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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

本性 第31話 醒める

暫く寝てしまい目覚めると、横に清美さんの姿は有りません。
1人でいると冷静になり。
『おいおい。清美の中に出してしまったぞ。・・・・・妊娠。俺は何をやっているんだ。』
キッチンへ行くと、清美さんは、遅い昼食の準備をしていましたが、怒っているのか、恥ずかしいのか、こちらを振り向きもせず。
「もうすぐ出来ますから、少し待って下さい。」
「・・・・・さっきは中に・・・・・。」
「・・・・・もう直ぐ来る頃だから・・・・たぶん大丈夫・・・・・。」
取り合えず胸を撫で下ろして食事を済ませ、エプロン姿で後片付けをしている、清美さんのお尻を見ていて興奮してしまい。
「今何時だ。」
「もう3時です。」
私は後ろから抱き付いて大きな胸を揉みながら。
「じゃあ、まだいいな。」
「ダメー。・・・・・もうダメです。」
結局、そのまま寝室に連れて行って、また清美さんの奥深くに放出すると、金曜日も逢う事を約束させました。
家に居ても、清美さんに酔っていた私は妻の事など眼中に無く、金曜日が待ち遠しくて仕方有りません。
金曜日になり、いつもの様にシャワーを浴びて釣りに行くと嘘を吐き、玄関まで行くと妻が。
「・・・・・遠くまで行くんでしょ。・・・・・気を付けてね。・・・・・ゆっくり楽しんで来てね。行ってらっしゃい。」
表情が硬くて声も沈んでいる様に感じましたが、時折笑顔も見せていた為に、さほど気にも留めず、手を振る妻を残し公園へ行き、清美さんの車が止めて有ったので横に車を止めると、清美さんが助手席に乗り込んで来ました。
「どうした。どこか行きたい所でも有るのか。」
清美さんはこちらを見ずに、無言で窓から外を見ています。
「・・・・・本当にどうした。・・・・・まだ恥ずかしいのか。」
清美さんは外を見たまま。
「宮本さんは奥様を捨てられますか。・・・・・私はこのままだと、宮本さんと離れられなくなる・・・・・・。」
「急に何だ。」
「・・・・・この前、宮本さんを送って行った後、宮本さんの残して行った物が、私の中から出て来て・・・・・。何故かその時、このままだと離れられなくなる、奥様から奪いたくなると思ったの・・・・。世間体なんかどうでもいい。何を言われてもいいって。・・・・宮本さんは何もかも捨てられる・・・・・・奥様も・・・・・。」
妻の顔が浮かび、高校時代からの思い出が、走馬灯の様に流れて行きます。
「・・・・・出来ない・・・・・。」
清美さんがこちらを向いて笑顔で。
「やっぱり・・・そうだと思った。・・・・あの人には勝てないって。あんないい奥さん・・・・。」
「エッ。知っているのか。」
「・・・・・あんなに恥ずかしい事ばかりされて、逢うのが嫌だったけど、逢えなくなると思うと寂しいなー。」
「・・・・・ごめん・・・・・。」
「大丈夫。・・・・・・私には主人の形見も有るし・・・・・。」
清美さんは、こんな冗談を言える人では無いのですが、精一杯、明るく振舞っているのが分かりました。
「少し残念だけど、これで子供達の顔も見られるわ。・・・・・・・さようなら。」
清美さんが車を降りて自分の車に乗り込む時、泣いているのが分かりました。
『あんなに虐められたのに・・・・・清美は・・・・・俺の事を・・・・・・。』
清美さんの車が見えなくなる迄、心の中で手を合わせ。
『俺は何て事をしてしまったんだ。妻を裏切った上に清美まで傷付けてしまった。』
家に帰ると。
「あなた、どうしたの。」
「ああ、少し頭が痛くなって・・・・。それより明日、久し振りに泊まりでどこか行こうか。・・・・・百合子はどこがいい。」
「嬉しいけど大丈夫。」
「今夜一晩寝れば大丈夫さ。・・・あまり遠い所は無理だぞ。」
妻が選んだ場所は、結婚前に2人で何回か行った所でした。
  1. 2014/06/21(土) 13:56:00|
  2. 本性・拓也
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本性 最終話 結婚

次の日私達は朝早く出掛け、飛び込みでホテルを予約してから、思い出の場所を観て回りましたが、妻は今迄見た事が無い程はしゃぎ、ホテルに戻ってからも夕食までは陽気だったのですが、夜部屋で2人だけになると急に無口になり、窓際の椅子に座って外を見詰めていました。
私は妻の前に座り。
「・・・・・百合子・・・・実は・・・・大事な話しが・・・・。」
「・・・・・・・。」
「・・・・言い難いけど・・・・結婚を・・・・・・。」
「・・・・・・分かっていました・・・・加藤さんの奥様と・・・・・。」
「エッ。清美さんの事を知っていたの。」
「・・・・・昨日、あなたが出掛ける前に奥様から電話を貰い・・・・今迄の事を・・・・。釣りに行く前に毎回シャワーを浴びてらしたので、何か有るとは・・・・・・・。」
「それで百合子は何と・・・・・・。」
「・・・・・・あなたが幸せなら、私は構わないと。・・・・宜しくお願いしますと・・・・・。」
私は土下座して。
「すまん。許してくれ。」
妻は涙を溜め。
「・・・・・いいんです。あなたが誘ってくれた時・・・そうじゃないかと・・・・・・。約束通り・・・・・家を・・出ます。」
「許してくれ。出て行かないでくれ。」
「・・・・・でも、どちらかに好きな人が出来たら・・・・・・。あなたは最後の思い出に連れて来てくれたんじゃ・・・・・・・。」
「清美さんとは別れた。俺には百合子しか駄目だと良く分かった。だからもう一度結婚して欲しくて・・・・・。でも駄目だな・・・・俺は卑怯だ・・・・・。結婚してくれとは言わないから、せめて出て行かないで欲しい。」
妻が泣きながら抱き付き、私を押し倒して上に乗り。
「昨日、電話が有ってから寂しかったです。辛かったです。あなたを奥様に盗られる
と思った。あなたは奥様の事を好きなのだと思った・・・・・・。」
「ごめん。許してくれ。」
「あなたと奥様が裸で抱き合っている姿が浮かび、悔しくて、遣り切れなくて・・・・・・。」
「百合子、許してくれ。」
「・・・・でも・・あなたは・・こんな思いをずっと・・・・・。結婚して・・私と・もう一度結婚して・・・。」
「・・・・・いいのか。」
「これであなたと少しは対等に付き合える・・・・・。私ともう一度・・・・・。」
「対等なんかじゃない。百合子は無理矢理・・・・・。俺は自分の意思でしてしまった。・・・・・一生を賭けて償うから。」
「嬉しい。・・・・・嬉しい・・・・・。」
私はセカンドバッグを取りに行き、以前書いた離婚届を出して破りながら。
「百合子、ごめんな。本当は出せなかったんだ。」
妻はまた抱き付いて来て。
「・・・・・あなた・・・嬉しい・・・愛してる・・・・・あなた~。」
妻を裸にして私も服を脱ぎ、ベッドに入ると。
「あなた。・・・・本当に私でいいの。私ではあなたを満足させる事が・・・・・。奥様なら・・・・。」
「百合子。触ってごらん。」
「・・・・アッ・・・・硬く成ってる・・・・硬い・・・硬い・・・・硬い・・・・」
私はこの夜、ようやく妻の中に戻る事が出来ました。

今では以前より回数も増えて幸せに暮らしています。
しかしこれでハッピーエンドとは行きませんでした。
未だに加藤の亡霊に悩まされ、固く成らなかったり、途中で軟らかく成ってしまったりし、最後まで旨くいくのは3回に1回位です。
それでも、そんな時は、ネット通販で買った色々な玩具を使って妻を満足させ、妻が満足する事で、私もある程度満足出来る様に成りました。
本当は毎回、自分の物で満足させたいのですが・・・・・・・。

下手な文章で中身もあまり無い話に、御付き合い頂き有難う御座いました。
失礼致します。

  1. 2014/06/21(土) 13:56:51|
  2. 本性・拓也
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表裏 変化

私はあるサークルで妻と知り合った。
妻は凄い美人と言う訳でも無く、特に目立つ存在では無かったが、笑顔が可愛くて清潔感があり、いつも皆よりも一歩下がって微笑んでいる様な大人しい性格に惹かれて交際を申し込んだ。
妻は既に29歳だったが、いざ付き合ってみると半年経ってもキスすら許さず、どこか性的に問題があるのかとさえ思った事もある。
その問題が、過去に酷い性的虐待を受けたか、以前付き合っていた男に暴力的なセックスを強いられて、精神的に受け付けない様になっているとすれば上手くやって行く自信など無かったが、妻に惚れてしまっていた私は更に半年付き合ってから結婚した。
すると意外にも初夜では拒む事無くスムーズに終わり、妻が処女だった事にも安心して今まで拒んでいた理由を聞くと、信じられない事に「結婚して、子供が欲しいからという目的があれば良いけれど、そうではなくて、ただ本能を曝け出すだけの行為は、恥ずかしくて出来なかった」と言う。
その後も私が誘えば拒否する事も無く、子供もすぐに出来たのだが、何年経っても妻はあくまでも受身で何もせず、私が覆い被さる体位以外は嫌がって受け付けない。
そのような妻は、他人からもセックスとは無縁に見えるらしく、家で友人達と飲んだ時に「子供が一人いるという事は、優子さんも、最低でも一回はセックスをした事になるよな」とからかわれたほどだ。
確かに妻は、拒みはしないが好きな方では無かったと思う。
おそらく自分を全て曝け出す事が恥ずかしくて、楽しむどころでは無かったのだろう。
そんな妻が変わり始めたのは、35歳を過ぎた頃からだ。
その頃娘が自分の部屋で眠るようになった事も大きかった様だが、徐々に感じ方が激しくなり、言葉には出さないものの色気のある下着を着けるなどして、遠回しにではあるが妻からも誘って来るようになる。
おまけにどの様な体位も拒まなくなり、私もその様な妻の変化が嬉しくて、妻の要求には全て応えていたが、半年もして娘が小学校に上がった頃には、生理の時以外毎晩のように迫られるようになり、5歳上の私には流石に毎晩は応えられない。
「あのー・・・・・・言い難いのだけれど・・・・・・」
「夫婦じゃないか。何でも言ってみろよ」
「アダルト・・・ビデオを・・・・・・」
「AV?」
「他のお母さん達が・・・最近のは凄いと話していて・・・・・最近のも何も、
私は一度も見た事が無いから・・・・・・・・」
早速借りてきて見せると、最初は恥ずかしそうに横目で見ていた妻も、次第に私の存在など目に入らなくなり、画面に釘付けになって瞬きもしないで見入っていた。
あの妻が、AVを見て呼吸を乱しているのを見て興奮し、次第にダビングされたビデオは増えていく。
その後いつの頃からか、妻はビデオを真似するようになり、今迄なら私も腰を使わないと物足りなかったフェラも、少しでも油断すると出されてしまいそうになるほど巧になった。
妻が上になった時も、今迄なら恥ずかしそうにじっとしているだけだったので
私が下から突き上げていたが、ビデオを見るようになってからは自ら積極的に動くようになり、時にはスクワットをしているかのように、大きく股を開いて上下に激しく動く事もある。
私はその様な妻に満足していたが、妻の欲求はそれだけに止まらない。
「あんなのでされて、本当に気持ちいいのかな?あんなのを使われたら、どの様な感じなのだろう?」
ビデオを見ながらそう言う妻に「バイブを買ってやろうか?」と言うと、流石に「怖いから私には無理」と言ったが「じゃあローターを買ってやろうか?」と言う問い掛けには、恥ずかしそうに俯きながら「はい」と答えた。
小道具が1つ加わった事でセックスの巾が広がり、妻は以前にも増して快感を貪る様になって行ったが、妻の急激な変化に驚いてばかりいた私も、昼は淑女で夜は娼婦の様な妻を楽しんだ。
そんな妻にまた変化が訪れたのは、娘が2年生になった頃だ。
今度はセックスの回数が激減し、終には私が誘っても「ごめんなさい。お仕事で疲れてしまって」と言って拒否するようになる。
仕事というのは、娘が小学生になったのを機会に、一年前からパートとして勤め出した縫製工場。
連日拒む妻に浮気を疑ってみたが、私には大胆になれても、未だに海水浴場でも水着になれない妻が、私以外に裸体を晒すなど考えられず、妻に限ってそれは無いと打ち消す。
  1. 2014/06/21(土) 13:58:45|
  2. 表裏・所
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表裏 疑惑

逆に私は妻の体を心配し、一度医者に看てもらう様に勧めるが、妻はただの疲れだと言って行こうとしない。
「私はミシンを担当しているから、この様な事もあるらしいの。最初の頃は張り切っているし、慣れない仕事で緊張しているから逆に感じないらしいけれど、細かな仕事だから一年くらい経って慣れた頃に、根を詰めていた疲れが一度に出る事があるらしくて。大丈夫だから心配しないで。ありがとう」
しかしその後も拒否され続け、セックスレスの状態になってしまう。
「夫婦生活も出来ないほど疲れるのなら、そんな仕事は辞めてしまえ」
「ごめんなさい。ようやく慣れてきた仕事だから続けたいの。今日は大丈夫だから」
渋々妻は応じたが、いざ始まってしまうと以前よりも激しく乱れ、久し振りのセックスで興奮した私が今迄に無いほど責め続けると、我を忘れた妻は、最後に私を奈落の底に突き落とすような言葉を叫んで果てた。
「オメコ・イク~」
セックスに積極的になっていた時でも、妻がその様な言葉を口にした事は一度も無く、仮に以前見たビデオが浮かんで真似をしたとしても、持っているビデオに出て来るのはオマンコと言う呼び方だが、確かに妻はオメコと言った。
私は不信感でいっぱいになったが、妻はその様な言葉を口にした事すら覚えていない。
情けない事に、妻が浮気しているかも知れないと思っただけで、私は吐きそうになるほど動揺し、真実を知るのが怖くて自分の中で必死に打ち消して、妻の行動を調べる事すらせずに逃げていたが、私の気持ちなど知る由も無い娘に止めを刺される。
「お母さん。今日どこに行ったの?社長のおじちゃんと一緒に、黒くて大きな車に乗っていたよね」
娘は以前妻が忘れ物をした時に、一度職場に連れて行ってもらった事があり、その時社長からお菓子をもらったので顔を覚えていて、理科の授業で川に行った時、その社長が運転する車の助手席に妻が乗っていたのを見たと言う。
妻に疑いを持つ前なら、気にもしないで聞き流していたかも知れないが、私は新聞を読む振りをしながら、妻と娘の会話に聞き入っていた。
「えっ・・・ええ・・・・・社長のおじちゃんと・・内職さんの所へお仕事を置きに行ったの」
妻はミシンを担当しているのに、どうして社長と内職さんの所へ行かなければならないのか。
何より妻は明らかに焦っていて、言葉に詰まっていた事が気になる。
「お母さんは、見た事のないお洋服を着ていたよね?」
「何を言っているの。もうその話はいいから、早く食べてしまいなさい」
妻の服装の事は娘の見間違いかも知れないと思ったが、内職回りをするのに、高級車に乗っていた事も気になる。
「いつも社長自ら内職回りをするのか?大変だな」
私は新聞を見ながら、あえて妻がなぜ一緒に乗っていたのかは聞かずに尋ねた。
「えっ?・・・ええ・・・・あなたも知っているように、会社と言っても小さな会社だから、係りの人が休んだ時は・・・・・・・・・・」
私は2人の関係に疑問をもったが、他の従業員の目もあり、昼間から社長と不倫しているのは考え辛い。
仕事中に妻と社長が何時間かいなくなれば、当然他の者の噂になり、人前では大きな声すら出せない、他人の目を人一倍気にする妻には耐えられないだろう。
  1. 2014/06/21(土) 13:59:45|
  2. 表裏・所
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表裏 深まる疑惑

妻が社長と不倫していると仮定して考えてみた。
二人が昼間からホテルに行っている事は考えられず、そうかと言って5時30分には帰って来ている事は娘の話からも間違いないので、仕事が終ってから会っている事も考えられない。
仕事が忙しくなったので頼まれたと言って、2ヶ月前から土曜も仕事に行く様になったが、私が休みなのでいつもよりも早い4時には仕事を切り上げさせてもらって、4時30分迄には必ず帰って来る。
休みの日は買い物に行ったり、まれに娘の同級生のお母さん達と食事に行く事もあるが、ほとんど私といる事が多く、特別怪しい行動も無い。
そう考えると社長と浮気するどころか、他の男とも妻が浮気出来るような時間はない。
それからは多少気にはなったものの、妻とは20歳近く離れている社長に嫉妬し、妻を疑っている自分が情けなく思えた。
しかしそうは思っても、やはり心のどこかで疑っていたのかも知れない。
何故なら、以前よりも妻の行動を注意深く見るようになっていたから。
そして気が付いたのは、妻は必ず夜の9時にトイレに入る事だ。
それは何かの途中でも、例えトイレに5分前に入ったばかりでも変わらない。
私は忍び足でトイレに近付いて、悪趣味だと思いながらも聞き耳をたてた。
「・・・・・はい・・・・・主人とは・・・・・・・・」
妻は誰かと話していたが、声が小さくて聞き取れない。
翌日はもう少し近付いたが、やはり消え入るような声で話していて、分かったのは全て敬語で話しているぐらいで、内容までは分からなかった。
不信感が増した私は、思い切って妻の職場に行ってみようと決心し、次の土曜日、娘を近所の同級生の家に預けて妻の勤め先に向かうと、驚いた事に静まり返っていて誰もいない。
私が呆然として立ち尽くしていると、その縫製工場の社名が入ったライトバンが止まり、降りてきた年配の男に声を掛けられた。
「何か用かい?」
「今日は休みなのですか?」
「今日はと言うか、何年も前から土曜はずっと休みだ」
「ずっと休み?最近忙しくなって、土曜も仕事になったとか」
「いや。どんどん仕事は減っていく。一時は男の社員が4人いて、パートさんも30人以上いたが、今では中国製の安いのに押されて、男は俺だけでパートさんも7人しかいない。内職などは80軒も抱えていたが、今では10件だけだ」
これで妻が、社長と浮気する時間が出来てしまった。
時間が出来たと言うよりも、朝の9時から午後4時まで7時間もある。
その後も男は、暇になって土曜が休みになった理由を一生懸命聞かせてくれたが、私にはどうでも良い話だった。
「みんなは休みなのに内職回りですか。大変ですね」
早く話が終わって欲しくて、嫌な気分にしない様な言葉で話に割り込んだが、今度はその事について話し出す。
「俺は定年も過ぎているから、このぐらいの事はしないとクビになる。だからここ2年は俺だけ土曜も出て来ているし、一日も休んだ事が無い」
「土曜意外も休んだ事は無いですか?」
「だから、ここ2年は一度も休んだ事は無い」
また一つ妻の嘘が明らかになってしまった。
「ところで、あんたは何の用で?」
妻の事は言い難く、咄嗟に同業者だと嘘を吐いた。
「仕事が無くて、何か回して頂け無いかと思って」
「社長は自宅にいると思うが、無理だと思うぞ。うちも仕事が減って困っている状態だから」
駄目元で行ってみると言って、社長の自宅を聞き出して向かったが、近付くに連れて心臓の鼓動が早まる。
社長の自宅は古くて大きな一軒家で、苔の付いた古い門柱にチャイムのボタンが埋め込まれていたので押したが、壊れているのか返事が無い。
仕方なく勝手に門を入ると、黒い高級車の横に妻の軽四が止めてあった。
  1. 2014/06/21(土) 14:00:49|
  2. 表裏・所
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表裏 信じたい

玄関のチャイムを押したが、やはり返事が無いので裏口に回ると洗濯物が乾してあり、その中の真っ赤なパンティーとブラジャーが目を惹く。
「はーい。どなたですか?」
その時表の方から、聞き覚えのある声がしたので玄関に戻ると、そこには見た事も無いミニのワンピースを着た妻が立っていたが、私の顔を見るなり絶句して震え出した。
妻の後ろ髪が少し乱れているのに気付いた時、絶望感から何も言えずにその場を立ち去ったが、どの道を通って家まで辿り着いたのかさえ覚えていない。
1時間経って、ようやく妻は帰って来たが、何も言わずに涙を流しながら正座する。
「泣いていては分からない。詳しく説明しろ」
得意先の一社が倒産して、ただでさえ減り続けていた仕事は激減し、一番新入りの妻は人員整理の対象になったが、その時社長から違う仕事を頼まれる。
「どうして隠していた!」
「隠すつもりは無かったです・・・・ただ・・その様な仕事は駄目と言われそうで・・・・・・・いつかは話すつもりでした」
「俺に言えないような仕事とは、どの様な仕事をしていた」
「工場にはいかないけれど、新しい商品の生地や材料を選んで決めたり・・・・他所の商品を見に行ったり雑誌を参考にしたりして、デザインを決めたり・・・・・・・・・他には掃除、洗濯、炊事などの家事一切を・・・・・・・」
「社長の奥さんは?」
「半年前に離婚されて、出て行かれたので・・・・・・・」
妻は離婚した奥さんの代わりをしていたようだが、そこには性欲処理も含まれていたのではないかと疑ってしまう。
「社長に子供は?」
「いません」
妻の話しだと社長は一人暮らしになるが、それでは洗濯物の中にあった、真っ赤なパンティーとブラジャーの説明がつかない。
「社長は女物の下着を穿くのか?」
「えっ?」
「真っ赤なパンティーが乾してあったぞ」
「それは・・・・・・・・・・私には分かりません。私は脱衣籠の中の物を洗っているだけだから・・・・・帰ってからの事は分からないので・・・・・・・・」
妻の話を信じたい気持ちは大きいが、余りにも不審な事が多すぎる。
「あの格好は何だ!若い時でも穿かなかったような短いスカートを穿いて」
「お客様も多いので・・・・・・私の服装は趣味が悪いからと・・・・・・・制服のようなものだと言われて・・・・・・・・・」
「とにかく、嘘を吐かなければならないような仕事は今日で辞めろ。分かったな!」
「はい・・・・・・ごめんなさい」
急なセックスレス。嘘を吐いて仕事に行く。トイレに隠れて携帯電話。ミニスカート。乾してあった真っ赤な下着。何より私の質問に答えている時のおどおどした態度など、不審な点が多すぎて信用出来ないが、私は真実を知るのが怖くなり、それは娘のためでもあると言い聞かせて、このまま済まそうとしていた。
しかし昼間はどうにか持ち堪えられても、夜になると考えてしまう。
妻が真っ赤なパンティーを穿かされて、ミニのワンピースを着て掃除をしている。
それを離婚した、欲求不満な五十男が笑みを浮かべて見ている。
はたして見ているだけで済むのだろうか。
いや、済むはずが無い。
何よりあの妻が、何も関係の無い男の前であの様な格好をするはずが無い。
私は飛び起きて、眠っていた妻のパジャマを荒々しく剥ぎ取った。
妻は訳が分からずに驚いて抵抗したが、目が覚めてくると私のパジャマを剥ぎ取って、逆向きに覆い被さってきて、音を立てて激しくしゃぶる。
私も負けない様に口で妻を責め立てると、妻は狂った様に頭を上下させて応戦して来たが、先に我慢出来なくなったようで、咥えたまま動きを止めて唸り声を上げていたかと思うと、急に口を離して大きな声で叫んだ。
「ダメ・ダメ・・・イク・・・・オメコ・イク~」
妻に限ってと思いたいが、またオメコと叫んでいる妻を見ていると、やはりこのままでは済まされない。

  1. 2014/06/21(土) 14:27:26|
  2. 表裏・所
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表裏 絶望

月曜日の朝、妻は仕事を辞めてくると約束して私と一緒に家を出たが、胸騒ぎがしたので昼休みに家に電話してみると妻は出ない。
心配で仕事どころでは無い私は、体調不良を理由に会社を飛び出し、社長の家に向かうと悪い予感は的中し、妻の車が止まっていた。
「あなた!・・・・・・・・」
「何をしている!それに、その格好は何だ!」
妻はこの前とは違うミニスカートを穿いていて、大きな網目の黒いタイツが目を惹く。
「私が着いてすぐに得意先の方がお見えになっていたので、その話は後でと言われて、お茶を出したり食事の用意をしたりして手伝っていました・・・・・・・・・お客さんが帰られたら、きちんと話しますから」
「一昨日で辞める約束だっただろ!信用出来ないから、俺が話す」
「ちゃんと私が」
その時騒ぎを聞き付けて、痩せていて背の高い男が出てきた。
「どうしました?」
「主人が・・・・・・・」
私はなぜか社長の事を、太っていて脂ぎった厳つい男だと思い込んでいたが、実際は歳を感じさせない、スマートで優しい顔をした男だった。
「丁度良かった。私も一度お伺いして、ご主人と話がしたいと思っていました」
社長の言葉で妻の顔色が変わり、必死に私と社長が話すのをやめさせようとする。
「あなた。私がきちんと話しますから、今日は帰って。今はお客様もみえるので、お願いですから」
「私でしたら、商談は終ったので失礼しますから」
いつの間にか社長の後ろに立っていた、スーツ姿の30歳ぐらいの男は前に出てきて、急いで靴を履くと出て行った。
「お客さんは帰りましたから、優子さんも帰って頂いて結構ですよ」
「優子は先に家に帰れ!」
妻は涙目になっていたが、終に涙が溢れ出し、バッグや着て来た服を抱えて飛び出して行った。
「奥様に別れた妻の代わりをさせてしまって、誠に申し訳ありません」
「その事は聞いている」
「いいえ、そうでは無いのです。お気付きだとは思いますが、妻の代わりにセックスの相手までして頂いています」
私はそこまでの関係であって欲しくないと願いつつ、その事を聞き出そうとして2人で話す決心をしたのだが、相手から先にあっさり認められてしまった事で困惑した。
「私が全面的に悪いです。どうぞ、殴るなり蹴るなり好きにして下さい」
社長は床に正座して目を閉じたが、動揺していた私は何も出来ない。
「そんな事をして何になる!どう責任をとるつもりだ!」
「申し上げ難いのですが、お金で解決させて頂くしか無いと思っています」
「金で済ませる気か?」
「他に、どのように?」
この男を殺したいほど憎いが、私に人殺しをする勇気も無く、また娘の将来に託けて、それ以外の方法は無いのかと考え込んでしまった。
「奥様に対しての責任も、きちんと取らせて頂きます」
「どの様に」
「はい。私の様な者とこの様な関係になってしまっては、ご主人も奥様を許せないと思います。ですから奥様の後の事は、私が責任を持って面倒を看させて頂きます」
この男は丁寧な言葉で、私から妻を奪おうとしている。
「ふざけるな!俺は離婚などしない」
私は何の考えも策も持たずに話し合いに臨んだ事を悔やみ、家に帰ると妻は泣きじゃくっていて話しにならない。
「どうしてこうなった!」
「ごめんなさい。許して下さい」
「いつからの関係だ!」
「許して下さい」
娘が帰って来たので追求するのを中断し、夜になってからまた聞こうと思っていると、社長から話し合いに来ると電話が入るが、娘がいる所では話し辛く、私が夜出向く事になった。
  1. 2014/06/21(土) 14:33:23|
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表裏 ライバル

社長はこの間に銀行へ行って来たらしく、お金の入った銀行の封筒と、同じ事が書かれた二枚の示談書を並べて置いた。
「百万入っています。そこにも書いてありますが、離婚される場合はあと4百万支払いますから、どうかこれで許して下さい」
知らない人が見れば、誠意を示しているように見えるだろうが、この男が妻を諦めていないのは分かっている。
示談書を見て社長の名字は楠木だと初めて知り、全てに目を通したが、やはり今後の事が記されていない。
「今後一切妻とは連絡も取らず、会わないという事を記載しろ」
「それは出来ません。連絡を取り合ったり、会うぐらいでは不貞行為にはならず、法律には触れないはずです。優子さんが嫌がれば別でしょうが、嫌がらない限りお付き合いは続けさせて頂きたい。もっとも優子さんから抱いて欲しいと言ってくれば、また慰謝料を払う事になろうとも私は拒みません。優子さんの為のお金なら、いくら使っても惜しくはありませんから」
「妻は、二度とあんたに会わない」
「どうですかね?何しろ、最初は優子さんから抱いて欲しいと誘って来たのですから。夫婦は勿論セックスだけではありません。ただセックスの相性も、夫婦としての大事な一部です。人によっては、それが全ての人もいる。優子さんは、今後も私に抱かれたいと思っているはずです」
「嘘を吐くな。妻から誘うはずが無い。おおかた最初は無理矢理・・・・・・」
「人聞きの悪い事を言わないで下さい」
私が妻の浮気を疑い始めた時、3ヶ月前にあった慰安旅行も気にはなったが、その時は集合場所まで私が送って行き、年配のパートさん達と楽しそうにマイクロバスに乗り込む妻を見届けていたので、この時に関係を持つ事は有り得ないと思って外したが、楠木の話しによると、妻と最初に関係を持ったのはこの慰安旅行の夜だったと言う。
この時女性は7人で、ホテルだった為に女性用にツインの部屋を3部屋と、シングルの部屋を一部屋取り、妻だけが一人になった。
妻は宴会で飲み過ぎてしまい、部屋に帰って休んだ方が良いと忠告したが聞き入れずに、二次会にも参加したと言う。
すると更に酔ってしまって、自分の足では部屋まで帰れない状態になり、責任のある楠木が送って行くと部屋に入るなり服を脱ぎだして、下着姿で抱き付いてきて言ったそうだ。
「酔うとしたくなるの。お願い、抱いて。このままでは疼いてしまって眠れないの」
妻は楠木の前に跪くと、素早く取り出して口に含んで来たので、我慢出来なくなった楠木は、妻を立たせてベッドに押し倒してしまったと言う。
昼間の大人しい妻からは考えられないような、淫乱で激しい妻に放してもらえず、結局朝まで相手をさせられた。
旅行から帰ると罪悪感に苛まれたが、目が合う度に色っぽい目で誘ってくる妻を見ていると、あの夜の事が思い出されて誘惑に負けてしまい、2人で仕事を抜け出しては関係を続けてしまう。
自宅での仕事に切り替えたのは、ちょくちょく2人で抜け出していたので、他の従業員から怪しまれ出したからだそうだ。
「もう嘘は沢山だ!」
「嘘ではありません。その証拠に、最初は優子さんの方が積極的だったのです
が、次第に私が優子さんの魅力にはまってしまい、可也色々な事をさせてしまいましたが、優子さんは喜んで応じてくれました」
「色々な事?妻に何をした!」
「別れた妻の代わりに、セックスもお世話になっていたと言いましたが、実は妻には頼めなかったような事もしてもらっていました。本当に色々な事を」
「だから何をした!」
「いくらご主人でも、優子さんが恥ずかしがるのでいえません。それだけは勘弁して下さい」
確かに妻は性に対して貪欲になっていたが、あの妻が進んで恥ずかしい行為をしていたとは、やはり私には信じ難い。
「優子さんが私から離れる事が出来れば諦めます。優子さんは私を選ぶと信じていますが」
「優子は二度とここには来ない。金輪際近付くな!」
妻が私よりこの男を選ぶなどとは考えられず、この男とは早く決着をつけて、妻と向き合おうと思って始末書にサインすると、慰謝料を掴んだ。
  1. 2014/06/21(土) 14:34:21|
  2. 表裏・所
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表裏 見えない真実

家に戻ると、妻に涙は無かった。
「優子から誘ったのか!」
当然否定すると思っていたが、妻は下を向いてしまって顔を上げない。
「・・・・離婚して・・・・・」
あまりの事に、私は言葉に詰まった。
この妻が他の男に抱かれていた事だけでも、それは私にとってどの様な問題なのか理解出来ないでいるところに、私と別れたいと言い出したのだ。
「どう言う事だ!」
「・・・・・・離婚して・・・・・・・・社長が・・好き・・・・・・・・」
更に私は、深い闇に包まれる。
私が“離婚”を口にすれば、妻は「離婚だけは許して」と言って縋り付くと勝手に思っていた。
だから“離婚”“別れる”“出て行け”は、妻に裏切られた惨めな私の武器だと思い込んでいた。
しかし、その武器を逆に使われて、私は何も言えなくなっている。
妻の体が他の男を欲しがっただけでも許せないが、心は私にあると疑いもしなかった。
妻が小さな声で言った「社長が好き」が、私の心に重く圧し掛かる。
怒りや寂しさが交差して眠れない私は、次第に何か釈然としないものを感じる様になっていた。
私はこの事が発覚する前の妻の様子を思い出していて、妻はまだ私を愛していると思った。
これは私の勝手な思い込みで、そう思いたいだけかも知れないが、多少の浮気心はあったにしても、私と別れるほど本気になっているとは到底思えない。
もしもそうだとすると、私が出て行ってから色々考えていて自棄になってしまったか、あるいは私が楠木の家を出てから家に着くまでの間に、楠木との間で何らかの話し合いがなされた可能性がある。
私が家を出る前の妻は絶えず縋る様な目で私を見ていたが、楠木の所から帰って来ると、焦点の定まらない、全てを諦めたような虚ろな眼に変わっていた。
それを思うと話し合いと言うよりも、楠木に電話で何か言われたのか。
言い換えれば楠木に脅された事になるのだろうが、浮気が発覚してしまった今、妻に脅されるような材料は見当たらない。
やはり妻は、私よりも楠木に惹かれているのか。
しかし楠木にしても、疑問の残る行動が目立つ。
妻に未練がある様な事を言う割に、すぐに慰謝料を払って早くこの事を終わらせようともしている。
何より、簡単に自ら体の関係を認めた事が気に入らない。
妻との深い関係を誇示して、私に妻を諦めさせようと思ったとも考えられるが、それでも体の関係を簡単に認め過ぎる。
景気の良い時ならまだしも、普通なら少しでも慰謝料を少なくしようとするか、
出来れば払わずに済まそうとすると思うのだが、お金で済めば良しと思っている節がある。
やはり私が聞きもしないのに自分からすぐに認め、その日の内に慰謝料を用意した事が納得出来ない。
冷静に考えれば考えるほど、妻や楠木の考えている事が分からない。
私の思い違いかも知れないが、妻は不倫の事よりも知られたくない事があり、楠木は妻への愛情とは違う理由で、妻に執着している様に感じる。
翌日仕事が終ると、私の足は自然と楠木の会社に向かっていた。
すると、みんな帰ったはずの工場に明かりが点いていて、先日話をした年配の男が一人で裁断をしている。
「誰かと思ったら、あんたか。どうだった?駄目だっただろ?」
私は先日少し話しただけなのに、何故かこの無骨な男に親近感を抱いていて、騙していた事を謝ってから優子の夫である事を告げた。
すると男の態度が急に変わって、仕事をやめて後片付けを始める。
「一緒にご飯でも食べに行きませんか?」
「俺は仕事が終ってから、飯の前に一杯やるのが唯一の楽しみだから、外で飯は食わない。車で来ていて飲めないからな」
そう言って車のドアを開けたが、急に振り返って私を睨んだ。
「何を知りたくて俺に近付いたのかは知らんが、俺は何も言わないよ。仮にもここで世話になっている身だからな」
そう言って車に乗り込んだが、エンジンは掛けずにドアを開けたまま、独り言の様に呟いた。
「慰安旅行の酒は不味かった。この不況にあのケチが慰安旅行に連れて行ってやると言い出したから、珍しい事もあるものだと楽しみにしていたが、得意先を2人も連れて来て、何でもあいつら中心だ。あれでは従業員の慰安旅行ではなくて接待旅行だ。煙草まで買いに行かされて、俺は奴らの使いっ走りだし、パートさんはコンパニオンじゃ無いぞ。朝早くから酒を浴びて、バスに乗り込むなり触るは抱き付くはで、それだけならまだいいが、ホテルでは」
慰安旅行の後、妻は工場の方に来なくなり、その夫である私が二度も訪ねて来た事で、何を知りたいのか察したのだろう。
男は「ホテルでは」まで言うとエンジンを掛けて行ってしまったが、妻の事で何か知っていて、私にヒントをくれたのだと思った。
  1. 2014/06/21(土) 14:35:17|
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表裏 怒り

仕事量が減って苦しい。慰安旅行に得意先の男が2人。パートさんをコンパニオン扱い。男2人の為の接待旅行。その夜楠木は妻を抱いた。
大事な接待の夜、楠木は自分だけ良い思いをするだろうか。
私の脳裏には、おぞましい光景が浮かんできて、帰るとすぐに妻に対して鎌を掛けた。
「慰安旅行では楠木だけでなく、得意先の人間にも抱かれたらしいな。それも2人に。楠木を入れると、一晩で3人の男の相手をしたのか」
妻は驚いた顔をして私を見た後、大きな涙が毀れるのと同時に、狂った様に叫び始めた。
「私は社長と浮気しました。社長に抱かれました。でも他の男なんて知らない。一度に何人もの男の相手なんてしていない。私は社長に抱かれただけ」
私は「一晩で」と言っただけで、一度に相手したとは言っていない。
私の脳裏に浮かんでいたのは、1人が終わるとまた1人と、順番に部屋に入って来て妻を犯していく男達の姿。
しかし妻の言葉から、笑いながら夜通し3人で妻を辱めている姿が浮かぶ。
「私は社長に抱かれただけ。そんな酷い事はされてない。私は、私は」
妻の取り乱し様は尋常では無く、それが妻の答えだった。
「落ち着け!」
私が強く抱き締めていると、妻は1時間近く狂った様に泣き続けた後、ようやく少し落ち着いて泣き止んだ。
「何を聞いても驚かないから教えてくれ。俺は優子に起こった事の全てが知りたい」
しかし妻は、ただ俯いているだけで反応が無い。
「俺と優子は夫婦だろ。一心同体の夫婦だろ」
妻はようやく顔を上げると私を見詰め、大きく頷いた後ぽつりぽつりと話し出した。
慰安旅行には従業員の他に2人の得意先も参加していたが、彼らは朝から楠木の家で酒を飲んでいたらしく、バスが走り出すとパートさん達の身体を触ったり、抱きついたりして上機嫌だった。
パートさん7人の内では妻が30代後半で一番若く、その上は40代後半が3人と50代が2人、あとの1人は60代だったので最初若い妻が標的になったが、妻は不快感を露にしたので尻込みし、バスの中では少し派手目の40代の2人が、主に犠牲になっていた。
しかし夜の宴会では妻に執ように絡んできて、何とか酒を飲ませて酔わそうとする。
妻は彼らが嫌で仕方なく、お酌をされても断って飲まず、酔った振りをして触ろうとすると、手をピシャリと叩いて睨み付けていた。
すると、その様子を見ていた楠木は、彼らがバスの中で標的にしていた40代の2人の横に移動した隙に妻の前にやって来て、妻に酌をしながら、会社にとって2人がどれだけ大事な人間か諭し始める。
「彼らを怒らせたら、うちは終わりだ」
それを聞いた妻は彼らが再び戻って来ると、先ほどの様には強く断われなくなっていた。
大人しくなった妻に気を良くした2人は、両横に座って身体を密着させながらお酌をし、手を握ってきたりお尻を触ったりしてくるが、社長が前に座って睨んでいては、愛想笑いをするしか無い。
その後も3人は妻から離れず、やがて宴会はお開きになって他の者が席を立ち始めても、両横には得意先の2人、前には楠木、後ろは壁の妻は立ち去れず、気が付くと宴会場には4人だけになっていた。
他の者がいなくなると彼らの行為は更に大胆になって、ホテルの従業員が側で後片付けをしていても気にもせずに、抱き付いてきて頬にキスをしたり、両側から乳房を掴んで揉んだりもした。
例え関係の無いホテルの従業員にでも、しらふの人間にこの様な惨めな姿を見られるのは数倍恥ずかしく、楠木が二次会を提案すると、この頃には強引に飲まされた酔いも回って来ていて正常な判断が出来なかった事もあり、妻は二次会に付き合う事を承諾してしまうばかりか、一刻も早くこの状態から逃げたい一心で「早く行きましょう」とまで言ってしまう。
しかし妻が連れて行かれたのはカラオケルームで、そこでの妻はほとんどホステス状態でお酌をさせられ、返杯に次ぐ返杯で3人相手に半強制的に飲まされ続けた。
妻一人に対して相手が3人では、妻の酔いだけがどんどん酷くなって行き、楠木が歌っている間、得意先の2人に両側から触られても、手を撥ね退ける力も弱くなって行く。
カラオケをしに来ているというのに、楠木が歌うか曲が流れているだけで、2人はもっぱら妻を触っているだけの状態だったが、妻が「触らないで」と言おうものなら「それなら酒ぐらい付き合え。楠木社長が二次会に行こうと言い出した時、俺達は気が進まなかったが、君が早く行こうと誘うから付き合ったんだぞ」と言われて酒を勧められる。
妻は弱い方ではないが、既に限界を越えていて「もう飲めません」と断わると、一人に後ろから羽交い絞めにされて、もう一人の男に口移しで飲まされた。
その様な行為が延々と続き、終に妻は泣き出したが、2人はそれでも許さずに「泣いて場の雰囲気を壊した罰だ」と言って、動けない様に両側から押え付ける。
妻は全てのボタンを外されて、2人の手によって剥かれてしまい、下着だけの姿にされると「そろそろ、これも取ってしまおうか」とパンティーを引っ張られながら言われたので、妻は必死に押えながら許しを請う。
すると楠木が仲裁に入り「これ以上は駄目です。うちの従業員を、そんなに虐めないで下さいよ」と言ってくれたので、妻はこれで助かったと思ったが「その代わり、下着姿でダンスをお見せします」と言われて奈落の底に突き落とされる。
妻はブラジャーとパンティーだけの姿でテーブルの上に追い立てられ、身体を隠して座り込んでいると「早く立って踊らないと、裸にされてしまうぞ。曲に合わせて、適当に腰を振っていればいい」と楠木に耳打ちされる。
またパンティーを引っ張られた妻が、手を振り払って立ち上がると、楠木は前に出て歌い始め、2人の男は足元に座って見上げながら「もっと足を開け」「もっと厭らしく腰を振れ」と笑いながら冷やかし続けた。
妻は少し動いた事で更に酔いが回り、崩れ落ちると下にいた2人に抱きかかえられ、ブラジャーを外されてしまったが抵抗する力も無い。
その時終了の時間を知らせるベルが鳴ったが、2人は妻の乳房に纏わりついて離れず、従業員が終わりの時間になった事を知らせに入って来た時は、妻は惨めな姿を見られた恥ずかしさよりも、これで助かったと安堵する。
妻は自力では歩けない状態で、両側から支えられてホテルの部屋まで戻り、朦朧とした意識の中ベッドに放り出されると、3人の男がまだいるにも関わらず、酷い睡魔に襲われた。
するとどこからか「脱いでしまった方が楽になるぞ」という声が聞こえて来た後、また誰かの手によって服を脱がされている様だったが、それが夢なのか現実なのかも分からない状態で、何の抵抗もせずに眠ってしまう。
そこからの記憶は途切れ途切れで、気が付くとパンティー一枚の姿で男の膝に座らされていて、オッパイを揉まれながらキスをされていた。
また意識が遠退いた後気が付くと、今度は全裸にされていて、先ほどとは違う男がオッパイに吸い付いている。
下に目をやると、これ以上広がらないというほど大きく脚を開かれていて、もう一人の男が腹這いになって覗き込んでいたが、力無く「やめて」と言うのが精一杯で、身体が鉛の様に重くて自分では脚を閉じる事も出来なかった。
次に息苦しさで気が付いた時には、口には硬くなったオチンチンが入れられていて、下ではもう一人の男が最も感じる突起に吸い付いていたと言う。
私は妻の惨めな気持ちを思い、これ以上聞くのを躊躇った。
「どうして言わなかった?それが本当なら犯罪だ」
妻は激しく首を振る。
「感じてしまったの。私、感じてしまったの」
妻がこの様な目に合った事自体信じられない思いだったが、その後妻の口から更に信じられない言葉が飛び出した。
「これは強姦ではなくて和姦だと言われました。私が喜んでいる証拠のビデオもあると」
楠木は昼間旅行の様子を撮っていたビデオカメラを持って来て、妻の痴態を撮影していたらしい。
私はこれまで妻の浮気を疑っていても、間違いであって欲しいと願うだけで、どこかで気持ちが逃げていた。
浮気が確定した時は、これ以上関係を続けて欲しくないと願っていただけで、この様な事から早く逃げたいとさえ思った。
心の中のどこかで、私さえ我慢すれば元の生活に戻れると、安易に考えていたのかも知れない。
しかし今の私は、三人の男に対して殺意を覚えている。
3人の男に対する怒りで狂いそうだった。
  1. 2014/06/21(土) 14:36:12|
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表裏 疑心

この様な場合、強制猥褻や強姦を証明するのは簡単では無いだろう。
ビデオの件もそうだが、訴えもせずにその後も妻自ら楠木の家に通って関係を続けていては尚更不利だ。
誰も証人のいない密室での出来事で、妻には一切怪我も無く、無理やりかどうかは水掛け論になる。
訴え出ても、おそらく判決までは数年掛かり、その間妻は好奇の目に晒される。
好奇の目に晒されるのは妻だけではなく、私や娘も同じ事だろう。
仮に勝訴したとしても、妻が3人の男に辱められた事実は消えず、世間にとってこれ程面白い話題は無く、被告よりも特別な目で見られ続ける事は間違い無い。
ましてや証拠不十分で敗訴にでもなったら、妻は一度に複数の男に抱かれて喜んでいた、淫乱な女だというレッテルを貼られる事になる。
世間の人がこれを聞けば、恐らくほとんどの人が、許すな、告訴しろと言うだろうが、その世間が同情を装いながら後ろ指を指す。
男の私でもそう思うくらいだから、女の妻が訴えずに隠そうとした気持ちは頷ける。
ただ疑問に思う事が無い訳では無い。
私は妻がこの様な目に合っていた事を、微塵も感じ取れなかった。
私が鈍感なだけかも知れないが、セックスを拒否されてようやく浮気を疑っただけで、妻が特別落ち込んでいた様子も無かったような気がする。
逆を言うと、それだけ妻は惨めな自分を知られない様に、隠す事に必死だったのかも知れ無いが、それでもどこかに辛さや惨めさが現れても不思議では無い。
そう考えると、最初は酔わされて無理やりされたのが事実であっても、その後は妻も、嫌がりながらも喜びを感じてしまったのかも知れないと疑ってしまう。
妻の話が全て本当だとすると、この様な事を考えてしまう事自体、妻を酷く侮辱している事になるが、私はその疑問を拭い去る為に、全てを知りたくて妻に辛い質問を再開した。
「辛いだろうが、全てを教えてくれ。その後どうなった?その後楠木に抱かれたのだな」
妻の酔いは徐々に醒めてきたが時既に遅く、獣の格好にさせられて一人に後ろから入れられている状態で、もう一人には口を汚されていたと言う。
2人は妻の身体を散々弄び、ようやく満足して自分達の部屋に帰って行ったが、今度は残った楠木にバスルームに連れて行かれ、指で開かれて中までシャワーを浴びせられる。
2人の男に責め貫かれ、上下の口を同時に汚されるという常識では考えられないような行為をされた妻は、ベッドに連れて行かれて身体を開かれても、ショックから立ち直れずに抵抗する気力さえ失っていて、心の無い人形のようにベッドに身を横たえて、楠木にされるままの状態だった。
しかしそんな妻も女の性からは逃れられずに、夜が明ける頃には自ら楠木の背中に手を回していたと言う。
他の者が起き出さない内に部屋に戻ろうとする楠木に「この事が知れれば、恥を掻くのは優子だ。何しろ、一晩中あんな恥ずかしい声を上げ続けていたのだから」と言われた妻は、旅行中は他の者に知られない様に、眠気を隠して何事も無かった様に振る舞うのがやっとで、家に帰ると今度は私に知られないように、平静を装うのに必死だった。
「確か旅行に行く前は、優子達だけツインに3人だから、一番若い優子がエキストラベッドになると言っていなかったか?」
「女性は奇数なので、私達一組だけは3人部屋になると聞いていました。でもホテルに着くと、エキストラベッドでは可哀想だからと、女性用にツインが3部屋とダブルの部屋が用意されていて、部屋割りを見ると私一人がダブルの部屋になっていて・・・・・・」
これは酔った勢いで起こった事ではなく、最初から仕組まれていたのだと思った。
「得意先の2人とは誰だ?」
「一人は50代半ばぐらいの問屋の社長で、池田社長と呼ばれていました。もう一人は30歳前後の若い社員で、量販店をいくつも抱えている大きな問屋の跡取りだと聞いています。社長は若と呼んでいましたが、名前は確か遠藤だったと・・・・・・・・・・」
若い方の男は、昨日楠木の家から逃げるように出て行った、スーツ姿の男だと直感した。
「もしかして、昨日楠木の家に来ていた男か?」
妻は小さく頷いた。
「この様な事をされたのに、どうして仕事を辞めなかった?」
「あの夜の私の行動を不信に思った人もいて、あのまま辞めて私がいなくなれば、余計疑われて噂になってしまい、いつかあなたの耳に入ると・・・・・。それに一番年上のパートさんは、有希の同級生のお婆ちゃんで・・・・・だから・・・・・噂になれば有希の同級生のお母さん達にもいつか知られて・・・・。とにかく、あそこから離れるのが不安で怖かった」
「それにしても、あそこには優子に酷い事をした楠木がいるのだぞ。その話が本当なら、二度と顔を見たくないだろ。会うのが怖いだろ」
「怖かったです。でも社長には逆に、お互いに酔っていたから、夢を見たと思って忘れろと言われて・・・・・・」
しかし妻の判断は間違っていて、最悪の方向に進んで行く。
数日が経ち、仕事が終って帰ろうとした時に楠木に呼び止められて「旅行中に撮ったビデオの鑑賞会をするから、明日はここではなくて自宅に来い」と言われる。
危険を感じた妻が断わると「俺達だけでは寂しいから、それなら誰か他の者を呼ぼう。井上がいいかな」と妻が一番知られたく無い、娘の同級生の祖母の名を出す。
翌日仕方なく家に行って、楠木に案内された部屋のドアを開けると、案の定あの2人がいたので、妻はドアの所に立ったまま中には入れない。
そこから画面を見ると、観光地での様子などが映っていて「心配しなくても、今日は誰も酔ってはいない。みて見ろ。ただのビデオ鑑賞会だ」と楠木に後ろから押される。
妻は2人から離れた所に座ったが、心配でビデオを見るどころではなかった。
すると急に2人から歓声が上がり、画面を見ると今までとは違い、下着姿でベッドに横たわる、自分の姿が映し出されていた。
  1. 2014/06/21(土) 14:49:09|
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表裏 蟻地獄

妻は立ち上がって部屋を出ようとしたが、ドアの近くに立っていた楠木に腕を掴まれる。
すると座っていた2人が立ち上がって近付いて来たので、妻の脳裏にあの夜の恐怖が甦り、何とか逃げ出そうと激しく抵抗したが、男3人の力には勝てるはずも無く、無理やりテレビの前に連れて行かれると2人に押え付けられ、残った一人に髪を掴まれて、無理やり自分が辱められている映像を見せられた。
その日を境に、妻は楠木の自宅に勤めるようになり、毎日の様に3人の内の誰かに抱かれ、それは2人同時の時もあり、時には3人に責められる事もあった。
楠木は妻に「ここにいる時は旦那や子供の事は忘れて、全く違う人間になってサービスする事に専念しろ」と言って、妻が着た事も無い様な服を買い与え、下着までも派手な物に着替えさせるようになる。
「どうして俺とのセックスを拒んだ」
妻の表情が険しくなった。
「それは・・・・・・・・」
「それは何だ!」
「言えない・・・許して」
3人に弄ばれていた事まで話した妻が、言えないと言って黙ってしまった事で、まだこれ以上の事があるのかと怖くなる。
「全てを正直に話してくれ。そうでないと、俺は一生優子の事で要らぬ想像をして、苦しみながら暮らさなければならない」
「その頃から・・・・・・・・・・縛られる様になって・・・・・・・・」
初めて縛られて辱められた日、妻は何とかこの様な行為から逃れたくて、特に痕は残っていなかったが「こんな事をされたら痕が残ってしまって、夫にばれてしまいます。こんな事はやめて下さい」と抗議した。
するとそれが逆効果になってしまい「痕が残らないように、軟らかい専用の縄をわざわざ買って来て使ってやっているのに、それでも痕が残るから嫌だと言うのなら、今日から旦那とのセックスを禁止する。それならばれる心配も無いだろ」と言われ、毎晩9時丁度に電話を入れる事を義務づけられる。
「トイレで電話していたのがそれか?毎晩、何を話していた?」
「今夜も主人には・・・絶対に抱かれませんと・・・誓わされて・・・・・・」
妻は何度も行くのをやめようと思ったが、その後も撮られていたビデオの存在が決心を鈍らせた。
「毎回ビデオに撮られていたのか?」
「いいえ・・・旅行の時を入れて・・・・・4度ほど・・・・・」
「そのビデオで脅されていたのか?」
「脅す事はしませんでした。でも・・・・・冗談の様に言う事があって」
楠木は汚い奴で、はっきりと脅す事はしなかったが、冗談の様に「このビデオを見て、ウンチもしないような顔をして澄ましている優子がこんな凄い事をしていると知ったら、さぞかしみんな驚くぞ。他の者には見せないが」と言ったりして脅す。
しかし妻に二の足を踏ませていたのはそれだけではなく、楠木に対する恐怖心だった。
旅行から帰ってから最初に弄ばれた日、終わってから涙が止まらない妻に楠木は、奥さんとの本当の離婚理由を明かす。
「2人に抱かれたぐらいで、怒って出て行きやがった。この不況に、少しは協力すれば良いものを、本当に勝手な奴だ」
楠木は再婚で奥さんは若く、妻よりも少し年下だったと言う。
楠木の会社は主に3社を相手に商売していたが、その内の1社が倒産し、ただでさえ中国製品に押されて困っていた楠木は、残った2社からの注文を増やそうと考えた接待が、自分の妻を抱かせる事だった。
これだと同じ秘密を持つ事で離れられなくなり、同じ女を共有する事で親近感も増して、より親しくなれると考えたのだ。
楠木は2人を家に呼び、自分は用を作って外出して、2人に奥さんを襲わせた。
しかし、当然奥さんは怒って2人を訴えると言い出して聞かないので、今度は自分の目の前で襲わせて、2人に辱められている奥さんに向かって「これは俺の性癖で、夫婦のプレーの一環だから、訴えても俺が証言するから無駄だ」と言ったそうだ。
奥さんの金遣いの荒さが原因で離婚したと聞いていた妻は驚くと同時に、楠木に対しての恐怖心を植え付けられてしまう。
「あの男が来ていたと言う事は、昨日も・・・・・・・・」
「ごめんなさい。着いてすぐに玄関で、今後ここには二度と来ないと言ったら、最後に二人に抱かれてくれれば、これで最後だと相手を納得させられるのでビデオも処分すると言われて・・・・・・1人は忙しくて急には来られなかったけれど・・・・・・あの男に・・・・・・・」
「本当にそれで、縁を切ってもらえると思ったのか?」
妻は俯いてしまう。
考えながらではなくて淡々と話す妻を見ていて、話している内容に嘘は無いと感じた。
しかし、その淡々と話す姿に、何かズッキリしない物を感じてしまう。
最初こそ泣いて取り乱したが、それは惨めな自分を私に知られるのが耐えられなかった涙だろう。
これだけ辛い体験なのに、その後は泣きもしないで話す妻。
最初の頃は恥ずかしく辛い事だったかも知れないが、妻自身ずっと辛かったと思い込んでいるだけで、本当は徐々に辛い出来事ではなくなっていたのかも知れない。
言い換えれば、辛く苦しい中にも、喜びを見出したのでは無いだろうか。
この先どうなるか分からない不安の中、辛さを快感に変える術を見付けたのでは無いだろうか。
そうでなければ3ヶ月もの間、毎日の様にこれだけの辛い思いをしていれば、精神的にそう強くも無い妻は、多少精神に異常を来たしていても不思議では無い。
今も話しながら辛くて惨めな自分を思い出しているはずで、泣きじゃくって取り乱しても不思議では無い。
しかし妻は、泣きもしないで淡々と話す。
自分が壊れてしまわない様に、苦しみを少しでも喜びに変えられる様な機能が妻にあるとすれば。
苦痛を少しでも快感に変えられる様な機能が妻にあるとすれば。
自分を守る為に、その様な機能が備わっている人間がいるとすれば、妻は正しくその様な人間だったのでは無いだろうか。
気持ちではどんなに拒否して嫌がっていても、それ以上に身体が喜んでしまっていた事が、妻に訴える事を躊躇させ、苦しみながらも気が付くと楠木の家に足を運ばせていたのかも知れない。
私は楠木が撮ったという、ビデオを見てみたくなった。
  1. 2014/06/21(土) 14:50:02|
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表裏 騙し合い

翌朝、私は楠木の家に向かった。
暗い夜に考えているのと違い、明るい朝では割と冷静になれたつもりだったが、楠木の顔を見た瞬間手が出てしまう。
私が人を殴ったのは初めてかも知れない。
幼い頃に取っ組み合いの喧嘩をした事はあるが、殴った事は無い様な気がする。
私はボクシングを見るのが好きで、パンチはどの様に打つか頭の中では分かっていたが、やはり理論と実践とでは大違いで、腕の振りは大きく、おまけに最初から力が入ってしまっていて遅い。
それでも楠木の頬にヒットしたという事は、楠木もこの様な事には慣れていないのだろう。
「何をする!」
「それは自分の胸に聞け!」
妻が全て話した事を言うと、楠木は殴られた事よりも驚いたようだ。
おそらく、妻は恥ずかしくて絶対に話せないと思っていたのだろう。
「そんなものは、優子が自分を守りたくて言った、作り話だ。あれは犯罪でも何でも無い。優子も納得して喜んでした事だ。でもこれは違う。暴力は立派な犯罪だ。警察を呼んでやる」
楠木が携帯を取り出すと、流石に私は焦っていた。
なぜなら、妻に3人を訴えさせる事は考えていなかったが、警察沙汰になれば妻の事を話さなければならない。
そして私の罪を軽くする為に、訴えることになるだろう。
そうなれば考えていたように、好奇の目に晒されて被害を受けるのは妻であり、私や娘なのだ。
「呼ぶなら呼べ。こちらも訴えてやる」
訴える気は無かったが、このままでは引けずに強気に出てそう言うと、楠木は手を止めて薄ら笑いを浮かべた。
「どうぞ、訴えてくれ。世間に優子が淫乱だと知れるだけで、私は痛くも痒くも無い」
楠木は余程自信があるのだろう。
妻の話が嘘で無ければ、それだけ用意周到に練られた計画であった事を意味していた。
「優子は喜んで抱かれていたのだから、その様な訴えが通るはずは無い。私が人妻を抱いたのは事実だが、その事が世間に知れても、妻も子供も親兄弟もいない、守るものなど何も無い私にはどうでも良い事だ。そもそも、その事は慰謝料を払って決着している」
確かに守る家族もない楠木は、私よりも強い立場かも知れない。
楠木が手に持っていた携帯を開いた時、私は苦し紛れに2人の名前を出した。
「池田と遠藤も同じ考えか?」
すると楠木の表情は一瞬で強張り、今迄とは違って落ち着きが無い。
「あの2人は関係ない。私が優子に接待を頼んだだけだ。あの2人は優子の接待を受けただけだ」
「接待?無理やり酒を飲ませて卑猥な事をさせ、意識がなくなったところを3人で嬲り者にしたのが接待だと!」
「だから、そんな事はしていない。この事は、優子も旅行前から納得していた。いや、納得したと言うよりも楽しみにしていた。それでもいざとなると少しは罪悪感が出て来たのか、自分から浴びるほど飲んで酔っただけで、これは全て合意の上だ。あんたにばれたので優子は自分を守る為に、苦し紛れにそう言って逃げただけだ」
楠木の顔からは余裕が消えて動揺しているのが分かったが、守るものがない楠木が、得意先2人の事でそこまで動揺する訳が分からない。
2人を怒らせて仕事が減っては、食べていくのに困るのは分かるが、二人の事でそこまで動揺するほど今の仕事に愛着があるとも思えず、そこまで仕事熱心な男だとも感じられない。
ただ訳は分からなくても、楠木の弱点は池田と遠藤である事が分かった私は、ここに来た目的を達成させる為に、2人を交渉の道具に使おうと決めた。
「お前の話だけでは信用出来ない。今から池田と遠藤に会ってくる」
「あの2人は関係ない」
「そうは行かない。今から会社に怒鳴り込んでやる」
私が立ち上がると、楠木も慌てて立ち上がった。
「優子も喜んでいたという、証拠のビデオがある。それを見ればあんたも納得するはずだ」
「お前がビデオの事を話したから、俺も本当の事を話そう。俺が今日ここに来た本当の目的は、そのビデオを取り戻す為だった。仮に勝訴しても俺達夫婦は世間から笑われる。だからこの様な事は早く忘れたいと思ったが、妻からビデオの存在を聞いて、そんな物をも持たれていては、忘れる事など出来ないと思った」
私はわざと弱気なところを見せた。
「それならビデオを渡すから、今日のところは帰ってくれ」
案の定楠木は、ビデオを渡せば全て形がつくと思ったようだ。
「しかし、ここに来てお前の顔を見たら、自分はどうなっても良いから、お前達を潰したくなった」
今度は少し強気の事を言うと、楠木は小走りで部屋を出てビデオテープを持って来たが、それは3本だけだった。
「妻の話しだと、もう1本あるはずだ」
「確かにあるが、大事な証拠のビデオを全て渡す事は出来ない」
私は妻がどの様な事をされて、どの様な反応を示したのか知りたい気持ちもあったが、それよりも楠木が妻の恥ずかしいビデオを保管している事が嫌だった。
「お前はやはりそう言う男だった。交渉決裂だ。こうなったら名誉毀損も糞も無い。今から池田と遠藤の会社に怒鳴り込んでやる。刑事で訴えてお前が言う様に駄目だった場合、不貞行為の民事で裁判にしてやる。お前に弱味が無いのなら、先ずはあいつらを潰してやる。刺し違えてでも、必ず潰してやる」
楠木は、私が2人の所には行かない事を条件に、ビデオを全て渡すと言い出した。
「よく考えれば、俺達が無理やり犯したという証拠も無い。優子が自分の意思で、喜んで抱かれに来ていたのだから、その様な証拠があるはずも無い。」
「ビデオを見て、どのビデオでも妻が本当に喜んでいたら、諦めて離婚する」
私がビデオを取り返したい一心で、更に口から出任せを言って安心させると、楠木は信じたのか声を出して笑い出す。
「それならビデオを渡してやろう。あれを見たら離婚は確実だから、ビデオは離婚してから、またゆっくりと撮ればいい」
妻が私と別れれば、妻はまたここに来ると思っている。
妻はそれほど喜んでいたのだろうか。
私はダビングして何本も持っていないか確かめる為に、ビデオを取りに行く楠木の後をついて行った。

  1. 2014/06/21(土) 14:51:03|
  2. 表裏・所
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表裏 ビデオの中の妻1

妻は私がビデオを持って帰って来た事を知ると、私の手から奪おうとして掴み掛かって来た。
「返して!これは見ないで!お願い、返して!」
私が無言で妻を突き飛ばし、①とだけ書かれたテープをデッキに入れると、妻は泣きながら部屋を飛び出して行ったが、画面の中ではその妻が下着姿で横たわっている。
すると池田だと思しき男がパンツ一枚の姿で登場し、妻を抱き起こしてキスをしながら、ブラジャーを外して優しく乳房を揉み始めた。
池田「人妻らしい、ムチムチとした身体が堪らんな。白い身体に、この黒い乳首がまた厭らしい。さあ、ここはスペシャリストにお願いしようか」
楠木「何ですか?そのスペシャリストと言うのは?」
池田が妻をそっと寝かせて離れると、やはりパンツ一枚になった遠藤がベッドに上がって、いきなり乳房に吸い付いた。
池田「遠藤君はオッパイフェチらしい。楠木社長は見ていなかったが、最初に圭子さんを抱いた時、延々とオッパイを吸ったり揉んだりして、圭子さんを大人しくさせてしまった」
圭子さんとは、楠木の別れた奥さんのようだ。
その後どれほどこの状態が続いたのか分からないが、画面では池田が全裸になっていて、突き出たお腹の下では、短いが黒くて太いオチンチンを既に勃起させていた。
池田「楠木社長。ここを撮ってくれ」
池田の指差す妻の股間がアップになると、そこでは薄い布が濡れて張り付き、妻の形を露にしていた。
池田「好きこそ物の上手なれか。意識が朦朧としているのに、遠藤君にオッパイを責められただけで、こんなに濡らしてしまっている」
楠木「池田社長。そろそろ御開帳と行きませんか?」
池田「そうだな。さて、優子奥様はどんなオメコをしているのかな?優子奥さん、こんなに濡らしていては気持ち悪かっただろ?私が脱がしてやろうな」
池田はパンティーを抜き取ると、妻の脚を大きく開いてその間にうつ伏せになり、顔を近付けて覗き込んでいる。
「や・め・て」
その時妻の弱々しい声が聞こえた。
池田「気が付いたか?」
妻の顔がアップで映ったが、目は開けていても焦点は定まらない。
池田「そうでなくては面白くない。よし、そろそろ一度楽にしてあげような」
しかし妻は、依然焦点の定まらない目で、ただぼんやりと上を見ていた。
池田「返事はどうした?こんなに濡らしているくらいだから、このままでは辛いだろ。早く楽にして欲しいだろ?」
妻はゆっくりと頷いてしまったが、朦朧とした意識の中、楽にしてやるという言葉しか頭に入らず、その意味など考える事が出来なかったのだろう。
池田「そうか、そうか。それなら、使用前使用後じゃないが、その前にこの厭らしいオメコを撮ってもらおう。遠藤君、手を貸してくれ」
2人が両側から脚を持ち上げ、胸に着くほど折り曲げて、更にそれを左右に大きく開いた為に、濡れていた妻のそれは少し口を開いてしまった。
池田「ほー。なんて厭らしいオメコなんだ。早くも口を開いて、催促しているぞ」
楠木「奥まで撮れる様に、指でマンコをもっと開いてもらえませんか?」
遠藤「外観はポッテリとしていて厭らしいのに、オマンコの中は綺麗ですね」
3人の会話から、妻に“オメコ”と言わせていたのは池田だと分かった。
池田「もう我慢出来ん」
妻の脚を下ろして大きく開き、その間に腹這いになった池田が、妻が出した液体を吸い取る様に音をたてて舐め始めると、遠藤もまた乳房に吸い付いた。
「ウーン・・・・・ウン・・ウン」
その時妻の口から篭った声が漏れる。
すると池田は口を離し、遠藤の反対側に座って今まで吸い続けていた所を人差し指でそっと擦りながら、妻の顔を覗き込んだ。
池田「気持ちいいのか?何処が気持ちいい?ここか?」
「ウッ・ウッ・ウー・・・ウッ」
池田「それともここか?」
「アア~~~」
池田「教えてくれないと、分からないぞ。オメコを触って欲しいのか?」
「アッ・・ウーン・・ウーン」
池田「それとも、この顔を出したオサネか?」
「ア~~・・アーン・・・・アッア~~」
声のトーンで分かっているはずの池田は、それでも妻を甚振り続ける。
池田「オマンコか?それともオサネか?」
「アッ・アッ・アッ・アッ・アッ」
妻が登り詰め様としているのが分かる。
こんなに早くと思ったが、ビデオでは所々切られていて全てを写されている訳では無いので、可也の時間責められていたのかも知れない。
いや、本当はカラオケボックスで辱められた時から、嫌だと思いながらも既に感じてしまっていて、身体に火が点いてしまっていた事も考えられる。
池田「そうか。両方嫌か」
池田は意地悪く、指の動きを止めてしまう。
すると妻の腰は、動かない指にオマンコを擦り付けるような動きを始めた。
池田「ハッハッハッ。みんな見てみろ。裕子奥様の腰が、はしたなく動き出したぞ」
3人の笑い声が響き渡る。
いくら酔っていて羞恥心が薄れているとは言っても、私には信じられない光景だった。
  1. 2014/06/21(土) 14:51:58|
  2. 表裏・所
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表裏 ビデオの中の妻2

まだ少し朦朧としているとゆえども、意識が徐々に戻ってきている妻が、3人の男に見られながら、厭らしく腰を動かしている事が信じられなかった。
そもそも、人前で水着になる事も恥ずかしくて出来ない妻が、3人の男の前に裸体を投げ出している事自体、信じられない光景だった。
池田「優子奥様のオメコ汁で、指がビショビショだ」
その部分がアップになると、シーツには染みが広がっていて、池田の指に着いた液体は、妻が激しく擦り着けているせいで白濁している。
この時には遠藤も乳房を責めるのをやめてしまい、厭らしく動く妻の腰を、ただじっと見ていた。
「アッ・アッ・アッ・アッ・イヤ・イヤ・イヤ」
池田「我慢しなくてもいいぞ。一度気を遣って楽になりなさい」
「イヤ・イヤ・イヤ・アア~~~~」
妻は3人に見られながら、それも動かぬ指に自ら擦り付けて達してしまった。
遠藤「もう我慢出来ない。上を使いますよ」
そう言って急いでパンツを脱ぐと、先だけが顔を出した、細くて長いオチンチンが勢いよく飛び出す。
遠藤は妻の顔の横に座ると、大きな息をしている妻の手を取って、上から包むように自分の手を添えると、わざわざ妻の手を使って包皮をずり下げる。
するとピンクに近い鬼頭全体が顔を出し、それを妻の口に押し付けて、顎を掴んで口を開けさせた。
「ウグ・・ウグ・・ウー・・・ウー」
池田「昼間逆らった罰に、休憩はなしですよ」
池田はまた妻の脚の間に寝転ぶと、わざと大きな音をたてて舐め始める。
遠藤「舌を使え。舌を動かさないか」
妻にわざわざ包皮を剥かせた事もそうだが、動かない妻に焦れて、顔に覆い被さる形で腰を使い出した遠藤を見ていると、この男の異常さに怖さを感じる。
池田「そろそろ優子奥様の、オメコの具合を確かめさせてもらおうか」
池田は起き上がると黒い物を妻のオマンコに当て、感触を確かめるようにゆっくりと腰を進める。
楠木「池田社長。優子の具合はどうです?」
池田「可也いい道具を持っているぞ。入れているだけで、グイグイ締め付けて来る」
楠木「圭子とは違い、おそらく優子にとって社長は2人目の男ですよ」
池田「そうか。旦那以外、男を知らないか。私が人生2人目の男か。それなら
旦那だけが男では無い事を教えてやらないと」
池田は感激したのか、急に激しく動き出す。
今見ているのは、妻が辱められているビデオだと分かっていても、そう思って見ると余りにも惨めなので、知らぬ内に妻とは別人の女を見ている様な感覚で見ていた。
しかしこの言葉で、嫌でも私の妻だと実感させられる。
私しか知らない私だけの妻が、私だけの女で無くなった事を思い知らされる。
妻の中に私以外の男が入るとは、どの様な事なのか分からない。
その男の形がつく訳ではなく、汚されれば洗えばいい。
しかし単に入っただけでは無く、もっと深い意味が有る事は、この悔しさが証明していた。
楠木「そのまま出さないで下さいよ。妊娠だけは困りますから」
池田「そうだな。しかし気持ち良過ぎて、ここから出る決心が着かない」
画面に楠木の手だけが移り、そこにはコンドームが握られていた。
池田「仕方ないか」
池田はコンドームを受け取って、名残惜しそうにゆっくりと抜き去る。
当然妻は安堵の表情を見せると思ったが、私の期待はあっさりと裏切られ、妻は顔を激しく左右に振って遠藤のオチンチンを吐き出すと、大きな声で叫んだ。
「イヤ~」
池田「そうか。そうか。優子奥様も待たされるのは嫌か。あのままして欲しかったか」
遠藤「こら!ちゃんと咥えていないか!」
池田「遠藤君、その体勢は辛いだろ。今の内に四つん這いにさせたらどうだ?」
遠藤「そうですね。その方が私も楽です」
遠藤は妻をうつ伏せにして、軽く何度もお尻を叩く。
遠藤「はい、ケツを上げろ。もっとだ。もっと高く上げないか」
妻がお尻だけを突き上げた惨めなかっこうになると、遠藤は顔の前に硬く上を向いたオチンチンが来る様に、妻の下に滑り込む。
遠藤「早く咥えろ」
しかし妻は動かない。
その時コンドームを着け終えた池田が妻の後ろに膝立ちになり、焦らす様に手で持って妻に擦り付ける。
池田「早く楽になりたいだろ?それなら遠藤君の言う事を聞きなさい」
すると妻は片手で遠藤のオチンチンを掴んだが、流石に自分から口に含む事は出来ない。
池田「早くこれで往生したければ、遠藤君も気持ち良くさせてあげなさい」
池田に先だけを入れられた妻は、もっと奥まで入れてもらおうとお尻を押し付けるが、池田もその分腰を引いて焦らした。

  1. 2014/06/21(土) 14:52:56|
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表裏 ビデオの中の妻3

妻は奥まで向かい入れようとお尻を振り始めたが、それでも入れてもらえないと知ると、とうとう掴んでいた物を口に含んでしまった。
遠藤「ただ咥えているだけでは駄目だろ。こうやって動かすんだ」
妻は頭を両手で掴まれて、無理やり上下に揺すられ、それを見た池田は一気に腰を前に進めた。
「ウグー」
もう妻の頭に遠藤の手は添えられていなかったが、池田の腰の動きに合わせて、必死に頭を上下させている。
遠藤「とうとう舌まで使い出しましたよ」
池田の腰の動きが更に早くなると、妻は堪らず口を離した。
「アッ・アッ・ア~・・アア~~」
すると池田も動きを止めてしまう。
「イヤ・イヤ~」
池田「優子奥さん、お口がお留守ですよ」
妻は必死の形相で口に頬張り、激しく頭を上下させる。
遠藤「よほど池田社長のオチンチンが気持ちいいとみえる。おおっ、そんなに激しくしたら出てしまうだろ。普段はあんなにお淑やかなのに、結構激しいんだな」
池田「私も出したくなって来ました。優子奥さんはどうです?もう気を遣れますか?」
妻は咥えながら、小刻みに何度も頷く。
池田「まだですか。それならもう少し我慢しましょう」
楠木「池田社長は、案外意地悪なのですね」
池田「何がです?優子奥様が返事をしないのに、私達だけ終わっては可哀想でしょ。普通気を遣る時はイクとか何とか言って、男に教えるものです」
「ウウーン・・・・ウグ・・ウグ・・ウウッ・・ウグ」
池田「ウグ?イクではない様だし、何を言っているのか分かりません」
その時遠藤が妻の頭を押えた。
遠藤「口から出すなよ。そのまま続けろ」
「ウグ・ウグ・・・ウッ・ウッ・・ウグ・ウグ~~~」
妻はうつ伏せに崩れ落ちたが、すぐに腰を掴まれて元の体勢に戻される。
池田「まさか自分だけ気を遣る様な、はしたない事はしていませんよね?さあ、3人仲良く気持ち良くなりましょう。優子奥さんに合わせますから、ちゃんと教えて下さい」
しかし遠藤のオチンチンを口から出す事を許されない妻は、ちゃんと声を出す事が出来ず、また追い詰められて行く。
「ウグ・ウグ・・ウグー」
遠藤「俺を早く終らせれば。口が自由になるものを」
それを聞いた妻は、音が聞こえてくるほど激しく舌を使いながら、必死に頭を上下させた。
遠藤「いいぞ。その調子だ。そろそろ出してやるから飲めよ。出すぞ、飲めよ」
しかし妻は飲み込めずに、白い液体を涎のように口から垂らしていた。
池田「気を遣りたくなったら、いつでも言って下さい。優子奥さんに合わせてあげますから」
「イク・イク・イク・・・アアー・・イク・・もうイク・イク」
池田「ただ“イクー”なんて、はしたないですよ。上品な奥様はただ教えるだけではなくて、何処で気を遣るのか説明してから気を遣るものです。優子奥さんも、ちゃんと何処で気を遣るのか説明出来る様にならないと」
「ダメ・・イク・イク・イクー・イクー」
池田「だから、何処でイクのですか?口ですか?それともオサネですか?」
「アア~ン・・もうダメ~・・・イク・イク・イク・・ダメ・ダメ」
池田「駄目な奥様だ。これから長い付き合いになるのだから、今日のところは気を遣る事を教えてくれただけでも良しとしましょう。さあ、思い切り気を遣りなさい」
池田の動きが更に激しくなると、妻は狂ったように頭を左右に振り、髪を振り乱して登り詰めた。
「イク・イク・アッ・アッ・アア~・・・アアア~~~~~」
楠木「電池が無くなりそうなので、撮影はここでやめます」
楠木の声と共にビデオは終わり、私は何も映らない画面を見ながら考え込んでいた。
確かに妻は感じていた。
意識が無い時ならいざ知らず、最後の方は正気に近かったと思う。
男が女3人に犯されたとしたら、気持ち良くなってしまうだろうが、女が男3人に犯されて、イクほど感じてしまうだろうか?
初めての男達に辱められるという、極限に近い恐怖と羞恥の中、あのように感じる事が出切るのだろうか?
映っていないところで、妻は抵抗を見せたかも知れない。
妻が拒否した所は、故意に映されていないだろう。
しかしこれを見る限り、私には妻が強く拒否したとは思えなかった。
また妻に対して強い不信感が募り、気が付くと②と書かれたテープを、デッキの中にセットしていた。
  1. 2014/06/21(土) 14:53:53|
  2. 表裏・所
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表裏 ビデオの中の妻4

明らかに①のビデオは、強姦では無い言い訳のためと、妻を脅して繋ぎ止めておくために、最初から計画されていたのだろう。
しかし②のビデオは途中で思い付いたのか、広い和室の中央に敷かれた布団の上で、仰向けに寝かされた妻の股間に遠藤が座り、既に腰を前後に動かしている場面から始まった。
一方妻の顔の横には池田が胡坐を掻いていて、妻の髪を撫でながら顔を覗き込んでいる。
妻はと言えば池田のオチンチンを握らされていて、その手を擦るように動かしながら、可愛い声を上げ続けていた。
池田「気持ちいいかい?」
妻は何度も頷く。
池田「この前2人でした時に教えたでしょ?ちゃんと声に出して返事しなきゃ駄目だと」
「・・・・はい・・イイ・・気持ちイイ」
これはいつ撮られた物か分からないが、妻は池田に対して素直になっていた。
池田「何処が気持ちいいか言ってごらん」
「・・・・イイの・・気持ちイイの」
池田「だから何処が?この前は何でも言えたでしょ?今日は2人だけでは無いから、恥ずかしいのかな?」
池田が遠藤に目配せすると、遠藤は動きを極端に遅くしたので、妻は快感を得ようと自ら腰を動かし出す。
「イヤ・そのまま・・・・アーン・・イヤ」
遠藤「こんなに腰を使って催促するとは、見掛けと大違いで、本当に助平な奥さんだ」
「イヤ・・・アッ・アッ・・言わないで・・・そんな事言わないで」
遠藤「だって、本当の事だろ。いい加減に、自分が助平な事を認めろよ。そんな事ばかり言っていると、やめて抜いてしまうぞ」
「イヤ・イヤ・イヤ」
遠藤「イヤなら、優子は助平な女ですと言ってみろ」
池田「ほら、遠藤君を怒らせてしまった。もっと素直になりなさい。もう何でも答えられるね?言われた質問にちゃんと答えれば、もっとオメコを気持ち良くしもらえる様に、私が遠藤君に頼んでやるから。さあ、何処が気持ちいいか言ってごらん」
「オメコ・・・オメコがイイの・・・オメコが気持ちイイの」
妻はすんなりと、卑猥な三文字を口にしてしまう。
池田「よしよし。遠藤君、ご褒美に激しく突いてやってくれないか」
遠藤は激しく動き出し、池田は子供を褒めているかの様に妻の髪を撫でている。
遠藤「池田社長の話は本当だったんだ。まさかこんな上品な顔をした優子の口から、オメコなんて言う言葉が聞けるとは」
池田は自慢げに遠藤を見ると、妻の頬を両手で挟んで自分の方を向かせた。
池田「なんだ?もう我慢出来ないのか?それなら目を閉じていないで、私の目を見ながら気を遣りなさい」
完全に感じさせられてしまっていた妻は硬く目を閉じて、イヤイヤをする様に激しく顔を左右に振っていたが、池田にその動きを止められ、目を開くと縋る様な目で池田を見詰めている。
池田「遠藤君のチンボは気持ちいいか?」
「イイ・・気持ちイイ・・アア~ン」
池田「だから、チンボは気持ちいいか?」
「アッ・アッ・・イイ・イイ・チンボイイ・・・チンボ気持ちイイ」
池田は妻が卑猥な言葉を口にする度に、俺が仕込んだと言わんばかりに遠藤を見る。
池田「オメコいきそうか?オメコでいくのか」
「イク・・オメコ・イク・・アッ・アッ・アッ・・・・・・・」
池田「オサネも触ってやろうか?」
「アー・・オサネ・・アア~・・オサネして・・・アアーン・・・して・・オサネして~」
池田は妻の頬に添えていた片方の手を、遠藤と妻の結合部に伸ばした。
「ア~~~・・・イイー・・・オサネ・イイ~」
池田「これで、もっと深く気を遣れるだろ?」
「ア~・・イク・イク・イク・イク・・・・」
池田「こら、目を閉じるな!ちゃんと私の目を見て」
妻は限界が来たのか池田の目を見詰めながら、これ以上我慢出来ない事を、顔を小刻みに振って訴えていた。
しかし池田は意地悪く、妻に対して質問を続ける。
池田「どこでイク?」
「オメコ・・オメコ」
池田「オメコだけか?ここはしなくて良いのか」
「イヤー・・・オサネも・・オサネもイクー」
池田「何でいかせてもらう?」
「もう聞かないでー・・イヤー・・チンボですー・・・いかせて~~」
妻は終に泣き出してしまった。
池田「よしよし。もう気を遣ってもいいぞ。その代わり私の目を見ながら、何
処がイクのか説明しながら気を遣るのだぞ」
「アッ・アッ・オサネ・イク・・イク・イク・・オメコ・イク・・イク・イク・・・
オメコ・いきます~・・・アァァァ~~~~」
今度は池田に入れられて、遠藤には乳房を責められながら、卑猥な言葉を叫び続ける妻をぼんやりと眺めていた。
これでは誰が見ても、妻が無理やり犯されているとは思わないだろう。
現に私も、深い絶望感に押し潰されそうになっていた。
仮にこれが脅されて嫌々されていたとしても、ビデオの中で牝の本能を剥き出しにして、快感を貪っている姿もまた妻の真実の姿なのだ。
妻が言っていた様に、酔わされて弄ばれ、その後はビデオで脅されて関係を続けさせられていたとしても、彼らにこれほどまでに感じさせられて、自らも貪欲に快感を求めた妻と、今まで通りの暮らしを送っていく自信が無い。
  1. 2014/06/21(土) 14:54:53|
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表裏 言い成り

私は妻が泣きながら逃げ込んだ部屋のドアを開けた。
「あなたが好き!愛してる!」
妻は顔を上げてそう叫ぶと、またテーブルに泣き伏した。
「あの男達に辱められて・・・・・・・・感じていたのか?」
散々ビデオで見せ付けられたくせに、馬鹿な質問しか出て来ない。
「ごめんなさい。酔いが醒めれば醒めるほど、正気ではいられなかった。3人の男に身体の中まで覗かれて、死にたいほど惨めで、正気ではいられなかった」
私にはそれと感じた事が、どの様な関係があるのか分からなかった。
「何もかも忘れたかった。惨めな状態の自分を忘れたかった」
妻の言っている意味は分からないが、私は最後まで抵抗して欲しかった。
その時妻の視線が気になって、視線の先を見ると私の股間が膨らんでいる。
私は妻が嬲られている姿に興奮したのか。
いや、悔しい思いしか無かった。
それでは、目の前ですすり泣く妻の姿に興奮しているのか。
いや、他の男で感じた妻に対する怒りしかない。
原因は分からないが、私が妻を欲しがっている事だけははっきりしている。
その様な事を考えている間に、妻は涙を拭いて私の前に跪いていて、ズボンとパンツを下げて口に含む。
夫婦喧嘩をした時は、セックスをして仲直りする事が多かったので、私との仲を少しでも元に戻したくて、この様な行動に出たのか。
それとも私の愛を感じたくて、私に抱いて欲しいと思ったのか。
妻の真意を測りかねていた私は、妻を引き離そうとも思ったが、この様な時に勃起してしまっている負い目と、妻を欲しいという強い思いから出来ずにいた。
すると次の瞬間下半身に猛烈な快感が走り、目を下にやると妻が私のオチンチンを、今まで見た事も無いほど喉の奥まで頬張っている。
あのビデオを見たからそう感じるのでは無く、妻のフェラは以前よりも遥かに巧になっていた。
堪らず妻を床に押し倒し、強引に手を滑り込ませると、フェラをしていただけだと言うのに驚くほど濡れていて、私の指を難なく受け入れてしまう。
その時私は、妻は単に私の勃起を見て疼いてしまっただけで、私への愛からこの様な行動に出たのでは無いと思った。
私も勃起していたので、妻を責められないのかも知れない。
しかし妻がその様な女にされてしまった事が悔しい。
いや、自らその様な女になってしまったのかも知れない。
私の勃起は急速に萎んでいった。
「別居しよう」
「嫌です。私はあなたと別れない」
「別れる訳では無い。このままだと優子を傷付けてしまいそうだから、少し頭を冷やしたい」
妻はしばらく泣き続けたが、妻もこのまま私の顔を見ているのは辛いと考えたのか、渋々ながら承諾した。
一応冷却期間をおくための別居なので、義父母には本当の訳は話さずに、送り迎えをすれば娘も学校へ通える距離だったので、妻の実家に預かってもらう。
妻は不安なのか一日何度も電話して来て、私に許しを請い続けたがが、私が素っ気無い返事しかしなかったからか、次第に間隔が空いて来る。
私の方も娘の事は気掛かりだったが、意地になっていて自分からは電話一本しないでいた。
しかし妻の事を考えない日は無く、妻の事を想っていた寂しい週末の夜に、辛くなるだけなのが分かっていたので、見ないでおこうと思っていたビデオをデッキに入れてしまう。
そのビデオは③と書かれてある物で、楠木の家での妻の様子が収められていた。
画面を見ると懐かしくさえ感じる妻が、玄関で三つ指着いて楠木を迎えるとこ
ろから始まっていたが、若い頃にも見た事がない様な、身体に張り付いたミニのワンピースを着ている。
「下着を見せてみろ」
「ビデオはやめて下さい」
「なに!」
妻は立ち上がると、恥ずかしそうにスカートをたくし上げる。
「もっと、ヘソの上までガバッと上げろ」
妻は模様も何も無い、白いビキニのパンティーを穿いていて、黒い陰毛が透けて見える。
「何もかも見えてしまう様な、そんな薄いパンティーを穿いて。優子は本当に厭らしい奥さんだ」
「これは旦那様が・・・・・」
妻の言葉を楠木が遮る。
「よし。今から風呂の掃除だ」
カメラは風呂を洗う妻の白い太腿と、動く度に見え隠れするパンティーを追っていた。
「どうして今日は服を着たまま洗っている?服が濡れてしまうじゃないか」
「ビデオはやめて下さい」
「なに?聞こえないぞ」
下着姿になった妻はブラジャーもパンティーとお揃いの、柄の全く無い白く薄い生地の物を着けさせられていたので、乳首はおろか乳輪まで透けて見えていた。
  1. 2014/06/21(土) 14:55:54|
  2. 表裏・所
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表裏 妻という名の女

その後カメラは、妻がシャワーで洗剤を洗い流している様子を追っていたが、泡が消えるとカメラの前に立たせ、シャワーを奪い取って妻に向かって水をかける。
「やめて下さい」
ただでさえ薄く透けた下着は濡れて身体に張り付いてしまい、妻は裸同然の姿になっていく。
「優子は本当に厭らしい身体をしているな。よし、一度出すぞ」
映像は応接室に切り替わり、ソファーに座った楠木の下半身と、開いた脚の間に座って、目の前の硬くそそり立ったオチンチンを握る、ピンクの下着に着替えた妻の姿が映し出された。
妻はこの様な事を毎日の様にさせられていたのか、慣れた仕草で手を動かしながら、時々オチンチンに唾液を垂らす。
「もっと早く」
妻は手の動きを早めると同時に、握っている物の下にある、皺だらけの袋に舌を這わせていた。
「出すぞ」
その声で、妻は躊躇する事無く口に含み、頬をへこませて全て吸い取ろうとする。
「ウウッ」
楠木が全て出し切るまで妻は吸い付いたまま動かなかったが、やがてゆっくりと口を離すと、口を開けて全て飲んだ事を確認してもらう仕草を見せた。
「金玉まで舐めて早く終らせようとしたな」
「その方が・・旦那様が・・気持ちがいいと思って・・・・・・・・」
「嘘を吐け。早く触って欲しくなったからだろ?」
妻は反論せずに俯いてしまう。
「もう濡らしているだろ?」
妻は頷く。
「本当に淫乱な奴だ。この姿を工場の連中に見せてやりたい」
「虐めないで」
「また嘘を吐く。本当は虐めて欲しいくせに」
この後妻を抱いたのだろうが、そこでビデオは終わっている。
妻が3人に辱められていたビデオを見た時よりも、私は遥かに強い怒りを感じていた。
妻をまるで自分の所有物の様に扱う楠木。
脅されてしていたのかも知れないが、ほとんど逆らう事も無く従い、その上感じてしまって目付きまで変わっていく妻。
怒りで眠れなかった私は、少しでも怒りをぶつけようと、朝早くに楠木の家に向かった。
するとそこには3台の車が止まっていて、一台は見慣れた車だった為に愕然として立ち尽くしていると、2人の男が出て来たので慌てて身を隠す。
「もう夜が明けたのですね」
「ああ、私は今から仕事だ」
「土曜も仕事ですか?」
「夜仕事をしているところに、急にお呼びが掛かったから、そのまま放り出して来てしまったからな」
「そんな無理をしてまで?」
「当たり前だ。もう無理だと思っていた優子奥様を虐められるのだぞ」
「そんなに焦らなくても、このまま離婚になれば、また好きな時に抱けるようになりますよ」
「それはそうだが恥ずかしい話し、優子と聞いただけで立ってしまった」
「分かります。あの普段とのギャップが堪らないのですよね。あんなに虐め甲斐のある奥さんはいません。それにしても、久し振りの優子は凄かったですね」
「ああ。一晩で何度気を遣ったんだ」
「数えるのは早いですよ。まだ今から楠社長に・・・・・・・・・」
「そうだったな。彼は私達の手伝いに徹していたから、これからだったな」
2人は笑みを浮かべながら片手を上げて挨拶すると、それぞれ車に乗り込んで帰って行った。
私から血の気が引き、2人が出て来た玄関を入って行くと、奥の方から妻の叫び声が聞こえる。
「もうイヤー!いかせないでー!」
襖を開けると、広い和室には縄やバイブが散乱していて、中央に敷かれた布団の上では楠木の上に跨った妻が、涎を垂らしながら一心不乱に腰を動かしている。
私は2人に駆け寄って妻を蹴り倒し、急な事で動けずに、ただ驚いた顔で私を見ている楠木の脇腹を思い切り蹴った。
「あなた!・・・・・・・これは違うの。有希の同級生のお母さん達に話すと脅されて・・・・・・・」
たいした違いは無いかもしれないが、妻が上で無く組み敷かれていたら、多少は違ったのかも知れない。
妻が自分から腰を使っていなければ、もう一度妻の話を聞いたかも知れない。
一週間後、私と妻の離婚が成立した。
  1. 2014/06/21(土) 15:19:49|
  2. 表裏・所
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表裏 嫉妬

妻は娘が転校しなくても良いようにアパートを借り、離婚時の約束通り、週末になると娘を連れて来ていたが、私は娘を預かって泊めるだけで、妻とは一言も言葉を交わさず、一歩も家の中には入れていない。
遠藤は私が会社に乗り込んで全て話した事で、怒った父親に勘当されたが、そこは親子で、父親が慰謝料を持って謝りに来たところを見ると、数年で勘当も解けるのだろう。
悲惨なのは池田で、養子だった為に怒った奥さんに離縁され、当然社長の座も失った。
ただ奥さんは子供達の事を考えてか、犯罪では無かったと言い張り、私の妻も悪いと言って譲らなかったが、やはり穏便に済ませたい様で、後日弁護士を使って高額の慰謝料を提示してきた。
あとは楠木だけだが、私の再度の請求に、婚姻関係は破綻していたと言って逃げ回る。
私も楠木の顔を二度と見たくないと思っていたので、思い付いた時に電話するだけで会いには行かなかった。
しかし離婚して3ヶ月が過ぎた頃、楠木の自宅の電話も携帯も解約されてしまって連絡が取れなくなったので、前日から泊まりに来ていた娘が友達の家に遊びに行った隙に、楠木の家に行ってみた。
すると玄関には楠木の家ではなくなった事を知らせる張り紙がしてあって、裏に回って中の様子を伺っても、静まり返っていて人の気配が無かったので、工場へ行くとあの年配の男が掃除をしている。
「もう此処とは関係がなくなってしまったが、長年世話になった工場だからな」
聞けば楠木は可也の借金を抱えていたが、金銭感覚は麻痺していた様で、高級車を乗り回して以前と変わらぬ生活をしていたと言う。
しかしあの一件で2社からの取引が無くなると諦めも早く、さっさと倒産させて今ではアパート暮らしをしているそうだ。
どうして彼ら3人は、この様な危険を犯してまで妻に執着したのか。
普段のお淑やかな妻とのギャップに、それほどまでに魅せられてしまったのか。
妻もまた、どうしてこの様な事に。
「楠木のアパートを教えて下さい」
楠木の住んでいるアパートを聞いて愕然とした。
そのアパートは、妻と同じアパートなのだ。
離婚したので、妻と楠木がどの様な事をしていても関係ないはずなのに、なぜか猛烈な怒りが込み上げてくる。
特に週末は娘を預かっているので、ビデオで見た様な事をしているのではないかと思うと、なぜか辛くて遣り切れない。
こんな妻でも、私はまだ愛しているのか。
その夜娘が眠ってしまってから迎えに来た妻を、離婚してから初めて家に入れた。
「アパート暮らしは楽しそうだな」
「えっ?」
「週末は有希を俺に預けて、楠木とお楽しみか?」
妻は俯いてしまった。
「離婚したから、俺には関係無いか」
「そんな事はしていません」
「それなら、どうして楠木と暮らしている事を言わなかった?」
「一緒に暮らしてなんかいません。彼が勝手に隣に引っ越してきて・・・・・・・」
「どうして優子のアパートを知っていた?偶然なんて言うなよ」
「分からない。私は教えていない」
「もう離婚したのだから、嘘を吐かなくてもいい。昨夜からお楽しみだったのだろ?」
「そんな事はしていません。彼は言い寄ってくるけれど、私は・・・私は・・・」
「そうか。昨夜から今までしていて、迎えに来るのが遅くなったのか」
「違います。今日も仕事でした。遅くなったのは、急に残業になってしまったから」
あれから妻はスーパーに勤めたので、ほとんど平日しか休みが無い。
私は自分の事を、いつまでも女々しい男だと思った。
離婚したのだから、妻が何をしようと関係無いはずだ。
しかし私の口からは、妻を困らせる言葉しか出てこない。
「有希は俺が育てるから、もうここには来ないでくれ。あんな男のいる環境の所に、有希をおいておけない」
「有希まで失ったら・・・・・・・・」
「失う?有希の事よりも、楠木に抱いて欲しくて仕方がないのだろ?普段は有希が寝てから楠木の部屋に行くのか?まさか奴が来て、有希が寝ている部屋で」
「そんな事はしていません。あの時も私は有希を守りたかった。有希が私の事で後ろ指をさされるのは避けたかった」
この時の妻の真剣な表情から、妻は本当にそう思い込んでいるのだと感じた。
脅されて仕方なく従っていただけだと思い込んでいて、自分が快楽を求めていた事など、少しも気付いていない様だ。
「どちらと暮らすか有希に選ばせよう。優子のしていた事を全て話して」
「やめて。そんな事言わないで」
妻は狂った様に泣き叫ぶ。
「俺も有希に、そんな事は話したくない。お前が有希を放棄して帰れば、話さないと約束する」
妻が娘をおいて帰る事など出来ないと知っていた。
「帰れない。有希をおいて帰れない」
娘を利用する事に罪悪感を覚えていたが、別れてしまった妻に対して、今の私には他に強く出られる事がない。
  1. 2014/06/21(土) 15:20:46|
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表裏 踊る

妻は泣いていて、帰ろうとはしない。
「このまま黙って有希をここに置いて帰るか、それとも全て話して本人に選ばせるか、今夜は泊めてやるから一晩よく考えろ」
偉そうに言ったが、本心は楠木のいるアパートに帰したくなかった。
私はすすり泣く妻を暫らく見ていたが、離婚して他人になったからなのか、元妻と言うよりもセックスの対象として見ている事に気付く。
それも誘えば応じる、娼婦のような淫乱な女として見ている。
泣き顔から3人の男に責められてすすり泣く妻を思い出し、悔しいはずなのに泣いている姿に色気さえ感じているのだ。
この時私は更に妻を虐めようとしていたが、それは裏切られた事への制裁などではなくて、完全に性的な欲望からだった。
「ここへ座って、久し振りに一杯付き合え」
ソファーに座った私が隣を叩くと、ようやく妻は微笑んだ。
「何かおつまみを持ってきます」
「他所の冷蔵庫を勝手に開けるつもりか?」
「そうでした・・・・・・ごめんなさい」
妻の顔から笑顔が消えて、叩いた場所よりも少し離れて座ったので腕を掴んで引き寄せると、また笑顔が戻って私に身体を預けてきた。
「シャワーを浴びさせて下さい」
妻は私の手を振り切って立ち上がったが、着替えを持っていない事に気付く。
「Tシャツか何か貸してもらえます?」
「どうせすぐに裸になるのだから、何もいらないだろ?」
このまま私に抱かれ、その事で復縁の可能性も出て来ると思ったのか、それとも単にセックスがしたくなっただけなのかは分からないが、妻は嬉しそうな顔をしてバスルームに消えた。
私はその間にビデオをセットして待っていると、バスタオルを巻いて戻って来た妻は、綺麗に化粧が直されている。
隣に座った妻は私の首筋にキスをして来たので、私は妻を逃がさないように肩に回した手に力を入れ、空いた方の手でリモコンを押した。
『そんなに中まで見ないでー・・・・イヤー・・・・・・こんなのイヤ~』
その声が聞こえてくると妻は私の首筋から唇を離し、声の聞こえてくる方を見て、大きく目を見開いたまま固まってしまう。
「いや・・やめて・・・ビデオはやめて・・・・・イヤ~!」
妻は両手を突っ張って私から離れようとしたが、私はリモコンを置くと両手で抱き締めて逃がさない。
妻が逃げたいのもそのはず、画面の中の妻は鴨居から下がった真っ赤なロープで両手を一つに縛られ、立たされたままの格好で大きく脚を開かされていて、その脚が閉じられない様に青竹に両足首を固定されていた。
その前では遠藤が胡坐を掻いて、妻のオマンコを指で開いて覗き込んでいる。
「イヤ~・・・・・ビデオはイヤ~」
妻が激しく抵抗するのでバスタオルは外れてしまい、縺れ合うように2人ともソファーから摺り落ちた。
「嫌なら有希をおいてアパートに帰れ。そして二度と来るな」
妻の抵抗が弱まったのを良い事に、私はソファーにもたれて脚の間に裸の妻を座らせ、後ろから抱き付いた体勢になって画面を見るように言ったが、妻はしっかりと目を閉じて、横を向いてしまって見ようとしない。
『どうだ?上手く出来ただろ?』
『それは何ですか?』
ビデオの中では、いつのまにか池田も加わっていて、手には皿を持っていた。
『山芋で作った張形だ。先日これを使った時は、擂りおろして塗ってやったが、今日はビデオを撮っているので、この方が面白いと思ってこんな形に削ってみた』
池田の持っている皿がアップになると、そこには山芋を男根の形に彫った物が乗っている。
2人の男の目の前に最も恥ずかしい部分をさらし、その上もう一人の男にビデオまで撮られている妻は、それまでは目を閉じて羞恥に震えていたが、池田と遠藤の会話を聞くと恐る恐る目を開けた。
『イヤ・・・・それはイヤ・・・イヤ~』
妻は狂った様に暴れ出したが、縛られていてはどうにもならない。
『入れないで~・・・イヤ・イヤ・・・・お願い・・・それはイヤ~』
『もっと力を抜かないと、中で折れてしまうぞ』
遠藤に触られて濡れていたのか、山芋の滑りのせいか分からないが、妻は難無く山芋を受け入れてしまう。
『アァァァ・・イヤー・・・もう恥を掻かせないでー』
『そう嫌がるな。ヌルヌルしていて気持ちいいだろ?』
『抜いてー・・イヤー・・・・・抜いて~』
『このぐらいで良いだろう。抜いてやるから、そう暴れるな』
池田はそう言いながら辺りを見渡す。
『いかん。張り形を車に忘れてきた。すぐに持ってくるから、これをオサネにも塗ってやってくれ』
その時初めて楠木の声が聞こえた。
『私が持って来ます』
『いや、もうすぐ踊り出すから、君はその様子を撮影していてくれ』
池田から山芋を渡された遠藤は、最初は言い付け通りに妻のクリトリスの辺りに塗り込めていたが、悪戯心が出たのか、また中に入れると出し入れを繰り返し、言葉で妻を虐めて喜んでいた。
『ヌルヌルしたのが沢山出て来たぞ。これは山芋の汁か?それとも優子の汁か?』
『やめて・・アッ・アッ・アッ』
『感じていないで答えろ!これは山芋か、優子の汁か!』
答えない妻に苛立った遠藤は、空いている方の手で妻の陰毛を引っ張った。
『痛い!・・言います・・・・・・それは優子の・・・・』
その時、木箱を持った池田が戻って来た。
『遠藤君。そんな事をしていては、いつまでも踊らないぞ』
『踊るって?』
『何もせずに見ていれば勝手に踊り出す』
遠藤が山芋を抜き去ると、妻は脚を擦り合わそうとするような動きを見せるが足首が固定されていて出来ないので、今度は何かに秘部を擦り付けているかの様に腰を前後させるが、ただ虚しく空を切る。
『凄い。厭らしく腰が動き出した』
『手の甲を近付けてみてみなさい』
池田に言われた遠藤が手の甲を妻に近付けると、妻は腰を突き出してそれに秘部を擦り付ける。
『イヤ・・こんなのイヤ・・・』
そう言いながらも、妻の腰は激しく動く。
『中も掻いて欲しいだろ?これか?これが欲しいか?この前のように、これで掻いて欲しいか?』
池田が箱から出した物は、カリの部分が大きく張っている、男根の形をした木製の張り形だった。
『これが欲しければ、この前の様にお願いしなさい』
しかし妻は顔を背ける。
『遠藤君。手の甲を貸してあげるのをやめて、足を自由にしてあげて下さい』
遠藤が手の甲を遠ざけると、妻の腰はそれに着いて行こうとしたが、縛られていてはそれも叶わず、大きく前に突き出した格好で止まってしまう。
『イヤー・・・痒いの・・・すごく痒いの』
妻は足の縛りを解かれると、今度は腰を妖しく捻りながら、激しく太腿を擦り合わせていた。
『本当だ。厭らしいダンスを始めた』
男達は妻の動きを冷やかしていたが、妻にはその声など届かないようで、腰の動きは激しさを増していった。

  1. 2014/06/21(土) 15:21:36|
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表裏 異常

いつしか私は、妻の事も忘れてビデオに見入っていたが、気付くと目を閉じて横を向いていたはずの妻も画面を見詰めていて、息遣いが乱れ始めている。
私は妻を抱き締めていた手を離し、後ろから両方の乳房を揉んだが、妻は逃げようともしないでビデオに見入っていた。
「やはり喜んでいたんだな?奴らにやられるのが嬉しかったんだな?」
妻は私の言葉で我に返り、乳房を揉んでいる私の手を上から押えた。
「違う!私は脅されて・・・・・」
「現に今も、自分が辱められている姿を見て・・・・・・・」
私が下腹部に手を滑り込ませると、予想通りそこは酷く濡れている。
「違うの。私は脅されて嫌々・・・・・・」
「それなら、どうして自分の惨めな姿を見て濡らしているんだ?ほら見て見ろ。
ビデオの中でも優子はあんなに・・・・・・」
ビデオの中の妻は山芋の痒さに耐えられず、終には大きな声で何度も張り形を要求して、池田に入れてもらうとすぐに喜びの声を上げていた。
「違う!違う!痒くて我慢出来なかったの。感じてなんかいない!」
しかし妻の言い訳も虚しく、ビデオの中の妻は立ったまま気を遣らされてしまう。
「今達したよな」
「達してなんか・・・・・・・・・」
妻の声は小さくて、ビデオの中の声に掻き消されてしまう。
『もっとして~・・・痒いの・・・痒くて我慢出来ない・・・もっと・もっと動かして~』
『おやおや。優子は本当に淫乱な奥さんだ。今気を遣ったばかりなのに、もう腰を振っている』
妻は3人に笑われながら、またすぐに達してしまったが、それでも妻の欲求は収まらない。
『やめないで~・・・痒いの~』
『痒いのはオメコだけか?』
『オサネ・・・オサネも痒いの~』
『遠藤君はオサネを掻いてやってくれ』
『そこ・・・そこ・・・ヒー・・・ヒィィー・・・ヒィィィ~』
『こりゃあ手に負えん。遠藤君、手のロープも解いてやってくれ。自分でさせよう』
『早く・・早く・・・痒くて我慢出来ないー』
妻は手のロープを解かれると隣の部屋に連れて行かれ、既に敷いてあった布団の上に放り出される。
すると妻はすぐに自分の指を二本も入れ、もう一方の指でクリトリスを擦って腰を何度も上下させていた。
『指でいいのか?これが欲しいのではないのか?』
池田が張り形を差し出すと、妻は中に入れている指は動かしながら、クリトリスを擦っていた手を伸ばした。
『駄目だ。この前の様にちゃんと言わないと』
『下さい・・・木のチンボ下さい・・・優子のオメコに・・・木のチンボ下さい』
妻は張り形を手渡されると自分で納め、またクリトリスを擦りながら動かす。
『アァァァ・・・ダメー・・・また・・また・・・ダメ~』
『凄いですね。山芋って、そんなに痒いんだ』
『いや、そうでは無い。最初は痒かったのだろうが、もう自分の厭らしい汁で洗い流された頃だ』
『それならどうして?まだあんなに腰を上下させていますよ』
『あれは理由を作ってやっただけだ。自分で淫乱だと認めたくないので、どうしても気持ちにブレーキがかかる。山芋を塗られれば、痒くて仕方が無いのでしていると、大義名分が出来る』
『と言う事は、優子はもう痒くも無いのに・・・・・』
『そうだ。自分でも気付いていないかも知れないが』
『アッ・アッ・アッ・・・・イク・・・またイク・・もう頂戴・・・・お願いですから・・もう・・・・・』
『何が欲しい?』
『本物を・・・・アッ・アッ・・もうダメ・・・チンボ・・・本物のチンボで掻いて・・・・・木のチンボはイヤ・・・・本物のチンボ頂戴・・・・イク・イク・・イヤー・・・またいっちゃうよー・・・・・イク・イク・・イク~~』
私はビデオを見ながら妻を触っていたが、その時、失禁でもしたのかと思うほど妻の中から液体が出てきて、私の手を伝って絨毯に零れ落ちた。
「あなた・イヤ・イヤー・・・イク~~」
ビデオの中の妻は激しく達した後、重い身体を起こしてパンツを脱いで横に寝た遠藤のオチンチンに吸い付いたが、今私の腕の中で達した妻も、私を押し倒すとズボンとパンツを一度に下ろし、既に硬くなっている物を口に含んだ。
「優子・・・・・」
「ちょうだい・・・我慢出来ないの・・・私・我慢出来ないの」
妻はビデオと同じ様に私に跨ると、自分で入れて最初から激しく腰を使ってきたが、ビデオと違うところはここには私しかいない。
「もっと欲しい」
遠藤が終わる頃私も終わり、妻も2度達して大きな息をしていたが、ビデオで池田との交わりが始まると、妻は私の軟らかくなったオチンチンを、また口に含んでくる。
「優子!やめろ!」
妻は口を離して顔を上げたが、まだ満足していない様で目が潤んでいる。
「私・・・・私・・・・・」
私はこの時、妻は病気ではないかと思った。
この様な病気があるのかどうか分からなかったが、妻は普通ではないと感じた。

  1. 2014/06/21(土) 15:22:35|
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表裏 性

昨夜はベッドを共にするとまた迫って来たので、結局もう一度抱いてやると妻は今まで見た事がないほど乱れに乱れ、ようやく満足して眠りについたが翌朝目覚めると、昨夜の痴態が嘘のように元のお淑やかな妻に戻っていた。
「ベッドでの優子は凄かったな」
「有希がいるのに、やめて下さい」
妻は頬を赤く染めて乙女の様な恥じらいを見せ、昨夜とは別人のように見える。こうして妻から少し離れて一人の女として見ると、妻にのめり込んでしまった
奴らの気持ちが、少しだけ分かったような気がした。
「有希。今日からは、またここに帰って来るんだぞ。間違うなよ」
娘はまた親子3人仲良く暮らせると思ったのか、満面の笑みを浮かべて妻の車に乗り込む。
「アパートに帰って有希を見送ったら、話があるからすぐに戻って来い」
「私は今日と明日は休みですけど、あなたのお仕事は良いのですか?」
「休む」
アパートに帰って娘の学校の用意をして送り出すだけなので、30分もあれば戻って来ると思っていたが1時間経っても戻って来なかったので、嫌な予感がした私は妻のアパートに急いだ。
「やめてー。出て行ってー」
「もっと大きな声を出してもいいぞ。みんな仕事に行ってしまって誰もいない」
私が着くと、壁の薄い鍵など無いに等しい古いアパートには、妻と楠木の声だけが響いていた。
「全て失った俺には、もう優子しか無い。出て行って欲しければ、昨夜は何処に泊まったのか言え!」
自分の妻を他人に抱かせて興奮する人達と同じで、妻を何度も池田と遠藤に抱かせた楠木でも、勝手な行動をされては嫉妬するのだと分かった。
「淫乱な優子では、男っ気無しでは生きていけないと思って、毎日でも疼きを鎮めてやれるように折角隣に越して来てやったのに、俺の誘いは断り続けて昨夜は誰に抱かれた!店長か?それともバイトの学生か?」
「関係ないでしょ!それに、私はそんな女じゃない!」
「そうかな?こんな薄い壁のアパートだから全て聞こえて来て知っているぞ。毎晩娘が眠ってから、風呂に入って何をしている?それも、いざ始めると一度や二度では終わらない」
「そんな事・・・・・私は・・・・・・・・・」
「私は何だ?俺の部屋の風呂と優子の部屋の風呂は、薄い壁一枚で隔たっているだけで同じ位置にあるから、優子が風呂に入ると俺も風呂に入って毎晩壁に耳をつけて聞いていたのだぞ。職場の人間や、娘の友達の母親連中が聞いたら驚くぞ。こんな真面目そうな顔をして、毎晩一人であんな事をしているなんて」
「もうやめてー!出て行ってー!」
「何も自分でしなくても、毎晩でも俺が可愛がってやるから、今日から娘が眠ったら俺の部屋に来い。本当はこんな話をしているだけでも、俺に抱かれていた時を思い出して、疼いてしまって濡らしているのだろ?」
「違います!」
「本当か?どれ、調べてやろう」
「イヤ!やめて!放して!」
私は妻を試したくて飛び込んで行きたいのをぐっと堪えたが、私の期待はすぐに破られ、妻の抵抗する声は弱まっていった。
「こんなに乳首を硬くして何が嫌だ」
「イヤ・・・やめて・・・アアァァーン・・・イヤ・・・イヤ」
妻が真剣に抵抗すれば別だが、離婚した私は妻が何をしようと文句は言えない。
「そろそろ、ここを触って欲しくなった頃だろ?」
「アッ・・・そこイヤ・・・・イヤ・イヤ」
「何が嫌だ。身体はこんなに正直だぞ。既にパンティーなんかグッショリだし、クリだって早く触って欲しくて、パンティーの上からでもこんなにはっきりと分かるほど膨らんでいる」
「ア~・・・・アァァ~・・・イヤ・イヤ・イヤ」
「贅沢をしなければ、働かなくても1年くらいは暮らせるだけの金は持っているから、遠くの誰も知らない土地で暮らそう。その間に新しい仕事を探せばいい」
「イヤ・・・・・あなたとなんかイヤー」
「そうかな?ここはそうは言っていないぞ。どうだ?自分でするより、ずっと気持ちいいだろ?俺と暮らせば毎晩してもらえるのだぞ」
「イヤ・・そんなのイヤ・・・・・アァァァ~」
「決まりだな。そうと決まれば娘は邪魔だから、別れた旦那に渡してしまえ。さあ、もっと感じるように縛ってやるから俺の部屋に行こう」
妻が感じてしまっている声を聞き、私が諦めて帰ろうと背を向けた時、妻が大きな声で叫びながら飛び出して来た。
「イヤー!もう私に近付かないでー!」
妻は私に気付くと驚いた顔をして蹲ったが、私は妻の乱れた服装を見て頭に血が上り、部屋に飛び込むと楠木を殴っていた。
  1. 2014/06/22(日) 11:07:50|
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表裏 同居

私に殴られた楠木は尻餅をついて一瞬固まったが、すぐに笑みを浮かべて立ち上がった。
「部外者のあんたが急に入って来て殴るとは、いったいどう言うつもりだ!警察を呼ぶぞ!」
「部外者?」
「もう離婚したのだから、他人のあんたが俺達の事に立ち入るな。俺達は見ての通りの関係だ。これは単なる痴話喧嘩だ」
「違う!勝手に入って来て強引に・・・・・・・・・」
「優子はそう言っているぞ。そうなると、これは強姦未遂だ」
「強姦?それなら警察を呼べ。警察を呼んでもいいが、優子のパンティーの染みは何て説明する。何が強姦未遂だ。これは完全な和姦だ。優子は嫌がっている振りをしているだけで、本当は望んでいるんだ。以前もそうだった様に、優子は嫌がる振りをして、無理やりされている状況を楽しんでいるんだ」
確かに妻は感じてしまっていたのは明らかで、そう言われると自信が無い。
楠木が娘の話をしなければ、あのまま抱かれていたかも知れない。
「おまえの言う通りかも知れないな。俺には関係無い事かも知れない。ただ関係ある事が一つある。慰謝料の事だ」
「慰謝料?そんな物は遠に支払済みだ」
「いや。払ってから、また関係を持てば新たに請求出来る。現にそれが原因で離婚したのだから」
楠木は苦虫を噛み潰したような顔になる。
「取れるものなら取ってみろ。無い者からは取れない」
「残念だが聞いてしまった。何処に隠していたのか、1年は楽に生活出来るだけの金を持っているそうじゃないか」
私はアパートを出ると楠木の住んでいた家に立ち寄り、玄関の張り紙に書かれていた電話番号に電話して、今住んでいるアパートの住所と、楠木が金を隠し持っている事を告げた。
家に帰ると既に妻の車が止まっていて、妻はキッチンでうな垂れている。
「感じたのか?」
「・・・・・・ごめんなさい」
「俺達は他人なのだから謝らなくてもいい」
「でも・・・・・・私・・・・・」
「それなら一つ訊くが、どうして途中で思い止まった?有希の事を言われたからか?」
「違います。今更信じて貰えないでしょうけど、あなたの顔が浮かんで」
それが本当なら、あそこまで行かずに最初から抵抗しろと思ったが、それでも少し嬉しかった。
「それよりも、有希に全て話して選ばせるか、このまま黙っておいて行くかどちらに決めた?」
「どちらも出来ません。許して下さい」
私は妻を虐めたいだけで、その様な気は無い。
その様な事をすれば尚の事、自棄になった妻は楠木と暮らすかも知れないからだ。
私の計画通り、結局妻は私の家で暮らすことになったが、復縁する訳ではなくてあくまでも居候で、この家では私の言い付けには逆らわない事を一つ返事で承諾した。
「俺の言った事に逆らうことがあったら、どの様な理由でもすぐに出て行ってもらう。それでも良いのか?」
「ありがとう。有希と暮らせるならどの様な事でも聞きます」
私と妻が段ボール箱をいくつか持ってアパートに行くと、3人のスーツ姿の男が隣の部屋に入って行った。
「楠木さん。債権者の中にはご飯も食べられない方がみえるのに、あなただけが働きもせずに暮らしているのは駄目でしょ」
「最低限の生活は保障されるはずだ!」
「これが最低限の生活ですか?働かずに一年も暮らせるのが」
「えっ!」
私と妻は当座の着替えと、娘の物を急いで段ボールに詰め込むとアパートを出た。
その夜妻に食事を作らせ、久し振りに3人で食べた。
「美味しいね。凄く美味しいね」
娘は余程我慢していたのか、そう言うと泣き出した。
その時私は、復縁は無くても娘の前でだけは普通の夫婦でいようと思ったが、寝室で一人になると昼間の妻の喘ぎ声が思い出されて、悔しくて寝付かれない。
これから私と娘の事を話し合おうという大事な時に、感じてしまってあの様な声を上げる妻が許せなかった。
  1. 2014/06/22(日) 11:08:57|
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表裏 病

暫らく寝付かれずに悔しさを押し殺すのに必死になっていると、部屋の前を通り過ぎる足音が聞こえた。
足音を忍ばせていてもその重さから妻だと分かり、トイレにでも行ったのかと思っていたが、一時経っても戻って来ないので私も部屋を出て妻を捜すと風呂の明かりが点いていて、娘と一緒に入ったはずなのに、妻はまた風呂に入っているようだ。
それまでシャワーの音で分からなかったが、近くに行くと微かに妻の喘ぎ声が聞こえたので思い切って脱衣所に入ったが、少し音を立ててしまったにも関わらず、夢中になっている妻は気付かない。
「イイ・イイ・・・・イク・イク・・・優子イク・・イク・イク・イク~」
擦りガラス越しに映る妻は、立ったまま壁にもたれて、シャワーと指を使って軽く達したようだったが、楠木の言っていた様にそれでは終わらず、今度はボディーソープを手にとって泡立てると、どうやら乳房と下腹部に塗っているらしい。
「ウウッ・・・ウーン・・・ウッ・ウッ」
暫らく唸り声が聞こえた後、妻はガラスから離れてしまったので、ただ中腰で動いている事ぐらいしか分からない。
「イイ・イイ・イイ・・イイの・・・イイの・・・アァァーン」
妻の声は次第に大きくなっていき、終にはまた達しそうになっていた。
「ウウーン・・イイ~・・また・・また・・イヤー・・こんなのイヤー」
私は思い切ってドアを開けると、妻は片足だけを空の風呂に突っ込んで、風呂の縁を跨いだ格好で腰を前後に動かしながら、オマンコを縁に擦り付けて喘いでいた。
「イヤ・・・・・・・・・イヤ~!イヤ~!見ないで~!」
妻は慌てて空の風呂に身を隠す。
「続けろ。もう少しだったのだろ?最後まで続けろ」
「えっ?・・・・・・・・出来ない。許して」
「この家では、俺の言う事が絶対だと言っただろ。聞けないのなら、すぐに出て行ってくれ」
妻は俯きながら、ゆっくりと縁を跨いだ。
「じっとしていないで動けよ」
妻の目には涙が溜まり、腰だけが前後に動き出す。
「もう許して」
「駄目だ。イクまで続けろ」
妻はこうやって、毎日疼きを静めていたのだろう。
その結果、石鹸を塗って滑りを良くした方が、より感じると気付いたのだと思う。
「ウウッ・・・イヤ・・こんなのイヤ」
妻は私に見られながらも、徐々に腰の動きを早めていく。
「イヤ~・・・見ないで・・・私・・私・・・・」
ビデオでは見たが、実際妻のオナニーを見るのは初めてで、妖艶な姿に下半身が硬くなる。
「イヤ・イヤ・イヤ・イヤ・・私・・イヤ・イヤ・イヤ」
妻はこの様な状況の中でも、次第に感じて登り詰めようとしていた。
「見ないで~・・・もうダメ~・・・イク・イク・・見ないで~」
「まだイクな。本当に淫乱な女だ」
私は脱衣場で裸になると、妻の前に行って硬くなったオチンチンを突き出した。
すると妻は躊躇する事無く、当たり前のように口に含む。
「俺が出すまで絶対にイクな。もしも俺より先にいったら、この家から一人出て行ってもらう」
「ウグッ・・ウー・・ウー・・ウウッ」
偉そうな事を言った私だったが、妻の早まる腰を見ていて我慢出来ずに、呆気なく妻の口一杯に出してしまった。
妻はそれを飲み込もうとしたが、全ては飲み込めずに涎のように口から垂れている。
「イク・イク・イク・・優子もイク・・イクー・・イクー・・・・イク~~」
私が余韻を楽しんでいる妻を残して脱衣場に出ると、妻も慌てて出てきて後ろから私に抱き付き、前に回した手でオチンチンを掴んだ。
「あなたお願い。欲しいの。私これが欲しいの」
「おまえ・・・・・・・・・」
「恥ずかしい。でも我慢出来ない。欲しいの。これが欲しいの」
妻は更に強く握ってきた。
「離婚したのに、あなたは可笑しくないか?」
「何と呼べば?」
「有希の前以外では、この家の中ではご主人様と呼べ」
妻は娘の部屋で寝る約束だったが寝室に連れて行き、私の上で大きな声を出しながら動き続ける妻を見ながら思った。
妻は普通では無い。
やはり病気なのだろう。
しかし、この様な妻を奴隷のように扱おうとしている私もまた、病気なのかも知れないと思った。
  1. 2014/06/22(日) 11:10:14|
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表裏 終

妻は私に服従し、その褒美にセックスしてやるという生活が続き、一ヶ月ほどして妻のアパートも引き払いに行ったが、既にそこに楠木の姿は無かった。
未だにあの3人に対する恨みはあったが、それよりも妻との関係に悩んでいた私は色々ネットで調べ、その中のセックス依存症という文字が気になって仕方がない。
妻がこの病気だとすると、あの3人が去って行っても、また妻は浮気するかも知れない。
働いているスーパーでも、浮気のチャンスはいくらでもある。
仮に仕事を辞めさせたとしても、私が24時間見張るのは不可能で、結局妻を信用するしかないのだが、夜の乱れようを見ていると心配で仕方が無い。
私は思い切って、妻を連れてカウンセリングを受けた。
「セックス依存症とまでは言い切れません。むしろ現実逃避と考えた方が良いかと」
医者の話では、妻は罪悪感から逃げたくて、全て忘れる方法がセックスだった。
その後、今度は自分のおかれた立場を一時でも忘れたくて、何かに逃げたかったが、それもセックスだった。
将来が不安で潰れそうになり、その事を考えないでも良い時間は、セックスをしている時だけだった。
確かに妻も、セックスをしている時だけは何もかも忘れられると言った事がある。
妻を救える方法は、私が全てを忘れて許し、復縁して昔の関係に戻して、妻の不安を拭い去る事だと思った。
妻の罪悪感を和らげ、妻が逃げなくても良いようにする事だと思った。
しかしこうして、ブームが過ぎ去ってから友人に貰ったぶら下がり健康器に下着姿で手を吊られ、パンティー中にローターを入れられて腰を振って喘いでいる妻を見ていると、私の方がやめられそうにない。
私に快感をコントロールされ、イクのを我慢させられて必死にオチンチンを咥える妻を見ていると、すぐにはこの生活をやめられそうにない。
ずるい考えだが、私は妻が変わったのではなく、この様な妻も愛した妻の一部だと思う事にした。
この様な妻を愛そうと思った。
昼は淑女で夜は淫乱な妻を愛そうと。
それには浮気の心配は付き纏うが、今度浮気したら終わりだと妻も自覚しているはずだ。
セックスの欲望が私との復縁よりも上回れば、私は妻を諦めるしかない。
歳をとれば自然と関係も変わってくると、今までよりも気楽に考えて楽しむ事にした。
「ご主人様~・・優子はもう・・・・・」
「まだ駄目だ。俺が出してからだ」
「それなら・・・・・これを止めて下さい・・・こんなのを入れられていたら・・・
優子は・・・・・・」
「それも駄目だ。少しは我慢する事を覚えろ」
我慢出来ずに、縋るような目で私を見詰める妻が愛しい。
バイブを動かしてもらえずに、自分から腰を動かす妻が愛しい。
そんな事を感じるようになった私も、やはり病気かも知れないが、暫らくはこの病気を治さないでおこう。
  1. 2014/06/22(日) 11:11:01|
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蜃気楼 まえがき

かなり遠い昔になりますが、性に目覚め自慰を覚えたころの対象となる女性は10代後半のアイドル、またはせいぜい二十歳そこそこの女優で、20代半ば過ぎになると正直に言って「おばさん」という印象でした。

まして自分の母親の年代とも言うべき40代の女性となるととてもそのような欲望の対象とはなりえず、またそういう年齢の女性がセックスをするということが現実のものとしてなかなか信じられませんでした。

しかし世の中というものはよくしたもので、男が年を取ってくるとそれなりに自分とつりあった 年齢の女性に対しても欲望を感じるようになります(一部、若い女でないとだめという男はいるでしょうが)。私もまもなく50に手が届く年齢になりましたが、学生時代から付き合い初めて就職して2年目で結婚した今年銀婚式を迎える妻に対していまだに性欲を感じるのです。

夫の贔屓目がかなり入っていますが、妻の香澄は名取裕子に似たはっきりとした顔立ちの美人で、身体は彼女をかなり豊満にした感じです。名取裕子は今年50歳だそうですが、今でも相当の艶がある美女だと思います。妻は学生時代はガリガリに痩せており、その大人っぽい顔立ちもあって実年齢よりも上に見られることが多かったのですが、結婚して2年目で最初の子供を生んでからはふっくらとした身体つきになり、かえって若々しくなりました。

そういえば昔に比べて女性が若々しくなったように思えます。名取裕子や、今年48歳を迎える熟年女優、片平なぎさがいまだに「2時間ドラマの女王」として艶麗な姿を誇っているのはそのためでしょう。化粧やエステにふんだんなお金をかけることができる女優だけでなく、普通の主婦でも実際の年齢を聞けば驚くほど若々しい容貌を保っている人が多いようです。

しかし、それでも二十歳そこそこの男が自分の母親のような年齢の女に性的な興味を持つというのは私には実感として信じられないことでした。前置きが長くなりましたが、この話は私たち夫婦に起きたそんな体験を基にしたものです。
  1. 2014/06/22(日) 11:18:07|
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蜃気楼 第1回

後に私の妻となる香澄と交際を始めたのは高校1年の時に、ブラスバンド部で同じフルートパートに所属したことがきっかけです。音楽好きの私は何か一つ楽器をものにしたいという気持ちがあり、ブラスバンド部に入ったのです。楽器は何でも良かったのですが、たまたま3年が引退することによってひとりきりになるフルートパートを補充する必要があるということで、そこに所属させられたのです。一緒に入った友人は男っぽい金管楽器やサックスを選び、フルートでも良いといったのが私だけだったせいもあります。

私自身は楽器は未経験でしたが、香澄は中学時代にもブラスバンド部に所属していたためフルートは相当吹けるだけでなく、子供のころから続けていたピアノもかなりの腕前でした。フルートパートは人数不足だったため、私も入部して数ヶ月もしないうちに高校野球の応援などで吹かされましたが、テンポが速くなるとまったく指が回らず、音を出すふりをして誤魔化すのが精一杯でした。香澄が装飾音の多いフレーズをやすやすと吹きこなすのを見て私はひどく劣等感に駆られました。

今思うと3年の経験差があるのですから当たり前ですが、その頃は女である香澄に引けを取るというのが我慢できなかったのです。香澄はそんな私に対して優越感を示すでもなく、また同情して教えようともせず、常に淡々としていました。

私は朝早く来ては部室の裏の非常階段で延々とロングトーンを繰り返し、昼休みも音階やアルペジオといった基礎練習に費やしました。私は楽器の経験はなかったものの耳学問は達者だったため、そういった地味な練習が結局は上達の早道だと考えていたのです。

数ヶ月の間は苦労の日々が続きましたが、ある時、それまでの基礎練習の効果がようやく現れ出しました。毎日のロングトーンで鍛えられた音色は、自分が吹いていると信じられないほど澄んでおり、地道な音階練習によって鍛えられた指が急に回るようになったのです。

同学年の友人や先輩も、私の突然の上達を驚きの目で見ました。たいていの部員は面白みのない基礎練習を嫌い、演奏会でやる曲の練習ばかりしていたからです。

香澄は私から少し離れた場所に立ち、相変わらず冷静な視線を向けていました。私の上達について香澄が何も言わないのがなんとなく不満でした。

しかし香澄の態度が変わってきたのはその後の、秋の文化祭に向けた練習の時です。香澄はそれまでひたすら譜面と向き合って、自分のパートを正確に吹くことに集中していたのですが、あたかも私に寄り添うような演奏をするようになったのです。

フレーズの開始と終了、2つのフルートが織り成す和音とユニゾン、私は自然と香澄に導かれるように吹き、楽器を通じて香澄と会話をするような気分になっていました。これはこれまでの私では経験できなかったことでした。

秋の文化祭では私なりに満足できる演奏ができましたし、香澄もそれは感じているようでした。かといって私と香澄は実際にはほとんど会話を交わすことはありませんでした。季節は流れて年が変わり、冬休み明けの始業式の日、私は廊下で香澄に呼び止められました。

「渡辺さん」

この時の香澄の思いつめたような表情を今でも思い出します。私は気圧されるようなものを感じながら「何?」と返事をします。

「ちょっと話があるの」
「ここじゃ駄目?」

香澄はこくりと頷きます。私は「それじゃあ、後で部室の裏で」と答えます。香澄は再びこくりと頷きました。

始業式の日は授業もないため、教室で簡単な連絡事項が終わったら解放されます。私は香澄と約束した部室の裏の非常階段へ急ぎました。香澄はぼんやりとグラウンドを眺めていました。

「村岡(妻の旧姓)さん」

私に気づいていなかった香澄ははっとした表情を向けます。その切れ長の目が光っているのに私は気づきました。

「ああ……ごめんなさい。ぼんやりしていて」

香澄はそういいながら目元に手をやります。

(泣いていた?)

私は香澄の様子がおかしいことに動揺しましたが、わざと平気を装って尋ねます。

「用って何」
「あ……」

香澄は初めて呼び出した用件を思い出したように私を見ます。
  1. 2014/06/22(日) 11:19:48|
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蜃気楼 第2回

「渡辺さん、私、転校しなければいけなくなったの」
「転校?」

思いがけない香澄の言葉に私は驚きました。

「いつ?」
「父の転勤で2年からは新しい学校に……」

私と香澄の通う学校は公立ですが地域では一応名の通った進学校で、学区外から越境通学をしてくるものもあるほどです。したがってよほどのことがない限り転校するものはありません。

「転勤って、どこへ?」
「I県に……」

香澄が口にしたのは北陸のある県でした。私たちが通う横浜の学校からは相当の距離があります。

「そうか……」

私は間の抜けた返事をします。

「クラブ、続けられないね」
「うん……」

香澄はまた頷きますが、なぜか私とは目を合わせません。

「みんなに言う前に、渡辺さんに伝えたかったの」
「そうか……」

今度は私が頷きました。

「クラブは3月いっぱい続けるよ。来週からまた練習だね」

香澄は笑顔を見せ、「それじゃ」と言って帰っていきました。私は香澄を見送ると、私が来たときに香澄がそうしていたようにぼんやりとグラウンドを眺めました。

(香澄がいなくなる……)

私は突然胸が締め付けられるような思いがしました。

私が友人と遊ぶ時間も惜しんでフルートの練習に打ち込んだのは、当初は楽器を一つ自分のものにしたかったからでしたが、次第に香澄に認められたいという思いからそうしていたのだということがわかりました。香澄がいつしか私に寄り添ってくるような演奏をするようになったとき、私の心の中になんともいえぬ幸福感が生まれていたのです。

ほとんど言葉を交わしませんでしたが、毎日の練習で私と香澄は確かに気持ちを伝え合っていました。ここはもっと早く、もっと強く、もっと優しく、歌うように……私は香澄のフルートの音色の中に香澄の声を聞いていたのです。私自身も自分の思いを演奏に込めていました。香澄と一緒にいられて嬉しい、もっと一緒にいたい、ずっと一緒にいたい……。

私は非常階段を一段抜きで駆け下りました。校門を出たところで、ずっと前のほうで一人で歩いている香澄の姿が見えました。

「村岡さん」

私が呼ぶと、香澄が驚いたような顔をして振り返りました。私は香澄に向かって駆け寄ります。

「忘れてた……僕からも話があったんだ」

香澄は私の顔を見ながら首を傾げます。

「時間はある?」

香澄はこっくりと頷きました。とっさのことなので私はどこへ行こうかまったく考えていません。そんな私に香澄が声をかけます。

「港の見える丘公園に行かない?」
「そう……そうだね」

私は頷くと、駅に向かって歩き出します。香澄は特に小柄というわけではありませんが、180センチを超える私とはかなり身長差があります。大きな歩幅で歩く私に香澄は懸命に着いてきました。
  1. 2014/06/22(日) 11:21:03|
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蜃気楼 第3回

香澄との馴れ初めの話が思ったよりも長くなりました。結論から言うと私と香澄はその後いわゆる「遠距離恋愛」を続け、お互いに大学を卒業し、就職してから2年目の秋に結婚しました。私が24歳、香澄が23歳でした。

甘い新婚気分に浸る間は短く、翌年に長男が、そのまた翌年に次男が生まれます。妻は2人の子育てに追われ、私は私で商社マンとして忙しい日々を送ります。

転勤の多い生活の中で子供を育てていきながら妻がずっと続けていたのがフルートでした。下の子が小学校に入学した頃から本格的に再開し、地域のオーケストラに参加したり、ボランティアで室内楽の演奏会に出るようになりました。レッスンもずっと続けて受けており、次男が大学に入った頃にはある大手の音楽スクールの講師の仕事を始めるまでになりました。

昨年の3月には次男の就職が決まり、入社前研修のため会社の寮に入ったことから、自宅は私と妻の二人暮らしになりました。2人の息子を大学を卒業させ、私はようやく親としての勤めを果たしたという満足感を味わっていましたが、妻はむしろと子供が巣立ったことによる寂しさを感じているようでした。

私は5年前に商社はやめており、取引先の社長にスカウトされてある通信販売会社の役員になっていました。仕事の責任は重いですが、商社マン時代ほどの激烈な忙しさはありません。また、基本的に転勤はありませんし比較的時間も自由に使えます。

「5月の連休に2人で温泉にでも行くか」
「いいわね」

私は寂しげな妻を気遣って提案します。妻は微笑して頷きますが、やはりあまり元気はなさそうです。

「あなた、お願いがあるんですが……」

妻が遠慮がちに口を開きました。

「なんだい」
「今講師をやっている教室の生徒さんに、自宅でレッスンをしたいんです」
「自宅で?」

私は意外な申し出に聞き返します。

「子供たちも家を出ましたし、あなたにも迷惑をかけませんから……」
「僕は迷惑なんて思わないが、スクールのほうはそれでかまわないの?」
「はい、お金はいただくつもりはありませんし、来ていただく方もスクールのほうも続けることになっています」
「何人なの?」
「2人です。男の子と女の子。同じ大学のオーケストラで吹いているんですが、私の生徒の中では一番熱心なんです。もう2年も続けています」
「そうか……」

私は少し考えます。

「近所迷惑にならないかな?」
「私もレッスンをするのでリビングには防音処理がされていますから……回数も週一回だけですので」
「お隣とお向かいには事前にきちんと挨拶しておけよ」
「じゃあ、いいんですね?」
「香澄はやりたいんだろう。かまわないよ」

妻は嬉しそうに頷きました。

自宅で自分の息子や娘のような生徒にレッスンをすることで、2人の息子が手を離れたことによる妻の寂しさが紛れるのなら良いことだと私は思いました。そのことが後に大変な事態を招くことになるのですが。


自宅のレッスンは順調にいっているようで、妻はレッスン日である金曜日が近づくとそわそわとし、生徒をもてなすためにおいしい紅茶を買ったりケーキを買ったりしています。社会人になった息子たちは自分のことで精一杯なのか、ほとんど家に寄り付きません。思ったとおり2人の教え子が妻にとってすっかり息子たちの代わりになっているようでした。

一方、ゴールデンウィークに予定していた妻との温泉旅行ですが、思いがけない事態から行けなくなってしまいました。社長が持病のヘルニアを再発させ、緊急入院したことから私が一時的に社長代行をせざるを得なくなったのです。

「申し訳ない。楽しみにしていたのに」

私は妻に謝ります。

  1. 2014/06/22(日) 11:22:03|
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蜃気楼 第4回

「責任のある仕事についているんですから、しょうがないですわ。今ならキャンセル料もほとんどかかりませんし……」
「しかし残念だな……なかなか取れない宿なんだが」
「それはそうですね」

妻も残念そうです。私たちが行くはずだった宿は人気があり、ゴールデンウィークなどは半年前から予約で一杯になります。3月の申し込みで取ることができたのはたまたまキャンセルが出たためであり、その時は宝くじが当たったような幸運に感謝したものです。

「友達と一緒に行ってきたらどうだ?」
「そんな……あなたがお仕事なのに悪いですわ。それに今頃はみんな連休の予定は埋まっているでしょう」
「まあ、キャンセルするにもまだ少し余裕がある。一応あたってみろよ」
「そうですね……わかりました」

妻は微笑します。それから2日後の、自宅レッスンがあった日の夜に妻が食事を取っている私に話しかけます。

「あなた、例の温泉の件なんですが」
「うん? 行く相手が決まったか?」
「自宅でレッスンをしている生徒さんと行ってきては駄目ですか?」
「え?」

私は箸を置いて妻の顔を見ました。

「あれから佐和子や美奈子に聞いてみたんですが、やはりもう予定が入っていて、今からでは無理だと……それで、今日たまたまレッスンの後で連休の話になり、その話をしたら生徒さんがぜひ行きたいって……」

佐和子さんや美奈子さんというのは学生時代からの妻の友人です。

「生徒は男の子一人と女の子一人って言ったな」
「はい」
「その二人、恋人同士じゃないのか?」
「まあ……」

妻はコロコロと笑い出します。

「あの二人はそんなのじゃありませんわ。ただの友達同士みたいです。それに久美さんには別に彼がいるらしいです」
「久美さんっていうのが生徒さんの名前か?」
「あら、言っていませんでしたっけ? 村瀬真一君と兵頭久美さん、どちらもR大の学生さんです」
「R大か……ずいぶん遠くから通っているんだな」

R大は東京のターミナル駅近くにあるミッション系の大学です。

「実家がこちらにあるから週末には帰っているみたいです。だからレッスンも金曜日の午後が良いようです」
「それにしても……」

私は少し釈然としませんでしたが、それは若い男女が旅行するのに40代半ば過ぎの妻が着いていくという構図が不自然に思えたのか、恋人同士でもない男女が週一回、スクールでのレッスンも含むと2回も行動をともにしているということが不思議に思えたのか、自分でも良くわかりませんでした。

しかし私にも経験がありますが、音楽好きの人間というのは不思議な情熱があるもので、他の人から見れば不自然なことも結構平気で行います。私はそのときに感じた違和感をさほど追求することもありませんでした。

「親御さんがいいといっているのならいいんじゃないか」
「ありがとうございます。2人も、親の了解を取ってくると言っていました」
「なんだ、香澄はもう決めているんじゃないか」

私は思わず苦笑します。

「そういうわけじゃありませんが……すみません」

妻は少し顔を赤くしてうつむきます。

「いや、皮肉で言ったんじゃない。年下の人間と旅をするのもたまにはいいことだ。少し、若いエネルギーを分けてもらって来たらどうだ」
「まあ、それはやっぱり皮肉ですわね」

妻が再びコロコロと笑い、この話は終わりになりました。
  1. 2014/06/22(日) 11:23:01|
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蜃気楼 第5回

妻が2人の生徒と一緒に旅行に出かけるのは5月3日から5日までの2泊3日です。旅行の前日である2日の火曜日の夜に私が帰宅したら、妻の生徒である村瀬真一という青年と、兵頭久美という娘が妻と一緒に待っていました。出発前にぜひ私に一度ご挨拶をしたいということでした。

「このたびは渡辺先生にお世話になります。それと、宿泊料のこと、ありがとうございました。ご主人にぜひご挨拶とお礼がしたくて伺いました」

2人が声を合わせて挨拶します。2人ともいかにもR大の学生らしい、良家の子女といったタイプです。村瀬という青年はひょろりと背が高く、黒縁の眼鏡をかけた真面目そうな雰囲気で、久美という娘はさほど長身ではない妻よりも小柄で、人形のような顔立ちをしています。

「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく。しかし、若い人2人の旅におばさん一人が同行じゃ、お邪魔じゃないのかな」
「渡辺先生はおばさんなんかじゃありません。素敵な女性だと思います」

村瀬が真剣な表情でそう言ったので、私は少し驚きました。

「そうかい? ありがとう。古女房を褒められるのは悪い気分じゃない」

私が冗談めかして答えると、村瀬は黙って顔を伏せました。

「村瀬君ったら、渡辺先生の熱狂的なファンなんです」

久美が悪戯っぽい笑みを浮かべながら少し大きな声で口を挟みます。

「だから、今度の旅行はすごく楽しみみたいで……私、お邪魔じゃないかと心配しているんですよ」
「久美さんったら、こんなおばさんをからかうもんじゃないわ」

妻は顔を赤くして久美をたしなめますが、まんざら悪い気分でもないようです。

「だけど、私もそう思いますわ。渡辺先生って女優の、なんていったかしら……そう、名取裕子にそっくりでとても綺麗です。村瀬君が夢中になるのも無理はないと思うわ」
「名取裕子か。お世辞でも嬉しいね。それじゃあ香澄が行く温泉では殺人事件でもおきそうだな」
「ご主人、それは名取裕子じゃなくて片平なぎさです」

久美が笑いながら訂正します。

「でも殺人事件はともかく、何か事件が起こるかもしれないわね……村瀬君と渡辺先生との間で」
「久美さん、いい加減にしなさい」

さすがに妻は久美を強くたしなめます。

「ごめんなさい……でもご主人、安心して。私がしっかり見張っていますわ。村瀬君が湯上りの先生の色香に迷って悪さをしないように」
「ほんとにもう、久美さんったら、冗談が過ぎますわ」

久美という娘は見かけによらずかなり奔放な性格のようです。村瀬はじっと黙って、時折ちらちらと妻の方を眺めています。

「あまりご主人を心配させてはいけないわね。それじゃあ、これで私たち失礼します。村瀬君、帰るわよ」
「あ、ああ……」

最後に2人は私と妻にぺこりと頭を下げます。

「遅いから、駅まで車で送るわ」
「あら、ご主人が帰ってきているのに悪いです。歩いていきますわ」
「そんなことを言わないで……何かあったら親御さんに申し訳が立たないわ。あなた、少し待っていてください」
「ああ、行っておいで」

妻は車に2人を乗せると、駅に向かって走らせます。私が風呂に入り、ちょうど出た頃に妻が帰ってきました。

「すみませんでした。すぐ夕食の用意をしますわ。しばらくこれでビールを飲んでいてください」

妻がいくつかの小鉢につまみを出し、グラスにビールを注ぐとキッチンに向かいます。

  1. 2014/06/22(日) 11:23:51|
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蜃気楼 第6回

「あの村瀬って学生、香澄の大ファンなんだって?」
「まあ……」

妻はおかしそうにわらいます。

「あれは久美さんの冗談ですわ」
「そうかな」

私はグラスのビールを半分ほど呑みます。

「……名取裕子か。そういわれて見れば確かに香澄に似てるな。名取裕子なら若い男にもファンがいそうじゃないか」
「あなたまでが何を言うんですか。村瀬君は栄治よりも年下なんですよ。母親みたいな年齢の女を好きになるわけないじゃないですか」

栄治というのは今年就職した私たちの次男です。

「あの2人、幾つって言ったっけ?」
「村瀬君が一浪しているから今年22歳、久美さんは今年21歳になるはずです」

香澄は47歳ですから、村瀬とは二周り以上年の差があります。

「そうだな……すると栄治よりも一つ下か。確かに母親の年代だな」

私には、自分の母親を連想させる年齢の相手を女としてみることはないという先入観がありました。村瀬が妻に対して抱いていたものも母親に対するものと同じような一種の憧れであり、妻を恋愛や、ましてセックスの対象としてみているのではないと私は思い込んでいました。

村瀬の話はそれで終わり、翌日、妻は予定通り旅立っていきました。社長代行を務めなければならない私はゴールデンウィークにもかかわらず私は休日出勤を強いられましたが、夜はそれほど遅くはありません。私はなんとなく妻のことが気になって早めに家に帰りましたが、それでも帰宅時には時計は既に9時を過ぎていました。

私が予約した伊豆の温泉旅館の部屋は二間続きの和室で、露天風呂までついたかなり高級なものです。もちろん一室しかとっていませんでしたので、妻が久美さんと同じ部屋に寝て、村瀬はもう一つの部屋に寝るということでした。それはもちろん久美さんの親御さんに対する当然の配慮です。

(そろそろメールの一本くらいあっても良い筈だが……村瀬や久美さんの家への連絡で手一杯なのかな)

二十歳過ぎているとは言えいまだ学生の若い男女を妻が「引率して」いるのです。間違いがあってはなりません。

それにしても誰もいない家というのはなんとも寂しいものです。私が帰宅した時に妻が家を空けていることが今までなかった訳ではなく、さらに息子たち子供も留守にしていることはありましたが、子供が巣立ち夫婦2人だけの所帯になると、2人のうち1人がいないというのは大きいです。

私は風呂に入り、パジャマに着替えると冷蔵庫から缶ビールを取り出します。不在の間は外食で済ますと伝えて置いたのですが、妻は私の好きなつまみを何品か作り置いているようで、ラップのかけられた小鉢がいくつか冷蔵庫に入っています。私はそのうち一つを取り出すと缶ビールの蓋を開け、飲み始めました。

(それにしても……)

ビールを飲み終えた私は日本酒に移ります。いつの間にか時計の針は10時を回っていました。妻はこれまで家を空ける時には私が煩わしく思うほど頻繁に連絡をしてくるのが常でした。今回に限って連絡がないというのはどうしてでしょうか。私はふと昨日の村瀬の真剣な表情が頭に蘇りました。

(渡辺先生はおばさんなんかじゃありません。素敵な女性だと思います)

私は説明の出来ない不安に駆られ、妻の携帯を呼び出しました。

(出ない……)

コールが繰り返されますが応答がありません。10回近くコールした後にようやく妻が電話に出ました。

(はい……)
「俺だ」
(ああ……あなた……)
「あなたって……着信画面に俺の名前が出るだろう
  1. 2014/06/22(日) 11:25:20|
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蜃気楼 第7回

(ごめんなさい……慌てて取ったもので……)
「妙に息が荒いが、どうかしたのか」
(ああ……く、久美さんと露天風呂に入っていて、今上がったところなんです。電話が鳴っているのが聞こえたから、画面もみないで取ってしまって……)
「そうか」

すると妻と久美さんは裸ということか、と私は生々しい想像をしました。

「まあいい、そちらは何か変わったことはないか」
(いえ……あ、ありません)
「人様の家の大事なお子さんを預かっているんだ。事故がないように注意するんだぞ」
(わかっていますわ……あ……)

妻が電話の向こうで誰かと小声で話す気配がありました。

「どうした?」
(久美さんが……あなたとお話がしたいって……)
「え?」
(い、今、代わりますわ)

妻は私の返事も聞かずに電話を代わりました。いきなり久美さんの明るい声が飛び込んできました。

(おじさま、久美です)
「ああ……」
(渡辺先生……いえ、奥様をお借りしてごめんなさい)
「いや……君達こそ家内に付き合ってくれてありがとう」
(奥様がお留守だと家でお一人なんでしょう? お寂しいんじゃないですか)
「そんな年じゃないよ」
(奥様はしっかり私がお守りして、無事にお返ししますからご安心なさってください。それじゃあ、お休みなさい)
「あ、ああ、お休み……」

私の返事が終わるや否や電話は切れました。

(なんだか賑やかな子だな)

携帯を置いた私は首を捻ります。私は盃に残った酒を飲み干し、もう一杯注ぎます。

(香澄もたまには羽目を外すと良い気分転換になるだろう。子供たちが家を出てから沈んでいたからな)

私はそんなことを考えながら2杯目の酒に口をつけました。伊豆の旅館でどのような光景が繰り広げられているかをその時私が知っていたら、そんな暢気なことは決して考えなかったでしょう。


妻は予定どおり5日の夜に帰って来ました。意外なことに村瀬と久美さんが一緒でした。

妻はぐったりした様子で、村瀬に抱えられるようにしているので私は驚きました。

「どうした、香澄」
「あなた……」

妻はぼんやりした表情を私に向け、すぐに顔を伏せます。

「ごめんなさい、ご主人。私達が色々引っ張り回したせいで、渡辺先生、すっかり疲れてしまったようなんです」

久美が深々と頭を下げます。それを見た村瀬も慌てたように頭を下げました。

「そうなのか」
「はい……すみません」

久美が再び頭を下げます。

「いや、久美さんは良いんです。香澄に聞いているんだ」
「……いえ、私の方が年も考えずにはしゃいでしまって……すみませんでした」

妻は荒い息をはきながらそう言うと再び顔を伏せました。

「香澄が2人に送ってもらうなんて、立場が逆だろう」
「ご主人。私達が悪いんです。奥様をしからないでください」

久美が手を振ります。

  1. 2014/06/22(日) 11:27:54|
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蜃気楼 第8回

「こういうことは年長者の責任です。どちらにしても妻がお世話になりました。遠いところをわざわざありがとう」
「いえ、伊豆からでしたら私達も通り道ですから。これから東京に戻ります」
「遅くなったんで駅まで車で送りましょう」
「いいんです。タクシーを待たせていますから。本当にすみませんでした、それと有り難うございました。今回の旅行、とっても楽しかったです」

久美はそこで村瀬と顔を見合わせ、微かに意味ありげな笑いを浮かべました。

「それじゃあ、失礼します」

2人は声をそろえて挨拶すると帰って行きました。その時の私は「今時の子にしては礼儀正しいな」といった程度にしか考えていませんでした。

2人を見送った後振り返ると妻の姿はありません。私は妻の名を呼びました。

「香澄」

廊下をダイニングの方に向かうと浴室からシャワーの音がします。

(風呂に入っているのか)

私は「香澄、入るぞ」と声をかけ、脱衣所の扉を開けました。

浴室の中からシャワーの音に混じって妻の泣き声が聞こえるような気がしました。

「香澄、どうした」
「あなた……」
「泣いているのか」
「ま、まさか……そんなことはありませんわ」
「せっかく2人に送ってもらったのに見送りもしないで、どうしたんだ。香澄らしくないな」
「……ごめんなさい」
「俺に謝ってもらっても仕方がないが……」

私はそう言いながらふと脱衣籠に目を向けました。底には私が見たこともないような真っ赤なパンティが脱ぎ捨てられていました。

(香澄はこんな派手な下着を持っていただろうか……)

真面目な性格の妻は下着も地味なものが多く、色も白かベージュがほとんどです。時々私がもっと派手なものを履いてくれと頼んでも、笑いながら聞き流されてしまいます。私は首を捻りながら脱衣所を出るとリビングに向かいました。

しばらく待っているとパジャマに着替えた妻が入ってきました。

「あなた……申し訳ございませんでした」
「さっきも言ったが俺に謝る必要はない。それにしても様子が変だぞ、香澄。旅行先で何かあったのか?」
「な、何もありませんわ……」

妻はあわてたように首を振ります。

「本当か? あの村瀬という学生と久美さんの間に何かあったんじゃないか」
「いえ……そんなことはありません。楽しい旅行でした」
「それならいいが……」

平静を装っていますが妻の様子がやはり普通ではありません。私は質問を変えました。

「香澄はあんな派手な下着を持っていたのか?」
「え?」

途端に妻の表情がこわばりました。

「何のことですか?」
「脱衣所に見たことのないような真っ赤なパンティがあったぞ。香澄のものじゃないのか」
「……あ、あれは……久美さんのものですわ?」
「久美さんの?」

私は驚いて問い返します。

「なぜ久美さんの下着を香澄が持っている?」
「い、いえ……言い間違えました。久美さんが旅行に持ってきて、私にくれたんです」
「どうして?」
  1. 2014/06/22(日) 11:28:51|
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蜃気楼 第9回

「どうしてってそれは……旅行に招待してくれたお礼だって……」
「それであんな派手な下着を?」
「わ、若い人たちにとっては下着を送ったり送られたりすることは特に珍しいことではないそうですわ」
「そうなのか? あまり聞いたことがないな」

私は首をひねります。

「今度婦人もの下着担当のバイヤーに聞いてみるよ」

先に述べたとおり、私は通販会社の役員をしていますので、婦人ものの下着は重要な商材です。若い人の間に下着のギフト需要があるのなら利用しない手はない、といった程度の軽い発言でしたが、それを聞いた妻の顔色が明らかに変わりました。

「く、久美さんの冗談かもしれません。あまり本気にとらないでください」
「もちろんわかっているよ。どうした、やはりいつもの香澄と違うな」
「そうですか……」

妻は私の視線を避けるように顔を伏せます。

「……少し疲れましたので、休ませていただいてよろしいですか?」
「ああ、二泊三日も若い人のペースに合わせていたんだから、疲れただろう。ゆっくり休めばいい」
「ありがとうございます」

妻は頭を下げると寝室に行きます。私は妻の態度になんとなく釈然としないものを感じながらも、仕事の都合で夫婦の旅行をキャンセルしてしまったという申し訳なさもあり、それ以上妻を問い詰めることはしませんでした。これが結果的には大きな判断ミスとなるのですが。


その後、社長は退院してきましたが、身体の方はすぐには回復しないようで、私が担当する業務量も以前よりはかなり増えました。必然的に毎日の帰りも遅くなります。

夫婦二人の生活になったのだから妻の精神状態をもっとケアしなければいけないという気持ちはあるのですが、なかなか周囲の環境が許してくれません。夏休みには、ゴールデンウィークに行けなかった温泉旅行の仕切り直しをしなければと思っても、先の予定が立たない状況にあります。

一時気分が沈んでいた妻も、次第に明るさを取り戻すようになりました。それと同時に今までにはないような明るい色のものやミニスカートまで身に着けるようになったので驚きました。

「ずいぶん洋服の趣味が変わったな」
「あら、そうですか?」

妻は何がおかしいのかコロコロ笑います。

「久美さんが選んでくれるんです。私くらいの年齢になったら明るいものを身に着けたほうが老けて見えなくていいって」
「久美さんと買い物にまで行くのか」
「はい」

妻は微笑して私の顔を見ます。私は妻のヘアスタイルも以前とは違っているのに気づきました。長さはほとんど変わらないのですが、ウェーブがかかり、色も明るくなっています。

「美容院に行ったのか?」
「あら、気づかなかったのですか」

妻はくすくす笑います。

「一週間前からこの髪ですよ」
「そうか……気づかなかったな」
「あなた、ここのところずっと忙しかったから」
「そうだな……」

妻をケアしなければいけないと頭で思っていても、ヘアスタイルが変わったことにすら気づかないのは情けない話です。

「それも久美さんの影響か?」
「久美さんが知っているヘアスタイリストを紹介してくれたんです」
「そうか……」

妻が明るくなったのはいいことですが、反面、私が知らないうちに妻がどんどん変わってくるような気がして、説明のつかない不安が高まってきました。その不安が大きくなったのは夏も近づいたある日のことです。いつものように二人の食卓で妻が口を開きました。
  1. 2014/06/22(日) 11:29:38|
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蜃気楼 第10回

「あなた……夏休みのことなんですが」
「ああ……」

私は顔を上げます。

「すまない……なかなか仕事の予定がたたなくてね。温泉旅行は秋あたりになりそうだな」
「ええ、それはいいんですが……実は、真一さんと久美さんがこの前のお礼ということで旅行に誘ってくれているんです」
「旅行に?」

私は眉を上げます。

「大学が休みに入る7月後半に、久美さんのお父様が持っている軽井沢の別荘に行かないかと誘ってくださって。真一さんも一緒に」
「久美さんの父親というのは軽井沢に別荘を持っているのか?」

さすがにR大の学生は違うと私は少々驚きました。

「はい……ずっと使っていなかったので、風を通したほうがいいからなんて言ってましたけど。久美さんのお父様は老舗の酒屋の社長さんのようです。別荘も古くから持っているものということで……」
「それにしても……」

ゴールデンウィークになかなか行けない高級温泉旅館に招待してあげたつもりだが、彼らにとってはそんなのは特に珍しくもなかったのかもしれないな、と私は思いました。

「まあ……それはともかく、大丈夫か?」
「何がですか?」
「この前は帰ってからかなり疲れていたようだったが」
「大丈夫ですわ。今度はあんなにはしゃぎませんから。真一さんや久美さんも気を遣ってくれますし」

私は妻の言葉に何か引っかかるものを感じました。しかしそれが何だかわかりません。話しているうちに引っかかっているものは話の内容ではなくて、妻の口調にあることに気づきました。

「香澄、5月の旅行がそんなに楽しかったのか?」
「え、ええ……」

妻が一瞬戸惑ったような表情を浮かべますが、すぐにまた微笑を浮かべます。

「とても楽しかったですわ。なんだか私、学生時代に戻ったような気がしました」
「そうか……」

私はそこで違和感の原因の一つに気が付きました。

「香澄は前からあの、村瀬って学生のことを『真一さん』と呼んでいたっけ?」
「え?」

妻は私の問いに目を泳がせます。

「さ、さあ……どうだったかしら? よく覚えていませんわ」
「確か『村瀬君』とか『真一君』と呼んでいたような気がするな」
「そうですか? 兵頭さんのことを『久美さん』と呼ぶんですから、同じように『真一さん』と呼んでいたと思うんですが……」

妻は首を傾げます。

「あなたが気になるようでしたら、呼び方を変えますが」
「いや、別に気になるほどじゃない」

私はグラスに残っていたビールを飲み干しました。

「俺が香澄のケアをしてあげられないのをあの二人に押し付けているようで、なんだか申し訳ない気がするな。あの二人も別荘なら若い友達と一緒に言ったほうが楽しいだろうに」
「それが、お世辞だと思うのですが、若い人と一緒よりも私といったほうが楽しいと言ってくれるのです」
「それは間違いなくお世辞だ。うちの陽一や栄治には絶対に真似のできない科白だな」
「まあ、ひどいわ」

妻が頬を膨らませるのを見て私は笑います。この時もなんとなく違和感を感じただけで、私には妻の旅行を止める理由はありませんでした。むしろ、自分が寂しい思いをさせているのを二人の教え子が埋め合わせをしてくれていると安易に考えていました。

しかし、三泊四日のこの軽井沢への旅行から帰ってきて以来、妻の様子は目に見えて変わってきたのです。

  1. 2014/06/22(日) 11:30:40|
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蜃気楼 第11回

夏が過ぎて季節は秋になり、妻は物思いに沈むような表情をすることが多くなり、口数も少なくなっていきました。私が話しかけても心ここにあらずといった様子です。

私はさすがにおかしいと思い始めますが、原因がわからないので対策の打ちようがありません。しかし10月に入ったある土曜日の夜、私が突然妻からセックスを拒絶されたことから、溜まっていたマグマが一気に地上に噴出すように事態が動き出しました。

「どうしたんだ? 生理は先週終わったはずだろう」
「ごめんなさい……出来ないんです」

それまで私たちは月に2、3回はセックスをしていました。妻の生理のとき以外はほぼ毎週といったペースです。それが年齢に比べて多いのか少ないのかわかりませんが、妻も私との行為を十分楽しんでいるしと思っていました。

体調が悪いときはもちろん無理には求めませんし、こちらもそれなりに雰囲気に気を配っているせいか、これまで妻が私の誘いを断ることはほとんどなかったのです。

「先週は生理、先々週は香澄は佐和子さんや美奈子さんと旅行に行っていたし、その前は確か風邪気味ということだった。かれこれ一ヶ月もしていないぞ」
「……」
「何か理由があるのか? 身体の具合でも悪いのか?」
「……すみません。そういった理由ではありません」
「ではなんだ? 言ってくれないとわからない」
「……」

妻は思いつめたような表情で黙っていましたが、意を決したように顔を上げました。

「彼が……あなたとはもうするなと……」

私は妻が何を言っているのかわかりませんでした。

「今何と言った?」
「ですから……彼が、あなたとはもう……セックスをするなと言っているので……」
「何だと?」

私は耳を疑いました。

「どういう意味だ? 彼とは誰のことだ」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「謝っているだけではわからない。きちんと話してくれ」

私は妻の身体をゆすります。妻はブルブル肩を震わせていましたが、やがて驚くべき名前を口にしました。

「真一さんです……」
「真一?」

その名前を聞いても私は一瞬誰のことかわかりませんでした。妻が個人レッスンをしている二人の教え子の話題がここのところ妻の口からほとんど出なかったため、村瀬という青年のことは私の念頭からすっかり消えていたのです。

しかも、47歳になる妻が「彼」と呼ぶ男が、今年22歳になったばかりの村瀬だということがとっさに私の頭の中で結びつきませんでした。

私は急に夏休み前に妻が思わず発した「真一さん」という言葉を思い出しました。それは説明のつかない違和感になって私の心の中に澱のように溜まっていたものです。ようやく私はその違和感の正体がわかりました。

「……村瀬のことか?」

妻はこっくり頷きます。

「どういうことだ? 村瀬と付き合っているのか?」

再び頷く妻が、パジャマの襟をしっかりと押さえているのに気が付きました。かっとなった私は妻の襟に手をかけます。

「駄目……」
「見せてみろ」
「許してっ」
「見せるんだ」

私は無理やり妻の襟をこじ開けます。パジャマの第一ボタンがはじけとび、妻の肩が露わになりました。
  1. 2014/06/22(日) 11:32:03|
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蜃気楼 第12回

私は寝室の電気をつけます。明るい光に照らされた妻の白い肩先には幾つもの赤いキスマークがつけられていました。私は驚きに目を見張ります。

「今日は佐和子さんと買い物に行くといって出かけたな」

妻はこっくり頷きます。

「あれは嘘か?」

妻はまた頷きます。

「何をしていた?」
「……」
「村瀬と会っていたのか」

無言のまま頷く妻に苛立った私は怒声を浴びせます。

「黙っていたらわからない。ちゃんと聞かれたことに答えろ」
「……すみません」

妻は震える声で返事をします。

「彼と会っていました……」
「彼……」

息子よりも年下の男を「彼」と呼ぶ妻の姿が、私の知っている妻だとは信じられませんでした。

「どこで会っていた?」
「ホテルです」
「ラブホテルか?」
「はい……」

半ば皮肉のつもりで聞いたにもかかわらず妻が素直に頷いたので、私は衝撃を受けました。恥ずかしがり屋の妻は私がラブホテルに誘っても「誰に見られるかわからないから」という理由で、決して乗ることはありませんでした。

妻と村瀬が肩を並べて、いかがわしいラブホテルの門をくぐる姿を想像し、私は頭がかっと熱くなりました。

「村瀬に抱かれたのか?」

妻は消え入りそうな風情でうなずきます。

私は今起きている現実が信じられませんでした。今月銀婚式を迎えようとしている最愛の妻が他の男に抱かれたのです。そればかりでなく、その男から言われて、もう私から抱かれることは出来ないといっているのです。

そして妻の心と身体を奪ったその男は、私の息子よりも年下なのです。

「……いつからの関係だ?」
「5月の、温泉に行ったときからです」
「なんだと?」

私は再び激しい衝撃を受けます。

「あれは久美さんと三人で行ったのではないのか?」
「待ち合わせの場所に行ったら彼しかいなくて……聞いたら、久美さんが急に体調を崩して来られなくなったと……私はいくら年齢が離れているといっても、夫以外の男性と二人きりで旅行なんて出来ないと言ったのですが……彼がどうしてもと……」
「どうしてもって……それでOKしたのか?」
「彼は幼い頃に両親が離婚して、お父さんに引き取られて、母親の愛情を知らない……母親とはどういうものかといつも思っていたのだけど、私のような女性が母親だったらどれほどいいか……母親と作れなかった思い出を私と作りたいと必死にお願いされて……」
「そんな話にまんまと騙されたのか」
「騙されたわけではありません」

妻は顔を上げて私を見ました。

「彼の両親が離婚していて、母親の愛に飢えていたというのは本当です」
「仮にそれが本当だったとして、どうして香澄と男女の関係を持つということにつながるんだ? 奴は母親を抱きたがる変態男か?」
「そんな……違います」

妻は私をにらみつけました。私は思わず気圧されるものを感じます。
  1. 2014/06/22(日) 11:33:04|
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蜃気楼 第13回

「……なんだ、その目は」

私の声に妻ははっと自分の立場に気づいたように、目を伏せます。

「すみません……つい……」
「恋人を悪く言われて興奮したって訳か」

私は精一杯の皮肉をぶつけますが、妻は黙って下を向いています。

「しかし……あの時は確か香澄から電話があって、途中で久美さんに代わったぞ」
「あれは……」

妻は苦しげな表情を私に向けます。

「私に心配をかけてはいけないということで、久美さんが用意していたものです」
「録音された声か?」

妻はうなずきます。

「それじゃあすべてが計画的ということか。久美さんも共犯というわけか」

妻は私の視線を避けるように顔を逸らせました。

「そうじゃないと言ってもあなたは信じないでしょう……そう思われても仕方がありません」
「持って回った言い方をするな」

私は再び怒声を上げます。

「夏休みに三人で久美さんの父親の別荘に行ったというのも嘘か? あの時も二人だけだったのか?」
「いえ、あの時は久美さんも一緒でした」
「久美さんも一緒? おまえたちが乳繰り合っている間、彼女は一体何をしていたんだ?」
「乳繰り合うだなんて……」

妻は抗議するような目を向けます。

「違うのか?」
「いえ……そう言われても仕方がありません」

妻は悲しげに顔を伏せますが、私にはそれがかえって腹立たしく感じます。

「久美さんは……彼と一緒でした」
「彼と一緒だったのは香澄だろう。それとも奴はおまえたち二人を相手したということか?」
「いえ……彼というのは、久美さんの彼のことです」
「何だと?」

私は訳が分からなくなりました。

「いったいどういうことだ?」
「つまり……彼と私、久美さんと久美さんの彼の四人で別荘に行ったのです」

あまりのことに私は空いた口がふさがりません。

「いい年をしてお前はいったい何をやっている? 中年女が学生に交じって乱交パーティでもしていたのか?」
「そんなことはしていません……それに、久美さんの彼は学生ではありません」
「学生でなければ何だ? サラリーマンか? いずれにしてもお前は四人の中では浮いていただろう。いい笑い者だ」
「久美さんの彼はあなたより少し年上です。はっきり名前は言いませんでしたが、あるオーナー会社の社長だと言っていました。実は、別荘というのも久美さんの彼のものです」
「……」
「ですから……軽井沢では私達四人はどこでも家族ということで通りました」

あまりの怒りに私は声が震えてくるのを止めることが出来ません。

「香澄はそんなことが出来る女だったのか」
「そんなことって……」
「村瀬や久美さんと共謀して俺を騙し、彼らの親を騙し、世間を騙す。そんな情けないことが出来る女だったのかと言っているんだ」
「……なんと言われても仕方がありません」
「なんと思われても仕方がない、なんといわれても仕方がない、お前が言うことは仕方がないばかりか。夫婦の信頼関係を壊しても仕方がないということか」
  1. 2014/06/22(日) 11:34:11|
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蜃気楼 第14回

「そういうわけではありません。償いはします」
「償い? どんな償いだ?」
「慰謝料とか……」

私は再び頭に血が上ります。

「金など欲しくない! それに慰謝料とはどういうことだ。俺と離婚でもしたいのか」

私は興奮して「離婚」という言葉を発したのですが、当然否定すると思っていた妻が黙り込んだので唖然としました。

「離婚したいのか……」
「はい……」

妻はそういうと床の上にひざまずき、深々と土下座をしました。

「あなた……ごめんなさい……離婚してください」

私は全身の力が抜け、ふらふらと床の上に座り込みます。

「離婚してどうする?」
「……」
「村瀬と結婚したいのか?」
「いえ……彼とは結婚しません」
「なら、どうして離婚したいんだ?」
「あなたと結婚したまま、あなたを裏切り続けるわけには行きません」
「綺麗ごとを言うな。今まで裏切っていたんじゃないか」

妻を非難する私の声に力がなくなってきています。

「ですから……ずっとつらかったです。これ以上黙っていられなくなって……」
「それで、そのつらさを俺に押し付けたのか。香澄は自分が楽になるためには俺がつらくなっても良いというのか」
「そんなことは……すみません」

妻は再び深々と頭を下げます。

「離婚する、村瀬とは結婚しない、なら香澄はこれからどうするんだ。どうやって生きていく?」
「一人で暮らします。幸い、フルートの講師を続ければ、私一人が食べていけるだけのお金はもらえるので」

私は妻の考えがまったく理解できませんでした。

「どうしてだ? 息子たちも独立して、これから2人で生活を楽しめると思っていたのに。そんなことを考えていたのは俺だけだったというわけか」
「そんなことはありません。私もこれからはあなたと2人で暮らしていくつもりでした」
「それがどうして今は違うんだ」
「あなたを裏切ってしまったから……」
「それは理屈の順序が違うだろう」

私はだんだん情けなくなってきました。高校時代に妻と出会ってから、妻は私の偶像でした。知性、教養、美しさを兼ね備えた理想の女性と思っていたのです。もちろん小さな欠点はありましたが、結婚後も妻は私の期待に答え、ほぼ理想の妻であり、理想の母親でした。

その妻がこのような軽はずみな行為に及ぶとは私には信じることが出来なかったのです。

「裏切ってしまったから一緒に暮らせない、ではなくて裏切ること自体が俺との生活、今までの生活を捨てることだ。どうして裏切ったんだ」
「それは……」

妻は頼りなく視線を泳がせます。

「私も、自分で自分の気持ちが説明できないのです……あなたを裏切るつもりはありませんでした。5月の連休の旅行で始めて彼に抱かれたとき、なんだか夢を見ているようで……それでいてとても自然で……あなたを裏切っているという感覚がなかったのです」

妻がそんな生々しい告白を始めたので、私は面食らいます。

「彼の必死の願いを聞いた私は、ただ母親が子供を抱くように、一晩一緒の布団で抱き合って眠ってあげるとだけ言ったのです。母親ほども年の違う私を彼が本当に女としてみているなんて信じられませんでした。男と女に起こるようなことがあるはずがない。一晩だけ彼の母親代わりをしてあげるという気持ちでした」
  1. 2014/06/22(日) 11:35:31|
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蜃気楼 第15回

「そうじゃなかったということか?」
「すみません……布団の中に入って彼を抱いてあげているうちに、彼の……」

妻はさすがに顔を赤らめ、口ごもります。私は残酷な気分になって妻を促します。

「どうした? そこまで話したんだから、最後まで続けたらどうだ」
「はい……」

妻は苦しげな表情を私に向けました。

「彼の……ペニスが驚くほど大きく、硬くなってきて……」

ある程度予想はしていた言葉でしたが、私の身体は怒りに熱くなります。しかし妻は話し始めたからには早く終わらせたいのか、先を続けます。「やめろ」と怒鳴りつけたいのですがそれも出来ません。妻と村瀬の間に何が起こったのかを知らずにいられないのです。それは怖いもの見たさなのか、自虐的な気持ちからなのか自分でもわかりません。

「私は驚いて身体を離そうとしたのですが、彼は私を力いっぱい抱きしめて来ました。そして『愛している』とか『始めて見たときから好きだった』とか何度も繰り返しながら……キスを」
「やめろっ!」

さすがに耐えられなくなった私は叫ぶような声を上げます。

「結局関係を結んだのだな?」
「はい……」

妻はぼそりとつぶやきます。

「……ふとわれに返ると、とんでもないことをしてしまった、あなたに顔向けの出来ないことをしてしまったという思いがこみ上げて、私は目の前が真っ暗になりました。でも、目の前で泣きじゃくりながら『ごめんなさい、ごめんなさい』と謝っている彼の姿を見ていると、胸が締め付けられるような思いになって……」
「……どうしたんだ?」
「私から、彼を抱きました」
「なんだと?」

妻の言葉を聞いたとき、私は妻とのこれまでの夫婦としての歴史が砂の城のようにガラガラと崩れ落ちていくのを感じました。私一人のものだった妻が他の男に抱かれた。しかも、二度目は自分から求めて──。

仮に村瀬とのことが一夜の過ちなら、妻は必死でそれを隠し、村瀬との関係を切ったと思います。しかし、こうして私から追及されたわけでもないのに自らの不貞行為を話すなど、自分の中でははっきりと覚悟を決めているのでしょう。

「香澄は、もう俺のことを愛していないのか?」
「そんなことはありません」
「ならどうして、俺と別れたいんだ」
「それはさっき申し上げたとおり、あなたと結婚したままあなたを裏切り続けることは出来ないから……」
「だからといって俺と別れたから村瀬と結婚するわけではないんだろう。村瀬と結婚しないということは、村瀬は裏切っても良いということではないのか?」

そこまで話した私はある可能性に思い当たりました。

「ひょっとして俺と別れて一人暮らしをするというのは、村瀬とも俺とも関係を続けたいということなのか?」
「そんなことはありません。そんな事を考えたこともありません」

妻は抗議するように私を見つめます。

「あなたは誰か新しいパートナーを見つけてください……私のようなふしだらな女ではなく……それに私は彼も縛るつもりはありません」
「何を言っているのかわからない。香澄が何をしたいのかがわからない」

私は頭を抱えました。自分は妻のことをわかっていたつもりになっていましたが、今の妻はまるで宇宙人です。しかし、もう私には抱かれないで欲しいと妻に告げた村瀬はその重みをどこまで理解しているでしょうか。

「これ以上はなしても堂々巡りだ。とにかく俺は離婚に応じるつもりはない」
「あなた……」
「明日村瀬をここに呼べ。奴にも責任がある」
「はい……朝9時でいいですか?」
「……どういうことだ?」
  1. 2014/06/22(日) 11:36:24|
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蜃気楼 第16回

「私が今夜その……セックスを拒絶するとあなたとの話の中で当然彼を呼べということになるから……彼はもうここに来る心積もりをしています」
「すべて打ち合わせ済みというわけか」
「……そんな訳では」
「言い訳はもういい」

私は毛布を抱えて立ち上がりました。

「どこへ行くのですか?」
「香澄と同じ部屋で寝る気はしない。リビングのソファで寝る」
「それなら、私がリビングで寝ます」
「構うな。同情は真っ平だ」

小さなことですが、私はむきになっていました。私は後ろを振り返らずに寝室を出るとリビングに向かいます。ソファの上に横たわったのですが、とても眠ることは出来ません。瞼を閉じると妻と過ごした日々が次々に思い出され、不覚にも涙がこぼれます。結局一睡も出来ずに私は朝を迎えました。


翌朝早く、キッチンでは妻が朝食を用意する物音がしました。やがてリビングの扉が開き、妻が顔を覗かせます。

「あなた……朝食の用意が出来ました」
「いらない」

私は拗ねた子供のように妻に背中を向けます。

「でも……」
「いらないといっているんだ」

私はソファから身体を起こしました。

「村瀬のチンチンを握った手で作った食事など食えるか。汚らわしい」

私の言葉に妻はショックを受け、表情をこわばらせます。

「……ごめんなさい。私が無神経でした」

妻は首をうなだれさせます。私はそんな妻を横目でちらりと見ると洗面所に向かい、身づくろいをします。寝室で着替え、リビングで新聞を読みますが、中身がまったく頭に入りません。

妻はキッチンのテーブルに座り、朝食にも手をつけないまま思いつめたような表情をしていました。自分のしたことの重みに気づいているのでしょうか。それとも、私の怒りが落ち着くのをひたすら首をすくめて待っているのでしょうか。

ようやく時計の針が9時を指した瞬間、計ったように玄関の呼び鈴が鳴りました。妻がばね仕掛けの人形のように起き上がり、玄関に向かいます。私はリビングで村瀬が来るのを待ちました。

「失礼します」

リビングに入ってきたのは村瀬だけでなく、久美さんも一緒だったので私は驚きました。村瀬と久美さんは私の顔を見るなりリビングの絨毯の上に土下座し、深々と頭を下げます。

「ご主人、このたびは申し訳ありませんでした」

妻もあわてて2人の隣に座り、土下座をします。私は唖然として3人を見ています。

「どうして久美さんが一緒なんだ?」

村瀬と久美さんは頭を下げたまま、ちらと視線を交わしあいます。

「お前は謝りに来るのも一人ではこれないのか?」

私が声を荒げると、久美さんが顔を上げました。

「ちがいます、ご主人。今回の件は私にも責任がありますから、それで一緒にお詫びに参りました」
「責任? 5月の旅行のアリバイ工作をしたという責任か?」
「それもありますが……それだけじゃありません。村瀬君の気持ちを知っていて、ずっと応援していたんです。客観的に見れば渡辺先生……奥様の不倫の手助けをしました」
「……とにかく座ってくれ。土下座をされたままじゃ話も出来ない」

私がそう促しても久美さんはなかなか動きません。二度、三度すすめてようやく久美さんはソファに座りました。村瀬も一緒にソファに座ったのを腹立たしく思いますが、成り行き上仕方がありません。おまけに妻まで同じソファに座り、私たちはリビングで3対1で向かい合いました。
  1. 2014/06/22(日) 11:38:01|
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蜃気楼 第17回

久美さん、村瀬、妻の三人を前にして私はひどく戸惑っていました。

息子と娘のような男女、そして妻を前にしていると、どうやっても妻とその間男を追及するという気分になりません。妻を寝取られた男、というのは客観的に見てかなりみっともない姿だと思いますが、その相手が自分の息子よりも年下、しかもガールフレンドの付き添いでやってきているのです。現在の構図は相当間が抜けているような気がして、どうにも闘志が湧いて来ないのです。

そうは言ってもこのまま黙って坐っていても話は進みません。とりあえず私は追求の口火を切ります。

「君は、妻のことを一体、どう思っているんだ」

私は村瀬に尋ねます。私の言葉に村瀬がじっと伏せていた顔を上げました。

「僕は渡辺先生……いえ、香澄さんのことを愛しています」
「愛している?」

私は村瀬の真剣な表情を呆れた思いで見つめます。

「妻は君の母親のような年齢だぞ」
「年齢は関係ありません」

きっぱりと告げる村瀬に、私は言葉を失います。隣りの久美さんは村瀬と私の顔を交互に見ていましたが、やがてソファから立ち上がりました。

「あの……私、お茶をお入れします」
「そんなことしなくてもいい」
「いえ、ご主人にだけです」

妻が腰を浮かそうとするのを久美さんは「大丈夫です、場所はわかりますから」と制止します。

久美さんは私が妻に嫌悪感を持っているのを察し、妻の入れるお茶は飲まないだろうと考えたのだろうか……私はこの修羅場とも言うべき場面でそんなことを考えています。

「愛しているからといって、人の妻に手を出していいのか? 不倫が不法行為であることくらいわかる年だろう」
「もちろんわかります。ですから、ご主人には本当に申し訳ないことをしたと思っています」

村瀬は再び深々と頭を下げます。

「申し訳ないとは思うのですが、好きになった感情はどうしようもありません。2年前に、はじめて香澄さんの教室にフルートを習いに行ったときから好きでした。人の奥さんだからということで必死に自分の感情を殺してきました」
「それがどうして今になって妻と関係を持ったんだ?」
「香澄さんから、この春に息子さんの手が完全に離れて、親としての責任は果たすことができると聞いていたので……これで香澄さんは自由になれるのではと思いました」
「自由になれる?」

自分の息子のような男を相手に声を荒げるつもりはありませんでしたが、村瀬のこの言葉に私の感情は波立ちます。

「僕が妻の自由を縛っているというのか?」
「いえ、そういう意味では……」

村瀬は言葉に詰まります。

「……すみません、ある意味ではそうです。既婚者が恋をしてはいけないというのは、そのせいで家庭が壊れると子供が傷つくからだと思います。香澄さんの息子さんはもう子供ではありませんから、自分の人生は自分で選択できるのではないかと思いました」
「何を偉そうなことを言っているんだ。君に結婚生活の何がわかる」

私は村瀬の勝手な言い分に、声が大きくなるのを抑えることが出来ませんでした。

「君は妻をいったいどうするつもりだ?」
「一生をかけて愛していくつもりです」
「馬鹿な……君と妻がいったいいくつ年が離れていると思っているんだ」
「25歳です」
「妻は君とは結婚しないといっているぞ」
「知っています」
「それなのに、どうやって愛していくんだ。君は一生結婚しないつもりか」
「……結婚はすると思います」
「どういうことだ?」

私は怒りよりも呆れた気分の方が先に立ちます。
  1. 2014/06/22(日) 11:38:53|
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蜃気楼 第18回

「他の女と結婚して、妻は愛人にするというのか?」
「結婚はしますが、結婚相手とセックスはしません」
「何だと?」

私は宇宙人と話をしているような気分になって来ました。

「僕は、香澄さんが生きている限りは、香澄さんとしかセックスをしません。香澄さんが僕にとって最初の女性ですし、最後の女性になっても良いと思っています」
「君と話していると頭がおかしくなる」

そこに久美が珈琲を入れて戻ってきました。私の前にカップが置かれ、珈琲の良い香りが鼻腔を刺激します。私は気持ちを落ち着けるため珈琲をすすりました。

「……」

私は思わず久美の方を見ます。珈琲は私の好みの濃さに入れられており、ミルクや砂糖も私のいつもの量が既に加えられていました。久美はすました表情を私に向けています。

(いったいこいつら、何を考えている……)

私は珈琲カップを置くと、再び村瀬の顔を睨みます。

「人の妻に手を出すのは不法行為だということは分かっているといっていたな。それならどうやって償うつもりだ?」
「慰謝料をお支払します」

村瀬がさらりとそんなことを口にしたので、私は怒りよりも驚きが先に立ちました。

「慰謝料だと? 君はまだ学生だろう」
「はい」
「どうやって払う? 言っておくが、25年間の夫婦生活を壊したら、慰謝料は半端な額ではすまないぞ。学生のアルバイトで払えるような金ではない」
「それはよくわかっています」
「親がそんな金を出してくれるものか」
「いえ、僕が払います。僕は父の会社の株をかなり持たされています。それが2年前、父の会社が株式公開したことで数千万円単位の評価益が出ています。相場以上の慰謝料はお支払いできると思います」

私は力が抜けてソファに座り込みました。

「さっき、結婚相手とセックスはしないといっていたな。そんなことが許されるのか。結婚相手に対して不誠実ではないのか」

私は必死で村瀬に対して一矢報いようとしますが、村瀬は顔色一つ変えずに答えます。

「結婚相手は理解してくれます。というより、相手も僕とセックスするつもりはありません。いえ、出来ないのです」
「どういう意味だ?」
「僕が結婚しようと考えている相手は、同年代の男には興味がないそうです」
「なんだと?」

村瀬と久美が視線を交わしあいました。

「まさか……」
「はい、僕は大学を卒業したら、久美さんと結婚するつもりです」

村瀬の言葉に久美は頷きます。

「僕は大学を卒業したら、今の資金を元手に事業を始めるつもりです。そのパートナーとして久美さんを考えています」
「……」
「僕と久美さんは男女の恋愛感情はもてませんが、それ以外は最高のパートナーといってよい存在です。彼女なしの人生は考えられませんし、彼女もそう言ってくれています」

村瀬の言葉に久美さんは頷きます。

「馬鹿な……人生にそれほどのパートナーがいるとしたら、それは自分の夫であり、妻だろう」
「それは価値観の相違です。ゲイの男女が家庭を持っている例はアメリカなどではそれほど珍しくありません。彼らの間には男女の恋愛感情はありませんが、パートナーとしてはうまくいっています」
「そんな特殊な価値観に妻をつき合わせるつもりか」
「僕は香澄さんに、僕自身の価値観を押し付けるつもりはありません。香澄さんがもしも僕と結婚を望むのなら、僕は喜んで応じます。でも、香澄さんがそれは望まないといっているのです」
  1. 2014/06/22(日) 11:39:56|
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蜃気楼 第19回

私は村瀬、妻、そして久美さんの顔を順に見回します。私は極めて常識的なことを話しているつもりですが、今この場では私は少数派、異端者なのです。ひょっとして自分こそがおかしなことを言っているのではないかという気持ちになって来ました。

「君は今22歳だったな」
「はい」
「あと20年後でも、君は42歳の男盛りだ。その時、妻は67歳だぞ。どうやって愛するんだ?」
「67歳でも大丈夫です。愛せると思います」
「もっと年を取ったらどうする?」
「それは、ある時以降は男と女として愛し合うことは出来なくなるかもしれませんが、香澄さんの面倒は一生見ますし、寝たきりになったら介護もします。僕には母がいませんから、母を介護するつもりでいればどうということはありません」
「……」
「将来は、僕と香澄さん、そして久美と久美の恋人の4人が家族のように暮らせていけたらと思っています」

まさにああ言えばこう言うという感じです。攻め口がなくなった私は気持ちを落ち着かせるために珈琲カップに手を伸ばします。そのとき、視界の隅で村瀬が久美さんと素早く眼差しをかわし、微かに笑いあうのが見えました。

(こいつら……)

村瀬と久美さんは事前に想定問答を組み立て、シミュレーションを行っているのだと感じました。妻から私の性格も聞いており、少なくとも久美さんがいる前では滅多なことで激昂したり、暴力をふるったりする男ではないというのも計算づくなのかも知れません。

「それで、君の望みは何だ?」
「僕個人は特にありません。強いて言えば愛する人の望みをかなえたい、というのが望みです」

村瀬の言葉に妻の表情がぱっと明るくなったので、私は激しい嫉妬を感じました。「こんな陳腐なセリフに浮かれやがって」と、妻に対して腹立たしい気持ちになります。

しかし感情は昂ぶるのですが、同時にどこか冷静になってくる自分がいます。村瀬の世迷言のような言い分を聞いているうちに日頃の仕事での交渉力が目を覚ましたようです。

「わかった、それじゃあ整理するが、香澄は俺と離婚したい。離婚する理由は俺と結婚したままで村瀬と付き合うわけにはいかないから、ということでいいんだな」

妻は一瞬戸惑ったような表情を浮かべますが、村瀬が頷くのを見て「はい」と返事をします。

「村瀬君は俺に対して不法行為をしたということは認識しており、その償いをしたいということでいいな?」
「はい」

村瀬は即答します。

「久美さんは村瀬と妻の不貞行為、つまり共同不法行為の共犯者だということを認める、それでいいな」

私が久美さんに向かってそう言うと、久美さんはいぶかしげな表情を浮かべます。

「あなた……久美さんは……」
「お前は黙っていろ。俺は今、久美さんと話をしている」

私がピシャリと決め付けると、妻は黙り込みます。

「どうなんだ、久美さん。さっきあなた自身が認めたことだ」

私が更に言い募ると久美さんはむきになったように表情をこわばらせ、こっくり頷きました。

「そういうことでいいです」
「わかった、それじゃあ、俺の考えを言おう」

私は三人をゆっくり見回します。

「香澄が別れたいといっている以上、みっともなく引き止めるつもりはない」

三人の顔がぱっと明るくなります。

「いいんですか? あなた」
「黙って話を最後まで聞け」
  1. 2014/06/22(日) 11:41:04|
  2. 蜃気楼・WR
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蜃気楼 第20回

私はぴしゃりと妻を制止します。

「しかし香澄は5月から今までの半年近くもの間、俺を裏切った。その償いはしてもらう」
「ですから……慰謝料なら出来るだけのことはさせてもらいます」
「そんなものはいらない」

村瀬は少し驚いた表情を私に向けました。

「あぶく銭を持っている人間から金をもらっても気が済むものか。本当にすまない、心から謝りたいと思っているのなら誠意を見せろ」
「では、どうすれば……」
「まず香澄だが」

私は妻の目をじっと見据えます。

「香澄はこれから俺が裏切られた時間、つまり半年間、俺の言うことは何でも聞くこと。それがお前の俺に対する償いだ」
「あなた……」

妻は私の気持ちを図りかねるといった風な顔をしています。

「心配しなくても暴力をふるったり、人前でお前に恥をかかせたりすることはしない。それとお前は村瀬に対して操を立てたいだろうから、最後の一線は守ってやる。俺も今さら香澄を抱くつもりはない」

村瀬と、妻、そして久美さんは不安げな視線を交し合っています。

「それから村瀬君、君も今後半年間、妻との連絡は一切絶ってもらう。話し掛けるのはもちろん、メール、電話、手紙も禁止だ。もちろんフルートのレッスンも、スクールも辞めてもらう。久美さん、君もだ」
「それは……」

村瀬が口を挟もうとしますが、私は更に続けます。

「3人がこのことを俺に対して文書で約定してもらう。これが守れなかった場合は約定違反と、今回の件の慰謝料として5000万円を支払ってもらう」
「5000万円ですって?」

久美さんが頓狂な声をあげます。

「それはいくらなんでも法外です」
「どこが法外だ? 約束を守るなら慰謝料は1円も要らないといっているんだ。そちらにとってこんなに都合の良いことはないだろう」

私は冷たい声で言い返します。

「さらに香澄と離婚はするが、この家から出ることは許さない。俺が良いというまでこの家の主婦としての役割を果たしてもらう。生活費は今までどおり入れるから安心しろ」
「それと離婚するからにはきちんと財産分与も行う。この家の価値が住宅ローンの残債を清算して2000万円、他に預貯金が2000万円ほどあるから、その半分の2000万円の財産を香澄に対して分与する。それを香澄が放棄して慰謝料と相殺すれば、残りはわずか3000万円だ。株を処分すれば村瀬君なら十分払える金だろう」
「しかし、それにしても……」
「もともと俺の方に離婚してやらなければならない理由はない。それを、香澄の希望を入れて別れてやろうといっているんだ。半年くらいどうして待てないんだ。俺は香澄と高校2年から大学を卒業するまで、6年間遠距離恋愛を貫いたぞ。それに比べたら半年くらいなんだ」

三人はぐっと押し黙ります。ようやく交渉の主導権が私に移ってきました。

「それと、言うまでもないことだが、村瀬君は半年の間は禁欲してもらう」
「え?」

村瀬が意表を衝かれたような声をあげました。

「何を驚いている? 当たり前だろう。さっき君は、香澄が生きている間は香澄としかセックスをしない、香澄を最後の女性にするといわなかったか?」
「それは……」
「香澄と結婚しないまでも、一生愛していくんだろう。愛するものが他にいるのに、他の女を抱くつもりか?」
「いえ……もちろん抱きません」
「そうだろう。それでないと香澄を任せることは出来ない」

私はわざとらしく頷きました。
  1. 2014/06/22(日) 11:41:54|
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蜃気楼 第21回

「これもわかっているだろうが、セックス以外の風俗も駄目だ」
「……はい」
「それなら、今の内容を全て文書にして香澄と村瀬君に署名捺印してもらう。久美さん、君には慰謝料と違約金支払の連帯保証人になってもらう」
「どうして私まで!」

久美さんは驚いて大きな声を出します。

「君は最初、今回の件は自分にも責任があると言わなかったか? 村瀬君のことを応援して、結果的に妻の不倫の手助けをしたと言っただろう。最初に妻と村瀬君が関係を持ったとき、アリバイ工作をしたのは君じゃなかたのか?」

久美さんは何か言いたげに口を動かしていましたが、結局言葉を発しないで俯きます。

「香澄も言ったよな。俺と結婚したまま、俺を裏切り続けるわけにはいかないと、そう言ったからにはその言葉をきちんと守れ。半年間守りきったら望みどおり離婚して自由にしてやる」
「しかし……半年は長すぎます」

村瀬が不服そうな顔で言います。

「何を都合のいいことを言っている。この程度のことが出来ないで愛だの恋だの、えらそうなことを言うな」

私は村瀬を怒鳴りつけました。

「本当は倍返しの1年といいたいところだ。しかし、それでは折角香澄が新しい生活をスタートさせようするのを邪魔することになるだろう。だから半年で我慢してやるんだ。お前たちもそれくらい我慢しろ」
「わかりました……」

村瀬は頷きます。私は3人の私に対する約定の内容をワープロソフトで文書にすると4枚印刷し、妻、村瀬、そして久美さんに署名捺印させます。一通を私が持つと、他の3通をそれぞれの控えとして3人に渡しました。

「香澄さん、僕の香澄さんへの愛はこんなことに揺らいだりしない。きちんとご主人との約束を守り、半年後に迎えにきます」

署名を終えた村瀬は、妻の方をじっと見つめてそんな甘い言葉を吐きます。妻がそれを目を潤ませながら聞いているのを私は腹立たしく見ています。

「お前は馬鹿か。今の行為はすでに約定違反だ。妻に話しかけるのは禁止というのを読んでいなかったのか」

そう告げた私に、村瀬と妻がはっとしたような表情を向けました。久美さんは苦々しげにそれを見ています。

「まあ、今回だけは見逃してやる。次に約定を破れば即、違約金を請求するからそのつもりでいろ。それから久美さん」
「はい……」
「俺も村瀬君が約定を守って香澄に近づかないか、また他の女に手を出したりしないかをずっと見張っているわけにはいかない。俺の代わりに君が見張ってくれ」
「え? だけど、村瀬君が約束を破れば、慰謝料が発生して、私もそれを保証しているんでしょう? 村瀬君が不利になることをご主人には教えないわ」
「久美さんが村瀬の約定違反を教えてくれたら、交換条件として君の連帯保証は外してやる」
「……」

久美さんは複雑な表情で村瀬の方を見ました。

「話はおしまいだ。帰ってくれ。次に会うのは半年後だ」

私がそう告げると、村瀬と久美さんはソファから立ちあがり、もう一度深々とお辞儀をして帰っていきました。村瀬と妻が切なげに視線を交し合っていましたが、そんなことをいちいち気にしていては身が持ちません。これから私にとって本当の戦いが始まるのですから。


あれから妻は私に対して従順で、言われたことには決して逆らいません。それは半年の時が過ぎ、晴れて村瀬と好きなように会えるようになるのをじっと首をすくめて待っているようでした。

私は村瀬のことで妻に嫌味を言いたくなる気持ちを必死で抑えました。そんなことをしても妻の気持ちは離れるばかりだと思ったからです。妻はまた、「何でも言うことをきけ」といった割りには、特に無茶な注文もしない私に拍子抜けしているようでした。
  1. 2014/06/22(日) 11:42:41|
  2. 蜃気楼・WR
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蜃気楼 第22回

私が妻に対して抱いているもの、それは執着なのか、未練なのか、愛情なのかが自分でも分かりません。それをこの半年で私自身がしっかりと見極めようと思っていました。私は村瀬たちと話した翌日から少しでも自分の時間を作ろうと、必死になって仕事をこなしました。

週の半ばの水曜に、私はようやく会社を早く出ることが出来ました。家に帰ると予めネットの通信販売で注文していたものが届いていました。私は妻が作った夕食を、吐き気をこらえながら食べました。妻に対して嫌悪感を露わにしているようでは半年間の戦いには勝てないのです。

「香澄」
「はい」

日曜日の話し合い以来、はじめて私から妻に対して呼びかけました。妻がびくりと肩を震わせたのが分かります。

「食事の後片付けが終わったら風呂に入って、これを身に着けて寝室に来い」

私は通信販売での買い物が入った紙袋を妻に渡しました。妻は怪訝な表情をして袋をあけ、中を覗き込みます。途端に妻の顔が赤く染まりました。

「こんな……」
「半年間俺の言うことは聞くといっただろう、約束は守れ」

そういい残すと私は寝室に向かいました。

私は通信販売でのもう一つの買い物が入った箱をベッドの脇に置き、妻が来るのを待ちました。本を読みながら待っているのですが、内容がさっぱり頭の中に入ってきません。長い時間が経ち、ようやく寝室の扉が開き、薄い水色のパジャマを着た妻が入って来ました。

「どうして言ったものを着てこない」
「……」
「俺の言うことは聞くんじゃなかったのか」
「……この下に」

妻は消え入りそうな声で答えます。

「パジャマを脱げ」

妻は一瞬悲痛な目を向けましたが、私の表情が変わらないのを見て諦めたようにパジャマのボタンをはずします。パジャマの下から真っ赤な色の小さい下着に覆われた妻の身体が現れました。

赤い下着は生地が極めて薄く、妻の乳首や陰毛がすっかり透けて見えます。またブラジャーのカップの部分は小さく、妻のやや垂れた乳房は半ば以上露出しています。

高校1年の頃から数えると、30年以上にわたって妻と付き合っていることになりますが、妻は一貫して性に対しては晩生でかつ臆病であり、このようなセクシーな下着を身につけたことはありません。知的で品が良い妻が扇情的な下着を無理やり着せられ、羞恥に頬を染めているのを見ていると私は嗜虐的な気分が高まって来るのを感じます。

一方妻、いよいよ自分にとっての半年の試練が始まったと感じたのか、緊張した様子で唇を噛み、半裸身を小刻みに震わせています。村瀬や久美さんとの連絡を絶っているため、妻は一人でこの試練に耐えなければなりません。

(村瀬のことを思いながら耐えているのだろうか……)

私は妻の内心を想像して、激しい嫉妬を覚えるとともに闘志のようなものが沸いてくるのを感じます。

「後ろを向け」

私の命令に妻がくるりと後ろを向きます。赤いパンティはTバックというより紐パンで、逞しいばかりに実ったヒップが丸見えになっています。結婚して25年にもなる妻の尻もそんな風に見ていると実に新鮮で、私は急速に欲情していきました。

「こんな下着を着けるのは初めてか?」
「はい……」
「村瀬の前ではどんな下着を着けていた?」
「どんなって……普通ですわ」
「普通ではわからん。村瀬に見せた下着を出してみろ」

妻はうなずくと、寝室の箪笥の引き出しの奥から数枚の下着を出してきます。ほとんどは色は白か薄いブルーで品が良いものでしたが、中にいつか見た赤いものも混ざっています。それらはよく見れば陰部のあたりにレースをあしらわれており、陰毛が薄く透けて見えるようになっています。
  1. 2014/06/22(日) 11:43:27|
  2. 蜃気楼・WR
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蜃気楼 第23回

「香澄にとってはこれが普通なのか? 少なくとも俺はこんな下着は見たことがないぞ」
「……久美さんが選んでくれたのです。若い人がつけるようなものを着たほうがいいということで」
「ふん……これを着て村瀬に抱かれる前にマンコの毛を見せびらかしたんだな」

私がそんな野卑な言葉を発したので、妻は驚いたような表情を見せました。

性に関して晩生である妻に対して、私はこれまで自分の欲望をまともにぶつけるようなことはしませんでしたし、妻の嫌がる行為は控えてきました。寝室での私は優しく、おおむね紳士であったといえます。それは私の気の弱さのせいもありますし、妻が私にとって思春期の頃からの偶像とも言うべき存在だったからでもあります。

「そんな嫌らしいパンティをはいて、若い村瀬に迫ったんだろう。『ねえ、村瀬君、香澄のマンコの毛を見て』ってな」

私が嘲笑するようにそういうと、妻が真っ赤な顔をして反論します。

「そんなことは言っていませんわ」
「言っていなくても、そんな毛が透けるような下着を着けて村瀬の前に立ったということは、見てと言ってるのと同じことだ」
「……」

妻はこれ以上反論しても無駄だと思ったのか、ぐっと押し黙ります。

「言ってみろ」
「え?」
「その時のお前の気持ちを口に出せといっているんだ。村瀬に見られて感じたか? そうだな、その時のことを思い出し、マンコを突き出しながら『村瀬君、香澄のマンコの毛を見て』と言ってみるんだ」
「……そんな」
「言えないか。そうか、香澄は村瀬のことを『真一さん』と呼んでいるんだったな。『真一さん、香澄のマンコの毛を見て』。どうだ、これなら言えるか?」
「……」
「俺の言うことは何でも聞くんじゃなかったのか?」

私の言葉に妻はため息をつくと、開き直ったように顔を上げ、強制された言葉を小声で吐きました。

「真一さん……香澄の、ま、マンコの……け、毛を見て……」

妻がついにそんな卑猥な言葉を口にしたので私は痛快になり、声を出して笑います。

「よくそんな破廉恥な言葉を口に出来るもんだ。香澄はそんな女だったのか」
「……あなたが言えといったから」
「何か言ったか?」
「いえ……なんでもありません」

妻は頬を染めてうつむきます。

「もっとはっきり、大きな声で言ってみろ」

妻はびくりと肩を震わせ、私の顔を恨めしげに見つめますが、やがて再び口を開きます。

「真一さん、香澄のマンコの毛を見て……」
「もっと大きな声で」
「香澄のマンコの毛を見て!」

妻は自棄になったようにそう言うと、ゆらゆらと腰部を揺らせます。私は妻の背後に回ってぐいと抱きしめ、豊かな乳房をブラジャー越しに揉みあげました。

「ああ……」
「どうだ? 村瀬に見られているような気分になったか?」

妻は苦しげな表情で小さくうなずきます。私は片手を妻の股間に伸ばし、小さなパンティの中に滑り込ませます。驚いたことに妻の秘奥は早くもじっとりと潤んでいました。

「……感じているじゃないか」
「嫌……」
「村瀬に見られているような気分になって感じたのか、ええ?」

妻は私の言葉を否定するように首を振ります。

「違うのか? それじゃあ、どうして濡れている? お前が愛しているのは村瀬じゃないのか?」
「ああ……」
「どうなんだ、言ってみろ」
  1. 2014/06/22(日) 11:44:16|
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