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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

水遣り 第51回

「所長の所に寄ってくる」

報告の必要は無いのでしょうが、不思議です、全てを話したくなっ
てきます。携帯を妻が差し出した事、佐伯と昨日会った事、妻が入
院した事を話します。

「そうか、佐伯と会ったか。それで佐伯の事はどうするんだね」
「慰謝料で済ませる積もりはありません。社会的立場をなくしてや
りたい」
「君が手を下すまでも無く、佐伯の立場はなくなる」
「どう言う事ですか?」
「君には全て話そうと思っていた。もうその時期だな。前にも言っ
た通り佐伯の身辺調査をしている。その結果は火曜日に依頼人に渡
す。その後君にもな」

調査の依頼人は未だ明かせないと言う前提がありますが、調査の内
容を大筋で話してくれます。

「君も知っての通り、佐伯は社長の甥だ。専務の妹、出戻りだが
ね、その妹と佐伯の結婚話が持ち上がっていた。専務は次期社長。
筋から言ってその次は佐伯になる。将来の社長の身辺がきな臭いも
のであればしょうがない」

所長は淡々と語ります。

「佐伯は大阪センターの建設担当役員も兼任している。佐伯と大阪
の建設業者の間で前々からきな臭い噂があった。女の方も相当ある」
「・・・・・」
「業者からの金銭授受も多少のものなら目を瞑れる。女の方は金で
整理がつくかも知れない」

出来るだけ詳細な報告をと依頼されたのです。ここまで聞けば依頼
主が誰なのか私にも大凡の見当はつきます。 

「その程度の物であれば、佐伯には訓告で済ませたと思う」
「その程度では無かった?」
「その通りだ。女はともかく金が程度を超えていた」
「そうですか」
「言うまでも無いが、この事は奥さんにも佐伯にも時期がくるまで
話さないでほしい」
「勿論です。私は私の材料で戦います。でもその時期とは?」
「来週一杯と言っておこう」

佐伯の人間性が解ります、妻をこいつだけには何があっても渡せま
せん。

「妻が昨日入院しました」
「どうしてそれを早く話さない。早く病院に行ってあげるんだ」
「今は会えません。妻の顔を見れば出てくる言葉は一つです」
「そうか。どうして入院したんだね」
「大量の睡眠薬を飲んだと」

私の携帯に着信があります。 病院からです。

「奥さんの担当医です。ご主人、今日病院に寄ってもらえますか」
「直ぐ伺います」

松下さんに直帰する旨伝え、病院に向かいます。
  1. 2014/08/13(水) 13:31:35|
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水遣り 第52回

担当医と話します。

「ご主人、奥さんは相当弱られています。断り無く血液検査をしま
した。ご主人、少しは控えて頂かないと」
「は?どう言う事ですか」

私には言われている意味が解りません。

「つまりですね、薬を使うのを程々にして欲しいと。求めるのは解
りますが」

血液検査の結果、ピルの常用、経口催淫剤の大量常用が残留成分と
して検出されたのです。特に経口催淫剤の量は限界を遥かに超えた
量だそうです。その影響は長く持続する可能性があるそうです。し
かたありません、事実を話すしかありません。第三者に話したくは
なかったのですが妻の不倫の事を話します。勿論相手の名前は伏せ
たままです。 

「そうですか、失礼な事を言いました」

もう一つ気になる事があります、妻の女陰の事です。

「先生、実は妻のあの部分に媚薬を塗られていた可能性があります」
「その部分を見て欲しいと」
「お願いします」
「解りました。今直ぐには手配出来ません、明日朝見る事にします」

「ご主人、お名前は圭一さんですね」
「そうですが、それが何か」
「奥さんが何度も何度も ”圭一さん、御免なさい”とうわ言で繰
り返しています」
「・・・・・」
「話掛けてあげればと思いまして」
「いや、余計なお世話だ」

結果は明日聞きに来る旨言って病院を辞します。

『圭一さん御免なさいか』

余計な事だ。妻がうわ言で何を言おうが、夢で何を見ようが関係あ
りません。してしまった事は戻らないのです。許す気持ちはありま
せん。

家に戻ります。憂鬱な夜が始まります。酒を煽ります。妻の事、佐
伯の事、松下さんの事が頭でぐるぐる回ります。酔う程に松下さん
の比重が大きくなってきます。携帯を手に取っています。松下さん
をコールします。

「松下さん、今から行っていいかな?」
「散らかってますけど、いらして下さい」

松下さんのアパートに始めて訪れます。8階建ての立派なマンショ
ンです。2階に彼女の部屋があります。

「こんな時間にお邪魔して申し訳ない」
「いいえ、お上がり下さい」
「君には全て知られている。今日病院へ行ってきた。夜一人じゃ居
られない」
「病院では何と」
「今は言えない」

松下さんがウィスキーを用意してくれます。ちびりちびりと飲んで
いますが、話す事がありません。私はリビングをあちこち眺めてい
るだけです。
  1. 2014/08/13(水) 13:32:44|
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水遣り 第53回

「身分不相応な所に住んでいると思っているんでしょう?」
「いや、そんな事は無い」
「私、両親を早く亡くしたの」

ご両親が早く亡くなり、結構な財産を一人娘の松下さんに遺したの
です。松下さんが成人するまで親戚の方が預かり、成人するの待っ
て、その一部でマンションを買ったのです。

「そうなのか。苦労したんだ。それでそんなに強いんだ」
「強くありません。強いなんて言わないで下さい。それを聞いて女
は喜びません」
「ご免、そんな積もりで言ったんじゃない」
「こんな歳まで女一人で不思議だと思っているんでしょう」
「うーん、まあ君のような綺麗な人がとは思う」
「私も色々ありました。結婚を考えた人も居ました。でも一人暮ら
しが長いとついつい慎重になっちゃって。この部屋に入った男の人
は社長が始めて。もう結婚は考えない事にしました」
「君がその気になりさえすれば、相応しい相手はいくらでもいるさ」

取り止めの無い世間話をしています 妻の話題は松下さんも避けて
いるのが解ります。話題があって来たのではありません、話が途切
れます。松下さんは酒の世話をやいてくれます。摘みを取りに、チ
ェイサーを取替えにキッチンに何度もリビングと行き交います。私
の目は自然と尻を追っています。歩を進めるたびにそれは上に、下
に、右に、左に揺れ動くのです。スカートの上からショーツの線が
見えています。チェイサーを取替える時、私の肩越しに腕が伸びま
す。薄いセーターのV-ネックから胸の谷間が覗けます。うなじが
目の前に現れ、女の匂いが鼻腔を擽ります。4ヶ月以上も妻を抱い
ていないのです、

『松下さんを抱きたい』

衝動が突き抜けます。と同時に別の思いが掠めます。佐伯、妻との
決着はついていません。しかも妻は入院中です。ここで松下さんを
抱くわけにはいきません。松下さんをも汚してしまう事になります。

「松下さん、急に思い出した事がある。病院に妻のものを届けなけ
ればいけない。ご免、これで帰る」

勝手な男です。突然来て、突然帰ります。松下さんがその気になっ
ていたのかは解りませんが、傷をつけてしまった事は確かです。

松下さんは私の嘘を見抜いていたのでしょう。

「奥さんをお大事に」

これで考えなければならない事が3つに増えました。妻の事、佐伯
の事そして松下さんの事。しかし私の生き方は ”すべて水のよう
に”です。酒を煽って酔いつぶれて寝る事にします。酒を飲みだす
と松下さんの姿態が目に浮かびます。打ち消すように酒を煽ります。

酔いつぶれて寝て翌朝起きたのが11時です。シャワーを浴びてがん
がんする頭を押さえて病院へ急ぎます。 

「事後ですが、ご主人この書類にサインを頂けますか?」

担当医が書類を出します。今朝、私と連絡が取れなかったので、事
後になって申し訳ないと一言添えます。私が酔いつぶれて家の電話
にも、携帯の着信にも気がつかなかったのです。妻に麻酔を施した
と、その了解が欲しいと書かれています。

「奥さんに了解を求めてもそれは無理でしょう。私の判断で麻酔を
する事にしました」
「結構です。問題ありません」

サインを済ませ、担当医の説明を聞きます。
  1. 2014/08/13(水) 13:34:02|
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水遣り 第54回

その報告は衝撃的な物です。

「失礼だとは思いましたが、奥さんの陰部、肛門とそれから乳房を
検査しました」

女陰には、クリトリス、陰唇、膣口と膣のの中に至るまで、そして
乳首に大量で強力な媚薬を塗布された形跡があると言うのです。皮
膚から相当量の残留成分が検出されたのです。しかも皮膚から血液
の中に溶け出しているだろうと。普通の性交では皮膚まで破ける筈
はありません。肛門からは何も検出されません。

「聞きたく無い事を言わなければいけません。皮膚にこれだけの成
分を残すには、相当長期間に渡り、大量に常用する事が必要です。
皮膚の糜爛、傷もしかりです。奥さんの皮膚は普通の成人女性に比
べ相当薄いようです。玩具を使っていないとすれば、相手の男根は
普通では無いと考えられます」
「普通では無い?」
「そうです。真珠を埋め込んでいるとか、シリコンで成形している
とかです」

中条さんの言葉を思い出します。 ”大人のオモチャのようにゴツ
ゴツしたグロテスクな物だった。こんな恐ろしい物、おぞましい
物”

「相手の男は増大手術をしています」
「やはりそうですか」

「奥さんは精神的にも相当弱られています。ご主人のご了解を頂け
れば心療内科の方でケアをしたいと思っています」
「心療内科?それで妻は今?」
「麻酔でまだ眠られています。あと3時間位は目が覚めないと思い
ます」
「心療内科の件は考えておきます。先生一つ教えて下さい。薬の影
響が無くなるにはどれ位の期間が必要ですか?」
「これ程の例は見た事がありません。正直なところ解りません。一
週間なのか、一ヶ月なのか。目が覚めればお話になってあげませんか?」
「いや、今私から出る言葉は矢のような事しかありません。会うつ
もりはありません」
「そうですか。その方がいいかも知れませんね」

本当は妻には言いたい事、聞きたい事、一杯あります。妻がこんな
状態では言う事が出来ません。ジレンマに陥ります。

それにしても憎いのは佐伯です。私の手で社会的に葬ってやりた
い。しかし所長の話では私が手を下さずとも、もう一人の依頼の結
果で社会的立場が無くなってしまうのです。それが悔しいのです。
私は私の材料で佐伯を潰したいのです。私の足は自然と所長の所に
向かいます。

「病院に行って来ました」
「奥さんの様子は?」
「眠っています」

病院での検査結果を話します。

「酷いもんだ。それでは未だ奥さんと話していないんだね?」
「ええ、未だです。暫くは話せません」
「そうだな」
「佐伯を潰す方法が見つからない。私でなくとも、もう一つの方で
勝手に潰れてしまう。自分の手で潰したかった」
「あんな男は誰が潰してもいい。君のその気持ちを佐伯にぶつけれ
ばいい。奴のダメージは倍増する」
  1. 2014/08/13(水) 13:37:36|
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水遣り 第55回

自分の思いを聞いてもらうとある程度気持ちが治まります。まだ3
時、決心がつかぬまま佐伯のマンションへと向かいます。途中電話
をします。

「宮下だ。居るようだな。今から行く」

豪華なマンションです。この近郊一番と言って良いでしょう。金回
りの良いのが解ります。玄関を開けた時から佐伯の態度は卑屈です。

「大会社の常務ともなると、さすがいい所に住んでるんだな」
「ご主人、本当に申し訳ない。ほんの出来心で、洋子と、いや奥さ
んと気が合ってしまって」
「何が出来心だ、何が気が合っただ。人の女房を名前で呼ぶな」
「すまん。しかしあれが初めてだったんだ。月曜日が初めてだったんだ」

佐伯は足掻きます。

「違うな。妻から聞いた。初めて大阪に出張した時から続いていたんだな」
「いや、違う」
「いい加減に認めたらどうなんだ」
「・・・・・」
「どうする。民事告訴してもいいぞ。弁護士を立てるか」
「慰謝料を払ってもいい」
「払ってもいいとはどう言う事なんだ。俺は慰謝料で済ませる積も
りは無い」

この時、佐伯は身辺調査の事は知りません。専務の妹との婚姻がそ
のまま進むものだと思っているのです。出来るだけ穏便に済ませた
い、慰謝料で済ませたいと思っているのです。

「妻は今入院している。お前のお陰でな。酷い体にしてくれたな。
頭も体もぼろぼろだ。今は眠りっぱなしだ。告訴する時は医者の診
断書も添える。覚悟しておくんだな」

こんな事で民事告訴出切るかどうかは知りません。出来たとしても
妻の診断書まで世間に晒す訳にはいきません、妻をそこまでは引き
ずり出せません。

私が強く出ると佐伯の態度が変わります。

「洋子は食事に誘っただけで、俺の唾を飲んだぞ。よほど飢えるて
いたんだな」
「うるさい。かたをつけてやる」

『佐伯には言いたい事と言った。何れ片がつくだろう。問題は妻だ』

妻の入院中には話せません。退院してからにしようと思います。妻
ももう目が覚めた頃でしょう。妻に会ってみる事にします。
  1. 2014/08/13(水) 13:38:32|
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水遣り 第56回

担当医に呼び止められます。

「宮下さん、心療内科はどうされますか?」
「入院の必要があるのですか?」
「今の状態を含めて後3日必要です。その後は通院になります」
「水曜日の退院と言う事ですね?」
「そうです」
「お願いします」
「奥さんは起きられています。会われますか?」
「会っていきます。何号室ですか」
「案内します」

随分妻を見ていない気がしますが、入院してからまだ2日しか経っ
ていません。顔が青白く、若干頬もこけたようです。上掛けに覆わ
れた体も細くなったようです。

「あ、貴方。御免なさい、許して下さい」

只、泣くばかりです。後は言葉になりません。

言いたい事、聞きたい事が山ほどあります。死ぬほど妻を言葉で責
めてやりたいのです。それが出来ないのです。じっと妻を見つめます。

「飯は食べられるのか?」
「はい、食べています」

相手が病人だと思うとこんな言葉しか出てきません。

『早く元気になれ。俺に何か反論しろ、言い訳しろ。佐伯の方が良
かったと言え』

心の中で毒づいています。妻が反論すれば私は言い返せるのです。
言いたい事が言えるのです。妻を眺めているだけではしょうがあり
ません。

「これで帰る。来れれば又来る」

背中に妻の痛いほどの視線を感じながら帰ります。

日曜日は何ほどの事もなく過ぎます。

月曜日、出社しますと松下さんが既にお茶の用意をしています。

「社長、お早う御座います。はい朝御飯」

私の目を真っ直ぐにみて言うのです。私の方が目を逸らしてしまい
ます。味噌汁とお握りを頂きます。

「ここに今日の予定があります。書類は纏めておきました」

小さな会社です。予定を作るほどの事もありません。書類も自分で
纏められます。

「僕の仕事を取らないで欲しい。する事がなくなる」
「社長は人と会うと言う大事な仕事があります。そっちにエネルギ
ーを使って下さい」

その通りです。特別な技術も無く会社を切り回すには人と人との繋
がりしかないのです。信頼関係を構築するには膨大な時間が必要で
す。しかし壊れるのは一瞬です。小さな隙間からあっと言う間に崩
れてしまいます。夫婦のそれもしかりです。
  1. 2014/08/13(水) 13:39:25|
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水遣り 第57回

火曜日の夕刻、所長から電話があります。

「今日午前中に報告書を依頼人に渡した。控えを君にも渡そう」

5時になり所長の所に伺います。

「取引関係の方はここで見るだけにして欲しい。君に了解を貰わな
いで悪かったが、奥さんの事も報告書に入っている。これだけを外
す訳にはいかなった」
「解っています。問題ありません」
「佐伯を会社としてどうするか正式処分がでるまで、まだ時間が掛
かるだろう。特に取引関係は会社としての裏付け調査も必要な事だ
しな。それまでは佐伯を今まで通り出社させるようだ」

私にも2冊の控えをくれます。身辺調査には興味はありません。も
う一冊の取引関係の報告書を見ます。表紙に何々殿と依頼人の名前
が書かれています。やはりそうです、佐伯の会社です。社長である
叔父が依頼したのです。佐伯は長く関西地区の購買総責任者を勤め
ています。業者から長年に渡り金銭の供与があったのです、それも
大阪センターの建設が決まってからその金額は飛躍的に伸びています。

「多少の金額なら会社も目を瞑ったのだろう。この金額は目を瞑れ
る金額では無い。あの社長は温情派だ。刑事告訴はしまい。またそ
れは影響が大きすぎる。最大で佐伯の馘首。しかしそれも無いだろ
う。どこか佐伯の息の掛かっていない関連会社に職を見つける事に
なるだろう。勿論、専務の妹との結婚話はなくなるな」
「しかし、そんな調査が民間で良く出来たものだ」
「私は検察上がりだ。悪事を叩く時にはコネが使える。彼らも自分
達の組織だけでは拾いきれない情報もある。民間に協力者を欲しが
っている。私がその一人と言うわけだ。彼らが刑事事件になると思
えば彼らがやるだろうし、そうでなければ情報だけくれる。今回は
情報だけくれたと言う訳だ。その後、刑事告訴するかどうかは会社
の判断だ」
「そうですか、それにしても会社内での佐伯の処遇をどうして山岡
さんはそんなに詳しく?」
「あそこの社長は大学の後輩だ。今も酒飲み友達だ」
「そうだったのですか」

これでは私の出る幕はありません。私だけの材料では精々慰謝料が
関の山でしょう 悔しいですが、反面胸のつかえも降りるのです。

「今度は君の番だ。奥さんとはどうするんだね?」
「妻は今入院中です。今は何も話せません」
「何も話していないのかね?」
「入院する前に報告書を見せただけです。入院してからは何も」
「優しいんだな君は」
「いや、そうじゃない。自分の気持ちがまだ決まっていない」
「退院したら早く話し合った方がいい。遅くなればそれだけ怒りが
増幅してしまう」

家に帰った私は女性関係を含めた身上調査を読みます。複数の女性
と関係を持っていたようです。専務の妹と結婚話が出てからは清算
され関係はありません。佐伯が警戒しての事でしょう。妻との事も
書かれています。妻との関係だけが続いています。妻に余程執着が
あったのか、それとも妻は佐伯にとって便利のいい女だったのか。

水曜日、妻を迎えに病院に行きます。担当医と話します。

「ご主人、奥さんの心の中は後悔とご主人への懺悔の気持ちで一杯
です。それと・・・」

担当医は言いにくそうにしています。

「それと何ですか。言って下さい」
「相手の事がほんの少しですが、心の中に残っています。多分与え
られた快感のせいだと思います」
「余計な事は言わなくてもいい」

自分が聞いてその答えに怒っています。

「それともう一つ。奥さんは関連する言葉、態度一つで性衝動が起
きます。薬と行為の激しさの残影響だと思います。相当以前からこ
う言う状態だった筈です」

医者は事務的に言っているだけです。言葉を選んではいるのでしょ
うが、佐伯との行為の激しさが目に浮かび、私を叩きます。

「時間が解決してくれる筈です。それから当分の間は控えてください」
「何を?」
「つまり、あれです。性交です」
「そんなもの、するわけがない」

担当医にまで馬鹿にされているようです。怒りが湧いてきます。こ
の分なら妻に言いたい事も言えるかもしれません。
  1. 2014/08/13(水) 13:40:23|
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水遣り 第58回

病室に行きますと妻は退院の支度を済ませ椅子に腰を掛け窓から外
を眺めています。顔色はこの前見た時より少し赤味がさし、表情も
戻ってきているようです。

「迎えに来た」
「貴方、御免なさい」

妻は ”ご免なさい”以外の言葉を忘れてしまったように只一つこ
の言葉だけを何度も繰り返します。

『まあいい。話は家に落ち着いてからだ』

家に着きます。妻の入院中の荷物の整理も大したものではありませ
ん。ものの20分もあれば片付きます。妻がお茶を入れようとします。

「俺は要らない。ペットボトルが冷蔵庫にある。お前が飲みたきゃ
自分の分だけ入れろ」

妻の前ではどんどん嫌味な人間になってしまいます。

「聞きたい事が山ほどある。一つ一つ聞くから全て正直に答えてくれ」
「・・・・・」
「どうした。返事がないな。聞いているのか」
「聞いています」
「よし。佐伯とはいつからだ?初めて抱かれたのはいつだ?奴との
きっかけは何だ?」
「・・・・・」

暫く返事を待っていても妻は黙ったままです。答えられないのは解
っています。解っていても責めるのです。

「答えられないのか。お前の大好きな佐伯が初めて抱いてくれた日
を忘れたのか。大阪に初めて出張した日だろうが」
「・・・・・」
「違うのか。言ってみろ」

妻は黙っています。

「お前はこの4カ月で出張は30回以上してるな。その出張殆どに佐
伯が絡んでいる事は解っている。出張の他にもあるよな。お前たち
は新婚夫婦もびっくりする位愛し合ってるんだな」
「・・・・・」
「俺の事はすっかり忘れたか?佐伯にそんなに夢中か?」

「お前たちはどんな事をしていたんだ。俺には出来ない事もしてい
たんだろう。俺にはさせない事もさせていたんだろう」

答えられようも無い事ばかり聞いています。返事が無い事に腹を立
てています。返事があれば、あったで又腹が立つのでしょう。妻を
甚振る為だけに聞いているのです。黙って泣いているばかりの妻に
手を上げてします。頭を思いきり叩きます。妻はよろけて倒れま
す。倒れてうつ伏せになって泣き崩れています。一つの甚振りの
言葉か次の甚振りを呼びます。一度叩けばそれは二度、三度になっ
てしまいます。人は自分の言葉、行動に尚更激してしまうのです。

どんどん激していくのが解ります。話し合いの事はもう忘れていま
す。妻を責める、甚振る事が只一つの目的になってしまいます。
  1. 2014/08/13(水) 13:41:10|
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水遣り 第59回

「お前の会社には電話しておいた。お前が体調を崩して10日ほど休
むってな」
「どうしてそんな事を」
「お前は会社にまだ行くつもりなのか?どんな顔して行くんだ?こ
の事は一部の人しか知らないだろうが、社長以下トップの人は知っ
ている筈だ」
「何故そこまで」
「俺が言ったわけじゃない。佐伯は別件でも調べられていた。相当
数の女と関係していたようだし、取引関係とも色々あったそうだ。
あいつがどう処分されるのかは知らないがな」

女関係、取引関係の事をかいつまんで話してやります。妻は驚いて
います。落ちぶれるであろう佐伯の元に妻は二度とは行く事もない
だろうと、私の言葉はどんどん激してきます。

「お前の愛しい人を慰めに言ってやったらどうだ」
「愛しい人だなんて、そんな風には思っていません」
「よく言うな、お前は。愛しくなくて50回も60回もよく出きるな。
お前はただの淫乱女か」
「・・・・・」

「自分のオマンコを見た事があるのか」

私は手鏡を妻にぶつけるように放り投げます。

「それで眺めてみたらどうなんだ」

勿論、妻は見れる訳はありません。

「私、私知っていました。醜くなっているのを知っていました」
「知っていた?それでも止めなかったのか?そんなにあいつが良か
ったのか?」
「違います。好きではなかった。でも私の体が・・・」
「お前の体が求めたのか?同じ事だ」
「違います。でも寂しかった」
「何が寂しいだ。馬鹿かお前は。俺には出来なくっても、あいつに
は出来たんだろうが」
「貴方は私を抱いてくれない。いつも途中で止めてしまう」
「お前が許さなかったんじゃないか。触ってもだめ、舐めさせるの
は嫌、俺のを咥えるのはもっと嫌。全てお前が嫌がったんだ」
「私、貴方にそんな女だと思われるのが怖かったの。淫乱な女だと
思われるのが、怖かったの。もっと強引にして欲しかった」
「お前も勝手な事をよく言うな。好きな佐伯には出来たんだろうが」
「違います、好きではなかった」
「もういい。堂々巡りだ」

「結婚してからずっと思っていました。貴方はずっと遅かった。貴
方には外に女がいるって。それで私には冷たいんだって」
「外に女が居る?俺が冷たい?仕事で遅かったんだろうが。何処を
どう探せばそんな言葉が出てくるんだ。そりゃあ俺だって男だ。そ
れむきの女を抱いた事はある、台湾、中国で紹介された女を抱いた
事もある。それだけの事だ。お前みたいに不倫なんかした事はな
い。そう思ったんなら、どうして俺に聞かなかった」

”どうして俺に聞かなかった”

そう言った時、私自身も妻に聞けなかった事を思い出します。妻が
佐伯にA亭で食事を奢られ帰宅してバスルームで自慰をして、その
残り香を私が嗅いだ時。初めての大阪出張から帰った時。その後も
妻の異変に気づいてはいたのです。聞く機会はいくらでもあったの
です。私と妻は同じ種類の人間だったのです。

「佐伯から貴方と松下さんの写真を見せられた時、やっぱりと思っ
てしまったんです」
「それはお前の言い訳だ。佐伯に抱かれたいからそう思っただけだ」
「違います。以前から何度も何度も誘われました。ずっと断っていました」
「嘘をつけ。あいつは一度目からオッパイを触らせた、唾を飲ませ
たと言っていた」
「でも、でも最後までは」
「同じ事だ」
「御免なさい・・・、こんな私の体、壊してください」

妻は泣きじゃくりながら、走って体を壁にぶつけます。自分の拳
で、自分の顔を、乳房を、腰を打つのです。思わず妻を抱きとめます。

妻の言っている事が本当なのか言い訳なのか解りません。本当だと
すれば妻は20年間以上もそんな思いを抱いていたのです。

「こっちへ来い」

妻をバスルームに連れて行きます。
  1. 2014/08/13(水) 13:42:01|
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水遣り 第60回

「服を全部脱げ」
「出来ません」

出来ないのは解っていた事です。無理やり脱がせます。初めは手を
足をばたつかせていましたが、その内に抵抗は止みます。妻の全身
が晒されます。

「洗ってやる」

頭からシャワーを浴びせます。私は手に石鹸を付け妻の全身を洗い
ます。首から肩、肩から胸、特に胸は念入りに洗います。胸を揉む
ように洗います。乳首を摘んで擦ります。もう洗っているのでは
ありません。もうそれは愛撫です。妻の乳首が反応します。

「あぁ貴方、ご免なさい」
「俺は洗っているだけだ。あいつの汚れを落としているんだ。何を
感じているんだ」

妻の背中に回ります。正中線が窪んだ綺麗な背中です。背中をそこ
そこに今度は尻です。盛り上がった双丘を撫ぜ回します。尻の割れ
目に手を滑り込ませ擦り洗います。前に回りこみ足を割ります。石
鹸を一杯に付けた手でめっちゃやたらと擦ります。クリトリスにも
陰唇にも膣口も擦り下げ、擦り上げます。

妻はもう立っていられません。窓の枠を手で掴み、足をがくがく震
わせています。必死に堪えてはいますが、妻の口からは善がり声が
漏れてきます。石鹸の泡をシャワーで落とします。妻の女陰からは
シャワーの水とは別のものが止めども無く流れ出ています。私の物
も妻の膣を求めて猛り狂っています。

「あぁ貴方」

私も、もう妻を責めているのは忘れています。自分のトランクスを
引き下げます。自分の物を妻の膣にあてがいます。あてがう直前、
佐伯の事を思い出します。

『ここにあいつの物が入っていた。妻はそれで善がった。こんなに
爛れてしまった』

私の物に異変が起こります。萎えてしまうのです。みるみる小さく
萎んでしまうのです。欲情は怒りに変わってしまいます。

「何があぁ貴方だ。洗っているだけでこんなに濡らしやがって。相
手が佐伯だと思っているんだろう。何て言う女だ、お前は。こんな
汚れたオマンコに出来るか」

私はバスタオルを妻に投げつけ出て行きます。バスルームに一人取
り残された妻はただ泣いているだけです。

担当医の言葉が浮かびます ”薬の影響は長期間残ります”。薬の
影響が残っているのか、妻が変わってしまったのか。多分その両方
なのでしょう。

暫く泣いていた妻がリビングに入ってきます。その表情は落ち着い
ているようです。
  1. 2014/08/13(水) 13:54:17|
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水遣り 第61回

「此処へ座れ」

私は向かいのソファーを指差します。知りたい事は色々あります。
その中でも佐伯の事をどう思っているのか、これからどうするの
か、その事を一番知りたいのです。

「なあ洋子、お前はさっき、佐伯の事を好きじゃないと言ったよ
な。じゃあどんな気持ちで抱かれたんだ」
「・・・会う前はもう止めようと思っていました。これでもう止めようと」
「会う前って、お前は毎日あいつと顔を会わせるじゃないか」
「いえ、そう言う意味じゃありません。声を掛けられる前はもう止めようと」
「声を聞くと欲しくなるのか、お前は」
「・・・・・」
「パブロフの犬か、お前は」

妻も最初はおずおずしていたのでしょう。その内、薬で快楽を覚え
る内に体が条件反射してしまうようになったのでしょうか。

「あいつを好きか嫌いか聞いているんだ」
「好きではありません」
「じゃっ、嫌いなんだな」
「・・・・・」
「何で返事しない。俺が悪かった。好きではなくて愛しているんだ」
「愛してなんかいません」

又、堂々巡りです。妻も嫌いとは言えないのでしょう。嫌いと言え
ば私に ”なんで嫌いな奴に抱かれたんだ、お前はそんなに淫乱な
のか”と責められるのが妻にも解っているのでしょう。

妻はぼつぼつと話し始めます。きっかけは正社員になって暫く後、
A亭で食事を奢られ帰りの車の中で抱擁された事、初めて抱かれた
のは最初の大阪出張であった事。私にしていない、させていない
行為を佐伯として感じてしまった事。事細かく話します。

「もういい。何を自慢しているんだ。俺を馬鹿にしているのか」

私は何をしているんだと思います。自分で聞いて、妻が答えればそ
れに腹をたて、情けない思いをするのです。別れを切り出せない自
分が情けないのです。しかしもう堂々巡りはご免です。

「洋子、俺たちはもうやっていけないだろう。そう思わないか」
「いやです。別れたくありません」
「さっき解っただろ。俺は立たなかった、お前の汚れたオマンコではな」
「私努力します」
「努力します?どう言う事だ。俺とは努力しなければ出来ないのか」
「間違いました。私、私・・・」

妻も言うべき言葉を見つけられないのです。

「もういい。出て行ってくれ。明子には俺が言っておく」

娘の明子の名前を聞いて、妻はわっと泣き伏します。

「お願いです。出て行けって言わないで下さい」

結婚した当初からもっと強引に妻を抱いていればこんな事にはなら
なくてもすんだかも知れない。私の優柔不断な性格も災いしている
のです。
  1. 2014/08/14(木) 00:34:06|
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水遣り 第62回

「佐伯がテレビ電話の内容を保存してあるって」
「どうしてそれを早く言わない」
「会わない時は、それを見て楽しんでるって。私怖かったの、誰か
に見せるんじゃないかと、怖かったの」
「それでずるずる続けていたと言うんだな。本当だな。脅迫されて
いたのか?」
「いいえ、初めの頃は脅迫はされていません。でもそれがあると思
うと私は・・・」
「初めの頃は?じゃ今は」
「言われました。もう出来ないと言ったら、貴方に見せるって、会
社のメールにばらまくって」

妻の言う事は本当なのか、考え付いた言い訳を言っているのか判断
は出来ません。しかし、私の気持ちは少しですが、救われます。初
めは妻の意思で佐伯に走ったのでしょう。それ以後は妻の意思だけ
ではなく、強制されたものがあったのかも知れません。しかし録画
の存在が気にかかります。私が知っている限りテレビ電話の内容を
保存できる携帯は無いはずです。

佐伯の携帯に電話します。

「宮下だ。今から行く」
「いや、会社は困る」
「困るだと。困るような事をしたのはお前だろう」
「すまん。私のマンションでどうですか」

今は4時半。

「お前も5時までには出れないだろう。5時半に行く」
「5時半ではちょっと早すぎる、会議がある。6時半にならないか」
「ぐだぐだ言うな、俺は会社に行ってもいいんだぞ」
「解った。5時半に待ってる」

本来は佐伯を呼びつけるべきでしょう。しかしこの家に上げたくあ
りません。妻と会わせたくないのです。

佐伯にとって何が一番辛い事なのか考えてみます。社会的立場、会
社での地位は放っておいても無くなってしまいます。無くなって困
るもの、それは金に違いありません。最悪の場合、職を失ってしま
うのです。妻の体と引き換えの汚れた金は欲しくはありませんが、
金で攻めるのが一番良いのです。

「佐伯、俺は弁護士を立ててお前と戦う事にした」

私はかまをかけます。

「それは勘弁してくれ。何とか慰謝料で済ませてくれないか」
「慰謝料?一応聞いておこう。いくら払えるんだ?」
「200万なら払える」
「なら払える?女房は後10年は働ける。年間400万として4000万、
これは遺失利益だ。それに慰謝料1000万プラスで5000万だ」
「無茶だ。それに正社員にしたのは俺だ」
「関係ない。びた一文譲らん」
「では500万だそう」
「話にならん。弁護士に任す。お前も用意しておけ」
「頼む、何とか500万で」
「それがお前のお願いの仕方か」
「申し訳ありません。500万で今回の事は許して下さい」
「そうか、500万の慰謝料は了解する。只、許しはしない。許すの
は今後のお前をみてからだ」

条件として、書類を二通用意する事。1通には今回の非を詫び、今
後妻には一切連絡も会わないと誓う事、500万は私の任意の指定日
に満額を一括で支払う事。この書類には実印を押印し、印鑑証明を
付ける事。そしてもう1通は不倫の事は記載しませんが、佐伯が私
に500万の債務があり、それを私に指定通り支払う旨の公正証書を
作る事を約束させます。書類を用意させることにより重圧を与えた
いのです。

「一つ聞いておこう。テレビ電話の録画で妻を脅していたそうだな」
「今はどうか知らないが、俺の携帯にはそんな録画機能はついていない。
見て楽しんでいると言ったのはその場の成り行きだ」
「しかしお前はそれで妻を脅した」

念の為、妻専用の携帯を処分させます。

「お前に言っておくことが一つある。先日、佳子さんに会わせても
らった。お前は酷い男だな、あんないい奥さんがありながら馬鹿な
事をしたもんだ」
「・・・・・」

「書類は金曜日までに用意しておけ。取りに来る」

佐伯と妻の携帯は同じものです。携帯の取説を読みますと確かにテ
レビ電話の録画機能はついていません。出力端子も付いていませ
ん。携帯ショップでも確認します。テレビ電話の内容を保存出きる
携帯は存在していない事を知ります。

妻の不安材料が一つなくなります。
  1. 2014/08/14(木) 00:35:15|
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水遣り 第63回

家に戻り妻に事の顛末を話します。

「良かったな。お前を500万で買ってくれるそうだ」

最後にはこんな言葉しか出てこないのです。

「500万入ったら、全てお前にくれてやるから、出て行ってくれ」
「いやっ、出て行きたくない。そんなお金なんか欲しくない」
「お前の体で稼いだ金だ。一回あたり10万だ。高級売春婦でも稼げないぞ」
「・・・・・」
「それから、携帯の事で言っておこう。お前たちの携帯にはテレビ
電話の録画保存の機能はついていない。お前は取説を見なかったのか」
「見ました。でも他に方法があるかも知れないと思うと」
「抱かれる言い訳を自分で作ったわけだ」
「違います」

「何故、携帯を壊した」
「私の携帯にも残っているかも知れないと思いました」
「兎に角そう言うものはなかった。残念だな。お前が善がるところ
を俺も見たかったよ」

妻を甚振る言葉しか出てこないのです。妻が出て行く事はない、そ
う思っています。私は卑怯な男です。妻と今後どうするのか、考え
ていてもそんな話は出来そうにありません。妻の顔を見れば甚振り
手を上げてしまう。このままでは二人共壊れてしまう。私は決心を
します。短期滞在型のアパートを借りる事にします。市役所からは
離婚届けの用紙を貰ってきます。

「洋子、俺はアパートを借りた。暫くそこで暮らす」
「いや、行かないで下さい。一緒に居て下さい」
「それから、これは離婚届けの用紙だ。俺の名前はまだ書いていな
いが、お前が書いたら俺も書く」

本当に卑怯な男です。こんな大事な事まで、弱い妻に預けてしまう
のです、自分で結論を出せないのです。 ”許してください、出て
行きたくない。貴方を愛している”と何度も何度も言わせたいのです。

泣いている妻の声を背中にして、その日の内に身の回りのものを纏
めアパート暮らしが始まります。一人になった妻が何をしているの
か、気にならないわけがありません。気にしていても家を覗く事も出来ません。

同日、山岡さんと会います。

「宮下さん、その後どうだね?」

先ず、佐伯との事を話します。2通の書類を見せます。

「君らしいな。それで金はいつ用意させるんだね?」
「妻と決着をつけてからです」
「うーん、そうか。佐伯の金はなくなるぞ」

会社として佐伯の処遇が決定したのです。

「奥さんとはどうするんだね?」

アパートを借り、私がそこで仮暮らしをしている事を伝えます。

「良くないな。今が一番大事な時じゃないかね。別れるつもりな
ら、それでもいいんだろうが」
「それを決める為に別居したのです。一緒に居たのでは自分の気持
ちが見えてきません」
「それで決まったのかね」
「いいえ」
「一緒に居て、罵ってでも解る事もあるのではないかね」

自分の行動を他人に決めてもらおうとは思っていません。しかし、
所長の言う事はいちいち理にかなっています。

その後、所長から聞いた佐伯の処遇は私の想像を遥かに超えたものです。
  1. 2014/08/14(木) 00:36:25|
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水遣り 第64回

社長は出来るだけ穏便にすませようと思っていたらしいのです。と
ころが回りが反対します。血が繋がっているからそれだけ穏便にす
ませるのかと。回りから出た意見は取引先から供与された金は全額
返還、即時解雇、勿論専務の妹との結婚はなくなります。

穏便な処置に一番反対したのは専務です。自分の妹と将来の会社を
佐伯に託そうとしたのです。それだけ怒りが大きいのでしょう。

結局、落ち着いた処置は佐伯の住んでいるマンションを処分し会社
に入金する。佐伯の預金は掴みようがありません。預金は手をつけ
ない事になります。即時解雇したのでは今後佐伯の生きていく術が
なくなるだろうと、大阪の関連会社に職を与えます。肩書きの無い
平社員です。それが嫌なら勝手にしろと言う事です。

マンションが売れ次第、この処置が実行されるようです。それまで
に大阪に行くのかどうか決めろと言う事です。

この処置が私と妻にどう言う影響を与えるのかアパートに帰り考え
ています。

『奴は金がなくなる。一番の打撃は今、金を払わせる事だ』
『金が無くなれば、妻にもう連絡を取る事もないだろう』
『専務の妹とは結婚出来なくなってしまった。その上に金もなくなる』
『奴は自棄になるかも知れない』

自棄になった佐伯は妻にまた手を出してくるかも知れない、そんな
思いが頭をかすめます。まさか妻が受ける事はないだろう、妻が拒
否すればすむ事だ。結論を出します。

「佐伯、明日金を取りに行く。用意しておけ、5時半に行くからな」
「解った」

佐伯はすんなり答えます。佐伯は会社から自分の処置を聞いている
筈です。不思議な気持ちでその答えを聞いたのです。

明くる日、佐伯のマンションに行きますと、銀行の紙袋がテーブル
の上に置かれています。

「あんたも俺の処置を聞いただろう。200万しか用意できない、残
りの300万はこのマンションが売れてからだ」
「預金は手をつけられなかった筈だ。それにマンションの代金は全
額会社に取られるだろう」
「会社も慰謝料の件は了承してくれた。マンションの代金から払っ
ていいと、会社も経理も了解してくれた」

冗談ではありません。これでは佐伯と会社がいい子になってしまい
ます。この時間ならまだ会社に人が残っていると思い、電話をします。

受付が出て、経理に繋いでもらいます。

「宮下と申しますが、経理部長をお願いします」
「どう言うご用件でしょうか?部長はもう帰宅させて頂きました」
「慰謝料の300万、佐伯のマンションの代金から払って頂く必要は
ありません」
「何の事を言われているのか、解りかねますが」

電話に出た職員の方にはあずかり知らぬ事でしょう。

「とにかく経理部長にでも、役員の方にでも、そうお伝え下さい」
「ちょっとお待ち下さい」

その職員の返事を待たず電話を置きます。
  1. 2014/08/14(木) 00:37:34|
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水遣り 第65回

佐伯は私の行動に唖然としています。

「佐伯、そう言う事だ。お前の会社からのお情けは要らない」
「しかし、俺には払える金がない。あんたも知っている通り大阪の
平社員か、さもなくば職なしだ」
「俺の知った事ではない。お前から払ってもらう」

私は公正証書のコピーに200万本日受領した旨を書き、押印して佐
伯に投げつけます。

「お前が何処で働こうとも追いかけて行く。給料から天引きにしてでもな」
「解ったよ。好きなようにするんだな。俺にはもう失うものは何もない」

佐伯は開き直ったようです。

「俺と洋子の事を聞きたくないか」
「洋子と言うなと言っただろ。それにそんな物は聞きたくない」
「じゃあ、俺が勝手に喋ろう。あんたは実にへただったんだな」
「うるさい」
「洋子のオマンコは新品みたいだったよ、あんたが20年も使ってもな」
「・・・・・」

「前から俺の事を好きだったんじゃないか。最初の飯でもう釣れた」

「クリトリスなんか凄い感じ方だ、ちょっと擦っただけで直ぐいっ
てしまう。チンポも最初は舐め方さえ知らなかったが、ちょっと仕
込むと涎を垂らして咥えてきたぞ。ザーメンも美味そうに飲んだしな」
「うるさい、黙れ。薬まで使いやがって」

もう聞いてはいられません。思わず佐伯の腹に拳を打ち込みます。
拳を打ち込まれた佐伯の腹よりも私の胸の方が痛いのです。

「お前とはもう終わった事だ」
「離婚するのか?」
「お前には関係ない」

200万をポケットに仕舞い、踵を返して帰ります。

アパートに帰り考えます。自棄になるかも知れない佐伯と、そして
医者の言葉が浮かびます。”妻は少しのきっかけで性衝動が起こ
る”、それと自棄になった佐伯を組み合わせれば。私は賭けに出る
事にしました。暫く家には戻らない。佐伯の誘いに妻がのるような
ら、それまでです。潔く離婚しよう。拒否すれば、長い時間がかか
るかも知れませんが、妻を受け入れてみようと。

妻の居る家に向かいます。

妻はキッチンに居ました。夕食の用意をしているようです。

「あっ、貴方お帰りなさい」

見ると二人分の量です。

「毎日作っているのか?」
「はい」
「俺の分は作らなくていい。ここでは食べないと言ってあるだろ」

妻の心情を解らなければいけないのでしょう。それが私には出来ません。

「佐伯の200万だ。俺は要らない。お前が稼いだ金だ、お前が使え」

駄目です。話合おうと思って来ても、妻の顔を見ると出てくる言葉
は別のものです。金はテーブルの上に放り投げられたままです。

「会社はどうした?」
「もう行けません。退職願を郵送しておきました」
「そうだな、佐伯も居なくなるし、言ってもしょうがないからな」
「違います。私の居場所はもうありません」
「お前がした事だ」

「俺は暫く戻らない。このままアパートで暮らす。朝と夜は一度此
処に寄る。昼も家の電話で確認する。買い物に行く時は携帯に電話
する。見張る必要があるからな」
「酷い。見張るだなんて」

行かないで下さいと泣く妻を背にアパートに戻ります。賭けに出
る、きれいな事を言っておきながら、妻を前にするとこのざまです。醜い男です。
  1. 2014/08/14(木) 00:46:20|
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水遣り 第66回

それから毎日、朝、夜家にに寄り妻が居る事を確認します。昼の電
話にも妻が出ます。電話の向こうから妻が何か言いたそうにしてい
る雰囲気が伝わりますが、私は無視しています。夜家に寄れば、妻
の顔は私に何かを訴えています。私は妻に声を掛けません、一瞥す
るだけで直ぐ家を後にします。妻が居る事を確認するだけなのです。

7日目の時の事です。夜9時に家に寄りますと灯りはついています
が、妻が居ません。しかし妻の車は車庫にあります。歩いて行ける
ところへ言ったのか。佐伯のマンションまで女の足で歩けば40分ほ
どかかります。夜遅くに歩いて行くのも考えられない。暫く待って
も帰ってこないのです。

『何か用事か、それとも佐伯のところか?』

妻の携帯に電話します。電源が切られています。

『間違い無い。佐伯のところだ』

佐伯のマンションの売却は決まりましたが、引渡しが済んでいない
為佐伯はまだマンションに居住しています。電話しようと思えば出
来ます、行こうと思えばいけます。只、このマンションはセキュリ
ティーの厳しいのです。私が佐伯の部屋まで辿り付けるとは思えま
せん。佐伯に電話をしても本当の事を言うとは思えません。やはり
待つしかないのです。12時まで待つ事にします。12時を過ぎれば私
はアパートに引き返す事にします。そのまま離婚しようと考えます。

では12時前に帰ってきたら、どうするのか?妻が何時に家を出たの
か解りませんが、佐伯のところへ言ったのだとすれば、今はもう11
時です。タクシーを利用していれば、抱かれる為の時間は充分あり
ます。その時はどうすればいいのか、やはり離婚か?

『やはり駄目か。妻はそう言う女だったんだ』

キッチンを眺めます。炊飯器が目に留まります。炊き上がってから
の経過時間が2時間を示しています。タイマーを使っていなけれ
ば、炊き上がるまで50分かかるとして、3時間前には家を出たこと
になります。歩いていっても抱かれる時間はある事になります。

なにか痕跡はないかと、リビングを眺め回します。サイドボードの
上に200万が入った銀行の封筒が置かれています。いつもなら妻は
こんな大金をこんな場所に置いておく事はありません。手に取りま
すと、その中には金と共に小さな封筒が入っていました。

その封筒の中には離婚届けが入っています。妻の署名と捺印がして
あります。離婚届の他にメモがあります。
  1. 2014/08/14(木) 00:47:33|
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水遣り 第67回

(佐伯が今日来ました。もし帰らない時は、この離婚届けを・・・・)

離婚届けを、のその後は書かれていません。文字は涙に滲んでいました。

『妻に何があったのだ。佐伯の部屋に何があっても行かなくてはならない』

私が玄関を飛び出したその時です。家の前に車が停まります。タク
シーです。妻が帰ってきたのです。顔は蒼白、髪が乱れ、ブラウス
のボタンが2つありません。しかし、その表情には曇りがありません。

「こんな時間まで、何をしていた」
「佐伯のマンションに行きました」
「どうして携帯の電源を切っていた。また部長様に言われたのか」
「いいえ、決めたのです。終わるまでは電話を受けないと」
「終わるまで?佐伯に抱いてもらうのが終わるまでか」
「・・・・・」
「見てやる、こっちへ来い」

スカートとショーツを一気に脱がせます。足を割り女陰を見ます。
若干濡れてはいますが、男根を受け入れた形跡は無いようです。太
腿には大きな絆創膏が貼られています。

「してはいないようだな。しかしこの傷はどうしたんだ」

妻はこれには答えません。

「貴方が出て行ってから、佐伯から毎日、何回も電話がありました」

佐伯は私の会社帰りの後をつけ、私がアパート暮らしをしている事
を知ったようです。携帯にも何度も何度も電話があったのです。勿
論妻は出ません。家の電話にも佐伯はかけてきます。

「貴方からの電話かも知れないと思うと、出ないわけにはいきませんでした」

抱いてやるから来い、一人暮らしで体が疼いているだろう、慰めて
やるから来い、大阪へ一緒に行こう。佐伯は執拗に誘っていたのです。

「断り続けました」

妻が断り続けていた為、車を乗りつけ家に来るようになったので
す。俺を家の中に入れろと繰返し言っていたのです。聞き入れられ
ないとクラクションを何度も何度も鳴らすのです。

「私、怖かった」

妻は夜になるのが怖かったのです。佐伯に何をされるか解らない、
近所にも知れてしまう。そんな事を私は考えていました。それもあ
るのでしょうが、妻の言った怖いの意味は別のところにあったのです。
  1. 2014/08/14(木) 00:48:38|
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水遣り 第68回

佐伯の訪問は何度か繰り返されます。その内妻は耐えられなくなっ
てしまいます。

「今度来たら、マンションへ行こうと決めました」

家に上げる事は絶対に出来ない。そう思ったのです。

「一人になって考えるのは貴方の事ばかりです。貴方を愛してい
た、今でも愛している。それなのに」

妻は独り言のように喋ります。

「正社員のお祝いで食事を頂いた時、帰りにリムジンで送られた
時、私は夢見心地でした。こんなにまでして頂いてと」
「そこで、お前はもう許してしまった」
「抱かれはしてません。でも同じ事ですね」

「期待があったのかも知れません」
「薬を使われた」
「薬のせいだけではありません。私にも原因があったのだと思います」

私の性技だけでは満足していなかったのです。色々なメディアで知
った性の喜び、自分の体で知りたかったのです。自分の性欲の強さ
に気づき驚いたのです。

「貴方に試して欲しいと何度も言おうと思った、でも言えなかった」

妻は私と同じだったのです。同じ思いを抱いていたのです。

「佐伯はきっかけでした。佐伯でなくても同じだったかも知れません」

「佐伯に何度誘われても、最後までは許せませんでした」

「貴方の事を思うのです。最後までは出来ないと」
「同じ事だろう。最後まで行こうが行くまいが」
「違います。女にとっては大きな違いです。それを許すと心まで
預ける事になってしまいます」
「お前は心まで預けてしまったと言うのだな」
「解りません。でも違うと思います」
「今、お前が言ったじゃないか、体を許す事は心を預ける事だと」
「そうですね。佐伯が特別な存在だと思ったのかも知れません」
「お前の言う事は全て矛盾している。さっき佐伯でなくともと言っただろう」
「解りません、私の体が・・・」

本当のところは妻自身にも解らないのでしょう。後から言う事は全
て理屈です、言い訳です。起きてしまった事に気がついた時に考え
る言い訳なのです。
  1. 2014/08/14(木) 00:49:43|
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水遣り 第69回

「写真で私の中の鍵が外れてしまったのです」
「嘘の写真でな。どうして俺に聞かなかった」
「聞くべきだったと思います。でもあの時は聞こうとは思いませんでした」
「いい言い訳が出来たわけだ」
「違います。でもそうかも知れません」
「はっきり言ったらどうなんだ、これで佐伯に抱いてもらえると」
「多分・・・・」
「多分、何なんだ」
「自分を許すものが欲しかったのです」
「結局、お前は抱かれたかったと言うことだ」

性に積極的ではなかった私、自分の性欲に気づいた妻。妻は自分の
欲求をぶつける相手を私ではなく佐伯を選んでしまったのです。そ
れから4ヶ月余りも続いてしまったのです。

「4ヶ月間、たっぷり楽しんだと言うわけだ」
「苦しんでもいました。夜眠れませんでした」

眠れなくなった妻は睡眠誘導剤を処方してもらったのです。

「白々しい事を言うな。ばれなければ、もっと続けるつもりだった
んだろこの写真を見ろ。これが苦しんでいる顔か。心を預けた顔だ」

報告書の写真をぶつけます。

「心を預けていた?私、そんな顔をしていたのですね。長い間、不
倫をしていても、貴方は何も言ってくれなかった。気がついている
のに、何も言ってくれないのだと、もう私には関心がないのだと、
そう思っていました」
「勝手な事を言うな。俺は気がついていなかった。証拠もないのに
聞けるわけがないだろ」
「あの時、貴方が大阪に来てくれた時、ほっとしました、これで終
われると。嬉しかった、まだ貴方に気にかけて頂いていると」

これで終われるとほっとした妻も、後で録画の事を思い出します。
もし佐伯にそれをばら撒かれても、その時は私と別れて、何処か別
の土地で暮らそうと思ったのです。

「それで、もう会社には居場所が無いと言ったのか」
「そうかも知れません」
「会社は辞めても、この家からは出て行かなかった」
「初めは別れて頂こうと思いました。でもやっぱり貴方の傍に居た
かった。メールされても、貴方が許して下さるなら、貴方と暮らしたかった」
「自分の都合ばかり言ってるな、お前は。俺の事など何も考えてない」

此処まで話しても妻は涙を見せません。妻の決心が本当なら、妻も
それ相応に覚悟を決めた事になります。しかし、妻の言っている事
は自分に都合のいい事ばかりです。不倫している妻に気がついて責
めて欲しかった。後になって言える事です。録画の件も、それは存
在しないと解ったから言える事です。私にはそんな風に思えるのです。

「綺麗事言っているが、今日また佐伯に抱かれたわけだ、お前の体
が疼いてな」
「違います。抱かれてなんかいません」

抱かれていない事は妻の体を見て解っています。それでも私は言わ
ずにはいられないのです。

「どうして行ったんだ」
「一度は会わなくては、決別の為に一度はと思っていました」

あれだけの快楽を与えてくれた佐伯です。会えばまた抱いて欲しく
なるに決まっている、私はそう思っていました。妻の思いは逆だっ
たのです。佐伯と会っても自分の気持ちは変わらない、その確信が
欲しかったのです。

佐伯が来る前に離婚届に名を書き印を押します。メモを書きます
が、離婚届をの後には文字が続きません。

「どうして離婚届けを書いた」
「もし佐伯に抱かれたら私はそれまでの女です。もう貴方の元には帰れません」
  1. 2014/08/14(木) 00:50:46|
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水遣り 第70回

佐伯が来て、妻は佐伯の車に乗ります。バッグにはある物をしのば
せています。

「ご亭主には抱かれているのか」
「・・・・・」
「そうか、ご亭主とは別居だな。自分で慰めていたのか?淫乱な洋
子は我慢出来ないからな」
「そんなそんな事していません」

車の中での佐伯の言葉はそれ一点に集中しています。信号で停まる
と妻の乳房、太腿を撫ぜようとしますが、妻はその手を払います。

「そうか、洋子も久しぶりで恥ずかしいのか」
「・・・・・」
「マンションに着いたらたっぷり可愛がってやるからな」

マンションに着き、部屋に入ると佐伯はいきなり妻を押し倒しま
す。ブラウスを強引に脱がせます。ボタンが2つ外れます。ブラを
取り乳房を引き出します。

「やめて下さい。私はこんな事しに来たのではありません」

佐伯は聞いていません。スカートを脱がせにかかります。男の力に
は適いません。ショーツ一枚になり、妻の裸身が晒されます。佐伯
もトランクス一枚です。

「ほう、今日はオバサンパンツか。俺に抱かれたくないのか」
「抱かれたくなんかありません」
「今にたまらなくさせてやる」

佐伯は口づけしようとします。妻は顔を背け、口を硬く結びます。
佐伯は舌でこじ開けようとしても、妻の口の中には届きません。そ
れでも佐伯の手は執拗に妻の乳房を、女陰を捉えようとしていま
す。妻は手で足でそれを払いのけるのです。

「もうやめて」

もみあいが暫く続きます。力が尽きた妻の抵抗も力がなくなってし
まいます。佐伯はショーツごしに女陰を揉みしだきます。足を羽交
い絞めにして女陰の匂いを嗅いでいます。

「洋子のここはいつもいい匂いだな」

暫く、唇での責めが続きます。妻の足を自分の足で押さえ、また手
で甚振ります。

妻は私が佐伯の股間を蹴り上げた事を思い出します。足は佐伯の
足で押さえられ自由になりません。手で思い切り男根を掴みます。

「えっ」

妻は驚くのです。佐伯の男根には力がありません。

佐伯は勘違いするのです。妻の手が許したしるしだと。

「洋子も我慢が出来なくなったか。ほらパンツを脱がしてやるからな」

数十分にも及ぶ佐伯の責めで妻も感じ始めていました。

「こんなに濡れてるぞ。なにが、もうやめてだ」

佐伯はショーツを脱がそうと、その時です。妻は頭の横にあるバッ
グの中からある物を取り出し、自分の太腿に突き立てるのです。あ
る物は鋏だったのです。鋏は妻の太腿の皮を破り肉に突き刺さり、
血が流れ出てきます。

佐伯もさすがに驚き、行為を諦めるのです。部屋にある塗り薬と絆
創膏を妻に渡します。妻はそれで傷の手当をします。佐伯は茫然と
眺めています。

「悪かった、もうしない」
「・・・・・」
「俺は来週から大阪の平社員だ。洋子ともう一度だけでもと思った」

脱がされた服を身につけながら、妻はそれを聞いています。

「さっき解っただろう。俺はご主人に蹴られてから駄目になった」
「・・・・・」
「洋子となら出来ると思った。しかし・・・」

「俺と居た時は楽しかったと言ってくれ、良かったと言ってくれ」
「言えません」

打ちひしがれた佐伯を後に妻は帰って来たのです。
  1. 2014/08/14(木) 00:51:56|
  2. 水遣り・CR
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水遣り 最終回

自分の気持ちを確かめる為とは言え、妻は大芝居を打ったのです。
私への贖罪とこれからの貞節の印を刻んだのです。思えば睡眠誘導
剤を飲んだ時からその芝居が始まっていたのかも知れません。

私は妻の膝元に歩み寄ります。

「傷を見せなさい」

絆創膏を剥がしますと、固まった血糊の薄皮も剥がれます。そこか
らまた血が流れ出るのです。それは妻の血の思いの涙なのです。私
は思わず妻の血を舐めます、流れ出る血を吸い取るのです。私の首
筋に熱いものが落ちてきます。見上げますと妻は泣いています。

「有難う、貴方」

許したわけではありません。妻の心情を思うと、せめて血を舐めて
あげたかったのです。しかし、抱きしめる事は出来ません。

「今日はこれで戻る。明日朝また来る」

このまま家に居た方がいいのかも知れません。しかし、過去の事、
今日の事、もう一度アパートで考える事にします。

許そうと思っても、浮かんでくるのは10月17日の妻の痴態、変わっ
てしまった妻の女陰、着けていた下着。そこから連想できる佐伯と
の絡み。打ち消しても打ち消しても出てきます。佐伯のものが機能
を果たしていても、妻は受け入れなかっただろうか?佐伯はもう来
週には大阪へ発ちます。しかし佐伯が居なくなっても、あれだけ変
わってしまった妻は他に男を求めないだろうか?きっかけがあれば
又、他の男に走ってしまうのでは?

ふと自分の気持ちに気がつきます。妻との別れを考えていないので
す。妻と暮らした場合の心配事ばかり考えています。娘の明子の事
もあります。明子は私たち夫婦の出来事は知りません。このまま知
らせずに済ませたい。夫婦の過去20余年の暮らしがあります。共に
笑いもし、泣きもしました。破産しても愚痴一つ言わず一緒に頑張
ってくれました。

明くる朝、6時に目が覚めました。そのまま妻の居る家に向かいま
す。6時半、家に着きます。

『洋子はまだ寝ているかも知れないな』

家には入らず、庭の花を眺めています。何やらクリスマスローズも
元気がありません。妻も暫く忘れていたのでしょうか。軒先にある
水撒きで水をやります。

妻が自転車で帰ってきます。籠にはパン屋のレジ袋が入っていま
す。近所に朝早くから開いているパン屋さんがあるのです。出来立
てのパンの香りが漂っています。私の腹の虫もグゥと鳴いています。

「貴方、水遣りして頂いているのですか」
「ああ、何にでも水遣りは必要だ」

これから妻を許せる日が来るのか、妻の痴態はいつ消えるのか?今
の私には解りません。解らないまま別れるより、解らなくとも一緒
に暮らす事を選びました。正しい選択であったどうかは、妻が答え
てくれると思っています。アパートを解約し、家での妻との暮らし
が再開されました。

読んで頂いた皆様へ

長い間、有難う御座いました。皆様のご感想で、どれ程励まされた
事か。私の勇気になりました。妻と別れずにすんだのも、皆様のご
感想が一助になっていると思います。

管理人様へ

長い間、紙面をお借りしました。有難う御座いました。
  1. 2014/08/14(木) 00:53:58|
  2. 水遣り・CR
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水遣り(後書き)

この後、間をおかず松下さんが田舎での結婚を理由に会社をお辞め
になりました。喜ばしい事ですが、少し胸に痛いものが残ります。
小さな会社です、引継ぎが必要なものは殆どありませんが、松下さ
んはきちんと引継ぎノートを作ってくれました。松下さんがお辞め
になった後、妻は私の会社を手伝っています。朝から晩まで一緒で
す。私の心配が一つ減りました。

松下さんは私たち夫婦の為に道を開けてくれたのだと思います。ご
結婚式には夫婦揃ってお祝いさせて下さい。どうぞ幸せなご結婚
を。只、松下さんからの結婚式の招待状はまだ届いていません。

私はまだしらふで妻を抱くことは出来ません、酒の力を借りていま
す。酒で佐伯の幻影を消しているのです。酒は最高の媚薬と申しま
す。しらふで抱けるようになるまで酒の力を借りる事にしました。

先日、佐伯の会社の社長が、何がしかの金銭を持って我が家を訪れ
ました。甥が大変な不祥事を起こし申し訳ないと、ついてはこの事
は口外しないで頂きたいと。私たち夫婦の恥を何を好き好んで口外
するでしょうか。

ジャングルジム様が仰っていました。こんな酷い話にこんな優しい
タイトル”水遣り”をと。妻がよく、”水遣りを一生懸命するか
ら、きれいなお花を咲かせてね”と言っていました。

妻と別れる事になれば、妻に水遣りをしなかった私のせいに、別れ
なければ、これからは妻にも水遣りをしてあげようと、書き始めに
決めていました。

長い間有難う御座いました。
  1. 2014/08/14(木) 00:55:17|
  2. 水遣り・CR
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白き花 第1回

CR様と洋子様の物語を読ませて頂きました。年頃もまさに
私達夫婦と同じです。只、私はCR様のように波乱万丈の人生
を送ってきたわけでもなく、又行動力もありません。何処に
でもいるごく普通の中年男です。まさか私達夫婦に同じような
事が起きるとは思ってもいませんでした。CR様のように毅然と
した態度をとれない自分の器量の無さを嘆きながら、又、
不倫が発覚してからの洋子さんの凛とした姿を思い浮かべながら
私の体験を書こうかどうか迷っていました。CR様ご夫妻と私達
の年恰好、状況、妻の不倫に至る経緯が良く似ています。読者
の方々は何だ、水遣りの二番煎じではないかと思われるのでは
ないかと、書くのを迷っていました。しかし、事実に二番煎じも
三番煎じも無いのではと思い直し、思い切って書く事にしました。
妻の不倫が発覚してからの私の行動はCR様の影響を多分に受けて
いる事は確かです。私の気持もCR様の事を思うと救われて、大変
参考になりました。

一人娘の良子が去年大学を出て直ぐに嫁ぎ、48才の私と46才の妻の
二人暮らしです。娘が居た時は賑やかだったこの家も、二人で暮らす
には広すぎて、日々の暮らしも何やら寂しいものがあります。
娘と一緒に暮らしていた頃は、娘は妻に甘えてばかりいました。
その娘が遠くに嫁いでしまい妻の喪失感は大きく、出来る限り
妻と過ごせる時間を多く取ろうと心がけていました。妻は花が好きで
庭には四季の花々が咲き乱れています。妻の喪失感を少しでも
埋めてあげようと、妻の花を紹介するホームページを立ち上げて
あげました。ホームページを立ち上げても直ぐにアクセスがある
訳ではありません。妻が以前から習いたかったダンス教室にも通う
ようになりました。その二つか間違いの入り口になろうとは誰が
思ったでしょうか。

ホームページを立ち上げたのは、昨年の今頃の事です。季節毎に
変わる花の紹介、ページの更新の方法は妻に教えてあげました。
2、3ヶ月で妻も慣れたようです。主だったサイトに登録し、
随所に検索でヒットする言葉を散りばめました。それでも最初の
半年位はホームページへのアクセスはあっても、メールでの
問い合わせはありません。寂しそうにしている妻を見かねて、
仕方なく、私が訪問者を装ってメールの遣り取りが始まりました。

「貴方、今日始めてメールを頂いたの」
「そうか、それは良かった」

妻に明るさが戻ってきます。最初は二日に一度、二度と頻度多く
遣り取りをしていました。こんな花が好きだとか、あの公園には
珍しい花が咲いているとか、花が好きな人の会話です。日常の会話
で私には話さない事も書いてきます。妻の以外な面も知って、それは
それでときめいたのを覚えています。暫くしてメールの頻度が少なく
なり、その内に自然消滅してしまいました。本物の訪問者がらの
メールがボツボツと入りだしたのです。

「何か、このところ楽しそうじゃないか」
「貴方のお陰よ。メールが来るようになったの」
「最初に来てくれた人とはまだ続いているのか?」
「だんだん間隔が開いて今はもうメールくれないわ」
「お前からメールしてあげればいいじゃないか、
最初の人だろう」
「うーん、でもその人あまり花の事知らないみたい、
花の写真送ってくれた事もないし」
「ふーん、しかしお前少し冷たいぞ」

自分の事をないがしろにされたようで、気が滅入りますが、妻が明るく
なって良かったと思っていました。昨年の11月から通い始めたダンス教室
の影響もあるのでしょう。
  1. 2014/08/15(金) 10:03:07|
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白き花 第2回

家にはPCが2台、私のデスクトップ型と妻のノートパソコンがあります。
勿論2台ともパスワードは設けてありません。ある日曜日ネットで検索する
必要がありました。生憎私のPCの具合が悪く、妻のノートブックを使おうと
したところ、初期画面でパスワードの入力を要求しています。妻の名前と
誕生日、色々組み合わせても開きません。妻に聞くわけにもいかず諦めました。
何故パスワードの設定が必要なのか少し疑問に思いましたが、ネット検索は
急ぐ事でもなく、妻のパスワードの件も次第に忘れてしまいました。

休みの日は二人で出かける事が多かったのですが、妻が一人で出かける事
も増えだしました。まだこの時点では夜遅くなると言うことはありません。
ただ平日の日中、妻の自由になる時間はいくらでもあります。これくらいでは
妻を疑う材料にはなりません。私の考えすぎなのでしょう。しかし、PCの
パスワードが気になります。今までは妻一人で出かける時は行き先と凡その
帰宅時間を告げて出かけていました。それも曖昧になってきます。

ある土曜日の10時頃、妻が出かける用意をしています。淡いブルーの少し
短めのワンピースを着ています。括れたウェストラインを強調するように
白いベルトが腰に巻きついています。栗色のカールがかった髪が透き通る
ような襟首に纏わりついています。日頃見慣れている妻とは別人のようです。

「出かけてきます」
「何処へ?」
「美知子さんと植物公園へ行くの」
「夕飯は外で予約してあるからな」
「5時までには帰ります」

美知子さんなら良く知っています。妻と同年輩で趣味も合い親友のように妻も
付き合っています。

妻は自分の車で出かけました。妻の姿を反芻していました。

オバサンだと思っていた妻の変わり様。娘と一緒に暮らしていた頃は殆ど
自分の身の回りを構う事なく、娘が嫁いでからも喪失感もあらわな妻でした。
ホームページを始めてから明るくなったとは言え、今日の妻のあの若やいだ
雰囲気はどうでしょう。改めて妻を女として見ている自分に気が付くのです。

何故、妻はPCにパスワードを設けたのか、その疑問が再燃してきます。
妻が出かけると、妻のメールを覗いて見たいと言う気持を抑えられなくなって
きました。ノートパソコンを起動します、思いついたアルファベット、数字を
打ち込みますが、受け付けてくれません。苗字は北上、名は由里子。私の名前、
娘の名前、誕生日あらゆる組み合わせを試して見ましたが、駄目でした。

娘が使っていた8畳の間を二つに区切り、私のPCと妻のPCが別個に置かれ、
それぞれ独立した作業場になっています。パソコンラックとその脇には
ちょっとした整理デスクがあります。引き出しを探って見る事にします。
何となく罪悪感がかすめます。一番上の引き出しに黒い手帳のようなもの
がありました。
  1. 2014/08/15(金) 10:04:09|
  2. 白き花・男とは?
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白き花 第3回

恐る恐る手帳を開いて見ました。妻は色々なサイトの会員になっている
ようです。書籍、化粧品、健康グッズ、そのサイト名とパスワードが
書かれています。ただ一つ何もタイトルがないパスワードがありました。
○○○○××××と私達家族には関係のないアルファベットと数字の羅列
です。妻のPCに入力してみます。その瞬間、ようこその文字が現れました。
メール画面を開きます。ここにもパスワードを設定されています。同じ
パスワードを入力します。受け付けてくれました。

逸る心を抑えて、受信済みアイテムから見てみます。何人かの宛先が
あります。その殆どがハンドルネームです。ハンドルネームから判断
しますと女性の方が多いようです。5人の方とメールしています。メール
の数は送信と受信をあわせて全部で50通くらいでした、全部読んでも
時間はかかりません。今はまだ2時、妻が帰ってくるまで時間はたっぷり
あります。ハンドルネームとメールの内容から判断しますと女性が4人、
男性が1人と思われます。ごく普通の趣味の遣り取りをしています。全て
の方に市の公民館で2週間に一度日曜日に花の会を開いているので是非
参加して下さいと妻が紹介しています。

読み進んでいくうちに一つ気になるメールがありました。ハンドルネールが
Jackなんとか、今後の連絡用に妻の携帯の番号とアドレスを教えてくれと
言っています。Jackなんとかとの遣り取りを送信済み、受信済みのメール
全てをコピーした上、全て自分のPCに転送しました。今後のメールを自分
のPCに転送出来るよう設定しようと思いましたが、何かの拍子に妻にばれる
のを怖れて、それは止める事にしました。

コピーしたメールを読んでみます。携帯の番号とアドレスを教えてくれと
言っている以外何も不自然な事はありません。妻もメールの趣味の件では
受け答えしているものの番号とアドレスは教える事なく、やんわりと
かわしています。普通の遣り取りです。只、妻のメールアドレスは実名を
名乗っています、yuriko.kitagamixx@xxxx.xx.xxでした。ホームページには
私達夫婦の居住地区、xx県○○部と記載してあります。Jackはメールで
本名・津岡圭介と名乗っていました。勿論本名であるかどうか定かでは
ありません。津岡は自分の年を53、住まいもそんなには離れていないと
自己紹介していました。それだけです、妻を疑う要素はありません。只、
津岡と言う名前に聞き覚えがあるような気がします。ありふれた名前では
ありません。月曜日に会社で名刺、アドレス帳を見てみる事にします。

メールを読み終わった私は自分が恥ずかしくなってしまいました。妻を
疑ってしまった、その上メールまで読んでしまった。しかし妻は浮気など
していない事にほっとしていました。今日は妻の好きな物は何でもご馳走
してあげよう、そんな気持で妻を待っていました。

6時が過ぎても帰ってきません。6時半、痺れを切らして妻の携帯に電話
しました。コールはしますが妻はでません。何度かけ直しますが同じ結果
です。折角収まった妻への疑惑が再燃します。

30分程して妻から私の携帯に電話があります。

「貴方、電話に出れなくてご免なさい。携帯を何処かに落として
探していたの。それで今見つかったの」
「何をしている、早く帰って来い」
「今から帰ります」
  1. 2014/08/15(金) 10:09:01|
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白き花 第4回

今からでは、予約してあるレストランにはもう間に合いません。断りを
入れます。

結局、妻が帰ってきたのは7時半頃です。手にはバッグと花苗のポットを
持っています。抜けるように白い肌、その顔から首筋にかけてほんのりと
ピンクに染まっているようです。普段なら、妻のこんな小さな変化には
気がつかないでしょう。今は妻のどんな変化も見逃さまいとしているのです。

「遅くなって済みません、携帯を探していたものですから」
「そうか、レストランは断った」
「そうですか、私今から何か作ります」
「もういい、あり合わせのもので食べるから」
「解りました」

台所に向う妻が私の横をすりぬけた時に僅かに石鹸の香りがしたような気
がしました。バッグは台所に持って行きましたが、花苗のポットはリビング
の隅に置いてあります。今までなら、私はポットのラベルなんか見もしません。
そのラベルを見ますと、○○花店と書いてあります。ショッピングセンター
の中にある花屋で、良いものを揃えているのですが、割高な店です。妻は普段
から「安い苗を買って綺麗な花を咲かせるのが楽しいの」と言っています。
ここで買うには何か理由がある筈です。

妻が簡単に食事の用意をします。

「植物公園はどうだった?」
「特にこれと言うものな無かったわ、お食事して、お花を見て散歩して、
プリムラの苗を二つ買って、それだけ」

家から植物公園まで片道40分位でしょうか、往復で1時間20分、妻は8時間
も公園に居たことになります。

「それにしては時間がかかったな」
「美知子さんと芝生の上でお話をしていたの、それから携帯を落とした事に
気が付いて随分探したわ」
「そうか、女の長話と言うが随分と話込んだものだな、プリムラって
あれか」

私はリビングの隅にある二つのポットを指差します。

「え、そ、そうよ」

「外に出してきます」

妻は慌ててポットを手に取り外に運び出しました。妻は明らかに嘘をついて
います。でも何故そんな嘘をつく必要があるのか。
  1. 2014/08/15(金) 10:09:59|
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白き花 第5回

妻は就寝前に風呂に入ります。風呂に入った隙にバッグを調べてみようと
思います。妻は着替えとバッグを持ってバスルームに行きました。日頃
妻を観察しているわけではないので、何時もはバッグを持ってバスルーム
に行くのかどうか、はっきりとは覚えていませんが、リビングに置いたまま
だったような気がします。

家のバスルームは入り口手前が洗面所、その奥にくの字型にバスルームが
設置されています。つまり洗面所に入ってもバスルームからは見えないと
言う事です。洗面所のドアーを開けます、思い切って中に入りました。
さすがにバスルームの中までバッグは持っていけないようです、脱衣籠
の脇にありました。妻の下着も見てみようと思ったのですが、脱衣籠の
中にはありません。いつもは籠の中に脱ぎ置いてある筈です。下着を
バスルームの中まで持って入ったのでしょうか。

バッグの中の携帯を探りあてます。やはりパスワードロックされています。
以前私にも気軽に見せてくれた妻の携帯がロックされていました。

PCと同じパスワードを入力します。簡単に開きました。メール発信・受信Box、
電話の着信・発信履歴を見てみます。美知子さんとの遣り取り、ほかにも
他愛のないものばかりです。目指すものがないのです、元々ないのか、
それとも妻が用心して削除したのか。アドレス帳を検索します。ありました、
津岡さんと表示された携帯メールアドレス、電話番号を控えます。転送設定
は止めました。転送設定がばれてしまえば、先ず夫である私が疑われるでしょう。
今の段階では、私は何も知らない間抜けな夫にしておきたいのです。しかも
まだ妻が浮気しているのが、決定したわけではありません。

バッグの中に他に何か痕跡がないか調べて見ます。妻のバッグを探るのは
初めての事です、妻の秘密を見る様で心臓の鼓動が激しくなります。
化粧ポーチ、ハンカチ、財布と数枚の領収書がありました。その中に
花苗ポットの領収書がありました。やはりショッピングセンターの中の
花屋で買っています。時刻は13時半、妻が出かけて直ぐに買ったと言う事
です。領収書をコピーします。

念の為、妻が外に置いたポットをもう一度見てみます。ラベルは付いたまま
です。こんなラベルまで私が見る筈がないと思っているのでしょう。妻が
風呂からあがるのをリビングで待つ気はなくなりました。妻に声をかけ、
寝室で考えてみる事にします。

妻の今日の行動を肯定的に考えようとする自分がいます。花苗は漆黒の
プリムラでした。前々から妻が欲しがっていたのを覚えています。植物公園
にも大きな花の売店があります。そこには妻の欲しいものがないと知っていて、
公園に行く前にショッピングセンターに寄って買ったのか、どうもそのような
気がします。

もし、男と会った場合はどうでしょうか。私には植物公園に行くと言って
出かけました。あのポットは植物公園へ行った印として買ってきたの
でしょうか。しかし、ラベルを剥がしていません。私がそこまで見るわけ
がないとたかを括っていたのでしょうか。しかも妻は植物公園で買ったと
言っていました。

どうも植物公園に行っていない可能性のほうが高いようです。しかし確認する
必要があります。
  1. 2014/08/15(金) 10:11:08|
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白き花 第6回

確認する方法が一つあります。美知子さんと2度ばかり近所の運動公園で
お会いした事があります。毎日、朝6時ごろ犬の散歩をさせているのです。
私が時たま行くジョギングでお会いしています。明日朝久しぶりに
ジョギングに行くことにしました。

妻が寝室に来ました。ひょっとしたら、今日妻は他の男に抱かれたかも
知れないと思うと妙に妻が色っぽく見えます。いや実際艶かしかったの
です。

「こっちへおいで」
「電気を消して下さい」

久しぶりに妻を抱きました。私も妻もその性は淡白です、いやずっと、
そう思っていました、年に5、6回もあればいい方でしょうか。その行為
も単純なものです。お互いの性器を少し触って直ぐ抱いてしまいます。
電気も消して、真っ暗な中での行為です。

しかし、今日は違っていました。妻のクリトリスを愛撫し、膣の入り口
を刺激しますと、妻は大きな声をあげてしまいます。私のものを手に包み、
愛おしそうに愛撫してくれます。感極まった妻は私のものを口に含むのです。

「私のも」

妻は女陰への口での愛撫を要求しています。妻は私の口で一度、抱かれて
一度達しました、それも今までに無いほど深く大きく達したのです。

「由里子、お前今日すごかったな」
「恥ずかしい」
「どうしたんだ?」
「美容院の待合室で女性雑誌を読むの。夫婦の特集があって、
私も何時か試してみたかったの」
「ふーん、そうか」

納得したわけではありません。今日の妻の、あの手の使い方、舌の使い方、
一度試しただけで上手くなる筈はありません。今までただの一度も夫婦間
ではなかった行為です。しかし、今妻を追及するのはあまり得策では
ありません。

「今日のお前、すごく良かったな、おやすみ」
「あやすみなさい」

行為を反芻してみます。妻が私のものを口に含んだのも、妻が「私のも」
と言ったのも長い夫婦生活で初めての事でした。しかもその舌使いは
とても初めてだとは思えません。私も何回かソープに行った事があります。
妻の舌使いはプロにも負けないものでした。それと妻の絶頂を伝える言葉。
今までは小さな声で「感じる」と言うだけでした。それが今日はどうでしょう、
何度も「イクッ、イクッ」と伝えるのです。もう一つあります。今までも
妻の陰毛をまじまじと見た事はありませんが、どうも感触が違います。灯り
の下で見たわけではないので確信が持てません、手で触った感じからですが、
全体に短く刈り揃えられているようです。

疑惑が確信に変わるのです。
  1. 2014/08/15(金) 10:12:15|
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白き花 第7回

明朝、5時頃からジョギングに出かけます。美知子さんが犬の散歩に来ることを
期待しながら軽く走ります。

「あら北上さんのご主人、諒一さん?」
「あっ、美知子さん、ここでお会いするのは久しぶりですね」
「もう半年以上よ」
「ちょっと、怠け癖が出ましてね」

植物公園のことをどう切り出そうか迷っていました。しかしその回答は美知子さん
がくれました。

「最近、休みの日は忙しいのですか?」
「いや、別に忙しくはないですが、何か?」
「私、平日はパートに出てるでしょう。それでお休みに
植物公園とか、お花屋さんに由里子さんをお誘いするのだけど、
予定があるからって、断られるの。このところ3回連続」
「じゃあ、昨日も誘って頂いたのですか?」
「ご主人とドライブじゃあ、仕方ないですよね」

妻は嘘をついていました。嘘が大嫌いな妻が嘘をついたのです。間違いありません、
男がいるのです。急に昨日、妻を抱いた事を思い出しました。昨晩はまだ疑いの
段階でした、だから妻を抱けました。今は吐き気がします。

「どうかされましたか?」
「いえ、久しぶりに走ったものですから、気持が悪くなってしまって。
妻には良く言っておきます」
「大した事じゃないから、心配しないで」

家に帰りますと、妻は朝食の用意をしています。いつもの妻です、しかし見ている
私の気持が違います、朝食を用意しているその姿もなにか白々しいものに写ります。

シャワーを浴びにバスルームに駆け込みます。昨日抱いた妻から男の体臭が、汗
が私の体に付いているような気がします。石鹸を付けたスポンジで思い切り
擦ります。昨日洗った頭ももう一度洗います。歯磨きをしても吐き気が消えません。
私は潔癖症ではありません、しかし、他の男のものを咥えた妻の口を吸ってしまった、
他の男のものを入れられた妻の女陰を口にしてしまった。吐き気が納まらないのです。

朝食の用意が出来たようです。妻から声がかかります。

「朝ご飯が出来ました」
「久しぶりに走ったから、疲れた。食欲がない」

妻に断り、自分の部屋に向います。白々しく声をかけてくる妻に腹を立てています。
食欲があっても妻が作った飯を食べる気はしません。
  1. 2014/08/15(金) 10:13:28|
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白き花 第8回

部屋に戻ってもする事がありません。考えるのは妻の不倫相手の事ばかりです。
津岡圭介、この男に間違いはないでしょう。名前にかすかな記憶があります。
会社関係だと思います。じっとしていても仕方がありません。会社に行くこと
にします。会社で名刺とアドレス帳を見てみることにします。

「月曜日の会議の用意でし残しを思い出した。会社に行ってくる」
「今からですか、お帰りは何時ころですか」
「解らないから晩飯は要らない」

この郊外から都心まで休みの日なら高速を使えば50分くらいのものです、晩飯
には余裕で間に合うでしょう。しかし今は妻の作った飯を食べる気はしないの
です。途中コンビニで朝飯と昼飯用にお握り、パンと飲み物を買います。

私が勤めている会社は総勢300名余りの小さな会社です。設立メンバーとして
参加しています。パソコン、デジタル機器の周辺機器を製造しています。私は
製造・開発の責任者として勤めています。会社の組織では専務の役職を頂いて
います。妻のPC、携帯を加工するのは訳も無い事です。しかし、相手の男が
知識を持っていれば、それを見破るのもまた簡単な事です。そんな私の技術者
としての臆病さがそれを止めさせたのです。

都心に本社機能と営業、私の住んでいる郊外に工場と研究開発部門があります。
都心の本社に週の2日、残りの3日は工場に通っています。私の本拠は工場に
あります、しかし迷いもせずに本社に向っています、私の本能がそうさせている
のです。

会社に着き、先ず名刺を見ます、津岡の名刺は見当たりません。アドレス帳を
開きます、ここにもありません。工場に行ってそちらも見てみようか、暫く
考えあぐねていました。腹も減った事だし、お握りをほうばっていました。

営業部長の山下君が入ってきます。

「お早う御座います、専務、休みの朝にどうされたのですか?」
「いや、ファイルを探しているのだが、こっちに置いてあるかなと
思ってね。君こそどうした?」
「それが弱りました。専務の肝いりで開発したマルチSDを使った
超大容量メモリーなんですが」
「売れ行きは好調だと聞いているが」
「大変好調です。しかし一番大きな販売店がごねているです」
「どうした?」
「いつも月初めに大量に買い付けてくれるのですが、最近になって
月末の返品が多くなりましてね」
「・・・・・」
「それでも、返品前の値引率を適用してくれと高圧的に言ってくるんです」
「何と言う会社かね?売上のグラフを見せてくれないか」
「ABCXYZと言う会社です。これがグラフです」
「ABCXYZ?リゾートぽい名前だな」
「ホテルとか、トレーニングジムとかダンス教室も経営しているようです」
「正にマルチ経営だな」

ABCXYZと言う名前に何か引っかかりを感じます。グラフを見てみます。
  1. 2014/08/15(金) 10:14:47|
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白き花 第9回

グラフを見ていてもABCXYZの名前が気になります。津、船着場と言う意味が
あります、ABCと言えない事もありません。岡、これはまさにXYZで間違いあり
ません。グラフは8ヶ月前から始まっています。この機器の販売代理店は地区別に
6社あります。ABCXYZは関東地区の代理店です。当初3ヶ月は断トツのトップです。
しかしこの2ヶ月は関西地区に抜かれて2位に甘んじています。ユーザーの数
を考えるとこれは相当な落ち込みと言わざるを得ません。

「相当な落ち込みだな」
「そうです、当初は社長が先陣をきって市場を開拓したようです、
その社長が体調を悪くして、甥が指揮を取り出してから売上が落ちてきました」
「君の意見は?」
「この製品のマーケットを最初に開拓してくれたのはABCXYZの社長です。
大型量販店とも話しをつけてくれました。私としても人情があります。
無下にするわけには行きません」
「そうだな」
「しかし、甥の態度が高圧的で」
「ABCXYZの会社案内を見せてくれるか」
「専務にもABCXYZとの取引契約書に印を頂いています。今持ってきます」

思い出しました。契約書には社長と専務の二人が印を押すのが慣例です。それも
会社での実印と個人印の二つです。営業の総責任者は社長であり、私は形式的に
押しているだけです、それで記憶が薄れていたのです。案の定、津岡圭介の名前
が常務として記載されています。社長の甥です。経歴では社長の妹の婿となって
います。本拠地は私の住んでいる××市にあります。

「山下君は考えを纏める為に会社に来たと言うわけだ」
「その通りです」
「どうしようと思っている?」
「社長には恩義があります、それにあの方の仕事に対する姿勢には
頭が下がります。暫くこのまま様子を見ようかと。ただ」
「うむ」
「このまま落ち込みがまだ続くようだと、私も考えざるを得ません。
扱いたいと言う代理店も数多く来ています。それにあの甥の態度を
見ると」
「そんなに酷いのか?」
「詳しくは言いませんが、酷いものがあります」

山下は悔しそうに下唇を噛んでいます。営業をやらせば山下は超一流です、性格も
温厚です。その山下が唇を噛んでいます、余程、悔しい事があったのでしょう。

「君の考えでいいと思う。うちの社長も解ってくれるだろう」

社長、野村は私と同い年、人情が解る男です、山下の意見に賛成する筈です。
正論だと信じています。しかし私の思いは別にありました、津岡圭介を潰すのは
この私だ、決して誰にも潰させはしない。

これで私のやるべき事が決りました。時計を見るともう昼過ぎです、山下と3時間
も話していたのです。

「山下君、考えが纏まったら、蕎麦でも食いに行こう」
  1. 2014/08/15(金) 10:16:25|
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白き花 第10回

私と山下は一旦社に戻り、雑談をした後、山下は帰途につきました。私には考え
なければならない事が山ほどあります。帰って妻を突き詰めるのか、毎日妻の後を
つけるのか、それとも津岡をつけるのか。何れも良策ではありません、それに後を
つける時間もありません。やはり興信所に依頼するのが一番と、CRさんがそうした
ように地元の事務所をネットで検索して見ます。なんと日曜日も開いている事務所
がありました。帰りに寄ることにします。

津岡圭介の勤務先と妻の情報を伝えます。ABCXYZと聞いて驚いています。地元
では有名企業です。二人の現場を3度確認して欲しいと依頼します。本当は一度だけ
で十分でしょう、しかし不倫の証拠を掴むだけではなく妻の行動パターンも知りたい
のです。

翌週の木曜日、報告書を渡せると連絡がありました。木曜日は地元の工場勤務です。
就業のベルを聞く間もなく、事務所へと急ぎました。車の中でこの2週間足らずの
事を思い浮かべていました。月曜日と水曜日は本社勤務です、本社で処理しなければ
ならない事も沢山あります。水曜日は定例役員会議が就業後あります。帰宅するのは
月曜日が10時頃、水曜日は、会議が終った後、食事、クラブで酒をのんで1時頃
でしょうか。火、木、金は8時頃というところでしょう。平日帰宅して妻が居ないと
言う事はありません。土曜日にも妻は一人では出かけていません。妻はいつ男、いや、
津岡と会っているのでしょうか。

事務所で一通りの説明を聞き清算し、帰宅しました。渡されたものは報告書とDVD。

「お帰りなさい」
「ああ」
「食事にされますか?」

この2週間は出来るだけ自分を抑えて平静にしてきたつもりです。飯も何とか食べました。
しかし、今日は無理です、食べられません。

「要らない、会議の後蕎麦を食った」

妻を一瞥もせず、書斎に篭ります。書斎といってもパソコンが置いてある例の部屋です。
報告書に沿ってDVDも併せて見ます。

妻が津岡と会っている日は全て写真付きの説明があります。

3月25日(火)5時半、妻がダンス教室に入ります。津岡も少し遅れて入ります。
7時、妻が出てきます、そのまま帰宅します。津岡もそのまま帰宅しています。
ダンス教室の名は妻には聞いていませんでした。その名はABCXYZでした。

3月26日(水)3時半、妻が家を出ます。4時、ショッピングセンターの駐車場に車を
停めます。10分程して妻の車の横に高級外車が停まります。車の中の人物はズーム
アップしても解りませんが、妻は助手席に乗り込みます。しかし車のナンバーは津岡
のものです。5時、郊外のレストランに入ります。二人の顔をはっきりと捉えています。
その後、近くのラブホテルに入っています。ラブホテルに居た時間は約3時間、その後
ショッピングセンターの駐車場に戻り、別れ際、ご丁寧にも抱擁して口づけを交わして
います。もう10時もすぎて、辺りは閑散としています。それにしても妻が屋外で口づけ
をするとは。
  1. 2014/08/15(金) 10:17:30|
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白き花 第11回

3月28日(金)火曜日と同様でした。

3月31日(月)1時頃妻が出かけます。先週水曜日と同じようにショッピング
センターの駐車場に車を停めます。津岡が来て、津岡の車でラブホテルに
行きます。滞在時間は約4時間。まだ明るい為か別れ際の抱擁はないようです。

4月1日(火)ダンス教室です。この日は津岡は来ていないようです。

4月2日(水)先週の水曜日と同じ行動です。

これで報告書は終っています。今頃私は悔やんでいます、3度現場を掴んでくれ
と言った事を悔やんでいます。これ程頻繁に会っているとは、妻は完全に津岡
に溺れてしまったのでしょうか。セックスが全てとは思いません、しかし
これ程頻繁に会って、別れ際に抱擁までしています。男の首に縋りついている
ような抱擁です。身も心も貴方にありますと体で言っているのです。

妻は今、下で一人で晩飯を食べているのでしょうか?それとも食べないと
言った私をまだ待っているのでしょうか?そこに居る妻はもう私の妻では
ないようです。他の男の妻なのです。自ら喜んで体を開いたのでしょうか、
それとも何が事情があるのでしょうか?しばし茫然としていました。

これから私の取るべき道が解りません、妻と別れたいのか、男と対決するのか?
どうしたら良いのか解らないのです。

階段を上がって来た妻がドアーの外から声をかけてきます。

「おじやを作りました。召し上がりますか?」
「要らないと言っただろう。書類を纏めなくてはいけない」

そうですかと寂しそうに言葉を残して妻ま階下に降りました。
どうして俺の事を気にかける、もう演技は止めてくれ、心の中で毒づいています。

今、下に行き妻に報告書を突きつければ済むことではないか、津岡とは明日に
でも津岡の会社に行って決着をつければいいと私の心は言っています。しかし、
それが出来ないのです、何故津岡とこうなってしまったのか、妻と津岡に聞く前
に知りたいのです。技術者の悲しい習性かもしれません。しかもあれは妻では
なかったのではないかと思っている自分もいます。あの写真とDVDの中の女が
妻である筈がない、そう思っているのです。

結婚してから、妻は私以外の男と二人きりでお茶さえ飲んだこともない筈です。
40過ぎまで駅前のケーキ屋さんでパートをしていました。店の慰労会があっても
一次会だけでいつも帰ってきました。春と秋の恒例の旅行には妻は参加したことが
ありません。たまには楽しんだらどうなんだと言っても「貴方と一緒じゃないと
つまらない」そんな可愛いことを言う妻でした。何をするにもいつも私と一緒
でした。それはこちらが息苦しくなる程でした。

大きな会社のサラリーマンを辞めた時も、会社を立ち上げて、経営が苦しく月々の
決ったものを渡せなっか時も、「貴方を信じてるから」と愚痴の一つも零さずに
一生懸命妻はついてきてくれました。そんな妻が、他の男に抱かれることは報告書
を見た今でも信じられないのです。
  1. 2014/08/15(金) 10:18:30|
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白き花 第12回

もう少し冷静にならなければいけません。冷静になって考えて見ます。

津岡のメールの最初の日付は11月の中頃です。メールの遣り取りは1月の初めに
終っています。その内容はこんな花が好きだ、この山にはこんな花が咲いている
と写真を添付して書かれていました。その中の1通にお会いしたいですね、
良ければ携帯アドレスを交換したいと自分の携帯アドレスを津岡は教えていました。
遣り取りは唐突に終っています。

妻がダンス教室に通いだしたのは、11月初めです。なにか符号がありそうです。
妻の休日の一人での外出が増えだしたのは1月の下旬です。これにも何か意味が
ありそうです。

津岡がどんな男なのか知りませんが、妻のホームページに偶然アクセスできた
とは考えられません。それに山下から聞いた人柄からもとても花好きには
思えません。とすると、妻と津岡の最初の接点はダンス教室にある筈です。

妻が津岡に抱かれた日を見ています。この2週間の結果だけで判断するのは
早計ですが、土曜日に抱かれた翌週の平日は一日だけ抱かれています。
土曜日にない翌週は2日抱かれています。計算どうりだとすると今度の土曜日
つまり明後日、妻は抱かれる事になる筈です。一月の下旬から今まで2週間に
一度、妻は一人で出かけています。今まで2ヶ月以上も続いていた事になるのです。

津岡も一応の企業人の筈です。そうそう平日の日中、女を抱く為に時間を工面
する事も出来ないでしょう。

明日の朝、ダンス教室を覗いてみることにしました。妻に報告書を見せるのは
明日の夜、いや土曜日の様子を見て妻が出かけるのであればその直前が良いかも
知れません。時計を見るともう12時です、5時間も考えていたのです。

寝る事にします。階下に降り、下着を探していますと妻が来ました。

「貴方、お風呂ですか?着替えは洗面所に用意してあります」
「風呂に入って先に寝る」

妻は何か言いたそうにしていますが、私は無視します。このところ私が妻に
取っている態度、妻も何か異変を感じているのです。どこと無く寂しそうでした。

風呂からあがった私を見送ります。

「おやすみなさい」
「ああ」

妻は小さく微笑みました。この笑顔ももう見れなくなるかも知れない、そんな
思いで寝室に行くのです。
  1. 2014/08/15(金) 10:19:37|
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白き花 第13回

金曜日の朝、工場に午前中休む旨連絡しダンス教室に向います。ダンス教室が
午前中から開いているかどうか解りませんが、10時ごろ着くように行きました。
案の定、開いていません。掃除をしているらしく、50年配の女性が二人モップ
をかけています。二人共、話好きらしく、なにやら大きな声で話しています。

これなら声を掛け易く、思い切って聞きました。

「ここは何時に開くのですか?」
「ここの人間ではないので、はっきりした事は。多分3時頃だと思います。
もし申し込みなら、パンフレットをお持ちになれば」
「あ、はい。頂いていきます」

カウンターにパンフレットが置かれています。その他にも数枚のパンフレット
がありました、その中の一枚を手にとります。妻のホームページ紹介のものです。
お気軽にご訪問下さいと妻のホームページが紹介されていました。

「これは?」
「ダンス教室の生徒さん、私達より少し若い奥さんが置いたものだと
思います。去年の11月位だったわね」
「そうですか」

もう少しダンス教室の様子を聞いて見ようと思いましたが、二人の女性に私
の印象が残ってはと思い早々に立ち去る事にしました。

工場に着いて、一人考えて見ることにします。

私の想像はこうです。

去年の11月頃、ホームページへのメール訪問者はまだ私一人です。訪問者を
増やしたい妻はダンス教室にパンフレットを置かせてもらった。ダンス教室に
通っている妻を見かけた津岡は、妻のホームページをそれで知り、アクセス
した。多分そんな所だと思います。

只、津岡が何故妻に興味を持ったのか、何故妻は津岡の誘いに乗ったのか、
解りません。不思議に冷静な自分がいます、寝取られた男の怒りが、まだ
湧いてきません。あまりにも日常からかけ離れたことなので、自分の事と
して、実感がないのかもしれません。

妻はごく普通のその年なりの女です。亭主である私の目から見て、違うと
思われるところは、抜けるように色が白い、これで5,6歳は若く見られて
いるかもしれません。器量は十人並みです。身長は確か163cm、只、バスト、
ウエスト、ヒップの落差が大きく女を感じさせる部分があるかもしれません。

津岡も写真で見る限り、普通の中年男です、別にオスのフェロモンを発散
させているわけでもありません。何故こんな男に引っかかったのか不思議
です。

例え、津岡が強烈なフェロモンを出していても、なびくような妻ではない筈です。
どんな誘いがあっても妻は断る筈です。
  1. 2014/08/15(金) 10:21:16|
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白き花 第14回

何故、こんな分析をしているのでしょうか、技術者の習性でしょうか。
違います、今だに妻が他の男に抱かれたことが信じられないのです、だから
その理由を知りたがっているのです。本当は怒りを妻と男に向けるべき
でしょう、理由は問い詰めれば解る筈です。

午後は仕事になりません、一日中そんな事を考えていました。退社時間に
なっても家に帰る気がせず、部下を誘って飲みに行きます。

悲しい習性です、こんな状況でも妻に電話をします。

「今日は遅くなる、飯はいい」
「何時ごろになりますか?」
「解らない、先に寝てくれ」

不倫している妻に遅くなるからと断りを入れている自分が可笑しくなります。
こんな状況でも日頃の習慣が出てしまうのです。

結局帰宅したのは、夜中の2時、今日言わなくて済んだとほっとしているの
です。ダイニングのテーブルにウイスキーの水割りと簡単なツマミの用意が
してありました。妻はこんな時でも私の寝酒の習慣を覚えているのです。
ウイスキーの横にメモがありました。

『お疲れ様でした、先にやすませて頂きます。明日出かけます』

やはり私の推測通り、妻は明日津岡に会うのです。妻が出かける前に決着を
着けなければいけません。

いつもより、朝早く目覚めました。妻が朝ご飯の用意をしています。

「飯はいいぞ、昨日飲みすぎた。それよりも此処に座れ」

妻はダイニングテーブルの私の向いに座ります。

「何処へ出かけるんだ」
「植物公園へ、お花の会のみんなと行くの」
「先々週も植物公園だったな」
「ええ、あの時は美知子さんとです」
「その次の日曜日の朝、美知子さんと会った」

妻の表情が少し変わりました。

「美知子さんは行かなかったようだな」
「あっ、あの時は美知子さんが急に都合が悪くなって、
一人で行きました」
「美知子さんとお昼を一緒に食べて、芝生の上で話し込んだ
のではなかったのか」
「済みません、嘘をついて。美知子さんの都合が悪いから、
彼女のお友達と行ったの」
「美知子さんはそうは行っていなかったぞ。俺とドライブに
行くから植物公園には行けない、そう言っていたぞ。
そう言う事が2、3回続いているらしいな」

妻の顔がみるみる曇っていきます。
  1. 2014/08/15(金) 10:22:17|
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白き花 第15回

「お前、今の話だけで何度嘘をついた。美知子さんが断ったのも嘘、
一人で行ったのも嘘、美知子さんの友達と行ったもの嘘」
「・・・・・」
「あのプリムラは何処で買った?」
「植物公園です」

まだ嘘をつく妻に腹を立て、妻の頬を思い切り打ちました。

「もういい加減にしないか、ショッピングセンターだろ」
「・・・・・」

万が一の為にと、妻は待ち合わせのセンターにある花屋で買ったのです。

「お前はそんな嘘がつける女ではなかった。誰と会っていた?
もう嘘はつくな」

妻も私が何を切りだそうとしているのか、解ったようです。うな垂れて、ただ
涙を流しています。

私は徐に報告書を取り出します。

「津岡圭介だな、これを見てみろ」

私が放り投げた報告書を妻は見ようともしません。その態度に腹が立ってきます。

「何故見ない。この2週間のお前達の愛の記録だ」

妻の髪を掴んで、顔を報告書に擦り付けます。

「平日のしかも日中から抱き合っているんだな、お前達は」

「これを見ろ」

ショッピングセンターの駐車場で抱擁している写真を見せます、その場面の
DVDをつけました。

「見てみろ、まるでお熱い恋人同士だな」

辛い場面です、妻が津岡の首に縋りつき口を吸われています。

「今日も奴と会うわけだ。電話しろ、今日は会えないってな。
俺にばれた事は未だ言うな」

私の目の前で電話できないのは解っています。電話しない妻に腹をたて、妻の頬
を叩きます。

「会えないって電話をするのは嫌なのか、そんなに会いたいのか」
「違います、でもここでは出来ません、貴方の目の前では」

妻のバッグから携帯を取り出し、津岡の携帯を呼び出します。

「さあ、早く出るんだ。出来るだけ普段通りに話せ」

妻は渋々携帯にでました。

「由里子です。今日急に熱が出て、行けそうもありません」

携帯の向こうで津岡が何か言っているようです。妻が一々頷いています。それが
また気に入りません。妻の肩を掴みます。

「はい、解りました」

そう言って妻は電話を切りました。

「何を一々頷いていた?何が解りましただ。それにお前はあいつに由里子って
呼ばれているのか」
「・・・・・」
「何が急に熱が出て行けませんだ?その嘘の熱が冷めたら又会うと言うわけだ」

今日会えないの言えと言ったのは私です、ばれた事をまだ言うなと言ったのも私
です、出きるだけ普段通りに話せと言ったのも、私です。妻としても他に言いよう
がなかったのだと思います。妻が咄嗟に思いついて熱が出たと言ったのです。
しかし妻のどんな言葉も気に入りません。

妻は涙を流しながら妻の小物入れ箪笥から一枚の紙を取り出します。そして
その一枚の書類のようなものを私に見せるのです。

「これを見て下さい」

私が津岡圭介個人に宛てている書類です。私の住所、名前が私の筆跡に間違い
ない字て書かれています。そこには私の個人実印が押されていました。

書類のタイトルはご依頼書となっていました。
  1. 2014/08/15(金) 10:23:15|
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白き花 第16回

それは驚愕すべき内容でした。

私の肝いりで開発した大容量メモリーの拡販のお願いするものです。多大の
開発費を投入したものであり、どうしても成功させたい。さもなければ私の
会社での立場も危うくなる。拡販して頂けるのなら私個人もどんな努力も
厭わない、妻を自由にしてもらっても差し支えない、そう言う内容でした。

勿論、私に書いた覚えはなく、又、そんな事を書く筈もありません。

「津岡が私のメールに添付して送ってきました」
「いつの事だ」

妻はその書類を添付してきたメールのコピーを見せてくれます。1月xx日、津岡
のメールが唐突に終っていたその2日後の日付になっています。

そのメールの内容は;

今までメールの遣り取りをしていたがどうしても会いたい、会って話がしたい。
黙っていたが、自分はご主人の大事な取引先の一社であり、製品の拡販に頑張って
きたが、自分の望みも叶えて欲しい。こんな事をするのは本意ではないが、ご主人
と交わした契約書のコピーを添付した。と言うものでした。

しばしその依頼書を見つめて考えていました。

「貴方は酷いと思いました。でも貴方の為になるのならと思い、私の
携帯アドレスを教えてしまいました」
「俺はこんなものを書く筈がない、どうしてその時俺に聞かなかった?」
「そんな事、貴方に聞けなかった」

妻は津岡の始めて会った時の事を思い出しています。妻が携帯のアドレスを
教えたその日に電話がかかって来ます。

「奥さん、有難う。今日会って頂けますね」
「いえ、お会いできません」
「依頼書を読んでくれてないんですか?それは困りましたね、
その件でお話があるのですがね」

妻は会わざるを得なかったのです。

「やはり綺麗な方だ。お会い出来て良かった」
「・・・・・」
「ダンス教室で一度お会いしています。覚えていますか?」
「いいえ」
「僕は貴方の名前を知っていました。出席されればネームプレートを
掛けますね、それで名前を覚えました」
「・・・・・」
「直接声を掛けようと思っても、中々近寄り難い雰囲気だった。
奥さんはホームページを紹介していた。それでそこにアクセス
したわけだ。しかし奥さんは固かった」
「・・・・」
「仕方がない、卑怯だと思ったが、ご主人との書類を送りました」

津岡のその丁寧な話口に妻も次第に耳を傾けるようになります。
  1. 2014/08/15(金) 10:24:13|
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白き花 第17回

津岡は例の依頼書をテーブルの上に置くのです。

「この製品にはご主人は余ほど愛着があるのですね」
「主人が1年以上も手塩にかけたものです」
「そうでしょうね。しかし奥様と引き替えにするとは」
「主人はそんな事をする人ではありません。帰って主人に
聞いてみます」
「いいんですか、奥さん。そんな事をすればご主人は奥さん
にも恥を書く事になりますよ」
「それで私にどうしろと仰るのですか?」
「難しい事ではないです。この依頼書の通り、ご主人の言葉に
そって頂くだけです。私の方はこの製品の拡販に努力したつもりです」
「・・・・・」
「もし、奥さんの答えがNoなら、ご主人の会社にも報告しなければ
いけません。さどご主人は笑いものになるでしょうね」

妻は徐々に津岡のいいなりになってしまうのです。

この前の土曜日、山下に指摘された通り会社としての販売契約書を交わしています。
署名欄には私個人の名前と住所を手書きで書き、個人実印も押してあります。
津岡圭介は販売責任者役員として署名しています。津岡はいつでもこの書類を
見れる筈です。

「由里子、こんなもの俺が書く筈がないだろう。お前がその為に、
いや、その為でなくとも他の男に抱かれるなんて我慢できるわけ
がないだろう。どうしてお前と製品を引き替えにすると思ったんだ」

「こっちへ来なさい」

妻をPCのある部屋に連れて行きます。書類をスキャナーでスキャンします。
住所、氏名と押印の部分をコピーツールでコピーし、ワードの白紙の部分に
貼り付けます。妻は目をみはっています。勿論、公式文書として通用するわけ
はありませんが、素人、しかも動揺している女性を騙すには十分でしょう。

「こんなものは誰でも作れる」
「でも字と印はどこから?」
「津岡の会社はうちの製品の販売代理店だ。契約書はあいつの立場なら、
いつでも見れる。今俺がやったのと同じ事をやればいいわけだ」
「私にはそんな事解らなかった」
「もう一度聞くがあの時何故俺に聞かなかった」
「聞けませんでした。そんな事を聞けば貴方を侮辱するのと同じだと
思いました」
「あいつに抱かれるのは侮辱ではないのか」
「許してください。でも私には方法がなかった」

これから津岡のマンションに行こうがどうか迷っています。津岡の妻は津岡現社長
の妹43歳、いきなりその目の前で話すのも何か津岡の奥さんに悪いと思い、それは
止める事にしました。
  1. 2014/08/15(金) 10:25:16|
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白き花 第18回

津岡を呼び出すことにします。私の携帯からだと、誰からのコールが解らず、
津岡は出ないかも知れません。妻の携帯を使います。数回のコールの後、津岡は
出ました。

「由里子か。どうした?熱があっても抱かれたいか?」
「その由里子の亭主だ。人の女房を呼び捨てにしやがって」
「えっ」
「えっじゃない。何故俺が電話したか解るな」
「いや、解らない」
「じゃ教えてやろう。お前の会社へ行く、お前も出て来い」
「今日は休みだ。会社は閉まっている」
「お前も役員の端くれだろう。何とでもなるだろう」
「いや、ならない」
「そうか、それならお前のマンションに行こう。奥さんも居て
丁度いい」
「俺のホテルでは駄目か?」
「駄目だな」
「解った。何とかする」
「書類棚の鍵も持ってくるんだ」
「解った」

会社で会うのは事の大きさを津岡に認識させる為もあります、それに津岡は
会社の契約を利用しています。これから私がどう言う行動にでるのか、
知らしめる必要があります。

「津岡と会ってくる。由里子、身の振り方を考えておくんだな」

津岡の会社の駐車場で待ち合わせ、会社の応接室に向います。津岡を生で見たのは
初めてです。人を威圧するような態度を感じさせます、それなりの押し出しの
良い風貌をしています。

いきなり本題に入ります。

「これを見ろ」

報告書を叩きつけます。

「いい年をした男が人の女房に手を出しやがって」
「北上さん、申し訳ない。出来心だ、魔が差してしまった。
しかし悪い事をしたとは思っていない」
「悪い事ではない?どう言う意味だ」
「最初は奥さんも渋々だった。それも最初の1、2回だ。
その後は奥さんも喜んでいた。俺の誘いを断ったこともない」
「お前がこの書類で脅していたからな」

悪い事ではない、これは私への挑戦でしょうか、私はそう受け取りました。
例の依頼書を見せますが、津岡から返ってきた言葉は以外なものでした。

「そんなものは只のオモチャだ。これで奥さんが引っかかるとは思っても
いなかった。ダンス教室で初めて奥さんを見た時に俺の理想の人だと
思った、なんとかしたいと思った。奥さんの入所控えを見ると、ご主人は
俺の取引先の役員だった。これは利用できると思った」
「これは立派な恐喝だ。私文書偽造の罪もあるぞ」
「軽はずみな事をしたと思っている。いつか、あんたが来ると思っていた。
許してくれ」
「許せ? 馬鹿も休み休みに言うんだな。それなりの制裁はする
つもりだ。今日はこれで帰るが覚悟しておくんだな」

帰ろうとする私に津岡は一つの包みを私に寄こします。

「奥さんがいやいやだったのかどうか、これで判断してくれ」
  1. 2014/08/15(金) 10:27:33|
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白き花 第19回

家に帰りますと、妻はダイニングの椅子に背筋を真直ぐにして座っていました。

「お帰りなさい」
「脅されて始まったのは解った。どうして俺に相談しなかった」

相談出来るような事ではないと解っています。しかし言わずには居られないのです。

「ばれなければ、いつまでも抱かれていたんだろう?」
「いいえ、いつか言おうと思っていました」
「嘘をつけ、現に今日も会うつもりだったろうが」
「・・・・・」

妻はうな垂れています。背中を震わせて泣いています。その背中を見ますと、
引きずり回したくなります。2週間前抱いた時の妻の反応、陰毛の様子を思い
だします。

「脱げ」
「・・・・」
「脱げと言っているんだ」

私は妻のスカートに手を掛けます。妻は必死で押さえています。無理にその手を
払い、ホックをちぎり取り、ジッパーを降ろします。スカートを強引に脱がせます。

「下着も脱ぐんだ」
「出来ません、許してください」

又もや、妻の下着に手を掛け引きちぎるように脱がせます。妻は両手で陰部を
押さえ、屈みこむようにしています。絶対に見せたくない、体で言っています。
上半身はそのままブラウスを着ています。

「手をどかせるんだ」

手を払い、足を割り女陰を露に晒します。

「何と言う事だ」

陰毛は、クリトリスの上部に申し訳程度に逆三角形に短く小さく刈り込まれて
います。そして、左の太腿の付け根に小さくKと、右にはTの文字がありました。

「お前は」

まさかと思いブラウス、ブラを引きちぎります。妻の小さな乳輪に、左にK、右
にTと小さく書かれていました。津岡圭介のイニシャルなのです。

私は打ちのめされました。ただ抱かれていただけではなかった。妻は津岡に隷属
していたのです。
  1. 2014/08/15(金) 10:28:55|
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白き花 第20回

妻の髪を引っ張り、引きずるようにしてバスルームに連れて行きます。妻を
バスルームに放り投げるようにして押し込みます。

「そこで、その絵が消えるまで洗え。消えたら出て来い」

私は時間稼ぎをしているのです。余りの出来事にどう対処していいのか
解りません。別れを切り出すのは簡単です、しかし自分が離婚を望んでいるのか
さえ解りません。妻の不倫が解ってまだ2日しか経っていません、考えが纏まり
ません、考える事すら出来ないのです。

津岡が寄こした包みがあります、開けてみます。DVDが3枚入っています。1、2、
3と番号が打たれています。自分の部屋に戻り見てみる事にしました。1番と
書かれたDVDをスロットに挿入しました。立ち上がる時間がもどかしいのです。
立ち上がった画面を見入りますと、”初めての日”と書いてありました。

シティーホテルの一室のようです、津岡のグループのホテルに違いありません。
妻は壁を背にして立っています。男の声は聞こえませんが、妻はその声に返事
をしています。

「そんな事は出来ません。ビデオは止めて下さい、お願いします」

何か遣り取りがあったようです。妻は頷き服を脱ぎ始めました。ショーツとブラ
だけになって立っています。再度、男から命令されたようです、全裸になって
立っています。片手で乳房を、もう片方で女陰を隠そうとしています。男の次の
言葉で左手を腰に、右手を頭の後ろに回し髪を掻き揚げています。腰を突き出し、
足を開き、斜め半身になってポーズを取っています。まだ垂れもせず、ボリューム
のある乳房、括れたウェスト、張り出した腰、何よりその抜けるような白い肌。
脅されて仕方なく男の言葉に従ってるとは言え、この卑猥さはどうでしょう、
まるで男を誘っているようです。

カメラが妻に近づいていきます。男の手が妻の乳房を、女陰を甚振ります。
妻は歯を食いしばって耐えているようです。10分も続いたでしょうか、妻の
体が、顔が薄桃色に染まっていきます。耐えかねたように妻の口から「あぁー」
と溜息が漏れました。

もう見るに耐えられません、所々飛ばしながら見ていきます。椅子に腰掛けた男
の物を咥えています、ベッドの上で四つん這いになって、顔をこちらに向けて、
尻を高く掲げて、男の手での女陰への愛撫を受け入れています。更にバイブまで
受け入れていたのです。最後は正上位で両足を男の腰に巻きつけて妻は逝ってしま
うのです。

脅迫まがいに命令されての事とは言え、ただ一度の行為でここまで変えられて
しまった妻、押し寄せてくる快感に負けて、最後は男の言葉に唯々諾々になって
いました。

打ちのめされました。しかし、見終わった後に何か違和感が残りました。この時、
その違和感が何であるか解らなかったのです。もう2枚のDVDはとてもじゃないが
見れません。
  1. 2014/08/15(金) 10:30:01|
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白き花 第21回

1時間位DVDを見ていたのでしょうか、妻が気になります。

バスルームを覗きました。妻は全裸で洗い場に蹲っています、背中が揺れています。
私がドアーを開けたのに気づきしゃくりあげるように泣き出しました。その部分を
見ますと、擦った後が真っ赤になっています。しかし文字は消えていないのです。

「ちょっと擦った位では消えない程、お前たちの絆は強いわけだ」
「違います。今までも消そうとしていました。でも擦った後を
見つけられると酷く打たれました」

「貴方、ご免なさい、由里子を許してください」
「許せない。ばれなかったらそんな言葉も出てこないだろう」
「違います。初めからこんな事にはなりたくなかった。
でも断れなかった」
「DVDを見た。お前は喜んでいた。俺にも見せた事のないような顔でな」
「いやぁー、もう見ないで」

泣き叫んでいます。泣けば泣くほど、妻をもっと泣かせてやりたい、そんな気持に
なってしまいます。今は妻と津岡をどう裁こうか、そんな事は考えられません。
自分の衝動のままに動いてしまいます。

「お前の喜んでいるいるところを見てみたらどうだ。こっちへ来いっ」

無理やり妻をパソコンのある部屋に引っ張っていきます。1番のDVDを立ち上げます。
妻は画面を見ません。髪を掴み強引に画面に向かせます。

「目を開いてよく見るんだ」

妻は沈んだ顔で画面を見ています。暫くすると妻は怪訝な顔になるのです。

「違います、このDVDは違います」
「何がどう違うんだ?お前のこの嬉しそうな顔を良く見ろ、残念ながら津岡は
写っていないがな」

当たり前です、津岡が自分の顔を撮る筈がありません。

「このDVDはどうしたのですか?」
「DVDが勝手にここに来るわけがないだろう。今日、津岡が俺に
寄こしたものだ。お前が津岡に夢中になっているのを見せて、
俺に諦めろと言いたいのだろう」
「私のDVDでは無いのですね?」
「お前のDVD? 何だ、それは?」
「・・・・・」
「言わなきゃ、解らないだろう」
「津岡が私にくれたものです」
「どうして?」
「・・・・・」
  1. 2014/08/15(金) 10:31:13|
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白き花 第22回

「何を黙っている、俺にはお前達の全てを知る必要がある」
「由里子の調教の記録だって、渡されました」

妻の泣き声はまた大きくなるのです。私は妻の持っているDVDを見たくなりました。
もっと過激な事が写されているかも知れません。それでも私の衝動を抑える事が
出来ません。

「全部で何枚だ? ここへ持ってこい」
「3枚です。でも嫌です、もう見たくありません、許してください」
「お前にそんな事を言う権利は無い、いいから持ってこい」

妻は立ち上がろうとしません。

「何処にある、言え」

妻のPCスタンドには鍵の掛かる引き出しが一つあります。

「此処だな、開けろ」

動かない妻に焦れて、私は妻の鍵束を奪います。何個目かの鍵が合いました。DVD
3枚の他に、小物がありました。その小物に隠されているように一つのバイブが
ありました、それは使い込まれているようでした。

「お前達はこんな物まで使っているのか」
「・・・・・」
「これは俺が預かっておく」

妻が持っていたDVDのやはり1番をスロットに挿入しました。立ち上がる時間の中で
先程の違和感が頭を掠めます。さっき見たDVDは所々、途切れていました。都合の
悪い所をちぎったように。

DVDが立ち上がりました。タイトルは ”人妻由里子の調教日記”となっています。
私に寄こしたものと違います。どうしてこんな手の込んだ事をしたのか理解に
苦しみます。兎に角見てみます。妻は目を伏せています。

「嫌ならお前は見なくてもいい、俺が一人で見る」

何の為に私が見ようとしているのか、妻には理解が出来ないのです。私には妻の
痴態を見る他に目的がありました。やはり着衣の妻が壁を背にして立っています。

今度は男の声が聞こえます。

「今日から由里子の調教記録が始まる。まず服を脱げ」
「そんな事は出来ません。ビデオは止めて下さい、お願いします」

以前のDVDでは何か遣り取りがあった後、妻は服を脱ぎ始めています。しかし、
このDVDでは違います。津岡が立ち上がり妻の傍に行き妻の頬を叩いています。
妻は激しく抵抗しています。妻が津岡の男根を咥えるシーンも、四つん這いに
なって尻から女陰を甚振られているシーンも最初は激しく抵抗しています。涙
さえ浮かべています。津岡がバイブを持ち出した時には、妻は一旦それを奪い
床に叩きつけています。その時津岡は妻を激しく打っています。津岡はその他でも
随所で妻の頬を叩いています。正上位で両足を津岡の腰に巻きつけたのも、津岡
が強引にそうさせていたのです。時には例の依頼書を言葉に出して脅迫していた
のです。

このDVDでは津岡の顔が写っています、声もはっきり聞こえます。私に寄こした
DVDには津岡の顔どころか、声さえ消されています。私に寄こしたDVDは編集した
もの、妻に渡されたものは生の映像だと推測出来ます。

津岡に会おうと言って会うまでのの時間は約1時間半、そんな短い時間に編集
出来るとは思えません。そうすると私が持っているDVDは以前に編集し、予め
持っていたものだと言う事になります。どうしてそんな手間の掛かる事までして、
津岡はDVDを2種類用意いたのか、私には理解が出来ません。妻が持っているDVD
では津岡の顔、声がはっきり認識出来ます。妻と津岡の不倫の証拠になります。
  1. 2014/08/15(金) 10:32:08|
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白き花 第23回

妻と津岡の最初の切欠は脅かされてのものだとはっきり認識出来ます。しかし、
長時間の愛撫、甚振りに妻は耐えられなくなって喘ぎ声を洩らしていました。尻
を高く掲げたシーンでは、妻の秘部から果蜜が流れ落ちていました。初めての日
に、その日初めて抱かれた男に、妻はこれ程の変化を示したのです。DVDが終って
もパソコンの前でしばし茫然としていました。

時計を見ますと、もう午後の2時です。こんな時でも腹が空きます。台所に降りて、
冷蔵庫を見ていますと、リビングで泣き濡れていた妻が声を掛けてきます。

「あっ、貴方、何か召し上がりますか」

妻は日常の生活を営もうとしています。

「お前が作ったものを食えると思っているのか?」
「・・・・・」
「外で食ってくる。晩飯も要らない」

駅前の食堂で飯を食べます。腹が空いていても飯が喉につかえます、お茶で
流し込むようにして、昼飯を終えました。帰る途中、コンビニで握り飯、パン
お茶を買って帰ります、晩飯にするつもりです。レジ袋を手に帰りながらも、
どうして私がこんな思いをしなければいけないのか、そう思うと尚更、妻と津岡
への腹立ちが増すのです。

妻の居る家に足が向きません、近くの公園のベンチで座り込んでしまいます。
津岡は立ち直れない位に叩きのめしてやりたい。しかし、妻の事はどうすれば
良いのか?許すのか許さないのか?こんな事の載っている参考書など売っては
いません。妻物語のBBS1を読みますと、殆どのご主人は最後には奥様を許されて
います。夫婦として生きて来た歴史がそうさせているのでしょうか?お子様の
存在がそうさせているのでしょうか?社会的なしがらみなんでしょうか?

私達夫婦にも20数年の歴史があります。従順な妻でした、私に良く尽くして
くれたと今でも思っています。嫁いだとは言え娘が居ます、その娘には知られ
たくありません。しかし私には自分の思いを殺してまで、それは出来そうに
ありません。

人妻とは理由があれば、それを言い訳にして簡単に体を開ける生き物なんでしょう
か?男と女の生理の違いを言うつもりはありません。私もソープに行った事は
あります。しかし、会社で働いてくれている奥様を見ても、独身のOLさんを見ても
素敵な人だな、可愛い子だなと思ってもそれだけです。実際に行動に移すなど、
出来もしない事です。男とは、女とは一体何なのでしょうか? そんな事を公園
のベンチに座って考えていました。

辛い事ですが、もう2枚のDVD、2番と3番を家に帰って見る事にしました。
  1. 2014/08/15(金) 10:33:19|
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白き花 第24回

辺りがもう薄暗くなってきました。家のリビングの灯りも点いていません。
妻はダイニングの椅子に座っていました。

「由里子、俺達はもう駄目だな。俺はもうお前とやって行けそうにない」
「そんな事言わないで下さい、私を許してください」
「無理だな、出て行ってくれ」
「いやーっ、出て行けって言わないで。私は脅されて」
「脅されたにしても、最後は善がっていた」
「そんな事ありません・・・・・」

確かに1番目のDVDでは妻の体は愛撫に反応はしているものの、妻の顔には喜びの
表情がありません、愛撫に耐えているような気もします。しかし、その表情は、
されたくない甚振りに耐えている苦渋のものなのか、押し寄せてくる快感に耐えて
のものなのか、私には判断が出来ません。

2番、3番と記されたDVDを見てみます、妻に渡された方のものです。

妻と津岡は正上位で繋がっています。

「貴方と言え」
「嫌です」

妻の頬に激しくビンタを食らわしています。

「これでもか」
「言えません」

津岡は更に激しくビンタを食らわします。

「言わないと書類のコピーをご亭主の会社に送るぞ」

妻はついに落ちました。

「あ、貴方」
「それから何て言うんだ」
「解りません」
「貴方のを中に下さいだろう」
「・・・・・」
「まだ、解らないのか」
「言います。圭介さんのを中に下さい」

津岡は激しく腰を動かし妻の中に精を放つのです。

「今度から逝く時は、大きな声で逝く、逝きますと言うんだな」
「・・・・・」
「返事はどうした」
「はい、由里子は逝きますと言います」

それからの妻は津岡の行為に最初は拒否するものの、津岡の言いなりになって
いました。膣で受けた津岡の精液が滴り落ちてくるシーン、口で受けた精液が
口角から零れ落ちてくるシーン。私の心は破壊されそうになっていました。しかし、
ここまで来て、最後の3番目のDVDを見ないわけには行きません。

股の付け根と乳輪に文字を書くシーンです。

「今日は俺達の記念日だ。由里子が完全に俺の物になる日だ」
「・・・・・」
「股を開け」

妻は渋々従っています。

「もっと大きく」

津岡は女性用のシェイバーを持っています。

「何をするのですか」
「ここを綺麗にしてあげよう」
  1. 2014/08/15(金) 10:34:18|
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白き花 第25回

ウィーンと音をたてて、シェイバーが妻の股間に近づいていきます。

「止めて下さい、絶対に嫌です」

妻は尻で後ずさりしています。カメラは妻の顔を捉えます。涙を流して激しく
顔を振っています。津岡の手が伸びて妻の髪を引っ張り下を向かせています。

「ほら、良く見ておくんだ。今に綺麗になるからな」

ジャリジャリとシェイバーが妻の陰毛を刈る音が響いています。

「ほら、綺麗になった。由里子の助平なクリもその下の口も
丸見えだ。見てみろ」

津岡は妻に手鏡を放り投げます。妻はうな垂れたままです。津岡は強引に妻の手
に鏡を持たせ、頭を抑え、その部分を見させます。

「どうだ、綺麗になっただろう」

妻は無言です。

「さて、今度を俺の印を入れなければな」

津岡は何かセットになった針と色材料のような物を用意しています。妻はそれ
を恐れの混じった目で見ています。

「何をするんですか」
「由里子の此処と此処に俺の名前を入れる。これは俺の所有物だからな」
「いやーっ、止めて下さい」

一瞬妻は画面から消えました。絵の無い所から音と声だけが聞こえてきます。
音は津岡が妻を叩いているものでしょうか? パシッ、パシッと数回聞こえます。

「まだ解っていないようだな。由里子は俺には逆らえられないんだぞ」
「・・・・・」
「ほら、股を大きく開くんだ」

妻は津岡の言葉に従いました。

津岡は妻の太腿の付け根に、左にK、右にTと墨をいれました。時々、針のような物で
陰核を甚振っています。その作業は20分位でしょうか、妻の女陰に光るものが見え
ました。

「由里子の此処は喜んでるぞ」

刺青は乳輪に移ります。時々、妻の顔がアップされます。痛いのでしょうか、
それとも快感に耐えているのでしょうか、妻は苦悶の表情を浮かべていました。

「刺青と言っても偽物だ、3週間位位で消えてしまう、消えたらまた、
同じ事をする。由里子の楽しみが一つ増えたと言うわけだ」

刺青が終った後、津岡は妻の刺青を施したその部分を時間をかけて舐めて、最後
は一つに繋がっていました。
  1. 2014/08/15(金) 10:35:28|
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白き花 第26回

津岡が私に寄こしたDVDの2番、3番を見てみます。

妻が激しく拒絶している部分は省かれています。勿論、津岡の顔、声も出ては
きません。このDVDの1番から3番を通してみますと、妻の苦悶の表情は快楽に
耐えている顔、苦渋の声も快楽を振り絞っている声に見え聞こえます。この
DVDでは妻は津岡の言いなりになっているように見えました。

津岡は妻に渡した生のDVDと私に寄こした編集したDVDの2種類を用意したの
でしょうか、この時の私には理解の出来ない事でした。妻に渡したDVDには津岡
の顔、声がはっきりと出ています。何故? 私に推測出来る事は自分の顔、声を
出す事により、妻に対して、お前は自分の女だと認識させようとしたのかも
知れないと言う事くらいでした。妻は誰にもこのDVDを見せる筈がない、そう
思い込んで、生のDVDを妻に渡したのでしょうか。

階段に立って階下を見やりますと、下の電気は全てまだ点けられていません。
リビングに降りドアーを開けますと、妻は泣き疲れたのかテーブルに突っ伏して
寝ています。電気を点け、妻の顔を見ると涙が通った後は化粧が落ちていました、
テーブルには涙が零れています。

いくら泣き濡れてテーブルに突っ伏していても、今は妻を許す事など出来ません、
否、未来永劫許せないでしょう。切欠と脅されて関係を持った事は解りました。
しかし、何故簡単に抱かれてしまったのか、何故私に相談してくれなかったのか、
済んでしまった事を私は悔やんでいました。今は妻に向けるべき怒りのその分も
津岡に向けるしかないのです。

寝ている妻に毛布を掛けてあげようと、押入れから持ってきましたが、出来ません。
こんな女には毛布の温かみも必要ないと思ってしまうのです。

「あっ、貴方」

妻は毛布に気がついたようです。

「これでも羽織って、そこで寝ていろ」
「お食事は?」
「要らないって言ってあるだろう。これからは一切俺の世話の必要はない。
世話したいんなら、津岡の世話でもしろ」

そう言い残して、私はシャワーを浴び寝る事にしました。津岡をどうしてやろうか、
考えても何も浮んできません。その内に眠ってしまいました。

朝起きますと妻はベッドにいません、ベッドも乱れてはいません。リビングに
行きますと妻は昨夜と同じようにテーブルに突っ伏していました。妻も私と同じ
部屋では寝れなかったのでしょうか、私は自分のベッドをもう一つの6畳の間に
移しました。

「由里子、俺のベッドは他に移した。嫌な俺がいなければ、お前も
自分のベッドで寝れるだろう。津岡を思い浮かべてオナニーも出来るしな」

自分の言葉に嫌気がさします。しかし津岡と決着がつくまでは、一切妻とは話は
しないと決めました。妻の携帯も取り上げてはいません、好きなようにすれば
いい、そんな気持でした。
  1. 2014/08/15(金) 10:36:27|
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白き花 第27回

月曜日、本社に出社します。

こなさなければならない仕事がありますが、先ず山下の話をもう少し
聞いて見る事にします。今の私には仕事よりこちらの方が大事です、それに
やる事をやらないと仕事に身が入りません。

「山下君、ちょっといいか?」

山下君と小会議室で話をします。

「ABCXYZはその後どうだ?」
「芳しくないですね、売上は緩やかに落ち込んでいます。
でも心配はしないで下さい、他の代理店は上がっています」
「そうか、ところで津岡圭介と言ったかな、彼の態度が酷いそうだな。
彼について何か知っている事はあるか?」
「どうしたんですか?」
「いや、あの製品は私の子供のようなものだ、
何か心配になってね」
「そうですか。私なりにも色々調べました」
「それで?」

山下から聞いた内容は、津岡の会社のお客様である量販店には、我社が
津岡の会社に無理に製品を押し込んでくる、そうしなければ代理権を取り上げる
と我社が言っていると、だから量販店さんにもっと大量に買ってくれと、そんな
内容でした。

「実際はどうなんだ?」

解っている事を敢えて聞きました。

「勿論そんな事はしやしません。量販店には私が行って納得して頂きました」
「そうか、君も大変だったな」
「どうも、あの津岡はかみさんに頭が上がらないみたいですね、それも
極端に。何かあると社長の妹をチラつかせるようですね」
「そうか、有難う」
「それからもう一つ、言わないでおこうと思っていましたが・・・・・」
「何だ、どうした?」
「津岡に誘われた事があります、私の女房と3人で飲みに行かないかと。
勿論、断りましたが」
「そうか」

社長の野村にも話さなければいけない事があります。

「野村、ちょっといいかな」

野村と私は今の会社を立ち上げる前の会社でも同期です、30年来の友人です。
さん付けは出来ません。野村は営業、私は技術、お互いに了解しています。

「お前からとは珍しいな、どうした北上」

小会議室へと向います。

随分迷いました。しかし、今度の事は会社が絡みます。妻と津岡の顛末を話して
おく必要があります。それに野村は私の話を親身になって聞いてくれます、そう
言う男です。誰かに聞いてもらいたい気持もありました。

「いや、ABCXYXの件だが」
「売上は心配するな、手は打つ」
「違うんだ、常務の津岡圭介の事だ」
「酷いとは聞いているが、どうかしたのか?」

迷った末、話す事にしました。
  1. 2014/08/15(金) 10:37:19|
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白き花 第28回

「妻が津岡と不倫している」
「まさか、お前の勘違いだろう?」

報告書、例のご依頼所を前に、深くは話しませんが事の経緯を話します。

「信じられない。あの由里子さんが」
「あぁー、俺も今だに信じられない」

野村はご依頼書をまじまじと見つめています。

「由里子さんは、お前と、お前の製品と、ひいては会社を守ろう
としたんだよ」
「そうかも知れない、しかし俺に相談してくれれば良かった」
「由里子さんの性格からして、そんな相談をお前に出来なかったのだろう。
由里子さん一人で被ったんだよ」
「簡単に言うな、そんな綺麗事じゃない」
「そうだな」

「なあー野村、ABCXYZとの取引は俺に幕引きをさせてくれないか?」
「・・・・・」

野村は暫し考え込んでいます。

「ABCXYZだけではなく、他の代理店との事も考え直さなければいけない
所へ来ている。これだけ最終価格が下がれば量販店との直接取引も
視野に入れなければならない」
「ああ」
「解った。ABCXYZはお前に任そう。山下には社長預かりと言う事に
しておこう」
「悪いが頼む」

仕事に私情を挟むのは禁物です。しかし今回は特例中の特例だと自分の気持を
納得させました。

「野村、お前には全て報告する。今日はこれで帰る、あいつと会う積もりだ」

と言ったものの、津岡に伝えてあるわけでもなく、これからの行動を考えて
いました。こんな時自分が直情型の人間だったどんなにか気が楽だろうと
思いました。考えた末、やはり津岡の会社に行く事にします、これが正攻法
だと思います。

津岡社長と圭介の在社は確認しました。津岡社長に電話をします、私の会社と
名前を告げると簡単に社長に取り次いでくれます。社長に私の訪問の意を伝え、
津岡圭介の同席を求めました。技術担当の私の来社に社長は少し怪訝な声を
していましたが、用件は伺った時にと、圭介には私が訪問する事を行くまで
黙っていて欲しいと伝え電話を切りました。

応接室が用意されていました。社長が入ってきます、型どおりの挨拶が済みます。

「技術の専務さんがご来社とは、技術的なお話ですか?
常務をもう呼びますか?」
「いや、今日は個人的は話です。常務さんは、社長に一通り、話を
聞いて頂いてからで結構です」

妻と津岡圭介の話をします。
  1. 2014/08/15(金) 14:31:31|
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友人・妄僧 (7)
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乳フェチの友人・初心者 (6)
1話完結■隣人または友人 (7)
■インターネット (54)
チャットルーム・太郎 (19)
オフ会・仮面夫婦 (10)
ターゲット・アイスマン (5)
奇妙な温泉宿・イワシ (14)
落書きの導き・マルタ (4)
1話完結■インターネット (2)
■旅先のアバンチュール (63)
バカンス・古屋二太郎 (7)
妻との旅行で・けんた (5)
無題・ざじ (10)
A温泉での忘れえぬ一夜・アキオ (18)
露天風呂での出来事・不詳 (2)
たった1度の体験・エロシ (9)
旅行・妄人 (12)
■医者・エステ・マッサージ (62)
孕まされた妻・悩める父親 (7)
とある会で。 ・けんじ (17)
亜希子・E-BOX (14)
子宝施術サービス・かえる (23)
1話完結■医者・エステ・マッサージ (1)
■借金 (56)
私達の出来事・不詳 (9)
私の罪・妻の功・山城 (9)
失業の弱みに付け込んで・栃木のおじさん (3)
変貌・鉄管工・田中 (5)
借金返済・借金夫 (5)
妻で清算・くず男 (5)
妻を売った男・隆弘 (4)
甦れ・赤子 (8)
1話完結■借金 (8)
■脅迫 (107)
夢想・むらさき (8)
見えない支配者・愚者 (19)
不倫していた人妻を奴隷に・単身赴任男 (17)
それでも貞操でありつづける妻・iss (8)
家庭訪問・公務員 (31)
脅迫された妻・正隆 (22)
1話完結■脅迫 (2)
■報復 (51)
復讐する妻・ライト (4)
強気な嫁が部長のイボチンで泡吹いた (4)
ハイト・アシュベリー・対 (10)
罪と罰・F.I (2)
浮気妻への制裁・亮介 (11)
一人病室にて・英明 (10)
復讐された妻・流浪人 (8)
1話完結■報復 (2)
■罠 (87)
ビックバンバン・ざじ (27)
夏の生贄・TELL ME (30)
贖罪・逆瀬川健一 (24)
若妻を罠に (2)
範子・夫 (4)
1話完結■罠 (0)
■レイプ (171)
輪姦される妻・なべしき (4)
月満ちて・hyde (21)
いまごろ、妻は・・・みなみのホタル (8)
嘱託輪姦・Hirosi (5)
私の日常・たかはる (21)
春雷・春幸 (4)
ある少年の一日・私の妻 (23)
告白・小林 守 (10)
牝は強い牡には抗えない。・山崎たかお (11)
堅物の妻が落とされていました・狂師 (9)
野外露出の代償・佐藤 (15)
妻が襲われて・・・ ・ダイヤ (6)
弘美・太郎棒 (11)
強奪された妻・坂井 (2)
痴漢に寝とられた彼女・りょう (16)
1話完結■レイプ (5)
■不倫・不貞・浮気 (788)
尻軽奈緒の話・ダイナ (3)
学生時代のスナック・見守る人 (2)
妻・美由紀・ベクちゃん (6)
押しに弱くて断れない性格の妻と巨根のAV男優・不詳 (8)
妻に貞操帯を着けられた日は・貞操帯夫 (17)
不貞の代償・信定 (77)
妻の浮気を容認?・橘 (18)
背信・流石川 (26)
鬼畜・純 (18)
鬼畜++・柏原 (65)
黒人に中出しされる妻・クロネコ (13)
最近嫁がエロくなったと思ったら (6)
妻の加奈が、出張中に他の男の恋人になった (5)
他の男性とセックスしてる妻 (3)
断れない性格の妻は結婚後も元カレに出されていた!・馬浪夫 (3)
ラブホのライター・され夫 (7)
理恵の浮気に興奮・ユージ (3)
どうしてくれよう・お馬鹿 (11)
器・Tear (14)
仲のよい妻が・・・まぬけな夫 (15)
真面目な妻が・ニシヤマ (7)
自業自得・勇輔 (6)
ブルマー姿の妻が (3)
売れない芸人と妻の結婚性活・ニチロー (25)
ココロ・黒熊 (15)
妻に射精をコントロールされて (3)
疑惑・again (5)
浮気から・アキラ (5)
夫の願い・願う夫 (6)
プライド・高田 (13)
信頼関係・あきお (19)
ココロとカラダ・あきら (39)
ガラム・異邦人 (33)
言い出せない私・・・「AF!」 (27)
再びの妻・WA (51)
股聞き・風 (13)
黒か白か…川越男 (37)
死の淵から・死神 (26)
強がり君・強がり君 (17)
夢うつつ・愚か者 (17)
離婚の間際にわたしは妻が他の男に抱かれているところを目撃しました・匿名 (4)
花濫・夢想原人 (47)
初めて見た浮気現場 (5)
敗北・マスカラス (4)
貞淑な妻・愛妻家 (6)
夫婦の絆・北斗七星 (6)
心の闇・北斗七星 (11)
1話完結■不倫・不貞・浮気 (18)
■寝取らせ (263)
揺れる胸・晦冥 (29)
妻がこうなるとは・妻の尻男 (7)
28歳巨乳妻×45歳他人棒・ ヒロ (11)
妻からのメール・あきら (6)
一夜で変貌した妻・田舎の狸 (39)
元カノ・らいと (21)
愛妻を試したら・星 (3)
嫁を会社の後輩に抱かせた・京子の夫 (5)
妻への夜這い依頼・則子の夫 (22)
寝取らせたのにM男になってしまった・M旦那 (15)
● 宵 待 妻・小野まさお (11)
妻の変貌・ごう (13)
妻をエロ上司のオモチャに・迷う夫 (8)
初めて・・・・体験。・GIG (24)
優しい妻 ・妄僧 (3)
妻の他人棒経験まで・きたむら (26)
淫乱妻サチ子・博 (12)
1話完結■寝取らせ (8)
■道明ワールド(権力と女そして人間模様) (423)
保健師先生(舟木と雅子) (22)
父への憧れ(舟木と真希) (15)
地獄の底から (32)
夫婦模様 (64)
こころ清き人・道明 (34)
知られたくない遊び (39)
春が来た・道明 (99)
胎動の夏・道明 (25)
それぞれの秋・道明 (25)
冬のお天道様・道明 (26)
灼熱の太陽・道明 (4)
落とし穴・道明 (38)
■未分類 (571)
タガが外れました・ひろし (13)
妻と鉢合わせ・まさる (8)
妻のヌードモデル体験・裕一 (46)
妻 結美子・まさひろ (5)
妻の黄金週間・夢魔 (23)
通勤快速・サラリーマン (11)
臭市・ミミズ (17)
野球妻・最後のバッター (14)
売られたビデオ・どる (7)
ああ、妻よ、愛しき妻よ・愛しき妻よ (7)
無防備な妻はみんなのオモチャ・のぶ (87)
契約会・麗 (38)
もうひとつの人生・kyo (17)
風・フェレット (35)
窓明かり ・BJ (14)
「妻の秘密」・街で偶然に・・・ (33)
鎖縛~さばく~・BJ (12)
幸せな結末・和君 (90)
妻を育てる・さとし (60)
輪・妄僧 (3)
名器・北斗七星 (14)
つまがり(妻借り)・北斗七星 (5)
京子の1日・北斗七星 (6)
1話完結■未分類 (1)
■寝取られ動画 (37)
■失敗しない為のライブチャット格安攻略 (5)

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