンを持って行っても決して口にする事は無く、これほど感じてくれているのは私を愛してくれているからで、処女では無かったが、経験は左程多く無いのだと思った。

初めて妻が私を口にしたのは、それから3ヶ月ほど経ってから。
しかも、ただ口に入れているだけで何もせず、妻にとって初めての経験なのだと感じた。最初はぎこちなかった妻も、私が何も言わなくても裏側に舌を這わせ、横から咥え、わざと大きな音を出して吸ったりして、徐々にプロ顔負けの性技を見せだしたが、これも愛するが故に私のオチンチンが愛しくなり、自然とそうするようになったと思っていた。
これらは演技だったのだろうか?

その後の妻は、セックスでも凄く献身的に尽くしてくれ、私が身を任せる事も多く、普段の妻からは、誰も想像出来ないような顔を見せ、その事全てが私だけのものだと思うと、男の独占欲を充分満足させてくれていたが、これら全て高橋常務に仕込まれた技で、常務にも同じ顔を見せていたのか?
いや、今も見せているのか?
私だけのものでは無かったのか?
妻の口の中で、私が急送に萎んで行く。

「えっ?」
「早く洗って、寝室に行こう」
寝室での妻は何とか私を奮い立たせようと、顔を跨いだ格好になり、腰を妖しく動かして誘いながら、無我夢中で舌を使ってくる。

「ごめん。飲み過ぎてしまったようだ。明日頑張るから・・・・・・・・」
しかし次の日も、そのまた次の日も結果は同じ。
「ごめん」
「私なら大丈夫だから、謝らないで。きっと疲れているのよ」
このまま永久に、この状態が続くかも知れないと脅えた私は、私の思い違いを信じながらも誤解を解くために、思い切って鈴木係長に声を掛けた。

「鈴木先輩。今日仕事が終ってから、一杯付き合って頂けませんか?」
あえて鈴木係長とは呼ばずに言ったが、私用が有るからと断られる。
「お願いします。妻の事で訊きたい事が・・・・・」
「香織さんの事で?」
私が妻と言っただけで、名前がすぐに出てくるほどよく覚えていた事で、伊藤部長が常務と妻の事を、この男に探らせていたのだと確信する。
妻を出した事でどうにか付き合ってはもらえたが、直接のライバルでは無かったにしろ、以前上司がライバル関係にあった事で、私を高橋常務の犬だと思っているのか口は重い。

「率直に言います。以前高橋常務と妻の事を調べていましたか?」
「私からは何も言えません。これ以上会社に居辛くなるのは嫌ですから」
しかしこれは、認めてしまっているのと同じ事。
「先日伊藤部長にお会いして、初めて聞いたもので」
「伊藤部長!まさか、それまで知らなかったとか・・・・・・・・・・」
鈴木係長は驚いた顔で、伊藤部長と同じ反応を見せた。
「やはり常務と妻は、愛人関係に?」
鈴木係長は顔を上げて、哀れむような目で私を見た後、何も言わずに大きく一度頷いた。


  1. 2014/05/27(火) 00:35:05|
  2. 本当の妻・加藤
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本当の妻 第2回

私は寝付かれずに、妻の寝顔を見ていた。
そう言えば、私と付き合う前の、妻の男性遍歴は何も知らない。
付き合った時は既に28歳で、勿論処女ではなかったが、それはお互い様で別段気にもしなかった。

入社以来、目立つ存在だったので気にして見ていたが、社内では浮いた噂は一度も聞いた事がない。
伊藤部長の話を思い出し、妻が高橋常務の熟練した性戯で、乱れている姿が脳裏に浮かぶ。
伊藤部長の話が本当だとすれば、どの様に情報を仕入れたのだろう?
その時、1人の男の顔が浮かぶ。
その男は伊藤部長に付いていて、妻と同じ営業二課にいた鈴木係長。
出世争いで伊藤部長が勝っていれば、当然この男は課長に成っていただろうし、逆に私などは万年係長だったかも知れない。

こんな事を考えていたが、伊藤部長の言っていた事が本当だったとしても、それは私と結婚する前の話し。
結論は、妻に聞くまでも無く結婚前の話しなので、何も言わないで現状維持。
今が幸せなら関係ないと、自分を落ち着かせる。
翌日出社すると、高橋常務から話し掛けられた。

「昨日まで出張だったらしいな。その内部長に引き上げてやるから、精々頑張れ。それはそうと、今度の出張はいつだ?」
「再来週の月曜から、4日間の予定です」
「そうか、大変だな。身体を壊すなよ」
今までにも何度か声を掛けてもらって、その度に出張の予定を聞かれた様な気がする。
今までの私は何も思わず、気にも留めなかったが、伊藤部長の話を聞いたからか、何か違和感を覚えた。

「部長。高橋常務から、私の出張について何か聞かれた事はありますか?」
「そう言われれば、何度か予定を聞かれた事がある。君は高橋常務のお気に入りだから、何かと心配してくれているのだろう」
今一番勢いのある高橋常務の事で、下手な事は話せないと思ったのか、部長も多くは語らない。
しかし、多くを語らない事で、逆に頻繁に訊かれているのではないかと疑る。
どうして常務が、私の出張予定を?
まさか今も。
どんどん考えは悪い方へと向かってしまうが、家に戻って妻の笑顔を見ると、思いすごしだと安心する。

何より結婚以来、妻に疑わしい行動は無い。
妻の性格で、不倫なんて有り得ない。
しかも、幼い子供を連れて不倫相手に会うなんて有り得ない。
妻と一緒にいると、疑ってしまうこと自体申しわけなく思うが、一人でいると考え込んでしまう。
仮に不倫しているとすれば、私の出張中しか考えられない。
実家に子供を預けて。
妻を疑っている事に罪悪感を覚えながらも、頭の中は伊藤部長の言葉に支配されていく。

「今から香織の実家に行かないか」
車で1時間ほどの距離なのに、実家に来たのは久し振りだった。
「ご無沙汰しております」
「いや、いつも香織が勝手してすまないな。嫁に行ったのに、そう頻繁に帰って来るなと言いたいのだが、私達も孫の顔を見たくて、つい・・・・・・・・・・・・」
歳の離れた長男はまだ大学生で、今は義母と2人だけで暮らしているので、寂しいのかも知れない。

「一杯どうだ?帰りは香織に運転させればいい」
義父は、久し振りに会った私を歓迎してくれた。
「香織はお邪魔している時に、一人で出掛ける事もありますか?」
「無いな。女房と買い物にはよく行くが」
やはり私の取り越し苦労だと安心して、美味い酒をたらふくご馳走になった。


  1. 2014/05/27(火) 00:33:30|
  2. 本当の妻・加藤
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本当の妻 第1回

私と妻が付き合う事になった切欠は、信じられない事に妻の方から「今度、食事にでも誘って頂けませんか」と声を掛けられた事だった。
それは私だけではなくて、他の社員達にも信じ難い出来事だったと思う。
何故なら妻は、身長が170センチある髪の長いモデルのような美人で、下請け会社の社長の娘だったから。
会社ではマドンナ的存在で、男子社員の憧れの的だったが、隙のない妻には誰も声を掛ける事すら出来なかった。
「香織君と付き合っているそうだが、君はもう34だろ?早いもので香織君も28になったと聞いたが、ここらでそろそろ決めたらどうかね。近々私は常務になる。そうなれば、いずれ君を課長にして、ゆくゆくは部長に推薦しようとも思っている。その為にも早く身を固め、家庭を持って落ち着け」

私に目を掛けてくれていた高橋部長にそう言われ、とんとん拍子で話は進み、付き合い始めて僅か半年で、部長夫妻の仲人で結婚。
2年後には子供も生まれ、その息子も早2才。
子供は可愛い盛りで、妻は相変わらず綺麗で優しい。
妻には何の不満もないが、ただ1つ有るとすれば、頻繁に実家に帰る事ぐらい。
しかしそれは私の出張が多くて、その間帰っているだけで、私が帰る前には戻って来ていて、必ず息子と笑顔で迎えてくれるので、不満などと言うものでは無い。
この世の春とは正にこの事で、私は幸せの絶頂にあった。

そんなある日、退職してライバル会社に入った元総務部長に、出張先の会社で偶然会う。
この人は、私達の仲人をしてくれた当時部長で今では常務の高橋常務と同期で、常に出世を争うライバルだった。
私が直接聞いた訳ではないが、退職した理由が「高橋の下でなんか働けるか」らしい。
「君は課長になったらしいな。おめでとう」
話を聞くと、偶然同じホテルに泊まっていた。
「狭い業界だから得意先で会っても不思議ではないが、ホテルまで一緒とは奇遇だ。これも何かの縁だから、今夜一杯どうだ?」
我社の事を探りたいのかとも思ったが、直属では無かったにしろ、仮にも元上司だった人の誘いは断り難く、私達はホテルの側の居酒屋にいた。

「課長自ら商談か?」
確かに課長になってから、出張先も規模の大きな会社だけに成り、出張の回数も減ったが、それでも月に2回は3・4日の出張が有った。
「課長と言っても、会社で座ってばかりいられないのは、伊藤部長もよくご存知じゃないですか。それよりも、こちらは私のような課長で、そちらは伊藤部長に出て来られては、勝ち目が無くなってしまいます」
「いや、部長と言っても、会社の規模が天と地ほど違う」

最初は仕事の話ばかりだったが、酔いが回ると伊藤部長は、とんでもない事を言いだした。
「君は出世間違い無しだから、そう躍起に成らなくても良いだろ。少しぐらい手加減してくれよ」
「いいえ、営業なんて常に競争ですから、うかうかしていたら降格が有るかも知れません」
「いや、君は勝ち組だ。高橋に付いて、香織君を嫁に貰った時点で、会社では勝ち組だ」
私は、これはしっかり者の妻を貰ったから出世出来るという、妻に対しての褒め言葉だと受け取ってしまい、お世辞だとしても嬉しかったが、次の言葉で皮肉だと知る。

「ただ、男としてはどうだろう。男としては勝ち組どころか、最低な男に成り下がってしまったな」
流石に、酔っている元上司でも頭に血が上る。
「どう言う意味です?いくらお世話に成った伊藤部長でも、その言い方は許せない」
「だって、そうだろ。君は上司の愛人を引き受けて、プライドを捨てて出世をとった」
私は伊藤部長の言う意味が、すぐには理解出来なかった。

「まさか・・・・知らなかったと言う事は・・・・・・・・・・・・」
当時、高橋部長は平の部長で、伊藤部長には取締役が付いていた。
取締役会議で、自分よりも格下の高橋部長を常務にという話が出た時「社内に愛人がいる様な人間を常務にしても良いのか」と暴露した。
しかし、それは個人の問題で会社には関係ないと跳ね除けられ、身辺を綺麗にする事という条件が付け加えられるに終わる。

「取締役の何人かは既に知っていたので、高橋が先に手を回していたのさ。重役以外は知らないはずだが、まさか当の君まで知らなかったとは・・・・・・・・・・」
高橋常務は昔から腰も低くて物腰も柔らかく、いつも笑顔を絶やさない優しい人なので、私には到底信じる事が出来ない。
しかし伊藤部長も、気性の激しいところは有るが、男気のある嘘の無い人だという印象があり、私は何が本当なのか分からずに戸惑うばかりだったが、出張から家に戻ると、いつもの様に妻と息子が笑顔で出迎えてくれた。

「変わった事は無かったか?」
伊藤部長に言われた事が気になっていたが、間違っていた場合、これほど妻を侮辱する話は無いので、どうしても切り出せない。
「いつものように、実家に行かせて頂きました」
妻の笑顔を見ていると、やはり妻を信じようと思う。


  1. 2014/05/27(火) 00:31:56|
  2. 本当の妻・加藤
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壊れかけの絆 第34回

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  2. 壊れかけの絆・叶
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